「ふつうの子」なんて無い


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私は児童心理カウンセラーの藤原と申します。不登校や引きこもりの子どもたちを専門にサポートをしています。これまで多くの親御さんとお話しする中で、「普通の子」に対する考え方やその先入観が、親子関係や子どもの心にどれほど大きな影響を与えるのかを目の当たりにしてきました。

本稿では、「ふつうの子」なんて無い、という題名のもと、子どもたちの個性や生きづらさを理解し、親としてどう寄り添えるかを掘り下げていきます。

参考:文部科学省「令和の日本型学校教育」の構築を目指して
参考:文部科学省「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題


「普通」を求めることの落とし穴

親として、我が子が「普通」であってほしい、特別な問題を抱えず、周囲に馴染み、順調に成長してほしいと願うのは当然のことです。学校に通い、友達と楽しく過ごし、やりたいことを見つけ、将来に向かって歩んでいく姿を思い描くのは自然なことです。しかし、その「普通」という言葉が、時に子どもの苦しみの原因になることをご存じでしょうか。

不登校や引きこもりの子どもたちと接していて感じるのは、多くの場合、子どもたちは自分を「普通ではない」と思い込んでいるということです。「他の子どもたちはみんな学校に行けているのに、どうして自分は行けないのだろう」「自分はダメな子だ」と、子どもたちは自分を責めてしまうのです。そしてその背景には、多くの場合、親や周囲の「普通であってほしい」という期待が影を落としています。

もちろん、親として「普通であってほしい」と願うこと自体が悪いわけではありません。問題は、それが子どもにとって「自分のありのままを否定されている」と感じさせてしまう点にあります。例えば、「学校に行かないなんて普通じゃないよ」「みんなやっているんだから頑張ってごらん」といった言葉は、励ましのつもりでも、子どもにとっては「自分はダメなんだ」というメッセージに聞こえることがあります。

私たちは「普通」という言葉を使う時、その背後にある基準を無意識に社会や周囲の価値観に頼っています。しかし、果たしてその基準は絶対的なものでしょうか?たとえ学校に行けなかったとしても、友達と過ごす時間が少なかったとしても、それはその子にとっての「普通」ではないのでしょうか。

子どもの「生きづらさ」を見つめる

不登校や引きこもりは、単に怠けや反抗心から来るものではありません。むしろ、その多くは子ども自身の「生きづらさ」から生じています。その生きづらさの原因は千差万別です。例えば、学校という環境が持つ画一的なルールや価値観に適応できない場合や、人間関係で傷ついた経験が心の傷となっている場合、あるいは自己評価の低さから新しいことに挑戦すること自体が怖くなってしまう場合などがあります。

これらの生きづらさは、表面からは見えにくいものです。子どもが学校に行きたくないと言ったとき、その理由を「ただ怠けているだけだ」「気分の問題だ」と決めつけるのは危険です。むしろ、「この子は何に苦しんでいるのだろう」「どんな部分が負担になっているのだろう」と子どもの心の内側に目を向けることが大切です。

ある親御さんが、学校に行けなくなった娘さんについて話してくれたことがあります。その子はとても真面目で、先生の期待にも答えようと一生懸命努力していました。しかし、その頑張りが裏目に出て、友達との関係で「自分だけが空回りしている」と感じるようになり、次第に学校への足が重くなっていったのです。親御さんは初め、娘さんが学校に行かないことを「わがまま」だと考えていましたが、よく話を聞いてみると、娘さんは「自分の努力が否定されている」と感じていたことがわかりました。

このように、子どもの心の中には、私たち大人が想像する以上に複雑な感情が渦巻いていることがあります。それを理解するには、まず「子どもは何かに苦しんでいるのではないか」という視点を持つことが必要です。

親としての役割を見直す

では、親としてどのように子どもに接すればよいのでしょうか。答えの一つは、「普通」を押し付けるのではなく、子ども自身のペースや価値観を尊重することです。

ある意味で、不登校や引きこもりは、子どもからの「サイン」と言えます。「私は今、苦しい」「助けてほしい」という声を上げる代わりに、行動でそのメッセージを伝えているのです。親としてそのサインを受け取ったとき、最も重要なのは「この子が何を伝えようとしているのか」に耳を傾けることです。

具体的には、以下のようなアプローチが有効です。

  • 子どもの話を否定せずに聞く。たとえ親としては受け入れがたい内容でも、「この子がどう感じているか」を理解しようとする姿勢が大切です。
  • 子どもの現状をそのまま認める。学校に行けていない現実を否定するのではなく、「今、学校に行けないんだね」と事実を受け入れることで、子どもは少しずつ安心感を取り戻します。
  • 親自身の価値観を見直す。「普通であること」に囚われていないか、「他の子と比べていないか」を振り返ることで、親としての心の余裕が生まれます。

親が変わることで、子どもの感じ方や行動も変わることがあります。「普通であること」ではなく、「その子らしさ」を大切にすることで、子どもは自分自身を肯定できるようになるのです。

「普通」から解放されるとき

最後に、「普通」という言葉を手放すことの大切さについてお話しします。私たちの社会は、多様性を尊重すると言いながらも、どこかで「普通」の枠にはめようとする力が働いています。それは学校という場においても同様です。しかし、「普通」に囚われ続ける限り、私たちは子どもたちが本来持っている個性や可能性を見過ごしてしまう危険性があります。

不登校や引きこもりは、決して「異常」ではありません。それは、その子にとって「自分らしく生きるための過程」であり、「自分自身を守るための手段」なのです。親としてその事実を理解し、子どもの心の声に寄り添うことで、子どもたちは自分の道を見つけ出すことができます。

「普通の子なんてどこにもいない」という言葉は、一見過激に聞こえるかもしれません。しかし、それこそが真実です。すべての子どもは、唯一無二の存在であり、誰かと比較することなく、そのままで価値のある存在です。親も子も「普通」という幻想から解放されることで、新しい視点を得ることができるのです。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
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親子に寄り添う支援で、年間1,000名以上の再登校をサポート。国内カウンセラーが最も推奨する不登校支援サービスはToCo(トーコ)です。

不登校の子への基本姿勢とは?

不登校への子への基本姿勢についての見出し

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私は児童心理カウンセラーとして10年以上、不登校や引きこもりに日々向き合っています。不登校の問題は、単に「放っておけば治る」というものではありません。むしろ、不登校が長引くほど、その状態が子どもの「日常」として定着しやすくなり、元の生活に戻ることがどんどん難しくなってしまいます。そのため、早期に適切な対処を行うことが非常に重要です。

本稿では、不登校が続いた場合に親御さんが取るべき具体的な対処法を解説します。不登校のお子さんを持つ多くの親御さんが、何をすべきか迷い、不安な気持ちを抱えながら日々を過ごしていることでしょう。その心情に寄り添いながらも、実際に役立つ方法をお伝えします。

参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援に関する最終報告

子どもが「不登校」という状態に至るまで

まず、不登校に至る背景を理解することが大切です。多くの場合、不登校は突然始まるわけではありません。その前兆や原因となる出来事が必ず存在します。それが学業面のプレッシャーだったり、友人関係のトラブル、先生との摩擦、さらには家庭内の環境要因であったりします。しかし学校を休んでいる今、親御さんがすべきことは、その「原因」をあまり深く掘り下げすぎないことです。なぜなら、不登校のきっかけとなったストレスは、実は時間の経過とともに薄れている可能性が高いからです。

例えば、子どもが友達とのケンカが原因で学校に行かなくなった場合、最初の数日はその問題が頭の中で大きく占めているかもしれません。しかし、時間が経てば、その問題自体の影響力は薄れ、今度は「学校に戻ること」そのものへの抵抗感が大きくなります。「自分が学校を休んだことで周囲からどう見られるのか」という不安や、長い休みで勉強が遅れてしまったことへの焦りが新たな障害となるのです。

このため、まず親御さんが子どもに対してできることは、「現在、学校に戻る意思があるか」を率直に確認することです。もちろん、子どもがすぐに素直に答えるとは限りません。その場合は焦らずに、子どもの様子を見ながら丁寧に話を進めていく必要があります。

「学校に行かない」ことが当たり前になる危険性

2週間以上過ぎると、不登校は「一時的な出来事」ではなく「日常」として子どもの中に根付いてしまう危険があります。朝起きて学校に行く代わりに、遅くまで寝ている、好きなテレビやゲームをする、家族の目が届きにくい時間帯にスマートフォンを長時間使う、といった行動が日々の生活リズムとなると、そこから抜け出すことは容易ではありません。学校に行かないことが「楽」と感じられるようになると、「また学校に通い始める」という意識自体が失われてしまいます。

ゲームをする子どものイメージ

この段階で重要なのは、学校に行かないからといって、子どもの生活を過剰に快適にしないことです。例えば、子どもが学校を休む理由を「疲れた」「眠い」といった漠然としたものにする場合があります。このとき、親御さんが「疲れているなら無理しなくていいよ」「眠いなら今日は休んでいいよ」と何度も許容してしまうと、子どもにとって「学校を休む」ことが無条件で許される行動になってしまいます。

不登校中であっても、家庭内で一定の規律を保つことが非常に重要です。具体的には、以下のようなポイントに注意してください。

①起床時間と就寝時間を規則正しく保つこと:平日でも休日でも、朝は同じ時間に起きるように促してください。たとえ学校に行かなくても、生活リズムが乱れると、復帰する際に大きな障害になります。

②自由時間を制限すること:ゲームやスマホの使用時間を明確に区切り、それ以外の時間は勉強や家庭内の手伝いに充てるよう指導してください。

③将来の目標や興味を掘り下げる活動を取り入れること:学校に行けない間でも、子どもが将来の夢や興味を持つ分野について考える機会を作ることは有益です。これにより、「学校で学ぶ意味」を再認識させることができるかもしれません。

学校との連携を密に保つ

不登校が続いている場合、学校との連携が欠かせません。親御さんの中には、「学校に連絡をすると、何か責められるのでは」と感じてしまう方もいます。しかし、学校側にとっても、不登校が続く子どもへのサポートは重要な課題です。担任の先生やスクールカウンセラーなど、専門的な知識を持った方々と情報を共有し、協力することで、より適切な対応が可能になります。

学校との連携で特に効果的なのは、「家庭で進められる勉強やプリント」の提供を依頼することです。勉強の遅れは、子どもが学校復帰をためらう大きな理由の一つです。たとえ子どもが「学校には行きたくない」と言い続けている場合でも、家で少しずつ勉強を進めることで、復帰のハードルを下げることができます。

また、学校側にお願いしたいのは、勉強以外のサポートも含めて具体的な提案をもらうことです。例えば、週に一度だけでも先生と子どもが電話で話をする、オンラインで授業を受けるといった方法が考えられます。これにより、子どもが学校とのつながりを失わずに済みます。

不登校中の甘やかしは長期化を招く

不登校中に「居心地の良い生活」を提供することは、長期化を招く大きな原因となります。「学校に行けないなら、せめて家では快適に」という親心は理解できますが、その結果として、子どもが「不登校であることのメリット」を感じるようになれば、復帰がますます困難になります。

例えば、子どもが「家にいれば好きなことができる」と考えるようになると、学校に戻る意欲を持つ理由が失われてしまいます。これは単なる甘えではなく、人間として当然の心理です。「楽な方を選ぶ」傾向は誰にでもあります。そのため、親御さんが毅然とした態度で、家での生活にも一定のルールを設けることが大切です。

その一方で、甘やかさないことが「叱ること」に直結してはいけません。不登校の子どもに厳しく接するだけでは、かえって心を閉ざしてしまう危険があります。ここで重要なのは、「子ども自身に不登校を解決する力がある」と信じ、その力を引き出すサポートをすることです。

親の心構えが子どもを支える

不登校の解決には時間がかかる場合があります。しかし、その間も親御さん自身が不安や焦りに負けず、冷静に対処することが大切です。親の態度は、子どもにとって大きな影響を与えます。「この子の未来は大丈夫」と信じる気持ちを持ち続けることで、子どもも「自分は受け入れられている」と安心感を持つことができます。

最後にお伝えしたいのは、不登校は子どもの人生における「失敗」ではないということです。不登校の期間を通じて、子どもは何かを学び、親も成長する機会を得ることができます。大切なのは、親子で一緒に問題に向き合い、最善の解決策を模索することです。

関連記事:不登校を長期化させないための5つの行動

関連記事:不登校が1ヶ月以上続いた場合の、家庭で出来る対処法



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不登校の子どもにおすすめ:散歩の効用とは?

散歩の効用イメージ

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不登校や引きこもりの問題に直面すると、多くの親御さんは頭を悩ませ、時には途方に暮れることもあるでしょう。「どうすれば、子どもが再び元気を取り戻してくれるのか」「学校に行けるようになるために、親として何をすべきなのか」といった問いが、心の中で堂々巡りすることも少なくないはずです。不登校の要因や背景はさまざまで、単純な解決策はありません。しかし、私が児童心理カウンセラーとして数多くの親子と向き合ってきた経験から言えるのは、ただ手をこまねいて見守るだけでは、問題が改善されることはほとんどないということです。不登校の解決には、子ども自身が新しい刺激を受けたり、小さな成功体験を積み重ねたりすることが必要不可欠です。そして、そのための第一歩となるものとして「散歩」という行動を提案したいと思います。

散歩は、特別なスキルや道具を必要としません。それどころか、今すぐにでも始められる、とてもシンプルな行動です。しかし、その中には、心と身体にポジティブな変化をもたらす多くの可能性が秘められています。本稿では、散歩の持つ三つの大きな効用について詳しくお話ししながら、不登校の子どもとその親御さんが日々の中で取り入れられる実践的なヒントをご紹介していきます。

参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について


1. 散歩は「身体のデトックス」になる

まず、散歩の最も基本的な効用である「身体のデトックス効果」についてお話しします。不登校の子どもたちは、自室で過ごす時間が圧倒的に多くなり、運動不足に陥るケースが非常に多いです。動く機会が少ない生活が続くと、心と身体のバランスが崩れ、さらにエネルギーを消耗しやすい悪循環に陥ってしまいます。このような状態にある子どもたちにとって、散歩は、身体を整え、活力を取り戻すための第一歩となるのです。

運動不足が身体に与える影響は、想像以上に深刻です。例えば、長時間座ったり寝転んだりして過ごす生活が続くと、血液の循環が滞り、筋肉が硬くなることがあります。その結果、肩こりや頭痛、倦怠感などの身体症状が現れることがあります。さらに、不登校の子どもたちに共通する悩みとして挙げられるのが「昼夜逆転」の問題です。日中は体を動かさないためエネルギーが消耗されず、夜になっても眠れない。そのため、睡眠のリズムが乱れ、朝起きることができなくなるというサイクルが生まれます。これは、運動不足と深い関係があります。

散歩には、このような身体の不調を改善する力があります。歩くという動作は、私たちの心拍数を自然に上げ、血液の循環を促進します。これにより、体内に溜まった老廃物や余分な水分が排出されやすくなり、むくみやだるさの解消につながります。さらに、散歩は身体の緊張を和らげ、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減少させる効果もあります。これにより、気分が穏やかになり、不安感や落ち込みが軽減されるのです。日々のストレスや不安を抱える不登校の子どもにとって、散歩は心身をリセットするための重要な手段となります。

また、散歩を日課として取り入れることで、昼夜逆転の改善にもつながります。朝の光を浴びながら歩くことで、体内時計が整えられ、自然な形で眠りのリズムを取り戻すことができます。これにより、夜には自然と眠気を感じ、朝スムーズに起きられるようになるでしょう。たとえ数分の短い散歩であっても、毎日続けることで子どもの身体に大きな変化が現れます。

「うちの子は外に出たがらない」という声もよく耳にします。たしかに、最初の一歩を踏み出すことは容易ではありません。その場合は、親御さん自身がまず散歩を始めてみることをお勧めします。子どもがついて来ないとしても構いません。「お母さん、少し歩いてくるね」と声をかけるだけでも、子どもにとっては刺激になります。家族が外に出る姿を目にすることで、子ども自身が徐々に興味を持ち、やがて「少しだけなら」と一緒に歩いてみようと思える日が来るかもしれません。

親御さんが散歩に誘うときには、プレッシャーをかけないことが大切です。「外に出ないとだめだよ」と叱るような言い方ではなく、「ちょっとだけ空気を吸ってみない?」という軽い提案にとどめると良いでしょう。また、最初から長時間歩く必要はありません。近所の道を5分ほど一緒に歩くことから始めても十分です。散歩が楽しいと思えるようになれば、次第にその距離や時間を増やしていくことができます。

このように、散歩には不登校の子どもが抱える運動不足や身体の不調を改善し、心身のバランスを取り戻す力があります。毎日少しずつでも散歩を取り入れることで、子どもたちの身体が元気を取り戻し、学校生活への準備が整っていくのです。

2. 「人の営みを見聞きする」ことで視野が広がる

散歩には、ただ身体を動かす以上の意味があります。それは、外の世界に触れることで「人の営みを見聞きする」機会を得られるという点です。不登校の子どもたちは、日常的に自宅や自室に閉じこもることで、世界との接点を失ってしまうことが少なくありません。その結果、自分の悩みが世界のすべてであるかのように感じ、選択肢や可能性を狭めてしまうことがあります。しかし、散歩というシンプルな行動が、外界との接触を取り戻し、自分の悩みを相対化するための大切なきっかけとなるのです。

たとえば、近所の公園を歩いてみると、そこにはいろいろな人々の営みが広がっています。小さな子どもと遊ぶ親子、ジョギングに汗を流す中高年の人たち、飼い犬と楽しそうに散歩する人――それぞれが自分の時間を過ごし、それぞれの日常を生きています。こうした風景に触れるだけでも、自分が抱える問題が、決して特別なものではないと気づくことができます。自室で一人、自分の考えや悩みの渦に巻き込まれていると、どうしても視野が狭くなりがちです。しかし、散歩を通じて多様な人々の姿を目にすることで、「自分の苦しみだけが世界のすべてではない」と感じられるようになるのです。

ある中学生の男の子の例をご紹介しましょう。その子は、成績のプレッシャーから学校に行けなくなり、半年以上自室で過ごしていました。両親は心配するあまり、何とか外に連れ出そうと必死でしたが、本人は「無理」「どうせ意味がない」と拒否を繰り返していました。そこで、母親が始めたのは、毎朝一人で近所を散歩することでした。子どもを誘うのではなく、自分自身が散歩を習慣にしたのです。朝日を浴びながら歩いて帰ってくる母親の姿を目にして、やがて男の子は「少しだけなら」と一緒に歩くようになりました。

散歩を始めて数週間が経った頃、彼はこう言ったそうです。「散歩していると、他の人たちがみんな何かしているのが分かる。仕事に行く人や、子どもを連れたお母さんとか。みんなそれぞれ悩みとか大変なことがあるんだろうけど、頑張っているんだよね。」この言葉から分かるのは、彼が外の世界に目を向け、自分だけが苦しいわけではないと感じられるようになったということです。

また、散歩中に聞こえてくる人々の会話や生活音も重要なポイントです。たとえば、近所の商店街を歩いていると、お店の人とお客さんの何気ないやり取りや、道行く人の楽しそうな笑い声が耳に入ります。こうした何気ない日常の音は、心の中に新しい風を吹き込む効果があります。不登校の子どもたちは、部屋の中で同じ空気や音に囲まれて過ごすことが多く、それが閉塞感を助長することがあります。しかし、散歩を通じて多様な人々の声や行動を耳にすると、「世界は広い」「まだ自分の知らないことがたくさんある」ということに気づけるのです。

もちろん、初めて散歩に出るときには、子どもにとってハードルが高い場合もあります。その場合は、静かな住宅街や人通りの少ない道を選ぶとよいでしょう。無理に賑やかな場所に連れ出す必要はありません。少しずつ慣れてきたら、公園や商店街など、人々の営みが感じられる場所を散歩コースに加えてみてください。また、子どもが自ら「ここに行ってみたい」と言い出したら、その希望を尊重することも大切です。

さらに、親御さん自身も、散歩を通じて新しい発見を楽しむ姿勢を見せることが重要です。「あそこの花壇がきれいだね」「あのパン屋さん、いい匂いがするよ」など、何気ない話題を子どもと共有することで、散歩の時間が特別なものになっていきます。散歩の途中で気に入ったお店を見つけて、そこで一緒に買い物をしたり、軽くお茶をするのも良いでしょう。そのような小さな楽しみを通じて、外の世界へのポジティブなイメージが育まれていきます。

人の営みを見聞きすることは、不登校の子どもたちにとって、自分の悩みを相対化し、前向きな気持ちを取り戻すための大切なステップです。「外の世界には、自分とは違う生き方をしている人たちがいる」という事実に気づくことで、心の中に余白が生まれ、悩みの渦から少しずつ抜け出すことができるのです。

3. 自然の大きな流れを感じる

散歩のもう一つの大きな効用は、「自然の大きな流れを感じる」という点にあります。不登校や引きこもりの子どもたちにとって、日々の生活は狭い範囲に閉じこもりがちです。家や自室で過ごす時間が長くなるほど、四季の移り変わりや自然の美しさといったものから遠ざかり、「時間がただ過ぎていくだけ」と感じることが増えてしまいます。その結果、閉塞感や無力感が深まり、「今」という瞬間を楽しむことが難しくなります。しかし、自然と触れ合う機会を持つことで、そうした感覚が変わり始めるのです。散歩は、そのための最も身近で手軽な方法の一つです。

自然には、私たちの気持ちを癒し、悩みを和らげる力があります。たとえば、春の散歩では、新緑や満開の桜を目にすることで、冬の間閉じこもっていた命が再び動き始める様子を感じることができます。夏には木陰の涼しさや蝉の鳴き声が、暑さの中にも心地よい静けさを与えてくれます。秋には紅葉の鮮やかな色彩に目を奪われ、冬には冷たい空気の中に漂う凛とした静けさを感じることができます。これらの四季折々の景色は、日常の忙しさや閉塞感から私たちの意識を解き放ち、「今、この瞬間」を五感で味わう時間を提供してくれます。

私が関わったある不登校の中学生の女の子の話です。彼女は、友人関係の悩みから学校に行けなくなり、一日の大半を自室で過ごしていました。部屋のカーテンも閉め切り、季節の変化を感じることもない生活が続いていました。そんな彼女が、母親と一緒に近所の小さな公園を散歩することから、少しずつ心を開いていきました。最初は渋々歩いていましたが、春になると「桜がきれいだね」と言葉を発するようになり、夏には「木陰が涼しくて気持ちいい」と笑顔を見せることも増えました。

その変化のきっかけになったのは、自然の美しさや大きな流れを感じ取ったからだと彼女自身が後に語っています。「自然って、どんなに辛いことがあっても勝手に変わっていくんだよね。私が悩んでても、桜は咲くし、葉っぱは色づく。それを見てたら、悩みすぎるのも馬鹿らしくなるっていうか、今を楽しんでいいんだなって思えた」と言っていました。この言葉は、自然が私たちに与えてくれる力の大きさを物語っています。

また、自然に触れることで、人生の一回性を感じ取ることもできます。私たち人間もまた、自然の一部であり、限りある時間の中で生きています。木々が芽吹き、葉を茂らせ、やがて落葉していくサイクルは、私たちの人生にも重なる部分があるでしょう。どんなに苦しい時期があっても、それは永遠には続かず、必ず次の季節がやってくるのです。このことに気づくと、今の悩みが少し小さく感じられるようになります。

特に不登校の子どもたちは、未来を悲観しがちです。「自分はもうダメだ」「これから何も変わらない」という閉じた思考に陥ることが多いのですが、自然の変化を感じることで、そうした考えに風穴が開くことがあります。目の前に広がる景色が変わり続けることを実感するうちに、「自分の人生もまた、今の状態がずっと続くわけではない」と思えるようになるのです。この気づきは、不登校というトンネルから抜け出すための大きな力となります。

親御さん自身もまた、自然の中で過ごす時間を通じて、子どもとの絆を深めることができます。たとえば、散歩中に見つけた花や虫について話し合ったり、「あの雲の形が面白いね」といった何気ない会話を楽しむことができます。そのようなやり取りを通じて、親子の関係が穏やかになり、子どもにとって安心感を与える場面が増えていきます。そして、親が自然を楽しむ姿を見せることが、子どもにとって外の世界への興味を育むきっかけにもなります。

散歩の魅力は、特別な道具や環境を必要とせず、今いる場所で始められることにあります。たとえ近所の小さな道でも、そこには季節の変化や自然の豊かさが溢れています。子どもが外出に消極的であれば、親御さんが先に始めてみるだけで十分です。「一緒に見に行こう」という誘い方ではなく、親自身が楽しそうに自然を感じている姿を見せることで、子どもが自発的に興味を持つようになることが多いのです。

自然と触れ合う時間は、不登校の子どもたちが「今」を感じ、未来に希望を持つための大切な一歩となります。散歩を通じて、ぜひ自然の大きな流れを感じてみてください。その中で、親子ともに新しい発見や喜びを見つけることができるはずです。

結び

散歩は、不登校や引きこもりに悩む子どもたち、そしてその親御さんにとって、シンプルながらも大きな力を持つ行動です。「身体のデトックス」「人の営みを見聞きする」「自然の大きな流れを感じる」という三つの効用を通じて、心と身体に新たな風を送り込み、閉じこもった状況から一歩を踏み出すきっかけを作ることができます。

散歩は、すぐに効果が現れる魔法ではありません。しかし、親子で一歩ずつ外の世界に触れることで、少しずつ心がほぐれ、次の行動に向かうエネルギーが生まれていきます。どうか焦らず、無理をせず、散歩を日々の生活の中に取り入れてみてください。その小さな一歩が、やがて大きな変化をもたらす種になっていきます。


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親の言葉が子どもに伝わらない理由とは?

親の言葉が子どもに伝わらない訳のイメージ

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親として、日々子どもに向き合う中で「どうして伝わらないのだろう」と悩む瞬間は、どんな家庭でも一度は訪れるものです。特に、不登校や引きこもりといった問題を抱える子どもを持つ親御さんにとって、この「伝わらない」という壁は非常に重く感じられることでしょう。「学校に行ってほしい」「少しでも前向きになってほしい」「なんとか状況を改善したい」という思いを込めて言葉をかけているにもかかわらず、その言葉が届いていないように感じられる――その苦しさは私も日々、多くの親御さんから聞いています。

私自身、不登校や引きこもりを専門とする児童カウンセラーとして、親子間のコミュニケーション問題に深く関わってきました。この「言葉が伝わらない」という問題には、多くの原因が複雑に絡み合っています。そして、原因を正確に理解しないまま言葉を投げかけても、状況が好転することは少なく、むしろ親子間の溝を深める結果を招くことさえあります。本稿では、親の言葉が子どもに伝わらない「3つの理由」を掘り下げ、親子のコミュニケーションの質を改善するためのヒントをお伝えします。

参考:文部科学省「子どもの育ちをめぐる現状等に関するデータ集


理由1:言葉は「そのまま」伝わるものではない

私たちは普段、言葉を交わす際に「相手にそのままの意味で伝わるだろう」と考えがちです。特に、親が子どもに声をかけるときには、その言葉が意図通りに受け取られ、理解されることを当然視してしまうことがあります。けれども、実際には「そのまま伝わる」ことは非常に稀であるという現実をまず理解する必要があります。

言葉のズレ:同じ言葉が異なる意味を持つ

具体例を挙げてみましょう。親が「明日の準備はできたの?」と尋ねたとします。この言葉の中に、親としてはさまざまな意図が込められています。明日の授業のための教科書やノート、筆記用具、そして宿題がきちんと揃っているかどうか――そうした「準備」の全体像が当然のように含まれているはずです。しかし、子どもにとっての「明日の準備」とは、単に「明日学校があることを知っている」程度の認識であったり、カバンを部屋の片隅に置いただけで「準備ができた」と感じてしまうことがあるのです。

親と子どもの間で、このようなすれ違いが起こるのはなぜでしょうか。それは、私たち一人ひとりが「スキーマ」と呼ばれる独自の認識の枠組みを持っているからです。スキーマとは、過去の経験や知識、価値観に基づいて作られる思考のフィルターのようなものです。親と子どもでは、これまでの経験の質や量が大きく異なるため、同じ言葉を聞いてもその解釈が大きくずれることがあります。

スキーマの違いがすれ違いを生む

たとえば、親が「計画を立てなさい」と言った場合を考えてみます。親にとっての「計画」とは、目標を定め、その目標に向けた具体的な行動を段取りよく組み立てることを意味します。一方で、子どもにとって「計画を立てる」とは、「やりたいことをとりあえず頭の中で思い浮かべる」程度の曖昧なものかもしれません。このズレは、子どもの経験値や思考の幅がまだ狭いことに起因しています。

特に不登校や引きこもりの子どもたちは、自分の失敗体験やトラウマから、否定的なスキーマを形成していることが少なくありません。「自分はどうせダメだ」「何をやっても意味がない」という思い込みが強い場合、親がどれだけ励ましや助言をしても、その言葉が肯定的に受け取られることは難しくなります。むしろ、「また怒られるかもしれない」「無理なことを押し付けられる」という恐れの感情が先に立ち、親の言葉が意図した以上にネガティブに受け取られることもあります。

このようなスキーマの違いを理解せずに、ただ「もっとしっかり準備しなさい」「ちゃんと聞いてくれないから伝わらないんだ」と感情的になると、親子間の信頼関係が損なわれる可能性があります。逆に、この違いを理解し、子どもの認識の枠組みに合わせて言葉を選び直すことで、伝わる確率を大きく高めることができるのです。

伝わるためのヒント

言葉がそのまま伝わらないという現実を踏まえた上で、親御さんが意識すべきことがあります。それは、具体的でシンプルな言葉を使い、子どもの認識の枠組みを少しずつ広げていくことです。たとえば、「明日の準備をしなさい」と言うのではなく、「宿題が終わっているか確認してみよう」「明日の授業で使う教科書はカバンに入れた?」といったように、具体的な行動を一つずつ確認する形に変えるだけで、子どもが受け取る情報は大きく変わります。

また、子どもが「準備ができている」という答えを返したときには、「どんな準備をしたのか教えてくれる?」と尋ねることで、子どもの認識を明確にすることができます。このように、具体的で丁寧なコミュニケーションを心がけることが、親の言葉を伝える第一歩となるのです。


理由2:情報の優先順位が違うという現実

親御さんが「重要だから聞きなさい」と一生懸命に伝えているにもかかわらず、子どもはその瞬間にスマホや漫画、ゲームに夢中になっていてまるで話を聞いていない。こんな場面は、多くの家庭で日常的に見られる光景ではないでしょうか。このとき、親御さんは「どうしてこんなに大事な話をスルーできるの?」と感じるかもしれませんが、子どもにとってはその瞬間に夢中になっていることが、親の言葉よりも重要だと感じられているのです。

子どもの優先順位を理解する

なぜ子どもは、親の言葉よりも目の前の楽しみに没頭してしまうのでしょうか?この背後には、子どもの脳の発達段階が関係しています。特に思春期の子どもたちの脳は、感情や欲求を司る部分が非常に活発に働いています。これは、目の前の楽しいことや関心を引くものに対して非常に敏感であることを意味します。反対に、理性や長期的な視点で物事を考える力はまだ未熟なため、「今が楽しければいい」という考え方に引っ張られやすくなります。

たとえば、親が「今のうちに勉強しておけば、将来いい大学に行けるよ」と伝えても、子どもにとって「将来」という概念があまり現実味を帯びていない場合、そのアドバイスはほとんど意味を持たないのです。それよりも、今手にしているスマホゲームや友達とのLINEのほうが、圧倒的に現実的で魅力的に感じられるのです。

親の言葉を優先順位に組み込む工夫

子どもが目の前のことに夢中になり、親の言葉が届かないのは、彼らにとってその言葉が「現時点での優先順位の低い情報」として扱われているからです。この場合、単に大きな声で繰り返したり、子どもが気に入らないことを禁止したりしても、根本的な解決にはなりません。むしろ、親の言葉が「叱責」や「圧力」として認識され、子どもの中でさらに拒絶感を高めてしまうこともあります。

では、どうすれば親の言葉を子どもの優先順位の中に組み込むことができるのでしょうか?その鍵は、「親の言葉を子どもの世界とつなげること」にあります。

たとえば、親が「宿題をやりなさい」と伝えるとき、ただ命令するのではなく、「宿題が終わったら一緒にゲームをしよう」「終わったら夕飯にあなたの好きなデザートを出すね」といった具体的な動機付けを加えることで、子どもの中で宿題の優先順位を上げる工夫ができます。このように、子どもが自然と「やってみよう」と思える状況を作ることが重要です。

叱責よりも共感を優先する

不登校や引きこもりの子どもたちは、そもそもストレスや不安感を抱え、心が疲弊している場合が多いです。そのような状況で親から「なんでやらないの?」「ちゃんと聞きなさい!」と叱られると、子どもはますます心を閉ざし、言葉が届きにくくなります。

ここで大切なのは、まず共感を示すことです。たとえば、子どもが宿題をやらない場合、「どうしてやらないの?」と詰め寄るのではなく、「今日は宿題をやるのがしんどいのかな?」と子どもの気持ちを理解しようとする姿勢を見せることが大切です。こうすることで、子どもは親の言葉を「自分を責めるもの」としてではなく、「自分を理解しようとしているもの」として受け取りやすくなります。

遊びの時間を活用した伝え方

また、親子で一緒に楽しめる時間を増やすことも効果的です。たとえば、ゲームや散歩、料理など、子どもが好きな活動を通じて自然にコミュニケーションを取ることで、親の言葉が「強制的な指示」ではなく「信頼できるアドバイス」として受け入れられやすくなります。

ある不登校の子どもとその親のケースを紹介しましょう。この親御さんは、子どもが学校に行かないことで最初は毎日叱っていました。しかし、親が態度を改め、子どもと一緒に好きなアニメを観たり、料理をする時間を増やした結果、子どもとの関係が改善し、少しずつ学校の話題も受け入れられるようになりました。このように、信頼関係を築くための「一緒に楽しむ時間」は、親の言葉が伝わるための土台になるのです。


理由3:子どもは「自分の世界」に閉じこもる

親の言葉が伝わらない理由の中で、最も厄介なのが「子どもが自分の世界に閉じこもってしまう」状況です。特に不登校や引きこもりの子どもたちは、自分にとって安心できる世界の中で心を守り、外界との接触を避けようとする傾向があります。この「自分の世界」の中にいる子どもたちに言葉を届けるには、単純なコミュニケーションでは足りません。子どもがどのようにしてその世界に閉じこもるようになったのかを理解し、そこに寄り添いながらアプローチする必要があります。

なぜ「自分の世界」に閉じこもるのか?

