スマホ制限を子どもにどう伝えるか

スマホ制限を子どもにどう伝えるか、を考える

序章:スマホとの付き合い方が子どもの未来を左右する

「スマホは便利な道具ですが、同時に子どもの健康や生活習慣、そして学びの基盤を大きく左右する存在でもあります」と言うと、多くの親御さんがうなずかれるでしょう。確かに、連絡手段や学習ツールとしてのメリットは計り知れません。しかし、スマホが子どもの生活に与える影響は、単なる便利さにとどまらず、深刻な問題を引き起こすことがあります。

私は、日々不登校や引きこもりの相談を受ける中で、スマホの過剰使用がその一因となっているケースを数多く目の当たりにしています。不登校の要因は複雑で、単一の原因で語ることはできませんが、「生活習慣の乱れ」や「昼夜逆転」のきっかけとしてスマホが大きく影響していることは明らかです。

この随筆では、スマホ制限をどのように子どもに伝え、実践すればよいのかについて考えます。特に、健康や学び、不登校との関連性を中心にお話ししながら、子どもからの反発にどう対応すればよいか、親としての適切なアプローチを提案していきます。


子どもの生活習慣と健康を守るための第一歩

まず、スマホの過剰使用がどのように生活習慣を乱すかを考えてみましょう。多くの子どもが、夜遅くまでスマホを操作することで睡眠時間が削られ、翌朝起きられない状態に陥っています。これが繰り返されると、昼夜逆転の生活が定着し、学校に行けないという結果を招くのです。

睡眠不足が子どもに与える影響は、単なる「眠い」という状態にとどまりません。注意力や集中力の低下、学習能力の減退、さらには免疫力の低下まで引き起こします。このような状況に陥れば、学校生活においてさらに困難を抱え、不登校へとつながる悪循環が始まります。

こうした問題を未然に防ぐためには、生活習慣の基盤をしっかりと築く必要があります。そのためには、スマホの使用時間を制限し、適切なルールを設けることが不可欠です。

スマホが引き起こす不登校の要因

不登校の相談を受ける中で、私はスマホが直接的または間接的な要因となるケースに何度も出会いました。

例えば、SNSでのトラブルやオンラインゲームの依存が原因で学校生活への意欲を失うケースが挙げられます。SNSは一見、友人とのつながりを強めるツールのように思えますが、同時に「誰かと比べる」「見えないプレッシャーを感じる」という負の側面を持っています。これにより、精神的なストレスを抱え込む子どもが少なくありません。

また、オンラインゲームは瞬間的な達成感を得られる一方で、長時間に及ぶプレイが学業や生活のリズムに悪影響を及ぼします。一度「ゲームの世界が居心地がいい」と感じてしまうと、現実の学校生活に戻るハードルがますます高くなります。

こうした状況に陥った場合、ただ「スマホをやめなさい」と叱るだけでは解決しません。むしろ、子どもを追い詰めてしまい、親子関係を悪化させる可能性さえあります。

子どもの反発を予測する

「どうしてスマホを使っちゃいけないの?」「友達とつながることは悪いことなの?」子どもは必ずと言っていいほど、こうした反発を口にするでしょう。特に思春期に差し掛かったお子さんは、自分の自由を侵害されたと感じ、感情的になることも珍しくありません。

子どもの反発にどう対応すればよいのでしょうか。それには、親が冷静さを保ち、子どもの心情を理解しながら対話を重ねることが大切です。子どもにとって「スマホ=友達との大切なつながり」となっている以上、親が一方的に「悪いからダメ」と決めつけても、納得させることは難しいのです。

この段階で重要なのは、制限の理由を具体的に伝えることです。「健康を守るため」「学校生活を大切にするため」という目的を子どもに理解させることが、スマホ制限を受け入れさせる鍵となります。


スマホ制限を実践するための具体策

前章では、スマホが子どもに及ぼす影響と反発への理解について触れました。この章では、実際にスマホ制限をどのように導入し、効果的に進めていくかについて具体的な方法をお伝えします。

1. ルール作りは親子で行う

スマホの利用を制限するためには、親が一方的にルールを押し付けるのではなく、子どもと一緒にルールを作ることが重要です。このプロセスを通じて、子ども自身が納得感を持ち、ルールを守りやすくなります。

具体的には、以下の手順を試してみてください。

  1. ゴールを共有する
    まず、「スマホの使い方を改善することで、健康的な生活を送る」「学校生活をスムーズに進める」という共通の目的を子どもと話し合います。子どもにとっても意味のあるゴールを見つけることで、協力的な姿勢を引き出すことができます。
  2. スマホの利用実態を把握する
    子どもが現在どのくらいスマホを使っているのか、どんなアプリやサービスを利用しているのかを一緒に確認します。これをベースに、無理のない範囲での制限を設定します。
  3. 具体的なルールを決める
    例えば以下のようなルールを話し合いながら決めていきます:
  • スマホを使っていい時間帯(例:20時以降は使用禁止)
  • 使用時間の上限(例:1日2時間まで)
  • 勉強や家族との時間を優先する条件(例:宿題が終わったら30分間使用可能)

ルールは「守らなければ罰がある」という形ではなく、「守ると何か良いことがある」というプラスの要素を盛り込むと効果的です。

2. ルールを実践するための工夫

ルールを決めたあと、次に重要なのはそれをいかに実践し、継続するかです。ここでは、実際に役立つ工夫をいくつかご紹介します。

1. スマホ管理アプリの活用
家庭用のスマホ管理アプリを活用することで、使用時間の制限や特定アプリのブロックを簡単に設定できます。これにより、「親が直接監視する」プレッシャーを軽減し、ルールを守りやすい環境を作ります。

2. スマホを使わない時間を楽しく過ごす代替案を用意
「スマホをやめなさい」ではなく、「スマホを使わない時間をこう過ごそう」と提案することがポイントです。家族での会話や外出、子どもが興味を持てる趣味を一緒に探してあげるとよいでしょう。

3. 親自身もルールを守る
子どもがスマホを制限されている中で、親が四六時中スマホをいじっている姿を見せると、「不公平だ」と感じてしまいます。親も「家族との時間はスマホを置く」といった行動を示すことで、子どもはルールに納得しやすくなります。

3. 子どもの反発にどう向き合うか

スマホの制限を導入すると、多くの子どもが「嫌だ」「なんで僕だけ?」と反発します。このとき、感情的に対応するのは避けなければなりません。

冷静に繰り返し理由を伝える
子どもはすぐに親の意図を理解できないことがあります。何度でも丁寧に、「健康を守るため」「生活習慣を整えるため」と伝え続けることが大切です。

反発を感情的に受け止めない
子どもが怒ったり泣いたりしても、それを否定するのではなく、「君がそう思うのもわかるよ」と共感を示します。そのうえで、「でもこのルールは必要なんだ」と一貫した姿勢を保つことが大事です。

柔軟性を持つ
ルールを完全に押し通すのではなく、子どもの状況に応じて調整する余地を残します。例えば、「テスト期間中は30分延長する」といった譲歩を示すことで、子どもも「親は自分を理解しようとしている」と感じられます。

スマホ制限について話し合う家族。

スマホ制限がもたらすメリット

ここまで、スマホ制限の必要性や具体的な方法についてお話ししましたが、それを実行することで子どもがどのようなメリットを得られるのかを考えてみましょう。これは、制限を嫌がる子どもに「やらされている感」ではなく、「やってよかった」と実感させるためにも重要なポイントです。

1. 健康的な生活リズムの回復

スマホ制限の最も大きな効果の一つは、睡眠時間が確保されることです。特に、夜遅くまでスマホを操作することで引き起こされていた「昼夜逆転」を解消できる可能性が高まります。

十分な睡眠は、子どもの身体と心に大きな恩恵をもたらします。例えば、朝起きられるようになることで学校に通う意欲がわき、生活にリズムが生まれます。また、睡眠によって学習に必要な脳の機能が回復し、集中力や記憶力も向上します。

一度健康的な生活リズムを取り戻すと、子ども自身がその快適さに気づき、「もう一度昼夜逆転の生活に戻りたい」とは思わなくなることが期待されます。

2. 学習や趣味に使える時間の増加

スマホを制限することで、それまで画面に費やしていた時間を別の活動に振り分けることができます。この時間を活用して、例えば以下のようなメリットが得られます:

  • 学業への集中
    スマホを触らない時間が増えることで、勉強に集中しやすくなります。多くの子どもが、スマホの通知やゲームの誘惑に負けて学習時間を削っていますが、それがなくなるだけで学業の成果に大きな変化が見られるでしょう。
  • 新しい趣味の発見
    スマホの代わりに、読書やスポーツ、音楽など新しい趣味を見つける機会が生まれます。特に、親子で楽しめる活動を取り入れることで、親子関係の強化にもつながります。
  • 自己肯定感の向上
    スマホ依存の状態では、子どもはゲームのスコアやSNSの「いいね」数で一喜一憂することがあります。しかし、それ以外の活動に時間を使うことで、他者に評価されることに頼らない自己肯定感を育むことができます。

3. 精神的な安定

スマホの過剰利用は、子どものメンタルヘルスにも影響を及ぼします。特にSNSにおいては、他人と自分を比較して落ち込む「SNS疲れ」や、メッセージにすぐ返信しなければならないプレッシャーが子どもに負担をかけています。

スマホを制限することで、これらのストレス要因が軽減されます。最初はスマホがないことで不安を感じるかもしれませんが、次第にその状態に慣れ、心の安定を取り戻すことができるでしょう。

また、スマホを使わない時間に親子の会話が増えることで、親が子どもの悩みを聞き出しやすくなり、不安や問題を早期に解決できる可能性も高まります。

要点必要な考えや行動
スマホ制限の重要性スマホの過剰使用は、生活習慣の乱れや健康被害、不登校の原因になり得る。
生活習慣の影響夜更かしや昼夜逆転は、集中力や免疫力の低下を招き、学校生活への支障を引き起こす。
スマホと不登校の関連SNSやゲーム依存は、現実逃避や学校へのストレス増加を引き起こすリスクがある。
反発への対応スマホ制限への反発は、自由の侵害と感じる子どもに多い反応。
ルール作りの方法子どもが納得するルールを作るには、親子での話し合いが必要不可欠。
親の姿勢と信頼関係子どもは親の行動を見て学ぶため、親自身のスマホ利用も見直す必要がある。

結び:スマホ制限は親子の絆を深めるチャンス

スマホの制限は、単に「子どもの行動を抑制する」ためのものではありません。むしろ、親子が共に成長し、新たな絆を築くための重要な機会だと考えるべきです。

多くの親御さんが、スマホの使い方を巡って子どもと衝突し、どうすれば良いか分からなくなることがあります。ですが、このプロセスを通じて、親は「子どもの心に寄り添う力」を養い、子どもは「ルールを守りながら自分をコントロールする力」を身につけていきます。こうした経験は、単なるスマホ制限を超えて、子どもが未来に向けて生きる上での基盤となるのです。

不登校予防としてのサードプレイス

はじめに

不登校や引きこもりの支援に携わる者として日々多くの親子と接している中で、ひとつ痛感することがあります。それは、子どもが自分の居場所を学校だけに限定してしまうと、その「唯一の場所」でうまくいかなかったときのダメージが大きいということです。学校に行けなくなった子どもたちは、家族との関係がぎこちなくなり、孤独感や無力感にさいなまれてしまいがちです。私自身も、子どもが不登校になり、その対応に悩んだ経験を持つ親として、その苦しさを身をもって理解しています。

ToCoでは子どもたちの不登校が続く原因を特定し、それに対処するアプローチを重視しています。ToCoの考え方は、「ただ見守るだけではなく、適切な対処が必要である」というものです。多くの親が「見守るしかない」と感じがちですが、不登校の本質的な解決にはそれ以上の支援が求められます。学校以外の「サードプレイス」、つまり塾や習い事などの居場所を子どもに持たせることで、不登校の予防や改善に大きな役割を果たすことができるのです。


不登校を防ぐための「サードプレイス」とは?

「サードプレイス」という言葉は、家庭(ファーストプレイス)や学校(セカンドプレイス)以外の第三の居場所を意味します。子どもが学校に行けなくなったときに、そこに代わる居場所としての「サードプレイス」は、非常に大きな意味を持ちます。学校では必ずしも評価されない個性や才能が評価される場であり、また学校での人間関係とは異なる価値観や生き方を学べる場でもあります。特に、塾や習い事など、勉強や趣味の分野で仲間と過ごせる場所は、子どもが「自分にもできることがある」という自己肯定感を持つ機会を増やします。

不登校になりやすい子どもたちの中には、学校において「自己肯定感の低さ」や「不安感」を抱えやすい傾向が見られます。学校での人間関係にうまくなじめないこともあれば、勉強や部活動でのプレッシャーに耐えられなくなってしまうこともあります。こうした背景の中で、塾や習い事といったサードプレイスが、その「逃げ場」としてだけでなく、「挑戦する場」としての役割を果たすのです。

また、サードプレイスに通うことで、子どもたちは異なる価値観を持つ大人や仲間と触れ合い、「学校以外にも多様な世界がある」と実感できるようになります。これは将来、社会に出たときに非常に大きな財産となります。つまり、サードプレイスは、不登校予防だけでなく、子どもの人間的成長や生きる力の育成にも寄与するのです。


学校だけが「唯一の世界」になることの危険性

親としては、学校でうまくやってほしい、そこに適応してほしいという思いが強くなるものです。しかし、学校だけを「唯一の世界」として子どもに受け入れさせてしまうと、そこでうまくいかなかったときに子どもが感じる失望感や挫折感は計り知れません。学校でつまずいた子どもたちは、他に居場所がなければ、孤独感に押しつぶされてしまうのです。

子どもが学校に行けなくなると、家庭での関係も悪化しやすくなります。子どもが部屋に閉じこもってしまい、親との会話が減り、お互いに気を遣いすぎて本音で話すことができなくなってしまう家庭は少なくありません。こうした状況が続くと、子どもはますます「自分はダメな存在だ」という自己否定感に陥り、不登校が長引く原因にもなりかねません。

そのため、家庭や学校以外に「居場所」を確保することは、不登校予防において極めて重要です。学校に居場所を見つけられない子どもたちにとって、サードプレイスは救いの手となりうるのです。

親ができること:サードプレイスの選択と支援

サードプレイスの確保にあたっては、親が適切な選択を行い、子どもが安心して通えるよう支援することが重要です。例えば、塾や習い事など、子どもの興味や関心を引き出せる場所を見つけることが大切です。勉強に対する興味がある場合は学習塾、スポーツに興味がある場合は地域のスポーツクラブといった具合に、子どもが自然とその場に行きたいと思える場所を見つけてあげましょう。

もちろん、サードプレイスに通わせることが万能な解決策ではありません。場合によっては、家庭や学校との連携が必要になることもあります。特に不登校が続いている場合、家庭内での支援だけでは解決が難しいことも多々あります。私たちToCoでは、不登校が続く要因を特定し、それに対する具体的な対処方法を親とともに考え、実践的な支援を提供しています。不登校の本質的な解決には、こうした専門的なアプローチが欠かせません。


ToCoの再登校支援サービスが目指すもの

ToCoの再登校支援サービスは、不登校の要因を明確にし、子ども一人ひとりに合った解決方法を見つけ出すことを重視しています。多くの家庭では、「いつかまた学校に行けるように」と見守ることしかできない状況に陥りがちですが、見守るだけでは不登校の状態は長引きやすいのです。

ToCoの支援では、不登校になった「きっかけ」ではなく、不登校が続いてしまう「要因」に目を向け、そこに適切な対処を行います。これは、従来のカウンセリングとは異なるアプローチです。具体的には、認知行動療法を用いた再登校支援プログラムを通じて、子どもが抱える不安や課題に対処し、自ら解決できる力を養います。また、AIを活用した診断により、個々の子どもに最適な対処法を提供しています。このようにして、子どもが自立し、自分の力で不登校の問題を乗り越えていける環境を整えることができるのです。


学校外の「居場所」が子どもの成長に果たす役割

サードプレイスは、子どもがさまざまな価値観や考え方に触れることができる場です。学校という単一の環境に留まると、どうしても同じような価値観に染まりがちですが、塾や習い事で出会う他の大人や子どもたちとの交流は、柔軟な視点と自己肯定感を育てます。特に、子どもが自分の興味を活かし、安心して試行錯誤できる場所があることで、「ここでなら自分らしくいられる」という自信が芽生えるのです。

実際、学校に行けなくなった子どもたちがサードプレイスに通い始めると、自分に自信を持てるようになることが多く、再登校へのステップとして大きな助けになることがよくあります。これは、不登校になりやすい子どもたちが持つ「自己否定感」や「他者からの評価への過度な不安感」に対して、サードプレイスが心理的な安定を与えてくれるためです。

