不登校を引きこもりにしないための家庭で出来る5つの工夫

不登校の子どもを持つ親御さんにとって、その状況は大きな試練です。特に、子どもが家からも出なくなり、いわゆる「引きこもり」状態になることを恐れている方も多いのではないでしょうか。私たちが提供する「ToCo」サービスでも、最初にご相談をいただく際には、「どうすればこの状態を悪化させないで済むのか」といった切実な声をよく耳にします。

私自身、児童心理カウンセラーとしてこれまで数多くのケースを見てきましたが、引きこもりを防ぎ、不登校からの回復を支援するには、子どもの「自尊心」を回復させることが最も重要であると確信しています。ただ待つだけでは、不登校の状態は長引きやすく、子どもにとっても親にとっても辛い日々が続いてしまいます。そこで、今回は家庭で実践できる5つの工夫をお伝えします。どれも特別な道具や環境を必要とせず、今日から始められるものばかりです。


工夫①「食事を一緒にする」

食卓は、家族が顔を合わせる貴重な場です。特に不登校の子どもにとって、自室に閉じこもる生活が続くと、家族とのつながりすら希薄になりがちです。そのような時こそ、毎日の食事を「一緒にすること」が力を発揮します。

食事には、単なる栄養補給以上の意味があります。目の前に並ぶ食べ物が、子どもの心の壁を少しずつ崩していくことがあるのです。たとえば、子どもが好きな料理を一緒に作ってみるのも良いでしょう。「今日の献立は何がいい?」と尋ねたり、料理を手伝ってもらったりするだけでも、自然な形で会話が生まれます。特に、不登校であることに対するプレッシャーや批判を感じさせずに話しかけることがポイントです。

親が意識すべき点は、子どもを「責める」ような雰囲気を作らないことです。「どうして学校に行かないの?」などの質問は、子どもにとってストレスになります。それよりも、「今日のカレー、おいしくできたね」「このお味噌汁、体が温まるね」といった何気ない会話が、子どもとの関係を温める第一歩になります。

工夫②「手伝いをさせる」

不登校が続くと、子どもは「自分なんて何もできない」という無力感に苛まれることがあります。この気持ちは、引きこもりを引き起こす大きな要因のひとつです。ここで重要なのが、家庭の中での「役割」を与えることです。その最もシンプルな形が「手伝いをさせる」という工夫です。

例えば、食卓の準備や片付け、洗濯物を干すといった簡単な家事をお願いしてみましょう。「お手伝いをしてくれてありがとう」と感謝を伝えることが何より大切です。この小さな行動の積み重ねが、子どもにとって「自分は役に立っている」という感覚を育て、自尊心を回復させる助けになります。

また、「上手にできるかどうか」にはこだわらないでください。たとえ不器用であっても、何かをやろうとする意欲を称賛する姿勢が、子どもの心を動かします。「お皿を洗ってくれたんだね、すごい!」といった言葉がけ一つで、子どもの自己評価は少しずつ上向きになります。

工夫③「一緒に外に出る」

引きこもりの予防において、外の空気を吸うことは非常に効果的です。しかし、「外に出なさい」と命令するだけでは、子どもはますます抵抗感を強めてしまいます。だからこそ、「一緒に外に出る」工夫が必要です。

まずは短時間、身近な場所から始めましょう。例えば、「近くのスーパーに一緒に行こう」といった軽い提案が良いです。このとき、子どもが嫌がった場合には無理強いしないことが肝心です。重要なのは、外出を「楽しさ」と結びつけることです。季節の変化を感じられる公園散歩や、子どもの興味を引く場所を訪れるのも効果的です。

また、子どもが少しでも外出できたら、その努力を褒めてあげてください。「今日は一緒に外に出られて嬉しかった」と感謝を伝えることで、次への意欲が湧いてきます。外に出る習慣がつくと、徐々に社会とのつながりも取り戻すことができます。

参考記事:不登校の子どもが始めやすい外出:一歩ずつ踏み出すためのヒント

工夫④「小さなことを褒める」

子どもが不登校になると、親としてはつい「もっと頑張ってほしい」「学校に戻ってほしい」と大きな期待をかけてしまいがちです。しかし、子どもはそのプレッシャーに耐えられず、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。だからこそ、小さなことでも積極的に褒める習慣を持つことが大切です。

たとえば、子どもが朝起きられたら、「早起きできて偉いね」と声をかける。宿題の1ページでも手を付けたら、「やろうとしたことがすごいね」と称賛する。このような具体的な褒め言葉が、子どもに「できる自分」を意識させ、自信を取り戻すきっかけになります。

注意すべき点は、結果だけを褒めるのではなく、過程に目を向けることです。「最後までやり遂げられなくても、やろうとしたことが素晴らしい」といった声がけが、子どもに安心感を与えます。

工夫⑤「子どもを避けない」

不登校や引きこもりの問題が長引くと、親自身が子どもにどう接すればいいのか分からなくなり、距離を取ってしまうケースがあります。しかし、これが子どもにとっては「自分は愛されていない」という誤解につながり、さらに孤立を深めてしまいます。

「子どもを避けない」とは、積極的に干渉することではありません。むしろ、子どもの存在を受け入れ、穏やかに寄り添う姿勢を持つことです。たとえば、子どもが話しかけてきたら、手を止めて話を聞く。視線を合わせて、「あなたのことを大切に思っている」というメッセージを伝えることが重要です。

また、親自身の感情の安定も大切です。親がイライラしていると、子どもにもその不安定さが伝わり、ますます心を閉ざしてしまいます。適度にリラックスする時間を持ち、自分を労わることも忘れないでください。


工夫狙い必要な行動
食事を一緒にする家族とのつながりを取り戻し、安心感を与える。一緒に食卓を囲み、子どもの好きな料理を作り、自然な会話を心がける。
手伝いをさせる子どもの役立つ感覚を育み、自尊心を回復させる。簡単な家事を依頼し、「ありがとう」「助かったよ」と感謝を伝える。
一緒に外に出る外の空気に触れ、閉じこもりを防ぐきっかけを作る。近所の散歩やスーパーなど、短時間で気軽な外出から始め、楽しさを伝える。
小さなことを褒める小さな成功体験を積み重ね、自己肯定感を高める。行動の結果より過程を重視し、具体的な言葉で子どもの努力を称賛する。
子どもを避けない子どもに愛されている実感を与え、孤立を防ぐ。穏やかに寄り添い、子どもが話しかけてきたら手を止めて耳を傾ける。

結論:子どもの「心の回復」は家庭から

不登校や引きこもりを防ぐための家庭での工夫は、どれも難しいものではありません。ただし、それを継続するには、親の根気と子どもへの深い理解が必要です。子どもの自尊心を少しずつ回復させ、社会とのつながりを取り戻すために、今回ご紹介した5つの方法をぜひ試してみてください。

「ToCo」では、不登校の背景にある原因を共に探り、一人ひとりに合った支援を提案しています。ただ見守るだけでは解決しない問題に対し、親子で前向きな一歩を踏み出すお手伝いをしています。ぜひ、私たちに相談しながら、一緒に子どもの未来を切り開いていきましょう。

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