不登校にも未病という考えを

不登校にも未病という考えを

不登校という名の「病」

 国内の小中高生の不登校は年々増加して30万人を超え、社会問題として深刻化しています。学校に行きたくない、行けないという悩みを抱える子どもたちは、決して少なくありません。その原因は多岐にわたり、いじめ、学業の遅れ、家庭環境の問題、そして漠然とした不安感など、実に様々です。

多くの人々は、不登校になった子どもを「治す」という視点で捉えがちです。しかし、当社が長年、不登校の子どもたちの支援に携わる中で、この「治す」という表現に違和感を抱いてきました。不登校は、風邪をひくように、ある日突然発症するものではありません。それは、様々な要因が積み重なり、徐々に形成されていく、いわば「病」なのです。

未病という概念

ここで、東洋医学の概念である「未病」という言葉を思い出してください。「未病」とは、まだ病気に至っていない状態、つまり病気になる前の段階のことです。東洋医学では、病は一朝一夕に発生するのではなく、体内のバランスが徐々に崩れていく過程で起こると考えられています。そして、このバランスの崩れを早期に察知し、適切なケアを行うことで、病気を未然に防ぐことができるというのです。

不登校の「未病」

この「未病」という概念を、不登校に当てはめて考えてみましょう。不登校になる前の段階、つまり「未病」の状態とは、どのような状態でしょうか。それは、例えば、学校での人間関係に悩んでいる、勉強についていけない、将来への不安を感じている、といった状態です。これらの兆候は、必ずしも不登校につながるとは限りませんが、放置しておくと、いずれ不登校という「病」へと発展する可能性があります。

不登校の「未病」を診断する

ToCo株式会社では、この「未病」の状態を早期に発見し、適切な介入を行うためのサービスを開発しました。このサービスでは、子どもたちの心の状態を定量的に評価し、不登校になる可能性を予測します。
不登校になってからでは、治療に時間がかかり、子どもたちの心身に大きな負担をかけることになります。しかし、未病の段階で発見することで対処の負担は減らすことができます。

ただもちろん早期発見が目的ではなく、どのように早期介入を行うか、が重要です。早期介入とは、問題が深刻化する前に、適切な支援を行うことです。例えば、カウンセリングを受ける、信頼できる大人に相談する、興味のある活動に参加するなど、様々な方法が考えられます。

当社では、診断の結果を元に不登校予防プログラムを開発しました。4つの不登校の因子への対処法を明示することで、問題となっている要因に適切な対処を行うことができます。

社会全体で「未病」を意識する

不登校は、個人の問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題です。学校、家庭、地域社会、そして私たち一人ひとりが、子どもたちの心の状態に目を向け、未病の状態に気づき、適切なサポートを提供していくことが重要です。

「不登校」という言葉と聞くと、暗い未来しか想像できない人もいるかもしれません。しかし、大人たちは子どもの可能性を信じ、成長を支えていく役割を担っています。

「不登校」という名の「病」を、未病の段階で食い止め、子どもたちが健やかに成長できる社会を創っていく。この理念のもと、私たちはこれからも活動を続けていきます。


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