不登校の子どもの進路選択ガイド:高校・大学・就職、後悔しないための道筋とは?

不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。私は、不登校予防や再登校支援を行うToCo(トーコ)株式会社の顧問を務めております。

お子様が不登校の状態にあると、進路についての悩みは尽きないことと思われます。「このままでは高校に行けないのでは?」「大学進学や就職はできるのだろうか?」と、不安を感じる保護者の方も多いはずです。しかし、焦って誤った選択をすると、お子様の将来に大きな影響を及ぼす可能性があります。

本稿では、不登校のお子様の進路選択について、後悔しないための道筋を詳しく解説します。高校・大学・就職のそれぞれの選択肢と、不登校からの回復を前提とした進路の選び方について、具体的なアプローチをお伝えします。


目次


1. 不登校が進路選択に与える影響

まず、不登校の経験が進路選択にどのような影響を及ぼすのかを正しく理解することが重要です。不登校の期間が長引くと、学力の遅れ、対人関係の困難、自己肯定感の低下など、さまざまな問題が生じます。これらが進路選択にどのように関わるのか、具体的に見ていきましょう。

1-1. 学力の遅れと進学への影響

不登校の間は学校の授業を受けていないため、学力が低下することが多く、特に主要科目(国語・数学・英語など)において大きな影響を受けることがあります。

たとえば、中学時代に不登校だった生徒が高校進学を考えた際、内申点の不足や学力試験のハードルが問題になります。全日制高校は一定の学力を求めるため、学習の遅れを取り戻さなければ選択肢が狭まります。また、大学進学を考える場合、高校時代の成績や受験勉強の影響を受けるため、不登校の影響が長期にわたって残る可能性があります。

1-2. 社会性の発達と就職への影響

学校に通わない期間が長くなると、対人関係の構築が難しくなることがあります。特に、集団生活に適応する力が低下し、コミュニケーションを避ける傾向が強まることが多いです。

就職の際には、学歴だけでなく「コミュニケーション能力」や「協調性」などが重視されます。不登校の影響で人間関係を築くのが苦手になっていると、就職活動や職場での適応に苦労するケースもあります。

1-3. 自己肯定感の低下と選択肢の制限

長期間の不登校経験があると、「自分は何をやってもダメだ」と感じ、自己肯定感が低下しやすくなります。すると、新しい挑戦を避ける傾向が強まり、進学や就職に対して消極的になってしまうことがあります。

進路選択は、本人が「やってみよう」と思えるかどうかが重要です。自己肯定感が低い状態では、挑戦する意欲が湧かず、結果として選択肢が狭まってしまうのです。

このように、不登校は進路選択にさまざまな影響を及ぼします。しかし、適切な支援を受けながら準備を進めることで、不登校の影響を最小限に抑え、希望する進路を目指すことが可能です。

2. 不登校の子どもが高校進学を目指す際の選択肢

不登校のお子様が高校進学を目指す場合、大きく分けて「全日制高校への進学」「通信制・定時制高校への進学」の2つの選択肢があります。それぞれの特徴と、お子様の状況に応じた適切な選び方について解説します。

2-1. 全日制高校への進学

多くの保護者の方がまず考えるのが、一般的な全日制高校への進学でしょう。不登校経験があっても、全日制高校に進学することは十分に可能です。ただし、学校選びと準備が非常に重要になります。

(1)進学のためのハードル

  • 内申点の影響
    中学時代に不登校が長引くと、成績がつけられず、内申点が低くなりがちです。多くの公立高校では内申点を重視するため、不登校期間が長かった場合、一般入試の選択肢が狭まることがあります。
  • 学力試験への対応
    受験科目の学習が十分に進んでいない場合、一般入試での合格が難しくなります。そのため、学習の遅れを取り戻すことが必要になります。
  • 面接や作文の重要性
    不登校経験がある場合、面接や作文試験で「なぜ不登校だったのか」「高校でどのように過ごしたいか」を問われることがあります。ここでしっかりとした回答ができるよう準備が必要です。

(2)不登校生を受け入れやすい高校の特徴

最近では、不登校経験者を積極的に受け入れる高校も増えてきています。こうした高校には、以下のような特徴があります。

  • 特別支援体制が整っている
    カウンセリングや個別指導が充実しており、不登校経験者が安心して通学できる環境を提供している。
  • 出席扱い制度を活用できる
    たとえば、フリースクールや家庭学習の一部を「出席」として認める制度を採用している学校もあります。
  • 学び直し支援が充実している
    学力補充のための特別クラスや、個別指導のプログラムがある。

2-2. 通信制高校・定時制高校への進学

不登校経験が長く、全日制高校への進学が難しい場合、通信制高校や定時制高校を選ぶケースもあります。

(1)通信制高校の特徴

通信制高校は、通学の負担を減らしながら高校卒業資格を取得できる仕組みになっています。

  • 自宅学習が基本:レポート提出やオンライン授業で単位を取得する形式。
  • スクーリング(登校日)が少ない:週1回程度の登校が求められる学校もあるが、全日制よりは負担が軽い。
  • 学習のペースを自分で調整可能:不登校経験がある生徒でも、無理なく学習を進められる。

ただし、通信制高校は自主学習が基本のため、自己管理能力が求められます。「学習のモチベーションが続かない」「誰かのサポートがないと勉強が進まない」といったタイプのお子様には、十分なサポート体制があるかを確認することが大切です。

(2)定時制高校の特徴

定時制高校は、夕方から夜にかけて授業が行われるスタイルの高校です。

  • 対面授業が中心:通信制と異なり、基本的には学校に通いながら授業を受ける。
  • 学力不問で入学できる学校もある:一部の公立定時制高校は、学力試験なしで入学できる。
  • 社会人や年齢の異なる生徒と学ぶ機会がある:異年齢の人と交流できるため、社会性を身につける場にもなる。

2-3. 進学のために必要な準備

お子様が高校進学を希望する場合、不登校の状況から抜け出し、学習のリズムを取り戻すことが必要不可欠です。そのために、以下のような取り組みが有効です。

  1. 学習習慣をつける
    • まずは1日30分でも良いので、学習時間を確保する。
    • 不登校期間が長い場合、基礎学力(小学校レベルからの復習)を重視する。
  2. 再登校の準備をする
    • 高校進学後の環境変化に適応できるよう、徐々に外出や他者との交流機会を増やしていく。
    • 再登校支援サービスを活用し、無理のない形で学校生活へ戻る準備を進める。
  3. 志望校の情報を集める
    • 学校説明会やオープンキャンパスに積極的に参加し、お子様に合う環境かどうかを確認する。
    • 進学後に続けられるかどうかを第一に考え、通学時間やサポート体制を重視する。

不登校の期間が長くても、高校進学は十分に可能です。ただし、進学後に再び学校に行けなくなるケースを防ぐために、「高校に入ること」ではなく「高校生活を続けること」を意識した準備が必要です。

3. 不登校からの大学進学

不登校を経験したお子様が大学進学を目指す場合、高校以上に「自分に合った学びの環境」を見極めることが重要になります。不登校経験があるからといって大学進学が難しいわけではありませんが、適切な準備をしないと、進学後に授業に出られなくなるなどの問題が生じる可能性があります。本章では、不登校経験者の大学進学の選択肢と、成功するためのポイントを解説します。


3-1. 不登校経験者が大学進学を目指す際のハードル

大学進学に向けた道のりは、不登校の期間や理由によって異なりますが、以下のような共通する課題があります。

  • 学力不足の問題
    高校時代の不登校期間が長かった場合、受験科目の学習が十分にできていない可能性があります。特に、一般入試では高校3年間の内容を問われるため、基礎学力が不足していると合格が難しくなります。
  • 受験方式の選択
    不登校経験者の場合、一般入試よりも総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試を活用したほうが合格しやすいことがあります。これらの入試では、学力試験よりも面接や志望理由書が重視されるため、不登校経験を前向きに伝えることができれば有利になる可能性があります。
  • 大学進学後の適応
    高校と異なり、大学は自主的に学ぶ場です。不登校経験があると、「講義に出席できない」「課題を計画的に進められない」などの問題に直面することがあります。そのため、進学前に学習習慣や生活リズムを整えておく必要があります。

3-2. 大学進学の選択肢

不登校を経験したお子様が大学進学を目指す場合、以下のようなルートがあります。

(1)一般入試(学力試験)

一般入試は、共通テストや各大学の個別試験を受けて合格を目指す方法です。

  • メリット:受験対策をしっかり行えば、どの大学にも挑戦できる。
  • デメリット:学力試験がメインのため、不登校期間が長く学習が遅れている場合は不利。

(2)総合型選抜(旧AO入試)

学力試験よりも「学ぶ意欲」や「将来の目標」を重視する入試方式です。

  • メリット:不登校経験を逆に強みに変えられる。面接や志望理由書で「なぜ大学で学びたいのか」をしっかり伝えることができれば合格の可能性が高まる。
  • デメリット:志望理由の記載難易度が高い。面接の準備に時間がかかる。

(3)推薦入試(学校推薦型選抜)

高校の推薦を受けて出願する入試方式。公募制推薦(学力試験あり)と指定校推薦(試験なし)の2種類がある。

  • メリット:指定校推薦であれば、基本的に合格が保証される。
  • デメリット:内申点や高校での成績が重視されるため、不登校期間が長かった場合は選択肢が限られる。

(4)オンライン大学・通信制大学

通学が難しい場合、オンラインで学位を取得できる大学を選ぶという方法もある。

  • メリット:自宅で学習できるため、不登校経験があっても無理なく進学できる。
  • デメリット:自主的に学習を進める必要があるため、自己管理能力が求められる。

3-3. 大学進学のために必要な準備

大学進学を成功させるためには、単に合格するだけでなく、入学後に継続して学べる環境を整えることが重要です。

  1. 学習習慣を取り戻す
    • まずは、毎日決まった時間に学習する習慣をつける。
    • 大学受験を考える場合、高校の基礎科目を重点的に復習する。
  2. 志望理由を明確にする
    • 特に総合型選抜を利用する場合、「なぜこの大学で学びたいのか?」を具体的に言語化できるようにする。
    • 過去の不登校経験をどのように乗り越え、今後に生かしたいかを整理する。
  3. 再登校支援を活用する
    • 大学進学後に学び続けるためには、生活リズムを整え、通学への不安を解消することが重要。
    • 一部の民間サービスや塾では、大学進学を見据えた学習サポートや生活改善のプログラムを提供している。

4. 不登校経験者の就職

高校や大学に進学せず、直接就職を目指す場合、不登校経験が社会での適応に影響を及ぼすことがあります。不登校経験者の就職活動には特有の課題があり、これを理解し適切な準備をすることが重要です。


4-1. 不登校経験者が就職で直面する課題

不登校のまま社会に出る場合、次のような課題に直面しやすくなります。

  1. 履歴書の空白期間の説明が必要
    就職活動では、履歴書や面接で「なぜ高校や大学に通わなかったのか?」を問われることが多く、不登校の期間をどのように説明するかが重要になります。正直に話すことは大切ですが、単に「学校に行けなかった」と伝えるだけでは不利になりやすいため、「その期間に何をしていたのか」「今はどう向き合っているのか」を前向きに説明する準備が必要です。
  2. 対人スキルの不足
    学校生活を通じて培われる「人と関わる経験」が不足しているため、職場での人間関係に不安を感じることが多いです。特に、上下関係のある環境に馴染めず、職場のルールやコミュニケーションの壁を感じるケースが少なくありません。
  3. 継続的に働くことが難しくなる可能性がある
    不登校が長引いた場合、「継続的に働くこと」そのものに心理的なハードルを感じることがあります。たとえば、「決まった時間に出社するのが苦痛」「仕事のストレスに耐えられない」「同僚と馴染めずに孤立する」といった問題が発生することがあります。

4-2. 不登校経験者の就職に向けたフォローアップ

上記の課題を持っていても、適切な準備をすれば就職の道は開かれています。ここでは、主な就職ルートについて詳しく説明します。

(1)職業訓練校を活用する

職業訓練校(ハロートレーニング)は、実践的なスキルを身につけながら、就職に必要な知識を学べる機関です。特に、不登校経験者にとって、専門スキルを身につけることで「学歴」ではなく「能力」で評価される道を作ることができます。

  • メリット:学歴が不問で、実践的なスキルを短期間で習得できる。
  • デメリット:受講期間中のモチベーション維持が必要。

特に、IT、介護、調理、デザイン、製造業など、手に職をつけられる分野は、不登校経験があっても成果を出しやすい仕事が多く、就職に結びつきやすい傾向があります。

(2)インターンシップやアルバイトから始める

いきなり正社員として働くことが難しい場合、アルバイトやインターンシップを通じて、仕事に慣れていく方法があります。

  • メリット:社会経験を積みながら、自分に合った仕事を見極めることができる。
  • デメリット:正社員への道が保証されるわけではないため、キャリアアップの道を考える必要がある。

コンビニや飲食店、工場、倉庫作業など、比較的ハードルの低い職種から始め、徐々に社会での適応力を高めていくのが有効です。また、アルバイト先で評価され、正社員登用されるケースもあります。

(3)就労支援サービスを利用する

不登校経験者や引きこもり状態にある若者向けの就労支援サービスを活用することで、段階的に社会復帰することが可能です。

  • メリット:専門家のサポートを受けながら、無理なく就職活動を進められる。
  • デメリット:支援機関によってサービス内容に差があるため、自分に合ったプログラムを選ぶ必要がある。

ToCoでは、再登校支援だけでなく、社会復帰に向けたサポートも行っています。たとえば、「企業訪問」や「職場体験」などを通じて、実際の職場環境を知り、仕事への不安を軽減するプログラムを提供しています。

(4)資格取得を目指す

学歴ではなく、資格を武器にすることで、就職の選択肢を広げることができます。特に、不登校経験がある方には、以下のような資格取得を目指すのがおすすめです。

  • IT系資格(ITパスポート、基本情報技術者試験など):オンラインで学べるため、自宅学習でも取得可能。
  • 医療・介護系資格(介護職員初任者研修、登録販売者など):資格を取得すれば、未経験からでも就職しやすい。
  • クリエイティブ系資格(Webデザイン、動画編集、イラスト制作など):フリーランスや在宅ワークの道も開ける。

4-3. 就職成功のために必要な準備

不登校経験者が就職を成功させるためには、単に「仕事を探す」だけでなく、社会に適応するための準備が不可欠です。

  1. 生活リズムを整える
    • 毎朝決まった時間に起きる習慣をつける。
    • 週に数回でも外出する機会を増やし、人と接することに慣れる。
  2. コミュニケーション能力を向上させる
    • 家族や信頼できる人と積極的に会話する。
    • ボランティア活動や地域のイベントに参加し、人と関わる機会を作る。
  3. 履歴書・面接対策を行う
    • 不登校期間について、前向きに説明できるようにする。
    • 模擬面接を受けて、話し方や表情に慣れる。

5. まとめ——後悔しない進路選択のために

不登校からの進路選択は、「どこに進むか」だけでなく、「その進路をどのように進んでいくか」が重要です。そのために、以下の点を意識してください。

  • 現在の状態を正しく把握し、焦らずに進路を考える
  • 短期的な目標と長期的な目標を分けて考える
  • お子様の得意なことや興味のあることを活かす
  • 進路を決めた後の準備をしっかり行う

大切なのは、「お子様がなるべく後悔しない選択をすること」です。一歩ずつ着実に前に進めるよう、環境を整え、支援を活用しながら、お子様と一緒に最適な選択を見つけていきましょう。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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引きこもりの実態と不登校との関係

引きこもりの実態と不登校との関係-記事の見出し画像

目次


1. 引きこもりの定義・実数

不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。私は、不登校予防や再登校支援を行うToCo株式会社の顧問を務めております。本稿では、「引きこもりの実態と不登校との関係」について、小中学生の不登校のお子様を持つ保護者の皆様に向けて、実態を深掘りしつつ、具体的な対応策をお伝えいたします。

まず、「引きこもり」という言葉について改めて定義を確認してみます。
引きこもりとは、社会的参加を長期間にわたり回避し、家庭内に閉じこもって生活する状態を指します。この「社会的参加」とは、学校への登校や就労、地域社会での活動、友人との交流など、他者と積極的に関わる行動を意味します。内閣府の定義では、6ヶ月以上にわたって家庭にとどまり続け、必要最低限の外出以外の社会参加をしていない状態が「引きこもり」とされます。

この「6ヶ月以上」という期間は、単なる一時的な疲れや生活習慣の乱れとは異なり、慢性的かつ固定化しやすい問題であることを示しています。
特に、学校に行けない日が続くことで「不登校」となり、さらに引きこもりへと状態が移行してしまうことがあります。この点において、不登校と引きこもりは密接に関連しています。

引きこもりの実態

では、実際にどのくらいの子どもたちが引きこもりの状態にあるのでしょうか?内閣府の「子ども・若者の意識と生活に関する調査」(2023年度)によると、引きこもりの状態にある若者の年齢層は若年化の傾向にあります。
注目すべきは、14歳以下が12.4%、15〜19歳が17.3%という数字です。この結果は、義務教育を受けるべき小中学生の段階から、すでに引きこもり状態に陥っている子どもが少なくないことを示しています。

引きこもりになった年齢(内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査-ひきこもりに関する状況」2023年度)
引きこもりの期間(内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査-ひきこもりに関する状況」2023年度)

また、引きこもり状態にある人たちの家庭内での活動についても、深刻なデータが出ています。内閣府の調査によれば「自宅でよくしていること」の回答でインターネットを選んだ人は78.5%、ゲームを選んだ人が66.7%(複数回答)でした。これらの活動自体が問題というわけではありませんが、コミュニケーションがデジタル空間に偏り、リアルな対人関係や社会活動が疎かになることは、引きこもり状態を固定化させてしまうリスクがあります。

さらに、引きこもり状態の子どもたちの過半数が「半年の間、家族以外と会話をしていない」という実態も見逃せません。人と話す機会が少ないと、自然と会話力や社会性が低下してしまいます。また、孤立感や疎外感が募り、外部の世界に対する不安が増大します。これは、子どもたちが「自分はこのままで良いのだろうか」「外に出たいけれど、どうすればいいのか分からない」と感じ、ますます引きこもりから抜け出せなくなる悪循環を引き起こします。

2. 引きこもりのきっかけ

引きこもりの状態にある子どもたちの多くは社会的なつながりを持たず、家庭内での生活の大半をインターネットやゲームなど部屋での活動に費やしています。では、なぜ子どもは外の世界と距離を置くようになるのでしょうか。その背景には、学校関係や人間関係の問題が深く関わっています。

内閣府の調査によると、引きこもりのきっかけとして「学校関係」と「人間関係」が全体の35%を占めています。その中でも「不登校」が全体の18.5%を占めており、学校生活に適応できなかったことが引きこもりの要因となるケースが多いことが分かります。このデータをもとに、具体的にどのような出来事が子どもを引きこもりに追い込むのかを詳しく見ていきましょう。

引きこもりの最も大きな理由(内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査-ひきこもりに関する状況」2023年度)

学校が引きこもりのきっかけになる理由

学校は、子どもが社会性を学び、友人関係を築く場であると同時に、さまざまなストレスが生じる場でもあります。学校生活の中で発生する問題のうち、引きこもりのきっかけとなりやすいものを以下に挙げます。

① いじめや人間関係のトラブル

いじめは、不登校や引きこもりを引き起こす大きな要因の一つです。特にSNSの普及により、学校外でも誹謗中傷や仲間外れが発生しやすくなっています。いじめを受けた子どもは学校に行くことに強い恐怖心を抱き、次第に登校を避けるようになります。そして、その状態が続くと外出すること自体が怖くなり、家の中に閉じこもるようになるのです。

また、いじめがなくても人間関係の不和がストレスとなり学校に行きづらくなることがあります。友人グループの中で孤立したり、先生との相性が悪かったりすると、学校が「居場所のない場所」になってしまい、次第に足が遠のいてしまうのです。

② 学業の遅れと自信の喪失

授業についていけない、成績が思うように伸びない、といった学業面のストレスも、不登校や引きこもりの大きな要因となります。特に周囲の友達と比較される環境では、学習が遅れてしまった子どもは「どうせ頑張っても無理だ」と感じ、学ぶ意欲を失ってしまうことがあります。

一度「分からない」という状態が続くと授業に出るのが苦痛になり、学校に行くこと自体を避けるようになります。その結果、不登校が長期化し、やがて引きこもりへと移行してしまうのです。

③ 学校のルールや雰囲気が合わない

学校の規則が厳しすぎたり、先生の指導方法が合わなかったりすると、子どもは強いストレスを感じます。例えば校則が厳しく、少しの違反でも厳しく指導される環境では、萎縮してしまい登校が難しくなることがあります。また、集団生活に馴染めない子どもにとっては、学校という場そのものが苦痛となることもあります。

家庭環境が引きこもりのきっかけになる場合

学校関係の問題が引きこもりの直接的なきっかけとなることが多い一方で、家庭環境が間接的に影響を及ぼすケースもあります。例えば、以下のような家庭環境では、引きこもりが助長される可能性があります。

① 家庭内の不和や過干渉

家庭内での親子関係が良好でない場合、子どもは安心できる居場所を失い、社会との関わりを避けるようになります。例えば親が過度に厳しく接したり、逆に無関心であったりすると、子どもは自己肯定感を低下させ、引きこもる傾向が強くなります。また親が過干渉であったり、進路や学業に対して過度に期待をかけたりすると、子どもはプレッシャーを感じて逃げ場を求めて家に閉じこもることもあります。

② 生活習慣の乱れ

夜更かしや昼夜逆転の生活が続くと、学校に行くリズムが崩れて不登校や引きこもりに発展することがあります。特に、インターネットやゲームの過剰利用が習慣化すると昼夜逆転が固定化し、社会生活との接点を持つのが難しくなります。

3. 不登校と引きこもりの共通点

不登校が長期化すると子どもが家に閉じこもることが増え、引きこもりへと移行する可能性が高まります。この「不登校」と「引きこもり」は連続した状態でもあり、共通点も持っています。

不登校と引きこもりに共通する心理的特徴

不登校と引きこもりにある子どもたちは、共通して以下のような心理状態を抱えています。

① 外の世界に対する不安と恐怖

不登校の子どもは、多くの場合「学校に行くのが怖い」と感じています。その理由は、いじめや人間関係のトラブル、学業不振、先生との関係悪化などさまざまです。最初は「行きたくない」「ちょっと休みたい」という軽い気持ちで休むことが多いのですが、それが続くうちに「学校に行くのが怖い」という気持ちが強くなっていきます。

この状態が続くと、次第に「学校に行かない理由」が変化します。最初は「嫌なことがあるから行きたくない」と思っていたものが、次第に「学校に行かない期間が長くなりすぎて、今さら行けない」という気持ちに変わっていくのです。

そして、不登校が長期化すると、学校だけでなく、外の世界全体に対して恐怖を感じるようになり、引きこもりへと移行してしまうことがあります。

② 自己肯定感の低下

不登校や引きこもりの子どもは、自分自身に対する評価が低くなりがちです。「学校に行けない自分はダメだ」「みんなと違う自分はおかしい」といった考えが強まり、自己肯定感がどんどん下がっていきます。

特に、学校に行かない期間が長くなると、子どもは「周りのみんなは普通に学校に行っているのに、自分だけできない」と感じ、劣等感を抱くようになります。こうした感情は、外の世界との接触をさらに避ける原因となり、引きこもりの状態を強化してしまいます。

③ 時間の感覚が薄れる

不登校や引きこもりの子どもは、1日のリズムが乱れやすく、昼夜逆転の生活になることが少なくありません。特に、インターネットやゲームの利用が習慣化すると、気づかないうちに昼夜が逆転し、生活リズムが大きく崩れてしまいます。

自宅でよくしていること(内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査-ひきこもりに関する状況」2023年度)

このような生活を続けるうちに、「今日も学校に行けなかった」「今週も外に出なかった」といった感覚が薄れ、1日が1週間、1週間が1ヶ月、1ヶ月が1年、1年が10年とあっという間に過ぎてしまうことがあります。こうして時間の感覚が曖昧になり、「何かを始めよう」という気持ちを持ちにくくなってしまうのです。

不登校から引きこもりへの移行

不登校の子どもが必ずしも引きこもりになるわけではありませんが、多くの場合、不登校の状態が長引くと引きこもりへと移行してしまうリスクが高くなります。そのプロセスを簡単に説明すると、以下のような段階を踏むことが多いです。

  1. 学校に行きたくない理由がある(いじめ、勉強の遅れ、先生とのトラブルなど)
  2. 休みがちになる(最初は数日、次第に1週間、1ヶ月と増えていく)
  3. 「学校に行かないこと」が習慣化し、外出する機会が減る
  4. 家庭内での活動が中心になり、インターネットやゲームに依存し始める
  5. 社会との接点がなくなり、引きこもり状態へと移行する

このプロセスの中で重要なのは、早い段階で適切な対応を取ることです。特に、学校を長期間休むようになった時点で、保護者が「様子を見よう」と放置してしまうと、次第に外の世界と距離ができてしまい、引きこもりへと移行しやすくなります。

不登校と引きこもりの違いとは?

ここまで不登校と引きこもりの共通点について述べてきましたが、両者にはいくつかの違いもあります。

  • 不登校の段階では、外出する機会がまだ残っている(買い物や友達との遊びなど)
  • 引きこもりの段階では、家族以外との接触がほぼなくなる
  • 不登校の子どもは「いつかは学校に戻りたい」と考えていることが多いが、引きこもりの子どもは「どうやって戻ればいいか分からない」と感じている

つまり、不登校の段階で適切な介入を行うことで、引きこもりへの移行を防ぐことができるのです。

4. 見守るだけでは変わらない理由

ここまで、不登校と引きこもりには共通点が多く、不登校が長期化することで引きこもりへと移行する可能性が高まることを説明しました。しかし、ここで重要なのは「子ども自身がこの状態を望んでいるわけではない」という点です。

確かに、お子様が「学校には行きたくない」と言うことはあるかもしれません。しかし、それは「何もしたくない」「ずっとこのままでいたい」という意味ではありません。むしろ、「どうすればいいか分からない」「戻るきっかけがつかめない」という不安や迷いを抱えていることがほとんどなのです。

このような状態にある子どもに対し、「無理に学校へ行かせるのはよくないから、本人が動き出すまで待とう」と考える保護者の方も多いでしょう。しかし、「見守るだけ」では多くの場合、状況は変わりません。むしろ、時間が経つほどに社会復帰のハードルは上がり、引きこもりの状態が固定化してしまう危険性があるのです。

時間が経つほど抜け出しにくくなる理由

「今はまだ休む時期」「そのうち自分から動き出すだろう」と考え、何もアクションを起こさずにいると、お子様は次のような状態に陥る可能性が高まります。

① 生活リズムの乱れが固定化する

不登校や引きこもりの状態が続くと、昼夜逆転の生活になることがよくあります。特に、インターネットやゲームに依存するようになると、夜遅くまで活動し、昼間に眠るというリズムが定着してしまうのです。

この状態が続くと、朝起きて学校へ行く生活がどんどん遠ざかり、「学校に戻る」という選択肢が現実味を失ってしまいます。最初は「少し休みたい」という気持ちだったとしても、半年、1年と時間が経つうちに、「どうやって戻ればいいか分からない」「今さら学校に行ってもついていけない」という不安が強くなり、ますます動き出せなくなってしまうのです。

② 自己肯定感が低下する

学校に行かない期間が長くなると、子どもは「自分は普通のことができない」と感じるようになります。特に、周囲の友達が学校に通い、勉強や部活動に励んでいるのを見たり聞いたりすると、劣等感が強まり、「自分だけが取り残されている」という意識が芽生えてしまいます。

このような状態になると、「学校に戻ること」そのものがプレッシャーとなり、「行きたいけど行けない」「何をするにも自信が持てない」という悪循環に陥ります。結果として、「今さら戻るのは無理だ」「もう自分の人生は終わりだ」と考えるようになり、積極的に行動を起こす意欲を失ってしまうのです。

③ 家庭が「居心地の良い避難所」になる

子どもにとって、家庭は本来安心できる場所であるべきですが、長期間引きこもっていると、「家庭の外=危険、家庭の中=安全」という極端な意識が生まれることがあります。

たとえば、「家にいれば何も嫌なことが起こらない」「親は何も言わずに受け入れてくれる」といった環境が続くと、外に出ることの必要性を感じなくなります。こうして、「外の世界に出ること」がますます怖くなり、引きこもり状態が強化されてしまうのです。

「見守ること」と「放置すること」は違う

ここで大切なのは、「見守ること」と「放置すること」の違いを理解することです。

確かに、不登校や引きこもりの子どもに対して、頭ごなしに「学校に行きなさい!」と強制するのは逆効果になりかねません。しかし、何のアクションも起こさずにいると、お子様は「このままでいいのかな?」という迷いすら抱かなくなってしまいます。

適切な見守りとは、お子様の状況を理解しつつ、「どうすれば動き出せるか」を一緒に考え、具体的なサポートを提供することです。そして、そのためには不登校のメカニズムを知って、適切な対処を行うことが重要になります。

注意しなければいけないことは、「不登校のきっかけ」と「不登校が続いてしまう原因」が異なるケースが多い点です。例えば学校の人間関係がきっかけで登校できなくなったとしても、1ヶ月経っても不登校のままである要因は別にある、という点です。不登校が引きこもりになる前に、子どもへの適切な支援を行っていきましょう。


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私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

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不登校解決にどれくらいの費用と時間をかけるべきか?