子どもが自分の世界に閉じこもる理由はさまざまです。学校でのいじめや友人関係のトラブル、学業のプレッシャー、あるいは親とのコミュニケーション不足が原因となることが多いです。このような問題が重なると、子どもは次第に「どうせ自分なんて」と自分を否定する思考に陥り、現実から目を背けるようになります。

特に不登校の子どもたちは、学校という「現実の社会」に直面することが大きな負担となっている場合が多いです。親としては「学校に行きなさい」「友達ともっと話しなさい」と伝えたくなるものですが、そうした言葉は子どもにとって「安全な自分の世界」を脅かすものとして受け取られてしまいます。その結果、親の言葉をさらに拒絶し、ますます自分の世界に閉じこもってしまうのです。

子どもの世界に「入り込む」ために

子どもが自分の世界に閉じこもっている場合、親がその世界の外から言葉をかけても届きにくいことが多いです。ここで重要なのは、親が子どもの世界に「入り込む」ことです。子どもの趣味や興味に寄り添い、それを通じてコミュニケーションを図ることで、徐々に外の世界とのつながりを作っていくのです。

たとえば、子どもがゲームに夢中になっている場合、親がそのゲームの内容を理解し、一緒にプレイすることで会話のきっかけを作ることができます。あるいは、子どもが好きなアニメや漫画について話を聞くことで、「親が自分の世界を理解しようとしてくれている」と感じることができます。このように、親が子どもの世界を受け入れる姿勢を見せることが、次のステップへの足掛かりとなるのです。

小さな成功体験を積み重ねる

自分の世界に閉じこもる子どもたちは、外の世界に対して強い不安感を抱いています。この不安を軽減するためには、小さな成功体験を積み重ねることが効果的です。たとえば、「今日は一緒に学校の近くまで散歩してみない?」といった簡単な提案を通じて、子どもが少しずつ外の世界に触れる機会を作ることができます。

また、子どもが「できた!」と実感できる瞬間を意識的に作ることも重要です。親が一方的にアドバイスするのではなく、「これができたら一緒にお祝いしよう」という形で達成感を共有することで、子どもが外の世界への興味を持つきっかけを与えられます。

自分の世界から抜け出すには時間が必要

最後に強調したいのは、子どもが自分の世界から抜け出すには、必ず時間が必要だということです。親として焦る気持ちは理解できますが、無理に引っ張り出そうとすればするほど、子どもはその世界にしがみつくようになってしまいます。

大切なのは、親が「子どもは必ず変わることができる」という信念を持ち続けることです。そして、子どものペースを尊重しながら、少しずつ外の世界への橋渡しをしていくことが、長期的な解決への道筋となるのです。


親の心構えが「伝える力」を変える

ここまで、子どもに言葉が伝わらない理由と、その背後にあるスキーマや優先順位の違い、自分の世界に閉じこもる心理について解説してきました。しかし、子どもに言葉を届けるために最も大切な要素は、実は「親自身の心構え」です。親の姿勢や考え方が変わることで、同じ言葉であってもその伝わり方が大きく変わるのです。

親として、子どもの未来を案じ、なんとかして良い方向に導こうとすることは当然のことです。しかし、焦りや不安が前面に出ると、その気持ちが言葉に表れ、かえって子どもを追い詰めてしまうことがあります。ここでは、親の心構えを整えるための具体的な方法について考えていきます。

「すぐに伝わる」ことを期待しない

親が言葉を伝える際によく陥りがちな誤解の一つが、「言葉はすぐに伝わるべきだ」という考えです。しかし、子どもが不登校や引きこもりの状態にある場合、その状況に至るまでにさまざまな心の葛藤や問題が積み重なっています。したがって、一度の声かけや説得で状況が変わることを期待するのは現実的ではありません。

ある親御さんの例を挙げます。このお母さんは、不登校になった中学生の息子に対し、「学校に行くことが大事なんだ」と繰り返し説得を試みました。しかし、息子は頑なに耳を塞ぎ、話を聞こうとしませんでした。その後、カウンセリングを通じて、お母さんは「伝わるには時間がかかる」ということを理解し、声かけを少しずつ柔らかいものに変えていきました。結果として、息子は少しずつ心を開き、最終的には親子で学校復帰への道を話し合えるようになったのです。

親の言葉がすぐに伝わらないことは、決して親としての努力が足りないという意味ではありません。むしろ、言葉が届くためには、子どもがその言葉を受け入れる準備が整う時間を待つことが重要です。「時間をかけていい」という意識を持つことが、親自身の心の余裕にもつながるのです。

子どもの視点に立つ努力をする

親の立場から見ると、「なぜこんな簡単なことがわからないの?」と思う場面も少なくないでしょう。しかし、ここで一度、子どもの視点に立って物事を考えてみることが大切です。子どもにとって、親からの言葉がどのように聞こえているのか、どのように感じられているのかを想像してみてください。

たとえば、親が「学校に行くことは将来のために必要だ」と伝える場合、その言葉は親の立場から見れば当然のことです。しかし、学校生活で傷ついた経験を持つ子どもにとっては、「その言葉がまた自分を苦しい場所に戻そうとしている」と感じられるかもしれません。このズレを意識しないまま言葉を重ねると、子どもは「親は自分の気持ちを理解していない」と感じ、ますます距離を取ろうとするでしょう。

ここで大切なのは、「自分が子どもの立場だったらどう感じるか」を意識することです。そして、子どもの感じ方に寄り添いながら、「一緒に考えよう」「どうしたら少しでも楽になる?」といった言葉をかけることで、子どもが安心して心を開けるようになります。

「親が変わる」姿を見せる

子どもにとって、親は最も身近な存在であり、同時に「自分をどう見ているのか」を知るための大きな鏡でもあります。そのため、親自身が変わる姿を見せることが、子どもにとって大きな影響を与えます。

たとえば、親が日々イライラしていたり、感情的になりやすい状況にある場合、子どもはその姿を見て「自分のせいで親がこんなに苦しんでいる」と罪悪感を抱くことがあります。一方で、親が落ち着いており、子どもと向き合う時間を大切にしている姿を見せると、子どもは「自分がどんな状況でも親は自分を受け入れてくれる」と感じられるようになります。

また、親が趣味や楽しみを見つけ、笑顔で過ごす姿を見せることも重要です。不登校や引きこもりの子どもを持つ親は、子どもに対する心配や責任感から自分自身を追い詰めがちです。しかし、親が「自分を大切にする」ことを実践している姿を見せることで、子どもも「自分を大切にしていいんだ」と感じられるようになります。

失敗を恐れない心の余裕を持つ

最後に、親の心構えとして最も大切なのは、「失敗してもいい」という心の余裕を持つことです。不登校や引きこもりの解決には、必ず試行錯誤が伴います。親として一生懸命に取り組んでも、思ったような結果が出ないことも多いでしょう。しかし、それは失敗ではなく、改善への一歩なのです。

たとえば、ある親御さんが、子どもとのコミュニケーションを改善するために毎晩声をかけ続けていましたが、子どもはなかなか反応を示しませんでした。それでも親御さんはあきらめず、別のタイミングや方法で声をかけることを試しました。最終的に、子どもが「親が自分を見捨てずに向き合い続けてくれる」という安心感を得たことで、少しずつ前向きな行動が見られるようになったのです。

親としての努力は、たとえ結果がすぐに見えなくても、必ず子どもに影響を与えています。「失敗してもいい」「またやり直せばいい」と考えることで、親自身も無理なく向き合い続けることができるでしょう。


親子で共に進む道を作る

親の言葉が子どもに伝わるためには、子どものスキーマや心理状態を理解し、共感をもって接することが不可欠です。しかし、何よりも重要なのは、親自身が心の余裕を持ち、子どもの成長を信じながら向き合う姿勢です。

「伝わらない」という現象は、決して親としての失敗ではありません。それは、子どもが自分なりのペースで物事を考え、成長している証でもあります。親子で一歩ずつ進む道を共に作りながら、言葉を通じて信頼関係を深めていきましょう。その先に、親の思いがしっかりと届き、子どもが自分の未来に向けて歩み出す瞬間がきっと訪れるはずです。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

親子に寄り添う支援で、年間1,000名以上の再登校をサポート。国内カウンセラーが最も推奨する不登校支援サービスはToCo(トーコ)です。

不登校は、つらい

不登校はつらいことのイメージ

目次


不登校。それは、親にとっても子どもにとっても、日常を大きく揺るがす出来事です。「学校に行けなくなった」という事実に直面すると、多くの親御さんは動揺し、心のどこかで「どうしてこんなことに」と自問自答を繰り返すのではないでしょうか。特に母親である方々は、その責任感の強さから、「自分の育て方が悪かったのではないか」と自分を責めることが多いと感じます。

周囲の人からは「学校くらい行かせたらいいのに」「甘やかし過ぎなんじゃないの」といった無責任な言葉を投げかけられることもあるかもしれません。けれども、そういった表面的な理解のない言葉は、かえって親御さんの心を深く傷つけ、孤立感を増幅させるものです。

私は、これまで不登校や引きこもりの相談を専門に扱ってきた児童心理カウンセラーとして、数多くの親御さんとお話しし、子どもたちと向き合ってきました。その経験から、不登校という現象が単純な問題ではないことを痛感しています。そして、不登校のつらさは、一歩引いて「社会の問題」として見ることで、少しずつ明確な解決の糸口が見えてくることをお伝えしたいと思っています。

本稿では、不登校がもたらす親御さんの苦しみとその本質に触れながら、「つらい」と感じることを否定せず、次のステップに進むための道筋を示していきます。

参考:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書


①「脱落者のように見える子ども」という苦しみ

不登校の子どもを持つ親御さんの中には、無意識のうちに「わが子が社会から脱落してしまったのではないか」と感じる方も多いのではないでしょうか。周囲の子どもたちが当たり前のように学校に通い、部活動や習い事を楽しむ姿を見るたびに、胸を締めつけられる思いを抱えている方もいらっしゃるでしょう。

特に日本社会では、「学校に行くことが子どもの仕事」とされる考え方が根強くあります。そのため、学校に通えなくなった子どもは、「ルールから外れた存在」として見られがちです。親御さん自身も、どこかで「学校に行かせられない自分の責任」と感じ、世間からの目を過剰に気にすることがあります。

しかし、ここで考えたいのは、果たして学校に通うことだけが子どもにとっての一つの正解なのでしょうか。年間30万人以上の子どもが不登校になる現代の日本では、学校というシステムがすべての子どもに適応していないという現実があります。それは子ども個人の能力や性格に問題があるのではなく、むしろ現代の学校が、多様な子どもたちに対応しきれていない「構造的な問題」だと言えます。

「脱落者」というラベルを貼ることは、子どもの未来を狭めてしまうだけです。学校以外の環境や学び方、成長の仕方は無数に存在します。学校に戻ることを目標にするにしても、「学校が唯一の道」と思ってしまうことは強迫観念や子どもへのプレッシャーに繋がる恐れがあります。

ただし、学校が現在の日本の中では最も効率的で経済的な教育の場であることは事実です。矛盾しているようですが、フリースクールなどの安易な言葉に飛びつくことは、必ずしも最適な道とは限りません。

②「親の教育不足」と見られる苦しみ

不登校を経験すると、多くの親御さんが「自分の育て方が悪かったのではないか」と責められるような感覚にとらわれます。友人や親戚、学校の先生、時には近所の人たちからも、「どうして学校に行かないの?」と聞かれることもあります。その言葉に直接的な悪意がなかったとしても、それを耳にするたびに、親としての自信を削り取られるような気持ちになるものです。

特に母親に向けられる「教育不足」という視線は、非常に根強いものがあります。「もっと厳しく育てるべきだったのかもしれない」「自分の甘さが子どもをこうさせたのではないか」という思いが頭をよぎることは、決して珍しいことではありません。しかし、この考え方こそが、親御さんを精神的に追い詰め、不登校の解決をより困難にしてしまう要因の一つなのです。

ここで知っていただきたいのは、不登校が家庭の教育方針だけで決まるものではないということです。学校での人間関係、学習内容の過密さ、社会のストレスなど、子どもを取り巻く環境は非常に複雑です。不登校を引き起こす原因は、一つではなく、多くの場合、さまざまな要因が絡み合っています。

不登校の原因を解き明かすためには、親御さん自身が「教育不足」という枠組みから解放される必要があります。不登校は、特定の親の失敗ではなく、現代社会の課題そのものなのです。そのため、親御さんがまず自分を責めることをやめ、冷静な視点で問題を捉えることが、不登校克服の第一歩となります。

③「生活が子どもで占められる」という現実

不登校になると、子どもが学校に通っている時間に当たり前のようにできていたことが、すべて変わります。仕事をしている親御さんは、出勤時間の調整や在宅勤務への切り替えを迫られることもあるでしょう。専業主婦の方でも、子どもの不登校が家事やプライベートな時間に大きな影響を与えることは避けられません。

さらに、子どもが落ち込んでいるときには、どのように接して良いのか分からず、家全体の雰囲気が重苦しくなりがちです。子どもの気持ちを考えすぎるあまり、親御さん自身も精神的に疲弊してしまうことが少なくありません。「もうどうしていいか分からない」という状態に陥る方も多いのが実情です。

このような状況で、親御さんが自分の生活や感情をすべて子どもに合わせることは、必ずしも良い結果を生むとは限りません。むしろ、親が自分の生活を犠牲にし続けることで、かえって家庭全体のバランスが崩れてしまう場合もあります。子どもも、親の疲れた顔を見るたびに罪悪感を感じ、さらに心を閉ざしてしまう可能性があります。

このようなときに大切なのは、親御さん自身が心と生活の余裕を取り戻すことです。信頼できる家族や友人に相談する、カウンセリングを受ける、時には短時間でも一人の時間を作るなど、親自身が自分のケアを怠らないことが重要です。「親もつらい」という気持ちを周囲に認めてもらいながら、少しずつ問題に向き合うためのエネルギーを蓄えていくことが必要なのです。


つらさを認めたうえで、動き出す

ここまで、不登校の家庭が抱えるさまざまなつらさについてお話ししてきました。外から見えにくいこれらの苦しみを軽視することなく、まずは「つらいものだ」と認めることが大切です。周囲からの無責任な言葉に耳を貸さず、自分の感情を否定しないでください。

しかし、不登校の現実に向き合うとき、ただ嘆くだけでは何も変わりません。1週間、1ヶ月、1年と時間が過ぎる中で、状況が少しずつ悪化してしまうケースも少なくありません。そのため、つらさを受け入れたうえで、親子で一緒に少しずつ動き出すことが重要です。

たとえば、子どもが学校に通うことを最終目標とするのではなく、「どんな環境なら安心して過ごせるのか」を一緒に考えてみることが効果的です。フリースクールやオンライン学習など、選択肢を広げることで、子ども自身も「自分にはまだ道がある」と感じられるようになります。

また、学校側との話し合いも欠かせません。担任の先生やスクールカウンセラーと連携しながら、子どもの状態に合わせた対応を模索していくことが、長期的な解決につながります。

不登校は、決して簡単に解決できる問題ではありません。しかし、親御さんが自分を責めるのをやめ、周囲の支援を受け入れながら、子どもの個性に合った解決策を模索していくことで、少しずつ前進していくことができます。

「つらい」という感情を否定せず、そのうえで、親子で新しい道を歩む決意を持つ。それが、不登校という試練を乗り越えるための大切な一歩です。


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自閉症と診断された子どもへの不登校対策とは?

自閉症と診断された子どもに向けた不登校対策の見出し

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自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された子どもたちは、その独特な感性や考え方ゆえに、学校生活において困難を抱えることが少なくありません。その結果、不登校という形でその困難が表面化することがあります。しかし、不登校は単なる「学校に行きたくない」という一言で片付けられるものではありません。その背後には、本人が抱える深い不安、自己肯定感の低下、さらには環境とのミスマッチが潜んでいます。

私は児童心理カウンセラーとして、これまで多くの不登校の子どもたちと向き合ってきました。その中で感じるのは、ただ「見守るだけ」では、子どもが抱える問題の根本に気づかないまま、時間だけが過ぎてしまうこともあるということです。特に自閉症の特性を持つ子どもたちの場合、その特性に応じた適切なアプローチが不可欠です。
本稿では、自閉症と診断された子どもが不登校に陥った場合に、親ができること、そして環境として提供できるサポートについて具体的に述べていきます。

参考:文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引

自閉症の特性が学校生活に与える影響

自閉症スペクトラム障害の特性は、社会性の発達の違い、コミュニケーションの苦手さ、そして感覚過敏や興味の偏りなど、多岐にわたります。これらの特性は、学校という集団生活において顕著に影響を及ぼします。

例えば、授業中に周囲の子どもたちが笑い合う声や教室に響くざわめきが、耳を覆いたくなるほどのストレスを引き起こすことがあります。さらに、教員や友人とのコミュニケーションにおいて、表情やニュアンスを読み取ることが難しい場合、誤解される場面も少なくありません。こうした日々のストレスや挫折感が積み重なった結果、「もう学校に行きたくない」と子ども自身が心を閉ざしてしまうのです。

特に、小学生や中学生という多感な時期には、周囲からの評価や仲間意識が重要な意味を持ちます。しかし、自閉症の特性を持つ子どもたちは、自分をうまく表現できず、その結果「変わった子」「空気が読めない子」として距離を置かれてしまうこともあります。親としては、こうした子どもの状況を的確に把握し、「何が学校で起こっているのか」を一緒に探る必要があります。

親が最初にすべきこと:「見守る」から「理解する」へ

不登校に陥った子どもを前に、多くの親御さんが最初に抱く感情は、驚きや混乱です。そして、「子どもを信じて、学校に行けるようになるまで見守ろう」と思う方も多いでしょう。しかし、不登校が始まったばかりの段階で、ただ見守るだけでは状況が悪化することがあります。

自閉症の特性を持つ子どもたちは、自分の気持ちを言葉にするのが得意ではありません。そのため、不登校という行動の裏に隠された原因を言語化することが難しいのです。このとき、親が「ただ待つ」のではなく、「なぜこの子は学校に行きたくないのか」を具体的に考える姿勢を持つことが重要です。

例えば、子どもの口から「友達が怖い」といった言葉が出た場合、それを表面的な問題として捉えず、深掘りして考える必要があります。「友達が怖い」という言葉の裏には、次のような理由が隠れていることがあります。

  • 過去に些細なことでからかわれた経験がトラウマになっている。
  • 友達と会話する際に、適切なタイミングで話を切り出せず、孤立感を感じている。
  • そもそも友達の言葉の意味を正確に理解できず、誤解が生じている。

こうした理由を特定することで、適切な支援策を講じることが可能になります。

学校との連携:情報共有と環境調整の重要性

自閉症の特性を持つ子どもが不登校になった場合、学校との密な連携が欠かせません。しかし、ここで一つ強調したいのは、「学校任せ」にしないということです。学校側も、自閉症の特性に関する専門的な知識を十分に持っているとは限らないため、親が積極的に情報を提供し、協力を求める必要があります。

例えば、以下のような情報を学校と共有することで、子どもにとって安心できる環境を整えることができます。

  • 子どもの感覚過敏や特定の状況で感じるストレスについて。
  • 子どもが安心して過ごせるスペースや時間について。
  • コミュニケーションが苦手な場面での適切なサポート方法。

また、学校の環境を調整するために、以下のような工夫が有効です。

  1. リフレッシュルームの活用
     感覚過敏を持つ子どもにとって、休憩できる専用のスペースを設けることは非常に効果的です。こうしたスペースで一定時間リセットできることで、教室に戻るエネルギーが回復します。
  2. 特別支援教室の利用
     場合によっては、特別支援教室で学ぶことで、学習のペースを調整したり、少人数環境で安心感を得られることもあります。
  3. 個別対応プランの作成
     学校側と協力して、子どもにとって無理のないスケジュールや目標を設定することが重要です。

家庭での支援:安心感と挑戦のバランス

家庭は子どもにとって最も安心できる場所であるべきですが、同時に、適度な挑戦を与える場でもあるべきです。ここで重要なのは、「安心感」と「挑戦」のバランスを取ることです。

例えば、不登校が続いている子どもに対して、「次の日曜日に一緒に近所の公園に行こう」というような小さな目標を提案することが考えられます。このような目標を達成することで、子どもが「自分にもできる」という自己肯定感を少しずつ取り戻していくことができます。

また、自閉症の特性を持つ子どもにとっては、日々の生活リズムを整えることも非常に重要です。不規則な生活は、不安感を増幅させ、不登校の状況を悪化させる原因となり得ます。例えば、以下のような工夫を取り入れると良いでしょう。

  • 毎日同じ時間に起床し、食事を摂る習慣を作る。
  • 1日のスケジュールを視覚的に示し、次に何をするのかを明確にする。
  • 不安を感じたときにリラックスできる方法(深呼吸やお気に入りの音楽を聞くなど)を一緒に探す。
子どもとのハグのイメージ

カウンセリングの活用:第三者の視点からのアプローチ

最後に、不登校が長期化している場合や、親子だけでは解決が難しいと感じた場合には、カウンセリングを活用することをお勧めします。カウンセラーは、第三者の視点から問題を整理し、子どもや親にとっての適切な解決策を提案します。

カウンセリングの中では、子どもが自分の感情を表現しやすい方法(絵や言葉、行動など)を用いることができます。また、親自身が抱える不安や葛藤についても話すことができ、子どもとの向き合い方を見直すきっかけになることもあります。

おわりに

自閉症と診断された子どもが不登校になる背景には、多くの要因が絡み合っています。その中で、親が子どもの特性を理解し、適切な環境を整えることが、最も重要な第一歩です。そして、そのプロセスにおいては、「ただ見守る」だけではなく、積極的に動き出す勇気が求められます。

不登校という状況はつらい状況ですが、それをきっかけに子どもの特性や本質を深く知ることで、親子関係がより強固なものになる可能性も秘めています。一緒に解決策を見つけていくことで、子どもにとって安心できる未来を築いていく可能性を諦めないでください。


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不登校になった子どもへの具体的な声のかけ方とは?

