不登校と発達障害:知っておきたい基礎知識と、家庭で出来るサポート

不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。私は現在、不登校予防や再登校支援を行うToCo株式会社の顧問を務めております。近年、小中学生の不登校と発達障害の関連性が注目されています。不登校の背景にはさまざまな要因がありますが、その中でも発達障害の特性が関係するケースは少なくありません。

本稿では、不登校と発達障害に関する基礎知識を整理し、家庭でできる具体的なサポートについて詳しく解説していきます。お子さんが不登校の状態にあるご家庭では、日々の対応に悩みや戸惑いを感じていることと思います。
しかし、適切な理解とサポートによって、お子さんの状況は変わる可能性があります。ぜひ最後までお読みいただき、実践できる部分から取り入れてみてください。


目次


第1章:不登校と発達障害の関係性とは?

不登校が増加傾向にあることは、多くの保護者の方も耳にされているのではないでしょうか。文部科学省の調査によると、2023年度の小中学校の不登校生徒数は34万6482人に達し、過去最多となりました。特に小学生の不登校は近年急増しており、学校生活に適応することが難しい子どもが増えている実態が浮き彫りになっています。

不登校の背景には、学業不振やいじめ、家庭環境の変化などさまざまな要因が挙げられます。その中でも、発達障害を抱える子どもが不登校になるケースは珍しくありません。
発達障害とは、脳の機能的な特性によって学習や行動、対人関係などに困難を抱える状態を指します。発達障害には、主に以下のような種類があります。

1. 自閉スペクトラム症(ASD)

ASD(Autism Spectrum Disorder)は、対人関係やコミュニケーションの難しさ、こだわりの強さ、感覚過敏などの特性を持つ発達障害です。

ASDの子どもは、集団生活においてさまざまな困難を抱えやすい傾向があります。例えば、以下のような場面で学校生活に適応しにくくなることがあります。

  • 暗黙のルールが理解しにくい:「空気を読む」ことが苦手で、友人関係にトラブルを抱えやすい
  • 予定の変更に対応しづらい:急な時間割変更や行事の予定が変わると強いストレスを感じる
  • 感覚過敏がある:教室の騒音や蛍光灯の光、体育の授業の汗の匂いなどが強い不快感を引き起こす

こうした困難が積み重なると、学校に行くこと自体が大きなストレスとなり、不登校につながることがあります。

2. 注意欠陥・多動性障害(ADHD)

ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、不注意、多動性、衝動性を特徴とする発達障害です。

ADHDの子どもは、学校生活において次のような困難を抱えることがあります。

  • 授業中にじっと座っていられない:周囲の子どもと比べて落ち着きがなく、教師から注意を受けることが多い
  • 忘れ物が多い:宿題や持ち物を忘れやすく、自己管理が苦手
  • 感情のコントロールが難しい:カッとなりやすく、衝動的な発言や行動をしてしまう

ADHDの子どもは「やる気がない」と誤解されやすく、叱責を受けることで自己肯定感が低下し、学校に行く意欲を失ってしまうことがあります。

3. 学習障害(LD)

LD(Learning Disability)は、知的発達には問題がないものの、「読む」「書く」「計算する」といった特定の学習分野に著しい困難を抱える発達障害です。

LDの子どもは、以下のような困難を経験することがあります。

  • 文章を読むのが極端に遅い(読字障害)
  • 板書をノートに写すのに時間がかかる(書字障害)
  • 簡単な計算問題でもミスが多い(算数障害)

学習に対する苦手意識が強くなると、「どうせやってもできない」と考えるようになり、登校意欲が低下してしまうことがあります。


発達障害がある子どもが不登校になりやすい理由

発達障害を持つ子どもが不登校になる背景には、いくつかの共通する要因があります。

1. 学校環境が合わない

学校は「集団行動が基本」となる場であり、発達障害の特性を持つ子どもにとっては過酷な環境になりやすいです。授業の進め方やルールが一律であるため、柔軟な対応が求められる場面で適応しにくくなります。

2. 失敗体験が積み重なる

発達障害の子どもは、「努力しても報われない」という経験を繰り返すことが多くなります。特に、ASDの子どもは友達との関係がうまくいかない、ADHDの子どもは授業中に注意を受けることが多いなど、周囲と比べて劣等感を抱きやすいです。こうした経験が蓄積すると、「学校に行くこと自体が苦痛」と感じるようになります。

3. 過度なストレスによる身体的な不調

強いストレスがかかると、頭痛や腹痛、吐き気などの身体症状が現れることがあります。発達障害の子どもは、自分の気持ちを言葉で表現することが難しい場合があり、ストレスを体調不良として訴えることが多くなります。この状態が続くと、保護者は「本当に体調が悪いのか、それとも学校に行きたくないだけなのか」と判断に迷うことになります。

以上のように、発達障害の特性が不登校につながるケースは少なくありません。では、家庭でどのようにサポートすればよいのでしょうか?

