GW明け登校への流れをどう作るか
こんにちは。再登校支援トーコの竹宮と申します。日々、臨床心理士として不登校のご家庭の支援を行っております。
今日は、ゴールデンウィークの過ごし方がその後の登校状況にどのような影響を与えるのか、そして「頑張らせる」でも「自由にさせる」でもない接し方の大切さについてお伝えします。
多くの親御様が感じていらっしゃるのは、「せっかく4月は通えていたのに、連休明けに崩れてしまうのではないか」という不安ではないでしょうか。
実際に臨床の現場でも、GW明けに欠席が増えるケースは一定数見られます。しかしながら、その原因を「学校への不安」や「人間関係の問題」と捉えるだけでは、少し視点が足りない場合があります。
むしろ重要なのは、「どのような生活の流れを連休中に経験したか」という点です。
目次
GW明けに崩れる子どもたちの共通点
「学校が嫌だから休む」とは限らない
一般的には、「学校に行けなくなるのは不安やストレスが原因」と言われることが多いです。この考え方自体は間違いではありませんし、多くの場面で当てはまります。しかしながら、GW明けの欠席については、もう少し違う側面が関係していることがあります。
それは、「快適な状態を維持したい」という自然な心理です。
たとえば、連休中に朝はゆっくり起きて、部屋でスマートフォンを見たりゲームをしたりして過ごす時間が増えた場合を想像してみてください。誰にも急かされず、自分のペースで好きなことに集中できる時間です。この状態は、子どもにとって非常にストレスが少なく、心地よいものです。
一度その感覚を強く経験すると、「また同じように過ごしたい」と思うのは自然な流れです。これは怠けているわけではありません。人の行動を決める基本的な仕組みです。
言い換えると、「学校に行きたくない」というよりも、「今の生活を手放したくない」という状態に近いです。
4月に通えていた子にも注意が必要な理由
ここで見落とされやすいのが、「4月に楽しそうに登校できていたから、GW明けも大丈夫」とは限らない点です。
4月は新しい環境ということもあり、ある程度の緊張感があります。その緊張感が、行動を支えている場合があります。しかし、GWで一度その緊張が緩み、快適な生活に慣れてしまうと、再び同じ負荷に戻ることが難しくなります。
たとえば、毎朝少し無理をしながらも登校していたお子様が、連休中にその負荷から解放されたとします。そして、起きる時間も自由になり、好きなことに没頭できる日々を過ごします。その後に「また同じ生活に戻る」と考えたとき、身体も気持ちもブレーキをかけやすくなります。
これは繰り返しになりますが、本人の性格や意志の問題ではありません。環境によって行動のハードルが変わった結果です。
「休ませること=回復」ではない場合
「疲れているなら休ませてあげた方がいい」という言葉は、非常によく使われますし、大切な視点でもあります。しかしながら、すべてのケースに当てはめてしまうと、かえって難しさが生じることがあります。
特にGWのように、まとまった休みがある場合は注意が必要です。
休むことで一時的に負担が軽くなることはありますが、その間に「より快適な過ごし方」が強化されてしまうと、元の生活に戻るハードルが上がります。結果として、「回復したはずなのに動けない」という状態が生まれやすくなります。
たとえば、昼夜逆転に近い生活になり、日中はほとんど活動せず、夜にゲームや動画に集中する時間が増えた場合です。この状態が数日続くだけでも、生活リズムは大きく変わります。そして、元に戻すにはエネルギーが必要になります。
これはGWの期間だけでも影響は長く出てしまいます。
「自由にさせる」と「整える」の間にあるもの
制限と自由の難しさ
親御様がよく耳にするのは、「休みなんだから好きにさせてあげましょう」という言葉ではないでしょうか。一方で、「生活リズムを崩さないように管理しましょう」という真逆の意見もあります。
どちらも一理ありますが、そのまま実行しようとすると、現実的には難しいと感じる方が多いです。
自由にさせれば崩れてしまいそうで不安になりますし、管理しようとすると衝突が増えてしまいます。この板挟みの状態が、親御様の負担を大きくします。
行動は「意思」よりも「環境」に左右される
ここで一つ大切な視点があります。それは、行動は本人の意思だけで決まるものではなく、「環境」に強く影響されるという点です。
当社が専門とする認知行動療法では、行動は「きっかけ」と「結果」によって形作られると考えます。簡単に言うと、「どんな状況で始まり、その後どう感じたか」が繰り返されることで、行動が定着します。
たとえば、朝起きてすぐにスマートフォンを手に取れる環境があると、その行動は自然と繰り返されます。そして、楽しい・安心するという感覚が得られると、さらに強化されます。
逆に言えば、「やめなさい」と言うだけでは変わりにくいということです。
小さな「ズレ」を作るという考え方
ではどうすればよいかというと、大きく制限するのではなく、「少しだけ流れを変える」ことが現実的です。
たとえば、朝起きてすぐにスマートフォンを見る流れを、そのままにするのではなく、「朝食をとってからにする」といった小さな順番の変更です。あるいは、午前中に散歩や買い物など体を動かす時間を入れるなど、完全に管理するのではなく、生活の中に軽い区切りを作ります。
ここで大切なのは、完璧を目指さないことです。
連休中に学校と同じリズムを維持する必要はありません。しかし、まったく別の生活になってしまうと、戻るときの負担が大きくなります。その間に、少しだけ橋をかけておくイメージです。
朝のスタートを整える意味