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不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。また、不登校予防や再登校支援を専門とするToCo株式会社の顧問も務めております。
本日は、「不登校解決にどれくらいの費用と時間をかけるべきか?」というテーマについて、お話しさせていただきます。


目次


不登校業界における金銭トラブル

近年、不登校支援をうたう業者との間で、金銭トラブルが増加しています。無料相談を受けた後、高額なサービスを強引に勧められたり、効果が見られないにもかかわらず返金に応じてもらえなかったりといった事例が報告されています。例えば、ある保護者の方は、無料相談に参加した後、数十万円のプログラムを契約するよう強く勧められ、断りきれずに契約してしまったものの、期待した効果が得られず、返金もされなかったといいます。このようなトラブルは、保護者の焦りや不安につけ込む悪質な業者によって引き起こされることが多いのです。

また、料金体系が不明瞭なまま契約を迫られるケースも見受けられます。具体的なサービス内容や料金が明示されていない場合、後になって予想外の高額請求を受ける可能性があります。不透明な料金設定や強引な勧誘には、十分な警戒が必要です。

さらに、効果を誇大に宣伝し、実際には期待した成果が得られないケースも報告されているため、過度な宣伝文句に惑わされないよう冷静な判断が求められます。不登校の解決には、各家庭やお子様の状況に応じた適切な支援が必要であり、万能な解決策は存在しません。

このような金銭トラブルを避けるためには、以下の点に注意することが重要です。

  • 料金体系の明確化:サービスを受ける前に、具体的な料金や追加費用の有無を確認しましょう。
  • 契約内容の確認:契約書や利用規約をしっかりと読み、不明点は質問し、納得してから契約を結ぶことが大切です。
  • 第三者の評価を参考にする:口コミや評判、第三者機関の評価などを調べ、信頼性のある業者を選ぶよう心がけましょう。

お子様のために最善の支援を求めるあまり、焦って判断してしまうこともあるかもしれません。しかし、冷静に情報を収集し、信頼できる支援を選ぶことが、お子様の未来にとって最も重要です。

費用ではなく、企業を見よう

不登校支援を選ぶ際、費用の多寡だけで判断するのは危険です。高額なサービスが必ずしも高品質であるとは限らず、逆に低価格でも効果的な支援を提供している企業も存在します。重要なのは、提供されるサービスの内容や企業の信頼性です。

消費者庁も、「サービス価格が明示されていない場合は十分に注意しましょう」と注意喚起を行っています。料金を公開していない企業にはその理由があると考え、慎重に判断することが求められます。例えば、料金を明示しないことで、個別に高額な料金を請求する可能性や、サービス内容に自信がないために詳細を隠している場合も考えられます。Topページやサービスページが事例や無料相談などで占められていて、料金の記述が無い場合は注意が必要です。

また、企業の実績や支援内容を確認することも重要です。具体的な支援事例や成功率、専門家の資格や経験などを調べることで、その企業が信頼に足るかどうかを判断できます。例えば、ToCo株式会社では、再登校支援サービスの詳細や料金を公式サイトで明示しています。さらに、具体的な支援事例や導入効果も公開しており、透明性の高い情報提供を行っています。

さらに、第三者機関の評価や口コミも参考になります。実際にサービスを利用した保護者の声や、専門家からの推薦など、多角的な情報を集めることで、より客観的な判断が可能となります。ただし、口コミだけに頼らず、公式な情報や直接の問い合わせを通じて確認することも大切です。

最終的には、費用対効果を考慮しつつ、お子様やご家庭の状況に最適な支援を提供してくれる企業を選ぶことが重要です。費用だけでなく、企業の信頼性や支援内容、透明性など、多角的な視点から判断し、後悔のない選択をしていただくことが推奨されます。

不登校解決と時間の関係

不登校の問題を考えるうえで、費用と並んで重要なのが「時間」です。お子様が学校に行かなくなったとき、「しばらく様子を見よう」「本人が落ち着くまで待とう」と考える保護者の方も多いかもしれません。しかし、不登校が長引くほど、解決の難易度は格段に上がることが証明されています。

お子様にとって、最初の数週間は「学校に行かない」という状態が非日常です。しかし、それが何カ月も続くと、「家にいるのが普通」という状態に変わり、それが「コンフォートゾーン(快適領域)」になってしまいます。人間は基本的に、現状を維持しようとする心理が働くため、一度コンフォートゾーンが確立されると、そこから抜け出すことが非常に難しくなります。

特に、不登校が半年以上続くと、次のような心理的変化が起こることが知られています。

  • 「学校に行く」こと自体が非現実的に思える
    学校に行くことが「遠い過去の出来事」のように感じられ、登校すること自体に強い抵抗感を抱くようになります。
  • 社会的スキルが低下し、友達との関係が薄れる
    長期間、人と関わらない生活が続くと、コミュニケーションの機会が減り、対人関係に自信がなくなります。
  • 自己肯定感が低下し、「自分はダメな人間だ」と思い込む
    「学校に行けない自分」を責めるようになり、自己否定が強まることでますます外の世界に出にくくなります。

このような悪循環に陥ると、「子どもが自分から行きたいと言うまで待つ」という選択肢は、現実的ではなくなってしまいます。もちろん、お子様の気持ちを無視して無理に学校に連れて行くことは逆効果ですが、保護者が「どうすれば登校へのハードルを少しでも下げられるか」を常に考え、働きかけることが重要です。

早期解決の重要性

ここで、一つ考えてみていただきたいのは、「不登校が始まったばかりの時期」と「不登校が長期化した後」では、解決にかかる時間が大きく異なるという点です。

例えば、不登校になって1カ月以内の段階で適切な介入を行えば、多くの場合、3カ月以内に登校を再開できる可能性があります。しかし、1年以上続いた場合、元の生活に戻るまでに数年を要することも少なくありません。それほど、時間の経過は大きな影響を与えるのです。

では、なぜ早い対応が効果的なのでしょうか?その理由は、人間の心理と環境の変化にあります。次の章では、行動心理学の観点から、短期間での解決がなぜ有効なのかを解説します。

行動心理学から見た短期解決の利点

人間の行動は、環境に強く影響を受けます。例えば、初めて職場に出勤した日を思い出してください。慣れない環境に緊張し、ストレスを感じたかもしれません。しかし、1カ月もすると、その環境に慣れ、違和感がなくなっていたのではないでしょうか?

この現象は「環境適応」と呼ばれ、人は1カ月ほどで新しい状況に順応する性質を持っています。これは、不登校の解決にも大きく関わります。例えば、以下のようなステップを踏むことで、お子様の環境を変え、登校へのハードルを下げることが可能になります。

  • 家庭内のルールを変える
    学校に行かない状態が続くと、昼夜逆転やゲーム漬けといった生活リズムの乱れが生じやすくなります。まずは「朝起きる」「外に出る」といった基本的なルールを設定し、学校に行かない間も規則正しい生活を送ることが大切です。
  • 外に出る習慣をつくる
    学校に行かない日が続くと、家の外に出ること自体が大きなストレスになります。そのため、まずは「週に1回、親と一緒に散歩する」「図書館やカフェに行く」といった、小さな変化を加えることが有効です。

「慣れ」の前に動く

行動心理学の観点から見ても、不登校が長引くと、それ自体が「日常」になり、変化を起こすのが難しくなります。そのため、短期間のうちに適切な働きかけを行い、環境を少しずつ変えることが、不登校解決のカギとなります。

まとめ:不登校解決にかけるべき費用と時間

不登校の解決には、「どれだけ費用をかけるか」ではなく、「どのように正しく投資するか」が重要です。そして、それと同じくらい「どれだけ早く行動できるか」が結果を大きく左右します。

  • 不透明な料金体系の業者には注意し、信頼できる企業を選ぶ
  • 長引けば長引くほど解決が難しくなるため、早期対応を心がける
  • 行動心理学を活用し、少しずつ環境を変えることが効果的

「子どもが行く気になるまで待とう」と思っている間に、不登校は固定化してしまいます。かといって、無理に学校に行かせることも逆効果です。重要なのは、親が適切なサポートを行い、お子様が自然に学校に戻れるような環境を整えることです。

ToCo株式会社では、こうした問題に直面しているご家庭向けに、具体的な解決策を提供しています。お子様の状況に合わせた支援を行い、スムーズな再登校をサポートすることが可能です。お悩みの際は、ぜひご相談ください。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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不登校は子どもの甘え?

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不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。また、私はToCo株式会社の顧問として、不登校が長期化する要因を解消し、子どもたちが再び学校に通えるようサポートするサービスに関わっています。本日は、「不登校は子どもの甘え?」というテーマについて、私の経験や知見をもとにお話ししたいと思います。

不登校を「甘え」と非難する声

不登校を経験するお子さんを持つ保護者の方々が、世間から心ない声を受けて心を痛めているという話を耳にすることは少なくありません。「学校に行かないなんて、甘えている」「少し厳しくした方がいいのでは」という意見を受けるたびに、親としての責任を問われているように感じ、苦しくなることもあるでしょう。こうした言葉は時に、家庭そのもののあり方や子どもとの関係性を否定するかのように響きます。

確かに、学校に行くことが社会でのルールのように捉えられる中で、そこから外れる行動をとるお子さんを「怠惰」や「甘え」と片付けてしまう声は根強いです。しかし、こうした声の背景には、不登校という現象に対する無理解があることが多いのです。不登校は単なる「サボり」や「わがまま」ではなく、子どもがさまざまな要因に押しつぶされそうになりながら出したSOSの形なのです。

私が相談を受ける中で感じるのは、学校生活が子どもにとっていかに大きな負荷になるかということです。人間関係、成績のプレッシャー、教師との相性、さらには日々繰り返される規律やルール。これらは、特に繊細で感受性の強い子どもたちにとっては耐え難いストレスになることがあります。そうした中で、子どもが学校に行けなくなるのは、単なる「甘え」ではなく、心身のバランスを守るための重要な自己防衛の手段であると言えるのです。

ではなぜ、「甘え」という言葉がこれほどまでに使われるのでしょうか。それは、世間が不登校という問題に対して持つ「厳しさ」が関係しているように思います。現代社会では「努力」や「競争」が重視される傾向があります。そのため、「学校に行かない」という行動が、あたかも「努力を放棄した」かのように見られがちです。ですが、適切な見方でしょうか?努力とは何か、成長とは何か、その意味を改めて問い直す必要があります。

ここで一つ、私が以前担当したケースをご紹介します。そのお子さんは、中学校1年生の時に突然不登校になりました。それまで元気に通学していた彼は、同級生の些細な言葉に傷つき、次第に学校に足を向けられなくなったのです。しかし、家族や周囲から「もう少し頑張れば」「逃げてはいけない」と言われるたびに、彼はさらに自分を追い詰めていきました。「頑張れ」という言葉が、逆にその子どもの心を蝕む結果となったのです。このようなケースを目の当たりにすると、社会が押し付ける「甘え」というレッテルがどれほど危険であるかを痛感せざるを得ません。

不登校になってしまう子どもは「甘え」なのか

不登校の子どもたちは本当に「甘え」なのでしょうか。私の答えは明確です。それは「違う」ということです。不登校になる子どもたちは、甘えているわけではなく、自分の中で何らかの困難や苦しみに直面し、それを乗り越える術を見つけられずにいるのです。

例えば、学校生活の中で繰り返される些細なトラブルやいじめは、大人から見れば取るに足らないことのように思えるかもしれません。しかし、子どもにとっては、それが世界のすべてを覆すほどの大きな問題に感じられることがあります。さらには、教師からの指導や親からの期待、友人関係のストレスなど、多くの要因が重なり合い、学校という場そのものが「安全ではない場所」に変わってしまうのです。

こうした状況に直面した子どもたちは、必死に自分を守るために行動します。それが学校を休むという形で現れるのです。これを「甘え」と呼ぶのはあまりにも酷です。むしろ、自分の心の声に耳を傾け、限界を超えないように自らを守ることができるという点で、その子たちは非常に賢明な選択をしていると言えます。

ここで理解しておきたいのは、不登校は一種の「警告サイン」であるということです。子どもたちは、自分自身では言葉にできない苦しみや不安を、その行動を通じて表現しているのです。親御さんがこのサインを見逃さず、適切に応じることが、子どもを救うための第一歩となります。

また、最近の研究では、不登校の背景に発達特性や感覚過敏、あるいは認知の特徴などが関与しているケースも多いことが分かっています。これらは決して「甘え」ではなく、子ども自身の特性であり、それに適したサポートが求められるものです。例えば、学校の騒がしさや、明確な指示がなく曖昧な場面が多い環境がストレスになる場合もあります。このような特性を理解しないまま、「甘え」と片付けることは、子どもの気持ちをさらに追い詰めるだけです。

親御さんが抱える葛藤も理解できます。「甘えを許していいのか」という不安や、「もっと頑張らせるべきなのではないか」という葛藤。しかし、これらの不安に向き合うことは決して簡単なことではありません。特に、世間の目や他の保護者との比較の中で悩むこともあるでしょう。それでも、子どもの心の声に耳を傾け、その苦しみを理解しようとする姿勢が、子どもにとって何よりも大きな救いとなるのです。

傷ついた時に甘えられないことのリスク

不登校の子どもを「甘え」と非難する声がある一方で、甘えを許されない環境に置かれた子どもたちがどのようなリスクを抱えるのかについて考える必要があります。甘えることができない状況、それは言い換えれば「助けを求めることができない環境」とも言えます。このような環境は、子どもたちにとってどれほど過酷なものなのでしょうか。

ある中学生の事例を挙げてみます。

彼女は小学校低学年の頃から家族に対して何も相談できなくなり、抱える問題をすべて一人で解決しようとしていました。テストで失敗した時も、友人関係で傷ついた時も、彼は親に助けを求めることをせず、「もっと頑張らなければならない」と自分を追い詰めました。しかし、努力すればするほど結果がついてこない状況に苛立ち、やがて自己評価を極端に低くするようになりました。そして最終的には学校にも行けなくなり、部屋に閉じこもるようになったのです。

このケースで重要なのは、「助けを求める」という基本的な行為が、この子にとってできないことになっていた点です。親としては「何かあれば言ってほしい」と思っていたかもしれません。しかし、子どもにとってそれが叶わない理由があったのです。それは、「自分が弱さを見せることで、親を失望させてしまうのではないか」という恐れでした。

甘えられない環境にいる子どもは、自分の弱さを隠し、表面的には何事もないように振る舞います。そのため、一見すると親は「何の問題もない」と思い込んでしまうことがあります。しかし、内面では絶えず孤独や不安、自己否定といった感情を抱えていることが多いのです。その結果、子どもの精神的なエネルギーは次第に枯渇し、自律神経のバランスを崩したり、うつ病のような症状に発展することも珍しくありません。

ここで考えたいのは、「甘え」とは本来どのような行為であるかという点です。甘えるという行動は、実は人間が持つ自然な自己防衛反応であり、困難に直面した際に誰かに助けを求め、状況を乗り越えるための重要な手段です。幼少期には親に対して甘えることが基盤となりますが、その基盤がしっかりと育まれることで、将来的には友人や同僚、パートナーといった他者に対しても適切に頼ることができるようになります。

甘える力は、子どもにとって成長のために欠かせない力です。それを奪われた環境にいる子どもは、周囲とのつながりを感じられず、自分一人で問題を抱え込むようになります。そして、何よりも危険なのは、「助けを求めても無駄だ」という学習をしてしまうことです。この学びは、人生のあらゆる場面で子どもを苦しめる大きな要因となります。

親御さんにとって、「甘え」をどのように受け止めるかは非常に難しい課題です。「甘えさせすぎてはいけない」という思いが強くなると、子どもが本当に助けを必要としているタイミングを見逃してしまうことがあります。逆に、適度な甘えを許し、子どもが心を開いて頼れる環境を作ることで、子ども自身が安心感を得られるだけでなく、親子の信頼関係もより深まるのです。

子どもの将来を思った「甘やかし」にするために

では、「甘えの容認」と「甘やかし」の違いについて、親としてどのように向き合えばよいのでしょうか。不登校を経験する子どもに対して、「甘え」を許す姿勢が必要だと述べましたが、それが過剰な「甘やかし」につながるのではないかと不安に思われる方もいるでしょう。この章では、「甘え」を子どもの将来にとって有益なものにする方法について考えます。

まず最初に、「甘やかし」とは何かを整理しましょう。甘やかしとは、子どもの要求に無条件で応じ続けることで、子どもが自分で考えたり努力したりする機会を奪ってしまう行為です。これに対して、「甘え」を受け入れることは、子どもが困難に直面した時に適切に手を差し伸べ、必要なサポートを提供することです。この違いは非常に重要です。

たとえば、不登校の子どもが「学校に行きたくない」と言った時、その言葉の背後にどのような感情や状況があるのかを親が理解しようとすることが「甘え」を受け入れる姿勢です。一方で、子どもの「学校に行きたくない」という言葉をそのまま受け止め、何の対策も取らずにその状態を放置してしまうことは、「甘やかし」に近い行動と言えます。

ここで、親ができることは、「子どもの気持ちに寄り添いながらも、再び前を向けるようなサポートを提供する」ことです。そのためには、まず子どもの話をしっかりと聞くことが大切です。親御さんが「学校に行かなければならない」と焦る気持ちをぐっと抑え、子どもが今抱えている悩みや苦しみを丁寧に聞き取ることで、子どもは「自分を受け入れてもらえた」という安心感を持つことができます。

また、親が子どもを支える際には、小さな目標を一緒に立てることが効果的です。たとえば、「学校に行くこと」をゴールにするのではなく、「朝、制服に着替えること」「リビングに出てくること」といった、子どもが無理なく達成できる小さなステップを積み重ねていくのです。このプロセスを通じて、子どもは少しずつ自信を取り戻し、自分の力で困難を乗り越えられる感覚を身につけることができます。

項目甘えへの適切な対応甘やかし
基本的な姿勢子どもの気持ちや困難を受け止め、共感しながら解決へのサポートを行う。子どもの全ての要求に無条件で応じ、問題解決の責任をすべて親が負担してしまう。
目標子どもが自分の力で課題を乗り越えられるようになることを目指す。子どもが快適さだけを求める習慣を強化し、自分で考える力や責任感を育てない。
子どもへの接し方子どもの不安や苦しみに耳を傾け、適度な支援を提供する。「一緒に考える」姿勢を重視する。子どもの言い分を全面的に受け入れ、必要以上に手を貸すことで、子どもを依存的にさせる。
境界線サポートの範囲を明確にし、親としてのルールや価値観を示す。境界線を設けず、子どもの要求に従いすぎて家庭内の秩序が崩れる。
例1: 不登校の場合子どもの学校に行きたくない理由を丁寧に聞き取り、「今日1時間だけ教室に入ってみる」など小さな目標を一緒に設定する。「学校に行きたくないなら行かなくていい」と、そのまま放置するか、過剰に擁護して学校側への不満を子ども以上に主張する。
例2: 勉強の課題勉強ができない理由を探り、「苦手な部分だけ一緒にやろう」と具体的な手助けを提案し、自信を育てる。勉強を完全に代わりにやってしまったり、課題をなかったことにする。
親の心の持ち方子どもが困難を乗り越える力を信じ、「見守りつつ支える」というバランスを意識する。子どもに嫌われることを恐れたり、子どもが失敗することを避けるために過剰に干渉する。
子どもの成長への影響子どもが安心して親に頼ることができる一方、自分で課題を解決する力を育てられる。自分で努力する力が育たず、失敗や困難を回避し続けることで、長期的な成長を妨げる。

さらに、親御さん自身もサポートを受けることを検討してください。不登校という問題は、家庭全体に影響を及ぼします。親が孤立したり、自分だけで解決しようと抱え込むと、かえって状況を悪化させることがあります。信頼できる専門家やサービスを活用し、親御さん自身も安心できる場を見つけることが重要です。

ToCo株式会社が提供するサービスもその一つです。私たちは、親御さんとお子さんが共に不登校という状況を乗り越えるためのサポートを提供しています。子どもが抱える具体的な課題に合わせたアプローチを提案し、家庭と学校の橋渡し役として機能することを目指しています。

「甘え」を許す社会を目指したい

不登校を「甘え」と見なす社会的な風潮は、親御さんや子どもたちを苦しめる大きな要因です。しかし、私たち一人ひとりがその捉え方を変え、子どもの「甘え」を自然な感情として受け止めることができれば、不登校に対する理解は大きく進むでしょう。

「甘えを許す社会」とは、助けを求める行為を恥ずかしいことだと思わず、むしろ称賛すべき行動と捉える社会です。子どもが学校生活に困難を感じた時、それを率直に表現できる環境があれば、深刻な不登校に発展する前に解決策を見つけることができるかもしれません。

親御さんもまた、この新しい価値観を受け入れることで、お子さんに対して柔軟で優しい対応ができるようになるでしょう。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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不登校はずるい?

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不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。私はこれまで、多くの不登校や引きこもりのお子さんやそのご家族と向き合ってきました。また、ToCo株式会社という、不登校が長期化してしまう要因にアプローチすることで、再登校の道筋を提供するサービスに携わる顧問も務めております。

本稿では、「不登校はずるい?」というテーマについて掘り下げ、不登校に悩む方や、不登校を甘えやずるいと感じる方へ、新たな視点や気づきを提供したいと思います。


目次


第1章 学校に通っている子どもの保護者が、不登校の家庭を「ずるい」と思う理由

「不登校はずるい」「不登校は甘えだ」という言葉を耳にした経験はありませんか?また、SNS上で投げかけられた投稿を見たことがあるかもしれません。
不登校のお子さんを持つ親御さんも、直接そのように言われたことはなくても、学校に通うお子さんの保護者からの視線や態度に、どこかそういったニュアンスを感じ取ったことがあるかもしれません。この「ずるい」という感情の背景には、一体何があるのでしょうか?それを紐解いていきます。

まず、「学校に通うのが当たり前」という固定観念が根底にあります。日本では、学校に通うことが義務であり、また社会全体でそれを強く推奨する文化が根付いています。そのため、「学校に行く」という行為が美徳とされ、子ども自身だけでなく、その親の努力や忍耐も称賛される傾向があります。これに対して、不登校のお子さんやその親御さんが「学校に行っていない」となると、「努力していない」とみなされがちです。この思い込みが、「ずるい」という感情に直結するのです。

集団登校のイメージ。

特に、学校に通う子どもの親御さんは、日々の生活の中で様々なストレスや葛藤を抱えながら、何とか子どもを学校に通わせています。朝の忙しい時間に子どもを起こし、時には泣きながら抵抗する子どもをなだめたり叱ったりしながら学校へ送り出すこともあるでしょう。それだけの努力をしているからこそ、不登校のお子さんを持つ家庭がその努力をしていないように見えると、無意識に「ずるい」と感じてしまうのです。

また、日本社会特有の同調圧力も、こうした感情を助長しています。「みんなが頑張っているのだから、あなたも頑張りなさい」という同調の空気が、日本の学校や家庭には根強く存在します。この圧力の中で、不登校のお子さんやそのご家族が「特別な例外」として見られることで、不公平感を覚える人がいるのです。「ずるい」という感情は、この同調圧力の裏返しでもあります。

しかし、ここで重要なのは、この「ずるい」という感情が、実は誤解や偏見に基づいていることが多いという点です。不登校という状態は決して「楽」なものではありませんし、その家庭にいる親御さんもまた、別の形で多大な努力をしています。

第2章 不登校を「ずるい」と思う社会が、不登校の家庭に与える影響

「ずるい」という感情や偏見が、不登校のご家庭にどのような影響を及ぼすのかを考えてみましょう。社会全体の視線は、不登校のお子さんやそのご家族に様々な重圧を与えています。

まず、不登校の家庭は、周囲からの「楽しむ姿を見せてはいけない」という暗黙の圧力にさらされています。たとえば、学校を休んでいる間に家族で旅行に行ったり、外でレジャーを楽しんだりすることが、まるで「罪」であるかのように感じさせられることがあります。「学校に行っていないのだから楽をしている」「遊んでいる場合ではない」という目が、親御さんにも子どもにも向けられるのです。このため、楽しむどころか、家族全体が罪悪感に苛まれるような生活を強いられることも少なくありません。

こうしたプレッシャーの結果、不登校の家庭は次第に孤立し、家庭内に閉じこもりがちになります。親御さん自身も周囲の目を気にするあまり、他の保護者との付き合いを避けるようになり、社会との繋がりを失ってしまうことがあります。そして、それが子どもにも影響を与え、外出の機会や人と接する機会が減り、長期間の引きこもりへと繋がるケースも少なくありません。

さらに、このような状況下で子どもが感じるのは、社会からの否定的な視線だけではありません。「自分はダメな人間なんだ」「自分の存在が迷惑をかけている」といった自己否定感が強まり、学校に戻る気力をますます失ってしまうのです。もともと学校生活の中で感じたプレッシャーや孤立感から不登校になった子どもにとって、社会全体からのこうした圧力は、さらなる追い打ちをかけるものとなります。数日の欠席で済んだかもしれないお子さんが、社会の非難によって何年も部屋から出れなくなってしまうのです。

このように、「ずるい」という社会的な視線は、不登校のお子さんやそのご家族を精神的に追い詰め、結果として不登校の状態を長引かせる要因となっています。ここで必要なのは、偏見や誤解に基づいた評価ではなく、不登校の背景やその家庭の現状を理解し、支援する視点です。

第3章 不登校は「楽」なのか?

