不登校や引きこもりの支援を専門とする児童心理司の藤原と申します。ここでは、スクールカウンセラーの役割や、不登校の子どもを持つ親御さんがどのように適切に頼ればよいのかを詳しくお話しします。私がこれまでに出会った多くの親御さんや子どもたちの経験をもとに、少しでも皆さまの心が軽くなり、次の一歩を踏み出す助けになるよう願っています。
不登校の問題と親御さんの「孤独感」
不登校のお子さんを持つ親御さんは、多くの場合、非常に孤独です。周囲に相談できる人が少なく、学校からの対応にも期待が持てないと感じている方が少なくありません。「どうしてうちの子が?」という問いかけが、親としての自己否定や家庭環境への疑念につながることもあります。このような状況下で親御さんが真っ先に感じるのは、自分たちがどこかで間違えたのではないかという罪悪感です。
ですが、ここでまずお伝えしたいことがあります。不登校は、決して「親のせい」ではありません。もちろん、家庭環境や親子関係が子どもの心に影響を与えることはあります。しかし、それはあくまで一要因であり、すべてがそこに起因するわけではないのです。不登校の背景には、学校という場が持つ構造的な問題や、子ども一人ひとりの特性、さらに社会全体の変化が複雑に絡み合っています。親が感じる罪悪感は、現状を改善するためのエネルギーを奪い取るだけでなく、子どもとの関係性にも悪影響を与えかねません。
ここで大切なのは、親自身が孤独を感じないための「つながり」を持つことです。その一つとして、スクールカウンセラーの存在を知り、適切に頼る方法を考えることが重要になります。
スクールカウンセラーとは?
スクールカウンセラーという言葉を聞くと、「学校にいる専門家」「問題を聞いてくれる人」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、実際にはその役割はもっと広範囲で多様です。スクールカウンセラーの主な使命は、子どもたちが学校生活をより良いものにするための支援を行うことです。そのため、不登校の問題だけでなく、友人関係や学習面、さらには家庭内での悩みまで、幅広い相談を受けることができます。
しかし、多くの親御さんはスクールカウンセラーにどのように頼ればよいか分からないという現状があります。子どもが学校に行かなくなってしまうと、「そもそも学校に関わる人たちに相談するのは抵抗がある」と感じるのも無理はありません。特に、過去に学校側からの対応に不満を感じた経験があると、その感情は一層強くなるでしょう。
ここで、スクールカウンセラーを「学校の一部」と見るのではなく、「外部の専門家」として捉えてみることを提案します。実際、スクールカウンセラーは学校職員ではなく、心理学や教育学の専門的な知識を持った外部委託の専門家であることがほとんどです。学校とのつながりを持ちながらも、独立した立場で親御さんや子どもの話を聞いてくれる存在です。言い換えれば、親御さんの味方として機能する場合も多いのです。
スクールカウンセラーの現状データと概要
1. 学校カバー率
- スクールカウンセラーの配置は、日本の公立小中学校で広がっています。2024年時点で、ほぼ全ての公立小中学校に配置されている状況ですが、実際の勤務日数や時間には地域差があります。
- 小学校では90%以上の配置率ですが、多くの場合、週4時間未満または月1回程度の勤務が一般的です。中学校では約3校中2校が週4時間以上の勤務時間を確保していますが、全体的に「広く薄く配置されている」傾向があります。
- 高校では9割以上に配置され、週4時間以上勤務するケースが増えていますが、不定期の配置もまだ一定割合あります。
2. 誰がスクールカウンセラーになれるのか?
- スクールカウンセラーは、主に臨床心理士、公認心理師、もしくは心理学の高度な専門知識を持つ者が担当します。また、これらの資格に基づき、子どもや親、教職員との教育相談を行います。
- 研修が義務付けられており、各自治体や教育委員会によって、地域特性や課題に応じたスキル向上の取り組みが進められています。また、チーム学校の一環として教職員向け研修にも参加しています【。
3. 課題
- スクールカウンセラーの配置は進んでいますが、非常勤が多く、勤務時間が限られるため、子どもや親が必要な時に相談できるとは限りません。また、一部では配置時間の不足が継続的な相談に支障をきたしているという課題も指摘されています。
- ICTを活用したオンラインカウンセリングが進められているものの、効果的な実施には環境整備やルール作りが必要とされています。
4. 配置の目的と成果
- スクールカウンセラーの目的は、不登校やいじめ、家庭内問題などの早期発見と対応です。調査によれば、スクールカウンセラーが関与することで、不登校やいじめの発生率が減少するなどの効果が報告されています。さらに、災害時や緊急時の心のケアも期待される役割の一つです。
日本のスクールカウンセラーの現状を考えると、全国で配置率は向上しているものの、勤務時間の制約や地域ごとの違いが課題となっています。このため、利用する際には自治体や学校ごとの実態を理解し、効果的な活用を目指すことが重要です。
スクールカウンセラーの「具体的な頼り方」
では、どのようにスクールカウンセラーを頼るべきなのでしょうか。ここでは、いくつかの具体的なステップをお伝えします。
1. 最初の一歩を躊躇しないこと
「こんな相談をしてもいいのだろうか」「話すことで余計に問題がこじれるのでは」と考える親御さんは少なくありません。しかし、スクールカウンセラーはどんな小さな相談でも受け付けています。「子どもが最近、朝起きられない」「ゲームの時間が増えて心配」といった話題でも構わないのです。むしろ、早い段階で相談をすることで、問題が深刻化する前に対処できる可能性が高まります。
2. 子どもの状態を正確に伝える