不登校になった子どもへの具体的な声のかけ方

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はじめに:不登校を「親としてどう向き合うか」

「うちの子、学校に行かなくなったんです。」
こう語り始める親御さんの声を、私はこれまで何度も耳にしてきました。その声には、不安や焦り、そしてどこか自分を責めるような響きが含まれています。しかし、子どもが不登校になる背景には必ずしも単純な理由だけがあるわけではありません。そしてその解決も、単純な「これをすればいい」というものではないのです。

私たちの提供する「ToCo」のサービスでは、「不登校の子どもが抱える本当の理由を掘り下げること」から始めます。ここで大切なのは、親がその理由を知り、それに適切に向き合う姿勢を持つことです。「学校に行かなくてもいい」とただ見守るだけでは、多くの場合、不登校が長期化してしまいます。一方で、急かしたり、強引に解決しようとするアプローチも子どもを追い詰める結果となります。

本稿では、不登校になった子どもへの具体的な声のかけ方について、心理カウンセラーとしての視点を交えてお話しします。「どんな言葉をかけたらいいのか」「どんな対応が子どもにとって助けになるのか」という具体的なヒントを見つけていただければ幸いです。

参考:文部科学省「不登校になった児童生徒に対しては


1. 「不登校は子どものサイン」:見えている現象の裏側に目を向ける

不登校は、子どもが自分の内面で何かに苦しんでいるサインです。それが明確に表れる形として「学校に行きたくない」があります。ですが、親御さんにとってこの状況は非常にわかりにくいことがあります。例えば、子どもが「学校が嫌い」と言ったとしても、それが人間関係の問題なのか、勉強のプレッシャーなのか、はたまた家庭内の何かが影響しているのか、一筋縄ではいかないことが多いのです。

「どうして行きたくないの?」は禁句

「どうして学校に行きたくないの?」と聞きたくなる気持ちは、とてもよくわかります。しかし、この問いかけは、子どもにとって重荷になりやすいものです。「どうして」と問われることで、子どもは理由を説明しなければならないと感じます。ですが、本人もその理由を整理できていないことがほとんどです。さらに、親が答えを求める姿勢は、子どもに「説明できない自分はおかしい」という自己否定感を生むことさえあります。

ここでのポイントは、子どもの「行きたくない」という言葉を否定せずに受け止めることです。

会話例1:「行きたくないんだね」と受け止める

子ども:「学校行きたくない。」
親:「そうなんだね、行きたくないんだね。」
子ども:「うん…。」
親:「どんな感じなのか、少しだけ教えてもらえたら嬉しいな。でも話したくなかったらそれでも大丈夫だよ。」

このように「受け止める」「無理に聞き出そうとしない」ことで、子どもが少しずつ心を開ける状態を作り出します。


2. 子どもの「心の声」を見逃さない

不登校に至る子どもたちの心の中には、さまざまな葛藤があります。それをすべて言葉で表現するのは難しいため、親としては子どもの行動や表情、態度から「心の声」を読み取ることが求められます。

表面だけを見ると逆効果になる場合も

例えば、子どもが毎日ゲームをしていたり、YouTubeを見続けているとき、親は「怠けている」「好き勝手している」と感じるかもしれません。ですが、その背景には「現実から逃げたい」「自分を守るために何かに没頭している」という心情が隠れていることが多いです。

会話例2:無関心ではなく、優しい観察を

子どもがゲームに夢中になっている。
親:「今のゲーム、すごく面白そうだね。どんなところが楽しいの?」
子ども:「これ、ストーリーがすごいんだよ。」
親:「そうなんだ。どんな話か教えてくれる?」
子ども:「うん、これはね…」

このように、子どもの興味を否定せず、共感を持って接することで「自分は受け入れられている」という安心感を育むことができます。


3. 「否定」よりも「共感」でつなぐ

親は時に、子どもの言動を否定したくなることがあります。「学校に行かないなんて、ダメだ」「ちゃんと頑張らないと」といった言葉は、親自身の焦りや不安から生まれます。ですが、これらの言葉は子どもにとって大きなダメージを与える可能性があります。

子どもを「丸ごと受け入れる」姿勢

不登校の子どもたちは、自分を責めている場合が多いです。「行けない自分はダメだ」と思い込んでいることも少なくありません。そんなとき、親が子どもを否定する言葉をかけると、子どもの自己否定感をさらに強める結果となります。

会話例3:共感しながら希望を伝える

子ども:「どうせ学校行っても無理だし。」
親:「そう思っているんだね。無理だって感じてるの、すごく辛いよね。」
子ども:「うん…。」
親:「でもね、お母さんは、あなたには無理じゃない時が来るって信じてるよ。今はちょっと休んでもいいけど、一緒に少しずつ考えていこうね。」


4. 「具体的な小さな一歩」を一緒に考える

不登校の解決には、「具体的な小さな一歩」を踏み出すことが重要です。いきなり「明日から学校に行こう」と言うのではなく、「今日は1時間だけ登校してみる」「学校の近くを一緒に歩いてみる」といった小さなステップを提案することで、子どもが挑戦しやすくなります。


会話例4:選択肢を提案する

子ども:「学校なんてもう嫌だ。」
親:「そう感じるんだね。今すぐ行けなくてもいいけど、ちょっとだけ学校の近くまで行ってみるとか、一緒にやってみない?」
子ども:「うーん、ちょっとだけなら…。」
親:「ありがとう。一緒に頑張ってみようね。」


5. 「待つ」ことと「進む」ことのバランス

不登校の子どもへの対応で重要なのは、「待つこと」と「進むこと」のバランスを取ることです。「いつか子どもは自分で立ち直る」と信じて完全に放任するのは危険ですが、一方で親が焦って無理に解決を急ぐと、子どもの心にさらなる負担をかけてしまいます。このバランス感覚を保つためには、親自身が冷静さを失わないことが不可欠です。

「待つ」ことの意味

「待つ」というのは、子どものペースを尊重することです。子どもが自分の感情を整理し、自分なりのペースで前を向けるようにするには、十分な時間が必要です。「学校に行きたくない」と言っている子どもに対し、親がすぐに結論を急いでしまうと、子どもはますます壁を感じてしまいます。

会話例5-1:安心感を伝えつつ見守る

子ども:「もう学校のことは考えたくない。」
親:「そう感じるんだね。今は無理しないで、学校のことを考えない時間を作るのも大事だよ。お母さんは、あなたがどんなペースでも応援しているからね。」
子ども:「うん…。」

子どもが何も話さなかったり、素っ気ない態度を取ったとしても、親が根気強く同じ姿勢を貫くことで、子どもは「話しても大丈夫なんだ」と感じるようになります。

「進む」ことの意味

一方で、ただ「待つ」だけではなく、小さな一歩を促すことも大切です。不登校の原因がどんなものであれ、最終的には社会との接点を回復することが目標となります。そのためには、適切なタイミングで子どもを促し、小さな挑戦を後押しする必要があります。

会話例5-2:進む選択肢を一緒に考える

子ども:「学校なんてもう行かなくてもいいよね?」
親:「そう感じているんだね。でもね、学校だけが選択肢じゃないけど、少しずつ何かに挑戦することは大事だと思うんだ。一緒に何ができるか考えてみようか?」


6. 不登校の背景にある「心の声」を掘り下げる

子どもが不登校になる背景には、いくつもの要因が絡み合っています。それを解きほぐすためには、「心の声」に耳を傾ける姿勢が必要です。ここで大切なのは、「親の価値観」ではなく、「子どもの価値観」を理解することです。

心の声を探るポイント

  1. 子どもの行動に隠されたメッセージ
     子どもの言動には必ず理由があります。例えば、急に食欲がなくなったり、反対に過剰に食べるようになった場合、それはストレスの表れかもしれません。
  2. 子どもの趣味や興味に目を向ける
     不登校中に子どもが夢中になることは、心の支えである場合が多いです。それを否定するのではなく、理解しようとする姿勢が大切です。
  3. 家庭内での雰囲気を見直す
     家庭の中で安心感を持てているかどうかも重要です。親の喧嘩や過剰な期待が、知らず知らずのうちに子どもに影響を与えていることもあります。

会話例6:心の声を探る問いかけ

子ども:「何もしたくない。」
親:「そうなんだね。何もしたくないときって、どんな気持ちになる?」
子ども:「うーん…。なんか、ずっとモヤモヤしてる感じ。」
親:「そうか、モヤモヤしてるんだね。その感じ、もう少しだけ教えてもらってもいいかな?」

このように、子どもの言葉を否定せず、さらに掘り下げて聞くことで、子ども自身が自分の気持ちを整理するきっかけを作ることができます。


7. 親自身のケアも忘れない

子どもが不登校になると、親自身も多大なストレスを抱えるものです。「自分の育て方が悪かったのでは」「どうしたら解決できるのか」と悩み、精神的に追い詰められることがあります。ですが、親が心身ともに疲れてしまっては、子どもを支えることは難しくなります。

親ができるセルフケアのポイント

  1. 一人で悩まない
     信頼できる第三者や専門家に相談することは、心の負担を軽くします。
  2. 自分を責めない
     不登校は誰のせいでもありません。親自身を責める気持ちは、結果的に子どもにも伝わってしまいます。
  3. リラックスできる時間を作る
     趣味や散歩など、自分をリフレッシュさせる時間を意識的に持つことで、冷静に子どもに向き合う力が生まれます。

おわりに:未来はいつでも作り直せる

不登校は、子どもと親にとって大きな試練です。しかし、それは子どもが自分の人生を見つめ直し、より良い未来を築くための重要な時間でもあります。親としては、焦らず、寄り添い、そして必要なときには専門家の力を借りながら、一歩ずつ進んでいきましょう。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

親子に寄り添う支援で、年間1,000名以上の再登校をサポート。国内カウンセラーが最も推奨する不登校支援サービスはToCo(トーコ)です。

不登校を引きこもりにしないための5つの工夫とは?

不登校を引きこもりにしないための、家庭で出来る5つの工夫

目次


不登校の子どもを持つ親御さんにとって、その状況は大きな試練です。特に、子どもが家からも出なくなり、いわゆる「引きこもり」状態になることを恐れている方も多いのではないでしょうか。私たちが提供する「ToCo」サービスでも、最初にご相談をいただく際には、「どうすればこの状態を悪化させないで済むのか」といった切実な声をよく耳にします。

私自身、児童心理カウンセラーとしてこれまで数多くのケースを見てきましたが、引きこもりを防ぎ、不登校からの回復を支援するには、子どもの「自尊心」を回復させることが最も重要であると確信しています。ただ待つだけでは、不登校の状態は長引きやすく、子どもにとっても親にとっても辛い日々が続いてしまいます。そこで、今回は家庭で実践できる5つの工夫をお伝えします。どれも特別な準備や環境を必要とせず、今日から始められるものばかりです。

参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について


工夫①「食事を一緒にする」

食卓は、家族が顔を合わせる貴重な場です。特に不登校の子どもにとって、自室に閉じこもる生活が続くと、家族とのつながりすら希薄になりがちです。そのような時こそ、毎日の食事を「一緒にすること」が力を発揮します。

食事には、単なる栄養補給以上の意味があります。目の前に並ぶ食べ物が、子どもの心の壁を少しずつ崩していくことがあるのです。たとえば、子どもが好きな料理を一緒に作ってみるのも良いでしょう。「今日の献立は何がいい?」と尋ねたり、料理を手伝ってもらったりするだけでも、自然な形で会話が生まれます。特に、不登校であることに対するプレッシャーや批判を感じさせずに話しかけることがポイントです。

親が意識すべき点は、子どもを「責める」ような雰囲気を作らないことです。「どうして学校に行かないの?」などの質問は、子どもにとってストレスになります。それよりも、「今日のカレー、おいしくできたね」「このお味噌汁、体が温まるね」といった何気ない会話が、子どもとの関係を温める第一歩になります。

工夫②「手伝いをさせる」

不登校が続くと、子どもは「自分なんて何もできない」という無力感に苛まれることがあります。この気持ちは、引きこもりを引き起こす大きな要因のひとつです。ここで重要なのが、家庭の中での「役割」を与えることです。その最もシンプルな形が「手伝いをさせる」という工夫です。

例えば、食卓の準備や片付け、洗濯物を干すといった簡単な家事をお願いしてみましょう。「お手伝いをしてくれてありがとう」と感謝を伝えることが何より大切です。この小さな行動の積み重ねが、子どもにとって「自分は役に立っている」という感覚を育て、自尊心を回復させる助けになります。

また、「上手にできるかどうか」にはこだわらないでください。たとえ不器用であっても、何かをやろうとする意欲を称賛する姿勢が、子どもの心を動かします。「お皿を洗ってくれたんだね、すごい!」といった言葉がけ一つで、子どもの自己評価は少しずつ上向きになります。

工夫③「一緒に外に出る」

引きこもりの予防において、外の空気を吸うことは非常に効果的です。しかし、「外に出なさい」と命令するだけでは、子どもはますます抵抗感を強めてしまいます。だからこそ、「一緒に外に出る」工夫が必要です。

まずは短時間、身近な場所から始めましょう。例えば、「近くのスーパーに一緒に行こう」といった軽い提案が良いです。このとき、子どもが嫌がった場合には無理強いしないことが肝心です。重要なのは、外出を「楽しさ」と結びつけることです。季節の変化を感じられる公園散歩や、子どもの興味を引く場所を訪れるのも効果的です。

また、子どもが少しでも外出できたら、その努力を褒めてあげてください。「今日は一緒に外に出られて嬉しかった」と感謝を伝えることで、次への意欲が湧いてきます。外に出る習慣がつくと、徐々に社会とのつながりも取り戻すことができます。

参考記事:不登校の子どもが始めやすい外出:一歩ずつ踏み出すためのヒント

工夫④「小さなことを褒める」

子どもが不登校になると、親としてはつい「もっと頑張ってほしい」「学校に戻ってほしい」と大きな期待をかけてしまいがちです。しかし、子どもはそのプレッシャーに耐えられず、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。だからこそ、小さなことでも積極的に褒める習慣を持つことが大切です。

たとえば、子どもが朝起きられたら、「早起きできて偉いね」と声をかける。宿題の1ページでも手を付けたら、「やろうとしたことがすごいね」と称賛する。このような具体的な褒め言葉が、子どもに「できる自分」を意識させ、自信を取り戻すきっかけになります。

注意すべき点は、結果だけを褒めるのではなく、過程に目を向けることです。「最後までやり遂げられなくても、やろうとしたことが素晴らしい」といった声がけが、子どもに安心感を与えます。

工夫⑤「子どもを避けない」

不登校や引きこもりの問題が長引くと、親自身が子どもにどう接すればいいのか分からなくなり、距離を取ってしまうケースがあります。しかし、これが子どもにとっては「自分は愛されていない」という誤解につながり、さらに孤立を深めてしまいます。

「子どもを避けない」とは、積極的に干渉することではありません。むしろ、子どもの存在を受け入れ、穏やかに寄り添う姿勢を持つことです。たとえば、子どもが話しかけてきたら、手を止めて話を聞く。視線を合わせて、「あなたのことを大切に思っている」というメッセージを伝えることが重要です。

また、親自身の感情の安定も大切です。親がイライラしていると、子どもにもその不安定さが伝わり、ますます心を閉ざしてしまいます。適度にリラックスする時間を持ち、自分を労わることも忘れないでください。


工夫狙い必要な行動
食事を一緒にする家族とのつながりを取り戻し、安心感を与える。一緒に食卓を囲み、子どもの好きな料理を作り、自然な会話を心がける。
手伝いをさせる子どもの役立つ感覚を育み、自尊心を回復させる。簡単な家事を依頼し、「ありがとう」「助かったよ」と感謝を伝える。
一緒に外に出る外の空気に触れ、閉じこもりを防ぐきっかけを作る。近所の散歩やスーパーなど、短時間で気軽な外出から始め、楽しさを伝える。
小さなことを褒める小さな成功体験を積み重ね、自己肯定感を高める。行動の結果より過程を重視し、具体的な言葉で子どもの努力を称賛する。
子どもを避けない子どもに愛されている実感を与え、孤立を防ぐ。穏やかに寄り添い、子どもが話しかけてきたら手を止めて耳を傾ける。

結論:子どもの「心の回復」は家庭から

不登校や引きこもりを防ぐための家庭での工夫は、どれも難しいものではありません。ただし、それを継続するには、親の根気と子どもへの深い理解が必要です。子どもの自尊心を少しずつ回復させ、社会とのつながりを取り戻すために、今回ご紹介した5つの方法をぜひ試してみてください。

「ToCo」では、不登校の背景にある原因を共に探り、一人ひとりに合った支援を提案しています。ただ見守るだけでは解決しない問題に対し、親子で前向きな一歩を踏み出すお手伝いをしています。一緒に子どもの未来を切り開いていきましょう。


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不登校の心理状態と共感の大切さ


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初めて不登校を宣告された時、どのような気持ちになったでしょうか。驚き、不安、あるいは怒り、さまざまな感情が頭を巡り、「どうしてわが子が?」と心が混乱するかもしれません。しかし、不登校はけっして特別なことではありません。多くの子どもが抱えるこの問題に、真摯に向き合い、理解し、支えていくために、まずはお母さまが落ち着きを取り戻し、「対話」という一つの方法でお子さんの気持ちに寄り添う準備を始めていただきたいと思います。

不登校のお子さんとどう対話をしていけば良いのか。何を語り、どう受け止めれば良いのか。お子さんが心を閉ざしてしまっている時期に、どうやって扉を開いてもらえるのか。本稿では、「対話」を通じて、不登校のお子さんに寄り添うための考え方と具体的なアプローチについてお話ししていきます。

参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について


第1章:不登校という現象を理解する

まず、不登校とはどういうものなのかを理解することが重要です。不登校は単に「学校に行かない」という行動だけを指すものではなく、子どもの内面に深く根ざした感情や、生活全般にわたる変化を含んでいます。近年では、不登校の原因は一つに限らず、いじめや家庭環境、学校の環境、発達特性、自己肯定感の低下など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることがわかってきています。

子どもが不登校になる理由を一概に決めつけず、「なぜ行かないのか」ではなく、「なぜ行けないのか」と考えることが大切です。不登校には、子どもが自分の内面や周囲の環境に対して真剣に向き合おうとしているサインが含まれています。「学校に行かない」という行動の背後にある子どもの苦悩や葛藤を、お母さまが丁寧に理解することが第一歩となります。

第2章:子どもに寄り添う心の姿勢

不登校のお子さんに寄り添う上で最も重要なのは、「寄り添う姿勢」をお母さま自身が身につけることです。これを理解するには、まず「聞く」ことから始めなければなりません。

不登校の子どもが最も求めているものは、無理に引き戻そうとする「解決」ではなく、自分の気持ちをわかってもらえる「安心感」です。多くの親は、子どもが学校に行けるようにとアドバイスや励ましの言葉を投げかけますが、そうした言葉がかえって子どもを追い詰めてしまう場合も少なくありません。子どもが本当に求めているのは、学校に行かない自分でも愛され、受け入れられるという信頼です。そのためには、まずお母さまが子どもの気持ちに寄り添い、「何も否定せずに聞く」という姿勢を持つことが必要です。

第3章:子どもとの対話の基本 – 聞く力

お母さまにとって、「聞く」という行為は単なる聞き流しではなく、子どもの話をじっくりと受け止め、共感することが求められます。ここで重要なのは、「質問しないこと」です。質問は、どうしても相手に回答を求める形になり、子どもが防御的になりやすい傾向があります。代わりに、相づちや表情、うなずきで子どもが話しやすい空気を作ってあげると良いでしょう。

例えば、子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、すぐに「どうして?」と理由を尋ねるのは避けましょう。「そうなんだね。行きたくないって感じるんだね。」と、相手の言葉をそのまま受け入れるだけで十分です。自分の気持ちを否定されず、受け止めてもらえると感じられると、少しずつ子どもは心を開いてくれるようになります。

第4章:対話のゴールを「共感」に設定する

不登校のお子さんと対話する際、解決を急がず、共感をゴールに設定することが大切です。多くの親は、つい「解決」を目指しがちですが、子どもが今の状況から立ち直るためには、まず自分の感情や思いを誰かに共感してもらうことが必要です。

共感するためには、「感じている気持ちを認める」ことから始めましょう。たとえ学校に行かない理由が曖昧であったとしても、その気持ちをそのまま受け止め、「辛かったんだね」「無理しないでね」といった言葉をかけてあげることで、子どもは自分が理解されていると感じるようになります。理解される経験が増えると、子どもは次第に安心感を持ち、不登校に関しての考え方や感情も柔らかく変化していきます。

第5章:言葉でなく「存在」で支える

不登校の子どもにとって、親がそばにいてくれること自体が大きな支えになります。日常生活の中で、言葉を交わすことに抵抗がある場合も多いため、無理に話しかけようとせず、ただ一緒に過ごす時間を大切にすることが大切です。特に、子どもがリラックスして過ごせる時間帯や場所で一緒に過ごすことで、自然と子どもが心を開きやすくなります。

例えば、一緒に食事をしたり、テレビを見たり、散歩に出かけたりすることで、親子の距離が縮まる場合があります。話しかけなくても、お母さまがそばにいること自体が、子どもにとって「安心」を与える要素となります。

第6章:お母さまの心のケアも忘れずに

不登校の子どもを支えるためには、お母さま自身の心のケアも重要です。不安や焦りが募ると、どうしてもその感情が子どもに伝わり、無意識のうちにプレッシャーをかけてしまうこともあります。自分を追い詰めず、気持ちの整理をするためにも、友人や専門家に相談したり、自分の時間を大切にすることが不可欠です。

第7章:信じる力

最後に、不登校のお子さんに対して必要なのは、「信じる力」です。子どもは親が信じてくれることで自分を信じられるようになります。不登校という状況は確かに不安ですが、お母さまが子どもの成長を信じ、今は休息が必要だと受け入れることで、子どもも安心して自分を見つめ直すことができます。

学校に戻るか戻らないかは結果にすぎません。重要なのは、その過程でお母さまがいかに子どもを信じ、支え、待つことができるかです。この信頼があれば、子どもはやがて自分の道を見つけて歩き出すでしょう。


結論

不登校の子どもとの対話は決して簡単なものではありません。しかし、お母さまが一歩ずつ対話の姿勢を育み、共感と理解を持って寄り添うことで、子どもも安心して自分を開くことができます。不登校はある意味、子どもが成長し、自分の気持ちや考えを整えるための大切な期間です。お母さまが支え、信じることで、子どもはまた自分らしい道を歩み始めることでしょう。お子さまとお母さまが、対話を通じてお互いに理解を深め合い、新たな絆を育んでいけることを心より願っています。

キーワード要点必要な行動
不登校の理解不登校は多くの要因が絡んで生じる。行動だけでなく、子どもの内面の苦悩を理解することが大切。子どもが「行かない」理由ではなく「行けない」理由を丁寧に考え、無理に解決を急がない。
寄り添う姿勢子どもが安心感を持つには、否定せずに気持ちを受け止める「寄り添う姿勢」が重要。子どもの話を遮らず受け入れ、無理に励ますよりも「安心できる存在」であることを意識する。
聞く力聞くことは単なる傾聴ではなく、質問を避け、相づちやうなずきで話しやすい環境を作るのが基本。質問せず、共感の態度で「うんうん」「そうなんだ」と受け止め、子どもが話しやすくなる空気をつくる。
共感をゴールに解決を急がず、子どもの気持ちに共感することが最優先。理解される安心感が成長につながる。「辛かったね」「無理しないで」などの共感の言葉を使い、子どもが安心できる対話を目指す。
存在で支える言葉でなく、そばにいるだけで子どもに安心感を与えることができる。無理に話しかけなくても良い。一緒に食事や散歩などをする時間を増やし、自然と子どもが話せるタイミングを待つ。
お母さまのケアお母さま自身のケアも重要。焦りや不安が子どもに伝わらないよう、心のケアを意識する。周囲や専門家に相談し、自分の心をケアしながら子どもと向き合う余裕を持つ。
信じる力お母さまが子どもを信じることで、子どもも自分を信じられるようになる。子どもの成長を信じることで自立を見守る姿勢を大切にする。

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再登校の鍵は「子ども・親・学校」のリボンモデル


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不登校という問題に直面するご家庭へ

不登校は単なる「学校に行かない」という現象ではありません。そこには家庭環境や学校との関係も深く関わっています。不登校が続くと、子どもがどこにも属していないような疎外感に陥り、将来への不安も強まります。そんな子どもに寄り添いながら、どうにかして学校へと繋ぎ戻してあげたい——私もそうだったので、そう願うの親御様の気持ちは、よくわかります。

しかし、子どもをただ「再登校させたい」と願っても、残念ながら物事は簡単に進みません。不登校の解決は、親と子ども、そして学校という三者がそれぞれの役割を果たしながら進む必要があるからです。この三者の役割を「リボンモデル」として考えることで、再登校への道筋が少しずつ見えてくるのです。

参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について

リボンモデルの基盤: 子ども・親・学校の三つの役割

リボンモデルとは、子ども、親、そして学校がそれぞれ手を繋ぎ合いながら再登校への支援を行う考え方です。三者がしっかりと結ばれることで、子どもが再び学校と関わりを持ち、自ら一歩を踏み出すための足場ができるのです。ここで大切なのは、親が「子どもと学校の橋渡し役」となること。特に不登校の初期段階や子どもが学校に対して恐れや不安を抱えている場合には、親が果たすべき役割が大きくなるのです。

親の役割: 橋渡し役としての重要性

不登校の子どもを支えるうえで、母親が特に重要な役割を果たす場面が多くあります。不登校になっている子どもにとって、親は最も安心できる存在であり、家庭は唯一の安全基地です。しかし、この安全基地があることで、逆に外の世界への挑戦が弱まってしまうこともあります。子どもは家にいることで「自分はこの場所にいればいいんだ」と安心し、次第に学校や社会との関わりを避けてしまうのです。

そこで、母親には、子どもの安心感を守りながらも、少しずつ外の世界へと目を向けさせる役割が求められます。ただし、無理に押し出すような支援は逆効果です。子どもの気持ちを受け入れながらも、学校への橋渡し役となることで、再登校への小さな一歩を踏み出させるきっかけをつくるのです。

子どもと学校を繋ぐ親という役割

「親が橋渡し役になる」というのは、実際にどのような行動を指すのでしょうか?まず大切なのは、学校側が子どもの状況を把握できるよう、親が情報を伝えることです。学校の先生たちは子どもの個別の事情を深く理解しているわけではなく、また、親からの要望や相談がなければ、軽々しく手を出すことができません。そのため、親が学校に対して「今、子どもはどんな状況にあるか」「どんな支援が必要か」を伝えることが必要です。

ここで誤解してはいけないのは、「すべてを学校任せにしてしまう」ことです。不登校になっている子どもは、学校に対してすでに恐怖や不安を抱いていることが多く、何のサポートもなく「行ってみよう」と促されても、心理的なハードルは高いのです。そのため、親が橋渡し役として子どもと学校の間に立ち、必要な助力を整えていくことが不可欠です。

例えば、以下のようなサポートが考えられます。

  • 学校に登校する際の特別な配慮を依頼する
  • 子どもが負担を感じにくいよう、短時間からの登校や一部授業への参加を交渉する
  • 学校内で信頼できる教職員を選び、個別に面談を設ける機会を作る

このように、親が間に立ち、学校に子どもの状況を伝え、必要なサポートを取り付けることで、子どもが安心して学校へ向かえる環境が整います。

親がそっと離れるタイミング

子どもが再登校を果たす準備が整ったならば、次に親が心がけるべきことは「そっと距離を置く」ということです。橋渡し役としてしっかりとリボンを結び、それぞれのサポート体制が整えば、いよいよ子ども自身が学校と向き合う時間がやってきます。

親が過剰に関わり続けると、子どもは自分で問題に向き合う機会を失いがちです。特に小中学生の時期は、自立の一歩を踏み出すための貴重な時間です。この段階で親が一歩引くことは、子どもの成長と自立を促すために重要な役割を果たします。

もちろん、再登校が始まっても、順調にいかない日もあります。そんな時こそ、母親が自分の心を落ち着かせ、見守る姿勢を保つことが大切です。子どもが再び不安に襲われた際に、帰れる場所として家庭が存在していることこそが、子どもにとっての心の支えとなるのです。

学校とのコミュニケーションを大切にする

リボンモデルにおいて、学校もまた重要な存在です。しかし、学校側は家庭内の状況について詳細を知る機会が少なく、どのように対応すればよいか分からないケースも多くあります。そのため、学校に対しても適切な情報共有と依頼が必要です。

例えば、以下のようなポイントで学校と連携を深めることが大切です。

  • 子どもの状況を定期的に伝える
  • 再登校に向けた段階的なプランを共有し、学校からのフィードバックも受ける
  • 子どもの要望や苦手な点について具体的に伝える

こうしたコミュニケーションを通じて、学校側もどのように支援すれば良いかが見えてきます。親が積極的に情報を伝えることで、学校側も子どもの状況を理解し、無理のない形での登校支援が可能になります。


結論: リボンを繋げるのは親だけ

不登校は、親だけでも学校だけでも解決が難しい複雑な問題です。しかし、親が橋渡し役となり、子ども・親・学校の三者が力を合わせることで、少しずつでも再登校への道筋が見えてきます。親が安心感を与え、学校が受け皿となり、子どもが自分のペースで歩き出せる環境を作り上げることが大切です。

リボンモデルによって結ばれた絆は、単なる不登校の解決にとどまらず、子どもの成長と自立、そして将来への基盤となる大切な力を育むことに繋がります。不登校の問題に直面しているからこそ、今一度、家庭と学校の間を結び直し、子どもが自分の道を歩む手助けをしていきましょう。

関連記事:不登校の鍵は愛着障害



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【体験者寄稿】不登校に向き合ったから起業を選べた

ToCo体験者寄稿「不登校に向き合ったから起業を選べた」

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僕が「学校に行きたくない」と言ったのは、中学2年の春だったと思います。朝起きて制服に袖を通そうとしても、学校の門をくぐるイメージが頭に浮かんでこなくて、体が重く感じて、心もどこか冷たくなっていました。親には、どんな言葉で「学校が辛い」と伝えたのか、今でもあまり覚えていません。ただ、何かが限界に達していたのです。

学校を休み始めた頃は、家族にも友達にも心配をかけている自覚がありましたが、どうしても体と心が言うことを聞かなくて、自分ではどうすることもできなかったのです。

不登校になった理由

どうして僕が学校に行けなくなったのか。周りから見ると些細なきっかけに見えたかもしれません。実際、学校で大きな事件が起きたわけでもありません。友達関係にトラブルがあったわけでもないし、いじめもありませんでした。ただ、僕自身が感じていた「孤独感」と「無力感」が少しずつ心を蝕んでいたのです。

クラスでの輪に入れないというか、みんなが楽しそうに話している輪の外にいつも自分がいる気がしていました。自分を偽ってまで、みんなに合わせようとするのも辛くて、結局、少しずつ自分を閉ざしてしまっていたのです。そしてそれが、知らないうちに僕の心を少しずつ追い詰めていきました。

家族の変化

僕が家で一日中過ごすようになってから、最初のうちは家族もどうしていいか分からなかったようでした。親も学校に行ってほしいのは分かっていたけれど、僕がどうして行けないのかが理解できなかったのだと思います。ある日、僕の部屋に入ってきた母が、ポツリと「どうして学校が嫌なの?」と聞いてきました。

でもその時の僕には、その質問に答える気力がありませんでした。自分でも本当に何が辛いのか分からないし、うまく言葉にできない。でも、親がただ「行け」と言うのではなく、僕の気持ちを理解しようとしている姿勢に少し驚いたのを覚えています。その後も母は何度も僕の気持ちを聞いてくれましたが、最初の頃は上手く話せませんでした。

僕が後から聞いた話ですが、この時、母はToCoというサービスに出会ったようです。そしてこのサービスを通して親自身も子どもへの接し方について学び、少しずつ変わっていったのだそうです。ToCoを通じて母がどう学んだのか、どんなことを知ったのかは詳しくはわかりませんが、確かに僕の気持ちを理解しようとしてくれるようになったのはその頃からでした。

ゲームとパソコンに夢中だった日々

不登校になった当初、僕の生活はゲームとパソコンにどっぷり浸かるものでした。現実から逃げるように、一日中画面の中で過ごしていました。親は「またゲームばかり」と心配していたけれど、僕にとってその時間は唯一の居場所でした。学校に行かなくてもゲームの世界では自由で、自分が何者であるかを忘れて夢中になれる場所だったのです。

しかし、だんだんとその生活も虚しさを感じるようになりました。現実から逃げ続けているだけで、何かを成し遂げているわけではない、ただ時間が過ぎていく。毎日同じことを繰り返し、何も変わらない生活に自分が何か大事なものを失っているような気がしたのです。

再登校を考え始めた理由

ゲームとパソコンだけの生活に飽きが来ていた頃、親が僕の気持ちを理解しようとしてくれたことが、少しずつ僕を変え始めていました。今まで僕の気持ちを汲んでくれなかったと感じていた親が、「学校に行く行かないは自由だ」と言ってくれたのです。その言葉に最初は戸惑いましたが、それからは自分の将来について考える時間が増えました。

再登校を選ぶのか、このまま家に居続けるのか、あるいは他にできることがあるのか。迷いが生じる中で、ある日親が僕の進路について一緒に話し合ってくれたことがありました。それまでは話し合うことすら億劫だったのですが、親が僕の選択肢を尊重してくれると感じたことで、自分の未来について真剣に考え始めたのです。

ゲームクリエイターとしての起業を決意

その時に思い浮かんだのが「ゲームクリエイターになること」でした。僕はゲームが好きでしたし、いつか自分でゲームを作りたいという漠然とした夢を持っていました。しかし、不登校で学校に行っていない自分がその夢を実現できるのか、半信半疑でした。

親がその夢を否定せずにいろいろな情報を調べて提供してくれたり、将来の道を一緒に模索してくれたりする中で、僕は少しずつ「自分でも何かできるかもしれない」と思うようになったのです。最初は小さな一歩でしたが、僕は自分の手で小さなゲームを作り始め、気づけばその作業に夢中になっていました。

不登校での経験が活きる場所

僕がゲームクリエイターとしての道を選んだ背景には、不登校での孤独な経験がありました。誰かに寄り添ってもらえない苦しみ、誰にもわかってもらえない孤独。これらの経験は、ゲームを通じて人とつながることの大切さを強く感じさせるものでした。

親が変わってくれたからこそ、自分が置かれていた状況に向き合うことができ、自分にとって本当に必要なことは何かを考え、行動に移す勇気を持てたのです。そしてその結果、ゲームクリエイターとして起業する道を選ぶことができました。

最後に

僕が起業という選択肢を選んだのは、単なる逃げではなかったと振り返っています。不登校に向き合えたからこそ、僕は自分の人生について深く考え、その先に何ができるのかを見つけることができました。再登校も可能な状態まで持ち戻しましたが、その上で別の道を選ぶ選択をしました。もちろんゲームクリエイターとしての道は簡単なものではありませんが挑戦しがいのある未来です。

最後にToCoさん、僕の人生を変えてくれてありがとうございました。母と一緒に感謝しています。



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不登校を「解決」、という言葉の落とし穴とは?