不登校のお子さんやその家庭に対して、「楽をしている」というイメージを持つ方は少なくありません。しかし、不登校の現実は、本当に「楽」なのでしょうか。この章では、不登校の家庭が抱える実態について掘り下げていきます。

不登校は、一見「学校に行かない自由」を得ているように見えるかもしれません。しかし、その裏側には、非常に大きな葛藤やプレッシャーが隠れています。不登校のお子さんが抱える最大の問題の一つは、「罪悪感」です。学校に行けない自分を責める気持ち、友達や先生に迷惑をかけているのではないかという不安、そして家族に申し訳ないという思いが、子ども自身を重くのしかかるように蝕んでいきます。中には、「自分なんていない方がいい」と思い詰めるケースもあります。このような状況にある子どもにとって、不登校は決して「楽」ではありません

さらに、不登校の家庭には、親御さんにも大きな負担がかかります。「どうしてうちの子だけが」という不安や、「何か自分の育て方が間違っていたのではないか」という自己批判に苦しむ親御さんが多くいらっしゃいます。また、周囲からの「学校に行かせなさい」というプレッシャーに対抗し続ける精神的なストレスは、計り知れないものがあります。学校や行政から支援が得られにくい状況にある場合、親御さんがすべてを背負い込む形になり、疲弊してしまうことも少なくありません。

また、不登校の子どもが「楽をしている」と思われがちな原因の一つに、「表面的な姿」があります。家でゲームをしたり、スマートフォンを使ったりしている姿を見て、「好きなことをしているだけ」と考える人もいるでしょう。しかし、こうした行動の裏には、現実逃避や自己防衛の心理が働いていることが多いのです。たとえば、学校に行くというプレッシャーを感じる時間帯にゲームをすることで、その不安を一時的に忘れようとしているケースもあります。また、外の世界との繋がりを断つことで、傷つくことを避けようとしているのかもしれません。

さらに、社会からの誤解や偏見が、不登校の家庭の苦しみを増幅させています。「怠けている」という目で見られることで、親御さんも子どもも孤立しやすくなります。結果的に、支援の手が届かず、問題が複雑化していくのです。このような状況下で、不登校の子どもたちが「楽」だと感じることはまずありません。むしろ、心の中では深い葛藤と戦っているのです。

ここで重要なのは、不登校の現実を正しく理解し、その背景にある苦しみや努力を認めることです。子どもが「楽をしている」と感じることがあるとしても、それは一時的なものであり、その根底には多くの問題が隠れています。不登校の状態を理解しようとすることが、子どもたちへの最初の一歩になります。

そして、不登校の子どもや家庭がどのような事情であるにしても、周囲から石を投げられる理由にはならないのです。

第4章 不登校は、誰にでも起こり得る状態

不登校は一部の子どもたちだけが経験する特別なものではありません。どの家庭にも起こり得る状況であり、この認識を持つことが非常に重要です。

例えば、「うちの子は明るい性格だから」「うちは家族関係が良好だから」という理由で、不登校とは無縁だと思っているご家庭も多いかもしれません。しかし、実際には、不登校になる子どもたちの多くが、かつては学校生活に問題なく適応していたケースが少なくありません。学校でのいじめや友人関係のトラブル、先生との摩擦、あるいは家庭での些細な変化など、どれも不登校を引き起こすきっかけとなり得ます。これらの問題は、どの家庭にも発生する可能性があります。

また、近年の日本の教育環境や社会的な変化も、不登校の増加に影響を与えています。過度な学力競争やSNSを通じた人間関係の複雑化、さらにはコロナ禍による生活環境の変化など、子どもたちを取り巻く状況はますます厳しくなっています。このような状況の中で、不登校は「特別な子ども」に起こるのではなく、むしろ「誰にでも起こり得る状態」へと変化しているのです。

さらに、子どもたちの性格や特性によっても、不登校のリスクは異なります。例えば、完璧主義の傾向がある子どもは、ちょっとした失敗でも「自分はダメな人間だ」と感じやすく、不登校になるリスクが高まります。また、感受性が強く、他人の言葉や態度に敏感な子どもは、些細な出来事でも深く傷つき、不登校に繋がることがあります。

このように、不登校は決して特別な問題ではありません。そして、それを認識することは、不登校のお子さんを持つ親御さんにとっても大きな救いとなるはずです。「自分の子どもだけが特別なのではない」と知ることで、孤独感や罪悪感が少し和らぐこともあるでしょう。また、この認識が広まることで、不登校に対する社会的な偏見も徐々に解消されていく可能性があります。

不登校は誰にでも起こり得る状態であり、その背景には多様な要因が絡んでいます。親御さんも、「うちの子に限って」という思い込みを捨て、どの家庭にも起こり得る問題として、不登校に対する偏見を減らしていく準備をすることが大切です。

第5章 不登校を放置しない社会に

ここまで、不登校を巡る社会の偏見や、その現実についてお話してきました。では、不登校という問題に対して、社会全体がどのように向き合うべきなのでしょうか。

まず重要なのは、不登校のお子さんやそのご家庭を「腫れ物扱い」しないことです。不登校は、社会全体で支援すべき課題であり、特定の家庭や個人だけが解決すべき問題ではありません。それにもかかわらず、不登校の家庭は、どこか特殊な存在として見られることが多くあります。このような扱いが、親御さんや子どもたちを孤立させ、不登校を長期化させる一因となっています。

また、不登校を「時間が解決する」と考えるのも危険です。確かに、時間の経過によって状況が改善する場合もありますが、何もしないままでいると、子どもが引きこもり状態に陥ったり、心の問題が深刻化したりするリスクが高まります。そのため、親御さんが「見守る」だけではなく、少しずつでも子どもに関わり続けることが大切です。専門機関や支援サービスを利用することも、選択肢の一つです。

さらに、社会全体で「学校に戻ること」だけがゴールではないという認識を広めることも重要です。学校以外にも、子どもたちが成長し、学び、自信を取り戻せる場は数多く存在します。不登校からの再出発は、一人ひとりに合ったペースで進めるべきです。

最後に、親御さんにお伝えしたいのは、「あなた一人で頑張る必要はない」ということです。不登校という問題は、家庭だけで解決するものではありません。学校や専門家、支援サービスなど、さまざまなリソースを活用しながら、一歩ずつ前進することが大切です。

不登校を放置しない社会を実現するためには、私たち一人ひとりが偏見を捨て、理解と支援の手を差し伸べることが必要です。不登校のお子さんとそのご家庭が孤立せず、未来に希望を持てるような社会に変われるよう、当社も活動を続けていきます。


ToCo(トーコ)について

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【2023年度】不登校に関する政府統計データ(文部科学省)

不登校の文部科学省統計データ見出し

※データソース:令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
※下記のデータを引用される場合は、引用元として当URLを記載ください。


目次


1. 小・中学校における理由別長期欠席者数の推移 | 2010〜2023年度

年度在籍者数不登校割合増減率病気割合増減率経済的理由その他割合増減率割合増減率
201010,566,028 119,891 1.13%***36,421 0.34%***129 20,929 0.20%***177,370 1.68%***
201110,477,066 117,458 1.12%▲ 2.036,523 0.35%0.3119 22,573 0.22%7.9176,673 1.69%▲ 0.4
201210,333,629 112,689 1.09%▲ 4.138,916 0.38%6.691 24,073 0.23%6.6175,769 1.70%▲ 0.5
201310,229,375 119,617 1.17%6.137,431 0.37%▲ 3.885 24,187 0.24%0.5181,320 1.77%3.2
201410,120,736 122,897 1.21%2.737,851 0.37%1.164 24,239 0.24%0.2185,051 1.83%2.1
201510,024,943 125,991 1.26%2.541,064 0.41%8.549 27,794 0.28%14.7194,898 1.94%5.3
20169,918,796 133,683 1.35%6.142,813 0.43%4.329 29,768 0.30%7.1206,293 2.08%5.8
20179,820,851 144,031 1.47%7.745,362 0.46%6.027 27,620 0.28%▲ 7.2217,040 2.21%5.2
20189,730,373 164,528 1.69%14.249,624 0.51%9.424 25,863 0.27%▲ 6.4240,039 2.47%10.6
20199,643,935 181,272 1.88%10.246,734 0.48%▲ 5.830 24,789 0.26%▲ 4.2252,825 2.62%5.3
20209,578,674 196,127 2.05%8.244,427 0.46%▲ 4.933 26,255 0.27%5.9287,747 3.00%13.8
20219,529,152 244,940 2.57%24.956,959 0.60%28.219 52,516 0.55%100.0413,750 4.34%43.8
20229,442,083 299,048 3.17%22.175,597 0.80%32.736 62,307 0.66%18.6460,648 4.88%11.3
20239,321,243 346,482 3.72%15.9105,838 1.14%40.034 41,086 0.44%▲ 34.1493,440 5.29%7.1
(注1) 在籍者数は、2023年5月1日現在
(注2) 調査対象:国公私立小・中学校(小学校には義務教育学校前期課程,中学校には義務教育学校後期課程及び中等教育学校前期課程を含む。以下同じ。)
(注3) 「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄の合計の日数により,年度間に30日以上欠席した児童生徒数を理由別に調査。なお,「児童・生徒指導要録」の「出欠の記録」欄のうち,「備考」欄に,校長が出席扱いとした日数が記載されている場合は,その日数についても欠席日数として含める。

グラフ

小・中学校における理由別長期欠席者数の推移-政府統計

考察

日本の小・中学校における長期欠席者数の推移を分析した結果、特に注目すべきは不登校による欠席者数の増加です。統計によれば、不登校は長期欠席の主要な理由であり、年度ごとに一定の増減を繰り返しながらも全体的には増加傾向を示しています。一方で、病気や経済的理由による欠席者数は比較的安定しており、その他の理由も緩やかに増加している状況です。

まず、不登校が増加している背景として、現代の子どもたちを取り巻く環境の変化が挙げられます。教育現場ではいじめや友人関係の問題、学業への過度なプレッシャーが要因となるケースが多く報告されています。また、家庭環境の変化や、インターネットやSNSの普及により、人間関係が複雑化していることも要因と考えられます。さらに、コロナ禍における生活の変化が子どもたちの精神的な負担を増大させ、不登校の増加に拍車をかけた可能性があります。

病気による欠席は一定の割合を保ちながらも、年によって多少の増減があります。これは、感染症の流行や医療の進展による影響を反映していると考えられます。特に季節性のインフルエンザや、新型コロナウイルスの影響が統計に表れている可能性があります。

経済的理由による欠席は全体として非常に少なく、横ばいの状態が続いています。これは、日本の公教育制度が比較的安価であることや、義務教育期間中において学費負担が軽減されていることが要因と考えられます。しかし、少数ながらも経済的理由による欠席が存在するという事実は、貧困家庭が抱える課題の深刻さを浮き彫りにしています。

その他の理由による欠席者数は緩やかな増加を示しています。このカテゴリには、家族の事情や特別な教育的ニーズ、児童・生徒本人の個別の状況が含まれると推測されます。


2. 不登校児童生徒の欠席期間別実人数 | 2023年度

学校種別国公私立不登校児童生徒数欠席30~49日割合欠席50~89日割合欠席90日以上で出席11日以上割合欠席90日以上で出席1~10日割合欠席90日以上で出席0日割合
小学校国立366 124 33.9%122 33.3%90 24.6%18 4.9%12 3.3%
小学校公立129,410 38,331 29.6%33,802 26.1%47,374 36.6%6,568 5.1%3,335 2.6%
小学校私立594 185 31.1%195 32.8%190 32.0%20 3.4%0.7%
小学校130,370 38,640 29.6%34,119 26.2%47,654 36.6%6,606 5.1%3,351 2.6%
中学校国立979 227 23.2%225 23.0%457 46.7%53 5.4%17 1.7%
中学校公立207,013 36,666 17.7%42,284 20.4%102,529 49.5%18,366 8.9%7,168 3.5%
中学校私立8,120 1,893 23.3%2,036 25.1%3,484 42.9%512 6.3%195 2.4%
中学校216,112 38,786 17.9%44,545 20.6%106,470 49.3%18,931 8.8%7,380 3.4%
小・中合計国立1,345 351 26.1%347 25.8%547 40.7%71 5.3%29 2.2%
小・中合計公立336,423 74,997 22.3%76,086 22.6%149,903 44.6%24,934 7.4%10,503 3.1%
小・中合計私立8,714 2,078 23.8%2,231 25.6%3,674 42.2%532 6.1%199 2.3%
小・中合計346,482 77,426 22.3%78,664 22.7%154,124 44.5%25,537 7.4%10,731 3.1%

考察

2023年度の日本の小中学校における不登校の総数は346,482人に達し、特に中学校の不登校の数は216,112人と、全体の6割以上を占めています。この数字が指し示すのは、非常に多くの学生が学校との関係が弱まっている実態です。

「不登校」と一句に言っても、具体的な状況は異なります。小中合計でみると、最も多いのは「欠席90日以上」の154,124人で、この中でも「出席0日」という、学校との縁が完全に切れた状況の学生は10,731人にのぼります。

中学校では特に長期的な欠席が盛んでおり、「欠席90日以上」は106,470人に達します。一方、小学校では「欠席30〜89日」の中期的な欠席が目立つのが特徴です。

不登校の背景には、さまざまな要因が存在します。学校内の人間関係やいじめなどの問題に加え、家庭の状況や学生自身の心理的ケアの問題が見過ごされないことが必要です。これに加え、コロナ禍の影響による学校生活の調和が困難になった事例も増えています。


3-1. 小中学校別・不登校児童生徒について把握した事実 | 2023年度

事実小学校割合中学校割合
いじめの被害の情報や相談があった。2,350 1.8%2,113 1.0%
いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった。14,951 11.5%31,021 14.4%
教職員との関係をめぐる問題の情報や相談があった。5,735 4.4%4,548 2.1%
学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた。19,124 14.7%33,423 15.5%
学校のきまり等に関する相談があった。 2,622 2.0%4,223 2.0%
転編入学、進級時の不適応による相談があった。4,288 3.3%9,693 4.5%
家庭生活の変化に関する情報や相談があった。12,130 9.3%12,822 5.9%
親子の関わり方に関する問題の情報や相談があった。22,116 17.0%20,854 9.6%
生活リズムの不調に関する相談があった。31,937 24.5%47,701 22.1%
あそび、非行に関する情報や相談があった。2,992 2.3%8,630 4.0%
学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった。42,014 32.2%69,617 32.2%
不安・抑うつの相談があった。29,549 22.7%50,643 23.4%
障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談があった。11,454 8.8%12,676 5.9%
個別の配慮(障害(疑い含む)以外)についての求めや相談があった。11,096 8.5%11,871 5.5%
不登校児童生徒数130,370 100%216,112 100%

(注1) 複数選択可。「1.長期欠席者の状況」における「不登校」と回答した不登校児童生徒全員につき,当てはまるものをすべて回答。
(注2)「個別の配慮(障害(疑い含む)以外)についての求めや相談があった。」は、障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援以外の個別の配慮を指す。

考察

2023年度の小中学校における不登校問題について文部科学省が発表した統計によれば、小学校と中学校で異なる要因が見られるものの、共通していじめ、友人関係、教職員との関係、学業不振が主な要因として挙げられています。

まず、いじめの被害に関するデータを見ると、小学校で2,350件(1.8%)、中学校で2,113件(1.0%)が報告されています。いじめは児童生徒の精神的な健康に深刻な影響を及ぼし、不登校の引き金となることが多いです。学校現場では防止策が講じられているものの、根本的な解決にはまだ課題が残されています。

次に、友人関係をめぐる問題が小学校で14,951件(11.5%)、中学校で31,021件(14.4%)報告されています。これは、不登校児童生徒の最大の要因となっており、特に中学校では割合が高くなっています。思春期特有の人間関係の複雑さやソーシャルメディアの普及が、この背景にあると考えられます。

また、教職員との関係をめぐる問題も無視できません。小学校で5,735件(4.4%)、中学校で4,548件(2.1%)の事例がありました。生徒と教師の間の信頼関係が損なわれると、生徒が学校に通う意欲を失う原因となります。教職員の研修やコミュニケーションの向上が必要です。

最後に、学業の不振や宿題の未提出は、小学校で19,124件(14.7%)、中学校で33,423件(15.5%)と最多の報告数を記録しました。学力格差や学習習慣の欠如が、この課題の背後にある可能性があります。個別指導や学習支援体制の充実が求められます。


3-2. 小中学校、国公私立別・不登校児童生徒について把握した事実 | 2023年度

国公私立小学校・国立割合小学校・公立割合小学校・私立割合中学校・国立割合中学校・公立割合中学校・私立割合
いじめの被害の情報や相談があった。36 9.8%2,264 1.7%50 8.4%21 2.1%1,967 1.0%125 1.5%
いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった。52 14.2%14,795 11.4%104 17.5%151 15.4%29,870 14.4%1,000 12.3%
教職員との関係をめぐる問題の情報や相談があった。37 10.1%5,643 4.4%55 9.3%20 2.0%4,365 2.1%163 2.0%
学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた。43 11.7%18,988 14.7%93 15.7%162 16.5%31,735 15.3%1,526 18.8%
学校のきまり等に関する相談があった。 14 3.8%2,589 2.0%19 3.2%18 1.8%4,059 2.0%146 1.8%
転編入学、進級時の不適応による相談があった。1.6%4,249 3.3%33 5.6%28 2.9%9,216 4.5%449 5.5%
家庭生活の変化に関する情報や相談があった。35 9.6%12,025 9.3%70 11.8%79 8.1%12,317 5.9%426 5.2%
親子の関わり方に関する問題の情報や相談があった。63 17.2%21,920 16.9%133 22.4%140 14.3%19,847 9.6%867 10.7%
生活リズムの不調に関する相談があった。110 30.1%31,666 24.5%161 27.1%314 32.1%44,795 21.6%2,592 31.9%
あそび、非行に関する情報や相談があった。10 2.7%2,977 2.3%0.8%16 1.6%8,527 4.1%87 1.1%
学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった。110 30.1%41,730 32.2%174 29.3%285 29.1%67,207 32.5%2,125 26.2%
不安・抑うつの相談があった。106 29.0%29,284 22.6%159 26.8%207 21.1%48,387 23.4%2,049 25.2%
障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談があった。38 10.4%11,381 8.8%35 5.9%40 4.1%12,246 5.9%390 4.8%
個別の配慮(障害(疑い含む)以外)についての求めや相談があった。33 9.0%10,979 8.5%84 14.1%68 6.9%11,341 5.5%462 5.7%
不登校児童数366100%129,410 100%594100%979100%207,013 100%8,120 100%

(注1) 複数選択可。「1.長期欠席者の状況」における「不登校」と回答した不登校児童生徒全員につき,当てはまるものをすべて回答。
(注2)「個別の配慮(障害(疑い含む)以外)についての求めや相談があった。」は、障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援以外の個別の配慮を指す。

考察

文部科学省の統計によると、2023年度における小中学校の不登校児童生徒数は引き続き高水準で推移しています。特に、公立小中学校における不登校児童生徒の数が圧倒的に多く、いじめや友人関係、教職員との関係といった問題が原因として浮き彫りになりました。

公立小学校では約12万9千人、公立中学校では約20万7千人が不登校となっています。この数字は、全体の大多数を占めており、同じく国立や私立学校と比較しても非常に高い割合です。特に中学校においては、不登校の背景にいじめが関連しているケースが顕著であり、その割合は14.4%になります。また、友人関係をめぐる問題も中学校で15.4%と高く、小学校と比較して生徒同士の関係性がより複雑化していることが伺えます。

一方で、私立学校における不登校の割合は公立と比較して低い傾向が見られます。例えば、私立小学校では不登校割合が1.7%に留まっており、中学校でも1.5%と抑えられています。この背景には、私立学校が提供するきめ細やかな指導や少人数制、家庭と学校の緊密な連携が寄与している可能性が考えられます。


4. 不登校児童生徒への指導結果 | 2023年度

学校種別国立・不登校児童生徒数国立・指導の結果、登校できた児童生徒国立・指導中の児童生徒公立・不登校児童生徒数公立・指導の結果、登校できた児童生徒公立・指導中の児童生徒私立・不登校児童生徒数私立・指導の結果、登校できた児童生徒私立・指導中の児童生徒計・不登校児童生徒数計・指導の結果、登校できた児童生徒計・指導中の児童生徒        
小学校366 129 237 129,410 39,553 89,857 594 196 398 130,370 39,878 90,492 
割合100.0%35.2%64.8%100.0%30.6%69.4%100.0%33.0%67.0%100.0%30.6%69.4%
中学校979 374 605 207,013 62,083 144,930 8,120 2,332 5,788 216,112 64,789 151,323 
割合100.0%38.2%61.8%100.0%30.0%70.0%100.0%28.7%71.3%100.0%30.0%70.0%
1,345 503 842 336,423 101,636 234,787 8,714 2,528 6,186 346,482 104,667 241,815 
割合100.0%37.4%62.6%100.0%30.2%69.8%100.0%29.0%71.0%100.0%30.2%69.8%

考察

2023年度の政府統計データによれば、公立学校では不登校児童生徒数が圧倒的に多く、全体の大部分を占めています。一方で、国立学校における不登校児童生徒数は小学校で366人、中学校で979人と公立に比べて少数ですが、指導の結果登校できた割合が高いことが注目されます。具体的には、国立小学校では35.2%、中学校では38.2%が指導の結果登校に至っています。

一方、公立学校では登校できた児童生徒の割合が全体で30.2%にとどまり、指導が継続中の児童生徒が69.8%を占めています。この差は、学校種別ごとの支援体制やリソースの違いを反映している可能性があります。国立学校では児童生徒数が少ない分、個別指導が行き届きやすい環境にあると考えられる一方、公立学校では多数の児童生徒を対象に支援を行うため、対応が困難になるケースが多いと推測されます。

また、不登校児童生徒の増加傾向は、教育現場における支援の課題を如実に示しています。たとえば、2023年度のデータでは、小学校よりも中学校で不登校の割合が高く、特に思春期の子どもたちに対する精神的なサポートが必要とされています。

これらのデータから読み取れるのは、不登校問題において「一律の解決策」が存在しないという現実です。国公私立それぞれの状況や特徴に応じた柔軟な対応が求められます。同時に、指導の効果を最大化するためには、学校だけでなく地域や家庭との連携が不可欠です。

さらに、国公私立間のデータを比較することで、不登校児童生徒の支援策における成功事例や課題点が浮き彫りになります。たとえば、国立学校の指導成功率の高さは、他の学校種別においても参考になる可能性があります。一方、公立学校では、より広範囲の児童生徒に対応するためのリソース増強が急務です。


5. 都道府県別・理由別長期欠席者数 | 2023年度

都道府県在籍児童生徒数不登校うち,50日以上の欠席うち,90日以上の欠席うち,出席10日以下うち,出席0日病気経済的理由その他
北海道344,81414,36111,9728,8631,7364744,469287319,705
青森県80,9782,8272,0611,437200518622833,774
岩手県82,6852,4591,9001,258191415520723,083
宮城県167,8127,8405,7963,8536261242,190047810,508
秋田県57,6101,9471,5791,1242225962901562,732
山形県73,8632,3391,7181,221168484800962,915
福島県128,9384,3383,4952,5434261191,45023886,178
茨城県212,7767,9876,3204,4397441804,35821,20013,547
栃木県142,8975,8504,6313,2836181921,73206098,191
群馬県140,4824,7803,9102,8555441291,10602386,124
埼玉県541,48117,05413,62310,0441,9486087,03302,99827,085
千葉県458,00114,59211,3488,1721,5404977,46412,78424,841
東京都950,06634,19927,02319,7404,3721,34510,43014,84249,472
神奈川県668,64324,63119,41613,9302,6397807,04912,77934,460
新潟県153,8195,6174,2312,89344213365111046,373
富山県71,5672,6411,9911,3922408236802163,225
石川県84,5463,3362,5831,8274401725280803,944
福井県58,8541,5671,2599141373259601312,294
山梨県57,6792,2611,7601,2392186764204203,323
長野県152,3417,0605,0533,3765001441,11704958,672
岐阜県151,9325,7414,4643,0914741471,50608828,129
静岡県271,66011,7428,6596,0061,2623321,765660714,120
愛知県604,14024,05117,56011,9052,0527133,22432,16729,445
三重県133,6114,6963,6942,5584421241,36205596,617
滋賀県119,4484,0873,0982,031266641,19507856,067
京都府184,4396,2105,0013,5376171831,36911,0538,633
大阪府634,35823,00618,34913,1152,64285610,58503,96337,554
兵庫県416,31916,28312,0218,4971,7514545,50802,62924,420
奈良県99,3113,6912,8752,076380951,81408886,393
和歌山県65,9152,4051,9031,3202489730301522,860
鳥取県42,1131,6561,2928811445939901972,252
島根県50,7332,3151,6581,156213731491922,557
岡山県145,2404,1733,4322,5114791362,85001,1788,201
広島県219,5758,7426,6894,6349723222,07301,13311,948
山口県95,5753,5702,7641,92143513465812144,443
徳島県50,6191,7621,298908203672670632,092
香川県72,6112,2051,7731,2192657558313693,158
愛媛県98,0353,4752,9142,1784431411,1513934,722
高知県46,7381,6041,3189471863875713392,701
福岡県418,48618,14813,7769,4981,7914804,99611,87225,017
佐賀県68,2372,1801,8111,3263108868201132,975
長崎県101,7813,6922,9232,03736010480201714,665
熊本県143,4245,8484,6193,1525241571,82923798,058
大分県85,1363,1582,5201,8144008393802374,333
宮崎県88,3282,6912,3231,7453871497390963,526
鹿児島県132,6714,6523,7362,6375151092,06404317,147
沖縄県150,9567,0134,9173,2895561742,56421,38210,961
全国9,321,243346,482269,056190,39236,26810,731105,8383441,086493,440

考察

2023年度における都道府県別・理由別の長期欠席情勢を表したデータを解析すると、日本全国の情勢が見えてきます。最初に全国の評価として、在籍児童生徒数約930万人の中、不登校者数は約35万人に上り、不登校率は約3.7% となります。更に、50日以上の欠席者が約27万人、そのうち、90日以上の欠席者は約20万人と、長期の欠席者の情勢が大きな課題であることを示しています。

欠席の理由に目を向けると、病気による欠席者は約10万人にのぼり、全体の長期欠席の大きな割合を占めています。一方で経済的理由での欠席者はごく少なく、全国で34人という結果が出ています。

地域別の調査では、不登校率が最も高いのは宮城県で、4.67%を超えています。これは全国平均を大きく上回っています。一方で、不登校率の地域差は解釈されておらず、地域独特の要因が含まれていると考えられます。たとえば、経済的状況、社会的環境や地域の協力体制など、記録には表れない要素が伸びている可能性が考えられます。

いじめから子どもをどう守る?