GW中の過ごし方で、もっとも影響が出やすいのが「朝の使い方」です。これは単に早起きをするという話ではありません。
ポイントは、「起きた後にどのような行動が続くか」です。
たとえば、起きてすぐに布団の中でスマートフォンを見る習慣が続くと、そのまま活動量が上がらず、1日のスタートがゆるやかになります。その結果、身体も頭も「動かない状態」に慣れていきます。
一方で、起きた後に顔を洗う、着替える、簡単な朝食をとるといった一連の流れがあると、それだけで活動のスイッチが入りやすくなります。
難しいことは必要ありません。
ここで意識したいのは、「やる気があるから動く」のではなく、「動いたから次の行動が続く」という順番です。これは行動活性化と呼ばれる考え方で、気分よりも先に行動を整えることで、全体の流れが変わります。
たとえば、普段は起きてから1時間ほど布団の中で過ごしているお子様がいるとします。その場合、「すぐに起きなさい」と伝えるのではなく、「起きたら一度リビングに来て水を飲む」といった行動を一つだけ設定します。それだけでも違いが出てきます。
「暇な時間」を減らすという視点
もう一つ見落とされやすいのが、「何も予定がない時間の長さ」です。
自由な時間は大切ですが、時間がありすぎると、刺激の強い活動に偏りやすくなります。特にスマートフォンやゲームは、短時間で満足感を得られるため、自然と選ばれやすくなります。
ここで重要なのは、「禁止すること」ではなく、「他の選択肢が自然に入る状態を作ること」です。
たとえば、午前中に短時間の外出を入れるだけでも、1日の流れは変わります。近くのスーパーに一緒に行く、少し遠回りして歩く、といった日常的なもので十分です。
あるご家庭では、午前中に親御様が買い物に行くタイミングで、「一緒に袋を持ってもらう」という役割をお願いしていました。それだけのことですが、外に出るきっかけになり、その後の過ごし方も変わっていきました。
特別なイベントは必要ありませんが、もちろん家族で旅行されたりすることも有効です。
「やらせる」と「巻き込む」の違い
ここで親御様が悩まれるのが、「どこまで関わるべきか」という点です。
強く促すと反発が出やすくなりますし、任せきりにすると生活が崩れてしまうことがあります。このバランスは非常に難しいところです。
一つのヒントとして、「やらせる」のではなく「巻き込む」という関わり方があります。
たとえば、「外に行きなさい」と伝えるのではなく、「買い物に付き合ってほしい」と声をかける方が、受け取り方は大きく変わります。前者は指示ですが、後者は依頼です。
この違いは小さいようでいて、実際の行動には大きく影響します。
また、家の中でも同様です。「片付けなさい」ではなく、「一緒にテーブルを整えたい」と伝えることで、参加しやすくなります。
学校に「戻る力」を残すために
完璧な生活リズムを目指さない
ここまで読むと、「やはり生活をしっかり整えないといけないのでは」と感じる親御様もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、GW中に学校と同じリズムを維持することは現実的ではありません。
むしろ、そこを目指しすぎると、親御様もお子様も疲れてしまいます。
大切なのは、「戻れる範囲に収めること」です。
たとえば、普段より1〜2時間遅く起きる程度であれば、調整は比較的しやすいです。しかし、昼夜が逆転するほどの変化になると、戻すための負担が大きくなります。
少し崩れること自体は問題ではありません。戻れる範囲かどうかがポイントです。
「快適さ」との付き合い方
今回のテーマである「快適な生活を続けたい」という気持ちは、決して悪いものではありません。むしろ自然な反応です。
ただ、その快適さが強くなりすぎると、他の行動のハードルが上がります。
ここでの考え方は、「快適さをゼロにする」のではなく、「メリハリを付ける」というものです。
たとえば、一日中同じ場所で同じことをして過ごすのではなく、時間帯によって場所を変えるだけでも違いが出ます。午前中はリビングで過ごし、午後は自室に戻るといった形です。
それだけでも、生活に緩やかな変化が生まれます。完全にコントロールする必要はありません。
まとめ
親御様ご自身の不安も大きいと思われます。「このままで大丈夫だろうか」「また行けなくなるのではないか」といった気持ちは、当然のものです。
しかしながら、その不安が強くなると、関わり方が極端になりやすくなる点には注意が必要です。
過度に管理するか、あるいは何も言えなくなるか。そのどちらかに偏りやすくなります。
ここで大切なのは、「すべてをコントロールしようとしないこと」です。
GW明けに登校が難しくなる背景には、「学校への不安」だけでなく、「快適な生活を維持したい」という心理が関係していることがあります。この視点を持つだけでも、関わり方は変わってきます。
一般的に言われる「自由にさせる」や「しっかり管理する」といった二択ではなく、その間にある小さな調整が現実的です。
朝の流れを少し整えること。暇な時間に軽い区切りを入れること。やらせるのではなく巻き込むこと。どれも大きな負担をかけずに取り入れられるものです。
そして何より、「戻れる範囲を保つ」という考え方が重要です。
完璧を目指さなくて構いません。
少しだけ流れを整える。その積み重ねが連休明けの動きやすさにつながっていきます。親御様の負担が過度に増えない形で、できる範囲の調整を意識してみてください。それだけでも、状況は十分に変わり得ますので、参考になりましたら幸いです。
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