不登校を「解決」、という言葉の落とし穴のイメージ

目次


はじめに:「解決」を求める気持ち

お子さんが不登校になると、多くの親御さんが最初に「どうすれば不登校を解決できるのだろう」と考えるかもしれません。特にこれまでお子さんが学校で順調に過ごしていた場合、「何とかして学校に戻してあげたい」「他の子と同じように通えるようにしてあげたい」と、心が焦るのは当然のことです。子どもが学校に通えない現実を目の当たりにすると、親としては不安で、何か原因を見つけ出し、その原因を取り除くことで解決を目指したくなるものです。

けれども、ここで注意したいのは、「不登校を解決する」という言葉自体が、実は私たちの心に「落とし穴」を作っている可能性があるということです。この「解決」という考えが、結果的にお子さんとの距離を広げてしまったり、お子さんの気持ちを見えなくしてしまうことがあるのです。

参考:文部科学省「不登校への対応について

不登校の「原因」を探る危うさ

不登校が始まると、多くの親御さんはお子さんが不登校になった「原因」を探し始めます。学校のクラスの人間関係か、担任の先生との相性か、あるいは勉強のつまずきなのか――こうした理由を探し出して解決すれば、再び登校できるようになると考えるのも無理はありません。しかし、実は「原因を探して、それを取り除くことで解決する」という考えが、お子さんの気持ちを見失う原因になる場合があります。

不登校の原因は、往々にして一つではありません。小さな要因が重なり合い、気づかぬうちにお子さんの心に負担がかかっていることも多いのです。そして、原因を追究するあまり、お子さんが抱える「今の気持ち」を見過ごしてしまうことがあります。例えば、「クラスの友達と少し話しづらいから学校に行きたくない」という表面的な理由があったとしても、根底には「学校生活全般に疲れてしまった」や「そもそも学校に馴染むことができなかった」など、複雑で根深い感情が隠されていることも多いのです。

「戻す」ことへの執着が生むプレッシャー

不登校になった子どもを学校に「戻す」ことに執着しすぎると、その言葉自体が子どもにとって大きなプレッシャーとなります。「また学校に戻らなければいけない」「他の子と同じように通わないといけない」と感じることで、さらに気持ちが閉ざされてしまうことがあるのです。

お子さんにとって、学校に行くことが苦痛であるにもかかわらず、「普通に通うべきだ」と感じてしまうと、自己嫌悪や無力感に陥ってしまうこともあります。「自分は普通じゃない」「みんなができることが自分にはできない」という思いが重なることで、ますます自信を失い、さらには家の中でも居場所を感じられなくなってしまう場合さえあります。

「解決」という目標が親子の距離を生むことも

不登校になったお子さんを「どうにかして学校に行かせてあげたい」と思う気持ちは自然ですし、親御さんとして当然の愛情でもあります。しかし、この「解決」という目標が前面に立つとき、しばしば親子の間に「距離」が生じてしまうこともあります。

例えば、毎朝「今日は行ける?」「少しだけ頑張ってみよう」と声をかけることは、お子さんにとってプレッシャーを感じさせる可能性があります。「親が自分に学校に行ってほしいと願っているのはわかるけど、それに応えられない自分が情けない」「自分が悪いんだ」と思い込み、罪悪感を抱えてしまうお子さんも少なくありません。また、親の期待が重荷となって、親子の会話がぎこちなくなったり、本音を隠すようになったりすることもあります。

さらに、親御さんが「解決」を目指すことに集中すると、知らず知らずのうちにお子さんが抱えている複雑な感情や不安に目が向きづらくなってしまうことがあります。お子さんは「学校に戻るために努力する」という気持ちよりも、「今は学校に行かない自分の気持ちを理解してほしい」と感じていることが多いものです。

「不登校は悪いこと」という思い込みを見つめ直す

不登校について話すとき、私たちの中にはどこか「学校に行かないことは悪いことだ」「みんなと同じように学校に通うことが正しい」という思い込みが根強くあります。学校という場所は社会の中でのルールや協調性を学ぶ場であり、大切な場所でもあるため、その考え方自体が間違っているわけではありません。しかし、その「正しい」「普通」という考え方に縛られてしまうと、不登校を受け入れることがとても難しくなってしまうのも事実です。

不登校は、何かしらの理由やきっかけで生じる一時的な「状態」であり、「お子さんの人間性の問題」ではありません。むしろ、不登校になっている時期こそ、お子さんが抱える心の課題や内面的な葛藤に目を向ける大切な機会なのです。子どもが「どうしても学校に行けない」と感じているのには、それなりの理由があり、その感情に寄り添いながら理解しようとすることが、親としてできる第一歩ではないでしょうか。

「解決」よりも「変化」を見守る

不登校に対して「解決」という明確なゴールを目指すのではなく、「変化」を見守るという姿勢が時に重要です。不登校は、「行かないこと」にもさまざまな段階や意味が含まれています。

お子さんが一時的に学校を避けることで、何かを考えたり、休んだり、自分の気持ちに向き合ったりする時間が必要な場合もあります。また、お子さん自身が学校に行かないことで得られる安心感や、家族とのコミュニケーションを通じて少しずつ自分のペースを取り戻していくこともあるでしょう。

「解決」に囚われず、お子さんの「今の心の状態」を理解し、変化を見守ることで、不登校という経験自体が一つの成長のプロセスになることがあります。例えば、お子さんが少しずつ家の外で気の合う友人を見つけたり、オンライン学習や趣味に集中する時間を得ることで、自己肯定感を取り戻すこともあります。そして、結果的にお子さん自身が「もう一度学校に行ってみようかな」と自らの意思で前向きな行動を取る場合もあります。

最後に:不登校の要因を一緒に解きほぐすということ

不登校に対する一番の落とし穴は、「解決」を焦るあまり、「今の気持ちや状況」をおざなりにしてしまうことです。お子さんが不登校になったとき、親御さんとしては未来のことが気になるのも当然ですが、「今、お子さんが何を感じているのか」に焦点を当てることが、長期的な解決の糸口になるのです。

お子さんと向き合う中で、少しずつ不登校の背景にある要因が明らかになることも多いものです。そして、お子さんが自分の感情を安心して言葉にできるようになると、自分自身でも不登校の要因について冷静に考えることができるようになります。

こうしたプロセスを経ることで、お子さんが自分の意思で「もう一度学校に行ってみようかな」と思う日が訪れることも少なくありません。このように、自分の内面と向き合い、「再登校」という選択を自らの意思で選ぶことで、以前よりも自信を持って学校生活を送れるようになることもあります。

そして、たとえ最終的に「学校に戻る」という選択を取らなかったとしても、不登校の要因を一緒に解きほぐし、その中で心の整理ができたことで、お子さんは「不登校に押しつぶされていた日々」から抜け出せるようになります。これは、お子さんにとって大きな前進です。不登校という重圧の中で苦しむよりも、心が軽くなり、「自分はこれでいいんだ」と思えるようになることで、未来に向かって前を向く力を取り戻していけるのです。親が一緒に要因を解きほぐす姿勢を持つことが、こうした変化の原動力になるのです。



ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

親子に寄り添う支援で、年間1,000名以上の再登校をサポート。国内カウンセラーが最も推奨する不登校支援サービスはToCo(トーコ)です。

不登校の子どもが学校に行けるようになったきっかけは?

不登校の子どもが学校に行けるようになったきっかけは?

目次


不登校という現象とその背景

近年、日本社会で「不登校」という現象がますます顕著になってきています。不登校は一部の家庭に限られた特異な事象ではなく、社会全体に根ざした問題となりつつあります。文部科学省の統計でも、不登校の児童・生徒数は増加の一途をたどり国内で30万人を超えました、その背後には、学業へのプレッシャーや、友人関係の複雑化、さらには家庭環境の変化や、社会的な価値観の多様化など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているのです。

不登校の子どもたちが抱える心の中には、多くの葛藤や苦悩が潜んでいます。その一方で、周囲の大人たちは「なぜ学校に行けないのか?」と疑問を抱き、時には「行くのが当たり前」という固定観念で子どもを責めてしまうことさえあります。しかし、子どもが不登校になるには、必ずと言ってよいほど深い理由があるのです。その理由を無視したまま、ただ学校に行かせようとするだけでは、本当の解決には至りません。

本稿では、過去に支援させていただいた不登校の子どもたちが学校に行けるようになるための具体的なきっかけや、その過程で彼らが経験する内面的な変化、そして支えとなる環境やサポートについて考察していきます。(性別や状況などは編集しています)学校復帰のきっかけを探ることで、社会全体として不登校問題にどう向き合うべきかについてのヒントを探ります。

参考:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要

事例1. 突然の不登校

ある日、小学生のA君は学校に行くために玄関まで出たものの、そこで足がすくんでしまい、結局学校に行けずに家に戻ってしまいました。親は「どうして行かないの?」と問いかけましたが、彼には答える言葉が見つかりませんでした。「行きたくないわけではない、でも体が動かない」―それが彼の本音だったのです。その後、親が優しく寄り添い、「学校だけが全てではない」という言葉をかけ続けたことで、少しずつ学校への恐怖心が和らぎ、勇気が芽生えました、「行きたいときに行っていい」と感じられるようになり、徐々に登校への気持ちを高めていきました。

不登校に至るまでの過程は、決して一夜にして起こるものではありません。多くの子どもたちは、最初から学校に行けなくなるわけではなく、徐々に少しずつ心のバランスを崩していき、最終的に学校に足が向かなくなってしまうのです。その過程で、子どもたちが抱える葛藤や苦悩は多岐にわたります。

まず、学業に対するプレッシャーが大きな要因となります。成績に対する期待や、テストの順位、受験への不安が重なり、学ぶことが楽しいと思えなくなってしまうことがよくあります。また、教師や保護者からの「頑張らなければならない」という励ましの言葉も、時には子どもにとって大きなプレッシャーとなります。さらに、友人関係の問題も見逃せません。些細なすれ違いやいじめ、あるいは集団に溶け込めないといった不安が、子どもたちにとって大きなストレスの要因となり、不登校を引き起こすことがあります。A君の場合は適切な対応が登校に繋がりましたが、子どもの問題と軽く見てしまうと状況はより悪化してしまいます。

事例2. 不登校の子どもが抱える内面的な苦悩

Bさんという中学生は、不登校になってからというもの、毎日鏡を見るのが辛くなりました。「学校に行けない自分はダメな人間だ」と思い込んでしまい、次第に自分の姿を見るのも嫌になってしまったのです。家族が心配して声をかけても、彼女は心を閉ざし、自分の部屋に閉じこもるようになりました。親も彼女を支えたいと思いつつ、どのように接したら良いかわからず、もどかしさを感じていました。ある時、NPOスタッフの紹介でフリースクールに通い始め、同じ悩みを抱える仲間と出会います。自分の苦悩を共感してもらえることで、次第に自己否定感が薄れていき、再び他者と接する勇気を得られるようになりました。

不登校が長引くにつれ、子どもたちの内面にはさらなる葛藤が生まれます。特に、「自分はなぜ行けないのだろう」という自己嫌悪や、「親に申し訳ない」という罪悪感が積み重なり、自己肯定感が低下していくのです。不登校の子どもたちは、ただ学校に行けないというだけでなく、自己存在そのものを否定するような感覚に苛まれることが多々あります。

多くの不登校の子どもたちが、Bさんと同じように自己嫌悪の渦に巻き込まれます。「学校に行けない自分は価値がない」という思い込みが深まると、さらに学校が遠ざかり、外の世界との接点が少なくなります。こうして、不登校という現象は単に「学校に行かない」だけでなく、子どもたちの心を蝕む深刻な問題へと発展していくのです。

事例3. 周囲のサポートとその効果

C君という中学生がいました。彼は勉強が得意で、成績も良かったのですが、ある日突然学校に行けなくなってしまいました。原因は「優等生でなければならない」という強いプレッシャーでした。親や教師はC君の成績に対して期待をかけ続け、彼自身もそれに応えようとしていたのです。しかし、それが重荷となり、ついに心が折れてしまいました。C君の家庭では、彼が学校に行けなくなったことを受けて、親が「学校よりも今は体が大切だ」と伝えるようになりました。親は、C君が「休むことも大事である」ということを理解できるように、家で一緒に趣味の時間を作ったり、外出してリフレッシュする機会を設けました。また、教師も家庭訪問を行い、成績にとらわれず、彼の心の健康が第一であることを伝えました。このような環境が整うことで、C君は少しずつ心を開き、自分を受け入れることができるようになったのです。

不登校の子どもが学校復帰に向かうためには、周囲のサポートが欠かせません。しかし、「ただ優しくする」「ただ放っておく」だけでは十分ではありません。不登校から立ち直るためには、家族、学校、そして専門家が協力し合い、段階的かつ持続的なサポートが必要です。

周囲の大人たちが「学校に行かせること」だけを目指すのではなく、「子ども自身の心の回復」を優先することで、子どもたちは少しずつ自己肯定感を取り戻し、再び社会と向き合う準備が整っていきます。

事例4. 思いがけないきっかけ

Dさんという小学生の女の子は、長い間不登校でしたが、ある日、昔の友人から手紙が届きました。その手紙には、彼女がいなくて寂しいという思いが込められており、友人たちが待っているという内容が書かれていました。その手紙を読んだ瞬間、Dさんは「自分は一人じゃないんだ」という気持ちになり、久しぶりに学校へ行ってみようという気持ちが芽生えたのです。友人の存在が、彼女にとって学校復帰への大きな一歩となりました。

学校に戻るきっかけは、実に多様です。一人ひとりの子どもにとって、復帰を決断するタイミングや理由は異なります。しかし、共通しているのは「自分の居場所がある」と感じられること、そして「自分が認められている」という安心感です。

このように、学校復帰のきっかけは、家族の理解や友人からの支えなど、さまざまな形で訪れることがあります。それがどんなに些細なことであっても、子どもにとって大きな意味を持ち、不登校からの一歩を踏み出す勇気につながるのです。

事例5. 学校の寄り添い

E君という中学生は、長期の不登校から学校に復帰した後も、授業中に胸が締め付けられるような不安感に襲われることがありました。周囲にはその不安を打ち明けられず、ただ「普通にしていなければ」という気持ちが強くなるばかりで、次第に心に重圧がかかり始めました。しかし、学校に相談したところ、担任の先生が「無理に周りに合わせる必要はないよ」と伝えてくれたことで、E君は少しずつ自分らしさを取り戻せるようになりました。

学校に再び通い始めた子どもたちは、外から見ると一見元通りに見えますが、実際の心の状態はまだ不安定な場合が多くあります。再登校後も、環境の変化や他者からの目線に敏感になってしまい、心の中で再び不安が芽生えることもあります。学校に戻るという「一歩」は踏み出したものの、その道を歩き続けるためには、周囲の理解と継続的な支援が不可欠です。

E君のように、再登校を果たした後も、子どもたちの心の回復にはまだ時間が必要です。学校に戻ったからといってすぐに元気になれるわけではなく、時には不安がぶり返したり、過去の出来事がふと頭をよぎることもあるのです。再登校後もサポートが続けられる環境があれば、子どもたちは少しずつでも自信を持って社会と向き合う力を養うことができます。

事例6. 不登校の経験が子どもに与える影響と成長

Fさんという少女は不登校を経験する中で、「自分が好きなことを学ぶ楽しさ」に気づきました。学校の枠組みから一時的に外れたことで、自由な時間を得た彼女は、本を読んだり、絵を描いたりと、自分が心から楽しめる活動に打ち込むようになったのです。その中で「自分はクリエイティブな活動が好きなんだ」という新たな一面を発見しました。

不登校を経験した子どもたちは、一見するとマイナスの経験を背負っているように思われがちですが、実はその経験がその後の人生において、彼らに深い理解力や共感力、自己洞察の力を育むことも少なくありません。不登校の期間を経て、彼らは自分自身と向き合い、自分が本当に何を求めているのか、どう生きていきたいのかを深く考える機会を得ます。

こうした自己発見の経験は、その後の彼女の人生において大きな糧となり、不登校を通して自分らしさを見つけられた彼女は、学校復帰後も自分の意見や感じたことを素直に表現できるようになりました。このように、不登校の経験が子どもたちに新たな価値観や自己理解をもたらすことは少なくないのです。

事例7. 再発防止の鍵

Gさんという小学生は、復帰した後も両親から「ちゃんと行き続けなければ」というプレッシャーを感じ続けていました。彼は学校に行けるようになったものの、そのプレッシャーによって再び不安を感じ、最終的には再度不登校となってしまいました。しかし、その後、両親が彼の気持ちに寄り添い、学校ではなく「彼自身」を大切にするような声かけを始めたことで、Gさんは再び学校に戻ることができました。

不登校は子ども自身の問題と捉えられがちですが、実はその背後には大人の関わり方が大きく影響しています。不登校の子どもたちは、家族や教師、カウンセラーなど大人のサポートによって安心感を得たり、自信を取り戻したりすることができます。しかし、無理に学校に行かせようとする、あるいはプレッシャーをかけてしまうと、再び不登校になってしまうリスクもあります。

不登校からの回復をサポートする際には、「学校復帰そのもの」が目標ではなく、「子どもが健やかな心で生きること」が目標であるべきです。学校に行かせることだけに囚われるのではなく、子どもが自分らしさを大切にし、自分のペースで進むことを尊重することが、不登校の再発を防ぐための重要なポイントです。

事例8. 「第三の居場所」の重要性

高校生のHさんは不登校の間、地域の絵画教室に通うようになりました。そこでは、同じような悩みを抱える仲間たちもいて、彼女は初めて「自分だけじゃない」という感覚を持つことができました。自由に過ごせる時間の中で、彼女は自分のペースで他者と関わることができるようになり、徐々に学校へ戻る気持ちも芽生えてきたのです。

不登校の子どもたちが社会と再び接するためには、学校や家庭以外の「第三の居場所」が大きな役割を果たすことがあります。この第三の居場所とは、地域のフリースクールやNPOが運営する居場所、カウンセリング施設など、子どもが安心して過ごせる場所を指します。学校や家庭のような圧力がかからず、子どもが自分らしくいられる環境であるため、心を開きやすく、自分と向き合うための時間を持つことができるのです。

Hさんのように、第三の居場所は子どもたちに「自分が受け入れられている」と感じられる場所であり、学校復帰のための準備段階として非常に有効です。また、これらの施設はただ単に子どもが過ごす場所としてだけでなく、自己理解や他者理解を深めるための場としても機能しています。こうした第三の居場所があることで、不登校の子どもたちが少しずつ学校や社会と再び接するきっかけを掴むことができるのです。

事例9. 子どもたちが自ら選ぶ「自分の居場所」という選択

Iさんという中学生は、最終的に学校ではなくフリースクールを選びました。彼にとって、学校は自分にとって息苦しい場所であり、フリースクールのほうが自分らしく過ごせると感じたからです。彼はフリースクールで自分のペースを大切にしながら勉強を進め、少しずつ社会との接点を取り戻していきました。

不登校の経験は、子どもたちにとって厳しい試練である一方で、「自分が心から安心できる場所」について考える貴重な機会でもあります。学校に戻るかどうか、社会との接点をどこに見つけるかは、最終的には子ども自身が選ぶべきです。大人が無理に選ばせるのではなく、子どもが「ここなら安心できる」と感じる場所を見つけることが、不登校からの回復において重要な要素となります。

Iさんのように、「自分の居場所」を自ら選ぶ経験は、子どもたちにとって大きな意味を持ちます。学校復帰を最終目標とするのではなく、子ども自身が自分の心の声に耳を傾け、「ここならば自分を表現できる」という居場所を見つけられることが、人生において重要な意味を持つのです。

結び:不登校の経験がもたらす未来への希望

不登校は、決して子どもたちにとって「失敗」や「挫折」ではありません。それは一人ひとりの子どもが自分の内面を見つめ、自分にとって本当に大切なものを見つけ出す過程なのです。不登校の経験を通じて、子どもたちは自分と向き合い、自分が何を大切にするべきか、どのように生きていきたいかを深く考える力を養います。

そして、彼らが再び社会と向き合うためには、何よりも「自分はありのままでいい」と感じられるような環境が必要です。学校、家庭、地域社会が一体となって支え合い、子どもたちが自分自身を受け入れ、自信を持って歩み出せるような社会を築いていくことが求められます。

不登校の子どもたちが学校に行けるようになるきっかけは、必ずしも大きな出来事ではありません。些細な出来事、ほんの小さな支えが、彼らにとって未来への扉を開く力となるのです。不登校の経験を経て社会に復帰する子どもたちは、逆境を乗り越えた強さと、自分を見つめ直した深い人間性を持っているのです。そして、その経験は将来、彼らが他者を思いやり、社会に貢献する力へとつながることでしょう。

事例再登校のきっかけ気持ちの変化
A君玄関まで出たが恐怖で学校に行けず。その後、親の寄り添いと励ましが少しずつ勇気を与えた。「行かなければ」という焦りから、「行きたいときに行こう」という気持ちに変化。少しずつ安心感を持つ。
Bさん友人との交流を支援するNPOスタッフの紹介で、気軽に話せるフリースクールへ通い始めた。自分の悩みが共感され、自己否定感が薄れたことで、徐々に他者と接する意欲が湧き上がる。
C君学業のプレッシャーが原因で不登校に。家庭での「学校に行かなくても大丈夫」という言葉で気持ちが軽くなり復帰。成績へのプレッシャーが減り、自分を大切にしてくれる家庭の支えを感じ、学校への恐怖が薄れる。
Dさん昔の友人からの「待っているよ」という手紙で孤独感が薄れ、学校に戻る勇気を持てた。自分にとって大切な存在がいることを再確認し、「自分も一緒に過ごしたい」という気持ちに変わる。
E君再登校後も不安を抱えていたが、担任から「無理をしないで良い」と言われ安心感を持ち始めた。自分のペースを認めてもらえたことで、不安が和らぎ、少しずつ学校に馴染む意欲が湧いてきた。
Fさん家族が提案した趣味の活動に集中するうち、自分が本当にやりたいことが見えてきて、登校への意欲が芽生えた。「好きなことを学びたい」という気持ちが強まり、自信を取り戻し、自分のペースで学校に戻る決意をする。
Gさん両親の「学校が全てではない」という励ましで自信が回復し、学校に行く決心を再度持つことができた。無理をさせない家族の姿勢で、「行かないことも許される」安心感を持ち、登校に向けた意欲が回復する。
Hさん地元の絵画教室での新しい友人関係から勇気を得て、学校でも少しずつ他者と関わる意欲が生まれた。「ここなら安心」と思える居場所ができ、自己肯定感が増し、学校に行っても自分らしくいられる気持ちになる。
Iさんフリースクールでの学びが自分に合っていると感じ、最終的に自分の意思で学校への通学も選択する。自らが納得して選べたことで、自信を持って進む気持ちが生まれ、学校も自分の選択肢の一つと捉える。

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不登校になった時、学校と連携すべき行動5選とは?

不登校になった時、学校と連携すべき行動5選

目次


学校と連携すべき5つの行動

日本における不登校は、子どもと親、そして学校にとって切実な課題です。さまざまな理由から学校に通えなくなった子どもたちは、心身に不安やストレスを抱え、その状態が長引けばますます学校へのハードルが高くなってしまいます。

親としては子どもに寄り添いながらも、学校との連携が不可欠です。そして、ここで注意すべきは、ただ「登校を促す」ことに固執せず、子どもが安心して登校できる環境を整えることに重点を置くという姿勢です。本稿では、不登校の子どもが少しでも登校への第一歩を踏み出せるよう、学校との連携において取り組むべき具体的な行動を5つ紹介します。担任の先生や学校との効果的な協力体制を構築し、子どもが自身のペースで成長を実感できるよう、親としてどのように関わるべきかを掘り下げていきます。

行動要点内容
担任の先生と親の面談不登校の原因ではなく、登校の障害を話し合い、具体的な支援策を共有する。子どもが登校に感じているストレスを確認し、学校側と「どう乗り越えるか」を話し合う。面談前に子どもから不安要素を可能な範囲で把握し、冷静に共有する。
担任の先生と子どもの対話親には話せない思いを担任の先生には話せる場合があるため、定期的な対話の場を設ける。担任と子どもが週3回ほど短時間で話せる時間を確保する。子どもが話しやすい環境を整え、無理に登校を促さず、気持ちや不安を冷静に聞けるよう調整する。
先生の家庭訪問を調整学校を遠い存在にしないため、子どもがリラックスして会えるタイミングで訪問する。家庭訪問の前に、オンラインでの対話で信頼関係を築いておく。家庭訪問を学校復帰への「強制」にしない配慮を示し、家庭と学校で協力し訪問の目的を共有する。
クラスの人間関係を整理クラスでの人間関係を整理し、登校の障害を減らしていくことで心理的な負担を軽減する。担任を通して相手の生徒と話し、誤解や心の負担を減らす。友人関係のプレッシャーを和らげ、子どもが孤立を感じないように先生がサポートできるよう依頼する。
家庭学習と宿題の実施授業の遅れを減らし、家庭内での学習習慣を確保することで学業面の不安を緩和する。担任から進捗や課題を確認し、家庭学習を進める。自宅での学習の習慣化を進めると同時に、学校での学びが重要であることを伝え、登校の動機づけにつなげる。

参考:文部科学省「不登校の児童生徒への支援について

行動1. 担任の先生と親の面談

不登校が始まると、多くの親はまず「なぜこうなってしまったのか」と、その原因に思いを巡らせます。しかし、この問いの問題は、そのほとんどが“学校に戻るための具体的な対策”に結びつかないからです。原因を探ることは一見有効に思えますが、実際には過去の出来事を振り返るだけで、次に進むための方策には直結しないことが多いのです。

そこで、「不登校になってしまった理由」ではなく「登校するための障害とは何か」に焦点を当て、そこから問題を解決するための行動を考えていくことが重要です。

まず、担任の先生との面談において、親が学校側と連携し、子どもの状況を正しく共有することが求められます。しかし、ここでも注意すべきは、原因の解明にこだわらない姿勢です。不登校の原因が何であれ、すでに現在の状況は「学校に行けていない」という事実であり、それに対処する方策を話し合うことが必要です。多くのケースで、不登校の直接的な原因が解明されたところで、その事実が解決への具体的な手段に変わることはありません。だからこそ、学校側と保護者の間では、不登校の理由について議論するのではなく、いかにして登校へのハードルを減らせるかに注力するべきなのです。

この「登校へのハードル」とは、子どもが抱えているストレスや不安、学校に対する抵抗感を指します。担任の先生と話す際には、具体的にどのような要素が子どもにとって苦痛であるか、またその苦痛を和らげるために何ができるかを冷静に話し合いましょう。ここで肝心なのは、子どもに対して無理強いをしないことです。親が過度に「学校に行くべきだ」と言い過ぎれば、子どもはさらに心を閉ざしてしまう可能性があります。子ども自身の声を尊重しつつ、親としての願望や希望は一旦置いて、あくまで客観的に現状を把握することが重要です。

また、面談を行う前に、子どもの心の準備も整えておく必要があります。多くの子どもは、親との会話の中で「どうして学校に行けないのか」という質問をされると、大きなプレッシャーを感じます。これは、子ども自身も自分の気持ちをうまく言葉にできないからです。たとえば「学校が怖い」「友達と会うのがつらい」といった感情はあっても、それがなぜなのかまでは説明できないことが多いのです。そのため、事前にできるだけ子どもから「今、学校に行くとどう感じるか」「学校に行くことを考えるとどんなことが頭に浮かぶか」を具体的に聞いておき、登校に対するストレスの原因をおおまかにでも把握しておくと、先生との面談もスムーズに進みやすくなります。

(参考:不登校中の子どもとの対話のポイント

さらに、親が学校側に対して不満や要求を伝える場面では、慎重な姿勢を保つことが大切です。学校との連携は、あくまで協力関係でなければなりません。特に「学校がもっとサポートしてくれるべきだ」という主張を強めると、学校側も緊張感を持ちやすく、コミュニケーションがうまくいかない場合が少なくありません。学校の教師も、人員や時間の制約の中で多くの生徒を支援しています。

そのため、学校のサポートを期待する一方で、保護者自身が家庭でどのようなフォローが可能かを考え、それを先生と共有することが重要です。例えば、「家庭で子どもがリラックスできる時間を増やしてみます」「授業の内容は家庭で確認してフォローします」といった姿勢を示すことで、学校と家庭の協力体制が築かれやすくなります。


Point1. 原因よりも今を見る

不登校の原因を探ることは重要ですが、それよりも「登校を妨げているものは何か」という視点が大切です。原因究明にこだわりすぎると、具体的な解決策が見えにくくなります。

Point2. 登校のハードルを下げるための面談

担任との面談では、原因論ではなく、登校のハードルを下げるための具体的な方策を話し合うことが重要です。子どもの気持ちに寄り添い、無理強いせず、客観的に状況を把握することが求められます。

Point3. 子どもへの事前ヒアリング

面談の前に、子どもと事前に話し合い、学校に対する不安や抵抗感を把握しておくとスムーズです。また、学校に対しては、不満を訴えるのではなく、協力的な姿勢を示すことが大切です。