いじめの現状と子どもをどう守るか(2025年度)-記事の見出し画像

目次


不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。本稿では、2025年度におけるいじめの現状とその傾向を紹介し、子どもをいじめからどう守るべきかについて考察していきます。読者である皆様の多くが、小中学生のお子さんを持つ保護者であり、お子さんの不登校や学校生活に悩まれている方々だと思います。そのお悩みに寄り添い、役立つ情報をお届けできれば幸いです。

第1章: いじめの現状と増加する背景

いじめ問題に関する最新調査では、文部科学省が発表した認知件数が732,568件に上り、前年の681,948件から50,620件(7.4%)増加しました。このような増加傾向は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた一時的な減少期を経た後、過去3年間にわたる増加傾向の延長として記録されており、歴史的に見ても過去最多です。

▍ いじめの認知件数の推移

文部科学省による令和5年度のいじめの認知件数の推移グラフ。小学生588,930人、中学生122,703人と過去最多。
文部科学省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

1.1 学校におけるいじめ認知件数の傾向

学校種別で見ると、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校すべての種別でいじめの認知件数が増加しました。特に以下のデータが注目されます:

  • 小学校では、認知件数が588,930件に達し、前年の551,944件から約37,000件増加しました。
  • 中学校は122,703件と、前年から11,299件増加しました。
  • 高等学校でも認知件数は17,611件で、前年度から約2,000件増加しています。
  • 特別支援学校では3,324件のいじめが報告され、前年度の3,032件から約10%増加しています。

このデータから、小学生のいじめが全体の80%以上を占めることが分かります。これは、学校が早期対応を試みる中で、特に小学生の軽微なケースも認知する努力が進んでいることを示唆しています。

▍ いじめの1,000人当たり認知件数(都道府県別)

文部科学省による学校において認知したいじめの件数のデータ。全国平均57,9件で、最多は山形県の117件、最小は長崎県の17.9件。
文部科学省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

1.2 いじめの解消状況

調査では、いじめの解消率が77.5%に達していますが、これは学校や教育機関がいじめ解決に向けた取り組みを強化している一方、解消しにくいケースが一定数存在することも示しています。特にSNS上のいじめや家庭外の社会的要因が絡む場合、問題の解決が複雑化する傾向があります。

解消に向けて取り組んでいるケースも全体の22.3%と高い割合を占めており、特に中学校で23.7%、特別支援学校で26%という数字が目立ちます。この現象は、中学生や特別支援学校の生徒に対するいじめが解決困難であることを示しており、いじめ対応策のさらなる精緻化が求められます。

1.3 SNSいじめとその影響

特筆すべきは、SNSいじめの増加です。インターネットを通じたいじめ件数は過去8年間で一貫して増加傾向を示しており、2025年度には24,678件に達しました。これは、特に中学生と高校生の間で広がっている問題であり、ネットの匿名性や非対面性が被害を長期化させています。また、いじめの加害者が直接的な罪悪感を抱きにくい環境にあるため、対処が難しい状況が続いています。

文部科学省によるいじめの態様別状況。冷やかしやからかいが小中高校で最多を占める。次点は叩かれたり蹴られたりする暴力。
文部科学省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

第2章: いじめの重大事態とその影響

いじめが解決されず、深刻化した場合には、被害者とその家族に計り知れない影響を与えます。2025年度には、いじめの重大事態が1,306件報告されており、前年の919件から42.1%増加しています。この数字は、過去最多を記録しており、学校におけるいじめ対策が依然として課題であることを浮き彫りにしています。

2.1 重大事態の定義と事例

いじめの重大事態とは、いじめにより被害児童が生命・身体・精神に深刻な被害を受けたり、学校への出席が困難になるなどの影響があった場合を指します。具体的なデータを見てみると:

  • 精神的苦痛:重大事態の62.7%に当たり、最も多い事例です。被害者の心に深い傷を残すケースが多く、特にSNSを通じたいじめが精神的苦痛を引き起こしやすいと言われています。
  • 身体的苦痛:全体の18.1%を占め、身体的な暴力を伴ういじめのケースです。
  • 生命の危機:全体の11.6%に当たり、いじめによる自傷や自殺未遂などが含まれます。

2.2 重大事態の調査と対応

重大事態の調査は、78.3%のケースで学校が主体となって行われています。しかしながら、調査報告の中で「いじめが認知されていなかった」ケースが37.5%存在することは重大な課題です。これは、いじめの兆候を早期にキャッチする仕組みが不十分であることを示しています。

特に、小中学生の重大事態では、「精神的苦痛」に関する問題が約半数を占めていますが、この問題に取り組む際には、被害者の心理的支援だけでなく、加害者の心理や家庭環境への介入も必要です。

2.3 自殺との関連性

いじめと自殺との関連性は、特に近年の重大な問題として注目されています。2025年度の調査によれば、学校関連の自殺者の中には、いじめが主要な原因とされるケースが複数報告されています。これは、学校だけでなく家庭や地域社会が協力し、包括的なサポート体制を構築する必要性を示しています。


第3章: 子どもをいじめから守るために

いじめ問題が深刻化する中で、家庭、学校、そして地域社会が連携して対策を講じることが求められます。この章では、兆候を見逃さず早期対応する方法、学校や地域との連携の重要性を、保護者が具体的に取り組める視点から解説します。

3.1 兆候を見逃さないための観察ポイント

いじめを早期に発見するためには、日常生活における子どもの微細な変化を見逃さないことが重要です。次のような兆候が見られる場合、注意を払うべきです。

  • 身体的サイン
    持ち物の破損、衣服の汚れ、身体にできた傷やあざが頻繁に見られる。
  • 感情的サイン
    突然泣き出したり怒りっぽくなるなど、情緒が不安定になる。
  • 社会的サイン
    友人関係の変化、一人で過ごす時間が増える。学校や塾の休みがちになる。
  • 学業のサイン
    成績の急激な低下、授業への集中力の欠如。宿題や課題をやりたがらない。
  • デジタルサイン
    SNSやゲームの利用が急に減ったり、スマートフォンを隠したり、特定アプリの削除が見られる。

兆候に気づいた場合、子どもに直接問いただすのではなく、「学校で何か嫌なことがあった?」と優しく声をかけることが大切です。否定せず、受け入れる姿勢を見せることで、子どもが話しやすい環境を作ります。

子どもに寄り添う母親のイメージ

3.2 学校との連携の具体策

いじめ解決には、保護者が学校と協力し、共に問題に取り組む姿勢が欠かせません。以下の手順を実践してください。

  1. 具体的な事実の共有
    子どもから聞いた内容や、写真、破損物の記録など、いじめの証拠を整理し、学校に伝えます。
  2. 冷静かつ建設的な対話
    学校の担任やスクールカウンセラーとの面談では、感情的にならずに具体的な解決策を話し合います。
  3. 教育委員会や第三者機関への相談
    必要に応じて、地域の教育委員会や心理カウンセラーなど、学校外のサポート機関を活用します。
  4. 進捗の確認と再協議
    いじめ対応の進捗状況を学校と定期的に確認し、改善が見られない場合は再度の話し合いを行います。

3.3 保護者としての心構え

いじめ問題に向き合う中で、保護者自身も大きなストレスを抱えることがあります。そのため、保護者が安心して相談できる場所やサポートグループを活用し、自身の心身の健康を保つことも重要です。また、子どもに対して「あなたの味方でいるよ」という姿勢を示し続けることで、子どもの心に安心感を与えることができます。


結論

いじめは子どもの心身に深刻な影響を与える問題ですが、適切な対応を取ることで改善の道は開けます。本稿で紹介したデータや具体的な対策が、いじめ問題に悩む保護者の方々にとって少しでも役立つことを願っています。最も大切なのは、親が子どもに寄り添い、いじめを一緒に乗り越えようとする姿勢です。どんなに小さな一歩でも、それは子どもの未来を守る大きな一歩となるはずです。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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不登校に繋がりやすい学校要因とは?

不登校に繋がりやすい学校要因と、不登校になりにくい子どもの特徴の見出し画像

目次


児童心理司の藤原と申します。不登校や引きこもりといった問題に取り組む専門家として、これまで多くの親御さんやお子さんたちと向き合ってきました。この文章では、不登校の子どもたちが抱える問題を文部科学省の調査データをもとに整理し、家庭で実施可能な支援策を具体的に述べていきます。

参考資料:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)


第一章:不登校の現状と統計から見える実態

日本における不登校の問題は年々深刻さを増しており、子どもたち一人ひとりの心の健康だけでなく、家族全体にも大きな影響を与えています。文部科学省が公表した令和5年度の調査結果によれば、不登校の児童生徒数は346,482人にのぼり、前年の299,048人から約15.9%増加しました。これは、少子化が進む中で11年連続の増加となり、過去最多を記録しています。

不登校児童数の推移

1. 不登校の増加傾向と長期欠席の現状

文部科学省の調査では、小中学校の全児童生徒数に対する不登校児童生徒の割合は3.7%に達しています。この割合は10年前の約2倍に相当し、不登校は学校生活における一般的な問題として顕在化していることを示唆しています。さらに、欠席日数が90日以上の児童生徒が全体の55%を占めており、一度不登校になると長期間にわたって登校しない傾向が強いことがわかります。

このような長期欠席の増加には、以下のような背景が挙げられます。

  • 「学校生活に対してやる気が出ない」(32.2%)という相談が最多であり、心理的な要因が深く関与しています。
  • 「不安・抑うつ」(23.1%)、「生活リズムの不調」(23.0%)も大きな割合を占めており、心身の健康状態が不登校に密接に関連していることが浮き彫りになっています。

2. 学年別および年齢層による不登校の分布

学年別のデータによると、不登校児童生徒数は小学校低学年から中学校にかけて徐々に増加し、中学2年生から3年生でピークを迎えます。特に中学2年生では、学業や友人関係におけるプレッシャーが重なることで、不登校のリスクが高まることが特徴的です。

具体的な数字としては、以下のような傾向が見られます。

  • 小学校6年生の不登校児童生徒数:36,588人
  • 中学校1年生の不登校児童生徒数:58,035人
  • 中学校3年生の不登校児童生徒数:80,309人

この学年ごとの増加は、子どもたちが成長とともに直面する課題の多様化や深刻化を反映しています。

3. 不登校に関連する主要要因

文部科学省の調査では、不登校に至る要因として多岐にわたる項目が挙げられています。その中でも主な要因を以下に整理します。

  • 心理的・身体的な問題
     不登校児童の多くが「学校生活にやる気が出ない」(32.2%)、「不安・抑うつ」(23.1%)を理由に挙げており、心理的負担が大きな要因となっています。また、生活リズムの乱れ(23.0%)が子どもの心身の健康に悪影響を及ぼしているケースも目立ちます。
  • 対人関係の問題
     いじめを原因とする不登校は全体の1.3%と割合は低いものの、友人関係のトラブルが13.3%を占めています。特に思春期の子どもにとって、友人との関係は学校生活の充実度に直結しており、この問題を放置すると不登校に繋がる可能性が高まります。
  • 学業のプレッシャー
     「学業の不振や宿題の未提出」(15.2%)も挙げられており、学業に対するストレスが子どもたちに与える影響が顕著です。特に、中学校に進学すると授業内容が難しくなることから、学習への不安が増加する傾向があります。

4. 学校外の支援状況

不登校の子どもたちのうち61.2%が学校内外の専門的な相談・指導を受けています。学校外の支援機関(教育支援センターやカウンセラーなど)を利用しているケースも多く、学校や家庭だけで対応できない問題に対して外部の専門家が重要な役割を果たしています。

ただし、38.8%の不登校児童生徒は十分な支援を受けられていない現状も明らかです。特に、担任や学校スタッフからの継続的なサポートが不足している場合、子どもが孤立しやすくなるため、早期の対応が求められます。

5. 不登校の地域差

調査結果からは、不登校児童生徒数には地域差があることも示されています。1,000人当たりの不登校児童生徒数が最も多い地域では40人を超え、全国平均の37.2人を上回る結果が出ています。地域によって教育環境や支援体制に差があることが、このような結果に繋がっていると考えられます。

都道府県別の不登校児童生徒数

6. データから見える現代社会の影響

令和5年度調査では、新型コロナウイルス感染症の影響が減少した一方で、不登校の増加が続いていることが指摘されています。コロナ禍で一旦減少したいじめ件数が再び増加傾向にあることも、不登校に影響している可能性があります。さらに、SNSやネット上の問題が増え、学校外でのストレスが子どもたちに影響を与えていることも見逃せません。


不登校の現状をデータから分析すると、不登校という現象が単なる学業の問題ではなく、心理的・社会的な要因が複雑に絡み合った結果であることが明らかです。親御さんがこれらの背景を理解することで、早期に適切な支援を行い、子どもたちが自分自身のペースで再び学校生活に向き合えるよう手助けをすることができます。

第二章:不登校の要因を分類する—4象限モデルの活用

不登校という現象は、単一の原因ではなく、家庭環境、学校環境、子どもの性格、社会的背景など、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じることが、文部科学省の調査結果からも明らかです。この章では、不登校を引き起こす要因を体系的に理解するため、文部科学省の調査データを元に、学校要因と生徒の特徴を軸とした「4象限モデル」を用いて分析します。このモデルを活用することで、不登校に繋がる要因と、それに対する具体的な支援策を明確にすることができます。

1. 4象限モデルの概要

4象限モデルは、不登校を引き起こす要因を以下の2軸で分類します。

学校要因:不登校に繋がりやすい学校関連の要因と、影響しにくい学校関連の要因
生徒要因:不登校になりやすい生徒の特徴と、不登校になりにくい生徒の特徴
このモデルによって、学校環境や生徒の個別性がどのように不登校リスクに影響を与えるのかを視覚的に整理することが可能です。

不登校児童生徒について把握した事実

2. 4象限モデル

以下に、不登校に関連する学校要因と生徒の特徴を分類した4象限モデルを示します。

要因\特徴不登校になりやすい生徒の特徴不登校になりにくい生徒の特徴
不登校に繋がりやすい学校要因– いじめ被害や友人関係のトラブル(友人関係に関する相談:13.3%)
– 教職員との信頼関係の欠如
– 学校生活への意欲喪失(32.2%)
– 信頼できる教職員が存在する
– 部活動や特別活動を通じた居場所がある
– 学校内で「安心できる空間」が提供されている
不登校には影響しにくい学校要因– 教材や授業内容の難易度が適切でない
– 学業成績の一時的な低迷
– 課外活動への強制参加

3. 象限別の詳細分析

(1) 不登校に繋がりやすい学校要因 × 不登校になりやすい生徒の特徴

この象限では、学校環境の課題が生徒の心理的・性格的な脆弱性と重なることで、不登校リスクが高まります。

主な要因:いじめ、友人関係のトラブル
 文部科学省のデータによれば、友人関係の問題に関連した相談が13.3%を占めています。特に、学校内でのいじめや孤立は、不登校を直接的に引き起こす要因として顕著です。この場合、学校側が問題を早期に発見し、解決する取り組みが欠かせません。
主な支援策:学校と家庭の連携
 学校でのトラブルは、家庭だけで解決することが難しいため、担任やスクールカウンセラーと密に連携を取ることが重要です。また、子どもが学校で感じる不安を家庭で受け止め、「安心して相談できる場所」を提供することも必要です。

(2) 不登校に繋がりやすい学校要因 × 不登校になりにくい生徒の特徴

この象限では、学校環境に課題があっても、生徒が適応力や問題解決能力を持っている場合、不登校のリスクは低下します。

主な要因:教職員との信頼関係の欠如
 調査結果から、教職員との良好な関係は、生徒が学校生活を継続するための重要な要素であることが分かっています。一方、信頼できる教職員がいない場合、生徒のストレスが増大し、不登校に繋がるリスクが高まります。
主な支援策:子どもの自己肯定感を育む
 親が子どもに対して「あなたは大切な存在だ」と伝え続けることで、自己肯定感を育むことができます。また、学校外での活動を通じて成功体験を得ることが、不登校の予防に繋がります。

(3) 不登校には影響しにくい学校要因 × 不登校になりやすい生徒の特徴

学校環境が比較的良好であっても、生徒の個人的な要因が原因で不登校になるケースがあります。この象限では、家庭内での支援が重要な役割を果たします。

主な要因:自己肯定感の低さ、不安や抑うつ
 文部科学省の調査では、不安や抑うつを抱える子どもが23.1%を占めています。これらは、学校環境とは関係なく生徒自身の内面的な要因に起因することが多いです。
主な支援策:感情を引き出すコミュニケーション
 子どもが自分の気持ちを話せる環境を家庭内に整えることが重要です。親が「どう感じたのか?」と問いかけることで、子どもが自分の感情を認識し、適切に対処できるようサポートします。

4象限モデルの意義と実践的活用

この4象限モデルを活用することで、不登校の要因を体系的に整理し、それぞれの象限に対応した適切な支援策を考えることができます。親御さんがこのモデルを理解し、学校や家庭での役割を把握することで、子どもたちが抱える問題をより効果的に解決できる可能性が広がります。

第三章:不登校を防ぐための家庭での具体的な支援策

不登校は、ある日突然起きるのではなく、さまざまなサインや背景を持って現れることが多いです。そのため、親御さんが日々の生活の中で子どもの変化に気づき、適切な対応を取ることが、未然防止や早期解決の鍵となります。この章では、家庭内で実践できる具体的な支援策を5つ解説します。

笑顔の生徒たち

1. 日常生活の中で子どもの変化に気づく方法

不登校の兆候を早期に察知するためには、子どもの日常生活に目を配り、普段と異なる様子をキャッチすることが大切です。具体的には以下のような観察ポイントがあります。

  • 学校の話題に対する反応
     子どもが学校の話題を避けるようになったり、友人や先生について話すことを嫌がる場合、学校での困難が背景にある可能性があります。親が学校生活に興味を持ち、自然な形で質問することで、子どもの気持ちを引き出す手助けができます。
  • 生活習慣の変化
     朝起きるのが遅くなったり、夜更かしが増えるなど生活リズムが乱れることは、不登校の前兆の一つです。特に、朝に体調不良を訴える場合、心理的ストレスが影響していることがあります。
  • 情緒や態度の変化
     以前は明るく元気だった子どもが無気力になったり、些細なことで怒りやすくなる場合、心の中に抱えている不安やストレスの表れかもしれません。このような変化に気づいたら、「何か気になることがあるの?」と優しく問いかけることが重要です。

2. 親子の信頼関係を深めるコミュニケーション

子どもが抱える悩みを打ち明けるには、親との信頼関係が欠かせません。親子のコミュニケーションを改善し、信頼関係を深めるためのポイントを以下に示します。

  • 子どもに寄り添う態度を持つ
     親が「あなたの気持ちを理解したい」という姿勢を示すことで、子どもは安心感を覚えます。たとえば、子どもが話している最中に否定や指摘をせず、「そう感じたんだね」と共感することを意識しましょう。
  • オープンな質問を心がける
     「今日どうだった?」などのオープンな質問をすることで、子どもが自由に答えやすくなります。一方で、「学校は楽しかった?」といった質問は「楽しくなければいけない」とプレッシャーを感じさせる場合があるため注意が必要です。
  • 親自身が安心感を示す
     親が過度に焦ったり、不安をあらわにすると、その感情が子どもに伝わってしまいます。たとえ心配な状況でも、親が冷静でいることが、子どもに安心感を与える要素となります。

3. 生活リズムを整える取り組み

不規則な生活リズムは、心身の健康に影響を及ぼし、不登校のリスクを高めます。特に、小中学生の子どもにとって、規則正しい生活は精神的な安定を保つ基盤となります。

  • 朝の習慣づくり
     毎朝決まった時間に起床することを習慣化するためには、家族全体で取り組むことが効果的です。親も一緒に早起きし、朝食を一緒に取ることで、子どもが自然に朝型生活を送れるようになります。
  • 睡眠環境の整備
     夜更かしを防ぐために、寝室の環境を整えましょう。特に、寝る直前のスマートフォンやタブレットの使用を控え、代わりに読書や音楽鑑賞など、リラックスできる活動を勧めると良いでしょう。
  • 適度な運動の促進
     日中に適度な運動をすることで、夜の睡眠の質が向上します。公園での散歩や一緒にストレッチをする時間を作るなど、親子で楽しめる活動を取り入れることが効果的です。

4. 自己肯定感を高める工夫

自己肯定感が低い子どもは、失敗を恐れ、不登校に繋がりやすい傾向があります。自己肯定感を育むために、親ができる取り組みを以下に示します。

  • 日々の小さな成功を褒める
     「宿題を全部終えた」「自分で準備ができた」など、日常生活の中で子どもが達成したことに目を向け、「すごいね」「よく頑張ったね」と具体的に褒めましょう。小さな成功を積み重ねることで、子どもの自信が育ちます。
  • 失敗を責めない
     失敗に対して否定的な態度を取ると、子どもは挑戦する意欲を失います。「どうすれば次はうまくいくかな?」と一緒に解決策を考えることで、前向きな姿勢を育むことができます。
  • 子ども自身の意見を尊重する
     子どもが自分で決定したことに対して親がサポートすることで、自分で考え、行動する力を育てられます。たとえば、「今度の休みは何をしたい?」と子どもに選択肢を与え、自主性を尊重する姿勢を見せましょう。

5. 家庭内での「居場所づくり」

家庭が子どもにとって安心できる場所であることが、不登校の予防において非常に重要です。

  • 共に過ごす時間を増やす
     家族で食卓を囲む時間を大切にするなど、一緒に過ごす時間を意識的に増やしましょう。このとき、テレビやスマートフォンを一時的に手放し、会話に集中することがポイントです。
  • 趣味や興味をサポートする
     子どもの趣味や興味を尊重し、共に楽しむ時間を作ることで、子どもが「自分は大切にされている」と感じられるようになります。

最後に

不登校を防ぐためには、子どもの小さな変化に気づき、家庭内で適切に支援することが不可欠です。是非、以下のポイントを心に留めて活用してください。

  1. 子どもの変化に敏感になり、早期に兆候を察知する。
  2. 親子の信頼関係を深め、安心感を与えるコミュニケーションを心がける。
  3. 規則正しい生活リズムを家庭全体で作り上げる。
  4. 子どもの成功体験を増やし、自己肯定感を高める。
  5. 家庭を子どもにとっての「居場所」として機能させる。

親御さんが日々の暮らしの中でこれらを実践することで、子どもの心の安定と成長を支え、不登校を未然に防ぐ大きな力となるでしょう。焦らず、少しずつ取り組んでいくことが大切です。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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不登校経験者が語る:当時の心境と今だから言えること

不登校経験者が語る:当時の心境と今だから言えること-見出し画像

目次


不登校や引きこもりの支援を専門とする児童心理司の藤原と申します。

今回の記事では、私が支援を通じて関わらせていただいた2人の不登校経験者の方に、それぞれの体験をインタビューさせていただきました。一人は中学時代に不登校を経験し、もう一人は小学校時代に同じような困難に直面しました。お二人とも、不登校になった当時の苦しさや、家庭や自分自身の変化を経て再び一歩を踏み出すまでの過程を語ってくださっています。

(下記、インタビューを元に書き起こした内容となります)


不登校経験者Aさん

私は中学1年生の2学期、不登校になりました。その頃、私の周りは真っ暗で、誰にも自分の気持ちを言えない孤独感に押しつぶされていました。振り返ると、私が不登校を乗り越えられたのは、親の気持ちの変化と、それによって私自身も少しずつ変われたからです。そして、そこに大きな役割を果たしたのは、自閉スペクトラム症の診断をきっかけとする、家族のあり方の変化でした。

自閉スペクトラム症の診断と不登校

中学に入るまでは、私は少し変わった子どもだとよく言われていました。人の目を見て話すのが苦手で、友達との会話でも話題がすぐに途切れることが多かったのです。でも、小学校の頃はなんとかそれでも友達がいて、勉強も苦手ではなかったので問題なく過ごせていました。

ところが、中学に入ると環境が急激に変わり、クラスの雰囲気や友人関係にまったくついていけなくなりました。授業中は先生の話が全く頭に入らず、クラスメートとの雑談に参加する勇気も出ませんでした。特に昼休みの時間が苦痛でした。周りの子が楽しそうにグループを作って話しているのを横目に、私は一人で音を立てずに座っていることしかできませんでした。

教室のイメージ

2学期に入る頃には、学校に行くたびに胸が締めつけられるような感覚や頭がぼーっとする症状が現れるようになり、次第に学校へ行けなくなってしまいました。心配した母が連れて行ってくれた病院で、私は「自閉スペクトラム症」という診断を受けました。その時は、病名を聞いても「それが何」という印象で、特に何かが変わるわけではありませんでした。むしろ、「私が変わっているから学校に行けないのだ」という自己否定感が強くなりました。

家庭の変化:母の気づき

私の不登校は家族に大きな影響を与えました。最初、母は学校に行かない私に苛立ちを隠せませんでした。「どうして学校に行けないの?」「別にクラスでいじめられているわけではないでしょう」ときつく言われることもありました。その言葉は、辛かったです。
「学校に行けない自分はダメな人間なんだ」という気持ちで暗くなりました。

何も変わらず数週間が経った頃、母が「再登校支援プログラム」というものを見つけてきました。母は最初、私を無理やり学校に戻す方法を探しているのだと思っていました。でも、プログラムに参加する中で、母の態度が徐々に変わっていったのです。

母はまず、私が何に苦しんでいるのかを理解しようとしてくれました。「あなたが学校で何を感じているのか知りたい」と、今までとは違った感じで何度も話しかけてくれました。
最初はうまく話せませんでしたが、母が私を急かさず、ただ待っていてくれることで、少しずつ自分の気持ちを伝えられるようになりました。「学校で友達の輪に入れないのが辛い」「クラスのざわざわした音が頭に響いて怖い」こうした具体的な気持ちを話すことで、私自身も自分が何を恐れているのかが分かるようになったのです。

父の変化と支え

父もまた、大きく変わりました。それまでの父は、仕事に忙しく、家でもパソコンに向かっていることがほとんどでした。私の不登校に関しても、特に気にしている様子はありませんでした。しかし、母がプログラムで学んだことを父に伝え、家族として一緒に私を支えようと働きかけたことで、父の様子も変わってきました。

父は、「何をしたらいいのか分からない」と正直に話してくれました。その言葉を聞いた時、私は少し驚きました。父も困っているのだと分かり、自分がどうでも良いわけではないと安心したのを覚えています。父はそれから、自分なりに私を助ける方法を見つけようとしてくれました。例えば、一緒にゲームをしたり、庭で花を植える作業を手伝ってくれたりしました。私ができたことに対して「すごいじゃないか」と褒めてくれる父の言葉が今でも耳に残っています。

家族の変化がもたらした安心感

家族が変わってくれたことで、私の心に少しずつ余裕が生まれました。それまでは、家の中でさえ気を張って生きているような状態でしたが、両親が私を受け入れてくれると感じられるようになり、自分を責めることが減っていきました。

母は、「一日一つでも良いことがあれば、それで十分だよ」と言ってくれました。その言葉に救われ、少しずつ外に出てみようと思えるようになりました。最初は家の庭で日光浴をするだけでしたが、それでも「外に出られた」という達成感がありました。

学校復帰

3学期に入り、担任の先生が「自分のペースで良いから、いつでも戻っておいで」と声をかけてくれたことで、私は少しずつ授業に出られるようになりました。母が「無理しなくて良いよ」と言ってくれたこと、父が「今日は良く頑張ったな」と褒めてくれたことが、私を支えてくれました。

今、過去の自分に声をかけるとしたら、「あなたは一人じゃないよ」と伝えたいです。私を支えてくれた家族がいたからこそ、私は不安に向かい、立ち直ることができました。そして、自分を理解しようとしてくれる人がいるだけで、どれだけ心強いかを実感しました。学校はつらいこともありますが、今のお父さんとお母さんと一緒ならば、乗り越えられそうです。


不登校経験者Bさん

私が不登校になったのは、小学校5年生の1学期が始まったばかりの頃でした。その頃、家の中で両親の言い争いが絶えず、その中で私は小さく身を潜めていました。「自分がもっと良い子だったら、こんなことにはならなかったのかもしれない」そんな風に思う日々が続き、学校に行くことが辛くなってしまったのだと振り返って思います。

両親の喧嘩と緊張感

両親は共にフルタイムで働いていて、仕事から帰ってきても、いつも疲れているような印象でした。それが原因なのか、家では些細なことがきっかけで口論が始まりました。例えば、誰が家事をするか、子どもの成績がどうだ、などといったことで衝突するのです。そのたびに、私は自分の部屋に閉じこもって布団を被っていました。

特に辛かったのは、親が私の前でお互いを非難し合う時です。「あなたがもっとちゃんとしてくれれば!」とか「お前のせいでこうなった!」といった言葉を聞くと、自分が喧嘩を起こしているのだと感じました。それは学校にいても頭を占めていました。友達と話している時や授業中も、心の中では「家に帰りたくない」「どうして自分だけ苦しいんだろう」と思っていました。

次第に学校に行くことそのものが怖くなり、朝になると胃が痛くなるようになりました。そして母が「今日も学校休むの?」と言うと、休めると安心するわけでもなく、返って辛くなりました。

落ち込む女の子のイメージ

ToCoとの出会い

そんな私を変えてくれたのは、母が見つけてきたToCoというサービスでした。初めは不登校を解決するために、私に対して何かやるのかと思いました。でも、家庭全体の雰囲気を変えることが勧められていたようで、私の親も大きく変わっていったのです。

両親の変化:喧嘩から協力へ

両親はいつの間にか、お互いを責めることをやめるようになっていました。それまで母は父に対して「もっと育児に協力してほしい」と不満をぶつけ、父は「仕事が忙しいんだ」とそれをはね返していました。でも、そういうやり取りが減ってきました。

例えば、父はそれまで家事を手伝わない人でしたが、夕食の準備を母と分担するようになりました。また、母も、私や学校のことを父に相談するようになりました。今まで無かったことに気づいていませんでしたが、2人の間でちゃんと挨拶が交わされるようにもなりました。そして、家の雰囲気が柔らかくなっていきました。

私への接し方の変化

両親の変化は、私への接し方にも現れました。以前は「学校に行けないなんて情けない」と言って私を叱っていましたが、無理に学校に行かせるのではなく、まず気持ちを聞いてくれるようになりました。それから母は、私に「どうしたら気持ちが楽になるかな?」と相談してくれるようになりました。特に父が「学校に行けないことは悪いことじゃないよ」と言ってくれた時、私はホッとしました。それまで、「学校に行けない自分はダメな人間だ」と思っていましたので、その言葉が嬉しかったです。

家族との新しい時間

両親が喧嘩をなくして、私にも優しく接してくれるようになると、雰囲気は一変しました。週末には家族全員で食事を作ったり、近所の公園に散歩に行く時間が増えました。ある日、父が「これからはみんなで一緒に夕食を作る時間を作ろう」と言い、それが私にとってとても嬉しいことでした。以前は、家族で一緒に何かをするなんて考えられなかったからです。

お互いに笑顔を見れるようになって幸せを感じつつ、今までは辛いことだったんだ、と、もう戻りたくないと思いました。

学校復帰の道のり

そんな中、自分でも不思議なくらい学校の辛さが感じなくなっていました。母が「行けるときに行けばいいよ」と言ってくれましたが、自分から登校の準備をして、次の日には学校に行っていました。2週間ぶりくらいで少し緊張しましたが、先生も友達も変わりなく接してくれたので、数日で普通に通えるようになりました。

もし自分が将来子どもを持つとしたら、この経験を活かして温かい家庭を作っていこうと思いました。



ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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不登校におけるフリースクールの特徴とは?