第2章:家庭でできる不登校の子どもへの実践的なサポート

ここでは、発達障害が関係する不登校のケースにおいて、家庭で具体的にできる対応を解説します。どこにでも書かれているような「生活リズムを整える」「見守る」では解決しません。お子さんの状況に応じて、実際に成果を上げやすい方法を詳しくご紹介します。


1. 「不登校の原因」を正しく見極めるためのポイント

発達障害のあるお子さんが学校を休むようになると、多くの親御さんは「いじめがあったのか?」「先生との関係が悪いのか?」と外部要因を探しがちです。しかし、発達障害の特性による不登校は、「本人の特性」と「学校環境」のミスマッチによって生じることが多く、他者とのトラブルが直接的な原因ではない場合もあります。

チェックすべきポイント

以下のような視点から、お子さんが学校に行けなくなった背景を整理してみてください。

① 学校環境の負担が大きすぎる

  • 音や光に過敏で、教室が苦痛(蛍光灯のチカチカ、騒音、匂いが耐えられない)
  • 時間割の変更や行事ごとが極端にストレスになる(予定変更に適応しにくい)
  • 先生の指示が抽象的で、何をすればいいのかわからず怒られる

② 人間関係の困難がある

  • クラスメイトとの会話がかみ合わず、孤立しやすい
  • 友達を作ろうとすると過度に執着し、トラブルになりやすい(ASD傾向)
  • すぐに感情的になり、喧嘩をしてしまう(ADHD傾向)

③ 学習面での苦手意識が強い

  • 板書のスピードについていけず、ノートがとれない(LDの可能性)
  • 計算や漢字の暗記が極端に苦手で、授業が苦痛
  • 先生の話を聞きながら理解することが難しく、内容が頭に入らない

実践的なアクション

お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、「なぜ?」と聞いても本当の理由が出てこないことがほとんどです。本人も、何が苦痛なのか正確に説明できないからです。

そこで、親御さんがすべきことは以下の2つです。

  1. 学校生活を具体的にイメージさせる質問をする
    • 「休み時間はどこで過ごしていたの?」
    • 「今日の授業で一番嫌だったのはどこ?」
    • 「先生にどんなことを言われるとつらい?」
    • 「給食の時間はどんな気持ちだった?」
  2. 記録を取る
    • 学校に行けた日と行けなかった日で、前日や朝の様子に違いはあったか?
    • 体調不良を訴える頻度やタイミングにパターンはあるか?
    • どんな話題を振ると急に機嫌が悪くなるか?

親御さんが「お子さんのストレスポイント」を客観的に把握することで、適切なサポートが見えてきます。


2. 不登校を長期化させないための家庭での接し方

発達障害を持つ子どもの不登校は、適切な対応ができないと長期化しやすい特徴があります。「とりあえず様子を見よう」と受け身の対応をすると、家での居心地が良くなりすぎて学校への戻り方がわからなくなってしまいます。

では、どのように接すればよいのでしょうか?

①「学校に行くかどうか」を議論の中心にしない

  • 「いつになったら行くの?」は禁句
  • 代わりに「今日はどんな気持ち?」と、その日の状態に目を向ける
  • 「じゃあ明日はどうする?」と1日単位で考えさせる

② 家庭での生活リズムを「学校に近い形」に整える

  • 朝は決まった時間に起こす(学校がない日でも)
  • 日中は家でダラダラさせない(寝転んでスマホを見続けるのは避ける)
  • 昼食の時間を固定する(生活リズムの軸を作る)
  • ゲームや動画のルールを決める(夜更かしを防ぐため)

③ 「家にいることが心地よすぎる状態」にしない

不登校が続くと、家が「最も安心できる場所」となり、外に出ること自体が困難になっていきます。そのため、意識的に以下のような行動を取り入れましょう。

  • 毎日外に出る機会を作る(買い物、散歩、図書館など)
  • 学校以外の人と接する機会を持つ(親戚、習い事、支援機関など)
  • 好きなことをする時間を、家の外でも作る(例えばカフェで読書など)

家の中に閉じこもる時間が長くなるほど、学校復帰のハードルが上がります。


3. 学校復帰に向けたステップの作り方

発達障害のある子どもは、いきなり「明日から普通に学校に行く」のは難しいです。そのため、段階的に学校に戻る「ステップ」を作ることが重要になります。

実践的なステップの例

  1. 学校に関する話題を増やす(「今日は○○先生から連絡があったよ」など)
  2. 学校の宿題を少しだけやる(完全に学習を止めないため)
  3. 登校時間に近い時間に起きる習慣をつける
  4. 「学校に寄る」だけの機会を作る(校門まで行く、先生に会うなど)
  5. 短時間だけ学校に行く(まずは1時間、次に半日など)

このように、一歩ずつ「学校に行くこと」への抵抗感を減らすことが大切です。

まとめ

発達障害のあるお子さんの不登校は、環境のミスマッチによるものが多く、単に「甘え」や「怠け」ではない可能性があります。
そして、発達障害だからどうしようもないのではなく、家庭での対応次第で状況を変えていくことが可能です。「何が問題なのか」を正しく把握し、適切なサポートを行うことで、学校復帰の可能性を高めることができます。焦らず、お子さんに合った方法を試してみてください。

要点具体的な行動
不登校の原因を見極めるお子さんの困りごとを把握し、「学校環境の負担」「人間関係」「学習面」のどこに問題があるのか整理する。具体的な質問をして、本音を引き出す。
「学校に行くかどうか」の議論を避ける「いつ行くの?」とプレッシャーをかけず、その日の気持ちを確認しながら、少しずつ学校の話題に触れる。
生活リズムを学校に近づける朝決まった時間に起こし、日中に活動時間を確保する。昼食の時間を一定にし、夜更かしを防ぐためにゲームや動画のルールを設定する。
家庭を「心地よすぎる場所」にしない毎日外出する習慣をつける(散歩、買い物など)。学校以外の人との交流機会を増やし、家の外で楽しい時間を持つ。
学校復帰のためのステップを作るまずは学校に関する話を増やし、次に短時間の登校を試すなど、段階的に慣れさせる。

ToCo(トーコ)について

私たちToCoは、お子様が自ら不登校から脱却するための支援を行っており、2025年3月時点で900名以上のお子様が平均3週間で再登校しています。

学校や行政機関による対策が進む中、不登校数は年々増え続けています。私たちは、不登校が続いてしまう要因を診断し、児童心理司や精神科医の専門チームが再登校までサポートします。
不登校でお悩みの方はぜひ検討ください。

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