学校以外の世界を知ることの利点

親として、子どもが学校で勉強し、成長してほしいと思うのは自然なことです。しかし、学校だけにすべての成長が依存してしまうと、子どもは社会に出たときに「学校以外の価値観」に戸惑うことになります。サードプレイスでは、多様な価値観や異なる生活様式を学ぶことができ、将来の多様な人間関係や職場環境に適応する力を養うことができます。学校だけでは学べない社会性や生き抜く力が、こうした場で自然と身につくのです。

また、サードプレイスを通じて出会う大人たちは、学校の先生とは異なる視点で子どもを見てくれます。塾の講師や習い事の指導者は、子どもの学力やスキルに注目するだけでなく、時にはその「人間性」を尊重し、異なる角度からのサポートを提供します。これは、子どもにとって「自分は見守られている」「自分は認められている」と感じられる貴重な体験です。


結論

学校での学びと成長は確かに重要ですが、子どもにとっての「唯一の世界」が学校であることは危険です。サードプレイスとしての塾や習い事を通じて、多様な価値観や新しい挑戦を経験することは、不登校予防に大きな効果をもたらします。そして、必要であれば、ToCoの再登校支援サービスなどを活用し、専門的なサポートを受けることで、子どもが自分の力で未来を切り開いていけるよう手助けしましょう。

自分の子どもが学校を休んだ日の対応

先日、私の小学生の子どもが風邪で学校を休みました。最初の日は単純に体調不良でしたが、翌朝になると別の問題が浮上しました。「昨日ズル休みしたと思われているかも…」と、子どもが再び登校を渋りだしたのです。私は、普段から不登校や引きこもりの支援に携わる仕事柄、この小さな躊躇が「不登校の芽」になる可能性もあると感じました。実際、不登校の多くは些細なきっかけから始まることが少なくありません。

今回、この経験から親としても専門家としても学び得たことを、皆さまにお伝えしたいと思います。

1. 「ズル休みしたと思われたくない」その小さな不安

小学生の子どもにとって、クラスの同調圧力や「ズル休み」への周囲の評価は意外と大きな負担になります。特に「周りと同じであること」に敏感な年代のため、「自分だけ違う行動を取った」という事実が翌日以降の登校に対するハードルになりやすいのです。

子どもが「ズル休み」と見なされることに不安を抱く姿を目の当たりにした時、私はこの小さな不安が、将来的な不登校のリスク要因になると直感しました。私が勤めるToCo株式会社でも、「見守るだけ」ではその不安が消えず、不登校が固定化されるケースが多いことが分かっています。問題を早期に見極め、適切な対処をすることが大切です。

2. 思い悩んだ末の「1日休ませる」という選択

子どもの不安を取り除くためには、どうしたら良いかと悩みました。ここで私がとったのは、担任の先生と相談して、あえてもう1日休ませるという選択でした。最初は「学校に行きたくないから」と休ませてしまうと、これが一度きりでは済まなくなり、繰り返しになってしまうのではないかと心配しました。しかし、そのまま無理に登校させて、子どもが負のイメージを抱えたまま学校に行くのも逆効果です。

この選択が正しかったかどうか、私は自信を持って選択したわけではありません。しかし、親として「今の気持ちを尊重するけれども、学校から完全に逃げるわけではない」という中立的なスタンスを保つことを大切にしました。最初から簡単に休ませるとズルズルと不登校につながりやすくなりますが、今の気持ちを尊重することで、子どもも安心できる面があります。

3. 勉強することを条件に「休み=楽しい」を防ぐ

不登校の問題に関してToCoでは、休んだ際の「時間の過ごし方」に注目しています。休むといっても、完全に「自由」や「楽しい時間」にしてしまうと、「学校に行かない=好きなことができる」という認識を子どもが持ってしまう危険があります。

そこで、子どもに「病気ではないから学校と同じように勉強すること」を約束させました。具体的には、私がリモートワークをしているリビングで、隣に子どもが座り、宿題や学習ドリルを進めるようにしました。こうすることで、「学校に行く代わりにリビングで勉強する」というスタンスを取りつつ、子どもが「休み=楽しい時間」と誤解しないようにしました。これは個人的に「マシダ作戦」(≒これなら学校に行ったほうがマシダ)と名付けています。

子どもはリビングで私と一緒に机に向かい、意外と楽しそうに勉強をしていました。子どもが集中できる環境を保ち、少しでもリズムが崩れないように心がけました。このように、「休み=楽しい」という誤った認識を防ぐことが、再び学校へ戻るための小さな一歩であることを実感しました。

4. 次の日

翌朝になると、子どもは再び明るい顔で「学校に行ってくる!」と言って登校していきました。この瞬間、私はホッと胸を撫で下ろしつつ、「やはり見守るだけではなく、適切な対応が必要なのだ」ということを再確認しました。

「部屋に閉じこもらせず、リビングで勉強させる」という工夫で、「学校を休んだら家でのんびりできる」という感覚を防ぐことができました。ToCoで働く中で、こういったちょっとしたサポートが将来的な不登校リスクを減らすことに繋がると確信しています。

5. 「休む日」にもルールを作ることの重要性

今回の経験を通して改めて感じたのは、家庭での「休む日」のルールづくりの重要性です。たとえば、子どもが休んだ日は、好きなテレビを見たりゲームをしたりする時間を設けない、もしくは厳しく制限するというルールです。これにより、「学校を休むと楽しいことができる」という印象を持たせないようにします。私の場合も、子どもに「風邪は治ったけど、今日も家で勉強すること」を条件に一日を過ごしました。このような規律を家庭内で守ることで、日常のルーチンから大きく外れることなく、学校へ戻ることへの抵抗感を少しでも減らすことができたと思います。

一方で、休んだ日だからこそ少しだけ楽しい活動も入れる工夫もしました。昼食後に一緒に軽い散歩に出かけることで、自然と気分転換を図れるようにしました。このような活動は短時間で抑えつつ、「休む日も単なる遊びの時間ではない」というバランスをとることで、子どもの気持ちを落ち着けるのに役立ったのです。

6. 周囲のサポートも大切

休みが続くことで、子ども自身も「どうして自分だけが学校に行けないのだろう」と自責の念を抱きがちです。また、親としても、「自分の対応が間違っているのではないか」という不安に駆られることもあります。こういったときに、学校の先生や第三者のサポートを積極的に頼ることが重要です。私も今回のケースでは、子どもにとっての居心地の良さを第一に考えつつ、学校側の先生に相談しました。担任の先生から「もう一日休ませても構いませんよ」と言われたことで、私自身も心が軽くなり、冷静に対処できるようになりました。

学校だけでなく、同じ悩みを抱える親同士のコミュニティも心強いサポートになります。子どもが学校に通えない日々が続いたとしても、「親として、どうにかできる」という自信が少しでも持てるようなサポートを受けることが大切だと考えます。

7. 不登校の予防と家庭の対応力を高めるために

今回の一件は、にとって多くの学びをもたらしてくれました。不登校はある日突然始まるわけではありません。子どもの小さな「不安」や「気持ちの変化」を早期に察知し、親として適切に対処することで、不登校を防ぐ可能性が高まります。しかし、こうした対応は決して一筋縄ではいきません。

子どもが学校を休みたいと言い出した時、その原因がわからないと親として戸惑います。しかし、親としてできることは、「休みたい」という子どもの気持ちに共感しつつも、家庭内でしっかりとしたルールを設け、家庭と学校の両方で「一貫したメッセージ」を示すことだと痛感しました。そしてその過程で、子どもが一人で不安を抱えないように寄り添うことも重要です。

親子の絆は、こうした悩みの瞬間にこそ深まります。親が自分の気持ちを尊重しながら適切に対応してくれることがわかれば、子どもも安心して自分の気持ちを正直に伝えることができるようになります。長い目で見れば、こうした絆の積み重ねが、子どもが学校での問題や社会生活の中で困難に直面した際の心の支えとなり、自己肯定感を育てる礎になります。

家庭でできる対応を実行しながら、必要に応じて支援サービスを利用することは逃げではありません。専門家が不登校の要因を分析し、再登校へのプランを立ててくれることで、親も「見守るだけでいいのか」「どのようにサポートすべきか」といった迷いを解消しやすくなります。ToCoでは、不登校支援のエキスパートが各家庭に合わせたアドバイスを行い、親御さんが子どもを適切に支えることができるような情報やアプローチを提供しています。

不登校予防フローチャート

不登校予防フローチャート見出し
不登校予防フローチャート

上記の不登校予防フローチャートは、子どもが「学校に行きたくない」と言ったときの対処を簡易的に表したものです。

欠席から不登校になりにくくするためには、子どもの不安やストレスを理解し、少しずつ対処していくことが鍵となります。ご家庭によって適切な対処は異なりますが、一つの基本的な型として参考にしていただけますと幸いです。


1. 子どもが「学校に行きたくない」と言う

子どもが「学校に行きたくない」と話したときは、すぐに反応せず、冷静に受け止めましょう。子どもの一時的な気持ちである場合もあるため、数日間様子を見ることが大切です。もし、4日以上続くようであれば、別のステップでさらに深い対応を始めます。

2. 行きたくない理由を聞く

理由を聞く際には、子どもを責めず、話を傾聴することが重要です。子どもが安心して話せるように、親の価値観を押し付けず、気持ちを受け止める姿勢を示しましょう。このステップで大切なのは、子どもが「自分の気持ちが理解されている」と感じることです。

3. 体調を確認する

子どもが学校に行きたくない理由が、体調不良によるものかどうかを確認します。もし体調を崩している場合は、無理せず休ませ、健康回復を優先します。軽度の場合は、次のステップでさらなる対応を検討し、学校に行けるかどうかを一緒に話し合いましょう。

4-A. 担任の先生と連携する(体調不良の場合)

体調不良が理由で欠席する場合、担任の先生と連絡を取り合うことが大切です。放課後の電話相談などを依頼し、学校側と状況を共有しましょう。先生と話し合うことで、宿題や授業の内容を確認でき、無理のない範囲で家庭学習をサポートすることが可能になります。

4-B. 軽度の場合の対応(登校可能性がある場合)

軽い体調不良の場合、子どもが自身で担任の先生に理由を伝えられるよう促しましょう。これにより、子ども自身が気持ちを整理する機会を持つことができます。また、担任の先生に早めに状況を共有することで、登校の後押しをお願いすることが可能です。

5. 学校に行きたくない理由を紙に書き出す

子どもが「行きたくない」と感じている理由を一緒に紙に書き出すことは、気持ちを整理するのに役立ちます。口頭で話すよりも、書き出すことで悩みや不安が視覚化され、対策を考えるための第一歩になります。親は指導するのではなく、子どもと一緒に取り組む姿勢を大切にしてください。

6. 子どもと一緒に対策を考える

学校に行くことをゴールにせず、ストレスや不安をどう乗り越えるかに焦点を当てて話し合います。この段階では、子ども自身が解決方法を考えるプロセスに親も伴走し、無理強いせずに一緒に向き合うことが重要です。焦らず、子どものペースを尊重して進めましょう。

7. 担任の先生と連携する(定期的な話し合い)

不登校が長引く場合、担任の先生と定期的に連絡を取り合い、子どもと一緒に話す機会を設けてもらいます。学校側には不登校に対するノウハウがあるため、連携することで新たな対策が見えてくることも多いです。また、学校との連絡を密にすることで、子どもが学校に戻る際の心理的なハードルを下げることにもつながります。

8. 通常の生活を続ける

不登校が続いても、できるだけ通常の生活を保つように心がけます。親子ともに家に閉じこもらず、外出の機会を設けてリフレッシュすることが大切です。また、家庭内が暗い雰囲気にならないよう、日常生活を前向きに過ごす工夫をしましょう。

9. 翌朝の様子を見る

前日の対策がどう影響したか、翌朝の子どもの様子を確認します。子どもの気持ちが少しでも前向きになっている場合は、それを大切にサポートしていきましょう。登校が難しい場合は、再度フローチャートに戻りながら、焦らず取り組みます。


突然お子様が休みたいと言われると、動揺されたり、声掛けに悩まれることもあると思います。そのような時には、このフローチャートを一つの参考としてご活用ください。


ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

特徴は、不登校のきっかけではなく不登校が続いてしまう要因について、早期発見・対処することです。導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

不登校の鍵は愛着障害

不登校の鍵は愛着障害

はじめに

現代の教育現場では、不登校という問題が深刻化しています。多くの親や教師が、子どもが学校へ行かなくなったときに感じるのは「どうすればいいのか」という戸惑いや不安です。しかし、その根本的な原因にたどり着くことができなければ、どれだけ対策を講じても問題は根本的には解決しません。そして、意外にもこの不登校の問題は、幼少期の「愛着障害」に密接に関わっていることが多いのです。

愛着障害とは、幼少期において母親などの養育者との間で十分な「情緒的な絆」が形成されないことによって生じる心理的な障害です。子どもは生まれてからまず母親を求め、そこで築かれる愛着を通じて人間関係や自己肯定感の基盤を形成します。しかし、その愛着形成が阻害された場合、やがて成長するにつれ、様々な対人関係の困難や社会生活での適応不全が生じやすくなります。不登校の根底に愛着障害が存在している場合、その理解と対応が鍵を握るのです。

本稿では、不登校の背景にある愛着障害について詳しく探りながら、問題解決のために親や教育者がどのように向き合うべきかを考察します。

愛着の形成とその重要性

愛着の発生と役割

愛着とは、乳幼児が主に母親との間に形成する「情緒的な絆」を指します。赤ちゃんが生まれて間もなく、母親に抱かれ、見つめられることで心の安定がもたらされます。そして、この絆は成長において自己肯定感や社会的な信頼感の基礎となります。愛着がしっかりと形成されると、子どもは成長する過程で自信を持ち、他者と信頼関係を築く力を養うことができるのです。

愛着の形成が良好であれば、子どもはたとえ親と一時的に離れても、心に安定を保つことができます。しかし、愛着が未成熟である場合、外界に対して不安や恐怖心が先立ち、対人関係で過度な依存や逆に無関心を示すなどの行動が見られることが多くなります。適切な愛着は子どもにとって「心の安全基地」であり、そこが揺らぐと様々な問題が生じるのです。

愛着形成の阻害要因

愛着が十分に形成されない原因として、母親や養育者が心の余裕を失っている状況が挙げられます。例えば、母親が精神的な不安定さを抱えていたり、離婚や家庭内の混乱が頻繁に起こる場合、子どもに安心感を与える環境が提供されにくくなります。また、母親の過度な依存や虐待、ネグレクトなどが存在すると、愛着形成は著しく阻害されます。

また、社会の変化によっても愛着形成は影響を受けます。例えば、女性の社会進出が進み、保育園などでの育児が一般化したことによって、母親と長時間過ごす機会が減少したことも愛着形成を阻害する要因の一つとして考えられます。しかし、必ずしも保育園や託児が悪影響を及ぼすわけではありません。3歳以降であれば母子分離も問題とされないことが多く、むしろ育児に対する理解やサポートの充実が重要です。

愛着障害の種類と特徴

愛着障害には、大きく分けて「反応性愛着障害」と「脱抑制型愛着障害」の二種類があります。それぞれがどのような特徴を持つのかを見ていきましょう。

反応性愛着障害

反応性愛着障害は、適切な愛着形成の機会を与えられず、母親や養育者に対して十分な信頼や安心感を抱けない状態です。この障害を持つ子どもは、愛情に対して反応せず、養育者との間に距離を置こうとする傾向があります。主な症状としては以下のようなものが挙げられます。

  • 母親への接近や接触を避ける
  • 呼びかけに反応せず無関心な態度を示す
  • 母親からの愛情や慰めに対して無反応である

これらの症状は、他者への不信感や自己肯定感の低さの表れであり、学校においても他者との関係を築くことが難しくなりがちです。学校生活で周囲と壁を作り、自分の殻に閉じこもるような行動に繋がりやすいのも、この愛着障害の特徴です。

脱抑制型愛着障害

脱抑制型愛着障害は、母親との間に適切な境界が形成されず、誰にでも過度に甘えたり依存する傾向を持つ状態です。この障害を持つ子どもは、母親から離れても不安を感じず、他者に対しても境界なく接近することがあります。主な症状には以下のようなものが挙げられます。

  • 誰にでもすぐに懐き、過剰に甘える
  • 母親から離れても不安や恐怖を感じない
  • 母親からの愛情や好意に対して過剰に反応する

脱抑制型愛着障害の子どもは他者に対して過度な親密さを見せるため、周囲との適切な距離感を持つことが難しくなります。また、家庭や学校において人間関係の問題が生じやすく、不登校の一因となる場合も少なくありません。

不登校と愛着障害の密接な関係

不登校の背後には、愛着障害が隠れていることが多いです。愛着障害を抱えた子どもは、他者と健全な関係を築くことが難しく、その結果、学校という場での適応に大きな困難を抱えます。学校生活には集団生活の中での協調や、他者とのコミュニケーションが不可欠です。しかし、愛着障害を抱える子どもにとっては、学校は「他者に囲まれた場」として強い不安を引き起こす場所になりがちです。