目次


不登校や引きこもりに悩む子どもたちと向き合う児童心理司をしております、藤原と申します。これまで、数多くの不登校の子どもたちとその保護者の方々に寄り添い、サポートを続けてまいりました。不登校という現象は、子どもと保護者、双方にとって非常に深刻で、人生の中で避けて通りたくない道のりだと感じる方が多いと思います。その道のりを少しでも和らげられるよう、今日お話しするのは、「フリースクール」という選択肢と「再登校」という二つの選択肢についてです。それぞれの特徴を冷静に分析し、どのように向き合うべきかを考えていきたいと思います。

不登校という社会現象の背景

不登校のお子さんを抱えるお母さまにとって、その現状は想像以上に辛いものでしょう。なぜ学校に行けないのか、どうして他の子と同じように振る舞えないのか、時にはお子さんを責めたくなる気持ちが生まれることもあるかもしれません。

しかし、まず最初にお伝えしたいのは、不登校という現象は決してお母さまやお子さんだけの問題ではないということです。学校という環境は、多くの子どもたちにとって楽しく成長できる学びの場である一方で、一部の子どもにとっては過酷なストレスの温床になることもあります。この現象は、日本全体の社会構造や教育制度の問題も含んでいるため、誰か一人のせいにすることでは解決できないのです。

文部科学省のデータによると、現在日本では小中学生のうちおよそ1.8%の子どもが不登校状態にあるとされています。これは年々増加傾向にあり、教育現場でも深刻な課題として捉えられています。不登校の原因は、学業不振、友人関係のトラブル、教師との相性、さらには家庭環境の影響など多岐にわたります。この中で、保護者ができることは限られているように感じるかもしれませんが、実際には子どもにとって親の理解やサポートが最も重要な要素の一つです。

フリースクールとは何か

さて、不登校の子どもたちにとっての支援の場として「フリースクール」という選択肢があります。フリースクールとは、学校に通うことが難しい子どもたちのために設立された教育施設であり、学業だけでなく、心理的な支援や社会性の育成を目的としています。ここではまず、フリースクールの特徴を具体的にお伝えし、どのような子どもに適しているのかを考えていきます。

フリースクールの現状

日本には現在、約500以上のフリースクールが存在しています。地域によって設置数には差がありますが、都市部を中心に多くの施設が展開されています。フリースクールの運営母体は、民間のNPO法人や個人経営のものが多く、学校法人として認可を受けた施設は非常に限られています。そのため、施設ごとに教育方針や運営スタイルが大きく異なるのが特徴です。

料金についても様々で、1か月あたり数万円程度のところもあれば、より専門的な支援を提供する施設では10万円を超えることもあります。一見高額に感じるかもしれませんが、少人数制や個別指導、専門的なカウンセリングが含まれることを考えると、これも一つの投資と捉えられるでしょう。ただし、自治体によってはフリースクールに通う費用を一部補助する制度を設けているところもありますので、情報収集が重要です。

フリースクールのメリットとデメリット

フリースクールの最大のメリットは、学校に行けない子どもたちにとっての「安全な場所」であることです。学校では感じることの多い競争や集団生活のストレスを取り除き、一人ひとりのペースに合わせた学びが可能になります。例えば、友人関係で悩んでいた子どもがフリースクールで新たな友人を作り、自己肯定感を取り戻すケースも珍しくありません。また、自由な雰囲気の中で、自分の興味関心に基づいた活動を通して自己成長を促すことができるのも大きな魅力です。

一方で、デメリットも存在します。一つは、学びの質や量が学校教育に比べて十分でない場合があることです。フリースクールでは必ずしも文部科学省のカリキュラムに沿った授業が行われるわけではないため、高校や大学への進学を目指す場合、追加の学習が必要になることがあります。また、運営母体の質や方針によっては、サービスの内容が安定しないこともあります。信頼できるフリースクールを見極めるためには、実際に訪問し、スタッフや子どもたちの様子を確認することが重要です。

フリースクールと再登校の比較

それでは不登校の子どもにとって、フリースクールに通うことと学校への再登校、どちらが望ましいのでしょうか。この問いに対する答えは、お子さん一人ひとりの状況によって異なりますが、私自身の立場から少し踏み込んだ見解をお伝えします。

再登校の重要性

私は、お子様に学校に通いたいという気持ちがあるのであれば、再登校を目指すことを最優先に考えるべきだと思っています。それは、学校という環境が子どもたちにとって非常に特別な場であるからです。同年代の子どもたちと共に学び、遊び、時に衝突しながら成長していく経験は、学校以外ではなかなか得ることができません。特に小中学生の時期は、友人との友情や競争を通じて自己を確立していく非常に重要な時間です。この期間を学校という場で過ごすことは、後から取り戻すことは出来ない、かけがえのない経験となります。

学校は単なる学びの場ではありません。同年代の子どもたちとの日々のやり取りを通して、社会性やコミュニケーション能力を育む場でもあります。例えば、グループ活動や体育祭、文化祭などで役割を分担し、仲間と一緒に目標を達成する経験は、社会で生きていく上で欠かせない能力を身に付ける土台になります。こうした体験を通じて培われる「他者との協力」や「自己の役割を果たす責任感」は、フリースクールや家庭だけでは代替しにくいものです。

また、学業面でも学校の強みは明確です。学校は文部科学省のカリキュラムに基づいて授業を進めていくため、学力を体系的に身に付けることができます。特に、高校受験や大学受験を控えた子どもにとって、学校の授業が提供する内容は極めて重要です。フリースクールで学びながら受験勉強をすることは可能ですが、その場合、追加で塾や個別指導に通う必要が出てくるため、子どもにかかる負担が増えることも考えられます。

しかし、再登校を勧めるにあたって重要なのは、子どもが「無理をしていないか」をしっかり見極めることです。学校に戻りたいという気持ちがある場合でも、急激に環境を変えることでストレスが大きくなり、結果的に登校が続かなくなるケースも少なくありません。そのため、子どもの気持ちやペースを最優先に考え、少しずつ環境に慣れていけるようなサポートが必要です。

フリースクールの役割

一方、フリースクールには学校とは異なる重要な役割があります。それは、「心の安全基地」としての機能です。不登校の子どもたちは、学校に対する不安やストレスが非常に強く、家から出ることすら難しい状態にあることが多いです。このような状態で無理に学校へ戻そうとすると、かえって不安が悪化し、家庭内でのトラブルに発展することもあります。フリースクールは、そうした子どもたちが外の世界に一歩踏み出すための中間地点として機能します。

例えば、あるフリースクールでは、午前中はスタッフと一緒に好きな本を読むだけの時間を設け、午後からは少人数でのグループ活動を行うという柔軟なプログラムを取り入れています。このような環境では、子どもたちは自分のペースで外の世界に馴染んでいくことができます。また、フリースクールのスタッフは多くの場合、子どもの心のケアに特化した専門知識を持っており、子どもが抱える不安や悩みに寄り添うことが可能です。

さらに、フリースクールでは、子どもたちが自分の興味や関心を中心に学べる時間が多いのも特徴です。例えば、プログラミングやアート、料理など、学校では十分に取り組むことが難しい分野に触れることで、自信や自己肯定感を取り戻す子どももいます。こうした活動を通じて「やりたいこと」を見つけられると、将来に対する意欲も少しずつ育まれるようになります。

再登校とフリースクールのバランスを取る

ここまでお話ししてきたように、再登校とフリースクールにはそれぞれ独自のメリットがあります。そして重要なのは、どちらか一方に偏るのではなく、お子さんの状況に応じて柔軟に選択肢を活用していくことです。

例えば、「今すぐ学校には戻れないけれど、家にいるだけでは先に進めない」という場合、まずフリースクールに通うことで社会生活のリズムを取り戻し、その後再登校を目指すというステップも考えられます。逆に、学校での学業を諦めたくないお子さんには、家庭でのサポートを続けながら少しずつ学校へ通う準備を進めるのがよいでしょう。その際、フリースクールを一時的なサポート拠点として利用することもできます。

私がこれまで関わってきたお子さんの中には、最初はフリースクールでスタッフと1対1で話すことさえ困難だった子どもが、数か月後には他の子どもたちと一緒に工作を楽しめるようになり、最終的には学校へ戻ることを選んだケースもありました。一方で、学校には戻らず、フリースクールでの学びを続けながら、高校進学や専門学校への道を選んだお子さんもいます。

保護者の役割と心構え

最後に、不登校のお子さんを抱える保護者の方に向けて、いくつか心構えをお伝えしたいと思います。不登校という状況は、子どもだけでなく保護者にとっても大きな試練です。しかし、この試練を乗り越えるためには、保護者自身が冷静に、そして柔軟に対応することが何よりも重要です。

まず、「子どもを信じる」ということを忘れないでください。不登校の状況にある子どもは、親からの信頼を感じることで大きな安心感を得ます。一方で、親が焦りや苛立ちを強く抱えていると、それが子どもに伝わり、不安を増幅させることがあります。子どもが自分のペースで一歩ずつ進めるよう、長い目で見守ることが大切です。

次に、「情報を集める」ということも大切です。不登校への対応は一律ではなく、お子さんに最適な選択肢を見つけるためには、多くの情報を集めて検討する必要があります。学校やフリースクール、地域の支援団体など、多くの機関が提供する情報を活用し、納得のいく判断をしてください。

そして最後に、「親自身が無理をしない」ということです。不登校は親子にとって非常に重いテーマですが、親が無理をするとその影響が家庭全体に広がります。時には信頼できる相談相手を見つけ、適切に頼ることも必要です。

フリースクールと再登校のどちらが良いかという問いに、明確な答えを出すのは難しいことです。しかし、重要なのはお子さんの気持ちに寄り添いながら、適切なサポートを選び取ることです。お子さんが今抱えている不安を少しずつ解消し、安心して社会の中で成長できるよう、保護者としてできることを考え続けてください。私もまた、不登校に悩むお子さんとその保護者の方々の力になれるよう、これからもサポートを続けていきたいと思います。


ToCo(トーコ)について

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不登校の上位原因とは?(2024年版)

不登校の上位原因2024年版の見出し画像

目次


私は児童心理司の藤原と申します。長年、不登校や引きこもりの問題に取り組み、多くの親子と向き合ってきました。今回の文では、2024年3月に文部科学省が発表した「不登校の要因分析に関する調査研究報告書」を基に、不登校の子どもたちがどのようなきっかけで学校に行きづらくなるのか、そのデータと考察を分かりやすくお伝えします。不登校に直面している親御さんが、子どもの状況をより深く理解するための一助となれば幸いです。

文部科学省の調査が示す「不登校の関連要因」

この調査では、不登校でない児童生徒本人(15,191 名)と、不登校の児童生徒本人(239 名)の回答ではどのような違いがみられるのか検討しました。

不登校でない児童生徒には「あなたは前の学年の1年間、学校や家で次のような時に、つらいと感じたことはありましたか。」と質問し、不登校の児童生徒には「あなたが最初に学校に行きづらい、休みたいと感じ始めたとき、学校や家で次のような時につらいと感じたことはありましたか。」と質問しました。それぞれの回答傾向は以下の通りです。

質問「次のようなときに、つらいと感じたことはありましたか?」不登校でない生徒不登校の生徒不登校関連度
入学、進級、 転校など7.00%24.90%4.4
からだの不調34.00%68.90%4.29
朝起きられない、 夜眠れない36.40%70.30%4.13
学校の決まりのこと (制服・給食・行事等)13.80%38.60%3.94
気持ちの落ち込み、いらいら49.20%76.50%3.35
先生と合わなかった14.30%35.90%3.35
仲の良い友だちがいない7.40%19.90%3.13
宿題ができない24.50%50.00%3.08
家での生活がかわった3.80%9.30%2.57
インターネット、ゲームの影響22.90%42.30%2.47
先生から厳しく怒られた、 体罰があった7.50%16.70%2.45
声や音がうるさい、いやなにおい23.70%40.30%2.17
いじめ被害15.00%26.20%2
親のこと(親と仲が悪いなど)15.90%27.30%1.99
いじめ以外の友人関係のトラブル16.60%24.80%1.66
授業が分からない35.40%47.00%1.62
学校とは違ったこと (遊び) をしたい22.00%30.30%1.54
※不登校関連度の推定は、ロジスティック回帰分析(単回帰分析)による。ここでの関連度は、値が大きいほど、不登校児童生徒において、より回答割合が高いことを示す。

以下では、その主なポイントをいくつか挙げて説明します。

1. 人間関係の問題

調査によると、子どもたちが学校に行きづらいと感じ始める大きな要因の一つに、人間関係の問題があります。以下の項目が特に不登校との関連が強いとされています。

  • 仲の良い友達がいない
    子どもたちにとって、学校生活の中で頼りになる「仲の良い友達」の存在は、非常に重要です。そのため、友達がいない、または孤立していると感じる状況は、学校への不安や居心地の悪さにつながります。この要因は、不登校の子どもたちが回答する割合が特に高いことが分かっています。
  • 先生と合わなかった
    担任や教科担当の先生との相性も大きな要因です。厳しく叱られたり、言動が冷たく感じられたりすると、子どもたちは「先生が怖い」「自分は認められていない」と感じやすくなります。特に、小学生よりも中学生でこの要因が目立つ傾向が見られます。
  • いじめや友人関係のトラブル
    教師回答では「いじめ被害」は不登校との関連が低く見られる一方で、子ども自身の回答では「いじめ」をきっかけに学校に行きづらくなったケースが多く報告されています。教師が把握しにくい部分であるため、特に注意が必要です。

2. 学校生活のストレス

学校そのもののルールや活動に起因するストレスも、不登校の大きな要因として挙げられています。

  • 宿題ができない
    宿題に取り組むこと自体が難しい、もしくは大量の宿題を前に「どうしていいかわからない」という状況は、子どもにとって大きな負担です。この要因は、不登校の子どもたちの回答割合が特に高い項目の一つでした。
  • 学校の決まりへの不適応(制服・給食・行事など)
    学校には、制服や行事など、集団生活ならではのルールが存在します。しかし、これらに対して違和感や不満を感じる子どもたちにとって、学校生活はストレスフルな環境となります。特に、感覚過敏のある子どもたちは、制服の素材感や給食のにおいなど、通常の環境が苦痛となることもあります。
  • 授業が分からない
    授業が理解できないことも、不登校の関連要因として挙げられています。この要因は教師の回答とも一致しており、子どもたちが感じる学習面でのストレスが、学校に行きたくない気持ちに直結するケースが多いことを示しています。

3. 心身の不調

心や体の健康状態も、不登校の大きなきっかけとなります。

  • 気持ちの落ち込みやイライラ
    子どもたちは、不安や抑うつ状態に陥ることで、学校に行きたくない気持ちを抱くことがあります。これらの心理的な要因は、不登校の関連性が非常に高いとされています。
  • 夜眠れない、朝起きられない
    生活リズムの乱れも、不登校の典型的な要因の一つです。夜更かしが習慣化することで朝起きられなくなり、遅刻や欠席が増えるという悪循環に陥ります。
  • 身体的な不調
    頭痛や腹痛、倦怠感など、身体的な不調を抱える子どもたちは、学校生活にストレスを感じやすくなります。これらの症状は、心の不調から来ている場合もあり、注意が必要です。

4. 生活環境や家族の影響

子どもの生活環境や家庭内での変化も、不登校の背景として挙げられています。

  • 入学・進級・転校
    新しい環境への適応は、多くの子どもたちにとって負担となります。不登校の子どもたちは、こうした大きな変化に対して不安を感じるケースが多いことがわかっています。
  • 家庭内の変化
    親子関係の不和や家族の状況の変化も、不登校のきっかけになる場合があります。例えば、親の離婚や転勤といった出来事は、子どもに大きな心理的負荷を与えます。

不登校の要因を「データから読み解く」

文部科学省の調査結果をさらに掘り下げると、不登校の要因が単独で存在するわけではなく、複数の要素が重なり合い、複雑に絡み合っていることが分かります。例えば、友人関係の問題を抱えた子どもが、同時に宿題や授業についてのストレスを感じているケースや、心身の不調が原因で学校に行けない状態が長引く中で友達との関係が希薄になっていくケースなどが挙げられます。この章では、具体的なデータの示す傾向を通じて、こうした相互作用について考察していきます。

人間関係の問題と不登校の関連性

調査では「仲の良い友達がいない」ことが不登校の重要な要因として挙げられています。この背景には、学校生活が子どもたちにとって「仲間と過ごす場」としての側面が強いことが挙げられます。学校では勉強や活動の場としての意味だけでなく、友人関係の中で自己肯定感を得る場でもあります。しかし、次のような状況が生じると、子どもたちはその場に居場所を見出せなくなります。

  1. 孤立感
    子どもが「自分だけ違う」「誰も自分を理解してくれない」と感じるようになると、その孤立感は学校生活全般に対する不安や拒絶感につながります。孤立感が強まる理由としては、いじめやクラスのグループに入れない状況、または性格的な特性(内向的で人付き合いが苦手など)が挙げられます。
  2. 不適応の悪循環
    孤立感が強まると、子どもは学校での振る舞いに自信を失い、ますます周囲と距離を取るようになります。その結果、友達と関係を築く機会が減り、不登校へと進む悪循環が生まれます。このような負の連鎖を早期に断ち切ることが重要です。

学校のルールと「一律の壁」

学校生活の中には、さまざまなルールや慣習があります。例えば、制服の着用、給食の時間割、運動会や文化祭といった学校行事などが挙げられます。しかし、調査ではこれらが不登校の原因になることが示されています。その背景には、「みんな同じであるべき」という一律主義が関係していると考えられます。

  1. 制服や給食に対する感覚過敏
    制服の素材やサイズが合わず、着用に強い不快感を抱く子どももいます。同様に、給食のにおいや味が苦手で、食事の時間が苦痛になるケースも見られます。こうした感覚過敏の問題は、周囲の大人が気づきにくい部分でありながら、子ども本人にとっては深刻なストレスとなります。
  2. 学校行事への適応困難
    運動会や文化祭などのイベントは、多くの子どもにとって楽しみな行事である一方で、大勢の人が集まる環境や、役割を果たさなければならないプレッシャーが苦痛となる子どもも少なくありません。特に内向的な性格や不安傾向を持つ子どもにとっては、これらの行事が「学校に行きたくない理由」となり得ます。
  3. 「みんな一緒」というプレッシャー
    学校では、一律に決められた行動や活動が求められる場面が多いですが、これが子どもに大きな負担となる場合があります。個々の子どもが抱える特性や苦手な分野が考慮されにくい環境では、「自分だけができていない」という劣等感を抱き、不登校のきっかけになることがあります。

心身の不調のデータが語ること

調査では「気持ちの落ち込みやイライラ」「夜眠れない・朝起きられない」といった心身の不調も不登校の大きな要因として挙げられています。これらの要因は、一見すると単なる体調不良や生活習慣の乱れに見えますが、その背景にはより深刻な問題が隠れていることが多いです。

  1. 心の健康問題
    気持ちの落ち込みやイライラは、子どもの心の健康状態が良くないことを示すサインです。不安や抑うつといった心理的な問題が、生活リズムの乱れや身体的な不調として現れるケースもあります。これらの問題は放置すると慢性化しやすく、早期の対応が必要です。
  2. 睡眠の問題
    夜眠れない、朝起きられないといった症状は、不規則な生活習慣や心理的ストレスが原因であることが多いです。また、スマートフォンやゲームの長時間使用が夜更かしの原因となる場合もあります。これが長期化すると、学校生活への復帰がさらに難しくなります。
  3. 身体的な症状の裏にあるもの
    頭痛や腹痛、倦怠感といった身体的な症状は、実際には心理的な要因によるストレス反応であることが少なくありません。親や教師が「体調が悪いだけ」と捉えてしまうと、子どもが抱える本当の問題を見逃してしまう可能性があります。

教師の視点と児童生徒の視点の食い違い

文部科学省の調査で特に注目すべき点は、教師の回答と児童生徒自身の回答が必ずしも一致していないことです。このギャップは、学校側が気づきにくい要因を親がどれだけ把握できるかにかかっています。

例えば、「いじめ被害」は児童生徒の回答では不登校の大きな要因として挙げられているにもかかわらず、教師の回答では関連が低く見られています。これに対して、「成績が下がった」という要因は教師の回答で関連が強いとされる一方で、児童生徒自身はそれを不登校の主因として捉えていません。これは、教師が目に見える変化(成績や出席状況など)に注目しやすい一方で、子どもたちが抱える内面的な問題や人間関係の問題には気づきにくいという現状を示しています。

不登校の多面性:データが浮き彫りにする実態

不登校は「サイン」の積み重ね

不登校は、ある日突然起きるものではなく、子どもの生活や心理状態に現れる「小さなサイン」が積み重なることで発生するケースが多いです。文部科学省の調査結果をもとに、どのようなサインが見逃されやすいのかを分析してみましょう。

  1. 微細な変化の累積
    例えば、「夜眠れない」「朝起きられない」という生活リズムの乱れは、多くの子どもたちに見られる一見平凡な問題のように思われるかもしれません。しかし、この背後には心身のストレスや心理的な圧迫感が隠れている場合があります。文部科学省の調査では、この生活リズムの問題が不登校の主要な要因の一つとして挙げられており、特に不登校の児童生徒の間で顕著に見られます。
  2. 初期兆候としての学習面のつまずき
    調査データによれば、「授業がわからない」と感じる子どもは、不登校のリスクが高い傾向があります。これは単に学力不足の問題ではなく、授業の進め方や学校でのフォロー体制が子どもに合わない場合に起きることが多いです。さらに、「宿題ができない」という要因も、不登校の子どもたちに多く見られる回答でした。これらの学習面での困難は、早期に適切なサポートがなければ、「自分は学校に向いていない」という自己否定的な考えを強める要因となります。
  3. 感覚過敏による学校生活の困難
    「制服の素材が肌に合わない」「給食のにおいがつらい」といった感覚過敏の問題は、調査の中で浮かび上がった見逃されやすい要因の一つです。これらの問題は、学校生活の一部として当然視されることが多く、周囲の大人が気づきにくい傾向があります。しかし、子ども本人にとっては、こうした小さな不快感が学校全体に対する嫌悪感や恐怖心に繋がることも少なくありません。

教師回答と児童生徒回答が示す異なる「視点」

文部科学省の調査で特に気づきがあるのは、教師と児童生徒が感じる不登校要因の違いです。以下に、それぞれの視点から見える要因を整理してみます。

  1. 教師が注目する要因
    教師回答で目立つのは、「成績が下がった」「進路に関わる不安や問題」など、学校生活の中で比較的測定しやすい要素です。これらは成績表や進路相談の場面で表出しやすく、教師が気づきやすい特徴でもあります。
  2. 児童生徒が感じる要因
    一方で、児童生徒の回答では、「いじめ」「友人関係のトラブル」「仲の良い友達がいない」など、主観的な人間関係の問題が大きな割合を占めています。また、感覚過敏や気持ちの落ち込みといった心理的な要因も教師回答より高い割合で挙げられており、これらが不登校に直結していることが示されています。
  3. 視点のギャップが引き起こす問題
    これらの視点の違いは、不登校の対応において重要な課題を浮き彫りにしています。教師は子どもたちの成績や出席状況を通じて不登校の兆候を把握しようとしますが、子ども自身が抱える内面的な問題や人間関係の悩みには気づきにくいのです。このギャップを埋めるためには、親や家庭での観察や聞き取りが極めて重要になります。

不登校要因の複合的な影響

調査データを通じて明らかになったのは、不登校の要因が互いに影響し合い、複合的な形で子どもに影響を及ぼすという点です。例えば、次のようなパターンが考えられます。

  1. 人間関係と心身の不調の連鎖
    「友達がいない」と感じる孤独感が、「気持ちの落ち込み」や「イライラ」へと発展し、それがさらに「朝起きられない」「夜眠れない」といった生活リズムの乱れを引き起こすことがあります。この連鎖が続くと、学校という場が全体的に苦痛な存在へと変わっていきます。
  2. 学習面の困難と自己肯定感の低下
    授業がわからない、宿題ができないといった学習面でのつまずきは、子どもが学校生活全般に対して自信を失う原因になります。これにより、学力面以外の部分、例えば友人関係や行事への参加意欲などにも悪影響を及ぼすことが少なくありません。
  3. 感覚過敏と人間関係の悪化
    感覚過敏を抱える子どもは、周囲にその特性を理解されないことで、孤立感を深める場合があります。例えば、給食が苦手で食べられない子どもが「好き嫌いが多い」と誤解されることで、友達や先生との関係が悪化することがあります。このように、一見小さな問題が他の領域にも波及することがあるのです。