スクールカウンセラーに相談する際には、できるだけ具体的に子どもの様子を伝えることが重要です。例えば、「学校に行きたくないと言った」「何も話さなくなった」といった事実に加えて、そのときの表情や態度、親として感じた違和感も共有してください。こうした情報は、カウンセラーが子どもの気持ちや置かれている状況を理解する手助けになります。
3. 自分の気持ちも伝える
スクールカウンセラーへの相談は、必ずしも子どもに関する内容だけに限りません。親自身が感じている不安や悩みも、カウンセラーに共有することができます。「自分がどう対応すればよいのか分からない」といった漠然とした気持ちでも大丈夫です。親の気持ちを整理することで、子どもに向き合う余裕が生まれることもあります。
4. 継続的な相談を心がける
スクールカウンセラーへの相談は、一度きりで終わる必要はありません。状況が変わったり、別の問題が出てきたりした場合には、何度でも足を運んでください。継続的な相談を通じて、カウンセラーとの信頼関係が築かれ、より深いサポートが受けられるようになります。
親が抱える「期待」と「現実」のギャップ
スクールカウンセラーに相談したからといって、すぐに問題が解決するわけではありません。不登校の問題は、表面的な対応だけではなく、子どもの内面的な成長や、周囲の環境との調整が必要になるため、時間がかかることが多いのです。しかし、このプロセスにおいて重要なのは、親が「変化の兆し」を見逃さないことです。
例えば、子どもが以前よりも家で笑うようになった、少しだけでも学校の話題に触れるようになったといった小さな変化は、大きな前進を意味しています。スクールカウンセラーを頼ることで、こうした変化を共有し、次のステップへの道筋を一緒に考えることができます。
スクールカウンセラーの限界と併用するべき支援
スクールカウンセラーは頼りになる存在ですが、全ての問題を解決できるわけではありません。カウンセラー自身にも担当できる範囲や限界があります。特に、深刻な精神的問題や診断が必要な場合には、専門医やクリニックとの連携が求められます。この点を理解した上で、スクールカウンセラーを適切に利用することが大切です。
また、親御さん自身が他のサポートを併用することも検討してください。例えば、不登校の親同士で交流できる自助グループや、地域の教育支援センターなどがあります。これらは親自身の孤立感を軽減し、具体的な対策や気持ちの整理をする場として非常に有効です。
こうした支援とスクールカウンセラーを併用することで、子どもと親が孤立せず、問題解決に向けた柔軟なアプローチが可能になります。
スクールカウンセラーが教えてくれる「親の役割」
多くの親御さんは、不登校という現実に直面すると「親として何をすればいいのか」という悩みに押しつぶされそうになります。その答えを見つけるために、スクールカウンセラーの助言が役立つことがあります。実際、カウンセラーからよく伝えられるのは、「親の役割は完璧でなくていい」というメッセージです。
例えば、不登校の子どもは家庭の中で自分の居場所を見つけることが何よりも大切です。そのためには、親自身が「何とかして学校に戻らせなければ」という焦りを手放す必要があります。この焦りが子どもに伝わると、余計にプレッシャーを感じさせ、状況を悪化させることがあります。代わりに、まずは子どもの心の安全基地としての役割を果たすことを意識しましょう。
スクールカウンセラーは「学校復帰」という目標を急ぐよりも、「子どもが自分らしく成長する道筋」を一緒に模索してくれる存在です。その過程で、親として何ができるのかを考えるヒントを与えてくれます。例えば、日常生活でどのように声をかければいいのか、家庭内でどんな雰囲気を作れば子どもが安心できるのかといった具体的なアドバイスを受けることができます。
不登校は「成長の過程」であると考える
不登校は決して子どもにとって「失敗」ではありません。むしろ、子どもが自分自身と向き合い、将来を考える貴重な機会であると捉えるべきです。スクールカウンセラーの役割は、こうした「成長の過程」に寄り添い、親と子どもが共に前向きに歩むサポートをすることにあります。
例えば、ある親御さんのケースでは、子どもが学校に行けなくなってから自然と興味を持ち始めた絵を描く活動が、後に進路選択のきっかけになったという話がありました。この家庭では、スクールカウンセラーが子どもの好きなことを引き出し、それをどう生かしていけるかを一緒に考えてくれたのです。
親としては、「今は学校に行けていなくても、子どもには未来がある」と信じることが重要です。この信念を持つためには、時にはスクールカウンセラーのような専門家の視点を借りることが有効です。親一人で全てを抱え込む必要はありません。
最後に:親が「信じる力」を持つことの重要性
最後にお伝えしたいのは、親が子どもを信じる力を持つことの重要性です。不登校の子どもは、多くの場合、自分自身に対する自信を失っています。その中で、唯一無条件に信じてくれる存在が親であることは、何よりも大きな支えになります。
スクールカウンセラーは、子どもと親の間に立ち、双方が互いを理解し、信じる力を回復する手助けをします。そして、その関係性が築かれることで、子どもは再び自分のペースで前に進む力を取り戻すことができるのです。
不登校という問題は、簡単には解決できない複雑な課題です。しかし、スクールカウンセラーという味方を得ることで、その道のりを少しでも軽やかにすることができます。親御さん自身も無理をせず、時には自分を労わりながら、子どもの成長を長い目で見守っていただければと思います。
これからの道のりにおいて、少しでも明るい兆しが見えることを心より願っています。
ToCo(トーコ)株式会社について
私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。
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