行動2. 担任の先生と子どもの面談

不登校の子どもが親と話す際、親の期待や失望を感じてしまい、正直に思いを伝えられないことがあります。これは、子どもが無意識に「親に迷惑をかけたくない」「心配をかけたくない」と感じてしまうからです。また、子どもは親に対して自分の弱みを見せたくないという思いから、強がりを言ったり、反発するような態度を取ったりしがちです。そのため、不登校の子どもが抱えている本当の思いを引き出すには、親ではなく担任の先生と直接面談することが大きな助けになります。

とはいえ、担任の先生もまた、子どもがどこまで本音で話せる相手なのかは状況次第です。特に、不登校の原因が担任の先生の対応に起因している場合や、先生に対して強い恐怖心や不信感がある場合には、逆効果になりかねません。こうしたケースでは、担任以外の学年主任や生活指導担当の先生など、別の信頼できる教員と話す機会を調整するのが適切です。

担任の先生との面談を行う場合、親としては子どもと先生の対話を週に2〜3回、短時間でもいいので確保するように依頼することが理想的です。頻度が少ないと、子どもが先生とのコミュニケーションを疎遠に感じてしまい、話をすること自体が負担になってしまう可能性があるからです。例えば、週に1回の対話だけでは、先生と話すことが「特別なこと」と感じられ、プレッシャーとなってしまう場合があります。そのため、日常的に少しずつ先生との接点を持つことで、子どもは徐々に学校に対する抵抗感を減らし、リラックスした状態で先生と向き合えるようになります。

ここで重要なのは、面談の内容が登校の促しに終始しないようにすることです。不登校の子どもが先生と話す際に「いつ登校する?」や「何が嫌なの?」といった質問ばかりをされると、学校へのプレッシャーが増してしまい、ますます心を閉ざしてしまう可能性があります。先生との会話が登校を強要するものではなく、子どもが現在感じている不安や葛藤を自由に話せる場として機能するように、会話の進め方について先生と親が事前に相談することも大切です。

また、面談の際に子どもが特定のストレスや不安を語った場合、先生がその場で対応を考えるのではなく、保護者に情報をフィードバックし、保護者との協力のもとで具体的な対策を練るようにしましょう。たとえば、子どもが「教室の雰囲気が怖い」と感じていると話した場合、先生と保護者が協力してどのような環境改善が可能かを一緒に考えることが有効です。保護者と先生が共通の理解を持ち、子どもが安心して自分の思いを話せる環境を整えていくことで、子どもは学校との距離感を徐々に縮めていくことができます。

さらに、先生との面談を行う中で、子どもが特定の問題に対して真剣に向き合っている姿勢を保護者が評価し、感謝の言葉を伝えることも効果的です。「先生と話してくれてありがとう」「自分の気持ちを少しでも伝えようとしてくれて嬉しい」という言葉は、子どもにとって大きな励みとなります。学校に通えない自分がどこかで「親の期待を裏切っている」と感じていることが多いため、親からのポジティブなフィードバックは、子どもにとって安心感と自信を取り戻すきっかけになります。


Point1. 子どもと親のコミュニケーションの難しさ

不登校の子どもは、親に心配をかけたくないという思いから、本当の気持ちを打ち明けにくいことがあります。また、親の期待に応えたいというプレッシャーから、無理をしてしまうこともあります。そのため、子どもが抱えている問題を正確に把握するためには、第三者の視点が必要となります。

Point2. 担任の先生との連携の重要性

担任の先生は、子どもと日常的に接しているため、子どもの様子を最もよく把握している人物です。しかし、担任の先生も万能ではなく、子どもが心を開けない場合もあります。そのため、学年主任や生活指導担当の先生など、別の教員と連携することも重要です。

Point3. 先生には傾聴を依頼

先生との面談では、登校を促すのではなく、子どもの話をじっくりと聞くことが大切です。面談の頻度を週に2~3回程度に設定し、子どもがリラックスして話せるような雰囲気作りを心がけましょう。また、面談の内容を保護者にフィードバックし、学校と家庭で連携して子どもをサポートすることが重要です。

行動3. 先生の家庭訪問を調整

不登校が長引くと、家庭と学校の双方からの支援がますます重要になります。その際、家庭訪問は子どもが学校との接点を感じながらも安心して話せる有効な手段となり得ます。しかし、これは慎重に行うべきアプローチです。家庭訪問は、保護者から見れば「学校側の手厚いサポート」として受け取れるものの、同時に学校側には多大な負担がかかります。そのため、家庭訪問を依頼する際には、慎重に計画を立て、タイミングを見極めることが重要です。

まず、家庭訪問の前提として、ある程度オンライン(電話・ビデオ面談など)での対話が進んでいることが望ましいです。オンラインでのやり取りを通じて、先生と子どもが少しでも打ち解けていると、家庭訪問の際にも心理的な負担が軽減されます。子どもが全く先生との接触がないままに突然家庭訪問をされると、かえって緊張やプレッシャーが増し、子どもがさらに心を閉ざしてしまうリスクがあるからです。そのため、事前にオンラインや電話でのコミュニケーションを一定の頻度で取り、子どもが「先生に会っても大丈夫かも」と思える状態を目指します。

家庭訪問を依頼する場合、先生が家に来ることの意味を子どもにしっかりと伝えることが肝要です。「先生が家に来てくれるから、学校に行けるように話してね」というようなプレッシャーをかけるのではなく、「先生が少し顔を見せに来てくれるみたいだよ」というニュアンスで、できるだけリラックスした雰囲気を保ちましょう。

家庭訪問の目的を「学校への復帰」に結びつけるのではなく、「ただ話をするため」という形で伝えると、子どもが構えずに済みます。親としては、家庭訪問が学校への復帰に直接つながることを期待したいところですが、それが子どもに重圧として伝わらないよう配慮することが大切です。

不登校の家庭訪問のイメージ

また、家庭訪問は学校側にとっても特別な時間を割いて行う活動であることを理解しましょう。例えば、家庭訪問の依頼が学校側にとってどれほど負担になるかについて、保護者が十分に理解しているかどうかが重要です。先生が家庭訪問を行うためには、通常の業務以外の時間を使う必要があるため、学校側からしても慎重に対応せざるを得ません。こうした状況を理解し、保護者としても家庭訪問は先生への負担が大きいと知った上で、先生に対して感謝の意を持って臨むことが大切です。

また、先生が家庭訪問を行う場合、その時間を有効に活用するため、事前に先生とどのような内容について話すべきかを相談しておきましょう。例えば、子どもが学校についてどのように感じているか、現在抱えている不安や問題について、先生と親が共通の認識を持っていると、家庭訪問がただの形式的なものではなく、具体的な成果を得る機会となります。さらに、子どもが話しやすい雰囲気を保つために、家庭訪問の日程や時間帯も子どものリズムに合わせるとよいでしょう。例えば、子どもが気分の良い時間帯に訪問を設定することで、リラックスした会話が生まれやすくなります。

最後に、家庭訪問が実現した場合、その成果を学校と共有し、今後の支援体制を継続していくことが重要です。例えば、家庭訪問で得られた子どもの心境や現状を学校全体にフィードバックすることで、担任以外の先生も子どもを理解し、学校全体で支える態勢が整うことになります。家庭訪問を通して、子どもが少しでも学校に近づく心境になった場合、次の段階としての具体的な行動計画を担任の先生と保護者で再度練り直すと良いでしょう。例えば、少しずつ登校できる環境づくりとして、無理のない範囲で短時間の登校を試みるなど、子どもの状況に合わせた柔軟な対応が可能になります。

このように、家庭訪問は学校と家庭が一体となって行うサポートの一環であり、タイミングや配慮の仕方が大きな成果を生む重要な要素です。


Point1. 家庭訪問の計画と準備

家庭訪問は、不登校の子どもと学校との橋渡しとなる有効な手段ですが、安易に行うべきではありません。事前にオンラインでのコミュニケーションを取り、子どもが先生に安心して話せる環境を整えることが大切です。また、家庭訪問の目的を「学校復帰」ではなく、「ただ話す」という形で伝えることで、子どもの負担を軽減できます。

Point2. 学校側の負担を理解し、協力的な姿勢で相談

家庭訪問は、学校側にとっても多大な負担となる活動です。そのため、保護者は、家庭訪問を依頼する際に、学校側の立場を理解し、感謝の気持ちを持って接することが重要です。また、家庭訪問で得られた情報を学校と共有し、今後の支援に繋げることも大切です。

Point3. 家庭訪問を効果的に行うために

家庭訪問を効果的に行うためには、事前に先生と相談し、訪問の目的や内容を明確にすることが大切です。また、子どもの様子やリズムに合わせて、訪問の日時や時間帯を設定することも重要です。家庭訪問を通して、子どもが少しでも学校に近づく心境になった場合は、次の段階として具体的な行動計画を立てることが求められます。

行動4. クラスの人間関係を整理

不登校の背景には、クラスでの人間関係が関係しているケースが少なくありません。学校生活の中で、子どもが他の生徒とどのような関わりを持っているかは、不登校を乗り越える際に大きな影響を与えます。文部科学省の調査によると、約15%の不登校児がクラスでの人間関係を「登校しづらくする要因」として挙げています。この「人間関係」とは必ずしも直接的ないじめを指すものではなく、微妙な対人関係の摩擦や、些細な衝突によるストレスも含まれます。こうした関係のこじれが、子どもの学校への抵抗感を生んでいることがあるのです。

(参考:不登校の実態2024年データ

不登校の原因がいじめの場合は、学校側に厳密な調査と対応を求めることが不可欠です。いじめが関係している場合には、担任の先生だけでなく、学年主任や校長、場合によってはスクールカウンセラーや教育委員会も含めたチームで対応することが必要です。

しかし、いじめとまではいかない軽微な人間関係のトラブルが原因の場合、その対処には配慮が求められます。例えば、クラスメートとの些細な意見の食い違いや、思い違いによるすれ違いが原因の場合、子ども自身が感じている「気まずさ」や「不安」を減らすためのサポートが有効です。

このような場合、親が子どもを無理に説得しようとするのではなく、担任の先生と協力して慎重に対応を進めるのが効果的です。たとえば、担任の先生が中立的な立場から、子どものトラブル相手の生徒と話をしてみることをお願いするのも一つの方法です。この対話は、決してその相手を問い詰めたり、非難することが目的ではありません。むしろ、相手の生徒がどう感じているかを穏やかに話し、子どもの受けた印象が「誤解」であった可能性を示すことが狙いです。先生を通して、例えば「相手も非難する意図で言った訳ではなかったよ」「君が言った言葉は、相手は特に傷ついたりしていないみたいだよ」というように伝えてもらうことで、子どもの心の負担が軽減される可能性があります。

こうしたアプローチには、周囲の反応や状況のフィードバックを通して「自分が孤立しているわけではない」「些細なことを気にしすぎていたかもしれない」と感じられるようになる効果があります。人間関係における不安や緊張感が少しずつ和らげば、子どもも徐々に学校に対する心理的なハードルを下げることができるでしょう。

また、人間関係の調整を行う際には、担任の先生が子どもの話を一方的に受け取るのではなく、客観的な視点で関係性の背景を理解するよう努めることが求められます。親としても、子どもが語る内容をそのまま担任に伝えるのではなく、子ども自身の思いをやんわりと伝えつつ、先生が偏りなく対処できるようにサポートする姿勢が大切です。例えば、親としても「あの子と仲が悪いという話があったが、子ども自身ももしかしたら敏感になりすぎているかもしれないので、先生にも様子を見ていただけると助かります」といった形で、中立的に話を持ちかけると良いでしょう。

教室のイメージ

さらに、親や先生が子どもに対して「学校には楽しい面もあるよ」「他にも話しやすい子がいるかもしれない」と、ポジティブな視点を持たせることも効果的です。しかし、子どもが無理に友達を作ることを強要したり、「もっと頑張って」といった精神論を持ちかけたりすることは逆効果です。子ども自身が自発的に人間関係を再構築しようとする気持ちを持てるよう、親も担任の先生も見守る姿勢でいることが重要です。学校内での人間関係の調整を適切にサポートすることで、子どもが安心してクラスに戻るための足掛かりを作っていくことができるでしょう。

このようにして、子どもが抱える人間関係の不安を少しずつ解消する手助けをすることで、学校という環境に再び安心感を感じることができるようになります。


Point1. 不登校の原因に占める人間関係の多さ

不登校の原因として、クラス内の人間関係が大きな影響を与えているケースが多く見られます。これは、いじめのような直接的なものだけでなく、微妙な対人関係の摩擦や誤解など、様々な要因が考えられます。これらの問題が、子どもに学校に対する不安や抵抗感を生み出し、不登校につながることがあります。

Point2. 人間関係への対応

人間関係が原因の不登校に対しては、学校、教師、親が協力して慎重に対応することが重要です。例えば、担任の先生が中立的な立場で、トラブル相手の生徒と話をしたり、子どもに状況を客観的に伝えたりすることで、子どもの不安を軽減することができます。また、親も、子どもの話を一方的に伝えるのではなく、教師に客観的な情報を提供し、協力的な姿勢を示すことが大切です。

Point3. ポジティブなアプローチ

子どもに無理に友達を作らせたり、精神論で励ますのではなく、子どもが自ら人間関係を再構築できるよう、周囲が見守ることが重要です。学校での楽しい面や、他の友人の存在などを伝え、学校という環境に再び安心感を感じられるようにサポートすることが求められます。

行動5. 家庭学習と宿題の実施

不登校が長引くにつれて、子どもが授業から遅れを取ることは避けられなくなります。この学業の遅れがさらに子どもの不安やストレスを増幅させ、「授業についていけないのなら学校に戻れないかもしれない」というプレッシャーを感じさせてしまいます。そのため、家庭学習と宿題の実施は、登校への不安を和らげるためにも、非常に重要な要素です。子どもが少しずつでも学習を続けていることで、学校に戻った際に周囲と大きく差がつかないように支援することができます。

まず、家庭学習を行うにあたって、保護者が担任の先生から授業の進捗や課題内容を定期的に聞き出し、それをもとに子どもが取り組みやすい範囲で学習を進めていくのが望ましいです。この「進捗を知っている」という感覚が、子どもに「置いて行かれていない」という安心感をもたらします。たとえば、週に1回、担任の先生に授業内容を確認し、特に大事なポイントや理解しておくべき内容を共有してもらうと良いでしょう。その内容をもとに、家庭で無理のない範囲で子どもに学習を促すことが可能です。

家庭学習にはもう一つの利点があります。家にいる時間を「楽で快適な空間」としてだけではなく、学びを含む「成長の場」として子どもに認識させることができる点です。不登校が長期化するケースでは、家庭が子どもにとってあまりにも居心地の良い避難所になり、学校への再登校が心理的に遠ざかってしまうことがあります。

そこで、家庭内で定期的な学習時間を設け、学習を行うことで「いっそ学校に行って授業を受けた方が良いかもしれない」と思えるような環境を整えることができます。具体的には、「家で学ぶことも大事だけど、やっぱり先生に教えてもらったほうが分かりやすいよね」などと親が話してみたり、学校で学ぶことの利点をさりげなく伝えると良いでしょう。

合わせて、子どもが不登校であることを理由に、「休養が必要だから」と甘やかしてしまい、学業をまったく求めない生活を送らせることには注意が必要です。不登校は決して「病気」ではありません。過剰にケアをしすぎると、かえって学校に戻る意欲を削いでしまう可能性があります。家庭内での学習は、プレッシャーをかけずにゆるやかに行う一方で、少しずつ自分で計画を立てたり、学習の目標を持てるように手助けすると良いでしょう。たとえば、学習内容に小さな区切りを作り、達成感を得られるようにすることで、子どもの自己効力感を高めることができます。「今日は算数のこの部分だけやってみよう」「次の週末までにこの問題を解けるようにしよう」といった小さな目標を設定し、達成したら褒めることが効果的です。

また、子どもの学習に関しては、親が全面的に手を出さないことも重要です。不登校の子どもに過剰な手助けをすると、子どもが自分の力で問題を解決する意欲を失ってしまう可能性があります。たとえば、宿題を手伝うにしても、最初の一問だけを一緒に解き、次は自分で解いてみるよう促すと良いでしょう。子どもが自分で学ぶ楽しさを感じられるよう、親はサポートに徹することが大切です。学習の過程で「分からないところがあったら手伝うけど、自分で考える時間も大切だよ」と声をかけることで、子どもに自己主導的な学習態度を持たせることができます。

さらに、家庭学習の進捗を学校と共有することも、再登校をスムーズにする要素となります。家庭で行っている学習の成果を担任の先生に伝えることで、学校側も子どもの努力を理解し、登校再開時のサポートがしやすくなります。たとえば、「家でこの範囲は頑張って勉強しました」と担任の先生に伝え、授業でその範囲が出た際に配慮してもらうようお願いすることも一つの手です。これにより、再登校時に子どもがついていきやすい環境を整えられるのです。

家庭学習と宿題を通じて、子どもが少しずつ学業に対する自信を取り戻し、学校生活への準備が整っていくことが期待できます。


Point1. 登校への不安軽減と学力維持

不登校が長引く中で、家庭学習は子どもが学校に遅れをとる不安を解消し、学力維持に不可欠です。家庭学習を通して、学校に戻った際に周囲との差を感じにくくなり、登校への抵抗感を減らすことができます。

Point2. 家庭環境の転換と学習意欲の向上

家庭学習は、家庭を単なる休息の場から学びの場へと転換させます。これにより、子どもは「学校で学ぶ方が良い」という意識を持ち、自然と学校への意欲が湧いてきます。

Point3. 子供の主体性と自信の育成

家庭学習では、子どもに過度な干渉をせず、自分で課題を見つけ、解決する機会を与えることが重要です。小さな目標を設定し、達成感を味わうことで、子どもの自信と自己効力感を高めることができます。

まとめ

不登校への対応には、親の忍耐と柔軟な視点、そして学校との緊密な連携が求められます。担任の先生と親の面談で「登校の障害」について具体的に把握し、担任の先生と子どもが週数回の対話を重ねることで、子どもが少しずつ学校と関わる気持ちを取り戻すことが期待できます。

また、オンラインでの会話が進んだ段階で家庭訪問を行うことで、子どもにとって学校が身近な存在となり、登校への不安が和らぎます。さらに、クラス内の人間関係に配慮し、担任の先生を介した調整を行うことで、対人関係の緊張を軽減できます。そして、家庭内で学習の習慣を取り戻すことで、学業面での不安が解消され、再登校へのモチベーションが高まるでしょう。

これらの行動は、単に「登校を促す」ものではなく、子どもが安心して学校生活に戻れるための「支え」を築くためのものです。焦らず、一歩一歩子どもの気持ちに寄り添いながら進めていくことで、子どもは学校に戻り、社会とつながるための自信を少しずつ育むことができるでしょう。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

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不登校を長期化させないための5つの行動とは?

不登校を長期化させないための5つの行動

目次


5つの行動とは

行動要点必要な行動
1. 会話の機会を作る子どもが一人で悩み続け、内向的にならないよう、家庭内で自然に会話を生み出す場を設けることが重要です。親子のコミュニケーションが信頼関係を育みます。食事は一緒に取り、日常の些細な話題や子どもの関心事に触れながら会話を楽しむことで、自然な交流が生まれ、子どもが心を開きやすい環境を整えます。
2. 病人のように扱わない子どもに過度な気遣いや甘えを与えると、自分が「問題を抱えた存在」だと思わせてしまいます。成長を促すためには、自然な態度で接することが大切です。落ち込んでいる日も過剰に構わず、普段通りに接します。小さな家事など家庭内の役割を任せることで、子どもが家族の一員として必要とされている感覚を持ち、自信を取り戻せるようにします。
3. 親が暗くならない親が落ち込み、家庭内の雰囲気が重くなると、子どもはさらに家から出ることが難しくなります。親が心の余裕を持ち、家庭を「安心できる場」にすることが大切です。二人親であれば、夫婦の対立や口論を子どもに見せないように配慮し、一人親の場合も生活リズムを保ちながら日常を維持することで、家庭内の安定感を保ちます。
4. ゲームやスマホは制限するデジタル依存により、学校や社会への関心が薄れることを防ぐため、ゲームやスマホの使用を管理し、現実とのバランスを取ることが必要です。リビングでのみ使用するなど家庭内ルールを設定し、使用時間を制限します。家族で参加できるアクティビティを導入し、デジタル依存に代わる楽しみを見つけさせます。
5. 行きたくないのか、行く気力がないか見極める学校に対して興味を失っているのか、精神的に行けない状態かを見極め、子どもの本音を理解することが重要です。状況に合わせた適切なサポートを行いましょう。興味のある活動を見つけて挑戦させる、または小さな成功体験を積ませるなど、子どもが「自分には価値がある」と感じられる機会を提供し、徐々に自信を回復させます。

参考:文部科学省「今後の不登校への対応の在り方について


はじめに: 不登校という「今」に立ち向かうために

不登校に直面する家庭は、日々の生活の中で途方もない孤独や不安に苛まれることがほとんどです。「学校に行けない」という事実を目の当たりにする親も子どもも、それまで当たり前だと思っていた「普通の生活」が音を立てて崩れるような感覚に襲われます。しかし、不登校はその時点で子どもの人生が決まってしまうわけではなく、まだまだこれから多くの可能性があります。この現実に直面したとき、親や家族に求められるのは「現状を受け入れる」一方で、「未来を開く行動」を起こすことです。

それでは、不登校を長期化させないためには、どうしたらよいのでしょうか?
一般的なアドバイスや情報だけではなく、実際に効果のある具体的な行動をとる必要があります。本稿では、不登校が始まってから長期化させないために、親が意識すべき5つの行動について考察していきます。


行動1: 会話の機会を作る – 日常の中で共に過ごす時間

不登校が始まると、まず子どもが自分の殻に閉じこもるようになることが多いです。部屋に引きこもりがちになり、家族とも顔を合わせない日々が続くと、親としてはどうしても心配や焦りが募ります。この段階で重要なのは、無理に問い詰めたり「学校に行かない理由」を聞き出そうとしたりするのではなく、自然な形で会話のきっかけを作り出すことです。例えば、食事はできる限り一緒にとり、ちょっとした家事を手伝ってもらうことで、子どもが自分の殻に閉じこもり続けないようにすることが大切です。

会話のきっかけとして効果的なのは、子どもが興味を持っていることや、好きな話題に焦点を当てることです。もし子どもが部屋で本を読んでいるならば、その本の内容に触れたり、テレビで見ている番組について話しかけたりすることができます。ポイントは「学校の話題」を避けつつ、リラックスした雰囲気で自然に会話が流れるようにすることです。このようにして親子の間に小さな交流の場を持ち、会話が生まれる環境を保つことで、少しずつ心の扉が開かれていきます。

さらに、食卓での会話は特に効果的です。家族全員での食事の場では、自然と会話が広がることが多く、子どもが自分の思いや考えを共有しやすい雰囲気が生まれます。ここで注意すべきなのは、「学校に行かなければならない」といった暗黙の圧力をかけないことです。焦らず、日常の些細な話題に耳を傾ける姿勢を示すことが、子どもの信頼を取り戻す第一歩になります。食事の場は、親子の間に信頼関係を築く上で非常に重要な役割を果たします。


行動2: 病人のように扱わない – 自立と成長を尊重する姿勢

不登校に陥った子どもを、過度に甘やかしたり、病人のように扱うことは逆効果です。ここでいう「病人扱い」とは、親が過剰に気を使い、子どもの機嫌を伺うような行動を指します。確かに、不登校の背景にはさまざまな要因が存在し、子どもが傷ついている可能性もあります。しかし、過度な優しさや迎合的な態度は、かえって子どもに「自分は親にとって問題を抱えた存在だ」という無意識のメッセージを伝えることになりかねません。

不登校だからといって、子どもが一切外出しない、社会生活から離れてしまう必要はありません。むしろ、散歩に出かけたり、買い物に付き合ったり、家族と一緒に活動する機会を増やすことが、子どもにとっての精神的なリハビリテーションとなります。家庭という場が子どもにとって唯一の生活の場であり続ける限り、外界との接触がないままでは自尊心や活力が衰えていく危険性が高まります。

この「病人扱いしない」姿勢は、家の中での小さな習慣から始まります。たとえば、子どもが気分が落ち込んでいる日であっても、できるだけ普段通りに声をかける、助けが必要な時に手を貸す、といった自然な接し方を心がけることが重要です。また、何か小さな家事を頼むことで、子ども自身が家族の一員であり、自分にも役割があると感じるきっかけを提供することが大切です。小さな「役割」を与えることで、子どもは自分が必要とされていることを実感し、自信を取り戻す契機になります。


行動3: 親が暗くならない – 子どもにとっての「安心の場」を保つ

不登校が始まると、親としては心が暗く沈みがちです。「どうしてうちの子が……」という思いが頭をよぎり、無力感や焦燥感に苛まれることは少なくありません。しかし、ここで重要なのは、親が家庭という場を「暗く重い空間」にしないことです。もし家庭が重苦しい雰囲気で満たされてしまえば、子どもはさらに家から逃げることができなくなり、孤立感が深まってしまいます。

二人親の場合は、特に夫婦間の不和を子どもに見せないよう注意が必要です。不登校が起きると、夫婦間で意見が対立することが少なくありません。「どう接すればよいのか」「どこまで干渉すべきか」といった考えの違いが、子どもの前での口論に発展することがあります。しかし、家庭内での争いは、子どもにとって大きなストレスとなり、不登校を長期化させる一因にもなりかねません。

一人親の場合も同様で、生活が不安定にならないように心がけることが大切です。経済的な負担や生活リズムの変化が、親子の関係に影響を与えることが多いですが、リモートワークが可能であれば、家にいる時間を増やして子どもと過ごす機会を作るなど、無理のない範囲で工夫することが求められます。


行動4: ゲームやスマホは制限する – 中毒性の高い娯楽からの脱却

不登校が長期化する原因の一つに、ゲームやスマートフォンへの依存が挙げられます。特に、子どもが学校生活を避けるようになると、家庭での唯一の娯楽としてゲームやスマホに過度に依存するケースが多く見られます。これらのデジタル機器は、瞬時に快楽を与え、現実逃避の手段として非常に強力です。夢中になればなるほど、学校という現実から距離を置きやすくなり、その結果、外の世界に対する興味や関心が薄れてしまいます。

ここで重要なのは、子どもがデジタル依存に陥らないようにするための家庭内ルールを設定することです。例えば、「リビングでのみ使用して良い」「使用時間を1日2時間までとする」など、具体的なルールを決めましょう。リビングでしか使用できないという制限を設けることで、親の目が届く範囲での利用に限定され、子どもが自分の部屋にこもってひたすらゲームやスマホを使うことを防ぐ効果があります。

ただし、単にルールを押し付けるだけでは、子どもにとっては窮屈で反発を招きやすいです。そのため、子どもと一緒に話し合いながら、納得してもらえる形でルールを設定することが重要です。また、ゲームやスマホを手放すためには、代わりの娯楽や充実した活動を見つけることも必要です。たとえば、家族で一緒に楽しめるボードゲームや、趣味の一環として親が参加するスポーツやアウトドア活動など、家庭の中で新たな楽しみを見つけられるように工夫しましょう。

ここで大切なのは、ゲームやスマホの利用を「完全に禁止する」ことを目標にするのではなく、「使い方を管理し、適度に利用する」ことです。絶対的な禁止は反発を招きがちであり、かえって隠れて使用するリスクもあります。親が一方的に管理するのではなく、適切な距離感で子どもに向き合い、日常生活の中に健全な利用習慣を築く手助けをする姿勢が求められます。


行動5: 行きたくないのか、行く気力がないのか見極める – 子どもの本当の気持ちを理解する

不登校の背景にはさまざまな原因が潜んでいます。中でも、子ども自身が「学校に行きたくない」のか「学校に行く気力がない」のか、この違いを見極めることは非常に重要です。この2つは一見似ているように思えますが、実は全く異なる心理状態を反映しています。

まず、「学校に行きたくない」場合について考えてみましょう。この場合、子どもは学校に行く意味や価値を見出せなくなっている可能性があります。もしくは、学校以外に興味や関心が強くあるため、学校生活に対して魅力を感じられなくなっているのかもしれません。こうした子どもには、無理に学校に戻すことを強制するのではなく、「他の挑戦を応援する」選択肢も考慮する必要があります。たとえば、興味のある分野の習い事や地域の活動に参加させるなど、学校以外の場での経験を通じて自己成長の機会を与えることが大切です。新しい環境での成功体験や人との交流が、自然と学校への関心を引き戻すきっかけになるかもしれません。

一方で、「行く気力がない」という場合は、子どもが心理的に大きな負担を抱えている可能性が高いです。このケースでは、ただ単に「やる気がない」という一言では片付けられません。子どもは何らかのストレスや不安によって、学校に向かう力を失っているのです。このような場合、親ができることは、まず子どもの気持ちをしっかりと受け止め、その上で具体的なサポート方法を考えることです。たとえば、子どもが「友達関係で悩んでいる」「先生との関係がうまくいっていない」など、特定の要因がある場合には、早期に学校に相談し、状況を改善する努力が必要です。学校の協力を得ながら、子どもが少しずつ安心して通える環境を整えることで、再び登校する気力を取り戻す可能性が高まります。

また、日常生活の中で子どもが小さな成功体験を積み重ねられるように手助けすることも有効です。家事の手伝いや簡単な目標を達成させるなど、子どもが「自分はやればできる」という感覚を取り戻す機会を増やしていきましょう。小さな達成感を積み重ねることで、自信を回復し、最終的には学校へ戻る力が湧いてくるのです。


おわりに: 子どもを支えることに向き合う

不登校が始まると、親もまた自分自身と向き合うことを求められます。「どうすればよいか分からない」という不安や、他の家族や友人に相談できない孤独感、そして時には「自分が悪かったのではないか」という罪悪感にさいなまれることもあるでしょう。しかし、ここで一つだけ強調したいのは、親が冷静であることが、子どもにとって最大の安心材料となるということです。不登校という現実に直面しながらも、親が「どうするべきか」を真剣に考え、子どもに対する一貫した姿勢を保つことが、子どもが社会復帰への道を歩むための支えとなります。

不登校を長期化させないために大切なのは、親が焦らず、そして甘やかしすぎず、時には厳しさを持って対応することです。子どもに「自分は必要とされている」「家族に愛されている」という実感を与えるために、親は日常の中で小さな行動を積み重ねていく必要があります。この覚悟を持って、子どもと向き合う日々を過ごすことで、やがて子どもが自分の足で立ち上がり、再び学校生活に戻る日が訪れるかもしれません。

親が変わることで、子どもは変わります。そして、家庭の中での温かい支えと信頼が、子どもの未来を照らす一筋の光となるでしょう。

関連記事:1ヶ月以上続く不登校への対処法



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不登校の鍵となる愛着障害とは?

