不安障害で不登校になってしまう子どもへの接し方

不登校や引きこもりを専門とする児童心理司の藤原と申します。不安障害を抱えるお子さまを持つ親御さまにとって、日々の生活は心配と葛藤の連続だとお察しします。お子さまの抱える不安がどのようなものなのか、どこまで親として助けてあげられるのか、そんな疑問に向き合いながらも、答えが見つからず苦しい日々を過ごしている方も多いでしょう。

私自身、多くのケースを通じて、「何とかしてあげたい」という親御さんの切実な願いと、それに応えたい一方で、どうしても親だけでは手に負えない壁を感じる瞬間を目の当たりにしてきました。本随筆では、不安障害と不登校という問題に焦点を当て、原因とその背景を掘り下げたうえで、親として具体的にどう向き合えばよいのかを考察していきます。

不安障害とは? ~子どもが抱える見えない恐怖~

不安障害とは、単なる緊張や心配とは異なる、日常生活に深刻な影響を及ぼすレベルの強い不安感や恐怖感を伴う疾患です。不安は本来、危険や問題に直面したときに人間が備える自然な反応ですが、不安障害ではこの反応が過剰に働き、本人にとっては非常に現実的で切迫した感情として現れます。

子どもにとっての不安障害とは?

大人が「それほど怖がる必要はない」と思うような状況でも、不安障害を抱える子どもにとっては、それが「恐ろしい災難」に見えることがあります。たとえば、学校での発表、先生に注意されること、友達と話すこと、さらには登校という日常的な行動そのものが、大きなストレス源になります。

  • 身体的症状: 「お腹が痛い」「気持ちが悪い」「心臓がドキドキする」といった身体的な不調が、不安の高まりとともに現れます。これは決して「仮病」ではなく、子どもの体が不安に対して反応している結果です。
  • 思考の歪み: 「失敗したらどうしよう」「みんなに嫌われる」といった否定的な思考が、頭から離れなくなります。このような思考の繰り返しは、子どもの行動範囲を狭め、自己肯定感を奪います。
  • 回避行動: 不安の原因となる状況を避けるため、子どもは学校を休む、部屋に閉じこもるといった行動を取ります。一見すると「怠けている」と見えることもありますが、実際には不安から自分を守るための防御策なのです。

学校が「安心できない場所」になる理由

学校は多くの子どもにとって学びと成長の場ですが、不安障害を抱える子どもにとっては、多くのストレス要因が詰まった場所でもあります。どんな子どもでも多かれ少なかれ緊張やプレッシャーを感じる場面があるものですが、不安障害を抱える子どもにとっては、それが日常的に耐え難いものとなります。

1. 過剰なプレッシャー

学校では、授業中に発言を求められたり、テストで結果を示す必要があったりと、他人に評価される機会が頻繁にあります。不安障害の子どもにとって、これらの場面は「失敗できない」という極端なプレッシャーを感じさせます。

2. 人間関係の複雑さ

友人関係や先生とのやり取りもまた、強い不安を引き起こす要因となります。友達との会話で何を話せばよいのか分からない、クラス全員の前で何かをするのが怖い、といったことが積み重なります。また、些細な意見の相違や行き違いが「自分は嫌われている」と感じる原因になることもあります。

3. 環境そのものへの不安

広い体育館や騒がしい校庭、廊下を歩くだけでも、不安障害を持つ子どもには安心できない場合があります。特に、音に敏感な子どもにとっては、チャイムの音やクラスメイトの声がストレスになることもあります。

親として何ができるのか ~第一歩は「不安」を理解すること~

不安障害を抱える子どもに接する際の基本姿勢として、最も大切なのは、「不安を否定しない」ことです。「そんなことで怖がらなくてもいい」「学校なんて大したことない」という言葉は、子どもにとって自分の気持ちを理解されていないと感じさせるだけでなく、「自分はおかしいのだ」とさらに自己否定感を抱かせてしまいます。

子どもの不安を言葉で受け止める

  • 子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、ただ「分かった」と受け流すのではなく、「そう感じる理由を教えてくれる?」と優しく尋ねます。
  • 子どもが口にした言葉を繰り返すことで、「親が自分の気持ちを理解している」と感じさせることができます。
  • 例:「朝起きたときに、お腹が痛かったんだね。それは不安が原因かもしれないね。」
子どもとのハグのイメージ