さらに、不登校の子どもが家庭で感じる居心地の良さが、愛着障害によって阻害されている場合もあります。家庭が子どもにとって安心できる場所でない場合、子どもは居場所を求めることができなくなり、学校へ通うことへの不安も増幅されるのです。愛着障害が解消されないままでは、不登校を根本的に解決することが困難なのです。

親が直面する愛着障害の連鎖

愛着障害の問題において、非常に重要なのが「親自身の愛着障害」です。子どもに愛着障害が見られる場合、その親もまた同じように幼少期に愛着障害を抱えていたことが多いとされています。これは「愛着の連鎖」とも呼ばれ、親が自らの愛着問題を解消できないまま育児に携わると、子どもに同じ問題を引き継がせてしまう可能性が高まるという現象です。

愛着障害を抱える親は、子どもに対して不安定な愛情を注ぎがちです。「本当に愛しているのだろうか」「自分は子どもを幸せにできるのだろうか」といった自己疑念が絶えず湧き上がり、それが子どもに伝わります。このような親から育てられた子どもは、愛情の一貫性を感じられず、また不安定な愛情を与えられることにより愛着障害を発症しやすくなります。

愛着障害の図

愛着障害の克服と不登校解消への道

ここまで述べたように、不登校問題の解決には、まず愛着障害に向き合うことが不可欠です。愛着障害は決して治らないものではありません。むしろ、理解し、適切なサポートを受けることで、徐々に改善が期待できるのです。そのためには、親子双方が「愛着」というテーマを正面から見つめ直し、健全な親子関係の構築に努める必要があります。

家庭の居場所作り

不登校の子どもが学校に戻るためには、まず家庭が安心できる居場所である必要があります。家庭が子どもにとって心の拠り所となり、親が温かく支えてくれる存在であると感じることで、学校という外の世界へ再び目を向けることができるのです。親が子どもに対して無条件の愛情を示し、どんな状態であっても「ここにいていいんだ」と感じさせることが最初の一歩です。

親自身の愛着障害に向き合う

愛着障害の克服には、親自身もまた自らの愛着障害と向き合い、必要であれば専門的なサポートを受けることが必要です。親が自己理解を深め、愛情を与える力を取り戻すことで、子どももまたその愛情を受け入れやすくなります。親が心から子どもを愛し、支えたいと願う姿勢を見せることで、子どももその姿勢に応じて成長していきます。

結論

不登校の問題解決には、愛着障害への理解が欠かせません。不登校の背後には、往々にして愛着形成の問題が潜んでおり、それが親子関係や学校生活において様々な問題を引き起こしています。親がまず自分の愛着問題に向き合い、家庭の中で安心できる居場所を子どもに提供することが、不登校の解消に向けた一歩です。そして、愛着障害は決して克服できない問題ではありません。理解し、向き合うことで、親子の間に新たな絆が生まれ、子どもは自信を持って社会へと歩みを進めることができるようになるのです。

ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

傾聴の基本と応用。子どもが伸び伸びと外で挑戦できるように。

傾聴の基本と応用。子どもが伸び伸びと外で挑戦できるように。

はじめに

「子どもは親の言うことを素直に聞くべきだ」——かつての日本社会ではこのような考え方が主流でした。しかし、近年の児童心理学の発展とともに、「子どもは育てるものではなく、育つもの」という新しい視点が注目されています。この言葉は単なるキャッチフレーズではなく、親子の関係や教育の根本を考え直す上で非常に重要な意味を持っています。

現代の日本社会において、不登校や引きこもりの問題は依然として深刻です。子どもが学校に行きたがらなかったり、家から出たがらなかったりする状況は、単に怠けや甘えと決めつけては解決しません。むしろ、家庭の信頼関係やコミュニケーションの不足がその背景に隠れていることが多いのです。

そこで、今回は「傾聴」という心理的なスキルについて、その基本から応用までを掘り下げ、子どもとの信頼関係をどのように構築し、問題を解決していくのかについて考えていきたいと思います。

傾聴とは何か

傾聴とは、相手の言葉や感情に対して注意深く耳を傾け、共感的に理解しようとする姿勢のことです。単に「話を聞く」という行為とは異なり、相手の内面的な感情や考え方にまで焦点を当て、その心情に寄り添うことを目指します。傾聴の基本には、以下の三つの要素があります。

1. 子どもを受け入れる

まず、子どもの言葉や感情を評価したり否定したりせず、そのまま受け入れることが大切です。「なんでそんなことを考えるの?」「それは間違っているよ」と否定から入ると、子どもは心を閉ざしてしまいます。大人の価値観や常識から逸れているように感じても、子どもが感じた事実は子ども自身にとって重要なものです。その感情を否定せずに受け止める姿勢が、信頼関係の土台を作ります。

2. 共感を示す

ただ話を聞くだけでは不十分です。話し手である子どもが「自分の気持ちを理解してくれている」と感じられるよう、共感的な態度を取ることが求められます。例えば、子どもが学校でいじめにあった経験を語っているときには、「それは本当に辛かったね」「嫌な思いをしたんだね」と、子どもの感情に寄り添う言葉をかけることが大切です。

3. 子どもの話を引き出す

傾聴は一方的な受動的行為ではなく、話し手が自分の思いをより深く表現できるようサポートすることでもあります。「その時、どう感じたの?」や「もう少し詳しく教えてくれる?」といった質問を投げかけることで、子どもが自分の内面を見つめ直し、自らの言葉で語る機会を提供します。

傾聴の基本から応用へ

では、傾聴の基本を理解したうえで、具体的にどのように応用していくべきでしょうか。家庭内での信頼関係を築くためには、基本的な傾聴のスキルを実践しつつ、子どもとの対話を深める工夫が必要です。

無言のメッセージに気づく

子どもは必ずしも自分の気持ちを言葉にして表現できるわけではありません。特に、内向的で感情を外に出しづらい子どもにとって、自分の思いを伝えるのは困難です。そのため、親は子どもの仕草や表情、沈黙からも心情を読み取る努力をすることが重要です。「今日は学校のことを話したくないんだな」「何か不安そうな表情をしているな」といったサインを見逃さないようにし、それを元に会話を始めることが信頼関係の構築につながります。

質問の仕方を工夫する

親として、子どもに「どうして?」と問い詰めたくなる場面は少なくありません。しかし、問い詰めるような質問は子どもにとっては圧力となり、正直な気持ちを語ることを妨げます。「どうして学校に行きたくないの?」という質問は、「何があったのかな?」や「最近、どんなことがあった?」というように、より柔らかく具体的な質問に変えることが効果的です。質問の仕方を工夫することで、子どもが自ら話しやすい環境を整えられます。

傾聴の実践と効果

子どもは育てるものではなく、育つものである

「子どもは育てるものではなく、育つもの」という考え方は、親が子どもに対してコントロールや支配をせず、成長を見守り、必要な支援を行うことを意味します。これは単に「放任主義」とは異なり、子どもが自己成長を遂げる過程でのサポートが重要であるという考え方です。親の役割は、子どもが自分の意思で行動し、自己の価値を見出していくための環境を整えることにあります。

過干渉がもたらす弊害

過干渉や過保護は、子どもにとって一見「愛情深い」行為に見えるかもしれませんが、実際には子どもの自立を妨げる結果につながることがあります。子どもが何か困難に直面したとき、親がすぐに手を差し伸べてしまうと、子どもは自分で問題を解決する経験を積む機会を失います。困難に直面することは成長の一部であり、そのプロセスを見守ることが重要です。

信頼の失われた子どもたち

子どもが自分の考えや感情を尊重されないまま育つと、親に対する信頼を失いやすくなります。親が子どもの意見を否定したり、自分の価値観を押し付けたりすることが続くと、子どもは「どうせ話しても無駄だ」と感じ、心を閉ざしてしまいます。この状態が長引くと、不登校や引きこもり、さらには非行といった問題行動に発展することも少なくありません。

傾聴の意味を子どもに伝える

傾聴の重要性は、親だけが理解していれば良いわけではありません。子ども自身も、他者と良好な関係を築くためのスキルとして、傾聴を身につけることが大切です。では、どのようにして子どもに傾聴の意味を伝え、実践させることができるでしょうか?

親が傾聴の手本を見せる

子どもは親の行動をよく観察しています。親が日常的に傾聴の姿勢を示すことで、子どもも自然とその態度を学ぶことができます。例えば、親が兄弟間のトラブルに対して公正な立場で話を聞き、互いの意見を尊重して解決策を見つけようとする姿勢を見せることが、子どもへの良いお手本となります。

小さな成功体験を積ませる

傾聴を実践することによって得られる成果を、子どもが実感できるようにすることも重要です。例えば、友達とのけんかの際に「相手の話をよく聞いてみよう」とアドバイスし、その結果として和解できた経験を振り返るといった形で、傾聴の効果を確認させると良いでしょう。このような成功体験が子どもの自信を育み、他者への共感を育てる一助となります。

傾聴がもたらす親子関係の変化

傾聴の実践を通じて、子どもは次第に自分の感情を素直に表現することができるようになります。また、親も子どもの成長や変化を受け入れる姿勢を身につけ、親子関係はより深い信頼に基づいたものへと変化していきます。この信頼関係が築かれることで、不登校や引きこもりの問題を未然に防ぐことができるだけでなく、子どもの自己肯定感や対人スキルの向上にも寄与します。

自己肯定感の向上

傾聴によって、子どもは自分の感情や考えが尊重される経験を積みます。これは自己肯定感の向上につながり、自己表現や対人関係に対する不安が軽減されます。親に「自分は受け入れられている」と感じることで、子どもは積極的に自己表現をし、他者とのコミュニケーションを楽しむことができるようになるのです。

問題解決能力の向上

傾聴を通じて子どもは自己反省や問題解決のスキルを学びます。親が子どもの意見を受け入れ、その上で問題を一緒に解決する姿勢を見せることで、子どもは「問題をどう捉え、どのように解決していくか」を学ぶ機会を得ます。このスキルは学校生活や将来の社会生活において非常に重要です。

結論

傾聴は単なる技術や方法論ではなく、子どもとの信頼関係を築くための「心構え」でもあります。親が子どもの言葉や感情を受け入れ、共感し、対話を深めることで、子どもは自らの成長を実感し、自己肯定感を高めていくことができます。

「子どもは育てるものではなく、育つもの」という考え方は、親が子どもを信じ、成長を見守る姿勢を示すことを意味します。そして、そのための鍵となるのが傾聴です。家庭内での信頼関係を深めるために、まずは親が傾聴の姿勢を身につけ、それを日常生活の中で実践していくことが求められます。

親子の信頼関係が強まることで、子どもは困難な状況においても自らの力で立ち向かうことができるようになります。傾聴の基本と応用を理解し、日々の生活の中で少しずつ取り入れていくことで、子どもたちがより良い成長を遂げ、家庭が安心できる居場所となることを願っています。

おわりに

本稿では、傾聴の基本から応用までを通じて、家庭内での信頼関係の重要性について述べてきました。不登校や引きこもりの問題に直面したとき、一方的に解決策を押し付けるのではなく、子どもの声に耳を傾け、共感し、対話を深めることが解決の第一歩です。親として、また大人として、子どもたちに寄り添い、成長を支えていくことが、今後の社会にとっても重要な使命であると言えるでしょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

子どもにはストレスの避け方ではなく、乗り越え方を伝える

子どもにはストレスの避け方ではなく、乗り越え方を伝える

 例えば、学校に行くことを子どもが嫌がった場合、親はつい無思考に「大丈夫だよ」と声をかけてしまいがちです。しかし、単に不安を解消するだけでなく、緊張に打ち勝つための具体的な方法を一緒に考えていくことが重要です。

現代社会は、子どもたちを取り巻く環境が複雑化し、多様なストレス要因が存在します。学校での人間関係、学業の難しさ、将来への不安など、子どもたちは様々なストレスに直面しています。こうした状況下で、多くの親御さんが「子どもをストレスから守りたい」という気持ちを抱くのは当然のことで、大切な愛情です。本稿では、その親心を「守る」ではなく「育てる」に向ける方法について紹介していきます。

「授人以魚 不如授人以漁」と老子は言いました。これは「飢えている人へ、あなたは魚を与えるべきか、魚の釣り方を教えるべきか」 という問いかけで、「人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける」という見方を示した格言です。
子どもを育てる上でも、常に問題から子どもを守り続けるのではなく、自ら問題を解決できる力を育むことが、子ども自身の将来にとって大切なのではないでしょうか。

ストレスから逃げることのリスク

子どもでも大人でもストレスを完全に取り除くことは不可能なため、過度に子どもからストレスを取り除くことは、子どもの将来への悪影響になる可能性があります。なぜなら、ストレスを避けることに慣れた子どもは、将来、どこかで訪れる困難な状況に対して乗り越える力がないため、克己して機会を掴みとる道を自ら閉じてしまう恐れがあるからです。

ストレスを抱え込んだままにしておくと、子どもは不安を自分で大きくしてしまうことがあります。また、辛いことに対して逃げることが最初の選択肢になってしまうと、困難を克服する力が育ちません。ストレスに立ち向かう経験を積むことは、子どもたちが自己肯定感を高め、自己効力感を育む上で不可欠なのです。

不安を放置すると

不安に立ち向かうための具体的な方法

 では、具体的にどのように子どもにストレスに立ち向かう力を養えばよいのでしょうか。まず、子ども自身が抱えている不安を、漠然とした「不安」と捉えないことが必要です。
不安について【感情、思考、行動】の3つの要素に分けて考えることで、子どもは自分の不安を客観的に捉え、その原因を特定することができます。

1つ目は、感じていること。「心臓がドキドキしている」「体が震えている」「手が湿っている」「お腹が痛くなる」などの体の動きは、怖いという感情を伝えています。

2つ目は、考えていること。感じていることを何とかするために、「ここから逃げよう」「そんなことできない」「お家に帰りたい」「お母さんか誰かに助けてほしい」などの考えが出てきます。

3つ目は行動で、考えていることから具体的に何かをすること。その場所から離れたり、部屋に隠れたり、気分を楽にしてくれそうな人のそばにいようとする、などです。この行動はまた、新しい感情を生み出します。

子どもが自分の不安を具体的に表現できるようになったら、次に、その不安を小さくする方法について一緒に考えてみましょう。

学校に行きたくないと言っていた子どもとの対話例を紹介します。

親:ねぇ、ちょっと座って話を聞かせてくれる?  〇〇の気持ち、もっとよく知りたいなって思ってるんだ。

子:うん。

親:この3つの丸、見てくれる?  これはね、私たちの体や心で起こっていることを 「感じていること」「考えていること」「していること」 に分けて表してるんだ。最近、学校に行きたくないって思ったことあったよね?  そのときのことをちょっと一緒に考えてみようか。  いつ頃だったか覚えてる?

子:うん、先週。

親:そのとき、どんな気持ちだった?  朝、学校に行く前かな?

子:うん。

親:朝、学校に行こうとして、お母さんが起こしたとき、〇〇はどう思ったのかな?

子:行きたくなかった。

親:そうだよね。  「行きたくない」って思ったんだね。  じゃあ、ここに書いてみようか。(思考の丸に 「行きたくない」 と書く)  他にも何かあったかな?

子:寝てたのに起こされたから、ちょっと怒っちゃった。

親:そうだね、寝てたのに起こされたから、少し怒ったのかもしれないね。  じゃあ、ここに 「寝ていた」 って書いてみよう。(行動の丸に書き込む)  学校に行きたくないって思ったときにしていたこと、これだね。  その後、どうしたかな?

子:泣いちゃった。

親:そうだったね。(行動の丸に 「泣く」 と書く)  どうして泣いちゃったのかな?

子:宿題を忘れて、先生に怒られるのが怖かった。

親:そうか、宿題を忘れて、先生に怒られるのが怖かったんだね。(思考の丸に 「宿題を忘れた」 「先生が怒る」 と書く)  先生が怒るかもしれないって考えると、体はどうだった?  どこか痛かったり、変な感じがしたりしたかな?

子:お腹が痛くなって、気持ち悪かった。  心臓もドキドキしてた。

親:そうだったんだね。  お腹が痛くなったり、心臓がドキドキしたりするってことは、〇〇はとっても不安だったってことだよね。(感情の丸に 「心臓がドキドキする」 「お腹の調子が悪い」 と書く)  よくできたね。  見てごらん、〇〇が怖いと感じるとき、体の中でこんな風に色々起こってるんだね。

親:この3つの丸を見てみよう。  〇〇が寝ていた時(していることを示しながら)、宿題を忘れて、先生に怒られるかもしれないって思ったんだね。合ってる?

子:うん。

親:泣いてたとき、お腹の調子はどうだった?

子:もっと悪くなった。

親:そうか、もっと悪くなっちゃったんだね。  そのとき、心の中ではどんなことを考えてたかな?