調査が示す「早期発見」の重要性

調査結果は、不登校が単なる「学校に行かない」という問題ではなく、心身の不調や人間関係、学校生活のストレスなど、複数の要因が絡み合った結果であることを示しています。このため、早期に兆候を発見し、適切な対応を取ることが不登校の予防や改善において非常に重要です。

具体的には、以下のようなアプローチが有効と考えられます。

  • 生活リズムの変化に気づく
    子どもが朝起きられない、夜眠れないといった兆候が見られた場合、その背景に心理的なストレスや生活環境の変化がないかを探る必要があります。
  • 子どもの話を聞く姿勢
    子どもが感じているストレスや不安について話しやすい環境を家庭内で作ることが、問題の早期発見に繋がります。
  • 学校との連携を強化する
    学校と家庭が互いの情報を共有し合い、教師だけでは気づけない子どもの状況を把握することが大切です。

不登校の背景にある「目に見えない原因」

不登校を理解する上で重要なのは、文部科学省の調査が示すようなデータの背後にある「目に見えない原因」に目を向けることです。子どもたちが学校に行きづらくなる理由には、必ずしも明確に説明できるものばかりではありません。「友達がいない」「宿題ができない」などの表面的な要因の奥には、さらに深い心理的・環境的な要素が隠れていることがあります。

心の中の「小さな声」を見逃さない

調査で挙げられた「気持ちの落ち込みやイライラ」「夜眠れない」といった要因は、いずれも子どもたちが感じているストレスが体や心に影響を及ぼした結果です。しかし、多くの場合、子どもたちは自分の感情や状態をうまく言葉にすることができません。そのため、大人にとって「元気がない」「最近よく寝坊する」と見えるだけの行動が、実際には深刻な心理的負担を反映している場合があります。

例えば、子どもがこんな小さな声を心の中で発している可能性があります。

  • 「クラスで話せる人がいないから、行きたくない」
  • 「先生が嫌いだけど、それを言うのが怖い」
  • 「宿題ができない自分はダメな人間だと思う」
  • 「給食の時間が毎日つらくて耐えられない」

こうした内なる声に気づくためには、親としての「観察力」と「対話力」が欠かせません。子どもの行動に違和感を感じたとき、それを放置するのではなく、早い段階で関心を寄せることが不登校の予防や対応に繋がります。

感覚的な「違和感」の存在

また、調査で示された「感覚過敏」の要因は、不登校の理解において非常に重要です。例えば、給食のにおいが苦手な子どもにとって、毎日の昼休みが強いストレスになることがあります。また、制服が肌に合わず、それを着ること自体が苦痛になる場合もあります。こうした感覚的な違和感は、一見些細な問題に見えるかもしれませんが、子どもにとっては学校生活全般に対する不安や嫌悪感を引き起こす要因になり得ます。

不登校は子どもの「SOS」

不登校という状態は、子どもからの「助けてほしい」というサインであると考えることができます。文部科学省の調査が明らかにしたように、不登校の要因は多岐にわたり、その背景には子どもたちの複雑な心情が隠れています。ここでは、不登校を子どものSOSと捉えた場合の考察を深めます。

不登校の「初期サイン」をどう捉えるか

不登校に至るまでには、必ずいくつかの「初期サイン」があります。例えば、以下のような兆候は、不登校の初期段階としてよく見られるものです。

  • 学校に行く準備をするのが遅くなる、または嫌がる
  • 朝になると腹痛や頭痛を訴える
  • 宿題や学校の課題に取り組むのを嫌がる
  • 友達や先生の話題を避ける
  • 家でゲームやインターネットの時間が増える

これらの兆候を「怠けている」「やる気がない」と捉えるのではなく、子どもが何を感じ、何に困っているのかを掘り下げることが重要です。特に、文部科学省の調査が示したように「教師には見えにくい要因」に親が気づくことが、不登校を防ぐための鍵となります。

親ができること:サインに寄り添う

子どもが不登校になりかけている段階で、親がどのような姿勢で寄り添うかが、その後の経過に大きく影響します。調査で示された「友達がいない」「宿題ができない」「気持ちの落ち込み」といった要因に目を向け、次のような対応を意識することが大切です。

  • 子どもの話を遮らずに聞く
    子どもが話す内容が漠然としていたり、親から見て「些細なこと」に思える場合でも、それを否定せずに耳を傾けることが重要です。
  • 子どもの言葉に名前をつける
    例えば、子どもが「学校に行きたくない」と言った場合に、「それは先生が怖いから?それとも友達と話しにくいから?」といった具合に、問題を具体化する手助けをします。
  • 学校との連携を考える
    教師やスクールカウンセラーと連携し、子どもの状態を共有することが、不登校を長引かせないために有効です。

不登校データの理解を活かして

文部科学省の調査が示すデータは、不登校がいかに多様な要因によって引き起こされるかを明らかにしています。そして、それらの要因は、子ども一人ひとりによって異なる形で現れることも分かっています。この知識を基に、親としてできることを実践し、子どもが抱える問題を共に乗り越えていくことが大切です。

不登校は決して「終わり」ではなく、子どもの成長や家族関係を見直す「始まり」にもなり得ます。親がその事実を受け止め、柔軟に対応することで、子どもたちはまた一歩前に進む力を取り戻していくことでしょう。

今回の文部科学省の調査データを基にした考察が、少しでも不登校に悩む親御さんの助けとなれば幸いです。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

年間900名以上の再登校実績。カウンセラー推奨No.1の再登校支援サービスはToCo(トーコ)

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不登校が増え続けている3つの背景とは?

不登校が増え続けている3つの背景

目次


日本の小中学校で、不登校の児童生徒数が過去最多となったことが、今年の調査結果から明らかになりました。文部科学省の発表によると、小中学校での不登校児童生徒は346,482人に上り、全児童生徒の約3.7%を占めています。この数字は、前年から15.9%増加しており、不登校が社会全体で深刻化している現状を浮き彫りにしています。

私は、児童心理カウンセラーとして、日々不登校の子どもたちとその家族と向き合っています。不登校は、単なる「登校しない」という事象ではなく、その背後には多くの心理的・社会的要因が絡み合っています。見守るだけでは解決しない、不登校という問題に直面したとき、親御さんが理解し、対処すべき視点についてお伝えします。

この度、不登校が年々増え続ける事象について政府データを中心に調査を行い、分かったことは「教員不足」「女性の社会進出」「インターネットやゲームの普及」の3つの背景でした。


理由1. 教員不足がもたらす影響

不登校が増加し続ける背景には、学校現場での教員不足という重大な課題が横たわっています。文部科学省の最新データでは、2024年現在、全国の公立小中学校の教員充足率が低下していることが報告されています。特に、学級規模が大きい都市部や、教員の確保が難しい過疎地では、その影響が顕著です。加えて、臨時教員や非常勤講師に頼るケースも増え、学校現場の人材の質と安定性が揺らいでいる現状があります。

1. 教員不足の現実と現場への影響

教員不足により、現場では以下のような問題が生じています。

  • 学級経営の質の低下
    教員一人あたりが担う児童生徒数が増えることで、学級経営が行き届かなくなっています。児童生徒が個別に抱える問題や、学級内の対人関係のトラブルが見過ごされるケースが増えています。不登校に至る兆候が見られたとしても、教員が早期に気づき、適切なフォローを行うことが難しい状況です。
  • 心理的ケアの不足
    不登校の子どもたちの多くは、心の不安や抑うつを抱えています。文部科学省の調査では、不登校児童の約23.1%が不安や抑うつの相談を抱えていることがわかっています​。本来であれば、教員が日常的に声をかけたり、子どもの小さな変化に気づくことが重要です。しかし、教員が過剰な負担にさらされると、こうした心のケアをする余裕がなくなります。
  • 負担増による教員のメンタル不調
    教員自身も、業務量の増加や長時間労働によって疲弊しています。長時間労働が当たり前になり、教員のメンタル不調が増加していることが報告されています。こうした状況では、児童生徒の心理面や学力面でのサポートがおろそかになりがちです。

2. 教員不足の背景にある社会的要因

教員不足が深刻化している背景には、いくつかの社会的要因があります。

  • 若手教員の減少と高齢化
    教職はかつて「安定した職業」として人気がありましたが、昨今の過重労働や精神的負担の大きさから、教員を目指す若者が減少しています。また、すでに勤務している教員の高齢化も進み、現場では体力的に厳しい状況にある教員が多いことが課題となっています。
  • 待遇改善の遅れ
    教員の待遇や環境改善が他の職種と比べて進んでいない点も見逃せません。長時間労働に対する報酬が見合わないと感じる教員が多く、離職率が高まっています。
  • 制度的な問題
    教育政策の変遷により、学校現場には次々と新しい取り組みや課題が課されてきました。例えば、いじめや不登校対応、ICT教育の導入などは、現場の負担を増大させる一因です。教員が授業準備や児童生徒への直接対応に集中できる時間が減り、結果として問題を早期に察知しにくくなっています。

3. 教員不足が不登校に与える具体的な影響

不登校の増加と教員不足は密接に関連しています。ここでは、教員不足がどのように不登校に影響を与えるかを、具体例を交えて考察します。

特別な支援が必要な子どもたちへの配慮が欠ける
発達障害や情緒障害を抱える子どもたちにとって、適切な支援が得られないことは、不登校につながりやすい要因の一つです。こうした子どもたちは、通常よりも繊細なケアを必要としますが、教員が多忙な中で十分な配慮を行うことは難しくなっています。

「孤立」の兆候を見逃すリスク
ある不登校児童の事例では、学校で友人関係がうまくいかず、徐々に孤立していったものの、担任教員がそれに気づいたのは欠席が目立ち始めた後のことでした。本来であれば、児童が教室内で孤立感を覚え始めた段階で教員がフォローすることで、登校意欲を維持できた可能性がありました。しかし、教員が多忙を極める状況では、こうした微妙な変化を察知することが難しくなっています。

個別対応が不十分になる
不登校の要因は、一人ひとり異なります。「学業不振による自己肯定感の低下」「家庭内の問題」「いじめ」など、複雑な事情を抱える子どもたちに対し、個別に対応するには時間と労力が必要です。しかし、教員不足の現状では、児童生徒への個別対応が難しい状況が続いています。


理由2. 女性の社会進出と家庭環境の変化

近年、日本では女性の社会進出が目覚ましい進展を見せています。政府や企業による男女平等推進の取り組みや、女性の就業を支援する制度の拡充により、多くの女性が社会の第一線で活躍するようになりました。しかし、その一方で、家庭環境の変化が子どもたちに与える影響も少なからず指摘されています。不登校の増加も、こうした社会的変化と無関係ではありません。

1. 女性の社会進出と家庭環境の変化がもたらす影響

女性が職場で活躍する一方、家庭内の役割分担や子どもとの時間の過ごし方に変化が生じています。以下に、具体的な影響を挙げます。

  • 家庭でのコミュニケーション不足
    共働き世帯の増加により、子どもと親が一緒に過ごす時間が減少しています。厚生労働省の調査によると、共働き家庭は1980年代には約30%程度でしたが、2020年代には約70%を占めるようになっています。この背景には、女性の就労機会の拡大だけでなく、家計を支えるための現実的な必要性もあります。 しかしながら、親と子のコミュニケーション時間が減少すると、子どもが日常生活で抱える小さな不安や悩みが家庭内で解消されず、孤立感を深めてしまうことがあります。「お母さんに相談したいけど忙しそうで話しかけられない」といった声が、児童心理カウンセリングの現場でもしばしば聞かれます。
  • 家庭環境の変化によるストレスの増加
    親が仕事で多忙な場合、家庭での規則正しい生活リズムを維持することが難しくなりがちです。特に小学生や中学生といった成長過程の子どもたちにとって、家庭の安定感や安心感は、学校生活のストレスを軽減する大きな要素です。これが失われると、学校での人間関係や学業のプレッシャーが増幅され、不登校につながるリスクが高まります。

2. 不登校児童生徒に与える具体的な影響

家庭環境の変化が、子どもたちにどのような影響を与えているのか、不登校に至るまでの過程を実例で紹介します。

  • 「孤立感」との闘い
    子どもが不登校に至る一つの典型例として、「孤立感」が挙げられます。例えば、ある中学生の事例では、家庭内で親が仕事に追われており、放課後や休日も家族で過ごす時間がほとんどありませんでした。この子どもは学校でいじめに遭い始めましたが、家庭でその事実を話すことができず、次第に「誰にも理解されない」という感情を募らせました。その結果、学校生活への拒否感が強まり、不登校が長期化したのです。
  • 生活リズムの崩れ
    共働きの家庭では、どうしても子どもの生活リズムが乱れがちになる場合があります。親が帰宅する時間が遅くなることで、夕食の時間が遅れたり、夜更かしの習慣がついたりすることがあります。生活リズムの乱れは、不登校児童生徒の23.0%が抱える「朝起きられない」「昼夜逆転」といった問題を助長し、不登校の一因となることが調査からも明らかです。
  • 自己肯定感の低下
    忙しい親とのコミュニケーション不足により、子どもは「自分は親にとって重要ではないのでは」と感じることがあります。このような自己肯定感の低下は、学校での友人関係や学業への意欲にも影響を与え、不登校の背景要因となる可能性が高いです。

3. 女性の社会進出と家庭のバランスを取るために

女性の社会進出そのものは、決して否定されるべきものではありません。むしろ、社会の多様性を広げ、経済を活性化する大きな原動力となっています。しかしながら、子どもたちの健全な成長を守るためには、家庭と社会のバランスを取る工夫が必要です。

  • 家族の時間を確保する工夫
    たとえ短い時間でも、親が子どもとしっかり向き合うことが重要です。例えば、仕事から帰った後、子どもと一緒に夕食をとる、就寝前に今日あった出来事を話し合うといった習慣を取り入れるだけでも、子どもは「自分は大切にされている」と感じることができます。
  • パートナーシップの見直し
    子育てを母親一人に任せるのではなく、父親も積極的に家庭の役割を担うことが求められます。家事や育児の分担を進めることで、母親の負担を軽減し、家庭全体が安定した環境を維持することが可能となります。

4. 女性の社会進出と不登校問題の共存を目指して

女性の社会進出と不登校の問題は、どちらも現代日本が抱える重要なテーマです。一方を選ぶのではなく、両者が共存できる社会を目指すことが、私たちの目指すべき未来ではないでしょうか。

親が子どもにかけられる時間が少なくなったとしても、その分「質の高い時間」を共有することができます。親子のつながりを深め、子どもの不安を軽減する努力は、不登校予防に直結します。そして、家庭の中での「居場所」を強く感じられる子どもたちは、たとえ学校生活で困難に直面しても、その困難を乗り越える力を持つことができるのです。

家庭環境の変化を前向きに捉え、親が主体的に家庭と仕事のバランスを取る工夫をすること。それが、女性の社会進出と子どもたちの健全な成長を両立させる鍵となります。


参考:令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果より


理由3. インターネットやゲームの普及による影響

現代の子どもたちの生活において、インターネットやゲームは欠かせない存在となっています。一方で、それらの過剰な使用が子どもたちの心身や生活リズムに悪影響を及ぼし、不登校の原因の一つになり得ることが指摘されています。2024年現在の統計やカウンセリング現場での事例から、インターネットやゲームの普及が不登校にどのように影響しているかを詳しく考察します。


1. インターネットとゲームが子どもに与える影響

インターネットやゲームは、現代の子どもたちにとって重要な娯楽や情報収集の手段であり、時には学びのツールとしても活用されています。しかし、その便利さが裏目に出る場合も少なくありません。

  • 依存症への懸念
    日本小児科学会の報告によると、近年、ゲーム依存やインターネット依存の傾向が子どもたちの間で増加しています。依存症の兆候として、時間の管理ができなくなり、生活全体がインターネットやゲーム中心になってしまうケースが挙げられます。2024年現在、不登校児童生徒の中には、ネットやゲームに没頭することで現実から逃避し、学校に行けなくなるケースが増加しているとされています。
  • オンラインコミュニケーションによるストレス
    SNSやオンラインゲームでは、子どもたちが他者とつながる新たな方法を提供しますが、これが逆にストレスの原因となることもあります。例えば、「SNSでの友人関係のトラブル」や「オンラインゲーム内でのいじめ」など、ネット上での人間関係が原因で不登校に至る子どもも少なくありません。
  • 夜更かしや生活リズムの乱れ
    カウンセリング現場では、夜遅くまでゲームやインターネットを利用し、翌朝起きられないという相談が多く寄せられます。不登校児童生徒の23.0%が生活リズムの乱れを訴えていることからも、ネットやゲームの過剰な使用がその一因であることは明らかです。

2. ネットやゲームの普及が不登校につながるプロセス

インターネットやゲームの普及が不登校に至るまでのプロセスを具体的に見ていきます。

  • 逃避としてのデジタル依存
    学校でいじめや学業のプレッシャーに直面している子どもにとって、ネットやゲームは「逃げ場」として機能することがあります。例えば、学校で孤立感を覚える子どもが、オンラインゲームで「仮想の友人」と関わりながら安心感を得るケースがあります。しかし、それが長時間化すると現実世界との関わりが希薄になり、登校意欲を失うことが少なくありません。
  • ネット上の人間関係におけるトラブル
    SNSやオンラインゲームでは、リアルな学校生活以上に人間関係のトラブルが発生しやすい面があります。例えば、SNS上で仲間外れや誹謗中傷を受けた子どもが、現実の学校生活にも影響を及ぼし、不登校に至るケースが見られます。文部科学省の調査では、不登校児童の約13.3%が友人関係に関する問題を抱えていることが明らかになっています。
  • デジタルデバイスがもたらす孤立感
    スマートフォンやタブレットが普及したことで、家庭内での親子間のコミュニケーションが減少する傾向にあります。親が忙しい時間を埋める形で子どもがゲームやネットに没頭し、その結果、家族との絆が希薄になりがちです。このような孤立感が不登校につながることもあります。

3. 解決に向けた具体的な対策

インターネットやゲームの普及を完全に否定するのではなく、適切に管理し、子どもたちの生活に良い形で取り入れることが重要です。以下に具体的なアプローチを示します。

  • 時間管理のルールを設定する
    子どもがインターネットやゲームを利用する時間に制限を設けることは、不登校予防の第一歩です。例えば、平日は1時間、休日は2時間といった具体的なルールを親子で話し合い、納得の上で設定することが効果的です。また、就寝時間を決め、デバイスを夜間には使用できないようにするルールも推奨されます。
  • 親子間でデジタル利用を共有する
    子どもがどのようなゲームやSNSを利用しているかを親が把握することは、重要な対策です。一緒にゲームをプレイしたり、SNSの使い方について話し合ったりすることで、親子の絆を深めると同時に、子どもがトラブルに巻き込まれるリスクを軽減することができます。
  • 現実世界での居場所を作る
    子どもが現実世界で安心して過ごせる居場所を提供することも大切です。学校外の活動や趣味を通じて友人関係を築く機会を増やすことで、デジタル依存からの脱却を支援できます。地域のクラブ活動など、ネット以外での社会との接点を作ることが有効です。

4. デジタル時代における不登校問題の克服

インターネットやゲームが不登校の引き金になることもあれば、それらを活用して不登校児童を支援する手段になることもあります。例えば、オンライン授業やネットを活用したカウンセリングサービスは、子どもたちが学校とつながり続けるための有力な手段です。

しかし、親や教育者が目を光らせるべきなのは、子どもがネットやゲームを利用する「目的」と「時間」です。それが適切でない場合、デジタル環境が子どもを孤立させる原因となることを認識し、必要に応じてサポートを提供することが大切です。

デジタル時代の子どもたちにとって、インターネットやゲームは避けられない存在です。だからこそ、親や教育者がその影響を正しく理解し、子どもが健全に利用できる環境を整える努力が必要です。それが、不登校予防の大きな一歩となるのです。


結びに代えて:変わりゆく時代と不登校に向き合うために

不登校が過去最多を記録する現代、日本の教育環境と社会全体が、大きな変化の只中にあることを強く感じます。教員不足、女性の社会進出による家庭環境の変化、そしてインターネットやゲームの普及。これらの要因が複雑に絡み合い、子どもたちの生活や心にさまざまな影響を及ぼしています。

不登校は単なる「学校に行けない」という現象ではなく、時代を反映した社会全体の問題です。そしてその解決には、私たち大人一人ひとりが、子どもたちに何を与え、どのように寄り添うべきかを考え、行動することが求められます。

本稿で取り上げたように、不登校はその背景に多くの原因を含んでいます。教員不足による学校現場の負担増は、子どもたちの微細な変化に気づく機会を減少させています。女性の社会進出が進む中で、家庭環境が多忙化し、子どもたちが家庭で安心できる居場所を見つけられないことも問題の一因です。さらに、インターネットやゲームの普及による生活リズムの乱れやオンラインでの孤立感は、不登校を助長する要因となっています。

しかし、これらは同時に、私たちが解決策を考え、子どもたちの成長を支えるためのヒントを与えてくれる問題でもあります。社会全体でこれらの課題に向き合うことで、子どもたちが再び学校や社会とつながりを持てる環境をつくることができるはずです。

親御さんにできることは、必ずしも特別なことではありません。日常生活の中で、子どもの話を聞く時間を作り、子どもに「大切にされている」という感覚を与えることが何より重要です。家庭が子どもにとっての安全基地となれば、学校や社会との接点を再び持つ勇気が芽生えることもあります。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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不登校の現状とは?(文部科学省 2024年データから)

不登校の現状 文部科学省2024データ

目次


近年、日本の不登校問題はかつてない規模で拡大しており、2024年の最新データもその深刻さを示しています。不登校の増加傾向は11年連続で続いており、特に小中学校の不登校者数は過去最多を記録しています。また、学校に行かないという単なる「欠席」の枠を超え、子どもたちの心理的な健康や家庭のあり方など、深い要因が関与していることが明らかになりつつあります。本記事では、最新のデータを基に、保護者の方々が知っておくべき不登校の現状と背景について解説します。

1. 不登校の更なる増加

不登校児童生徒数の推移
文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、2023年度における小中学校の不登校児童生徒数は約34万6千人に達し、前年から約4万7千人増加しています。これは、在籍する児童生徒1000人あたり約37.2人が不登校であることを意味し、少子化が進む中で不登校率が増加し続けている現実を浮き彫りにしています。

このように、不登校は特定の子どもたちだけの問題ではなく、広範にわたる社会現象となっています。さらに注目すべきは、小学校からの不登校の増加が顕著である点です。小学校低学年でも早い段階で学校に適応できない子どもが増えており、これがその後の中学校、高校と続いていくケースが多く見られます。こうした背景には、学校生活への適応が難しい子どもたちが増え、そのまま中学校、高校へと進学する際に、さらに不登校が深刻化している現実があると考えられます。

2. 小中学校における不登校の状況

小・中学校における不登校の状況について
文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」
不登校児童生徒数と1,000人当たりの不登校児童生徒数
文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

データによると、不登校児童の割合は小学校で21.4人(1000人当たり)、中学校で67.1人に上っており、中学生の不登校率が非常に高いことが分かります。この数値は単に「学校に行かない」子どもが増えたというだけでなく、学校という場所に適応できない、またはその環境に魅力を感じられない子どもが増加していることを示しています。実際、「学校生活にやる気が出ない」「生活リズムが整わない」「不安や抑うつ感を訴える」といった相談が、不登校児童生徒についての調査で多く寄せられており、このような心の不調が根本にあることが確認されています。

3. 全国の不登校児童生徒数

全国1,000人当たりの不登校児童生徒数
文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

全国的に見ても、不登校の問題は地域差を伴って広がっており、特に都市部やその周辺地域で不登校率が高い傾向が見られます。各地域の教育委員会が対応策を講じていますが、根本的な改善には至っていないのが現状です。地域ごとの教育環境や家庭環境の違いが、不登校の原因の一因とも考えられています。また、都市部ではSNSやゲームなどのデジタル環境にアクセスしやすく、学校生活の中での人間関係が希薄になりがちであると指摘する声もあります。こうした背景が不登校率の上昇に影響している可能性もあると考えられます。

4. 不登校の要因

不登校児童生徒について把握した事実
文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

2023年度の調査では、不登校の背景にある具体的な要因として以下のような事実が挙げられています:

  • 学校生活への意欲の欠如:32.2%の不登校児童が「学校生活に対してやる気が出ない」と答えています。これにより、彼らが学校へ通うことの意義を見出せず、学習意欲や登校意欲が大きく損なわれていることがわかります。
  • 不安・抑うつの増加:23.1%が「不安や抑うつ」を訴えており、心理的な支援が必要とされていることが示唆されています。こうした子どもたちは、ただ休ませるだけでは根本的な解決にならず、心理的なケアが重要です。
  • 生活リズムの乱れ:23.0%が「生活リズムの乱れ」を理由に不登校となっており、夜更かしやゲーム依存などの影響も懸念されています。

これらのデータは、不登校が単なる「怠け」や「気の弱さ」ではない、多様な問題が重なり合っていることを示しています。上記の調査においても、「学校生活に対する意欲の欠如」や「生活リズムの乱れ」「不安・抑うつ」が報告されているように、心理的要因が大きなウェイトを占めています。これは、子どもたちが日常の生活や学業のプレッシャーを感じ、自己肯定感が低下していることを示唆しています。特に、友人関係の問題や成績不振など、学校での生活全般にわたって精神的な負担がかかっている子どもが多く見られます。

また、学校環境自体の変化も一因として挙げられます。教師の負担が増え、個別対応が難しくなっている状況では、学校側が子どもの心のケアに十分対応できないケースもあります。さらに、インターネットやSNSの普及によって、子どもたちが他者と比べやすくなり、そこから自己嫌悪や孤独感が生じることも指摘されています。子どもたちが本来持つべき「自分らしさ」や「自己肯定感」が損なわれ、不登校につながる例も多くなっているのです。

5. 不登校が家庭に与える影響

不登校問題は子どもだけでなく、家庭全体にも大きな影響を与えています。家庭内での摩擦や親子間のすれ違いが増えるといった声も多く、不登校の子どもを持つ親は、子どもが学校に行かないことへの不安や、周囲からの視線に悩むことが少なくありません。さらに、働く親が仕事を調整したり退職を余儀なくされたりするケースも見られ、経済的な負担や精神的なストレスが家庭にのしかかる状況です。

こうした家庭の変化は、親子関係にも大きく影響します。特に、不登校を「甘やかし」や「子どもの問題」と捉える親の場合、子どもの気持ちや状況を理解できず、結果的に親子のコミュニケーションが断絶する事態も少なくありません。

しかし、子どもが抱える問題に対する理解が進むことで、親が子どもと一緒に問題に向き合う姿勢が生まれ、家庭環境が改善に向かうこともあります。親が不登校の原因を理解し、柔軟に対応する姿勢を持つことが、子どもが安心して自分の悩みを話せる場作りの第一歩となるのです。

6. 不登校に対する学校と社会の支援

現在、不登校の子どもたちへの支援策は徐々に充実しています。教育現場では、学校外での学びの場やオンライン授業を提供する試みが行われ、子どもが家庭や別の場所から学べる選択肢が広がっています。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置も増え、心理的なサポートが得やすくなっています。これにより、子どもたちは学校以外の環境で自分のペースで学べる機会を持つことができるようになりました。

さらに、文部科学省は「学びの多様化」を掲げ、不登校の子どもたちが無理なく学べる環境作りに力を入れています。たとえば、「学びの多様化学校」や「COCOLOプラン」の展開により、不登校の子どもたちが学校外で学ぶ選択肢や支援体制を整備することが進められています。これにより、従来の学校教育にとらわれない学びの場が増え、子どもたちが社会とのつながりを持ちながら成長できる機会が広がっています。

7. 保護者が取るべき対応と心構え

不登校は子どもにとってつらい体験ですが、親にとっても大きな負担であり、どう対応すべきか悩むことも多いものです。ここで重要なのは、子どもを責めたり無理に登校させようとするのではなく、まずは子どもが何を感じているのか、どのような状況にあるのかを理解する姿勢です。特に、子どもが「なぜ学校に行きたくないのか」を話しやすい環境を作ることが大切です。

例えば、子どもが不安や抑うつを抱えている場合、無理に学校に戻そうとすることは逆効果になることが多く、子どもがさらなる心理的負担を感じる原因となります。逆に、学校に行かないことを選んだ子どもに対して、「別の形で学び続けることができる」「社会とつながる方法は他にもある」という視点を持つことが重要です。親が柔軟な姿勢で対応することで、子どもが自分のペースで自己を見つめ直し、次のステップに進むきっかけが生まれるのです。

また、保護者自身もサポートを受けることが重要です。不登校の問題に直面すると、親も孤独感や不安感を抱きがちですが、同じ悩みを持つ保護者が集まるサポートグループや専門家の相談を活用することで、気持ちが楽になり、冷静に対応できるようになることがあります。親が心の余裕を持つことで、子どもにもその安心感が伝わり、より良い親子関係を築く助けとなるでしょう。

9. 不登校の問題を社会全体でどう支えるか

不登校は、学校だけの問題でも親子だけの問題でもありません。社会全体で子どもたちが安心して学べる環境を構築することが必要です。たとえば、地域での支援体制を整えることや、学校外での学びの場を提供することなどがその一環です。さらに、近年は地方自治体でも不登校支援に積極的な取り組みが進んでおり、教育支援センターや地域の教育カウンセラーによる支援が充実しています。

これらの取り組みを効果的に活用することで、家庭だけでは解決が難しい問題にも、地域の力を借りながら取り組むことが可能です。子どもが学校外で学ぶことや、地域社会とのつながりを持つことは、自己肯定感の向上にもつながり、不登校解消の一助となるでしょう。

また、将来的には学校の役割や学びの在り方そのものを見直す必要もあります。固定的な学校教育の枠を超え、子どもたちが自らの個性や興味を活かして学べる柔軟な教育制度が求められています。社会全体で支援体制を整え、学校外での学びが「特別」ではなく、誰もが選べる一つの選択肢として位置づけられる社会を目指すことが、不登校解消の鍵となるでしょう。

10. 結論:不登校という現実と向き合うために

2024年の不登校に関する最新の状況は、私たちがこれまでの不登校への認識を見直し、より柔軟で多様な対応が求められていることを示しています。不登校は単なる「欠席」や「サボり」とは異なり、子どもたちが抱える多様な問題が複雑に絡み合った現象です。現代社会においては、こうした現実に対して無理に子どもを学校へ押し戻すのではなく、子どもの心の声に耳を傾け、彼らが自分のペースで学び、成長できる環境を整えることが最も重要です。

今後、学校や地域社会、家庭が一体となって、不登校という課題に取り組む姿勢が求められます。特に保護者は、子どもの行動を表面的に判断するのではなく、その背後にある心の状態や不安を理解し、寄り添う姿勢が必要です。そして、子どもが学校以外でも安心して学べる環境があることを示すことで、子どもたちが将来に向けて希望を持てる社会を築くことができます。不登校という現象が増加する中で、私たち大人ができることは、子どもたちが自分を信じ、自分らしい生き方を選択できる支援を惜しまないことです。

こうして、社会全体で「不登校」という課題に向き合う姿勢が広がることで、子どもたちが安心して自分の未来を築いていける道が開かれることを願っています。



ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
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不登校とは?