安心できる小さな挑戦を作る

不安障害の対処は、一気に解決を求めるのではなく、段階的に取り組むことが基本です。たとえば、次のようなステップを提案できます。

  • 最初は家の近所を一緒に散歩する。
  • 次に、学校の前まで行ってみる。
  • 次第に学校の敷地内に入る、担任の先生と一度だけ話してみる。

これらの挑戦に成功したときは、結果ではなく努力そのものを褒めるようにします。「行けたね」ではなく、「挑戦しようとした姿勢が素晴らしい」と伝えることで、子どもは自己肯定感を少しずつ取り戻します。

生活リズムの安定がカギ

不安が高まる背景には、睡眠不足や昼夜逆転といった生活習慣の乱れがあることも多いです。朝同じ時間に起きる習慣をつける、夜遅くのスマホやゲームを控えるといった基本的な生活リズムを整えることで、子どもの心身の安定を図ることができます。


子どもの心に寄り添う具体的なアプローチ

ここでは、不安障害を抱えるお子さまとどのように対話し、どのように日々の接し方を工夫すればよいかをさらに掘り下げていきます。

1. 子どもの不安を「分解」する対話

不安を感じる状況に直面した際、その原因がどこにあるのかを一緒に探ることで、子ども自身が自分の気持ちを整理する手助けをします。ToCoのプログラムでは、不安を「感覚」「思考」「行動」の3つの要素に分ける方法を推奨しています。

具体例:
親:「学校に行こうと思ったとき、どんな気持ちだった?」
子:「怖くて、お腹が痛くなった。」
親:「そっか。怖いと感じると、体にどんなことが起きたかな?」
子:「心臓がドキドキしたし、泣きそうになった。」
親:「それで、お腹が痛いって思ったのかもしれないね。そう感じたとき、どんなことを考えた?」
子:「行ったら先生に怒られるかもって思った。」

このように、感情を細分化して話し合うことで、子どもは「自分が感じている不安の正体」に気づくきっかけを得ます。それが漠然とした恐怖から具体的な「対処できる課題」へと変わる第一歩になります。

2. 現実的な視点を教える「リフレーミング」

不安障害を持つ子どもは、「失敗したらどうしよう」「みんなに嫌われる」といった極端で否定的な考えに陥りやすい傾向があります。これを「ネガティブな自動思考」と呼びます。この思考に対して、「もっと現実的な見方をする」という練習を繰り返すことが効果的です。

具体例:
子:「宿題を忘れたら先生がすごく怒るに決まってる。」
親:「そう思うんだね。先生が怒るとしたら、どうして怒ると思う?」
子:「私が悪いから…。」
親:「そうか。でも先生は、宿題をしていないことより、どうして忘れたのかを知りたいんじゃないかな?宿題ができなかった理由を話したら、先生は怒るより助けてくれるかもしれないね。」

ネガティブな予測に固執せず、別の可能性を考えられるようになると、不安を減らしやすくなります。

3. 小さな成功体験を積み重ねる

子どもが少しでも新しい挑戦をしたとき、それを必ず認め、成功体験として積み重ねていくことが大切です。挑戦が失敗に終わったとしても、「挑戦した事実」に注目します。

具体例:
親:「今日は学校の門の前まで行けたね。それだけでもすごいことだよ。最初は怖かったと思うけど、やろうとしたその気持ちが素晴らしいよ。」

このように肯定的なフィードバックを与えることで、次への挑戦への意欲を引き出します。


再登校に向けたToCoのサポート

最後に、不安障害を抱えるお子さまをサポートするうえでの選択肢として、ToCoの再登校支援プログラムをご紹介します。ToCoでは、不登校の原因に合わせた個別のプログラムを提供しており、親子ともに無理のない形で再登校を目指せる仕組みが整っています。

笑い合う母と娘の画像

たとえば、以下のような支援を受けられます:

  • 子どもが安心して登校できるよう、小さな目標を設定し、それを専門家と共有しながら進める。
  • 親が子どもとのコミュニケーションで迷った際に、具体的なアドバイスを受けられる。
  • 学校との連携をサポートし、環境調整を進める。

これまで多くの子どもたちが、このプログラムを通じて再び学校生活を取り戻してきました。親御さんとしても、孤独に悩む必要はありません。専門家の力を借りながら、一歩ずつ進んでいける道を探してみてください。

終わりに

不安障害を抱える子どもにとって、親の存在は何よりも大きな支えです。その一方で、親御さん自身が負担を抱え込みすぎてしまうと、心が疲れてしまうこともあります。今回の内容が、少しでも親御さんの力になれば幸いです。そして、必要なときにはToCoのような専門的な支援を受けることで、親子ともに安心して前進できる道を見つけていきましょう。

子どもの未来が明るいものとなるよう、心から願っています。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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