子:お母さんに怒られたこと。  お母さんが怒るから悲しい。

親:そうだね。(思考の丸に 「お母さんに怒られて悲しい」 と書く)  見てごらん。  1つの丸で何かが起こると、他の丸でも何かが起こってるね。(それぞれの丸から矢印を引き、隣の丸とつなぐ)  つまり、〇〇が 「宿題を忘れて先生に怒られる」 って思うと、お腹の調子が悪くなって、学校に行けなくなっちゃう。  そうするとお母さんが心配して怒って、〇〇はもっと悲しい気持ちになっちゃうんだね。  見てごらん、私たちの気持ちって、こういう3つの部分からできていて、この3つはお互いに影響し合ってるんだね。

親: じゃあ、行動の丸で考えてみようか。宿題を忘れてしまって、学校に行きたくない気持ち、よく分かるよ。でも、もし学校に行けなかったら、どうなると思う? 

子: 先生に怒られるし、お母さんもきっとがっかりする。 

親: そうか、そう思うんだね。じゃあ、もし学校に行って先生に正直に話したら、どうなると思う? 

子: 怒られるかも。

親: そうかもしれないね。ただ、先生は宿題を忘れたから〇〇が休むよりも、行ってちゃんと話してくれる方が嬉しいんじゃないかな。

脱感作法による自己強化

不安を小さくすることに成功したら、子どもを心から褒めて励ましましょう。この方法は、脱感作法と呼ばれるもので、ネガティブな感情を抑止して成功体験を重ねることで、自己肯定感を高める効果があります。

例えば、テスト前に緊張していた子どもが、深呼吸をすることで落ち着きを取り戻し、テストで良い点を取ることができたとします。この時、「よく頑張ったね!緊張していたけど、落ち着こうと工夫したからきっと良い結果になったんだね」と具体的に褒めることで、子どもは自信を持つことができます。

最後に

子どもにストレスの乗り越え方を教えることは、決して簡単なことではありません。しかし、子どもが将来、社会で自立して生きていくためには、不可欠なことです。親は、子どもが困難な状況に直面した際に、寄り添い、励まし、具体的なアドバイスを与えることで、子どもが自ら問題を解決できるようサポートしていくことが重要です。

ストレスから「逃げる」のではなく、「乗り越えていく」ことを教える。それは、子どもたちが自信を持って未来に向かって歩んでいくための第一歩となるはずです。

ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

欠席を不登校にしないために親ができること

欠席を不登校にしないために親ができること

「学校に行きたくない」

この子どもからの切実な言葉に、多くの親は戸惑いを隠せないでしょう。なぜなら、学校は社会性を育み、知識を習得する場所であり、子どもたちの成長にとって欠かせないものだと考えられてきたからです。しかし、果たして学校が全ての子どもにとって最適な場所と言えるでしょうか。

子どもが学校を欠席されるということは、何かしらのSOSを発していらっしゃる可能性が高いです。体調不良、人間関係の悩み、学習の遅れなど、その理由は様々です。ここで大切なのは、欠席を単なる問題として捉えず、子どもたちが何を伝えようとしているのか、その背景にある感情に目を向けることです。

なぜ子どもは学校に行きたがらないのか。

もしかしたら、特定の科目についていけずに自信を失っているのかもしれません。
また、クラスメイトとの人間関係で悩んでいるのかもしれません。
あるいは、単に疲れていて休みたいと思っているのかもしれません。

重要なことは、子どもたちの心の声に耳を傾けることです。まずは、子どもたちが安心して話せるようなオープンな雰囲気を作り、焦らずにじっくりと話を聞いてあげましょう。否定的な言葉や判断をせず、共感の言葉をかけてあげることで、子どもたちは自分の気持ちを素直に打ち明けられるようになるでしょう。欠席を責めるような姿勢は避けましょう。

従来、欠席は良くないことだと考えられ、子どもたちは欠席すること自体に罪悪感を抱きがちでした。しかし、状況によっては、欠席することが子どもたちの心身の健康を守るために必要となる場合もあります。

無理して学校に通うことで、かえって精神的な負担が増大し、不登校へとつながる可能性も否定できません。欠席は、子どもたちが自分の心と体と向き合い、休息を取るための貴重な機会でもあるのです。例えば、人間関係で悩んでいる場合は、学校から離れて心を落ち着かせることで、問題解決の糸口が見つかることもあるでしょう。欠席を認めることは、子どもたちの信頼を得る上で非常に重要です。子どもたちは、自分の気持ちを理解してもらえたという安心感を得ることで、再び学校へ行く意欲を取り戻せるでしょう。

欠席したことを理由に、子どもを責めたり、過去の失敗を蒸し返したりするべきではありません。

そのような言動は、子どもの心に深い傷を負わせ、次の登校を困難にするでしょう。むしろ、欠席したことを認め、その気持ちを尊重することが大切です。子どもたちにかける言葉は、彼らの心に大きな影響を与えます。例えば、「また休んでいるのか」「ちゃんと勉強しているのか」といった言葉は、子どもたちを傷つけ、自信を喪失させてしまう可能性があります。代わりに、「今日はゆっくり休んでね」「何かしたいことはあるかな?」など、温かい言葉をかけてあげましょう。過去の失敗を引きずることは、子どもたちの成長を妨げます。過去のことは過去のこととして受け止め、これからのことを前向きに考えていくことが大切です。

欠席中も、学習の機会を設けることは重要です。ただし、学校と同じように厳しく勉強をさせるのではなく、子どもの興味関心に合わせた学びを提供することが望ましいです。例えば、オンライン学習や読書など、子どもが楽しみながら取り組めるような活動を取り入れることで、学習意欲を高めることができます。

親は、子どもにとって最も身近な存在であり、子どもたちの成長を支える重要な役割を担っています。子どもたちが困難に直面した際には、共感し、寄り添い、共に解決策を探していくことが求められます。子どもたちの気持ちを理解するためには、彼らの立場に立って考えてみる必要があります。なぜ学校に行きたがらないのか、何が悩んでいるのか、子どもたちの視点から問題を捉えてみましょう。

ただし、欠席が不登校にならないような工夫も必要です。

子どもが学校を休むことは、心身に何らかのサインを発している可能性があります。しかし、その一方で、欠席をきっかけに、学校から離れてしまう、いわゆる「不登校」へとつながってしまうケースも少なくありません。欠席が不登校に発展しないよう、親としてできることは何でしょうか。

欠席中に大切なのは、子どもを甘やかすことなく、一方で、厳しすぎる態度も避けることです。例えば、「学校を休んでいるのだから、好きなものを食べに行こう」と、外食に連れ出したり、「今日は特別だから、ゲームをしてもいいよ」と、普段できないことを許すような行動は、子どもにとって学校を休むことのメリットを大きくしてしまう可能性があります。学校を休むことは特別なこと、楽しいことという印象を与えてしまい、結果的に学校へ行く意欲を低下させてしまう恐れがあるのです。

もちろん、子どもが辛い思いをしているのであれば、優しく寄り添い、話を聞いてあげることは大切です。しかし、同時に、学校へ行くことの大切さ、学ぶことの楽しさについても伝えていく必要があります。例えば、「今は学校がつらいかもしれないけれど、〇〇(好きなこと)を学ぶために、学校で必要な知識を身につけることは大切なんだよ」と、将来の目標と結びつけて話してみるのも良いでしょう。

さらに、欠席中に限らず、普段から家庭学習の習慣を身につけることも大切です。例えば、一緒に問題を解いたり、読書をしたりする時間を設けることで、学習に対する意欲を高めることができます。

大切なのは、一貫性のある態度で子どもに接することです。例えば、今日は甘やかして、明日は厳しく叱るといったように、態度がコロコロ変わってしまうと、子どもは混乱してしまい、何をすれば良いのか分からなくなってしまいます。

欠席中の過ごし方だけでなく、学校へ行く前の準備も大切です。登校前には、一緒に朝食を食べたり、今日の予定を確認したりするなど、学校へ行くことを意識した行動を取り入れるようにしましょう。また、学校で困ったことがあったら、いつでも相談に乗ることを伝えてあげることも大切です。

欠席は、子どもたちが成長するための過程で起こりうる一つの現象です。

大切なのは、欠席を単なる問題として捉えるのではなく、子どもたちが何を必要としているのか、その個々の状況に合わせて適切な対応をしてあげることです。親は、子どもの成長をサポートするパートナーとして、子どもたちと一緒に歩んでいくことが大切です。子どもたちの可能性を信じ、彼らの成長を応援してあげましょう。「欠席」という言葉に、ネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、欠席は、子どもたちが自分自身と向き合い、成長するための貴重な機会でもあるのです。親は、その機会を最大限に活かすために、子どもを信じて、共に歩んでいきましょう。子どもたちは、それぞれ異なる個性と才能を持っています。学校という枠組みにとらわれず、子どもたちの可能性を信じ、様々な選択肢を提示してあげることが大切です。

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不登校にも未病という考えを

不登校にも未病という考えを

不登校という名の「病」

 国内の小中高生の不登校は年々増加して30万人を超え、社会問題として深刻化しています。学校に行きたくない、行けないという悩みを抱える子どもたちは、決して少なくありません。その原因は多岐にわたり、いじめ、学業の遅れ、家庭環境の問題、そして漠然とした不安感など、実に様々です。

多くの人々は、不登校になった子どもを「治す」という視点で捉えがちです。しかし、当社が長年、不登校の子どもたちの支援に携わる中で、この「治す」という表現に違和感を抱いてきました。不登校は、風邪をひくように、ある日突然発症するものではありません。それは、様々な要因が積み重なり、徐々に形成されていく、いわば「病」なのです。

未病という概念

ここで、東洋医学の概念である「未病」という言葉を思い出してください。「未病」とは、まだ病気に至っていない状態、つまり病気になる前の段階のことです。東洋医学では、病は一朝一夕に発生するのではなく、体内のバランスが徐々に崩れていく過程で起こると考えられています。そして、このバランスの崩れを早期に察知し、適切なケアを行うことで、病気を未然に防ぐことができるというのです。

この「未病」という概念を、不登校に当てはめて考えてみます。不登校になる前の段階、つまり「未病」の状態とは、どのような状態でしょうか。それは、例えば、学校での人間関係に悩んでいる、勉強についていけない、将来への不安を感じている、といった状態です。これらの兆候は、必ずしも不登校につながるとは限りませんが、放置しておくと、いずれ不登校という「病」へと発展する可能性があります。

不登校の「未病」を診断する

ToCo株式会社では、この「未病」の状態を早期に発見し、適切な介入を行うためのサービスを開発しました。このサービスでは、子どもたちの心の状態を定量的に評価し、不登校になる可能性を予測します。
不登校になってからでは、治療に時間がかかり、子どもたちの心身に大きな負担をかけることになります。しかし、未病の段階で発見することで対処の負担は減らすことができます。

ただもちろん早期発見が目的ではなく、どのように早期介入を行うか、が重要です。早期介入とは、問題が深刻化する前に、適切な支援を行うことです。例えば、カウンセリングを受ける、信頼できる大人に相談する、興味のある活動に参加するなど、様々な方法が考えられます。

当社では、診断の結果を元に不登校予防プログラムを開発しました。4つの不登校の因子への対処法を明示することで、問題となっている要因に適切な対処を行うことができます。

社会全体で「未病」を意識する

不登校は、個人の問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題です。学校、家庭、地域社会、そして私たち一人ひとりが、子どもたちの心の状態に目を向け、未病の状態に気づき、適切なサポートを提供していくことが重要です。

「不登校」という言葉と聞くと、暗い未来しか想像できない人もいるかもしれません。しかし、大人たちは子どもの可能性を信じ、成長を支えていく役割を担っています。

「不登校」という名の「病」を、未病の段階で食い止め、子どもたちが健やかに成長できる社会を創っていく。この理念のもと、私たちはこれからも活動を続けていきます。

ToCo(トーコ)株式会社について

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代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

夫婦仲と子どもの不登校傾向の関連性

夫婦仲と子どもの不登校傾向の関連性

不登校の原因は様々ですが、実は夫婦仲の悪さが子どもの不登校に影響を及ぼす可能性があることをご存知でしょうか?

本稿では、論文「Marital conflict and child adjustment: emotional security as a moderator of the effects of interparental conflict on children’s internalizing and externalizing problems 夫婦間の対立と子どもの適応:両親間の対立が子どもの内面化問題および外面化問題に及ぼす影響の調整因子としての情緒的安全性」(Journal of Child Psychology and Psychiatry, 2009) を参考に、夫婦の不仲が子どもの不登校にどのように影響するのか、そのメカニズムについて考察していきます。

まず、論文の概要ですが、この研究では、3年間、毎年親子297組を追跡調査し、夫婦間の不仲・親のうつ状態と、子どもの心の安全性・子どもの内向性の傾向・問題行動との関連性を調べました。その結果、興味深い事実が明らかになりました。

※父母家庭に限った調査であり、ひとり親の場合、子どもの心の安全保障には親子関係が大きく影響します。

夫婦間の不仲と子どもの不登校の関係

研究によると、夫婦間の対立は、子どもの非行や不登校などに繋がることが示されました。
当然ですが子どもにとって、両親が仲良くしていることは安心感や幸福感に繋がります。しかし、両親が愛し合っていないと感じたり、喧嘩を見たりすると、子どもは不安や心配を感じるようになります。この不安感が積み重なっていくと、自分自身が安全ではない、守られていないと感じてしまうのです。
そして夫婦間の不仲が子どもの心の安全保障が壊してしまい、学校などの外の環境に挑戦する気力を失わせてしまいます。

さらに注目すべき点は、親のうつ状態が、この関係性に大きく影響を及ぼすということです。うつ状態にある親は、ネガティブな感情に振り回されやすく、夫婦間のコミュニケーションも悪化しがちです。また、うつ状態にある親は、子どもに対して十分な愛情を注げなかったり、適切な養育をすることが難しくなる場合もあります。

なお、うつ状態は特別なものではありません。 厚生労働省の患者調査によれば約420万人の人がうつ病などの精神疾患にかかっており、その数は近年増え続けています。 精神疾患の中でも、もっとも多いのがうつ病です。

子どものための夫婦関係の改善

夫婦である以上、意見が食い違うことや、感情的にぶつかることは避けられません。しかし、子どもがいる家庭においては、夫婦の諍いが子どもたちの心に与える影響は計り知れません。

子どもたちは、大人以上に両親の言動に敏感です。両親がいつも笑顔で仲睦まじくしている様子を見て育った子は、心の安定を得て、健やかに成長していくでしょう。しかし、両親がよく言い争いをしたり、険悪なムードを漂わせている家庭で育った子は、いつもどこかで不安を抱え、心の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

「夫婦の喧嘩は子どもの前でするな」という言葉は、古くから言われていますが、決して古くならない普遍的な真理です。とはいえ、夫婦の関係は、常に良好な状態を保つことの方が難しいのが現実です。大切なのは、夫婦の間に問題が生じた際に、どう対処していくかということです。

大切なのは、子どもの心のエネルギーを損なわないこと

夫婦の喧嘩は、子どもにとって大きなストレスになります。特に、幼い子どもは、両親の喧嘩の原因や背景を理解することが難しく、自分のせいだと感じてしまうことがあります。これは、子どもの心に深い傷跡を残し、自己肯定感を低下させたり、大人になってからの人間関係に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。

無視や軽蔑は厳禁

夫婦の仲が悪くなると、つい相手を無視したり、軽蔑したりしたくなることがあります。しかし、これは絶対に避けるべき行為です。子どもは、両親の言動をすべて見ています。たとえ相手のことを嫌いになったとしても、子どもの前でそれを露わにすることは、子どもに大きなショックを与えることになります。

挨拶を交わす

夫婦関係の改善は、一朝一夕にできるものではありません。しかし、小さなことからコツコツと積み重ねていくことで、少しずつ状況は改善していくはずです。

まずは、挨拶を交わすことから始めましょう。挨拶は、相手に対して「あなたを認めています」「あなたとコミュニケーションを取りたいと思っています」という気持ちを伝える大切な行為です。

無理に仲良くする必要はない

夫婦が仲良くすることは理想ですが、無理に仲良くする必要はありません。人間同士なので、不満がまったく無くなることはありません。大切なのは、お互いを尊重し、一人の人間として接することです。

子どものために夫婦が守るべき3点

「自分たちは問題ない」と考えている夫婦でも、実は表立った喧嘩をしていないだけ、という場合が多くあります。相手を軽蔑し不満を抱き、返事をしなかったり避けたりすることは、そこまで悪いことに思えないかもしれません。しかしその冷えた空気は子どもが吸うことになります。
お子さんが不登校に悩んでいる場合も、そうではない場合も、自身のプライドや感情ではなく、せめて子どもが成人するまでは家族関係を優先してみるのはどうでしょうか。

ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

静かな虐待:言葉の暴力と子どもの問題行動

「ちゃんとしなさい」「なんで同じ失敗するの」「他の子は出来ているよ」――。

幼少期に親からこのような言葉を投げかけられた経験があるかもしれません。あるいは、自分の子どもに同じような言葉をかけた経験があるかもしれません。これらの言葉は、一見すると子どものことを思っての注意に聞こえますが、子どもたちの心に深い傷跡を残し、その後の子どもの言動に対する大きな影響を将来にわたって与える可能性があります。

本論では、親のデリカシー(配慮、気遣い)のない言動が、子どもたちの心の発達にどのような悪影響を及ぼすのか、どのような問題が生じるのかについて、国内外の研究結果と事例を交えながら考察していきます。

親の言葉は、子どもの自己肯定感を左右する

 特に幼少期の子どもは、親を絶対的な存在として見ています。親の言葉は、子どもにとっての真理であり、自分自身を評価する基準となります。そのため、親から否定的な言葉をかけられると、子どもは「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまうのです。

心理学の研究では、親の言葉が子どもの心の発達に与える影響が数多く報告されています。例えば、アメリカのハーバード大学の大橋恭子氏の研究では、言葉の暴力を受けた子どもたちの脳のネットワーク機能が低下し、精神疾患のリスクが高まることが明らかになっています。
また、アメリカの心理学者、キューブラー・ロスは、「愛するとは、相手の言葉に耳を傾けることである」と述べています。親を愛する(信じる、頼る)子どもにとって、親の言葉は人生の道標のように働きます。そして、その言葉が肯定的なものであれば、子どもは自信を持って世界に飛び出すことができるでしょう。逆に、否定的な言葉ばかりを浴びせられると、子どもは自己肯定感が低くなり、自信を失ってしまう可能性があります。

言葉の暴力を受けた子どもは、大人になっても「自分は価値がない」という思いを抱き続け、対人関係を築く上で困難を経験することが示されています。この自己肯定感の低さは将来にわたって様々な場面で、自信のなさや自己卑下といった形で現れることがあります。

自己肯定感が高い子ども、低い子ども

自己肯定感が高い子の特徴自己肯定感が低い子の特徴
行動面好奇心旺盛で新しいことに挑戦する傾向がある。失敗を恐れず、積極的に行動する。集団の中で意見を言いやすい。変化を恐れ、新しいことに挑戦しにくい。失敗を恐れて行動が制限される。集団の中で意見を言いにくい。
感情面楽しさや喜びを感じやすく、感情表現が豊か。ストレスに比較的強く、回復力が高い。悲しみや不安を感じやすく、感情を内に閉じ込める傾向がある。ストレスに弱く、なかなか立ち直れない。
対人関係友だちとの関係が良好で、広範囲な人間関係を築く。信頼関係を築きやすく、協調性がある。友だちとの関係が良好でないことが多い。信頼関係を築きにくく、孤立しがち。
学業面学習意欲が高く、目標に向かって努力できる。失敗しても立ち直り、次のステップへ進むことができる。学習意欲が低く、目標達成が難しいと感じる。失敗を恐れて、挑戦することを避ける。
自己認識自分の強みと弱みを客観的に捉え、自己成長に繋げることができる。自分の意見をしっかりと持っている。自分のことを否定的に捉えがち。自分の意見を言えず、周囲に合わせようとする。

上の表で示されるように、自己肯定感の高さによって子どもたちの様々な側面に違いが見られることがわかります。

自己肯定感が高い子どもは、一般的に積極性、楽観性、良好な対人関係といった特徴を持ち、困難にも立ち向かう力が強い傾向にあります。一方、自己肯定感が低い子どもは、消極性、悲観傾向、対人関係の悩みを抱えやすく、困難に直面した際に、それを乗り越えるのが難しい傾向にあります。

自己肯定感が低い子どもはいじめの加害者になりやすい

 自己肯定感が低い子どもがいじめの加害者になりやすいという話は、一見矛盾するように思えます。しかし、心理学の研究や臨床例から様々な要因が因果関係として繋がっていることが明らかになっています。

自己肯定感が低い子どもが加害者となる要因として、以下のようなことが考えられています。

  • 自己肯定感を満たすための代償行動:
    自己肯定感が低い子どもは、自分自身に価値を見出すことができず、心のどこかで「自分はダメな人間だ」と感じています。このような状態では、自分自身を肯定するために、他者を攻撃したり、貶めたりするような行動に出てしまうことがあります。これは自己肯定感を満たすための「代償行動」に当たります。
  • 劣等感からの攻撃性:
    自己肯定感が低い子どもは、周囲の人と比べて劣っていると感じ、強い劣等感を抱いていることがあります。この劣等感を隠すために、攻撃的な態度をとったり、いじめを行ったりするケースも考えられます。
  • 不安や恐れからの行動:
    自己肯定感が低い子どもは、不安や恐れを感じやすく、それが攻撃的な行動に繋がることもあります。例えば、自分が仲間はずれにされることを恐れて、先に相手を攻撃してしまうといったケースが挙げられます。
  • 共感性の欠如:
    自己肯定感が低い子どもは、他人の気持ちに共感することが苦手です。そのため、いじめによって相手がどれほど傷つくのかを理解することができず、結果として加害行為に及んでしまうことがあります。

親の言葉の暴力は、なぜ起こるのか?

 言葉の暴力は単なる感情の爆発ではなく、その背後には複雑な心理メカニズムが潜んでいます。一つの要因として考えられるのは、親自身の育てられ方です。もし親自身が子どもの頃に言葉の暴力や身体的な虐待を受けて育った場合、その経験が大人になってからの育児に影響を与える可能性があります。いわば悪循環が繰り返されてしまうのです。

また、親の性格やストレスも大きな要因となります。完璧主義で常に高い目標を子どもに求める親、あるいは、仕事や人間関係でストレスを抱えている親は、些細なことで子どもに当たってしまうことがあります。さらに、社会的な孤立感や経済的な困難なども、親のストレスを増幅させ、言葉の暴力につながる可能性があります。

では実際の研究では、どのような関連性が明らかになっているのでしょうか。

  • 世代間の暴力の連鎖:
    前述したように、親が子どもの頃に経験した暴力は、その親が親になったときに子どもに対して同じような暴力を行う可能性を高めるという研究結果が数多く報告されています。
  • 親のストレスと子どもの暴力:
    親のストレスが、子どもの攻撃性や問題行動と関連するという研究も数多くあります。特に、経済的な困難や夫婦関係の悪化は、子どもの問題行動に強い影響を与えることが知られています。
  • 親の育児に関する知識不足:
    育児に関する知識やスキルが不足している親は、子どもとのコミュニケーションがうまくいかず、言葉の暴力に訴えてしまうことがあります。

言葉の暴力を子どもに振るわないために親ができること

 「なんでいつも片付けられないの!」と子どもに怒鳴ってしまう。そんな経験はありませんか?
こうした言葉が、子どもたちの心に深い傷跡を残しているかもしれません。まずは、自分が普段子どもに対してどのような言葉をかけているのか、意識的に振り返ることが大切です。
育ってきた環境や性格によって、つい言葉が出てしまうパターンがあるかもしれません。例えば、厳しく育てられた経験がある人は子どもにも同じように厳しく当たってしまうことがあります。
自分の発した言葉遣いに注意を向けることで客観的に自身の傾向を把握し、改善点を見つけることができます。

対策1. 深呼吸と心の余裕を持つ

子どもに対してイライラしたり怒りを感じたりした時は、子どもに何かを言う前に深呼吸をしてみましょう。感情的な状態で言葉を発すると、後悔するような言動をしてしまうことがあります。
深呼吸をすることで、冷静さを取り戻し、客観的に状況を判断できるようになります。また、子どもと向き合う前に、お茶を飲んだり、少し散歩に出かけたりするなど、心の余裕を持つことも大切です。

対策2. 言葉を選ぶ

子どもに何かを伝えたい時は、言葉を選び、丁寧に話すように心がけましょう。例えば、「宿題をやらないの?」と責めるのではなく、「宿題は終わったかな?何か困っていることはある?」と優しく声をかけることで、子どもは安心して相談できるようになります。
また、否定的な言葉ではなく、肯定的な言葉を使うことも効果的です。「できない」ではなく「できるようになりたいね」というように言葉を変えるだけで、子どものやる気は180度変わります。

「いつも部屋を片付けないから、あなたはだらしない」→「部屋がきれいだと気持ちがいいよね。一緒に片付けようか」
「なんでいつも失敗するの!」→「次はうまくいくよ。一緒に考えてみよう」

対策3. 感情表現を学ぶ

親も人間なので、怒りやイライラを感じることは当然です。大切なのは、その感情を子どもにぶつけるのではなく、適切な方法で表現することです。
例えば、「今、お母さんはとてもイライラしている。少し落ち着くまで待ってほしい」と正直に伝えることもできます。子どもは、親も完璧な人間ではないということを理解し、より深い信頼関係を築くことができるでしょう。

そして言葉の暴力の問題を根本的に解決するためには、子どもとの良好な関係を築くことが不可欠です。一緒に遊ぶ時間を作ったり、子どもの話をじっくり聞いたりすることで、信頼関係を深めることができます。
また、子どもの良いところをたくさん褒めることも大切です。小さなことでも良いので、具体的に褒めることで、子どもの自信につながります。

まとめ

 言葉の暴力は、子どもたちの心に深い傷跡を残し、将来にわたって大きな影響を与える可能性があります。しかし、言葉の暴力は、意識することで防ぐことができます。
親は、子どもとのコミュニケーションを大切にし、温かい言葉をかけてあげるように心がけましょう。また、自分の感情をコントロールし、子どもとの良好な関係を築く努力を続けることが大切です。
言葉の暴力は、子どもたちの未来を奪う可能性のある深刻な問題です。私たち一人ひとりが、この問題に対して意識を持ち、行動することが求められています。
子どもたちを健やかに育むために、今できることを一つずつ実践していきましょう。

参考論文

Child Maltreatment in the United States: Prevalence, Risk Factors, and Adolescent Health Consequences
Jon M. Hussey, PhD, MPH; Jen Jen Chang, PhD, MPH; Jonathan B. Kotch, MD, MPH

Childhood inter-parental violence exposure and dating violence victimization among 20-24 years old undergraduates in Dar es salaam
EN Helela – 2017 – dspace.muhas.ac.tz

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夏休み明け不登校を防ぐ3つの注意点

第1章 夏休み明け不登校の傾向

 長期休暇後、特に夏休み明けの不登校は、多くの学校現場で共通して見られる課題です。ここでは文部科学省の調査や関連論文を参考にその背景や要因を深掘りしていきます。

文部科学省の学校保健統計調査では、不登校児童生徒数の推移や不登校の原因に関するデータが公表されています。長期休暇明けの不登校率は、通常学期よりも高くなっています。この現象は単に学校という場から離れることで生じる生活リズムの乱れや、新たな学年への進級に伴う不安だけでなく、より複雑な要因が絡み合っていると考えられます。国内外の研究によると夏休み明けに不登校になる子どもは、もともと学校生活に不安を抱えていたり、家庭環境に問題を抱えていたりするケースが多いことも報告されています。

夏休み明けの不登校の特徴

長期休暇の後、不登校となる子どもたちは、様々なサインを示します。これらのサインは、単なる怠け心や甘えではなく、心のSOSである可能性が高いため、見過ごさないことが大切です。

行動面での特徴

  • 登校拒否: 学校へ行くことを極端に恐れるため、様々な理由をつけて登校を拒否します。「体調が悪い」「具合が悪い」と訴えたり、「学校に行きたくない」と直接的に表現したりする場合もあります。
  • 登校遅延: 学校には行くものの、いつもより大幅に遅刻したり、何度も遅刻を繰り返したりします。
  • 早退: 学校へは行くものの、途中で体調不良を訴えて帰宅したり、授業中に具合が悪くなって早退したりします。
  • 逃走: 学校へ着いても、すぐに校庭を出て逃げてしまうことがあります。

心理面での特徴

  • 不安感: 学校で何か悪いことが起こるのではないかと、強い不安を感じています。特に、新しい学期やクラス替えなど、環境の変化に大きな不安を感じることがあります。
  • 孤独感: 長期休暇中に友達とあまり会えなかったり、新しい友達を作れなかったりすることで、孤独感を感じています。
  • 無力感: 長期休暇中の自由な時間から、再び規則的な学校生活に戻ることが難しく、無力感を感じています。
  • 抑うつ状態: 長期休暇中の生活リズムの乱れや、人間関係の悩みなどから、気分が落ち込み、意欲が低下している状態です。

身体面での特徴

  • 頭痛、腹痛、吐き気: これらの症状は、ストレスや不安が原因で現れることがあります。特に、長期休暇中に不規則な生活を送っていたり、十分な睡眠を取れていなかったりすると、これらの症状が出やすくなります。
  • 不眠: 長期休暇中の生活リズムが乱れ、夜眠れず、日中に眠気を強く感じる状態が続いています。
  • 食欲不振: 長期休暇中は好きなものを好きなだけ食べることができたため、学校が始まると食欲が減退したり、体重が減少したりすることがあります。
  • 倦怠感: 長期休暇中はゆっくりと過ごしていたため、学校が始まると体がだるく感じたり、何をするにもやる気が起きなかったりします。

その他の特徴

  • 友だちとの関係の変化: 長期休暇中に友達と連絡を取らなかったり、価値観が変化したりすることで、人間関係に変化が生じることがあります。
  • 興味の喪失: 長期休暇中に新しい趣味を見つけたり、興味のあることを追求したりしていたため、以前の興味が薄れてしまうことがあります。
  • ひきこもり: 部屋にこもり、家族とのコミュニケーションも減ります。特に、長期休暇中に家族と過ごす時間が多かった場合は、一人になりたいという気持ちが強くなることがあります。

第2章 夏休み後に不登校になりやすい要因

 夏休みなどの長期休暇明けに不登校になる子どもたちは、様々な要因が複雑に絡み合って学校に行けなくなっているケースがほとんどです。主な要因を大きく3つに分けて見ていきましょう。

1. 学校環境の変化

長期休暇明けは、学校環境が大きく変わるタイミングです。新しいクラスになったり、担任の先生が変わったり、学習内容が高度になったりすることで、子どもたちは様々な不安やストレスを抱えることがあります。

  • クラス替え: 新しいクラスで馴染めず、孤立感を感じてしまう。特に、内向的な性格の子どもや、以前のクラスで良好な人間関係を築いていた子どもは、新しい環境に戸惑い、学校へ行くのが億劫になることがあります。
  • 教師との関係: 新しい担任の先生との関係がうまくいかず、学校へ行くのが億劫になる。特に、前の担任の先生との関係が良好だった場合、新しい先生との関係性が築けないことで、学校に対する信頼感が失われてしまうことがあります。
  • 学習内容の変化: 新しい教科や難しい内容の学習が始まり、ついていけなくなる不安を感じます。特に学習の遅れを感じている子どもは、学校へ行くこと自体を避けるようになることがあります。

2. 人間関係のトラブル

学校での人間関係は、子どもたちの心の安定に大きな影響を与えます。長期休暇明けに人間関係に変化が生じると、子どもたちは強いストレスを感じ、不登校につながる可能性があります。

  • いじめ: いじめを受けている、または目撃していることで、学校へ行くのが怖い。いじめは、子どもたちの心身に深刻なダメージを与え、不登校の大きな原因となります。
  • 友達関係のトラブル: 友達との関係がこじれてしまい、学校に行きたくなくなる。特に、親しい友達との関係が悪化すると、学校に行く楽しみが減り、学校を避けるようになります。
  • 異性関係: 異性との関係に悩み、学校で顔を合わせるのが恥ずかしいと感じたり、避けたりするようになります。特に、思春期を迎えた子どもは、異性との関係に敏感になりがちです。

3. 心理的な要因

長期休暇明けには、様々な心理的な要因が不登校に繋がることがあります。

  • 不安: 将来のことや、自分の将来について不安を感じます。特に、進学や就職を控えている子どもは、将来に対する不安から学校を避けることがあります。
  • うつ病: うつ病などの精神疾患を患っている。うつ病は、意欲の低下、無気力、集中力の低下などの症状を引き起こし、学校生活に支障をきたすことがあります。
  • 自己肯定感の低下: 自分のことを否定的に考え、価値を感じられない。特に、長期休暇中にSNSなどで自分と他人を比較したり、ネガティブな情報に触れたりすることで、自己肯定感が低下することがあります。

これらの要因は、単独で現れるのではなく、複合的に影響し合って不登校を引き起こすことが多くあります。

第3章 中学生向け3つの注意点

 中学生は思春期という大きな変化の時期を迎えており、特に長期休暇明けは、新しい学年やクラスへの不安、人間関係の変化など、様々なストレスを抱えやすくなります。ここでは、家庭で実践可能な具体的な取り組みを通して、不登校を未然に防ぐためにサポートする方法を紹介します。