不登校とは

目次


はじめに:不登校が意味するもの

「不登校」という言葉が示す意味は、単なる学校への欠席ではありません。一般的には「怠け」「甘え」といったネガティブなイメージが付きまとうことが多いですが、これを単純にそう定義してしまうことは不登校の本質を見失わせます。現代の不登校は、子どもが自分の力で生き延びようとするための、ある種の「防衛行動」とも捉えるべきです。

文部科学省の定義によれば、「不登校児童生徒」とは、心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、年間30日以上学校に通えない、もしくは通いたくとも通えない状況にある者を指します。この定義が示すように、不登校の背景には、子どもが自らの意思で登校しない選択をしているのではなく、深い内的な葛藤や外的な要因があるのです。

1章:不登校の背景とその複雑化

不登校の背景には、多くの要因が絡み合っています。不安や恐怖、無気力、自己評価の低下、家庭環境、社会からの期待など、現代の不登校は一言では語り尽くせない複合的な要素を含んでいます。

情緒的な混乱

不登校の要因として、最も多いのが「情緒的混乱」です。これは子どもが学校に行きたい気持ちがあっても、学校に足を運ぶときに強い不安や恐怖感を覚えるという状態を指します。この不安の根底には、「友人関係のトラブル」「教師との相性」「学校内の環境」などが潜んでいることが多く、単なる「学校が嫌だ」という理由とは異なります。恐怖や不安といった感情が積み重なると、登校への意欲がどんどん削がれていきます。

無気力の増加

また、不登校の原因として「無気力」も重要な要因とされています。これは子どもが学校に対して興味や関心を失ってしまう状態を意味し、勉強への意欲や友人との交流に対しても無関心になります。こうした状態に陥る理由として、学業の遅れ、勉強に対する自己評価の低下、または未来への不安などが考えられます。無気力の裏には自己評価の低さが隠されており、「自分なんて」という思い込みが不登校を悪化させる要因となっているのです。

家庭や社会の影響

さらに、不登校の背景には家庭や社会の影響も大きく関わっています。家庭内の環境が安定していない場合や、保護者が過度に期待をかける場合、子どもはプレッシャーを感じてしまいます。特に、保護者による虐待や過干渉といった家庭内の問題は、不登校の要因として非常に大きな影響を与えます。加えて、社会が押し付ける競争の激しさや学歴重視の風潮も、子どもにとっての大きな負担となっています。

2章:不登校の継続とその課題

不登校の状態が長期化する問題は、学校側と家庭側の双方において重大な課題とされています。平成19年度の調査によると、不登校の状態が前年度から継続している児童生徒は全体の約半数にのぼり、その傾向は学年が上がるにつれて増加しています。

小学校における主な継続理由は「心」の悩み

不登校状態が継続している理由(小学校、30日以上欠席者)
(資料)文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

小学校においては、不登校が継続している理由として、「不安など情緒的混乱」と「無気力」が高い割合を占めており、不登校の解消には「心の問題」としての対応策が求められます。一方、「あそび・非行」「いじめ」「教職員との関係」などが挙げられる割合は低く出ています。

中学校における継続理由は多様化・複雑化

不登校状態が継続している理由(中学校、30日以上欠席者)
(資料)文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

小学校同様、「不安など情緒的混乱」と「無気力」が高い割合を占め、次いで「いじめを除く他の児童生徒との関係」が多くなっています。また、「あそび・非行」が約1割となり、小学校と比較して大きく増加していることがわかります。
このことから、中学校における不登校の解消には、「心の問題」に加えて、「人間関係づくり」や「非行防止」としての対応策も必要となります。さらに中学校は卒業後の進路選択の時期でもあり、将来の自立に向けた「進路の問題」として考える必要もあります。

小学校から中学校への移行期

小学校から中学校への移行期
(資料)文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

特に、小学校から中学校に進級する際に不登校率が急増するという現象があります。小学校6年生から中学校1年生への進級時には、不登校率が約3.1倍に増加するといわれています。この増加は、子どもが新しい環境に適応することに不安やストレスを感じているからに他なりません。小学校と中学校の環境差は大きく、学習内容の難易度も上がり、友人関係も一新されることから、これらの変化に適応できない子どもが不登校に至りやすくなるのです。

中学3年生と不登校の長期化

学年別にみる不登校継続割合
(資料)文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

さらに、中学3年生になると不登校が継続する率が62.9%に達し、これは他の学年よりも顕著に高い割合です。中学3年生は高校進学を控えた重要な時期であり、進路選択というプレッシャーが重くのしかかるため、不登校が長期化しやすくなります。この時期における不登校は、単なる学校生活の拒否にとどまらず、未来に対する不安や自己評価の低さが影響していると考えられます。

3章:不登校児童生徒への支援方法

不登校の解消には、単に学校に通わせることを目的とするのではなく、子どもが感じる不安や無気力の原因を見極め、適切に支援することが求められます。不登校に対する支援は、単に学校側からの働きかけにとどまらず、家庭や地域社会、さらには個別の特性に応じた柔軟な対応が必要です。

学校からのアプローチ

「指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒」に特に効果のあった学校の措置
(資料)文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

学校側が不登校児童生徒に対して行う支援方法としては、「家庭訪問」「電話連絡」「迎え入れ」などが一般的です。家庭訪問では、教師が家庭環境や生活面でのサポートを提供し、子どもが抱える問題を見つける手助けをします。また、電話や迎え入れといった直接的なアプローチも、不登校児童生徒に対する積極的な関わりとして効果があります。

家庭での支援

家庭でも、子どもが登校することを無理強いせず、安心して過ごせる環境を提供することが重要です。過度な期待や叱責は、子どもの心理的負担を増すだけで、不登校の解消に逆効果をもたらします。親は子どもに寄り添い、どのような選択肢があるかを冷静に話し合うことが必要です。不登校は一時的な現象ではなく、子どもの成長や将来の選択に関わる深い問題であることを理解しなければなりません。

地域社会と協力した支援

地域社会もまた、不登校児童生徒の支援において重要な役割を果たします。放課後の学習支援や居場所づくり、または心理カウンセラーによるサポートなど、地域社会が提供できる支援の幅は広がっています。不登校の子どもが家に閉じこもりがちな状況を改善するためには、地域での活動を通じて新しい交流の場を提供することが大切です。

結論:不登校は「甘え」ではなく「SOS」のサイン

不登校とは、子どもが感じる困難や苦痛が表面化した「SOS」のサインであるといえます。学校生活に適応できない、もしくは無理に適応しようとすることで心身に限界が来た結果が不登校として現れているのです。その原因は複雑で多様であり、単純な解決策を見つけることは困難ですが、不登校を解消するためには、子どもが心から安心して過ごせる環境を提供することが第一歩です。

不登校は、子どもにとって自らを守るための行動であり、社会がそのサインを見落としてはなりません。子どもが不登校という選択をした背景には、周囲に対する無言のメッセージが隠されていることを理解し、支援を続けることで子どもたちが再び学びと社会に希望を持てる未来を築くことができるのです。

参考文献

文部科学省 不登校の現状に関する認識
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/002.pdf

文部科学省 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm

国立教育政策研究所 不登校とは
https://www.nier.go.jp/shido/centerhp/1syu-kaitei/1syu-kaitei090330/1syu-kaitei.3futoko.pdf



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スマートフォン制限の是非

スマートフォン制限の是非:フランスのデジタルブレイク実験を通して

目次


子どものスマートフォン利用を制限すべきか否か。一つの参考となる取り組みが、フランスで国を挙げて進められています。

フランスでは、2018年に学校でのスマートフォン使用が禁止されました。これは、スマートフォンが引き起こすいじめやハラスメント、学力低下、そして心身の健康への悪影響といった問題に対処するための一つの試みでした。当初は、授業中のみの禁止でしたが、2024年、より厳格な規制へと移行し、一部の学校では、生徒が学校にスマートフォンを持ち込むことを全面的に禁止する「デジタルブレイク」が施行されました。

このフランスの取り組みは世界で大きな注目を集めました。その背景には、スマートフォンは現代社会において、コミュニケーションや情報収集に不可欠なツールであり、それを禁止することは、子どもたちの成長を妨げるのではないかという懸念があるからです。しかし、フランス政府は、スマートフォンの弊害を深刻に捉え、子どもたちの未来を守るために、あえてこの決断を下したのです。

「学校や大学での携帯電話の使用禁止とデジタルブレイク」

なぜ、フランスの学校はスマートフォンを禁止したのか

フランス政府が学校でのスマートフォン禁止を決めたのには、大きく3点の理由があります。

  1. 学力面:
    スマートフォンに気を取られて授業に集中できず、成績が伸び悩んでいる子どもが増えていました。いくつかの研究では、スマートフォンを禁止した学校に通う子どもたちの学力向上が見られました。これは、スマートフォンの誘惑から解放され、授業に集中できるようになったことが大きな要因と考えられます。
  2. 心身の健康への影響:
    長時間のスマートフォン使用は、睡眠不足や視力低下、さらにはうつ病などの精神的な問題を引き起こす可能性も指摘されています。また禁止により、友達と直接顔を合わせて遊ぶ時間が増えることで、コミュニケーション能力や協調性も高まることが期待できます。
  3. いじめやハラスメント:
    スマートフォンを使った誹謗中傷や陰口、さらには暴力的な動画の拡散など、子どもたちの間で深刻な問題となっていました。スマートフォンの利用を制限することによって、そのような悪意をぶつけられたり、発信する機会を大幅に減少することができます。またこれらの問題により増えていた不登校に歯止めをかけることも各学校で期待されています。

これらの問題を解決するために、フランス政府は学校でのスマートフォン使用を全面的に禁止し、子どもたちがスマートフォンから解放される時間を増やそうとしているのです。

参考:スマートフォンの各種研究

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

PISA調査とは?

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)は、経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに実施している国際的な学習到達度調査です。15歳を対象に、読解力、数学、科学の力を測ることで、各国の教育の質を比較することを目的としています。PISA調査は、単に知識の量を測るだけでなく、複雑な問題解決能力や批判的思考力など、21世紀型スキルと呼ばれる能力を評価する点に特徴があります。

スマートフォン使用時間と成績の関係

PISA調査の結果を分析した研究では、スマートフォンを頻繁に利用する生徒ほど、読解力や数学の成績が低い傾向があることが示されています。この結果は、多くの国で共通して見られる傾向であり、スマートフォン利用と学力との間に負の相関関係があることを示唆しています。

アメリカの青少年リスク行動調査(YRBS)

YRBS調査とは

アメリカの青少年リスク行動調査(Youth Risk Behavior Surveillance System, YRBS)は、米国疾病予防管理センター(CDC)が2年ごとに実施している大規模な調査です。12歳から18歳までの高校生を対象に、喫煙、飲酒、薬物使用、性的行動、暴力、うつ病、自殺念慮など、様々なリスク行動に関するデータを収集しています。YRBSは、アメリカの青少年の健康状態を把握し、予防対策を講じるために重要な情報源となっています。

スマートフォン使用時間と精神疾患の関係

YRBS調査の結果、スマートフォンを頻繁に使用する生徒は、うつ病や不安障害のリスクが高いということが繰り返し報告されています。この結果は、PISA調査と同様に、スマートフォン利用と精神的な健康状態との間に、ある程度の相関関係があることを示唆しています。

東北大学加齢医学研究所の調査結果

スマートフォンと学力

フランスに学ぶスマートフォンとの付き合い方

フランスはスマートフォンの中毒性や子どもの健全な生活への影響を専門家によって調査した上で、全面的な禁止を表明しています。
スマートフォンそのものは道具であり、制限することは子どもを信用しないことのように見えて抵抗があるかもしれません。
しかし治療にも使われる麻薬が個人には利用を制限されているように、「スマートフォンの持つ影響が思春期の子どもたちにどこまで強く影響するか」、を一度考えてみるべきではないでしょうか。

ただ、もし制限を検討する際はお子さんに理由も説明することを推奨します。ただ親の命令として禁止するのと、スマートフォンが子ども自身に与えるリスクを知った上でルールとして決めるのでは、納得感・遵守・持続性に大きな差が出ます。

そして親自身もその依存性に負けないことが、教育の観点からは大切になってきます。スマートフォンに向き合っている間は子どもの表情も見れず、目を見ての会話もできません。

スマートフォンは無くてはならないツールになりました。だからこそ、生活の中心とするのか、一部とするのか、その選択は子育てにおいて重要になります。

関連記事:小学生、中学生のスマホ制限・メリットとデメリット

関連記事:スマホ制限を子どもにどう伝えるか

関連記事:「親」のスマホ依存が与える子どもへの影響


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X(Twitter)停止が教えてくれたこととは?


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ブラジルの沈黙と、育まれる心の風景

ブラジルでは、ある出来事が人々の心に静かな波紋を広げていた。それは、X(旧ツイッター)という巨大な情報プラットフォームが、突如として国から姿を消した出来事である。

Xの停止は、ブラジル社会に大きな変化をもたらした。情報過多に疲れていた人々、特に子育て世代は、この変化をどう受け止めたのだろうか。

情報の洪水から解放された日常

Xのタイムラインは、常に新しい情報で溢れていた。政治、経済、エンタメ、そして無数の個人的な意見。それはまるで、巨大な情報の水流が絶え間なく私たちを押し流していたかのようだった。特に子育て中の親たちは、この情報洪水に翻弄されていた。

「〇〇が体に悪い」「△△の教育法が効果的」といった情報が、毎日のように飛び交う。それらの情報が正しいのか、それとも単なる噂なのか、判断に迷うことも多かった。情報過多は、親たちの不安を煽り、子育てに対する自信を揺るがす原因にもなっていた。

Xの停止は、そんな情報過多の状況に終止符を打った。かつて、スマホを手に取ると自然と開いていたXのアプリを開く動作がなくなった。代わりに、人々は目の前の子供たちの笑顔や、家族との会話に意識を向けるようになった。

対話の復活、そして心のつながり

Xのタイムラインでは、匿名性を盾に、誹謗中傷や炎上といったネガティブな情報が拡散されることも少なくなかった。それらの情報に接することで、人々は不安や怒りといったネガティブな感情を抱きやすくなっていた。

Xがなくなったことで、ブラジルの人々は直接対話をする機会が増えた。近所の人と立ち話をする、家族で食卓を囲んで語り合う、地域のコミュニティに参加する。これらの対話の中で、人は温かい言葉や共感に触れ、心の平安を取り戻すことができた。

特に、子育て中の親たちは、同じ境遇の親同士で悩みを共有したり、育児のヒントを交換し合ったりするようになった。オンラインコミュニティの匿名性とは異なり、顔が見える対話の中で、人はより深く互いを理解し、信頼関係を築くことができる。

デジタルデトックスがもたらす心の豊かさ

Xの停止は、いわば強制的なデジタルデトックスの時間となった。ブラジルの人々は、スマートフォンから離れ、自然の中に身を置く機会が増えた。子供たちと公園で遊ぶ、読書をする、趣味を楽しむ。これらの活動を通して、人々は心の余裕を取り戻し、創造性を育むことができた。

また、睡眠の質の向上も報告された。Xの通知に振り回されることなく、質の高い睡眠をとれるようになったことで、心身のリフレッシュにつながった。

子育てにおける変化

ブラジルのX停止は、子育てのあり方にもいくつかの影響を与えたと考えられる。

Xのタイムラインは、育児に関する情報で溢れていた。最新の育児法、子どもの発達段階、そして数えきれないほどの育児グッズの広告。これらの情報に日々触れることで、親たちは常に「正しい子育て」を求め、多大なプレッシャーを感じていた。

しかし、Xの停止によって、この情報過多の状況は一変する。育児に関する情報は、書籍や育児雑誌、あるいは地域のコミュニティなど、より信頼できる情報源から得られるようになった。親たちは、自分たちで情報を吟味し、自分の子育てに合った方法を選ぶことができるようになった。

対面コミュニケーションの復活

X上での育児コミュニティでは、匿名性を利用した誹謗中傷や、根拠のない情報が拡散されることも少なくなかった。これらに悩まされていた親たちは、Xの停止を機に、地域の親子教室や子育てサークルに参加するようになった。

対面でのコミュニケーションでは、匿名性はなく、お互いの顔を見ながら意見交換ができる。共感や励ましの言葉、そして具体的なアドバイスを直接受け取ることができることで、親たちは孤立感を解消し、子育ての喜びを共有できるようになった。

デジタルデバイスとの付き合い方

Xの停止は、親たちがデジタルデバイスとの付き合い方を見直すきっかけとなった。以前は、スマートフォンを手放せない状態だった親たちも、子どもとの時間を大切にするために、あえてデバイスの使用時間を制限するようになった。

その結果、子どもたちは親との触れ合いをより多く得ることができるようになり、親子関係が深まるという声も聞かれた。また、デジタルデバイスから離れることで、子どもたちは創造性を育み、読書や遊びなど、より多様な活動を楽しむようになった。

自然との触れ合いが増加

Xの利用時間が減るにつれて、親たちは子どもと一緒に自然の中へ出かける機会が増えた。公園で遊ぶ、近所の川で水遊びをする、キャンプに行くなど、自然の中で過ごす時間は、子どもたちの心身の発達に良い影響を与える。

自然の中で遊ぶことは、子どもたちの五感を刺激し、創造性を育むだけでなく、ストレスを軽減し、心の安定をもたらす。また、自然の中で様々な体験をすることで、子どもたちは生きる力や問題解決能力を身につけることができる。

未来への展望

Xの停止は、ブラジル社会に大きな変革をもたらした。それは、テクノロジーの進歩が必ずしも幸せをもたらすわけではないという事実を私たちに突きつけた。

この経験は、私たちにデジタルテクノロジーとの向き合い方を改めて考えさせる。テクノロジーは、便利で豊かな生活をもたらしてくれる一方で、私たちの心を蝕む可能性も孕んでいる。

大切なのは、テクノロジーを道具として使いこなし、自分にとって本当に必要な情報を選び取ることである。そして、テクノロジーに頼りすぎず、対話や体験を通して人間関係を築き、心の豊かさを育んでいくことである。

ブラジルの経験は、私たちに、テクノロジーと共存しながらも、人間としての心を大切にすることの重要性を教えてくれる。


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不登校という「選択」を考える 〜自分と子どもを責めないために〜

不登校という「選択」を考える

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「不登校は怠け」「逃げ」「問題児」――。長らくそう捉えられてきた不登校は、今、そのイメージを変えようとしています。学校に行かないことを「選択」と捉え、その背景にある多様な要因を理解しようとする動きが生まれてきました。

しかし、この「選択」という言葉は、多くの人に複雑な感情を呼び起こすでしょう。それは、社会が長年かけて築き上げてきた「学校は行くべきもの」という固定観念と、親の「子どもには学校に行ってほしい」という願いが深く根差していることが背景にあります。

不登校の背景にあるもの

まず前提として、不登校には様々な要因が複雑に絡み合っています。一概に特定の理由で説明できるものではなく、子ども一人ひとりの置かれている状況や心の状態によって、その背景は異なります。

学校に関連する要因

  • いじめ: 同級生からのいじめは、子どもたちに深い心の傷を与え、学校へ行くことを困難にします。
  • 人間関係の悩み: 友達との関係がうまくいかず、学校での居場所を見つけることができない。
  • 学業の困難さ: 授業についていけず、自信を失ってしまう。
  • 部活動やクラブ活動の負担: 部活動やクラブ活動での人間関係や成績のプレッシャーが原因となる。
  • 教師との関係: 教師との間に良好な関係を築くことができず、学校へ行くのが億劫になる。

家庭に関連する要因

  • 家庭環境の変化: 両親の離婚、家族の病気、経済的な困難など、家庭環境の変化が子どもたちの心に大きな影響を与え、学校生活に支障をきたすことがあります。
  • 親子の関係: 親とのコミュニケーションがうまくいかず、心の安定を得られない。
  • 過度な期待: 親から過度な期待をかけられ、それに応えられないことに苦しんでいる。

本人に関連する要因

  • 心の病: 抑うつ症、不安障害、ADHDなど、心の病が原因となる場合もあります。
  • 身体的な病気: 持病や慢性的な体調不良が、学校生活への意欲を低下させることがあります。
  • 性格的な要因: 内向的で人見知りな性格の子どもは、集団生活に適応するのが難しい場合があります。
  • 将来への不安: 進路や将来のことなど、漠然とした不安を抱えている。

社会的な要因

  • 多様な価値観への対応: 個性を尊重する風潮が高まる一方で、学校は画一的な教育を求めがちであり、子どもたちがそのギャップに苦しむ。
  • 情報過多: インターネットなどの情報過多が、子どもたちの心を不安定にし、現実逃避として学校を避けるようになる。
  • 競争社会: 学力や成績といった結果が重視される社会の中で、子どもたちが過度のプレッシャーを感じ、学校に行けなくなる。

これらの要因は、単独で現れることは少なく、複数の要因が複雑に絡み合って不登校を引き起こすことが一般的です。

不登校の原因を特定することは、子どもたちへの適切な支援を行う上で非常に重要です。しかし、原因が一つとは限らず、個人差も大きいことを理解しておく必要があります。

不登校は「問題」か「選択」か?

