小学生、中学生のスマホ制限・メリットとデメリット

1. 小中学生のスマートフォン利用状況

 近年、スマートフォンは子どもたちの生活に欠かせないものとなり、情報収集やコミュニケーションツールとして広く活用されています。総務省の調査によると、2022年時点で、小学校高学年におけるスマートフォン保有率は86.8%、中学生では95.1%に達しています。

しかし、その一方で、長時間利用による健康への影響や、ネット依存、サイバーイジメなどの問題も指摘されています。文部科学省の調査では、2021年には、小学生の30.2%、中学生の40.2%が「スマホ依存症」の可能性があると回答しています。

1.1 スマートフォン利用時間

総務省の調査によると、2022年における小学生の1日の平均スマートフォン利用時間は68分、中学生では106分となっています。これは、2019年と比べて増加傾向にあり、特に中学生の利用時間が顕著に伸びています。

また、就寝前のスマートフォン利用も問題視されています。調査によると、小学生の約6割、中学生の約8割が寝る直前にスマートフォンを利用していることがわかっています。

1.2 スマートフォン利用目的

 スマートフォンの利用目的としては、ゲーム、動画視聴、SNS、情報収集などが挙げられます。特に、小学生はゲームや動画視聴に時間を費やす傾向が強く、中学生はSNSの利用時間が長くなっています。

2. 子どものスマートフォン利用についての各国の対応

 先進国では、子どものスマートフォン利用に関する規制を設けている国が一般的です。代表的な国の事例を紹介します。

2-1. 欧米諸国

2-1.1 フランス

  • デジタル・クロノロジー法(2018年施行)
    • 3歳未満の子どもへのスマートフォン利用禁止
    • 13歳未満の子どもには就寝1時間前からの利用禁止
    • 保護者向けに、子どものスマートフォン利用時間を制限するアプリの提供
  • 「3・6・9・12」ルール
    • 3歳:絵本や歌などのアナログメディアに触れる
    • 6歳:家族と一緒に短時間でコンピュータを利用する
    • 9歳:インターネットを利用する前に、情報モラル教育を受ける
    • 12歳:自分のスマートフォンを持つ

2-1.2 イギリス

  • 子ども法(2020年改正)
    • 16歳未満の子ども向けに、SNSの利用時間を制限するアプリの開発
    • 学校における情報モラル教育の充実
    • ネットいじめ対策の強化

2-1.3 アメリカ

  • 小児科医学会(AAP)のガイドライン
    • 18ヶ月未満の子どもへのスクリーンタイム制限
    • 2歳以上の子どもへのスクリーンタイムは、1日1時間以内に制限
    • メディア利用は、家族と一緒に視聴し、内容について話し合う

2-2. アジア諸国

2-2.1 韓国

  • 青少年保護法(2011年施行)
    • 深夜0時から午前7時までの間、子どもがスマートフォンを利用できないようにする
    • 16歳未満の子どもが、オンラインゲームや動画配信サービスを利用するには、保護者の同意が必要
    • 学校における情報モラル教育の充実

2-2.2 中国

  • 青少年保護法(2021年改正)
    • 18歳未満の子どもが、オンラインゲームを利用できるのは1日1時間以内、週末は3時間以内
    • 14歳未満の子どもが、オンラインゲームを利用するには、保護者の同意が必要
    • 実名認証制度の導入

2-2.3 シンガポール

  • メディアリテラシー教育
    • 学校における情報モラル教育の充実
    • 保護者向けのワークショップ開催
    • 子ども向けのメディアリテラシー教材の開発