1. コミュニケーションの促進:心の絆を深める

思春期の子どもたちは、同世代との関係を重視する傾向があります。そのため、クラスメイトとの良好な関係を築くためのコミュニケーションの機会を積極的に作り出すことが大切です。

  • 普段の会話: 食卓の時間や寝る前など、短い時間でも良いので、今日の出来事や友達との話を聞く機会を作りましょう。
  • 共感と傾聴: 話を遮らずに最後まで聞き、子どもの気持ちを共感してあげましょう。
  • 相談しやすい雰囲気づくり: 子どもが悩みを打ち明けやすいような、温かい雰囲気作りを心がけましょう。
  • 家族で過ごす時間: 家族で一緒に食事をしたり、ゲームをしたりするなど、家族との触れ合いを通して心の安定を図りましょう。

2. 将来への不安を解消:一緒に未来を描く

中学生は、進路選択や将来のことなど、様々な不安を抱えています。これらの不安を解消し、将来への希望を持てるようにサポートすることが大切です。

  • 情報収集: 進路に関する情報を一緒に集め、選択肢を広げましょう。
  • 体験学習: 職業体験やボランティア活動など、様々な体験を通して、興味のあることや得意なことを発見する機会を作りましょう。
  • 目標設定: 子どもと一緒に具体的な目標を設定し、達成に向けて一緒に努力しましょう。
  • 将来の話: 将来的にどんな大人になりたいか、どんなことをしたいかなど、将来について語り合う時間を持ちましょう。

3. 自己肯定感を高める:自分を大切にする心を育む

中学生は、外見や学力など、様々なことで自分を評価しがちです。そのため、自己肯定感を高め、自分のことを好きになれるようにサポートすることが大切です。

  • 子どもの良いところを具体的に褒める: 外見だけでなく、性格や行動など、子どもの良いところを具体的に褒めましょう。
  • 失敗を恐れない雰囲気を作る: 失敗しても叱らず、次のステップに繋がる経験として捉えるようにしましょう。
  • 得意なことや好きなことを応援する: 子どもが興味を持っていることや得意なことを応援し、自信をつけさせてあげましょう。

第4章 小学生向け3つの注意点

 小学生は社会経験が浅く変化に敏感なため、長期休暇明けの環境の変化に戸惑い、不登校になることがあります。そこで、家庭でできる3つの具体的な取り組みを通して、小学生が健やかに学校生活を送れるようサポートする方法を紹介します。

1. 遊びの時間を確保:心身ともに健やかに育む

遊びは、子どもたちの心身の成長に不可欠なものです。遊びを通して、様々なことを学び、社会性を身につけていきます。

  • 自由な遊びの時間: 週末や長期休暇中には子どもたちが自由に遊び、体を動かせる時間を確保しましょう。
  • 自然と触れ合う: 公園や自然の中で遊ぶ機会を作って五感を刺激し、心身をリフレッシュさせましょう。
  • 友達との時間を大切にする: 友達と遊ぶ機会を設け、コミュニケーション能力を育みましょう。

2. 安定した家庭環境を築く:心の拠り所となる

家庭環境は、子どもたちの心の安定に大きな影響を与えます。特に、長期休暇明けは学校生活のリズムが変わるため、家庭での安定感がより一層重要になります。

  • 規則正しい生活: 寝る時間や起きる時間を決めるなど、規則正しい生活リズムを送りましょう。
  • コミュニケーションを大切にする: 食卓の時間や寝る前など、短い時間でも良いので、子どもとコミュニケーションをとる時間を大切にし、子どもの様子を伺いましょう。
  • 家族で過ごす時間: 家族で一緒に過ごす時間を増やし、温かい家庭環境を築きましょう。

3. 学校との連携を深める:子どもの成長を共に見守る

小学生は特に担任やクラス内の影響が強くでます。夏休み明けに学校と家庭が密に連携することで、子どもの様子に合わせた適切なサポートを行うことができます。

  • 担任の先生との連携: 定期的に担任の先生と連絡を取り合い、子どもの様子について相談しましょう。
  • 学校行事への参加: 運動会や学芸会など、親が学校行事へ積極的に参加し、子どもを励ましたり、努力を褒めるようにしましょう。
  • 学校への相談: 不安なことがあれば、遠慮せずに学校に相談しましょう。担任も注意を払ってくれる確率が高まります。

第5章 参考:各国の取り組み状況

近年、不登校は世界的な問題として注目されており、各国で様々な取り組みが行われています。

フィンランド:早期介入と個別化教育の重視

フィンランドは、世界的に見ても教育水準が高く、不登校率が低いことで知られています。その背景には、早期介入個別化教育を重視した取り組みがあります。

  • スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置: 各学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが配置されており、子どもたちの心の問題に早期に対応しています。彼らは、子どもたちとの個別面談や、教師や保護者との連携を通じて、子どもたちの抱える悩みや不安を聞き出し、適切な支援を行っています。
  • 少人数制のクラス: フィンランドの学校は、クラスの人数が少なく、一人ひとりの子どもに目が行き届きやすい環境が整っています。教師は、子どもたちと密接な関係を築き、個々の能力や性格に合わせて指導を行っています。
  • 個別学習計画: 各子どもに合わせて、個別学習計画を作成し、一人ひとりのペースで学習を進めることができます。これにより、学習の遅れや、難しいと感じている科目への不安を軽減することができます。

アメリカ:多様性への対応と包括的な支援体制

アメリカは、多様な民族や文化を持つ人々が暮らす国であり、不登校の原因も多様です。そのため、アメリカでは、多様性への対応包括的な支援体制の構築が求められています。

  • スクールカウンセラーの役割拡大: アメリカのスクールカウンセラーは、従来の進路指導だけでなく、心のケアや危機介入など、幅広い役割を担っています。また、文化背景や言語の異なる子どもたちに対して、適切な支援を提供できるよう、多文化理解教育も重視されています。
  • コミュニティとの連携: 学校だけでなく、地域住民やボランティア団体、非営利団体など、様々な主体が連携して、子どもたちの支援を行っています。
  • メンタルヘルス教育の充実: 学校でメンタルヘルス教育を充実させ、子どもたちが自分の心の状態について理解を深め、適切な対処法を身につけることができるように支援しています。

日本:法整備の進展と地域包括支援体制の強化

日本においては、いじめ防止対策推進法の改正など、法整備が進み、不登校対策に関する意識が高まってきました。また、地域包括支援センター児童相談所など、子どもたちの相談窓口も充実しつつあります。

  • スクールソーシャルワークの導入: 近年、日本の学校でもスクールソーシャルワークが導入されつつあり、子どもたちの生活環境や家庭環境の問題に働きかけ、学校生活への適応を支援しています。
  • フリースクールや居場所の拡充: 不登校の子どもたちが安心して過ごせる場所として、フリースクールや居場所の数が徐々に増えています。
  • 保護者支援の強化: 保護者向けの相談窓口や、子育て支援講座などが充実し、保護者も安心して子どもをサポートできる体制が整いつつあります。

その他の国の取り組み

  • イギリス: EBD(Emotional and Behavioural Difficulties:情緒的・行動上の困難)を持つ子どものための支援体制が整備されています。
  • オーストラリア: インディジニアス(先住民)の子どもたちに対する教育格差解消に向けた取り組みが積極的に行われています。
  • 韓国: 学校暴力防止対策が強化され、不登校の原因となるいじめ問題の根絶を目指しています。

各国共通の課題と今後の展望

各国は、それぞれの国の状況や文化に合わせて、様々な取り組みを行っていますが、共通して抱えている課題もあります。それは、教員の負担増や、十分な予算の確保地域社会との連携不足などです。

今後、不登校問題を解決するためには、これらの課題を克服し、より効果的な支援体制を構築していく必要があります。

  • 教員の負担軽減: 教員の働き方改革を進め、子どもたちとの向き合う時間を増やす。
  • 予算の増額: 教育予算を増やし、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充する。
  • 地域社会との連携強化: 地域住民やボランティア団体、NPO法人など、様々な主体が連携して、子どもたちの支援を行う。
  • 早期発見・早期介入体制の構築: 子どもたちの心の変化に早期に気づき、適切な支援を行う体制を構築する。
  • 多様な学びの場の提供: 学校だけでなく、地域や家庭など、様々な場所で子どもたちが学び、成長できる機会を提供する。

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代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

子どもに手を上げてしまう親へ:親子相互交流療法(PCIT)の効果

2004年、オクラホマ大学で行われた研究は、児童虐待という深刻な問題に光を当てました。この研究では、1100人の虐待経験を持つ親を対象とし、画期的な治療法である「親子相互交流療法(PCIT=Parent-Child Interaction Therapy)」と、従来型の「怒りの抑制療法」の効果を比較しました。

7割を超える親が子どもに暴力を振るっていた

研究結果はいずれも衝撃的でしたが、特に深刻だったのは、73%の親が子どもを叩いたり殴ったりするなどの危害を加えていたという事実です。さらに、20%の親は骨折や重傷を引き起こすほど激しい暴力をふるっていたことが明らかになりました。

虐待の根底にある「子育ての無力感」

なぜ親たちは子どもに暴力をふるってしまうのでしょうか?研究者たちは、多くの親が「子どもが悪いからしつけなければいけない」と親としての教育の至らなさに苦しんでいたことを発見しました。

オクラホマ大学健康科学センターの研究教授であるビバリー・ファンダーバーク氏は、こう語ります。
「親たちは『あまりにダメで聞き分けのない子だから、しつけなきゃいけなかった』と訴えます。まるで自分自身が親として失格であるかのように感じ、従わせるには暴力しかないと思い込んでいたのです」

画期的なアプローチ:親子相互交流療法(PCIT)

ファンダーバーク氏と彼女のチームは、この負の連鎖を断ち切るために、PCITという革新的な治療法を開発しました。PCITは、親と子のコミュニケーションと遊び方に焦点を当て、虐待の悪循環を断ち切ることを目的としたものです。

PCITの第一段階では、親は1日5分間、子どもと遊ぶという課題を与えられます。しかし、この遊びには重要なルールがあります。

  • 子どもに100%の注目を注ぐ
  • 電話に出ない
  • 命令や批判はしない
  • ただ、子どもを楽しませる

最初は戸惑う親も多いですが、セラピストはマジックミラー越しに親を観察し、イヤホンを通じてリアルタイムで指導を行います。

子ども中心の交流がもたらす変化

ファンダーバーク氏は、一般的な親子交流とPCITにおける交流の違いをこう説明します。

例えば、親子でぬり絵をしているとき、子どもが嫌がる色を塗り始めたら、親は別の紙を用意して、子どもの真似をして同じ色を塗ります。そして、「緑に塗るの?じゃあ私も緑に塗ろうっと」と、子どもの行動を肯定的に受け止め、遊びに積極的に参加していくのです。

こうした子ども中心の交流を通して、親たちは以下のことを学びます。

  • 子どもの気持ちに共感し、尊重する
  • 子どもの行動を否定せず、肯定的に受け止める
  • 子どもをコントロールしようとするのではなく、遊びを通して関係を築く

怒りの抑制療法との比較:圧倒的なPCITの効果

研究では、PCITを受けた親と怒りの抑制療法を受けた親を比較しました。その結果、PCITを受けた親は、虐待を再発する確率が怒りの抑制療法を受けた親の3分の1であることがわかりました。

これは驚くべき結果であり、PCITがいかに虐待の根本原因にアプローチし、効果的な解決策を提供できるのかを示しています。

虐待のメカニズムと解決への道

PCITは完璧な解決策ではありません。実際、治療を受けた一部の親は再び子どもに暴力を振るってしまいました。しかし総合的には、虐待の再発率を大幅に低減するPCITの効果が証明できています。

虐待する親は、必ずしも子どもを憎んでいたり、意地悪なわけではありません。多くの場合、子育てに自信がなく、適切な方法で子どもと接することができていないのです。PCITのようなシンプルな介入が、虐待という深刻な問題を解決する鍵となる可能性を秘めているのです。

まとめ

児童虐待は、子どもにとっても、社会にとっても深刻な問題です。しかし、PCITのような画期的な治療法によって、この問題を解決する希望が見えてきました。

この文章が、虐待の根本原因と解決策について理解を深め、虐待のない社会の実現に向けて貢献することを願っています。

参考サイト

https://pcit-japan.com/
https://pcittc-japan.com/

ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

不登校の兆候と対策(小学生・男女別)

はじめに

小学校生活は、義務教育の始まりであり、子どもにとって学びや成長の場であると同時に、新たな環境への適応や人間関係の構築など、様々な課題に直面する時期でもあります。

近年、日本国内における不登校は増加傾向にあり、2022年度には年間約14万人が不登校を経験しています。文部科学省によると、このうち男子児童は約8万人と、全体の約57%を占めています。

不登校は、決して子どもの甘えや弱さだけを原因とする事象ではありません。様々な要因が複雑に絡み合って起こる問題であり、早期発見・早期対応が重要です。

そこで今回は、小学生における不登校の兆候と対策について、男女別に詳しく解説していきます。

1. 小学生の不登校の現状

文部科学省の調査によると、2022年度における小学生の不登校率は4.2%であり、過去最高の水準となっています。不登校児童の男女比は男子の方が多く、男子児童が57%、女子児童が43%となっています。

2. 男女別の不登校の兆候

不登校の兆候は、男女共通のものと、男女間で若干の違いが見られるものがあります。

2.1 共通の兆候

  • 身体症状
    頭痛、腹痛、嘔吐、不眠、食欲不振、疲労感、無気力など
  • 精神症状
    憂うつ感、不安感、イライラ、集中力の低下、無気力など
  • 行動の変化
    朝起きられない、登校の準備を渋る、学校へ行かない理由を曖昧にする、家から出ようとしない、友達との約束をキャンセルする、ゲームやテレビばかり見るなど
  • 学習意欲の低下
    授業への関心の低下、成績の低下、宿題をしないなど
  • 人間関係の悪化
    いじめ、友達とのトラブル、先生との対立など

2.2 男子児童特有の兆候

  • 攻撃的な行動
    友達や家族に暴力を振るう、物を壊すなど
  • 内向的な行動
    友達と遊ばない、一人でいることが多いなど
  • 落ち着きのない行動
    じっとしていられない、そわそわするなど

具体例

  • いつも元気だったのに、最近急に学校に行きたがらなくなった。
  • 友達と喧嘩ばかりするようになった。
  • 朝起きるのがつらそうにして、登校の準備をいつもギリギリまでしない。
  • 授業中にそわそわしたり、集中力が続かない様子がある。
  • ゲームやテレビばかり見て、外に出ようとしない。

2.3 女子児童特有の兆候

  • 身体的な症状
    腹痛、頭痛などの身体症状を訴える
  • 完璧主義
    先生や親の期待に応えようとプレッシャーを感じる
  • 思春期特有の変化
    体の変化などに関する悩みを抱える

具体例

  • 毎日のように腹痛や頭痛を訴えて、学校を休むことが多い。
  • 友達と仲良く遊んでいる様子を見かけない。
  • 体重が極端に増減したり、拒食や過食などの症状が現れる。
  • 先生や親に対して反抗的な態度をとることがある。
  • 自分に自信が持てず、ネガティブな発言が多い。

3. 男女別の不登校への対策

3.1 男子児童への有効な対策

  • 父親の積極的な関わり
    • 一緒に遊ぶ時間を作る: 週末や休日に、キャッチボールやサイクリングなど、親子で楽しめる活動をする。
    • 子どもの話をじっくり聞く: 学校生活のこと、友達のこと、将来の夢など、子どもの話を興味を持って聞く。
    • 父親としての役割を意識する: 規律や責任感、社会性など、父親として大切なことを子どもに教える。
    • スキンシップを積極的に取る: 抱きしめたり、頭を撫でたり、スキンシップを通して愛情を表現する。
  • 運動やスポーツの機会を増やす
    • チームスポーツへの参加を勧める: 野球やサッカーなどのチームスポーツに参加することで、協調性やコミュニケーション能力を育むことができる。
    • 個人のスポーツにも目を向ける: ランニングや水泳などの個人のスポーツも、達成感や自信を得るのに有効である。
    • 運動習慣を身につける: 毎日30分以上、体を動かす時間を設ける。
    • 運動を通して目標を達成する: 運動会やマラソン大会などの目標を設定し、達成感を味わう。
  • 男子同士のグループ活動:
    • ボーイスカウトや少年野球チームなどの活動に参加する: 男同士のグループ活動を通して、仲間意識や協調性を育むことができる。
    • キャンプや登山などのアウトドア活動に参加する: アウトドア活動を通して、自然と触れ合い、たくましさや冒険心を育むことができる。
    • 共通の趣味を持つ友達と遊ぶ: ゲームやスポーツなど、共通の趣味を持つ友達と遊ぶことで、社会性を育むことができる。