「不登校は問題だ」という考え方は、長らく一般的でした。しかし、近年では、多様な価値観が認められるようになり、この考え方も変化しつつあります。

学校は確かに、社会性を育み、知識を習得する上で重要な場所です。しかし、それが唯一の場所であるとは限りません。

学校に行かないことを「問題」と捉えるのではなく、「なぜ学校に行きたがらないのか」という問いを立て、その背景にある原因を探ることが重要です。もちろんその要因は子どもたち一人ひとりの状況によって異なり、複合的に絡み合っていることがあります。

そしてまた、学校に行かないことは必ずしも「問題」ではなく、成長の場を学校以外に求めたり、学校自体が負の環境であると判断した結果の「選択」である可能性も考えられます。

不登校によって子どもたちの成長に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。しかし、一概に「問題」と決めつけるのではなく、個々の状況に合わせて、適切な支援を行うことが大切です。

大切なのは、不登校になった子どもたちを責めるのではなく、彼らの置かれている状況を理解し、寄り添うことです。

不登校は逃げではない

「不登校は逃げだ」という言葉が、子どもたちの心にどれほどの痛みを与えるか、不用意に口にする人々は想像できているのでしょうか。彼らは決して無為に日々を過ごしているわけではありません。

学校という環境が、子どもたちの心の成長を阻害している可能性があることを、私たちは見過ごしてはなりません。過度な学力競争、人間関係の悩み、多様な価値観への不寛容など、様々な要因が、子どもたちを学校から遠ざけているのです。

このような状況下で、学校を「逃げる」ことは、自分を守るための最善の選択なのかもしれません。「逃げ」という言葉は、まるで子どもたちの選択に価値がないかのように聞こえます。しかし、彼らの決断には、必ず理由があるのです。

例えば、心の病との闘い、自己探求、新しい学びへの挑戦など、彼らは、決して怠けているわけではなく、自分自身と向き合い、より良い未来に向かって歩もうとしているのです。「逃げ」という言葉は、彼らの努力を否定し、自信を喪失させてしまう可能性があります。

私たち大人たちは、彼らの選択を尊重し、寄り添うことが大切です。「どうして?」ではなく、「どうしたの?」「何かあったの?」と、彼らの気持ちを尊重した言葉かけを心掛けることが大切です。

不登校の子どもたちは、決して劣っている子ではありません。ただ、少しだけ、周りの大人たちの助けが必要なだけなのです。

親の苦悩と社会の圧力

不登校の子どもを持つ親は、深い悩みを抱えています。周囲からの「なぜ学校に行かせないのか」「甘やかしている」といった言葉は、親の心を深く傷つけます。また、社会全体が「学校へ行くこと」を当たり前と捉えている風潮の中で、自分の子どもだけが違う道を歩んでいるように感じ、孤独感を抱くことも少なくありません。

親自身も、子どもが学校に行けないことで、将来を心配したり、自分の育児方法を責めたりすることがあります。さらに、親同士の交流の場でも、子どもが学校に行っていることを前提とした会話が多く、疎外感を感じることもあります。

社会の側も、不登校に対する理解が十分とは言えません。不登校の子どもを「問題児」とレッテル貼りしたり、不登校の原因を親の責任にしたりする風潮が見られます。

このような状況の中で、不登校の親は、様々な困難に直面します。

  • 情報不足: 不登校に関する正確な情報を得ることが難しく、何をすれば良いのかわからずに困っている。
  • 経済的な負担: 家庭教師やカウンセリングなど、子どもへの支援に多額の費用がかかる場合がある。
  • 精神的な負担: 子供の将来を案じ、常に不安を抱えている。
  • 周囲との関係: 親戚や友人、近所の人など、周囲との関係が悪化してしまうことがある。

不登校は、子どもだけでなく、家族全体への影響がある事象です。社会全体で、不登校に対する認識を改めて、親を追い詰めない意識を育てていくことが求められています。

多様な生き方を認める社会へ

不登校は日本だけでも30万人以上が該当している課題となっています。極端に特別な問従来の「学校へ行くことが当たり前」という価値観に捉われず、多様な生き方を認める社会へとシフトしていく必要があります。

不登校の子どもたちは、学校という枠組みの中で自分の居場所を見つけられずにいるのかもしれません。彼らの中には、学校以外の場所で自分の才能を開花させたり、社会に貢献したいという強い思いを持っている人もいます。

学校以外の学びの場として、オンライン学習や地域の活動、ボランティア活動など、様々な選択肢があります。また、自分自身と向き合い、興味のあることを深く掘り下げる時間も、彼らにとって貴重な経験となるでしょう。

学校も、画一的な教育ではなく、一人ひとりの子どもたちの個性や興味関心に合わせた多様な学びを提供するよう、教育方法を改革していく必要があります。

不登校の子どもたちを「問題児」とレッテル貼りするのではなく、彼らが持つ可能性を信じ、温かく見守ることが大切です。そして、彼らが自分らしく生きていけるような社会を築いていくことが、これから重要になっていくと言えるでしょう。

具体的に、どのような社会を目指すべきか、何点か方向性を提示します。

  • 多様な学びの機会の提供: 学校だけでなく、地域や家庭、オンラインなど、様々な場所で多様な学びの機会を提供する。
  • 不登校に関する情報提供: 不登校に関する正確な情報を広く発信し、理解を深める。
  • 相談窓口の充実: 不登校に関する相談窓口を充実させ、気軽に相談できる体制を整える。
  • 早期発見と早期介入: 不登校になりそうな兆候を早期に発見し、適切な支援を行う。
  • 偏見の解消: 不登校に対する偏見をなくし、多様な生き方を認める社会風土を醸成する。
  • 親の支援: 不登校の子どもを持つ親に対して、心理的な支援や情報提供を行う。
  • 学校と家庭の連携強化:学校と家庭が連携し、子どもたちの成長を共に支える。

最後に

私どもは不登校を解決するサービスを提供しているため、今回の主張は矛盾のように聞こえるかもしれません。しかし当社が大切にしていることは、「不登校を無理にでも解決する」のではなく「不登校を脱却したいと望む家庭を支援する」ことです。
そのため、色々と考慮された上で学校以外の道を選べる社会になることは賛同していますし、実際にお問い合わせをいただく中で再登校以外の選択肢を提示することもあります。

微力ではございますが、何か手助けできることがありそうでしたら、ぜひご相談ください。


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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AI学習塾”atama plus”の不登校児童との相性とは?


目次


近年、深刻化する社会問題となっている不登校。多くの子供たちが学習の機会を喪失し、将来への不安を抱えています。そんな状況の中で、AI技術を駆使した個別最適化型学習教材「atama plus」は、不登校児童の学習を力強くサポートする救世主として注目を集めています。

本稿では、atama plusの特徴と、不登校児童との高い相性を、専門的な視点から深く掘り下げていきます。さらに、国内外の教育機関や専門家の評価も踏まえ、atama plusが不登校児童の学習に与える具体的な効果と、社会復帰への道を照らす可能性について詳細に考察していきます。

1. atama plusの強み

1-1. 一人ひとりに寄り添う個別最適化学習

atama plus最大の特徴は、AIが一人ひとりの理解度や学習進度に合わせた個別最適化された学習プランを提供することです。従来の画一的な教育とは異なり、生徒一人ひとりのニーズに合わせた学習を可能にすることで、効率的な学習と学習意欲の向上を実現します。

具体的には、atama plusは以下の機能を通して、個別最適化された学習を実現します。

  • 学習履歴の分析:
    過去の学習履歴やテスト結果を分析し、生徒の理解度や苦手分野を把握します。
  • AIによる学習プラン作成:
    分析結果に基づいて、一人ひとりに最適な学習プランを作成します。
  • 理解度可視化:
    学習過程を可視化し、生徒自身が自分の理解度を把握できるように設計されています。
  • アダプティブラーニング:
    学習状況に応じて、学習内容や難易度を自動的に調整します。
  • マイクロラーニング:
    短時間で区切られた学習コンテンツを提供することで、集中力を維持しやすく、学習習慣の定着を促進します。

これらの機能により、atama plusは学校に行けない生徒でも、自宅で自分のペースで効率的に学習を進めることができます。

1-2. 理解度を可視化し、学習意欲を高める

atama plusは、単に問題を解かせるだけでなく、学習過程を可視化し、生徒自身が自分の理解度を把握できるように設計されています。これは、学習意欲を高め、主体的に学習に取り組む姿勢を育むのに役立ちます。

具体的には、atama plusは以下の機能を通して、理解度可視化を実現します。

  • 学習履歴の記録:
    学習履歴を記録し、生徒自身が振り返ることができるようにしています。
  • 理解度グラフ:
    理解度をグラフで表示し、学習の進捗状況を分かりやすく把握できるようにしています。
  • 正答率分析:
    正答率を分析し、苦手分野を特定できるようにしています。

これらの機能により、生徒は自分の理解度を客観的に把握することで、学習意欲を高め、主体的に学習に取り組むようになります。

1-3. 苦手単元克服への最短距離

atama plusは、AIが過去の学習履歴を分析し、苦手単元を効率的に克服できる学習プランを作成します。学校での授業についていけなかったり、理解が追いついていないと感じている生徒でも、自分に合ったペースで学習を進めることができます。

具体的には、atama plusは以下の機能を通して、苦手単元克服支援を実現します。

  • 苦手単元分析:
    過去の学習履歴から、苦手単元を特定します。
  • 苦手単元克服のための個別指導:
    苦手単元を克服するための個別指導コンテンツを提供します。
  • 段階的な学習:
    基礎から段階的に学習を進めることで、理解を深めることができます。

これらの機能により、atama plusは苦手単元克服を効率的に進めることができ、学習の遅れを取り戻すための強力なツールとなります。

2. 不登校生への学習機会の確保

インターネット環境さえあればどこでも利用できるatama plusは、不登校によって学習機会を失った生徒にとっても最適な教材です。自宅にいながら質の高い教育を受けられる環境を提供することで、学校への登校有無に依存しないキャリアアップへの道筋を支えます。

具体的には、atama plusは以下の点において、不登校生への学習機会の確保を実現します。

  • 場所を選ばない学習:
    インターネット環境さえあれば、自宅や病院など、どこでも学習することができます。
  • 自分のペースで学習:
    学校の授業とは異なり、自分のペースで学習を進めることができます。
  • 学習履歴の記録:
    学習履歴を記録することで、学習の進捗状況を把握することができます。

これらの点により、atama plusは不登校生が学習を継続し、社会での様々なキャリアを選択できるようになるためのサポート役となります。

3. NPOカタリバとの取り組み

atama plusは、NPOカタリバとの連携事業を通じて、不登校生徒等への無償提供を行っています。経済的な事情で学習機会を奪われていた生徒たちにも、atama plusを通して質の高い教育を受けられる機会を提供しています。

NPOカタリバは、10代を育むことを親と学校だけが背負う限界をなくし、社会全体で10代を育む新しい当たり前の必要性を訴え、全国に拠点を持つNPO法人です。atama plusとの連携事業では、不登校生徒等がatama plusを無料で利用できる環境を提供することで、学習機会の格差を是正し、すべての子供たちが質の高い教育を受けられるよう支援しています。

4.atama plusの料金

atama plusは、月額3,300円から利用できる教科ごと定額制の学習教材です。

料金プラン

atama plusには、以下の3つの料金プランがあります。

  • スタンダードプラン: 月額3,300円で、1つの教科を学習できます。
  • プレミアムプラン: 月額5,500円で、2つの教科を学習できます。
  • プラチナプラン: 月額8,800円で、3つの教科を学習できます。

オプション

atama plusには、以下のオプションサービスがあります。

  • 個別指導: 月額5,500円で、atama plus認定の講師による個別指導を受けることができます。
  • 学習進捗管理: 月額1,100円で、学習進捗状況を管理する機能を利用できます。

無料体験

atama plusは、2週間の無料体験を提供しています。無料体験期間中に、atama plusのすべての機能を無料で利用することができます。

5. 国内外の評価

atama plusは、国内だけでなく海外でも高い評価を得ています。

国内

文部科学省「未来の教室推進事業」採択教材
東京都教育委員会「都教委選定教材」選定
全国各地の教育委員会で導入実績

海外

米国教育専門誌「EdTechDigest」において、「最も革新的な学習教材の一つ」として評価
英国教育機関「EducationInvestor」において、「不登校児童の学習支援に効果的な教材」として紹介
インド、ベトナムなど、アジア諸国での導入実績

専門家の声

「atama plusは、不登校児童の学習ニーズに合致した画期的な教材です。個別最適化された学習プランや理解度可視化機能は、学習意欲を高め、主体的な学習を促進する効果が期待できます。また、苦手単元克服支援機能は、学習の遅れを取り戻すための強力なツールとなるでしょう。」

教育心理学者 佐藤教授

「atama plusは、従来の学習教材とは一線を画す画期的な教材です。AIを活用することで、一人ひとりの生徒に最適な学習を提供することができます。不登校児童にとっても、atama plusは学習意欲を高め、学習効果を向上させるための有効なツールとなるでしょう。」

学習塾経営者 田中氏

6. atama plusがもたらす不登校生徒の学力向上

不登校の生徒が学校に戻る際のハードルの一つが休んでいた分の勉強に追いつけるか、という不安です。
atama plusは、不登校児童が直面する学習課題を克服し、学習意欲を高めるための強力なツールとなりえます。個別最適化された学習プラン、理解度可視化、苦手単元克服支援など、自宅学習のニーズに合致した機能が満載です。atama plusは、不登校児童の学習も支援し、社会復帰への道を歩むための力強いサポート役となるでしょう。

参考資料

atama plus公式サイト:https://corp.atama.plus/
NPOカタリバ公式サイト:https://www.katariba.or.jp/
文部科学省「未来の教室推進事業」:https://www.learning-innovation.go.jp/


ToCo(トーコ)について

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不登校関連サービスの悪質業者の特徴とは?

不登校関連サービスの悪質業者の特徴と対策

目次


不登校はお子様にとってもご家族にとっても、心の葛藤や苦痛を伴う問題です。解決のためには、お子様の個性や状況に寄り添った最適なアプローチが不可欠です。

しかし消費者庁によると近年、不登校解決を謳い文句とする悪質なサービス業者が増加しており、多くの家庭が被害にあっています。本稿では、そのような業者の特徴と対策について紹介していきます。

不登校サービスの選び方

1. 不登校サービスの悪質業者の特徴

1.1 無料相談からの費用提示

 悪質な不登校解決のサービス業者は、巧みな言葉で親御様の不安につけ込み、高額な費用を請求します。特徴は、LINEなどの無料相談や無料セミナーで対面の機会を設け、「不登校の解決」という断ることで愛情不足に見えてしまうテーマを持ち出して申し込みに繋げさせる手法です。無料相談を行ったとしても、毅然とした態度で判断を保留する勇気が大切です。

また、Webサイト上で正確な費用を公開していないサービスは特に注意が必要です。

1.2 高額な費用を請求する

消費者庁に相談が上がる傾向から、目安としては20万円以上の費用を請求する業者は悪質な可能性が高くなります。

不登校は高額な費用を支払っても、効果が保証される訳ではありません。むしろ、お子様を心配する気持ちを悪質なサービス業者に利用されてしまう可能性があります。セールストークに惑わされず、冷静に判断することが重要です。

1.3 その場での契約を勧める

契約を急がしたり、強引な勧誘をする業者は要注意です。「この場で申し込めば割引します」「申込者が多数のため、今申し込まないとサービス提供が遅れてしまいます」といった発言があった場合、一層の冷静さが必要となります。

また、契約内容を明確に説明せずに曖昧なまま契約を迫る場合は、契約内容の説明を求め納得してから契約しましょう。

悪質なサービス業者は、巧みな言葉で親御様の不安につけ込み、高額な費用を請求します。上記のような特徴に当てはまる業者は、利用を控えることを強く推奨します。

2. サービス選びの前にすべきこと

不登校は、お子様にとって心の機微に大きく関連する問題です。解決には、お子様の個性や状況に寄り添ったアプローチが不可欠です。

2.1 子どもの状況を把握する

不登校には様々な要因があります。つい、学校に嫌なことがあって登校できないと思いがちですが、学校が嫌ではないけれど登校の気力が出ない場合や、親と離れたくない場合もあります。また学校が嫌だとしても、人間関係なのか、先生なのか、もしくは体育や人前での発表など、ストレスを感じる部分は人それぞれです。

お互いに辛いことではありますが、対話の機会を持つことは長い目で見ても大切です。

2.2 学校や地域の支援機関も検討

不登校解決サービス以外にも、学校や地域の支援機関など、様々な支援の選択肢があります。利用するかは別として、比較材料として把握しておくと最適な手段を選びやすくなります。

  • 学校の支援
    • 担任の先生やスクールカウンセラー
      • 個別面談やグループワークを通じて、心の悩みや学習の遅れなどを相談できます。
      • 学校生活への復帰をサポートする具体的なプランを一緒に立ててくれます。
    • 特別支援教育コーディネーター
      • 学習障害や発達障害など、特別な支援が必要な生徒に対して、適切な教育環境を整えるための相談に乗ります。
    • スクールソーシャルワーカー:
      • 家庭環境や経済的な問題など、生徒を取り巻く様々な状況に対応し、必要な支援につなげます。
  • 地域の支援機関
    • 教育相談センター
      • 不登校に関する専門的な相談に応じ、適切な支援機関を紹介します。
      • 学習支援や集団活動など、様々なプログラムを提供している場合があります。
    • 児童相談所
      • 子ども虐待やネグレクトなど、より深刻な問題を抱えている場合に相談できます。
      • 保護者の養育支援や、子どもの一時保護なども行っています。
    • NPO法人や民間団体
      • フリースクールや学習塾など、多様な選択肢があります。
      • 個々の生徒のニーズに合わせて、柔軟な支援を提供しています。

まずは学校を頼るのが、登校後を考えても良い結果に繋がる場合が多いです。ただ、どのような場合でも個別のサービス業者を単独の相談先として選ぶのは避けましょう。冷静な判断が難しくなります。

3. サービスの比較方法

サービス選びの際は、以下の点に焦点を当てて情報収集を行いましょう。

  • サービス内容:
    どのようなサポートを提供しているのか、具体的に確認しましょう。子どもとの面談はあるのか、親はどのような役割を果たせばいいのか、再登校に至らなかった場合はどのようなサポートがあるのか、などがポイントになります。
    最も大切なのは、お子様の現状の課題を解決できるサービスかどうか、です。「不登校を解決します」ということは簡単ですが、不登校は複雑な状態です。どのような子どもでも必ず成果を出す、と謳うサービスには、その根拠を確認しましょう。
  • 費用:
    サービス内容に見合った費用設定かどうか、複数のサービスを比較検討しましょう。無形のサービスのため適正価格が非常に見えにくく、判断は難しいと思います。
    そのため再登校を提供するサービスを横並びにすることで、ある程度水準が見えてきます。現状、再登校の支援は一式で10〜20万円程度が相場となっています。
    また、途中解約の返金について曖昧でトラブルになるケースが報告されていますので、この点も注意が必要です。
  • 実績、評判:
    過去の利用者の声や実績を確認しましょう。ただしサービスサイト自体の利用者の声は、再登校が成功した状態の評価であることや、架空の評価である可能性にも留意しましょう。ステルスマーケティングに注意しつつ、外部の口コミやレビューなども参考にしてみましょう。

4. サービスの決め方

不登校解決サービスの中には、数十万円もの高額な費用を請求するケースが目立ちます。確かに、専門性の高いサービスには高額な費用がかかる場合もありますが、必ずしも費用と効果が比例するわけではありません。

大切なのは、サービス提供者の言葉を鵜呑みにせず、常に客観的な視点を持つことです。専門家の意見は参考にしながらも、最終的な判断はご自身の責任で行うという意識を忘れずに、冷静かつ慎重に検討を進めましょう。

そのためには単純ですが、有効なテクニックがあります。申し込みの際は、必ず一晩以上、回答を保留しましょう。その場で回答することは決断力の表れかもしれませんが、気持ちの昂りに依らないで決断することで、将来的な後悔を減らしやすくなります。

不登校解決サービスを選ぶ際には、不安や焦りに付け込まれないように検討し、悪質な業者に騙されないよう注意することが大切です。

参考情報

子育てチャンネル
https://note.com/re_toko/n/n5ba3a435e358
専門家の相談窓口 文部科学省「不登校・長期欠席の児童生徒等を対象とした相談窓口」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121505/004.htm
文部科学省「不登校児童生徒等のための教育機会確保事業について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00001.htm
消費者庁「不登校・長期欠席の児童生徒等を対象とした不適切な勧誘・販売に注意!」https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2023/release20231004_01.html


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
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N高の特徴と不登校生との相性とは?


目次


近年、不登校の問題は社会的に大きな関心を集め、様々な取り組みが行われています。その中でも、近年注目を集めているのが「N高」と呼ばれる登校不要型の通信制高校です。N高は、従来の通信制高校とは異なり、独自のカリキュラムやサポート体制を構築することで、不登校生を含む様々な生徒のニーズに応えています。

本論では、N高の特徴と不登校生との相性について解説していきます。まずN高の特徴について説明します。

N高の特徴

N高は、株式会社角川ドワンゴが運営する独自のカリキュラムとサポート体制を持つ登校不要型の通信制高校です。2013年に開校以来、全国各地にキャンパスを展開しており、約3,000人の生徒が在籍しています。

N高には、不登校になりやすい生徒でも通いやすい特徴があります。具体的には以下の通りです。

  • 自分のペースで学習できる:N高では、登校の必要がなく、自宅や好きな場所で学習することができます。そのため、体調や気分に合わせて学習時間を調整することができ、自分のペースで学習を進めることができます。
  • 自分に合った学習内容を選択できる:N高では、生徒一人ひとりのニーズに合わせて、学習内容や進度を調整することができます。そのため、苦手科目を克服したり、得意科目をさらに伸ばしたりすることが可能です。
  • 様々な学習スタイルに対応している:N高では、オンライン授業、対面授業、イベントなど、様々な学習スタイルに対応しています。そのため、自分に合った学習スタイルを選択することができます。
  • 充実したサポート体制がある:N高では、学習面だけでなく、進路や生活面でも様々なサポートを受けることができます。そのため、安心して学習に取り組むことができます。
  • 多様なコミュニティがある:N高には、様々なバックグラウンドを持つ生徒が集まっており、互いに交流することができます。そのため、新しい友達を作ったり、自分の経験を共有したりすることができます。

N高のカリキュラム

N高のカリキュラムは、大きく分けて以下の3つの柱で構成されています。

  • コア科目:国語、数学、英語、理科、社会などの基礎的な科目を学習します。
  • 選択科目:自分の興味や進路に合わせて、様々な選択科目を選択することができます。
  • プロジェクト学習:グループワークやプレゼンテーションなどを通して、協調性や問題解決能力を育成します。

N高のカリキュラムは、生徒一人ひとりのニーズに合わせて柔軟に調整することができます。そのため、不登校生でも無理なく学習を進めることができます。

N高のサポート体制

N高では、学習面だけでなく、進路や生活面でも様々なサポートを受けることができます。具体的には以下の通りです。

学習面

  • 個別指導・質問対応: 生徒一人ひとりの理解度や進度に合わせて、個別指導や質問対応を受けることができます。わからないところを丁寧に教えてくれるので、安心して学習を進めることができます。
  • 学習計画の作成・進捗管理: 学習目標や学習計画の作成、学習進捗の管理など、学習に関する様々なサポートを受けることができます。自分のペースで学習を進めることができるので、無理なく学習を継続することができます。
  • 補習授業: 苦手科目を克服するための補習授業を受けることができます。少人数制の授業なので、理解しやすい環境で学習することができます。
  • 学習相談: 学習面での悩みや不安について、学習相談を受けることができます。経験豊富なスタッフが、親身になって相談に乗ってくれます。
  • 学習イベント: 学習に関する様々なイベントが開催されています。講演会やワークショップなど、楽しみながら学習することができます。

進路面

  • 進路相談: 進路に関する悩みや不安について、進路相談を受けることができます。進路指導の専門家が、一人ひとりに合った進路選択をサポートしてくれます。
  • 進路情報提供: 大学や就職に関する情報提供を受けることができます。最新の進路情報を提供しているので、自分に合った進路を見つけることができます。
  • 模擬試験・適性検査: 模擬試験や適性検査を受けることができます。自分の実力を把握し、進路選択に役立てることができます。
  • 就職・進学ガイダンス: 就職や進学に関するガイダンスを受けることができます。就職や進学に必要な書類の作成方法や面接対策など、様々なサポートを受けることができます。
  • キャリアイベント: キャリアに関する様々なイベントが開催されています。企業説明会や講演会など、将来のキャリアを考えるきっかけとなるイベントが豊富に開催されています。

生活面

  • カウンセリング: 生活面での悩みや不安について、カウンセリングを受けることができます。経験豊富なカウンセラーが、親身になって相談に乗ってくれます。
  • 生活相談: 生活に関する様々な相談を受けることができます。金銭面や人間関係など、生活に関する様々な悩みについて相談することができます。
  • 生活支援イベント: 生活に関する様々なイベントが開催されています。料理教室や防災訓練など、生活に役立つイベントが豊富に開催されています。
  • メンター制度: 生徒一人ひとりにメンターがつき、学習面だけでなく、進路や生活面でも様々なサポートを受けることができます。メンターは、生徒の良き相談相手であり、成長を支える存在です。
  • 生徒会活動: 生徒会活動を通して、リーダーシップや協調性を身につけることができます。生徒会活動は、将来社会で活躍するために必要なスキルを身につける貴重な機会です。

N高と不登校生が相性の良い理由

N高と不登校生が相性の良い理由は、主に以下の5つに挙げられます。

  • 登校の負担がない:不登校生にとって、登校することは大きな負担となるケースが多いです。N高は登校不要型であるため、登校の負担がなく、安心して学習に取り組むことができます。
  • 自分のペースで学習できる:不登校生は、体調や気分によって学習できる時間が限られている場合があります。N高では、自分のペースで学習できるため、無理なく学習を進めることができます。
  • 自分に合った学習内容を選択できる:不登校生は、従来の学校教育では苦手意識を持っていたり、興味を持てなかったりする科目がある場合があります。N高では、自分に合った学習内容を選択できるため、学習意欲を高めることができます。
  • 充実したサポート体制がある:不登校生は、学習面だけでなく、進路や生活面でも様々な悩みを抱えている場合があります。N高では、充実したサポート体制があるため、安心して学習に取り組むことができます。
  • 多様なコミュニティがある:不登校生は、孤独感を感じている場合が多いです。N高には、様々なバックグラウンドを持つ生徒が集まっており、互いに交流することができます。そのため、孤独感を解消し、新たな人間関係を築くことができます。

N高の卒業生の声

N高の充実したサポート体制と個別カリキュラムは、不登校生にとって大きな支えとなります。 以下は、N高で不登校経験を乗り越えた卒業生の声です。

1. 個別カリキュラムで苦手克服、自信を取り戻す

中学2年生の時に不登校になり、学校に行くことが怖くなりました。N高に入学してからは、自分のペースで学習できるようになり、苦手だった数学も克服することができました。個別カリキュラムのおかげで、自分に自信がつき、将来の夢である看護師を目指して勉強を頑張っています。(Aさん、女性、18歳)

2. 好きなことに集中できる環境で、夢への一歩を踏み出す

中学3年生の時にいじめをきっかけに不登校になりました。N高では、自分が好きなことに集中できる環境があり、イラスト制作に打ち込むことができました。先生や友達の支えもあり、将来はイラストレーターになるという夢に向かって一歩を踏み出すことができました。(Bさん、男性、19歳)

3. 多様なコミュニティで孤独感を解消、新たな人間関係を築く

小学5年生から不登校を続けていました。N高には、様々なバックグラウンドを持つ生徒が集まっており、互いに支え合いながら学習することができます。孤独感を解消し、新たな人間関係を築くことができたことで、精神的に安定し、将来の目標を見つけることができました。(Cさん、女性、17歳)

4. オンライン授業で登校の負担がなくなり、学習に集中

体調不良で学校に通うことが難しく、不登校になりました。N高にはオンライン授業があり、自宅で学習できるため、登校の負担がなくなり、安心して学習に集中することができました。先生や友達との交流もオンラインでできるので、孤独感を感じることもありませんでした。(Dさん、男性、16歳)

5. メンター制度で学習面だけでなく、進路や生活面でもサポート

不登校に加え、家庭環境にも悩みを抱えていました。N高のメンター制度のおかげで、学習面だけでなく、進路や生活面でも様々なサポートを受けることができ、安心して学習に取り組むことができました。メンターの存在は、私にとって大きな支えとなりました。(Eさん、女性、20歳)

N高は、不登校生一人ひとりのニーズに合わせたサポート体制と学習環境を提供しています。 上記の卒業生の声からもわかるように、N高は不登校生が自分らしく成長できる場所であり、夢に向かって歩むための力強いサポートを提供しています。

まとめ

N高は、登校不要型で個別カリキュラムや充実したサポート体制を持つ、不登校生にとって魅力的な学習環境を提供しています。N高と不登校生は、非常に相性が良く、多くの不登校生たちがN高での学習を通して、自信をつけ、自分の人生を切り拓いていっています。

従来の「登校ありき」の学校教育では、どうしても個々の生徒に合わせた対応が難しい面がありました。しかし、近年注目を集めているN高のような登校不要型の通信制高校は、時間や場所に縛られず、自分のペースで学習できる環境を提供することで、不登校生をはじめ、様々な事情を抱える生徒たちのニーズに応えています。N高の登場は、子どもたちの選択肢を大きく広げ、可能性を広げるものと言えるでしょう。
従来の学校教育では、どうしても画一的な教育になりがちでした。しかし、N高のような教育機関では、一人ひとりの個性や能力に合わせた個別カリキュラムや、多様な学習スタイルに対応した教育を提供することができます。

また、N高には、様々なバックグラウンドを持つ生徒が集まっており、互いに交流することができます。これは、生徒にとって貴重な経験となり、将来社会で活躍するために必要なスキルを身につけるための貴重な機会となります。

もちろん、N高が全ての生徒にとって最適な選択肢であるとは限りません。 しかし、N高のような教育機関が選択肢として存在することは、子どもたちにとって大きな意味を持つでしょう。

子どもたちの可能性を最大限に引き出すためには、多様な教育機関が必要不可欠です。 N高のような新しい教育機関の登場は、教育の未来に向けて非常に良い流れと言えるでしょう。

参考情報


ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

年間900名以上の再登校実績。カウンセラー推奨No.1の再登校支援サービスはToCo(トーコ)

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