2-3. その他の地域

2-3.1 オーストラリア

  • eSmartプログラム
    • 学校や家庭で活用できる、情報モラル教育プログラム
    • 情報モラルやネット安全に関する教材や活動を提供

2-3.2 南アフリカ

  • Cyberbullying Act(2019年施行)
    • ネットいじめを違法行為とする法律
    • 被害者への支援体制の整備

2-4. 考察

各国の対応には、以下のような共通点と相違点が見られます。

共通点

  • 情報モラル教育の充実
  • 利用時間の制限
  • ネットいじめ対策の強化

相違点

  • 利用時間の具体的な制限時間
  • 規制対象となる年齢
  • 実名認証制度の導入の有無

これらの対応は、子どもたちの健全な成長を保護し、インターネットの悪影響から守るために有効な手段と考えられます。

3. スマートフォン利用のメリット

 しかしスマートフォンは一概に禁止すればよい訳でもありません。小・中学生にとっても、以下のようなメリットがあります。

3.1 学習

 学習アプリやオンライン教材などを活用することで、学習を効果的に進めることができます。学校の授業内容を復習したり、苦手科目を克服したりするのに役立ちます。

3.2 コミュニケーション

 家族や友人と、簡単に連絡を取り合うことができます。メールやSNS、ビデオ通話などを活用することで、離れて暮らす家族や友人とも気軽に会話することができます。

3.3 情報収集

 インターネットを通じて、様々な情報にアクセスすることができます。百科事典やニュース記事、学習資料などを簡単に閲覧することができ、学習や教養の向上に役立ちます。

3.4 日常利用

 スマートフォンには、アラーム機能や地図アプリ、音楽プレイヤーなど、様々な便利な機能が搭載されています。これらの機能を活用することで、日常生活をより便利に快適に過ごすことができます。

4. スマートフォン利用のデメリット

 よく知られていますがスマートフォンには、以下のようなデメリットがあります。特に子どもは自制が効きにくいため、就寝時間後も隠れて利用している場合もあります。

4.1 健康への影響

 長時間利用による人工光の浴びすぎは、睡眠障害や眼精疲労を引き起こす可能性があります。また、姿勢が悪い状態で長時間利用すると、背骨の歪みや肩こりなどの原因になります。

4.2 ネット依存

 スマートフォンに過度に依存してしまうと、現実世界での人間関係や活動がおろそかになり、社会性やコミュニケーション能力が低下する可能性があります。

4.3 サイバーイジメ

 SNSなどで悪意のある書き込みや画像を投稿されるサイバーイジメは、子どもにとって深刻な問題です。精神的なダメージに加え、最悪の場合、自殺に繋がる可能性も否定できません。

4.4 情報モラルの低下

 インターネット上には、不正確な情報や誹謗中傷など、悪質な情報も存在します。情報モラルが低いと、そのような情報に惑わされたり、自身もそのような情報を発信してしまったりする可能性があります。

4.5 生活への支障

 スマートフォンに夢中になりすぎて、勉強や家事などの生活に支障をきたす可能性があります。また、個人情報の漏洩やネット詐欺などの被害に遭うリスクもあります。

5. 不登校とスマートフォン利用の関係

 近年、不登校とスマートフォン利用の関係が指摘されています。調査によると、不登校の子どもの多くがスマートフォンを長時間利用していることがわかっています。

スマートフォン利用が不登校の直接的な原因とは断言できませんが、以下のような影響が考えられます。

  • 睡眠不足:
    スマートフォン利用による睡眠不足は、集中力や記憶力の低下、気分の落ち込みなどを引き起こし、不登校につながる可能性があります。
  • いじめ:
    SNSでのいじめや悪口は、子どもに大きな精神的負担を与え、不登校の原因となる可能性があります。
  • 現実逃避:
    スマートフォンゲームや動画視聴に夢中になることで、現実世界から逃避し、学校に行きたくないという気持ちになる可能性があります。
  • 依存症:
    スマートフォン依存症になると、日常生活に支障をきたし、不登校につながる可能性があります。

6. まとめ

スマートフォンは、子どもたちの生活に幾ばくかのメリットをもたらしますが、より大きなデメリットが存在します。

子どもたちがスマートフォンを健全に利用するために、保護者は以下のような点に注意することが大切です。

  • 利用時間を制限する:
    利用時間を制限することで、長時間利用による健康への影響やネット依存を防ぐことができます。
  • コミュニケーションを図る:
    子どもと積極的にコミュニケーションをとり、親子間の信頼関係を築いておくことが大切です。
  • ルールを設ける:
    スマートフォン利用に関するルールを明確にし、子どもと一緒に守るようにしましょう。
  • 専門家の相談:
    スマートフォン利用に関する問題が深刻な場合は、専門家に相談することをおすすめします。

スマートフォンは、子どもたちにとって学びやコミュニケーションの場として、大きな可能性を秘めたツールです。しかし、適切な利用を促さなければ、健康への影響やネット依存などのリスクも伴います。

最も身近な親がリスクを把握することで、子どもたちがスマートフォンを正しく利用し、より豊かな生活を送ることができるようにサポートしていきましょう。
そして親自身がスマートフォンばかり見ていると、それが手本となります。子どもの健全な生活を望む場合は、大人自身もスマートフォンとの関わりを見直すことも重要です。

参考URL

再登校支援サービスToCoについて詳しく知りたい方はこちら。

    *

    *


    記事一覧