3.2 女子児童への有効な対策

  • 共感的な態度で話を聞く
    • 子どもの話を最後までじっくり聞く: 話を遮ったり、否定したりせず、最後まで子どもの話を聞く。
    • 子どもの気持ちに寄り添う: 言葉だけでなく、表情や態度で共感を示す。
    • 「つらいね」「大変だったね」などの共感の言葉を伝える: 子どもが自分の気持ちを理解してもらえたと感じられるようにする。
  • 友達との関係改善をサポートする
    • 友達とのトラブルの原因を探る: 子どもが友達とどのようなトラブルを抱えているのか、原因を探る。
    • 友達と話し合う機会を設ける: 子どもと友達が直接話し合い、問題解決できるようサポートする。
    • 友達関係に関するアドバイスをする: 友達との接し方やコミュニケーション方法について、アドバイスをする。
    • 必要に応じて、学校やスクールカウンセラーに相談する: 問題が深刻な場合は、学校やスクールカウンセラーに相談し、専門的な支援を受ける。
  • 女性教員やカウンセラーの支援を受ける
    • 女性教員との面談: 女子児童は、男性教員よりも女性教員に相談しやすい傾向がある。
    • 女性カウンセラーによるカウンセリング: 女子児童特有の悩みや不安に理解のある女性カウンセラーによるカウンセリングを受ける。
    • グループワークやワークショップ: 女子児童同士が悩みを共有し、互いに支え合うことができるグループワークやワークショップに参加する。

4. デジタル・デトックスによる対策

デジタル・デトックスとは、デジタル機器の使用時間を制限したり、完全に断つことで、心身のリフレッシュを図る行為です。小学生の場合、デジタル・デトックスは以下のような効果が期待できます。

  • 生活習慣の改善
    デジタル機器の使用時間を制限することで、勉強や運動、読書など、他のことに時間を費やすことができます。規則正しい生活習慣を身につけることで、心身の健康を維持することができます。
  • 集中力の向上
    デジタル機器による情報過多は、集中力を低下させると言われています。デジタル・デトックスによって、情報を整理し、集中力を高めることができます。
  • ストレスの軽減
    SNSでの誹謗中傷やネットいじめなど、デジタル機器に関連するストレスは、不登校の原因の一つとなります。デジタル・デトックスによって、ストレスを軽減し、心の平穏を取り戻すことができます。
  • 家族との時間
    デジタル機器にばかり気を取られていると、家族とのコミュニケーションが減ってしまうことがあります。デジタル・デトックスによって、家族との時間を増やし、絆を深めることができます。
  • 睡眠の質の向上
    スマホやパソコンのブルーライトは、睡眠ホルモンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させることがわかっています。デジタル・デトックスによって、睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとることが可能になります。

5. メンタルヘルスの重要性

不登校は、決して子どもの甘えや弱さではありません。様々な要因が複雑に絡み合って起こる問題であり、早期発見・早期対応が重要です。

近年、日本では子どもの自殺者が増加しており、その背景には不登校や虐待、いじめなどの問題が潜んでいることが指摘されています。

子どもたちの心身の健康を守るためには、メンタルヘルスのケアが重要です。親御さんは、子どもの様子をよく観察し、何か異変を感じたら一人で抱え込まずに、周囲の人に相談することが大切です。

近年、政府は不登校対策に力を入れており、2016年には「不登校児童生徒等支援法」が施行されました。この法律では、不登校の子どもたちへの支援体制の強化や、スクールカウンセラーの配置などが義務付けられています。

また、民間団体による支援活動も活発化しています。NPO法人やボランティア団体などが、不登校の子どもたちやその家族のための居場所づくりや、学習支援、カウンセリングなどの活動を行っています。

6. まとめ

不登校は、決して子どもの甘えや弱さではありません。様々な要因が複雑に絡み合って起こる問題であり、早期発見・早期対応が重要です。

その際には男子と女子の傾向を把握することで、適切な対応を行える可能性が高まります。本記事がその一助となれば幸いです。更に詳しく知りたい場合や疑問がある場合はぜひお問い合わせください。

出典

不登校に関する統計データ

文部科学省「令和4年度学校基本統計調査」
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/sonota/2024.htm
文部科学省「不登校児童生徒等の実態に関する調査(令和4年度)」
https://www.mext.go.jp/

不登校の兆候と対策

全国不登校ネットワーク「不登校の兆候と対策」
https://futoko-net.org/do
NPO法人「登校拒否・不登校サポートセンター」
https://myanimelist.net/forum/?topicid=629791&show=610
文部科学省「不登校・長期欠席児童生徒等のための支援マニュアル」
https://www.mext.go.jp/content/211006-mxt_jidou02-000018318-1.pdf

デジタル・デトックス

総務省「デジタル・デトックスに関する調査」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc113400.html
厚生労働省「情報通信技術(ICT)と健康に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/index.html

メンタルヘルス

厚生労働省「こころの健康に関する情報提供サイト」
https://www.mhlw.go.jp/index.html
文部科学省「いじめ防止対策」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302904.htm

ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

不登校の兆候と対策(中学生・男女別)

1. はじめに

思春期は、心身ともに大きな変化を経験する時期であり、多くの葛藤やストレスを抱えやすい時期でもあります。学校生活においても、学業や人間関係など様々な課題に直面し、プレッシャーを感じることも少なくありません。

近年、日本国内における不登校は増加傾向にあり、2022年度には年間約17万人が不登校を経験しています。文部科学省によると、このうち女子生徒は約8万人と、全体の約47%を占めています。

不登校は、決して子どもの甘えや弱さだけを原因とする事象ではありません。様々な要因が複雑に絡み合って起こる問題であり、早期発見・早期対応が重要です。

2. 国際的な調査結果

2.1 OECD加盟国における不登校率

経済協力開発機構(OECD)が実施する国際学力調査(PISA)の2018年結果によると、日本の15歳児の不登校率は5.1%でした。これは、OECD加盟国平均の3.1%を大きく上回っており、調査対象37カ国中18番目に高い水準となっています。
なお男女別の不登校率は、女子生徒の方が男子生徒よりも高くなっており、日本だけでなく世界共通の課題です。
また文部科学省が実施する「令和4年度学校基本統計調査」によると、2022年度の日本の不登校児童生徒数は年間約17万人で、前年度より約1万人増加しています。不登校率は4.5%で、こちらも過去最高の水準となっています。
日本の不登校率が高い理由は、複合的な要因が絡み合っていると考えられます。

2.2 日本における不登校の要因

  • 学校へのプレッシャー:
    日本の教育システムは、学業成績を重視する傾向が強く、子どもたちへのプレッシャーが大きいと言われています。特に、大学進学や就職への競争が激化しており、子どもたちは常に高い目標を達成することを求められます。
    こうしたプレッシャーは、子どもたちの精神的な負担となり、不登校につながる要因の一つと考えられています。
  • 厳しい校則や教師との関係:
    日本の学校では、厳しい校則が設けられている場合が多く、子どもたちの自由な行動を制限しています。また、教師との関係がうまくいかず、学校生活にストレスを感じている子どもも少なくありません。このような学校環境は子どもたちの居心地を悪くし、不登校につながる要因の一つと考えられています。
  • いじめ:
    近年、日本ではいじめの深刻化が問題となっています。いじめの被害を受けた子どもは、学校生活に不安を感じ、不登校に陥ってしまうケースが多くあります。またSNSの普及により、ネット上のいじめ(cyberbullying)も問題となっています。
  • 学習への困難さ:
    個々の学習ペースや理解度に合わせた教育が十分に提供されていない場合、学習への困難を抱える子どもが生まれ、それが不登校につながる可能性があります。
    特別支援教育の充実も進められていますが、依然として支援が十分に届いていない子どもも少なくありません。
  • 家庭環境:
    家庭環境の問題も、不登校の要因の一つとして挙げられます。虐待や貧困、家族間の不和などの問題を抱えている子どもは、学校生活に安定することが難しく、不登校に陥ってしまう可能性があります。

3.不登校の兆候

3.1 男女共通の兆候

不登校の兆候は、男女共通のものと、男女間で若干の違いが見られるものがあります。
共通の兆候としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 身体症状:
    頭痛、腹痛、嘔吐、不眠、食欲不振、疲労感、無気力など
  • 精神症状:
    憂うつ感、不安感、イライラ、集中力の低下、無気力など
  • 行動の変化:
    朝起きられない、登校の準備を渋る、学校へ行かない理由を曖昧にする、引きこもり傾向、学業への関心の低下、成績の低下、学校行事への参加を拒否するなど
  • 学習意欲の低下:
    授業への関心の低下、成績の低下、学校行事への参加を拒否するなど
  • 人間関係の悪化:
    いじめ、友達とのトラブル、先生との対立など

3.2 男女別の兆候

女子生徒の場合
身体症状や精神症状が現れることが多い傾向があります。具体的には、頭痛、腹痛、嘔吐、不眠、食欲不振、憂うつ感、不安感、イライラ、集中力の低下、無気力などが挙げられます。

男子生徒の場合
行動の変化や人間関係の悩みが現れることが多い傾向があります。具体的には、朝起きられない、登校の準備を渋る、学校へ行かない理由を曖昧にする、引きこもり傾向、学業への関心の低下、成績の低下、学校行事への参加を拒否する、いじめ、友達とのトラブル、先生との対立などが挙げられます。

4. 不登校の兆候への対策

4.1 女子生徒の対策

特に共感的な態度で話を聞くことが重要です。また、無理強いはせず、子どものペースに合わせることが大切です。

具体的には、以下のような点に留意しましょう。

  • 女子生徒特有の悩みや不安に耳を傾ける:
    女子生徒は、男子生徒よりも身体的・精神的な変化の影響を受けやすい傾向があります。体型や容姿への悩みなど、女子生徒特有の悩みや不安に共感を示し、理解しようと努めましょう。
  • 友達との関係改善をサポートする:
    女子生徒にとって、友達との関係は特に重要です。友達とのトラブルやいじめなどの問題を抱えている場合は、積極的に話を聞き、解決に向けてサポートしましょう。
  • 女性カウンセラーの支援を受ける:
    女子生徒特有の悩みや問題を抱えている場合は、女性カウンセラーなど、専門家の支援を受けることも有効です。

4.2 男子生徒の対策

男子生徒の場合、具体的なアドバイスをすることが有効な場合があります。また、友達や先生との関係改善をサポートすることも大切です。

具体的には、以下のような点に留意しましょう。

  • 具体的な解決策を提案する:
    男子生徒は、具体的な解決策を求める傾向があります。学校に行けない理由や課題について、一緒に考え、具体的な解決策を提案しましょう。
  • 友達や先生との関係改善をサポートする:
    友達や先生とのトラブルは、男子生徒にとって大きなストレスとなります。友達や先生との関係改善に向けて、アドバイスやサポートを行いましょう。
  • 部活動やスポーツなどの活動に勧める:
    部活動やスポーツなどの活動は、男子生徒にとって達成感や充実感を得られる貴重な機会となります。興味のある活動を見つけて、積極的に参加するような意識付けを行いましょう。

4.3 デジタル・デトックスによる対策

デジタル・デトックスとは、デジタル機器の使用時間を制限したり、完全に断つことで、心身のリフレッシュを図る行為です。中学生の男女共に、デジタル・デトックスは以下のような効果が期待できます。

  • 生活習慣の改善:
    デジタル機器の使用時間を制限することで、勉強や運動、読書など、他のことに時間を費やすことができます。規則正しい生活習慣を身につけることで、心身の健康を維持することができます。
  • 集中力の向上:
    デジタル機器による情報過多は、集中力を低下させると言われています。デジタル・デトックスによって、情報を整理し、集中力を高めることができます。
  • ストレスの軽減:
    SNSでの誹謗中傷やネットいじめなど、デジタル機器に関連するストレスは、不登校の原因の一つとなります。デジタル・デトックスによって、ストレスを軽減し、心の平穏を取り戻すことができます。
  • 人間関係の改善:
    対面でのコミュニケーションを減らすことで、人間関係が希薄化する可能性があります。デジタル・デトックスによって、家族や友達との時間を増やし、人間関係を深めることができます。
  • 睡眠の質の向上:
    スマホやパソコンのブルーライトは、睡眠ホルモンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させることがわかっています。デジタル・デトックスによって、睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとることが可能になります。

5. メンタルヘルスの重要性

不登校は、決して子どもの甘えや弱さではありません。様々な要因が複雑に絡み合って起こる問題であり、早期発見・早期対応が重要です。

近年、日本では子どもの自殺者が増加しており、その背景には不登校や虐待、いじめなどの問題が潜んでいることが指摘されています。

子どもたちの心身の健康を守るためには、メンタルヘルスのケアが重要です。親御さんは、子どもの様子をよく観察し、何か異変を感じたら一人で抱え込まずに、周囲の人に相談することが大切です。

近年、政府は不登校対策に力を入れており、2016年には「不登校児童生徒等支援法」が施行されました。この法律では、不登校の子どもたちへの支援体制の強化や、スクールカウンセラーの配置などが義務付けられています。

また、民間団体による支援活動も活発化しています。NPO法人やボランティア団体などが、不登校の子どもたちやその家族のための居場所づくりや、学習支援、カウンセリングなどの活動を行っています。

6. まとめ

不登校は、決して子どもの甘えや弱さではありません。様々な要因が複雑に絡み合って起こる問題であり、早期発見・早期対応が重要です。
その際には男子と女子の傾向を把握することで、適切な対応を行える可能性が高まります。本記事がその一助となれば幸いです。更に詳しく知りたい場合や疑問がある場合はぜひお問い合わせください。

参考文献

文部科学省不登校等問題児童生徒対策について https://www.mext.go.jp/
全国不登校ネットワーク https://futoko-net.org/inquiry
厚生労働省こころの健康に関する情報サイト https://www.mhlw.go.jp/index.html
OECDPISA2018 http://www.oecd.org/pisa/publications/
MEXT WhitePaperonEducationinJapan2022 https://www.mext.go.jp/en/publication/whitepaper/index.htm

ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

小学生、中学生のスマホ制限・メリットとデメリット

小学生、中学生のスマホ制限・メリットとデメリット

1. 小中学生のスマートフォン利用状況

 近年、スマートフォンは子どもたちの生活に欠かせないものとなり、情報収集やコミュニケーションツールとして広く活用されています。総務省の調査によると、2022年時点で、小学校高学年におけるスマートフォン保有率は86.8%、中学生では95.1%に達しています。

しかし、その一方で、長時間利用による健康への影響や、ネット依存、サイバーイジメなどの問題も指摘されています。文部科学省の調査では、2021年には、小学生の30.2%、中学生の40.2%が「スマホ依存症」の可能性があると回答しています。

1.1 スマートフォン利用時間

総務省の調査によると、2022年における小学生の1日の平均スマートフォン利用時間は68分、中学生では106分となっています。これは、2019年と比べて増加傾向にあり、特に中学生の利用時間が顕著に伸びています。

また、就寝前のスマートフォン利用も問題視されています。調査によると、小学生の約6割、中学生の約8割が寝る直前にスマートフォンを利用していることがわかっています。

1.2 スマートフォン利用目的

 スマートフォンの利用目的としては、ゲーム、動画視聴、SNS、情報収集などが挙げられます。特に、小学生はゲームや動画視聴に時間を費やす傾向が強く、中学生はSNSの利用時間が長くなっています。

2. 子どものスマートフォン利用についての各国の対応

 先進国では、子どものスマートフォン利用に関する規制を設けている国が一般的です。代表的な国の事例を紹介します。

2-1. 欧米諸国

2-1.1 フランス

  • デジタル・クロノロジー法(2018年施行)
    • 3歳未満の子どもへのスマートフォン利用禁止
    • 13歳未満の子どもには就寝1時間前からの利用禁止
    • 保護者向けに、子どものスマートフォン利用時間を制限するアプリの提供
  • 「3・6・9・12」ルール
    • 3歳:絵本や歌などのアナログメディアに触れる
    • 6歳:家族と一緒に短時間でコンピュータを利用する
    • 9歳:インターネットを利用する前に、情報モラル教育を受ける
    • 12歳:自分のスマートフォンを持つ

2-1.2 イギリス

  • 子ども法(2020年改正)
    • 16歳未満の子ども向けに、SNSの利用時間を制限するアプリの開発
    • 学校における情報モラル教育の充実
    • ネットいじめ対策の強化

2-1.3 アメリカ

  • 小児科医学会(AAP)のガイドライン
    • 18ヶ月未満の子どもへのスクリーンタイム制限
    • 2歳以上の子どもへのスクリーンタイムは、1日1時間以内に制限
    • メディア利用は、家族と一緒に視聴し、内容について話し合う

2-2. アジア諸国

2-2.1 韓国

  • 青少年保護法(2011年施行)
    • 深夜0時から午前7時までの間、子どもがスマートフォンを利用できないようにする
    • 16歳未満の子どもが、オンラインゲームや動画配信サービスを利用するには、保護者の同意が必要
    • 学校における情報モラル教育の充実