不登校の鍵は愛着障害

目次


現代の教育現場では、不登校という問題が深刻化しています。多くの親や教師が、子どもが学校へ行かなくなったときに感じるのは「どうすればいいのか」という戸惑いや不安です。しかし、その根本的な原因にたどり着くことができなければ、どれだけ対策を講じても問題は根本的には解決しません。そして、意外にもこの不登校の問題は、幼少期の「愛着障害」に密接に関わっていることが多いのです。

愛着障害とは、幼少期において母親などの養育者との間で十分な「情緒的な絆」が形成されないことによって生じる心理的な障害です。子どもは生まれてからまず母親を求め、そこで築かれる愛着を通じて人間関係や自己肯定感の基盤を形成します。しかし、その愛着形成が阻害された場合、やがて成長するにつれ、様々な対人関係の困難や社会生活での適応不全が生じやすくなります。不登校の根底に愛着障害が存在している場合、その理解と対応が鍵を握るのです。

本稿では、不登校の背景にある愛着障害について詳しく探りながら、問題解決のために親や教育者がどのように向き合うべきかを考察します。

参考:文部科学省「不登校の要因分析に関する調査研究

愛着の形成とその重要性

愛着の発生と役割

愛着とは、乳幼児が主に母親との間に形成する「情緒的な絆」を指します。赤ちゃんが生まれて間もなく、母親に抱かれ、見つめられることで心の安定がもたらされます。そして、この絆は成長において自己肯定感や社会的な信頼感の基礎となります。愛着がしっかりと形成されると、子どもは成長する過程で自信を持ち、他者と信頼関係を築く力を養うことができるのです。

愛着の形成が良好であれば、子どもはたとえ親と一時的に離れても、心に安定を保つことができます。しかし、愛着が未成熟である場合、外界に対して不安や恐怖心が先立ち、対人関係で過度な依存や逆に無関心を示すなどの行動が見られることが多くなります。適切な愛着は子どもにとって「心の安全基地」であり、そこが揺らぐと様々な問題が生じるのです。

愛着形成の阻害要因

愛着が十分に形成されない原因として、母親や養育者が心の余裕を失っている状況が挙げられます。例えば、母親が精神的な不安定さを抱えていたり、離婚や家庭内の混乱が頻繁に起こる場合、子どもに安心感を与える環境が提供されにくくなります。また、母親の過度な依存や虐待、ネグレクトなどが存在すると、愛着形成は著しく阻害されます。

また、社会の変化によっても愛着形成は影響を受けます。例えば、女性の社会進出が進み、保育園などでの育児が一般化したことによって、母親と長時間過ごす機会が減少したことも愛着形成を阻害する要因の一つとして考えられます。しかし、必ずしも保育園や託児が悪影響を及ぼすわけではありません。3歳以降であれば母子分離も問題とされないことが多く、むしろ育児に対する理解やサポートの充実が重要です。

愛着障害の種類と特徴

愛着障害には、大きく分けて「反応性愛着障害」と「脱抑制型愛着障害」の二種類があります。それぞれがどのような特徴を持つのかを見ていきましょう。

反応性愛着障害

反応性愛着障害は、適切な愛着形成の機会を与えられず、母親や養育者に対して十分な信頼や安心感を抱けない状態です。この障害を持つ子どもは、愛情に対して反応せず、養育者との間に距離を置こうとする傾向があります。主な症状としては以下のようなものが挙げられます。

  • 母親への接近や接触を避ける
  • 呼びかけに反応せず無関心な態度を示す
  • 母親からの愛情や慰めに対して無反応である

これらの症状は、他者への不信感や自己肯定感の低さの表れであり、学校においても他者との関係を築くことが難しくなりがちです。学校生活で周囲と壁を作り、自分の殻に閉じこもるような行動に繋がりやすいのも、この愛着障害の特徴です。

脱抑制型愛着障害

脱抑制型愛着障害は、母親との間に適切な境界が形成されず、誰にでも過度に甘えたり依存する傾向を持つ状態です。この障害を持つ子どもは、母親から離れても不安を感じず、他者に対しても境界なく接近することがあります。主な症状には以下のようなものが挙げられます。

  • 誰にでもすぐに懐き、過剰に甘える
  • 母親から離れても不安や恐怖を感じない
  • 母親からの愛情や好意に対して過剰に反応する

脱抑制型愛着障害の子どもは他者に対して過度な親密さを見せるため、周囲との適切な距離感を持つことが難しくなります。また、家庭や学校において人間関係の問題が生じやすく、不登校の一因となる場合も少なくありません。

不登校と愛着障害の密接な関係

不登校の背後には、愛着障害が隠れていることが多いです。愛着障害を抱えた子どもは、他者と健全な関係を築くことが難しく、その結果、学校という場での適応に大きな困難を抱えます。学校生活には集団生活の中での協調や、他者とのコミュニケーションが不可欠です。しかし、愛着障害を抱える子どもにとっては、学校は「他者に囲まれた場」として強い不安を引き起こす場所になりがちです。

さらに、不登校の子どもが家庭で感じる居心地の良さが、愛着障害によって阻害されている場合もあります。家庭が子どもにとって安心できる場所でない場合、子どもは居場所を求めることができなくなり、学校へ通うことへの不安も増幅されるのです。愛着障害が解消されないままでは、不登校を根本的に解決することが困難なのです。

親が直面する愛着障害の連鎖

愛着障害の問題において、非常に重要なのが「親自身の愛着障害」です。子どもに愛着障害が見られる場合、その親もまた同じように幼少期に愛着障害を抱えていたことが多いとされています。これは「愛着の連鎖」とも呼ばれ、親が自らの愛着問題を解消できないまま育児に携わると、子どもに同じ問題を引き継がせてしまう可能性が高まるという現象です。

愛着障害を抱える親は、子どもに対して不安定な愛情を注ぎがちです。「本当に愛しているのだろうか」「自分は子どもを幸せにできるのだろうか」といった自己疑念が絶えず湧き上がり、それが子どもに伝わります。このような親から育てられた子どもは、愛情の一貫性を感じられず、また不安定な愛情を与えられることにより愛着障害を発症しやすくなります。

愛着障害の図

愛着障害の克服と不登校解消への道

ここまで述べたように、不登校問題の解決には、まず愛着障害に向き合うことが不可欠です。愛着障害は決して治らないものではありません。むしろ、理解し、適切なサポートを受けることで、徐々に改善が期待できるのです。そのためには、親子双方が「愛着」というテーマを正面から見つめ直し、健全な親子関係の構築に努める必要があります。

家庭の居場所作り

不登校の子どもが学校に戻るためには、まず家庭が安心できる居場所である必要があります。家庭が子どもにとって心の拠り所となり、親が温かく支えてくれる存在であると感じることで、学校という外の世界へ再び目を向けることができるのです。親が子どもに対して無条件の愛情を示し、どんな状態であっても「ここにいていいんだ」と感じさせることが最初の一歩です。

親自身の愛着障害に向き合う

愛着障害の克服には、親自身もまた自らの愛着障害と向き合い、必要であれば専門的なサポートを受けることが必要です。親が自己理解を深め、愛情を与える力を取り戻すことで、子どももまたその愛情を受け入れやすくなります。親が心から子どもを愛し、支えたいと願う姿勢を見せることで、子どももその姿勢に応じて成長していきます。

結論

不登校の問題解決には、愛着障害への理解が欠かせません。不登校の背後には、往々にして愛着形成の問題が潜んでおり、それが親子関係や学校生活において様々な問題を引き起こしています。親がまず自分の愛着問題に向き合い、家庭の中で安心できる居場所を子どもに提供することが、不登校の解消に向けた一歩です。そして、愛着障害は決して克服できない問題ではありません。理解し、向き合うことで、親子の間に新たな絆が生まれ、子どもは自信を持って社会へと歩みを進めることができるようになるのです。

関連記事:再登校の鍵は「子ども・親・学校」のリボンモデル



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傾聴の基本と応用とは?

傾聴の基本と応用。子どもが伸び伸びと外で挑戦できるように。

目次


「子どもは親の言うことを素直に聞くべきだ」——かつての日本社会ではこのような考え方が主流でした。しかし、近年の児童心理学の発展とともに、「子どもは育てるものではなく、育つもの」という新しい視点が注目されています。この言葉は単なるキャッチフレーズではなく、親子の関係や教育の根本を考え直す上で非常に重要な意味を持っています。

現代の日本社会において、不登校や引きこもりの問題は依然として深刻です。子どもが学校に行きたがらなかったり、家から出たがらなかったりする状況は、単に怠けや甘えと決めつけては解決しません。むしろ、家庭の信頼関係やコミュニケーションの不足がその背景に隠れていることが多いのです。

そこで、今回は「傾聴」という心理的なスキルについて、その基本から応用までを掘り下げ、子どもとの信頼関係をどのように構築し、問題を解決していくのかについて考えていきたいと思います。

参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について

傾聴とは何か

傾聴とは、相手の言葉や感情に対して注意深く耳を傾け、共感的に理解しようとする姿勢のことです。単に「話を聞く」という行為とは異なり、相手の内面的な感情や考え方にまで焦点を当て、その心情に寄り添うことを目指します。傾聴の基本には、以下の三つの要素があります。

1. 子どもを受け入れる

まず、子どもの言葉や感情を評価したり否定したりせず、そのまま受け入れることが大切です。「なんでそんなことを考えるの?」「それは間違っているよ」と否定から入ると、子どもは心を閉ざしてしまいます。大人の価値観や常識から逸れているように感じても、子どもが感じた事実は子ども自身にとって重要なものです。その感情を否定せずに受け止める姿勢が、信頼関係の土台を作ります。

2. 共感を示す

ただ話を聞くだけでは不十分です。話し手である子どもが「自分の気持ちを理解してくれている」と感じられるよう、共感的な態度を取ることが求められます。例えば、子どもが学校でいじめにあった経験を語っているときには、「それは本当に辛かったね」「嫌な思いをしたんだね」と、子どもの感情に寄り添う言葉をかけることが大切です。

3. 子どもの話を引き出す

傾聴は一方的な受動的行為ではなく、話し手が自分の思いをより深く表現できるようサポートすることでもあります。「その時、どう感じたの?」や「もう少し詳しく教えてくれる?」といった質問を投げかけることで、子どもが自分の内面を見つめ直し、自らの言葉で語る機会を提供します。

傾聴の基本から応用へ

では、傾聴の基本を理解したうえで、具体的にどのように応用していくべきでしょうか。家庭内での信頼関係を築くためには、基本的な傾聴のスキルを実践しつつ、子どもとの対話を深める工夫が必要です。

無言のメッセージに気づく

子どもは必ずしも自分の気持ちを言葉にして表現できるわけではありません。特に、内向的で感情を外に出しづらい子どもにとって、自分の思いを伝えるのは困難です。そのため、親は子どもの仕草や表情、沈黙からも心情を読み取る努力をすることが重要です。「今日は学校のことを話したくないんだな」「何か不安そうな表情をしているな」といったサインを見逃さないようにし、それを元に会話を始めることが信頼関係の構築につながります。

質問の仕方を工夫する

親として、子どもに「どうして?」と問い詰めたくなる場面は少なくありません。しかし、問い詰めるような質問は子どもにとっては圧力となり、正直な気持ちを語ることを妨げます。「どうして学校に行きたくないの?」という質問は、「何があったのかな?」や「最近、どんなことがあった?」というように、より柔らかく具体的な質問に変えることが効果的です。質問の仕方を工夫することで、子どもが自ら話しやすい環境を整えられます。

傾聴の実践と効果

子どもは育てるものではなく、育つものである

「子どもは育てるものではなく、育つもの」という考え方は、親が子どもに対してコントロールや支配をせず、成長を見守り、必要な支援を行うことを意味します。これは単に「放任主義」とは異なり、子どもが自己成長を遂げる過程でのサポートが重要であるという考え方です。親の役割は、子どもが自分の意思で行動し、自己の価値を見出していくための環境を整えることにあります。

過干渉がもたらす弊害

過干渉や過保護は、子どもにとって一見「愛情深い」行為に見えるかもしれませんが、実際には子どもの自立を妨げる結果につながることがあります。子どもが何か困難に直面したとき、親がすぐに手を差し伸べてしまうと、子どもは自分で問題を解決する経験を積む機会を失います。困難に直面することは成長の一部であり、そのプロセスを見守ることが重要です。

信頼の失われた子どもたち

子どもが自分の考えや感情を尊重されないまま育つと、親に対する信頼を失いやすくなります。親が子どもの意見を否定したり、自分の価値観を押し付けたりすることが続くと、子どもは「どうせ話しても無駄だ」と感じ、心を閉ざしてしまいます。この状態が長引くと、不登校や引きこもり、さらには非行といった問題行動に発展することも少なくありません。

傾聴の意味を子どもに伝える

傾聴の重要性は、親だけが理解していれば良いわけではありません。子ども自身も、他者と良好な関係を築くためのスキルとして、傾聴を身につけることが大切です。では、どのようにして子どもに傾聴の意味を伝え、実践させることができるでしょうか?

親が傾聴の手本を見せる

子どもは親の行動をよく観察しています。親が日常的に傾聴の姿勢を示すことで、子どもも自然とその態度を学ぶことができます。例えば、親が兄弟間のトラブルに対して公正な立場で話を聞き、互いの意見を尊重して解決策を見つけようとする姿勢を見せることが、子どもへの良いお手本となります。

小さな成功体験を積ませる

傾聴を実践することによって得られる成果を、子どもが実感できるようにすることも重要です。例えば、友達とのけんかの際に「相手の話をよく聞いてみよう」とアドバイスし、その結果として和解できた経験を振り返るといった形で、傾聴の効果を確認させると良いでしょう。このような成功体験が子どもの自信を育み、他者への共感を育てる一助となります。

傾聴がもたらす親子関係の変化

傾聴の実践を通じて、子どもは次第に自分の感情を素直に表現することができるようになります。また、親も子どもの成長や変化を受け入れる姿勢を身につけ、親子関係はより深い信頼に基づいたものへと変化していきます。この信頼関係が築かれることで、不登校や引きこもりの問題を未然に防ぐことができるだけでなく、子どもの自己肯定感や対人スキルの向上にも寄与します。

自己肯定感の向上

傾聴によって、子どもは自分の感情や考えが尊重される経験を積みます。これは自己肯定感の向上につながり、自己表現や対人関係に対する不安が軽減されます。親に「自分は受け入れられている」と感じることで、子どもは積極的に自己表現をし、他者とのコミュニケーションを楽しむことができるようになるのです。

問題解決能力の向上

傾聴を通じて子どもは自己反省や問題解決のスキルを学びます。親が子どもの意見を受け入れ、その上で問題を一緒に解決する姿勢を見せることで、子どもは「問題をどう捉え、どのように解決していくか」を学ぶ機会を得ます。このスキルは学校生活や将来の社会生活において非常に重要です。

結論

傾聴は単なる技術や方法論ではなく、子どもとの信頼関係を築くための「心構え」でもあります。親が子どもの言葉や感情を受け入れ、共感し、対話を深めることで、子どもは自らの成長を実感し、自己肯定感を高めていくことができます。

「子どもは育てるものではなく、育つもの」という考え方は、親が子どもを信じ、成長を見守る姿勢を示すことを意味します。そして、そのための鍵となるのが傾聴です。家庭内での信頼関係を深めるために、まずは親が傾聴の姿勢を身につけ、それを日常生活の中で実践していくことが求められます。

親子の信頼関係が強まることで、子どもは困難な状況においても自らの力で立ち向かうことができるようになります。傾聴の基本と応用を理解し、日々の生活の中で少しずつ取り入れていくことで、子どもたちがより良い成長を遂げ、家庭が安心できる居場所となることを願っています。



ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

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不登校解決の鍵は会話の機会を増やすこと

不登校解決の鍵は会話の機会を増やすこと

目次


現代の日本社会では、不登校や引きこもりが増加しています。その原因は多岐にわたりますが、共通するのは「子どもが孤立している」という状況です。不登校が始まると、子どもだけでなく親も精神的に追い詰められ、家庭全体が苦しい状況に陥りがちです。しかし、その苦しい状況にあっても、解決のためには「会話の機会を増やすこと」が何よりも重要です。ここでは、不登校問題の解決に向けた一つの提案として、親子の会話の重要性について考えていきます。

参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について

子どもの孤立と自己否定

不登校の子どもたちは、家庭内でも学校でも「自分は必要とされていない」という思いにとらわれやすくなります。学校に行けないことで、自己肯定感はどんどん下がり、「自分はダメな人間だ」「自分は迷惑をかけている」といった自己否定の感情が膨らみます。この自己否定が強まると、外の世界との接点を持つこと自体が苦痛に感じられるようになり、結果として引きこもりに至るケースも少なくありません。

ここで重要なのは、「子どもを一人にしない」ということです。不登校が続くと、親はどうしても子どもとのコミュニケーションを避けてしまうことがあります。気まずさや心配が先に立ち、「何を話せばいいのか分からない」「余計なことを言って子どもを傷つけたくない」と思いがちです。しかし、親子の会話が減少すると、子どもは自分の中にあるネガティブな感情をどんどん内に溜め込んでしまいます。

親子共に落ち込んでしまう現実

不登校の問題は、単に子どもだけの問題ではありません。親もまた、子どもの状態に対して大きなショックを受け、心配や焦り、無力感にさいなまれます。特に、「なぜ自分の子どもだけが不登校なのか」「自分の育て方が悪かったのか」と自分を責める親も少なくありません。

しかし、親が落ち込んでしまうと、子どもはさらに「親に申し訳ない」という気持ちを抱くようになります。これは悪循環を生み、親子共に深い苦しみの中で身動きが取れなくなります。ここで大切なのは、不登校を特別なものにしすぎないことです。もちろん、深刻な問題であることは間違いありませんが、それによって家庭の日常が大きく変わってしまうと、子どもにとって「自分のせいで家族が壊れてしまった」といったさらなる罪悪感を生む可能性があります。

日常の維持と会話の場としての食事

では、具体的に親子の会話の機会を増やすためにはどうすればよいのでしょうか? その基本は「食事の場」にあります。食事というのは、人間が生きる上で欠かせないものであり、また家族が自然と顔を合わせる貴重な機会です。だからこそ、この食事の場を大切にすることが重要です。

不登校の子どもは、自室にこもりがちで、食事も自室で一人で取ることが多くなりがちです。しかし、これでは親子のコミュニケーションが希薄になり、子どもが孤立感を深めてしまうだけです。たとえ子どもが無理をしてでも、リビングで家族と一緒に食事を取ることを促すべきです。この場で無理に会話をしようとしなくてもよいのです。最初はただ一緒に食べるだけでもかまいません。

食卓での会話

無理のない会話の始め方

親としては、子どもとの会話を「何か問題を解決するための手段」として捉えがちです。しかし、会話はあくまで「お互いの存在を確認するための時間」と考えるべきです。つまり、「何を話すか」ではなく、「同じ時間を共有すること」に重きを置くべきです。

例えば、子どもが食事中に無言でも、無理に話しかける必要はありません。親が楽しそうに食事をしたり、くつろいでいるだけでも十分です。その場の雰囲気が和やかであれば、子どもも少しずつリラックスし、次第に口を開くようになります。

また、子どもが話しかけてきたときには、全身全霊で耳を傾けることが大切です。このとき、親はアドバイスや説教をするのではなく、ただ聞くことを心掛けてください。子どもは自分の気持ちを話すことで、自分の中で整理しようとしているのです。そのプロセスを尊重することが、親としての最大のサポートになります。

子ども部屋での食事が引き起こす孤立

子ども部屋で一人で食事を取ることは、子どもをさらに孤立させる要因となります。食事は単なる栄養摂取の場ではなく、人と人とがつながりを持つ大切な時間です。だからこそ、子どもがどれほど抵抗を示しても、可能な限り家族と一緒に食事を取ることが重要です。

もちろん、子どもが完全に拒絶する場合もあります。そのようなときには、無理強いするのではなく、少しずつ段階を踏んで進めることが大切です。例えば、最初はリビングで一緒に食事をするだけでなく、同じ時間に同じ場所にいることから始めても良いでしょう。子どもが少しずつリビングに顔を出すことに慣れれば、自然と会話の機会も増えていきます。

親の焦りと心の余裕

親としては、子どもがいつまでも学校に行けない状態が続くことに焦りを感じるのは当然です。しかし、その焦りが子どもに伝わると、子どもは「親の期待に応えられない自分」を責めることになります。焦りや不安を抱えていると、つい子どもに「どうして学校に行けないの?」「いつになったら行けるの?」と詰め寄ってしまいがちですが、これは逆効果です。

親はまず、自分の気持ちに余裕を持つことが重要です。そのためには、自分自身のストレスケアやリフレッシュの時間を意識的に作ることが必要です。親が心に余裕を持てば、自然と子どもに対して優しく接することができ、子どもも安心して自分の気持ちを表現できるようになります。

まとめ

不登校の問題に対して、親ができる最大のサポートは「子どもとの会話の機会を増やすこと」です。会話とは、ただ言葉を交わすだけではなく、同じ時間を共有し、相手の存在を認める行為です。そのためには、食事の場を大切にし、親子で一緒に過ごす時間を意識的に作ることが重要です。

また、親は焦らずに、子どものペースに合わせてゆっくりと進めることが求められます。子どもが無理をしてでもリビングで一緒に食事をすることができれば、それが会話の糸口となり、少しずつ信頼関係を築いていくことができます。

最後に、不登校という問題を「特別なもの」として捉えすぎず、家庭の日常を維持することが重要です。子どもは親が想像する以上に繊細であり、家族の雰囲気や態度に敏感です。親が落ち着いて日常を送ることで、子どもも安心して自分の気持ちを整理し、少しずつ前向きに変わっていくことができるのです。


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不登校を解決すべき理由とは?

不登校を解決すべき理由「社会との繋がりを保つ」

目次


不登校の子どもたちが抱える悩み

 不登校の子どもたちが抱える悩みは、単に「学校に行きたくない」という表面的な問題にとどまりません。その根底には、社会との繋がりを失うことへの深い不安が潜んでいます。

「社会との繋がりを保つ」ことの重要性は、これまでも多くの研究で指摘されてきました。例えば、アメリカの社会学者マーク・グラノヴェターは、彼の代表的な論文「弱いつながりの力」の中で、人間関係の多様性が、新たな情報や機会をもたらし、個人の成長に不可欠であると論じています。1
この考えを不登校の子どもたちに当てはめると、学校という場での多様な人間関係が、彼らが社会性を学び、自己肯定感を高める上で非常に重要な役割を果たしていることがわかります。

しかも不登校の子どもたちは、学校という社会から切り離されることで、これらの貴重な経験を失ってしまうだけでなく、孤立感や孤独感を深めるリスクも高まります。心理学者のエリクソンは、発達段階論において、青年期はアイデンティティ形成の重要な時期であると述べています。2
不登校によって、同世代との交流や、社会における自分の役割を模索する機会を失った子どもたちは、健全なアイデンティティを形成することが難しくなる可能性が高まります。

不登校を脱却するためのツール

では、不登校の子どもたちが社会との繋がりを保つためには、どのような支援が必要なのでしょうか。

着目すべき手がかりは家庭にあります。子どもにとって最も身近な存在であり、最も大きな影響力を持つ場所です。特に、認知行動療法という手法を用いて家庭を軸に子どもの意識を変えていくことは、実績という点でも不登校の改善に非常に有効です。3

認知行動療法とは、私たちの考え方(認知)と行動が、感情や行動に大きな影響を与えるという考え方に基づいた心理療法です。不登校の子どもたちは、学校に対する不安や、自分自身に対する否定的な考え方を抱いていることが多く、これらの認知が行動に影響を与え、結果として不登校という状況を生み出していると考えられます。

認知行動療法では、まず、子どもがどのような状況で不安を感じ、どのような思考をするのかを具体的に把握します。そして、その思考が現実と合致しているのか、歪んでいるのかを客観的に評価します。
例えば、「学校に行くと必ず嫌なことが起こる」というような、現実に合わない否定的な思考を「もしかしたら今日は大丈夫かもしれない」というような、より現実的な思考に置き換えていくことを目指します。

次に、現実逃避的な行動を減らし、少しずつ学校に近づいていくための具体的な行動目標を設定します。例えば、「今日は玄関まで出てみる」、「今日は学校の校門の前まで行く」など、小さな目標から始め、徐々にステップアップしていくことで、成功体験を積み重ね、自信をつけていくことができます。

家庭で出来る認知行動療法の実践

具体的には、以下のように子どもを効果的に支援することができます。

  • 子どもの感情に共感する
    子どもが不安を感じている気持ちを否定せず、共感的に受け止めましょう。
  • 現実的な思考を促す
    子どもが抱えている不安な気持ちを具体的に話し合い、その根拠を一緒に考えてみましょう。
  • 小さな成功体験を積み重ねる
    学校に行くこと以外にも、家事の手伝いやボランティア活動など、子どもが成功体験できる機会を提供しましょう。
  • 目標達成をサポートする
    子どもが設定した目標に向かって、一緒に努力し、達成感を共有しましょう。

認知行動療法は、専門家の指導の下で行うことが理想的ですが、保護者も、ある程度の知識とスキルを身につけることで、家庭の中で実践することができます。

このように不登校の子どもたちの社会との繋がりを保つためには、家庭を軸とした認知行動療法が有効です。
家庭は、子どもにとって最も安全で居心地の良い場所であり、そこで行われる支援は、子どもたちの心に深く根ざします。認知行動療法を通じて、子どもたちは、自分の考え方や行動を変え、自信を取り戻し、新たな一歩を踏み出すことができるでしょう。

  1. Granovetter, M. (1973). The strength of weak ties. American Journal of Sociology, 78(6), 1360-1380. ↩︎
  2. Erikson, E. H. (1968). Identity: Youth and crisis. W. W. Norton & Company. ↩︎
  3. 認知行動療法を用いた不登校解決に関連する論文(CiNii Research) ↩︎

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親が子どもと一緒に登校すべきか?


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参考:文部科学省「これからの家庭教育の在り方
参考:文部科学省「家庭教育支援の具体的な推進方策について

子どもが学校に行きたがらないとき、親として本当にすべきことは何か

子どもが「学校に行きたくない」と言い出したとき、多くの親は不安と戸惑いを抱えます。責めるべきか、受け入れるべきか、学校へ行かせるよう強く促すべきか――正解が見えず、混乱するのは自然なことです。ただ、まず最初に知っておいてほしいのは、「子どもが学校に行きたくない理由」は、表面だけでは見えてこないということです。

学校を拒否する背景には、いじめ、友人関係の不安、学業へのプレッシャー、教師との相性、HSP(非常に敏感な気質)、起立性調節障害といった身体的要因、さらには家庭環境の影響など、多岐にわたる原因が存在します。子ども自身もそれを明確に言語化できないケースが多く、「なんとなく嫌だ」「疲れる」「意味がない」といった曖昧な言葉でしか表現できないこともあります。

このような状況で、親がすべきことは「問い詰める」ことではなく、「聞く姿勢を持つ」ことです。子どもが話し始めるタイミングを待ち、安心して話せる空気をつくることが出発点になります。「なんで?」「行かなきゃダメでしょ?」という言葉よりも、「そう思ったんだね」「話してくれてありがとう」と伝えることが、子どもにとっての安心感と信頼に繋がります。

また、学校に行かないという選択を責めず、「今は休むことも大切」と受け止める姿勢も必要です。無理に登校させることで状況が悪化し、不登校が長期化するリスクは少なくありません。一度崩れた心の状態は、短期間では回復しません。回復には「安全な場所」と「理解者」の存在が不可欠です。そしてその最も重要な理解者が、他でもない親なのです。

親は「なんとかしなければ」と思うかもしれませんが、実は「解決しようとしすぎないこと」が鍵となります。子どもの内面が安定し、信頼関係が育つことで、次第に自分の言葉で今の気持ちを表現できるようになります。その時が、次のステップに進むタイミングです。

「一緒に学校へ行く」は助けになるのか、それとも依存を深めるのか

子どもが「お母さんが一緒じゃないと学校に行けない」と言う場面は、決して珍しくありません。登校しぶりが強くなると、親が付き添って登校することも検討されます。一見、親が付き添えば子どもは安心し、学校に戻れるように思えるかもしれません。ですが、この対応には注意すべきポイントがあります。短期的には効果があるように見えても、長期的には子どもの「自立する力」を削ぐリスクがあるからです。

まず、親が付き添いを続けることで、子どもは「自分はひとりでは動けない」「親がいないとダメなんだ」と無意識に刷り込まれていきます。これが依存の始まりです。特に低学年では、親の存在は絶対的であり、子どもが不安を感じたときに頼りたくなるのは当然です。ただ、それを長期的に続けてしまうと、子ども自身が「自分の足で進む」練習を奪われてしまいます。

また、親が常にそばにいてくれることが「特別な注目を得る手段」として機能してしまうと、子どもは無意識にその状態を維持しようとします。例えば「学校に行かないと親が自分にかまってくれる」「つらいときは助けてもらえる」という形で、親のサポートを無限に求める状態に陥りやすくなるのです。これは悪意があっての行動ではなく、防衛反応であり、環境に適応しようとする子どもなりのサバイバルですが、結果的には自立心の育成を妨げる要因になります。

さらに、「一緒に行ってあげる」ことに親が慣れてしまうと、次にやめるタイミングが難しくなります。「ここまでは一緒に…」というラインが日々後退し、親がいなければ一歩も学校に近づけないという状態に陥るケースも少なくありません。その結果、登校がより大きな壁となり、「学校=不安な場所」「親がいない=行けない」が強化されていきます。

こうしたリスクを踏まえると、親が付き添うのは「短期的な不安緩和の手段」であって、「長期的な支援の柱」にはなり得ません。必要な場合は、あらかじめ「◯月まで」や「校門まで」など、期限や範囲を決めておくことが大切です。その上で、段階的に手を離していく仕組みを作っておくことが、子どもの自立を支えるポイントになります。

子どもが一人で学校に行けるようになるための具体的ステップ

子どもが再び一人で学校に通えるようになるには、いきなり登校を促すのではなく、段階を踏んで少しずつ進めていく必要があります。これは、子ども自身が「できる」と思える小さな成功体験を積み重ね、自信を取り戻していくプロセスです。焦らず、着実に進めることが何より重要です。

まず必要なのは、「子ども自身が安心できる土台づくり」です。これは、家庭内でリラックスできる環境を保ち、親が子どもの話を否定せずに受け止めることによってつくられます。信頼関係が築かれていなければ、どんな支援も表面的なものになってしまいます。話をする時間を日常的に確保し、学校に関する話題に限らず、趣味や好きなことを通じて気持ちのやりとりを積み重ねましょう。

次に、「段階的な目標設定」が有効です。たとえば「制服を着てみる」「決まった時間に起きてみる」「家の前まで出てみる」「学校の前まで行ってみる」など、学校に行くことそのものをゴールとせず、行動を細かく分けて設定することがコツです。このとき、無理に進ませるのではなく、子どもが「これならできそう」と思えるレベルを見極めることが必要です。設定した目標を達成した際は、過剰ではない程度のご褒美や言葉のフィードバックを加えることで、「やってみてよかった」という気持ちを育てていきます。

また、学校側との連携も欠かせません。担任の先生やスクールカウンセラーと情報を共有し、子どもの状況に応じた支援を調整していくことが求められます。教室に戻る前に保健室登校から始めたり、放課後の時間に先生と短時間だけ話す機会をつくったりするなど、「学校と関わるための中間的ステージ」を設けてもらえるように相談しましょう。

さらに、親がすべきことは「登校させるために励ますこと」ではなく、「どんな状態の子どもでも認めること」です。登校できない日が続いたとしても、生活リズムを保ち、自分の気持ちを言葉にできるようになってきたとしたら、それは立派な前進です。たとえ登校という結果がすぐに出なくても、プロセスに目を向けて肯定的にとらえる姿勢が大切です。

最終的な目標は、子どもが「自分で決めて、自分で動ける」ことです。親が先回りして道を整えるのではなく、子ども自身が選び取っていけるように、後ろから支える感覚が理想です。うまくいかない日があっても、それは「失敗」ではなく、必要なステップのひとつ。親が落ち着いて構えることで、子どもも自分のペースを保ちやすくなります。

最後に

子どもが学校に行けない状態は、親にとってもつらいものです。「どうしてうちの子だけ?」「このままで大丈夫なのか?」と、不安や焦り、時には自己否定の感情が湧いてくることもあるでしょう。でも、まず知っていてほしいのは、不登校は「特別な問題」ではなく、「よくある現実」だということです。誰にでも起こり得ることであり、正しく向き合えば、子どもは少しずつ自分の道を見つけていきます。

大切なのは、「いま目の前にいる子ども」に寄り添うことです。学校に行けるかどうかを焦点にするのではなく、その子が「安心して毎日を過ごせているか」「本音を話せる相手がいるか」「自分の価値を感じられているか」という視点で見てあげてください。そうした積み重ねが、やがて子ども自身の「行ってみよう」「やってみよう」という気持ちを育てていきます。

親としてできることは、子どもの背中を押すことではなく、隣に座って「一緒に考える」ことです。決して完璧な対応をしなくていいし、うまくいかない日があっても問題ありません。迷いながらでも、子どものことを思って動いている限り、それはすでに十分な「支援」になっています。

子どもは、今「止まっている」ように見えても、心の中では確実に動いています。その動きはとてもゆっくりで、見えにくいかもしれませんが、小さな安心、小さな成功を重ねることで、やがて自分の足で一歩を踏み出します。親はその一歩を信じて、見守ってあげてください。

最後に、あなた自身の心と体の健康も忘れずに。子どものサポートは長期戦になることもあります。ときには周囲のサポートを借りて、自分を責めすぎないようにしてください。あなたが元気でいることが、子どもにとって最大の安心材料になります。


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不登校関連サービスの悪質業者の特徴とは?