2-2.2 中国

  • 青少年保護法(2021年改正)
    • 18歳未満の子どもが、オンラインゲームを利用できるのは1日1時間以内、週末は3時間以内
    • 14歳未満の子どもが、オンラインゲームを利用するには、保護者の同意が必要
    • 実名認証制度の導入

2-2.3 シンガポール

  • メディアリテラシー教育
    • 学校における情報モラル教育の充実
    • 保護者向けのワークショップ開催
    • 子ども向けのメディアリテラシー教材の開発

2-3. その他の地域

2-3.1 オーストラリア

  • eSmartプログラム
    • 学校や家庭で活用できる、情報モラル教育プログラム
    • 情報モラルやネット安全に関する教材や活動を提供

2-3.2 南アフリカ

  • Cyberbullying Act(2019年施行)
    • ネットいじめを違法行為とする法律
    • 被害者への支援体制の整備

2-4. 考察

各国の対応には、以下のような共通点と相違点が見られます。

共通点

  • 情報モラル教育の充実
  • 利用時間の制限
  • ネットいじめ対策の強化

相違点

  • 利用時間の具体的な制限時間
  • 規制対象となる年齢
  • 実名認証制度の導入の有無

これらの対応は、子どもたちの健全な成長を保護し、インターネットの悪影響から守るために有効な手段と考えられます。

3. スマートフォン利用のメリット

 しかしスマートフォンは一概に禁止すればよい訳でもありません。小・中学生にとっても、以下のようなメリットがあります。

3.1 学習

 学習アプリやオンライン教材などを活用することで、学習を効果的に進めることができます。学校の授業内容を復習したり、苦手科目を克服したりするのに役立ちます。

3.2 コミュニケーション

 家族や友人と、簡単に連絡を取り合うことができます。メールやSNS、ビデオ通話などを活用することで、離れて暮らす家族や友人とも気軽に会話することができます。

3.3 情報収集

 インターネットを通じて、様々な情報にアクセスすることができます。百科事典やニュース記事、学習資料などを簡単に閲覧することができ、学習や教養の向上に役立ちます。

3.4 日常利用

 スマートフォンには、アラーム機能や地図アプリ、音楽プレイヤーなど、様々な便利な機能が搭載されています。これらの機能を活用することで、日常生活をより便利に快適に過ごすことができます。

4. スマートフォン利用のデメリット

 よく知られていますがスマートフォンには、以下のようなデメリットがあります。特に子どもは自制が効きにくいため、就寝時間後も隠れて利用している場合もあります。

4.1 健康への影響

 長時間利用による人工光の浴びすぎは、睡眠障害や眼精疲労を引き起こす可能性があります。また、姿勢が悪い状態で長時間利用すると、背骨の歪みや肩こりなどの原因になります。

4.2 ネット依存

 スマートフォンに過度に依存してしまうと、現実世界での人間関係や活動がおろそかになり、社会性やコミュニケーション能力が低下する可能性があります。

4.3 サイバーイジメ

 SNSなどで悪意のある書き込みや画像を投稿されるサイバーイジメは、子どもにとって深刻な問題です。精神的なダメージに加え、最悪の場合、自殺に繋がる可能性も否定できません。

4.4 情報モラルの低下

 インターネット上には、不正確な情報や誹謗中傷など、悪質な情報も存在します。情報モラルが低いと、そのような情報に惑わされたり、自身もそのような情報を発信してしまったりする可能性があります。

4.5 生活への支障

 スマートフォンに夢中になりすぎて、勉強や家事などの生活に支障をきたす可能性があります。また、個人情報の漏洩やネット詐欺などの被害に遭うリスクもあります。

5. 不登校とスマートフォン利用の関係

 近年、不登校とスマートフォン利用の関係が指摘されています。調査によると、不登校の子どもの多くがスマートフォンを長時間利用していることがわかっています。

スマートフォン利用が不登校の直接的な原因とは断言できませんが、以下のような影響が考えられます。

  • 睡眠不足:
    スマートフォン利用による睡眠不足は、集中力や記憶力の低下、気分の落ち込みなどを引き起こし、不登校につながる可能性があります。
  • いじめ:
    SNSでのいじめや悪口は、子どもに大きな精神的負担を与え、不登校の原因となる可能性があります。
  • 現実逃避:
    スマートフォンゲームや動画視聴に夢中になることで、現実世界から逃避し、学校に行きたくないという気持ちになる可能性があります。
  • 依存症:
    スマートフォン依存症になると、日常生活に支障をきたし、不登校につながる可能性があります。

6. まとめ

スマートフォンは、子どもたちの生活に幾ばくかのメリットをもたらしますが、より大きなデメリットが存在します。

子どもたちがスマートフォンを健全に利用するために、保護者は以下のような点に注意することが大切です。

  • 利用時間を制限する:
    利用時間を制限することで、長時間利用による健康への影響やネット依存を防ぐことができます。
  • コミュニケーションを図る:
    子どもと積極的にコミュニケーションをとり、親子間の信頼関係を築いておくことが大切です。
  • ルールを設ける:
    スマートフォン利用に関するルールを明確にし、子どもと一緒に守るようにしましょう。
  • 専門家の相談:
    スマートフォン利用に関する問題が深刻な場合は、専門家に相談することをおすすめします。

スマートフォンは、子どもたちにとって学びやコミュニケーションの場として、大きな可能性を秘めたツールです。しかし、適切な利用を促さなければ、健康への影響やネット依存などのリスクも伴います。

最も身近な親がリスクを把握することで、子どもたちがスマートフォンを正しく利用し、より豊かな生活を送ることができるようにサポートしていきましょう。
そして親自身がスマートフォンばかり見ていると、それが手本となります。子どもの健全な生活を望む場合は、大人自身もスマートフォンとの関わりを見直すことも重要です。

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ToCo(トーコ)株式会社について

当社は、認知行動療法や海外の先行事例を基に、不登校の予防と再登校支援サービスを提供する企業です。

代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

乳幼児期の保育利用と不登校リスクの関係

乳幼児期の保育利用と不登校リスクの関係

はじめに

近年、共働き世帯の増加に伴い、乳幼児期の保育利用が低年齢化しており、多くの親御さんが保育施設に預ける選択を迫られています。しかし、この保育利用が小学校入学後の不登校リスクとどのような関係にあるのか、十分に議論されてきたとは言えません。

本論では、乳幼児期の保育利用と不登校リスクの関連性を明示し、不登校リスクを抑えるための考え方と具体的な対策について提案します。女性社会進出を推進しながら、子どもの健やかな成長をサポートする社会を目指す上で、保育環境の整備と家庭との連携の重要性に焦点を当てています。

1. 保育利用の低年齢化の現状

2021年の厚生労働省調査によると、0歳児から3歳児までの保育施設利用率は36.2%に達し、近年増加傾向にあります。特に都市部では、待機児童問題も深刻化しており、保育ニーズの高さが伺えます。

厚生労働省「保育を取り巻く状況について」

2. 乳幼児期の保育利用は不登校リスクになりうる

いくつかの研究では、乳幼児期の保育利用と不登校リスクの間に相関関係が示されています。例えば、国立公衆衛生研究所の研究では、0歳児から3歳児までの保育施設利用期間が長いほど小学校高学年時の不登校リスクが高くなることが指摘されています。

1. 保育利用と不登校リスクの関係性

保育施設利用が不登校リスクを高めるメカニズムとしては、以下のようなものが考えられます。

  • 親子の愛着形成への影響:乳幼児期は親子の愛着が形成される重要な時期であり、長時間保育施設に預けられることで十分な愛情表現やスキンシップを受けられる時間が減ってしまう可能性があります。
  • 生活習慣の乱れ:保育施設では集団生活による生活リズムの乱れや、病気の感染リスクなどが存在するため、健康状態や睡眠状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • ストレスの増加:新しい環境への適応や人間関係の構築など、乳幼児期は様々なストレスを経験する時期です。保育施設での生活は、子どもにとってさらに大きなストレスになり、情緒的な安定を損なう可能性があります。

2. 保育利用期間の長さの影響

上記の研究では、保育施設利用期間が長いほど不登校リスクが高くなるという傾向が示されていますが、これは保育施設そのものの良し悪しとは必ずしも結びついていません。大切なのは、質の高い保育環境 を選択し、家庭と連携して子どもの成長をサポートすることです。

3. 不登校リスクを抑えるために

乳幼児期の保育利用と不登校リスクの関係性において重要なのは、質の高い保育環境家庭との連携 を重視することです。単に保育施設利用時間を短くすれば良いという問題ではなく、子どもが安心して過ごせる環境作りと、親が子どもの成長にしっかりと関われる体制を整備することが求められます。

第一の対策:保育利用時間をなるべく減らせる労働環境を探す

女性が働きやすい社会を実現するためには、リモートワークフレックスタイム制 など、保育時間の確保を可能にする労働環境を整備することが重要です。企業は、女性のキャリアアップ支援とワークライフバランスの実現に向けた取り組みを積極的に推進する必要があります。

1. リモートワーク

リモートワークであれば、通勤時間やオフィスでの勤務時間を削減し、保育時間を確保しやすくなります。近年、情報通信技術の発展により、リモートワークを導入する企業が増加しており、今後も増加していくことが予想されます。

2. フレックスタイム制

フレックスタイム制は、始業・終業時間を柔軟に設定できる制度です。これにより、保育時間を確保したり、育児や家事と仕事の両立を図ったりすることが容易になります。長時間労働の是正や生産性の向上にもつながる効果が期待できます。

3. その他の対策

  • 企業内保育所地域外保育事業 の設置・拡充
  • 病児保育サービス の利用促進
  • 育休・育児休暇制度 の拡充
  • 家事代行サービスベビーシッター の利用促進

第二の対策:より質の高い保育環境を選ぶ

第一の対策はすべての人が講じることができるとは限りません。どうしても乳幼児期の保育を選択しなければいけない家庭もあります。

そのため次の対策としてより質の高い保育施設を選択することを提唱します。具体的には保育施設を選ぶ際に、保育士の経験・資格施設の環境 などを考慮することです。特に、乳幼児期は情緒的な発達が重要な時期であり、子どもの個性を尊重した保育親との連携 を重視する施設を選ぶべきです。

以下に、質の高い保育環境の具体的な判断基準と、選択する際に役立つ情報について詳しく説明します。

1. 保育士の経験・資格

保育士は、子どもの成長や発達をサポートする重要な役割を果たします。そのため、経験豊富な保育士や、国家資格である保育士資格 を有する保育士が多数配置されている施設を選ぶことが望ましいです。

また、子どもの発達に関する専門知識保育に関する資格 を有する保育士がいる施設も評価できます。

保育士情報については、厚生労働省の 「保育所情報検索サイト」 や、各保育施設のホームページを確認することができます。

2. 施設の環境

保育施設の環境も、子どもの健やかな成長に大きく影響します。施設を選ぶ際には、以下の点を考慮しましょう。

  • 広さや設備:子どもたちがのびのびと遊べる十分な広さがあり、遊具や教材などの設備が充実している施設
  • 清潔感:常に清潔に保たれており、衛生管理が徹底されている施設
  • 安全対策:遊具や施設の角が丸く安全性の高い素材を使用しているなど、安全対策がしっかりとされている施設
  • 自然と触れられる環境:公園や緑地など、自然と触れ合える環境がある施設

3. 個別保育

個別に子どもの発達や成長に合わせた保育を行っている施設は、より質の高い保育が期待できます。個別に子どもの様子を観察し、適切なサポートや指導を行ってくれる施設を選ぶことが重要です。

4. 親との連携

親の子育ての悩みや不安に寄り添い、密接なコミュニケーションをとることで、子どもの成長を共に支えることができる施設を選びましょう。保育士との日々の連絡帳や個別面談、保護者会などを通して、積極的に情報共有を行い、連携を強化することが大切です。

4. 今、不登校で悩む方へ

乳幼児期の保育利用が不登校リスクを高めると言っても、既に子どもが成長して小学校、中学校に入り、不登校に悩んでいる家庭は取り返しがつかないかと言えばそうではありません。すでに不登校で悩んでいる家庭に対して、以下のような視点からの提案があります。

1. 親子の愛着形成の重要性

不登校の原因は複雑であり、必ずしも親子の愛着不足が原因とは限りません。しかし、親子の強い絆は子どもの心の安定に重要な役割を果たします。日々の生活の中で、子どもとのスキンシップを積極的に取り、愛情をしっかりと伝えることが大切です。

2. 子どもとのコミュニケーション

子どもがどのようなことに悩んでいるのか、しっかりと話を聞いて理解しようと努めましょう。子どもが話しやすい環境を作り、安心して自分の気持ちを伝えられるようにサポートすることが重要です。

3. 専門家の相談

不登校に関する悩みや不安がある場合は、子どもの心療内科やスクールカウンセラー、教育相談員などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスやサポートを受けることで、解決の糸口を見つけられる可能性があります。

5. まとめ

乳幼児期の保育利用と不登校リスクの関係性については、様々な要因が複雑に絡み合っており、単純な因果関係を導き出すことは難しいと言えます。

しかし、質の高い保育環境を選択し、家庭との連携を強化することで、不登校リスクを軽減することは可能です。

女性が社会進出を諦めずに子育てと仕事の両立を図れる社会を目指し、子どもの健やかな成長をサポートしていくことが重要です。

参考文献

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ToCo(トーコ)株式会社について

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代表の子どもが不登校になった経験を発端として、年々増加する不登校の問題、家庭や学校が早期に対応することが難しい現状、そして不登校の予防が各家庭の属人的な努力に委ねられがちになる課題を解決するために、このサービスを立ち上げました。

導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。

子どもの挑戦と安全基地

子どもは、生まれたばかりの時は、親に完全に依存しています。親は、子どものすべての要求に応え、子どもを守る存在です。

子どもが成長するにつれて、徐々に自立していきます。しかし、子どもが新しいことに挑戦するときには、親の存在が大きな支えとなります。

子どもが新しいことに挑戦するときには、失敗や挫折を恐れることがあります。しかし、親が子どもを信じ、応援してくれることで、子どもは安心して挑戦することができます。

例えば、初めて公園に行った子どもはなかなか親から離れようとしません。これは、親が安全基地であり、そこから離れることは大変なことだからです。
しかし親を連れて遊具で遊び、少し離れて虫を見つけて親に伝え、また離れて他の子と遊んだりと、徐々に外へ世界が広がっていきます。

親が安全基地になるためにできること

親が安全基地になるためには、以下の3つが大切です。

  1. 子どもの話をよく聞く

子どもが新しいことに挑戦したいと思ったら、まずはその話をよく聞いてあげましょう。子どもが自分の考えや気持ちを素直に話せる環境を作ることが大切です。また、子どもの意見を尊重し、子どもに決めさせるようにしましょう。

  1. 子どもを信じる

子どもが新しいことに挑戦するときは、失敗する可能性もあるでしょう。しかし、否定で子どもを挫けさせず、応援してあげましょう。そして子どもの挑戦を応援する言葉をかけましょう。また、子どもが挑戦を続けるために、必要なサポートをしましょう

  1. 子どもの失敗を責めない

子どもが失敗したときは、責めずに、次にどうすればいいのか一緒に考えてあげましょう。また挑戦したこと自体を褒め、失敗を乗り越えられるように、励ましの言葉をかけましょう。

子どもの発育過程と安全基地の関係

子どもの発育過程の中で、親が安全基地であることは、子どもの新しい挑戦を促す上で重要な役割を果たします。

乳幼児期の子どもは、親から離れられないことがほとんどです。しかし、親が子どもの挑戦を応援することで、子どもは徐々に自立し、新しいことに挑戦するようになります。

学童期の子どもは、親から離れて、友達や学校など、新しい世界に触れるようになります。この時期は、子どもにとって、新しいことに挑戦する機会が増える時期です。親が子どもの挑戦を応援することで、子どもは新しい世界に飛び込む勇気を得ることができます。

思春期の子どもは、自分の意見や考えを持ち始め、親から独立するようになります。この時期は、子どもにとって、新しいことに挑戦するチャンスであると同時に、失敗のリスクも高まる時期です。親が子どもの挑戦を応援することで、子どもは失敗を恐れずに、新しいことに挑戦することができます。

不登校の時こそ安全基地が必要

親が安全基地であることの重要性は、子どもが不登校であっても変わりありません。むしろ、平常時よりも大切だと言えます。不登校が日常となっている子どもにとって学校は外の世界となり、登校は一つの挑戦です。

「当たり前にできていた登校」に戻るのではなく、「不登校が当たり前になった状態からの挑戦」と捉えて、安全基地として子どもと接していくことが大切となります。

ToCo(トーコ)株式会社について

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導入いただいたご家庭からは、『気づいていなかった子どもの悩みに対処できた』『子どもの自立に繋がっている』とご好評をいただいており、さらに効果的なサービスになるよう日々改善を重ねています。お子様の学校へのストレスや不安を診断することで、皆様の子育ての支援に繋がるよう務めたいと考えております。