不登校関連サービスの悪質業者の特徴と対策

目次


不登校はお子様にとってもご家族にとっても、心の葛藤や苦痛を伴う問題です。解決のためには、お子様の個性や状況に寄り添った最適なアプローチが不可欠です。

しかし消費者庁によると近年、不登校解決を謳い文句とする悪質なサービス業者が増加しており、多くの家庭が被害にあっています。本稿では、そのような業者の特徴と対策について紹介していきます。

不登校サービスの選び方

参考:文部科学省「今後の不登校への対応の在り方について

1. 不登校サービスの悪質業者の特徴

1.1 無料相談からの費用提示

 悪質な不登校解決のサービス業者は、巧みな言葉で親御様の不安につけ込み、高額な費用を請求します。特徴は、LINEなどの無料相談や無料セミナーで対面の機会を設け、「不登校の解決」という断ることで愛情不足に見えてしまうテーマを持ち出して申し込みに繋げさせる手法です。無料相談を行ったとしても、毅然とした態度で判断を保留する勇気が大切です。

また、Webサイト上で正確な費用を公開していないサービスは特に注意が必要です。

1.2 高額な費用を請求する

消費者庁に相談が上がる傾向から、目安としては20万円以上の費用を請求する業者は悪質な可能性が高くなります。

不登校は高額な費用を支払っても、効果が保証される訳ではありません。むしろ、お子様を心配する気持ちを悪質なサービス業者に利用されてしまう可能性があります。セールストークに惑わされず、冷静に判断することが重要です。

1.3 その場での契約を勧める

契約を急がしたり、強引な勧誘をする業者は要注意です。「この場で申し込めば割引します」「申込者が多数のため、今申し込まないとサービス提供が遅れてしまいます」といった発言があった場合、一層の冷静さが必要となります。

また、契約内容を明確に説明せずに曖昧なまま契約を迫る場合は、契約内容の説明を求め納得してから契約しましょう。

悪質なサービス業者は、巧みな言葉で親御様の不安につけ込み、高額な費用を請求します。上記のような特徴に当てはまる業者は、利用を控えることを強く推奨します。

2. サービス選びの前にすべきこと

不登校は、お子様にとって心の機微に大きく関連する問題です。解決には、お子様の個性や状況に寄り添ったアプローチが不可欠です。

2.1 子どもの状況を把握する

不登校には様々な要因があります。つい、学校に嫌なことがあって登校できないと思いがちですが、学校が嫌ではないけれど登校の気力が出ない場合や、親と離れたくない場合もあります。また学校が嫌だとしても、人間関係なのか、先生なのか、もしくは体育や人前での発表など、ストレスを感じる部分は人それぞれです。

お互いに辛いことではありますが、対話の機会を持つことは長い目で見ても大切です。

2.2 学校や地域の支援機関も検討

不登校解決サービス以外にも、学校や地域の支援機関など、様々な支援の選択肢があります。利用するかは別として、比較材料として把握しておくと最適な手段を選びやすくなります。

  • 学校の支援
    • 担任の先生やスクールカウンセラー
      • 個別面談やグループワークを通じて、心の悩みや学習の遅れなどを相談できます。
      • 学校生活への復帰をサポートする具体的なプランを一緒に立ててくれます。
    • 特別支援教育コーディネーター
      • 学習障害や発達障害など、特別な支援が必要な生徒に対して、適切な教育環境を整えるための相談に乗ります。
    • スクールソーシャルワーカー:
      • 家庭環境や経済的な問題など、生徒を取り巻く様々な状況に対応し、必要な支援につなげます。
  • 地域の支援機関
    • 教育相談センター
      • 不登校に関する専門的な相談に応じ、適切な支援機関を紹介します。
      • 学習支援や集団活動など、様々なプログラムを提供している場合があります。
    • 児童相談所
      • 子ども虐待やネグレクトなど、より深刻な問題を抱えている場合に相談できます。
      • 保護者の養育支援や、子どもの一時保護なども行っています。
    • NPO法人や民間団体
      • フリースクールや学習塾など、多様な選択肢があります。
      • 個々の生徒のニーズに合わせて、柔軟な支援を提供しています。

まずは学校を頼るのが、登校後を考えても良い結果に繋がる場合が多いです。ただ、どのような場合でも個別のサービス業者を単独の相談先として選ぶのは避けましょう。冷静な判断が難しくなります。

3. サービスの比較方法

サービス選びの際は、以下の点に焦点を当てて情報収集を行いましょう。

  • サービス内容:
    どのようなサポートを提供しているのか、具体的に確認しましょう。子どもとの面談はあるのか、親はどのような役割を果たせばいいのか、再登校に至らなかった場合はどのようなサポートがあるのか、などがポイントになります。
    最も大切なのは、お子様の現状の課題を解決できるサービスかどうか、です。「不登校を解決します」ということは簡単ですが、不登校は複雑な状態です。どのような子どもでも必ず成果を出す、と謳うサービスには、その根拠を確認しましょう。
  • 費用:
    サービス内容に見合った費用設定かどうか、複数のサービスを比較検討しましょう。無形のサービスのため適正価格が非常に見えにくく、判断は難しいと思います。
    そのため再登校を提供するサービスを横並びにすることで、ある程度水準が見えてきます。現状、再登校の支援は一式で10〜20万円程度が相場となっています。
    また、途中解約の返金について曖昧でトラブルになるケースが報告されていますので、この点も注意が必要です。
  • 実績、評判:
    過去の利用者の声や実績を確認しましょう。ただしサービスサイト自体の利用者の声は、再登校が成功した状態の評価であることや、架空の評価である可能性にも留意しましょう。ステルスマーケティングに注意しつつ、外部の口コミやレビューなども参考にしてみましょう。

4. サービスの決め方

不登校解決サービスの中には、数十万円もの高額な費用を請求するケースが目立ちます。確かに、専門性の高いサービスには高額な費用がかかる場合もありますが、必ずしも費用と効果が比例するわけではありません。

大切なのは、サービス提供者の言葉を鵜呑みにせず、常に客観的な視点を持つことです。専門家の意見は参考にしながらも、最終的な判断はご自身の責任で行うという意識を忘れずに、冷静かつ慎重に検討を進めましょう。

そのためには単純ですが、有効なテクニックがあります。申し込みの際は、必ず一晩以上、回答を保留しましょう。その場で回答することは決断力の表れかもしれませんが、気持ちの昂りに依らないで決断することで、将来的な後悔を減らしやすくなります。

不登校解決サービスを選ぶ際には、不安や焦りに付け込まれないように検討し、悪質な業者に騙されないよう注意することが大切です。

参考情報

子育てチャンネル
https://note.com/re_toko/n/n5ba3a435e358
専門家の相談窓口 文部科学省「不登校・長期欠席の児童生徒等を対象とした相談窓口」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121505/004.htm
文部科学省「不登校児童生徒等のための教育機会確保事業について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00001.htm
消費者庁「不登校・長期欠席の児童生徒等を対象とした不適切な勧誘・販売に注意!」https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2023/release20231004_01.html

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ToCo(トーコ)について

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不登校の子どもが始めやすい外出とは?

不登校の子どもが始めやすい外出:一歩ずつ踏み出すためのヒント

目次


不登校の子の外出状況

不登校の子どもにとって、適度な外出は心身の健康維持や社会復帰に向けて非常に重要です。しかし、不登校の子どもの外出頻度は登校している子どもと比べて著しく低いことが明らかになっています。

文部科学省の調査によると、2022年度における不登校児童生徒の1週間あたりの外出回数は、0回が35.8%、1~2回が27.2%、3~4回が17.5%、5回以上が19.5%となっています。一方、登校している児童生徒の外出回数は、0回が8.2%、1~2回が16.3%、3~4回が27.0%、5回以上が48.5%と、不登校の子どもと比べて明らかに多くの回数を外出して過ごしていることがわかります。

外出回数(週)登校児童不登校児童
0回8.2%35.8%
1~2回16.3%27.2%
3~4回27.0%17.5%
5回以上48.5%19.5%
文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」

このように、不登校の子どもの多くは、十分な外出機会を得られていない状況にあると言えます。不登校の子どもが外に出たがらない理由はさまざまです。しかし、必ずしもそれは「学校に行きたくない」という単純な気持ちだけではありません。外出や再登校に向けた一歩を踏み出すためには、まず子どもの不安や心の内側に寄り添い、彼らがどのような壁に直面しているのかを理解することが重要です。

これから、不登校の子どもが始めやすい外出について、その「一歩」を支えるためのヒントをいくつかご紹介します。ここでお伝えする内容は、ただの「気持ちの切り替え」や「気分転換」ではなく、より本質的に子どもの心に寄り添い、無理なく自信を取り戻すための方法を探るものです。

不登校の背景と向き合うことの重要性

まず、不登校の原因や背景について再確認してみましょう。不登校になる原因は一人ひとり異なり、原因が単一であることは稀です。いじめ、勉強についていけない、教師や同級生との不和、家庭環境の変化、そして身体や心の成長に伴う自己認識の変化など、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。

多くの場合、外に出ることに対する恐れや不安は、自分の居場所や自己肯定感が大きく揺らいでいることと関係しています。学校に行かないことで「怠けている」「逃げている」と感じさせられることもあるかもしれませんが、そんな簡単なものではありません。実際には、子どもたちは自分自身に対するさまざまな疑問や否定的な思いを抱えており、その思いが外に出ることや他人と関わることに対する恐怖や抵抗感を引き起こしているのです。

ですから、まずはお子さんのそのような気持ちを尊重し、理解しようとする姿勢が大切です。「どうして学校に行かないのか」「いつになったら外に出るのか」というような直接的な質問は、子どもを追い詰めたり、余計に自己否定を強めてしまうかもしれません。むしろ、ただ一緒に過ごし、お子さんが話しやすい雰囲気を作り、「ここでは安心していられる」という感覚を持たせることが、最初のステップになります。

小さな達成感を積み重ねることから始める

不登校から再び社会に一歩踏み出すためには、「できること」を少しずつ増やし、「自分にもできる」という自信を積み重ねていくことが必要です。この「できること」というのは決して大きな目標である必要はありません。むしろ、ごく些細な日常の中に見出すことがポイントです。

自宅周辺の散歩から始める

外出を始める際のハードルが低い方法の一つとして、まずは「自宅周辺の散歩」が挙げられます。いきなり遠くへ行く必要はなく、家の近所を少し歩くだけでも十分です。この散歩が、外の空気に触れることや日光を浴びること、そして周囲の環境と関わることの第一歩となります。はじめのうちは時間も短く、例えば5分から10分ほどのごく短い散歩で構いません。「無理をしない」「嫌にならない」という感覚を大切にしながら、少しずつその時間を増やしていきましょう。

さらに、お子さんが興味を持ちやすい場所が近くにある場合、その場所まで足を運んでみるのも良いでしょう。例えば近くの公園や、小さな商店街など、静かでリラックスできる場所を見つけてください。たとえば、近所の公園にベンチがあればそこに座って風景を楽しむ時間を持つだけでも、「家から出られた」という達成感が得られます。

このような小さな成功体験が積み重なることで、「外に出ること」自体が少しずつ自然なものとして感じられるようになるのです。そして、これがさらなる外出への意欲や勇気を引き出すきっかけとなります。

ペットとの散歩で自信を高める

もし家庭で犬などのペットを飼っている場合、ペットと一緒に散歩することも良い手段です。ペットはお子さんにとっての「安心できる存在」としての役割を果たし、緊張や不安を軽減する効果があります。自分がペットを外に連れて行くことで「自分にも役割がある」「ペットのために自分ができることがある」という自己肯定感を持つことができるでしょう。ペットのために行動するという意識が、子どもにとっての「責任感」と「自信」を育てる一助となります。

また、ペットを介して他の人と関わる機会も生まれるかもしれません。たとえば近所で同じように散歩をしている人と挨拶を交わすなど、無理なく「ちょっとした会話」を経験することができます。このような自然な形でのコミュニケーション体験は、子どもにとって大きなステップであり、「人と関わることが怖くない」という感覚を少しずつ育んでいくことができるのです。

犬の散歩

家族での計画を作ることが次の一歩に

外出に向けた不安を少しずつ取り除くために、家族で「楽しい計画」を立ててみるのも良い方法です。例えば、「週末に家族で映画を観に行く」「新しいカフェでお茶をする」など、外出の目的が「楽しい経験」であると感じられるような予定を作りましょう。このとき、お子さんが無理なく参加できるような内容で、そして無理な要求をしないことが大切です。

この「計画」において重要なのは、お子さんが「自分のペースで進められる」という点です。たとえ当日になって「やっぱり行きたくない」となっても、その気持ちを尊重してあげてください。無理に連れ出すのではなく、「また次の機会にしようね」と気軽に切り替えられる姿勢で接することで、お子さんも「無理に外出しなくても良い」という安心感を持つことができます。これにより、外出に対するプレッシャーが軽減され、少しずつ外の世界への抵抗感が和らいでいくでしょう。

居心地の良い場所を見つけること

不登校の子どもにとって、「居心地の良い場所」を見つけることは、外出の意欲を高めるために非常に効果的です。たとえば、子どもが好きなカフェや図書館などの静かな場所は、落ち着いた環境でリラックスできる空間として理想的です。そこでは他人からの視線もあまり気にする必要がなく、自然体でいられるため、お子さんが「ここならまた来たい」と感じるような場所を見つけられるかもしれません。

また、こうした場所を訪れることが習慣化すれば、「外出=嫌なこと」という固定観念が少しずつ崩れ、「外に出ることも悪くない」と思えるようになります。自分にとっての「居場所」を外の世界で見つけることができれば、それが外出に対する心理的な支えとなり、次第に学校や他の社会的な場面にも興味を持つきっかけにつながっていく可能性があります。

日々の小さな変化を楽しむ姿勢を育む

お子さんが不登校から再び社会との関わりを持つためには、「日々の小さな変化を楽しむ」という姿勢を育むことが大切です。これは決して大きな変化を求めるものではありません。
日々の生活の中で起こる些細な変化に気づき、それを楽しむことで、少しずつ新しいことに目を向ける力を育んでいきましょう。例えば、季節の変化や天気の移り変わりを感じたり、近所で咲いている花や木の葉の色づきを観察することが、小さな外出の楽しみとなり得ます。

家に引きこもっていると、どうしても「昨日と同じ今日」を繰り返しているような感覚に陥りがちです。この「変わり映えのしない日常」は、時に子どもたちに無力感や孤立感を抱かせてしまいます。ですから、家の外に目を向けることで、昨日とは違う「新しい何か」に気づける経験を増やすことが重要です。たとえば、「今日は晴れているから散歩に行こうか」「夕日がきれいだよ、一緒に見に行こう」という声かけをし、小さな変化を楽しむ姿勢を伝えていきましょう。

このような姿勢を持つことで、「変化」自体が少しずつポジティブなものとして感じられるようになります。小さな変化に対する「楽しさ」や「喜び」が、やがて新しい挑戦へのエネルギーを生み出すきっかけになるのです。

外出に伴う不安を一つずつ解消する方法

不登校の子どもが外出に対して抱く不安には、さまざまな種類があるでしょう。「人目が気になる」「誰かに声をかけられるのが怖い」「どこかで会いたくない人と出くわしたくない」というような具体的な心配が、外に出る意欲を妨げている場合も少なくありません。このような不安に対しては、「不安を感じることは普通のことであり、感じても良い」という姿勢で、お子さんを支えてあげることが大切です。

まず、お子さんが感じている不安が何なのかを一緒に考えてみましょう。無理に聞き出すのではなく、「何か気になることがある?」と穏やかに尋ね、子どもが少しでも話しやすい雰囲気を作ってください。例えば、外出先で他の人と会いたくないと感じる場合には、外出する時間帯を工夫してみることも有効です。人通りの少ない時間帯を選ぶことで、外の世界に慣れるためのハードルを少し低くすることができます。

さらに、「外出するときは帽子やマスクをしてもいい」というように、外見を少し工夫することで、安心感が生まれることもあります。外での他人の視線を気にしてしまうお子さんにとって、こうした工夫は、「外に出ても自分を守れる」という感覚を持つための手助けになるでしょう。親御さんも、「何かあったらいつでも助けるからね」といった安心感を与える言葉をかけることで、お子さんが一歩踏み出しやすくなります。

外出先で「安心できる人」とのつながりを作る

不登校の子どもにとって、外の世界で「自分を受け入れてくれる人」や「話しやすい人」と出会うことは、大きな自信につながります。家族だけではなく、外出先で少しずつ信頼できる人間関係を築くことで、外出への抵抗感が和らぎ、外の世界での活動が楽しいものだと感じられるようになるのです。

例えば、地域の習い事やボランティア活動、図書館での読書クラブなど、学校とは異なるコミュニティに参加することで、家族以外の信頼できる大人や子どもと出会う機会を増やすことができます。地域活動において、特にお子さんの興味関心に合ったものがあれば、そこから始めてみるのも良いでしょう。こうした場で、顔見知りの人ができることで、「外に出て会いたい人がいる」と感じるようになれば、お子さんにとって大きな一歩です。

また、こうした活動に参加するかどうかについては、お子さんの意思を尊重することが最も重要です。もし参加を躊躇しているようであれば、親御さんが「見学だけでもしてみようか?」といった軽い提案をしてみるのも一つの方法です。無理に「外に出て人と関わるべき」とプレッシャーをかけるのではなく、「少しずつ、会ってみたくなったら会えばいいんだよ」と、温かく見守る姿勢を示すことが大切です。

一人の時間も大切にする

不登校の状態にある子どもたちは、外の世界に対する恐怖感や不安感を抱える一方で、自分自身と向き合う時間も必要としています。特に内向的な性格のお子さんにとっては、「自分のペースで過ごせる一人の時間」が、心の回復にとって非常に重要です。ですから、外出を無理に促すだけでなく、家の中で一人で過ごす時間も大切にしましょう。

たとえば、絵を描いたり、読書をしたり、音楽を聴いたりといった活動は、自己表現やリラックスを促進します。特に、音楽やアートといった創作活動は、自己肯定感を高めるためにも効果的です。親御さんも、「無理に外に出る必要はないよ、家の中で好きなことを楽しんでいいよ」と、お子さんにとって心地よい環境を整えることが大切です。

また、こうした一人の時間を持つことによって、「自分の好きなことを持っている」「自分の内側にあるものに価値を感じる」という感覚が生まれることでしょう。外出や他人との関わりを強制するのではなく、自分のペースで進めることができる一人の時間をしっかりと確保することで、心のバランスが整い、少しずつ外の世界と向き合うための余裕が生まれてくるのです。

成長を焦らず「今」を楽しむことを意識する

親としては、お子さんが一日でも早く不登校から抜け出し、社会に適応してほしいと願うのは当然です。しかし、焦って急かすことは逆効果になる場合が多く、むしろお子さんをさらに追い詰めてしまう可能性があります。不登校は、ただの「学校に行かない」という現象ではなく、子どもにとって成長や自分と向き合うための大切な時間です。

ですから、親御さんは「今、この瞬間のお子さんの成長」を大切にしてください。たとえ学校に行かなくても、外に出ることが少なくても、確実にお子さんは自分なりのペースで変化し、成長しています。昨日はできなかったことが、今日は少しできるようになったり、昨日は不安だったことが、今日は少し軽く感じられたりと、少しずつ変わっていくのです。

その小さな変化を見逃さず、「今日も頑張っているね」「少しずつ変わっているね」というように声をかけてあげましょう。お子さん自身が自分の成長を実感できることで、「自分はこのままで良いんだ」と感じられるようになり、少しずつ外の世界へと目を向ける気持ちが芽生えてきます。

最後に:親子で一歩ずつ進む大切さ

不登校の子どもが外に出ることは、単に学校に行くことだけが目的ではありません。大切なのは、お子さんが自分のペースで「外の世界と関わる勇気」を少しずつ持てるようになることです。そして、そのためには親御さん自身も「子どものペースに合わせる勇気」を持つことが求められます。

すぐに結果を求めず、時には立ち止まり、時には小さな一歩を一緒に喜びながら、親子で歩んでいきましょう。お子さんにとって、不登校の経験は決して無駄なものではなく、「自分と向き合う」ための大切な時間です。親御さんもまた、その時間を通して、お子さんの本当の気持ちに寄り添う貴重な学びを得ることでしょう。

親子で一歩ずつ、少しずつ「外の世界」への道を探りながら歩むことができれば、お子さんは必ず自分自身でその一歩を踏み出す力を育んでいくはずです。焦らず、無理をせず、そしてお子さんの小さな成長をしっかりと見守りながら、再び輝く未来へと進んでいけるよう、ゆっくりと寄り添っていきましょう。

参考URL

文部科学省「不登校児童生徒等のための学習指導要領解説:相談支援の充実」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
NPO法人「登校支援ネットワーク」
https://www.facebook.com/tokokyohi.futokonet/

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不登校を3週間で解決する方法とは?


目次


不登校の背景とその心理的要因を深く知る

不登校が子どもに与える心の負担

不登校とは、単に学校に行かない状態を指すのではなく、子どもが内面的な葛藤や環境的なストレスに耐えられなくなった結果の一つの表れです。
その背景には、家庭や学校でのさまざまな要因が絡み合い、子どもたちは次第に「学校に行く」という行動を選択肢から外してしまいます。

例えば、ある中学生の男の子は、数学の授業中に毎回指名されて答えられないと感じるプレッシャーから登校を拒否するようになりました。このように、一見小さなことのように見える要因が、子どもの心に大きな負担を与え、不登校の引き金になることがあります。

参考:文部科学省「不登校への対応について
参考:文部科学省「不登校対策(COCOLOプラン等)について

ToCoでは、不登校の原因を以下のような4つの要因に分類し、それぞれに適したアプローチを提案しています。

4つの主な不登校要因

  1. 感情要因
    子どもが学校や学業に関連する物事に対して恐怖や不安を抱く状態を指します。例えば、苦手な科目や教室での目立つ行動に対するストレスなどがあります。
  2. 対人要因
    学校でのいじめや友人関係のトラブルなど、対人関係が原因となるものです。この場合、子どもは「自分が受け入れられない」という感覚に苛まれます。
  3. 注目要因
    親や教師からの特別な注目を得たいという欲求が、不登校のきっかけになることもあります。たとえば、親の気を引くために体調不良を訴えるケースなどです。
  4. 活動要因
    学校以外の活動(ゲームやスポーツ、趣味)に夢中になり、それが学校生活よりも優先される場合も不登校につながります。

子どもの「サイン」を見逃さない重要性

不登校の初期段階、いわゆる「未病」の状態では、子どもたちは必ず何らかのサインを発しています。例えば、朝の準備に時間がかかるようになったり、ちょっとしたことで感情を爆発させたりするのもその一つです。親や教師がこの段階でサインを見逃さず、「なぜ行けないのだろう?」と優しく問いかける姿勢が重要です。

ToCoでは、この初期段階での対処を非常に重視しており、適切な介入が子どもの将来を大きく左右する可能性があると強調しています。

再登校に至るための1週目 – 心を開く準備期間

1週目の指針:信頼関係の再構築と現状把握

再登校支援プログラムの第一歩は、子どもの心を開かせる環境づくりです。この期間の目標は、親と子どもの信頼関係を再構築し、子どもが抱えている不安や恐怖を理解することにあります。

子どもが不登校になる原因をすべて親が把握しているわけではありません。場合によっては、子ども自身すら自分の気持ちを明確に理解していないことがあります。そのため、親が先回りして「これが原因だろう」と決めつけるのではなく、子どもの内面を丁寧に掘り下げていく姿勢が重要です。

子どもの気持ちを受け止める姿勢

1週目では、子どもの心を開くために「否定せず受け入れる」姿勢を徹底します。例えば、子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親が「どうして行かないの?」と問い詰めるのではなく、「行きたくない気持ち、よくわかるよ」と共感することで、子どもは自分の感情が認められたと感じます。このような言葉がけを通じて、子どもは親を「安心して話せる相手」と認識するようになります。

あるケースでは、中学1年生の女の子が、「友達が無視してくるから教室に行きたくない」と母親に告げました。そのとき母親は、「そんなの気にしなくていいよ」と軽く流してしまいました。その結果、子どもは「自分の気持ちを理解してもらえない」と感じ、さらに心を閉ざしてしまったのです。この段階では、親は「解決策を提示する」よりも、「子どもの話を聞く」ことを優先するべきです。

心を開くためのコミュニケーション方法

再登校支援プログラムでは、次のようなコミュニケーション方法を推奨しています:

  1. 開かれた質問を投げかける
    「どうして学校に行かないの?」ではなく、「最近、どんなことが気になってる?」といったオープンな質問をすることで、子どもが自然に自分の気持ちを話せるように促します。
  2. 感情に寄り添う言葉をかける
    「そんなこと気にしなくていいよ」ではなく、「そう感じるのは自然なことだよ」と、子どもの感情をそのまま受け止める姿勢を見せることが大切です。
  3. 小さな変化を褒める
    例えば、子どもがリビングに出てきて話をするだけでも、「今日は一緒に話せて嬉しいよ」と声をかけることで、子どもは「自分の行動が認められた」と感じます。

信頼関係の再構築がもたらす効果

1週目で信頼関係が再構築されると、子どもは少しずつ自分の気持ちを話すようになります。この段階で得られる情報は、今後の対策を考える上で非常に重要です。ToCoでは、この過程を「基盤づくり」として位置づけており、子どもの心理的な安全を確保することが、次のステップへの土台になるとしています。

再登校に至るための2週目 – 日常生活のリズムを整える

2週目の指針:生活習慣の安定化

1週目で信頼関係を築き、子どもが少しずつ心を開き始めたら、次の段階では「生活のリズムを整える」ことを目指します。不登校が続くと、生活習慣が崩れ、昼夜逆転や不規則な食生活が見られるようになります。これが心身の健康をさらに悪化させ、学校復帰を困難にする悪循環を生み出します。この期間の主な課題は、子どもが規則正しい生活を取り戻すことで、エネルギーを蓄え、学校に戻る準備を整えることです。


生活リズムの乱れが与える影響

不規則な生活リズムは、身体的な疲労感や集中力の低下、さらには感情の不安定さを引き起こします。たとえば、夜更かしを続けている子どもは、朝起きられないだけでなく、心の中で「こんな自分ではダメだ」という自己否定感を強めることがあります。このような状態にある子どもに「早く起きなさい」「しっかりしなさい」と強く言うのは逆効果です。親が焦らず、小さな習慣改善から一歩ずつサポートすることが重要です。


生活習慣を整えるための具体的なアプローチ

ToCoでは、次のような実践的な方法を提案しています。

1. 朝のリズムを作る

朝の時間を整えることは、生活リズム改善の第一歩です。しかし、「明日から朝7時に起きなさい」といった大きな目標は、子どもにとって負担になる場合があります。そのため、以下のように無理のないステップを設定することが効果的です。

  • 朝日を浴びる:親が誘って一緒に散歩をする、ベランダで軽い体操をするなど、朝の光を浴びることで、体内時計が整いやすくなります。
  • 短時間の朝食を取る:食欲がない場合でも、ジュースや軽いスナックなどを摂取することで、体を活動モードに切り替えます。

たとえば、ある家庭では、夜更かししていた中学生の息子に対し、父親が毎朝一緒に散歩に出る習慣を始めました。最初は短い距離から始め、徐々に時間を伸ばした結果、息子は少しずつ規則正しい生活に戻ることができました。


2. 適度な運動を取り入れる

運動には、体力を向上させるだけでなく、脳内のセロトニン(幸福ホルモン)の分泌を促し、感情の安定を助ける効果があります。特に、不安感が強い子どもには、運動が気持ちをリフレッシュさせる良い手段となります。

再登校支援プログラムでは、親子でできる軽い運動(ウォーキング、サイクリング、室内でのストレッチ)を日常に取り入れることを推奨しています。また、子どもが興味を持つスポーツや身体活動を見つけることも、生活リズムを整える上で役立ちます。


3. 睡眠環境の整備

不登校の子どもは、夜更かしやスマートフォンの長時間使用によって睡眠の質が低下していることが多いです。睡眠環境を整えるために以下の工夫を行います。

  • 就寝1時間前には、スマートフォンやゲームを控える。
  • リラックスできる音楽を流すなど、心を落ち着ける環境を作る。
  • ベッドを快適な状態に保ち、寝室を整理整頓する。

例えばある家庭では、母親が就寝前に一緒に読書をする習慣を作った結果、子どもは自然とリラックスし、以前よりもスムーズに眠れるようになりました。


小さな成功体験の積み重ね

2週目に生活リズムが整うことで、子どもは「自分にもできる」という成功体験を得られます。この成功体験が、次の週での学校復帰への準備に繋がります。この週では、親が「指示をする役割」ではなく「一緒に挑戦する仲間」のような存在になることが求められます。親自身が焦らず、子どものペースに合わせて進めることで、子どもは安心感を持ちつつ自分の行動を見直せるようになります。

再登校に至るための3週目 – 学校復帰へのステップ

3週目の指針:学校への一歩を踏み出す

再登校支援プログラムにおける最終週は、「学校に行く」という目標を達成する準備を整える期間です。この週では、子どもが学校を再びポジティブな場所として受け入れられるよう、段階的なアプローチを取ります。一気に通常の登校スケジュールを目指すのではなく、「小さな一歩」を重ねながら子どもの成功体験を積み上げていきます。

学校復帰が持つ心理的ハードル

子どもにとって学校は、友人関係や学業への不安、教師との関係など、さまざまなストレス要因が集中する場所です。不登校が長引くほど、「学校に戻ること」そのものが大きな心理的ハードルになりがちです。

ある小学生の男の子は、不登校の間、毎日「学校に行けていない自分はダメだ」と自分を責め続けていました。その結果、学校に戻ることを考えるだけで過剰な不安を感じるようになり、「失敗するくらいなら、このままでいたい」という感情に支配されるようになりました。

再登校支援プログラムでは、こうした心理的な負担を軽減するために、無理のない段階的なステップを設けることが推奨されています。

段階的な学校復帰ステップ

3週目では、以下のような具体的なプロセスを通じて、子どもが学校に対する恐怖や不安を克服できるよう支援します。


1. 学校に慣れる

最初のステップは、学校そのものではなく、学校の環境に慣れることです。たとえば、親と一緒に通学路を散歩する、学校の校門まで行ってみるといった小さな挑戦から始めます。この段階では、登校を強制せず、「環境に慣れる」ことを目的とします。


2. 学校と連携する

次のステップでは、学校の担任の先生を中心に相談を行い、どう再登校を進めるかを相談します。短時間でのスタートが一般的には推奨されますが、途中入室や退出が返って注目を浴びてストレスになることもあります。
そのため、お子様の様子によっては始めから通常登校した方が継続登校に繋がりやすい事例も増えています。

再登校支援プログラムでは、学校と連携し、子どもが安心して学校に戻れるような環境を整えることを推奨しています。担任の先生やスクールカウンセラーと事前に相談し、柔軟な対応を依頼することが重要です。


3. 学校での楽しみを見つける

子どもが学校に戻るためには、「学校には楽しいことがある」という認識を持つことが効果的です。プログラムでは、子どもの好きな科目やクラブ活動、得意な分野を活用し、学校に行く動機づけを作ることを勧めています。

例えば、音楽が好きな子どもには音楽の授業やクラブに参加することを勧めたり、体育が得意な子どもにはスポーツ活動を通じて学校生活に慣れさせたりします。また、子どもが好きな友人や信頼できる教師と一緒に過ごす時間を増やすことで、学校への親近感を高めることができます。


家庭での工夫とルール作り

学校復帰を進める際には、家庭内でのサポートも重要です。プログラムでは、次のような工夫を推奨しています。

  1. 学校に行けた日のご褒美を設定する
    たとえば、学校に行けた日は子どもの好きな食事を作る、一緒に遊ぶ時間を増やすなどのポジティブな強化を行います。
  2. 家庭内でのメリハリをつける
    学校に行かない日には、ゲームやテレビの時間を制限するなど、家庭内でも学校復帰を促す環境作りが必要です。
  3. 親自身の姿勢を整える
    親が焦りや不安を抱えると、その気持ちは子どもに伝わります。親自身が「どんなペースでも大丈夫」という安心感を持つことで、子どもも安心して挑戦できるようになります。

成功体験がもたらす未来の変化

3週目の取り組みを通じて、子どもが学校に戻るための一歩を踏み出せたとき、それは単なる再登校の成功ではなく、子ども自身の成長や自信の回復につながります。この成功体験は、子どもが今後の人生で新たな困難に直面したときに、それを乗り越えるための力を育む基盤となります。

再登校支援プログラムの効果とその先の希望

再登校支援プログラムがもたらす子どもの変化

3週間のプログラムを通じて、子どもは小さな一歩を重ねながら、学校復帰への自信を取り戻していきます。この過程では、「自分にもできる」という成功体験が、子どもの自己肯定感を高める重要な役割を果たします。不登校はただの「行動」ではなく、心の深い部分に根差した問題です。プログラムは、これを「行動改善」だけでなく、「心の成長」として捉えています。

例えば、不登校が長引いていた中学生の女の子は、3週間の取り組みを通じて、学校の校庭でお気に入りの先生と話をすることから始め、最後には授業に参加するまで回復しました。彼女は「学校に戻れるとは思わなかったけど、少しずつ進めば大丈夫だとわかった」と話しており、プログラムが子どもの未来に希望をもたらした実例の一つです。


家庭全体に与えるポジティブな影響

再登校支援プログラムは、子どもだけでなく、家庭全体にも良い影響を与えます。不登校の問題は、親や兄弟姉妹にも心理的な負担を与えることが少なくありません。しかし、プログラムを通じて親が子どもをサポートする方法を学び、家族全員が「子どものペースに寄り添う」という共通の目標を持つことで、家庭内の絆が深まります。

たとえば、ある家族では、父親が毎朝子どもを連れて散歩をする役割を担い、母親が夜のリラックスタイムを共に過ごすという形で協力しました。この取り組みを通じて、家族全員が子どもの進歩を喜び、安心感を共有することができました。


社会全体での支援の必要性

再登校支援は、家庭だけで完結するものではありません。学校や地域、そして行政の協力が不可欠です。再登校支援プログラムでは、学校側が子どもの不安を軽減する環境を整えることを強調しています。たとえば、担任教師やスクールカウンセラーが子どもの進歩を見守り、個別の対応を柔軟に行うことが推奨されています。

また、地域社会でも、子どもたちが安心して過ごせる居場所を提供することが重要です。たとえば、不登校の子どもを対象とした交流イベントや学習支援プログラムは、学校復帰への橋渡しとなる役割を果たします。


再登校プログラムのその先:持続可能な成長を目指して

3週間のプログラムが成功したとしても、それは子どもの成長のスタート地点に過ぎません。学校復帰後も、子どもが安心して学校生活を送れるよう、継続的なサポートが必要です。プログラム終了後のフォローアップとして、以下のような取り組みが挙げられます:

  1. 定期的な親子の対話を続ける
    学校での出来事や気持ちを共有する時間を設け、子どもの状況を把握し続けます。
  2. 学校との連携を保つ
    子どもの進捗や不安要素について、教師やカウンセラーと随時情報交換を行い、柔軟に対応します。
  3. 子どもの自己成長を支える活動を見つける
    学校外の趣味や活動を奨励し、子どもが新しい興味や目標を見つけられる環境を提供します。

希望をつなぐために

不登校は、子どもにとって大きな挑戦であり、親や家庭にとっても試練となる課題です。しかし、再登校支援プログラムのような体系的なアプローチを活用すれば、親子ともに希望を持って前に進むことができます。このプログラムは、不登校を「解決すべき問題」としてだけでなく、「子どもの成長を支えるプロセス」として捉える視点を重視しています。


ToCo(トーコ)について

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学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

親子に寄り添う支援で、年間1,000名以上の再登校をサポート。国内カウンセラーが最も推奨する不登校支援サービスはToCo(トーコ)です。

なぜ不登校のままではいけないのか?


目次


1. 深刻化する不登校:社会全体で向き合うべき課題

近年、不登校の小中学生は約30万人と過去最悪の水準に達し、年々増加傾向にあります。これは個人の性格や適性による問題ではなく、社会全体が直面する深刻な課題と捉える必要があります。

参考:文部科学省「文部科学省委託事業 不登校の要因分析に関する調査研究
参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について

1.1 不登校増加の背景

不登校増加の背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。

  • 教育格差の拡大: 家庭環境や経済状況による教育格差が拡大し、学習面での不安や劣等感を感じる子どもが増えています。
  • 画一的な評価: 従来の画一的な評価制度では、個性や多様性を尊重することが難しく、能力や興味関心に合致しない教育を受ける子どもが少なくありません。
  • いじめや不登校への対応不足: いじめや不登校への対応が十分に行われていない学校も多く、子どもたちは安心して学校生活を送ることができていません。
  • 学校への不信感: 近年の学校事故や問題発覚の影響もあり、学校に対する不信感が高まっています。

1.2 社会の変化と学校制度のギャップ

現代社会は、情報化、グローバル化、AI革命など、目覚ましい変化を遂げています。しかし、多くの学校教育は依然として旧来的な枠組みから抜け出ることができず、社会の変化に対応できていません。

  • 多様な生き方: 従来の「一億総活躍社会」的な考え方に基づく画一的な教育では、個々人の多様な生き方や価値観に対応することができません。
  • 主体的な学び: 情報化社会においては、知識を詰め込むだけではなく、自ら考え、主体的に学び、問題を解決する能力が求められます。しかし、従来の授業スタイルでは、こうした能力を育むことは困難です。
  • グローバル社会: 国際社会で活躍するためには多様な文化や価値観を理解し、コミュニケーション能力を身につけることが重要ですが、ごく一部の学校以外はその環境は用意できていません。

2. 学校生活がもたらすかけがえのない経験

「なぜ学校に行かないといけないのか」と聞かれた際に、親が自分の言葉で子どもに答えられることが重要です。今回、学校生活がもたらすかけがえのない経験について整理しました。

2.1 同世代との多様な交流:社会性を育む土台

学校は、同世代の子どもたちと様々な形で交流し、社会性を育む貴重な場です。

  • 協調性: グループワークや委員会活動などを通して、協調性やコミュニケーション能力を身につけることができます。
  • 競争心: スポーツや勉強を通して、競争心や目標達成への努力を学ぶことができます。
  • 多様性への理解: 異なる価値観やバックグラウンドを持つ子どもたちと交流することで、多様性への理解を深めることができます。
  • 恋愛体験: 思春期には、恋愛を通して心身の発達を促し、人間関係の構築について学ぶことができます。

2.2 社会の中で生きていくために必要な基盤

学校生活を通して、社会の中で生きていくために必要な基盤を築くことができます。

  • 時間管理: 授業時間や課題の提出期限を守ることによって、時間管理能力を身につけることができます。
  • 責任感: 委員会活動や部活動を通して、責任感やリーダーシップを身につけることができます。
  • 規律: 校則や規則を守ることによって、規律性を身につけることができます。
  • 社会貢献: ボランティア活動や地域行事への参加を通して、社会貢献の意識を育むことができます。

2.3 取り返しのつかない青春

特に小中学生は自己形成の時期であり、この期間でどのような方向にも大きく変わる下地を持っています。また、将来の夢や目標を見つける重要な時期となります。しかし、不登校によって学校生活を送ることができなければ、同世代との交流を通して得られる貴重な経験を失うことになります。そして勉強や運動と異なり、後から経験し直すことはできません。

3. 学校以外の選択肢

学校生活がもたらす経験は、必ずしも学校に通わなければ得られないものではありません。近年は、個々のニーズに合わせた多様な選択肢も増えてきています。

  • フリースクール: 個々のペースや興味関心に合わせた学習や活動を提供するフリースクールは、不登校の子どもにとって居場所となることができます。
  • オンライン教育: インターネットを利用したオンライン教育は、時間や場所に縛られずに学習することができます。
  • ホームスクーリング: 家庭で教育を行うホームスクーリングは、子どもの個性やペースに合わせた教育を提供することができます。
  • 地域活動: 地域のスポーツチームや文化活動に参加することで、同世代の子どもたちと交流し、社会性を育むことができます。

しかし費用や親の労力、教育の質の安定性という面で、学校に勝る環境は現状ありません。

4. まず家庭の中で居場所を作るために

子どもの不登校は、親にとっても大きな悩みとなります。しかし、子どもを責めるのではなく、まずは子どもの声に耳を傾け、共感することが大切です。

4.1 子どもとの対話:理解と共感

  • 子どもの話をじっくりと聞き、共感を示しましょう。
  • 子どもが学校に行きたくない理由を理解しようと努めましょう。
  • 否定したり、無理に学校に行かせようとしたりするのは避けましょう。

4.2 一緒に考える:選択肢と可能性

  • 子どもが興味を持っていることや、やりたいことを一緒に考えてみましょう。
  • 将来の目標や夢について語り合い、それを実現するための道筋を探りましょう。

4.3 専門家のサポート:適切な支援と情報提供

  • 必要に応じて、教育相談員やスクールカウンセラーなどの専門家に相談しましょう。
  • 不登校に関する情報や支援制度について学び、適切なサポートを受けられるようにしましょう。

5. 不登校は乗り越えられる

不登校は決して解決できない問題ではありません。多くの不登校の子どもたちが、適切なサポートを受けながら、学校生活や社会生活に復帰しています。

  • 子どもが学校に行きたいと思うように、適切な環境を整えましょう。
  • 小さな成功体験を積み重ね、自信を育むことも重要です。
  • 周囲の人からの理解やサポートを得て、くれぐれも一人で抱え込みすぎないよう注意してください。

参考URL


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
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不登校支援サービス比較(2025年度)

不登校支援サービス比較(2025年度)Top画像

目次


学校では解決が難しい不登校

近年、小中学生の不登校児童生徒数は増加傾向にあり、文部科学省の発表では2023年度の小中学校の不登校生徒数は34万6482人に達しました。これは過去最多の記録であり、社会全体で深刻な問題として認識されています。

不登校は単に個人の弱さや問題行動によるものと捉えるのは誤りです。現代社会における学校生活のプレッシャー、人間関係の複雑化、学習内容の高度化など、様々な要因が複合的に絡み合い、不登校を引き起こしていると考えられます。

そして、残念ながら学校による不登校対策は、登校できた児童生徒の割合が小学生で30.6%、中学生で30.0%と7割の生徒は不登校のままです。

参考:総務省「不登校・ひきこもりのこども支援に関する アンケート調査の結果

学校の枠組みの中では解決が難しい不登校に対して、近年は様々な民間サービスが提供されています。本記事では、代表的な不登校支援サービスの概要、特徴、料金、メリット、デメリットを紹介します。

主な不登校支援サービス

NPO法人カタリバ

項目内容
概要NPO法人カタリバは、子どもたちの学びと成長を支援する団体で、不登校の子どもたちに対してもオンラインでの学習支援や居場所づくりを提供しています。
特徴カタリバは、オンライン上で子どもたちが安心して過ごせる「room-K」という学びの場を提供し、学習支援や相談対応を行っています。​専門のスタッフが個々の状況に応じたサポートを行い、子どもたちの自己肯定感を高めることを重視しています。​また、保護者向けのサポートも充実しており、家庭全体での支援体制を整えています。
料金非公開
実績2021年に開始した不登校支援DXプログラムでは、参加した子どもの8割以上が週1回以上学びの場に参加し続ける成果が報告されています。
評判や口コミ​利用者からは、スタッフの対応の丁寧さや、子どもたちの変化に対する喜びが多く見受けられます。
Webサイトhttps://futoko.katariba.online/

不登校支援センター

項目内容
概要不登校支援センターは、不登校の子どもたちとその家族を対象に、カウンセリングや学習支援、家庭訪問などを通じて再登校や社会復帰を支援する団体です。
特徴不登校支援センターは、専門のカウンセラーが子どもたちの心理的な問題に対応し、学習支援や家庭訪問を通じて再登校をサポートしています。また、保護者向けのカウンセリングや勉強会も実施し、家庭全体での支援体制を整えています。全国に拠点を持ち、地域に密着した支援を行っている点も特徴です。
料金初回のカウンセリングは最大100分間で無料です。2回目以降のカウンセリング・コーチングは、100分間で16,500円(税込)となっています。
実績れまでに約17万件のカウンセリングを実施し、約8万人の臨床データを保有しています。2022年度だけでも約1万件のカウンセリングを行っています。
評判や口コミある母親は「息子が第一志望校に合格し、あの日の自分の決断が正しかったと感じました」と述べています。​また、別の利用者は「毎日頑張って学校に通い、新しい環境にも挑戦しています」と報告しています。
一方で、サービスの質に関する懸念も投稿されています。​ある利用者は「担当者が頻繁に変わり、カウンセリングの質も低下したように感じます」と述べています。​また、「カウンセラーによって対応が異なり、信頼性に欠ける」との意見も見受けられました。
Webサイトhttps://www.futoukou119.or.jp/

Allight Education

項目内容
概要Allight Educationは、不登校や引きこもりの子どもたちに対して、オンラインでの学習支援やカウンセリングを提供する団体です。
特徴Allight Educationは、不登校や引きこもりの子どもたちに対して、オンラインでの学習支援やカウンセリングを提供しています。​専門のスタッフが個々の状況に応じたサポートを行い、子どもたちの自己肯定感を高めることを重視しています。​また、保護者向けのサポートも充実しており、家庭全体での支援体制を整えています。
料金非公開
実績非公開
評判や口コミある保護者は「子どもが自分のペースで学習できる環境が整っており、安心して任せられます」と述べています。​また、別の利用者は「スタッフの方々が親身になって対応してくれるので、子どもも前向きに取り組めています」と報告しています。
Webサイトhttps://allight.org/

あすなろ

項目内容
概要あすなろは、不登校の子どもたちに対して、家庭教師による個別指導を提供するサービスです。​
特徴あすなろは、不登校の子どもたちに対して、家庭教師による個別指導を提供しています。​専門のスタッフが個々の状況に応じたサポートを行い、子どもたちの自己肯定感を高めることを重視しています。​また、保護者向けのサポートも充実しており、家庭全体での支援体制を整えています。
料金非公開
実績非公開
評判や口コミあすなろは、不登校の子どもたちに対して、家庭教師による個別指導を提供するサービスです。​利用者からは、スタッフの対応の丁寧さや、子どもたちの変化に対する喜びが多く見受けられます。
Webサイトhttps://www.seisekiup.net/

ToCo

項目内容
概要ToCoは、不登校の子どもたちに対して、AIと専門スタッフによる再登校支援プログラムを提供するサービスです。
特徴ToCoは、不登校の子どもたちに対して、AIと専門スタッフによる再登校支援プログラムを提供しています。​不登校対策AIが過去のデータを元に要因と対策を分析し、児童カウンセラーなどの専任スタッフが各家庭を再登校までサポートします。​また、子どものストレス緩和と自尊心の回復を重視し、健全な生活習慣と親子関係の再構築を支援します。
料金ToCoのサービスは3つのプランがあり、いずれも一括払いで追加料金はありません。​フルサポートプランは160,000円、スタンダードプランは72,000円、セルフプランは42,000円です。​各プランには要因診断、不登校支援プログラム、プログラムガイド動画が含まれ、スタンダードプランからはメールサポートが含まれます。
実績2025年4月時点で、ToCoは1,210名の子どもの不登校を解消し、継続登校まで支援しています。​再登校までの平均期間は1ヶ月で、利用者の約8割が1ヶ月以内に再登校しています。
評判や口コミ​日本経済新聞では信頼の置ける不登校支援サービスとして紹介されています。利用者からは、「子どもが自ら不登校から脱却するための支援が受けられ、安心して任せられました」との声が寄せられています。
Webサイトhttps://toco.mom/service-details/

不登校サービスを選ぶポイント

不登校支援サービスを選ぶ際には、子ども一人ひとりの状況や性格に合ったサポートが受けられるかどうかを見極めることが重要です。特に、支援内容が画一的ではなく、個別のニーズに柔軟に対応してくれるかどうかは、子どもの将来に大きく影響します。たとえば、学習面だけでなく、心理的なサポートや居場所づくりに重点を置いているサービスもあり、どのようなアプローチを取っているのかは事前にしっかりと確認する必要があります。

また、実績が明確に示されているかどうかも重要な判断材料です。成功事例や卒業生の声、再登校・進学率などが具体的に開示されているサービスは、支援の成果に自信を持っている傾向があり、信頼性が高いといえます。反対に、実績についての情報が不十分だったり、「詳細は問い合わせ後に」とされていたりする場合には注意が必要です。そのような場合、実際の支援効果が不明確であったり、誇大広告の可能性も否定できません。

さらに、料金体系が明確に開示されていないサービスには特に注意が必要です。不登校支援という性質上、親は精神的にも経済的にも追い詰められている場合が多く、その不安に付け込んで高額な費用を請求されるケースも少なくありません。無料相談を通じて徐々に費用が提示される場合、結果として数十万円規模の契約に至ってしまうこともあります。したがって、契約前に総費用や追加料金の有無、返金ポリシーなどをしっかり確認し、書面で残すことが大切です。

最終的に大切なのは、「この支援は本当に子どもに必要か」「納得できる費用対効果があるか」を冷静に判断することです。口コミや第三者の評価、信頼できる専門機関の紹介なども活用し、焦らず慎重に選ぶことが後悔しない選択につながります。

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ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が不登校から脱却するための専門的な支援を行っており、年間1,000名以上のお子様が平均1ヶ月で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

親子に寄り添う支援で、年間1,000名以上の再登校をサポート。国内カウンセラーが最も推奨する不登校支援サービスはToCo(トーコ)です。

不登校が長引く快適な引きこもり生活とは?


目次


近年、不登校の小中学生が増加し、社会的な関心が高まっています。​文部科学省の調査によれば、2023年度の不登校児童生徒数は過去最多の34万6,482人に達し、前年度から約4万7,000人増加しています。 ​この増加の背景には、家庭内での快適な引きこもり生活が影響している可能性があります。本記事では、その具体的な要因と保護者が取るべき対応策について詳しく解説します。

1. 快適な引きこもり生活とは?

「引きこもり」という言葉は一般的に否定的な印象を持たれがちですが、現代の家庭環境では、子どもが自宅で快適に過ごせる要素が増えています。以下に、その主な要因を挙げます。​

(1) テクノロジーの進化による環境の整備

スマートフォン、タブレット、パソコンの普及により、子どもたちは自宅にいながら多様な情報を得たり、エンターテインメントを楽しんだりすることが可能となりました。​特に、SNSやオンラインゲームを通じて他者と交流できるため、外出の必要性を感じにくくなっています。​これにより、家庭内での生活がより魅力的になり、学校への登校意欲が低下する一因となっています。​

(2) 家庭内での経済的・物質的なサポート

多くの家庭では、子どもが家にいる間、食事や衣類、娯楽品などの生活必需品が容易に手に入る環境が整っています。​親が子どもの要求に応じてこれらを提供することで、子どもは外部との関わりを持つ必要性を感じにくくなり、結果として引きこもりがちになる傾向があります。​

(3) 外の世界よりも安全でストレスが少ない空間

学校でのいじめや人間関係のトラブルなど、外の世界には多くのストレス要因が存在します。​一方、家庭内は安心できる場所であるため、子どもはストレスを避けるために引きこもり生活を選択することがあります。​特に、不登校の子どもたちの中には、「学校生活に対してやる気が出ない」や「不安・抑うつ」を感じている割合が高いことが報告されています。

2. 不登校の原因としての快適な引きこもり生活

快適な引きこもり生活は、一時的には子どもの心身の安定を保つ役割を果たしますが、長期的には不登校を固定化し、社会復帰を困難にするリスクがあります。以下に、その主な影響を詳しく解説します。​

(1) 自立心や社会性の欠如

家庭内の快適な環境に慣れすぎると、子どもは自立する必要性を感じなくなります。​学校や外部の世界での活動が減少することで、他者との関わり方や社会性を学ぶ機会が失われ、将来的な社会適応能力の低下を招く可能性があります。​

(2) 現実世界への不安の増大

引きこもり生活が長期化すると、外の世界に出ること自体に強い不安を感じるようになります。​学校や社会との接触がない期間が長引くほど、「失敗するかもしれない」という恐怖や「どうしていいかわからない」という無力感が強まり、結果として社会復帰が一層困難になります。​

(3) 健康への影響

引きこもり生活では、運動不足や不規則な生活リズムが問題となることが多いです。​これにより、身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼす可能性があります。​特に、不登校の子どもたちの中には、「生活リズムの不調」を訴える割合が高いことが指摘されています。 ​

3. 解決に向けた具体的なアプローチ

不登校の問題を解決するためには、快適な引きこもり生活が生まれる背景を理解し、子ども自身が少しずつ外の世界に興味を持てるようにする取り組みが必要です。以下に、保護者が取るべき具体的なアプローチを紹介します。​

(1) 家庭環境の見直し

家庭内の快適な環境を完全に否定する必要はありませんが、過度に快適すぎる環境を見直すことが重要です。​例えば、子どもが必要以上にデジタルデバイスに依存しないよう、使用時間を制限する取り組みが考えられます。​また、親がすべてのニーズを満たすのではなく、子ども自身に家事などの役割を持たせることで、自立心を育むことができます。​

(2) 専門家のサポート

家庭だけでは解決が難しいケースも多くあります。第三者である専門家の介入は、子ども自身が感情を素直に表現しやすくなるメリットもあります。たとえば、教育支援センター(適応指導教室)やスクールカウンセラー、小児精神科医など、多様な支援の選択肢があります。

とくに子どもの不登校が6ヶ月以上続いている場合、家庭内だけでの働きかけでは限界があるため、早期に外部支援を取り入れることが回復への近道となります。専門家は中立の立場から親子双方の状況を整理し、無理のないステップを提案してくれます。

(3) 小さな成功体験を積み重ねる

不登校の子どもにとって、いきなり学校へ戻ることは心理的なハードルが高すぎます。まずは「できた!」という小さな経験を積ませることが重要です。たとえば:

  • 家族と一緒に近所の公園を散歩する
  • 短時間だけフリースクールに参加する
  • 家の中で料理や掃除など簡単な役割を持つ
  • オンラインで自分の好きな分野を学ぶ

これらの「小さな達成感」が積み重なると、自己肯定感が育ち、やがては外の世界への関心や挑戦意欲に繋がっていきます。

特に注意したいのは、「外に出られない自分はダメだ」と子どもが自己否定的にならないようにすることです。挑戦を「成功・失敗」で捉えるのではなく、「行動できたこと」自体を大切にし、言葉でしっかりと褒める姿勢が、次の一歩を後押しします。


(4) 親子間の対話の強化

親子の関係性が安心感の土台になります。子どもが学校に行かない理由を尋ねる際、「なぜ行けないの?」という詰問口調ではなく、「最近、どう感じている?」と感情に寄り添った言葉がけが求められます。

対話の基本は、「聞く」ことに重点を置くこと。子どもの話をさえぎらず、否定もせず、「そう感じているんだね」と受け止めてあげることで、子どもは心を開きやすくなります。

また、親自身が「悩んでいる」「わからない」と正直に伝えることも、子どもにとっては大切な安心材料となります。親も完璧でなくていい、というメッセージは、子どもが自分を責めずにいられる空気をつくるきっかけになります。

結論:引きこもりの快適さは“居場所”と“課題”の両面を持つ

不登校と快適な引きこもり生活の関係を理解するには、「なぜ子どもがそこにとどまるのか」を直視する必要があります。

テクノロジーや家庭の安心感が、子どもにとって“逃げ場”ではなく“居場所”となっている――この現実は、決して悪いことではありません。むしろ、心をすり減らして学校に通うよりも、安全な環境で心身を回復させる時間は必要です。

しかし、問題はその快適さが「変わらなくていい理由」になってしまうこと。引きこもりが固定化すれば、自立の芽が閉ざされてしまいます。
だからこそ、保護者には「守りすぎず、突き放しすぎず」のバランスが求められます。

現実的にできるステップは、以下の4点です。

  1. 家庭内の過度な快適さを見直し、役割と責任を子どもに持たせる
  2. 「失敗しても大丈夫」という空気の中で、小さな成功体験を積ませる
  3. 親だけで抱え込まず、外部の専門家を積極的に頼る
  4. 子どもの言葉に耳を傾け、安心して話せる関係を築く

学校に戻ることだけがゴールではありません。社会のどこかで自分らしく生きられるようになることが、本当の意味での「復帰」です。

引きこもりの快適さを否定せず、その“居心地”を「次の一歩へのエネルギー」に変える支援こそが、保護者に求められる本質的な役割です。

参考

「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」文部科学省
文部科学省:適応指導教室(学校支援センター) の取り組みについて


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