不登校経験者が語る:当時の心境と今だから言えること

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不登校や引きこもりの支援を専門とする児童心理司の藤原と申します。

今回の記事では、私が支援を通じて関わらせていただいた2人の不登校経験者の方に、それぞれの体験をインタビューさせていただきました。一人は中学時代に不登校を経験し、もう一人は小学校時代に同じような困難に直面しました。お二人とも、不登校になった当時の苦しさや、家庭や自分自身の変化を経て再び一歩を踏み出すまでの過程を語ってくださっています。

(下記、インタビューを元に書き起こした内容となります)


不登校経験者Aさん

私は中学1年生の2学期、不登校になりました。その頃、私の周りは真っ暗で、誰にも自分の気持ちを言えない孤独感に押しつぶされていました。振り返ると、私が不登校を乗り越えられたのは、親の気持ちの変化と、それによって私自身も少しずつ変われたからです。そして、そこに大きな役割を果たしたのは、自閉スペクトラム症の診断をきっかけとする、家族のあり方の変化でした。

自閉スペクトラム症の診断と不登校

中学に入るまでは、私は少し変わった子どもだとよく言われていました。人の目を見て話すのが苦手で、友達との会話でも話題がすぐに途切れることが多かったのです。でも、小学校の頃はなんとかそれでも友達がいて、勉強も苦手ではなかったので問題なく過ごせていました。

ところが、中学に入ると環境が急激に変わり、クラスの雰囲気や友人関係にまったくついていけなくなりました。授業中は先生の話が全く頭に入らず、クラスメートとの雑談に参加する勇気も出ませんでした。特に昼休みの時間が苦痛でした。周りの子が楽しそうにグループを作って話しているのを横目に、私は一人で音を立てずに座っていることしかできませんでした。

教室のイメージ

2学期に入る頃には、学校に行くたびに胸が締めつけられるような感覚や頭がぼーっとする症状が現れるようになり、次第に学校へ行けなくなってしまいました。心配した母が連れて行ってくれた病院で、私は「自閉スペクトラム症」という診断を受けました。その時は、病名を聞いても「それが何」という印象で、特に何かが変わるわけではありませんでした。むしろ、「私が変わっているから学校に行けないのだ」という自己否定感が強くなりました。

家庭の変化:母の気づき

私の不登校は家族に大きな影響を与えました。最初、母は学校に行かない私に苛立ちを隠せませんでした。「どうして学校に行けないの?」「別にクラスでいじめられているわけではないでしょう」ときつく言われることもありました。その言葉は、辛かったです。
「学校に行けない自分はダメな人間なんだ」という気持ちで暗くなりました。

何も変わらず数週間が経った頃、母が「再登校支援プログラム」というものを見つけてきました。母は最初、私を無理やり学校に戻す方法を探しているのだと思っていました。でも、プログラムに参加する中で、母の態度が徐々に変わっていったのです。

母はまず、私が何に苦しんでいるのかを理解しようとしてくれました。「あなたが学校で何を感じているのか知りたい」と、今までとは違った感じで何度も話しかけてくれました。
最初はうまく話せませんでしたが、母が私を急かさず、ただ待っていてくれることで、少しずつ自分の気持ちを伝えられるようになりました。「学校で友達の輪に入れないのが辛い」「クラスのざわざわした音が頭に響いて怖い」こうした具体的な気持ちを話すことで、私自身も自分が何を恐れているのかが分かるようになったのです。

父の変化と支え

父もまた、大きく変わりました。それまでの父は、仕事に忙しく、家でもパソコンに向かっていることがほとんどでした。私の不登校に関しても、特に気にしている様子はありませんでした。しかし、母がプログラムで学んだことを父に伝え、家族として一緒に私を支えようと働きかけたことで、父の様子も変わってきました。

父は、「何をしたらいいのか分からない」と正直に話してくれました。その言葉を聞いた時、私は少し驚きました。父も困っているのだと分かり、自分がどうでも良いわけではないと安心したのを覚えています。父はそれから、自分なりに私を助ける方法を見つけようとしてくれました。例えば、一緒にゲームをしたり、庭で花を植える作業を手伝ってくれたりしました。私ができたことに対して「すごいじゃないか」と褒めてくれる父の言葉が今でも耳に残っています。

家族の変化がもたらした安心感

家族が変わってくれたことで、私の心に少しずつ余裕が生まれました。それまでは、家の中でさえ気を張って生きているような状態でしたが、両親が私を受け入れてくれると感じられるようになり、自分を責めることが減っていきました。

母は、「一日一つでも良いことがあれば、それで十分だよ」と言ってくれました。その言葉に救われ、少しずつ外に出てみようと思えるようになりました。最初は家の庭で日光浴をするだけでしたが、それでも「外に出られた」という達成感がありました。

学校復帰

3学期に入り、担任の先生が「自分のペースで良いから、いつでも戻っておいで」と声をかけてくれたことで、私は少しずつ授業に出られるようになりました。母が「無理しなくて良いよ」と言ってくれたこと、父が「今日は良く頑張ったな」と褒めてくれたことが、私を支えてくれました。

今、過去の自分に声をかけるとしたら、「あなたは一人じゃないよ」と伝えたいです。私を支えてくれた家族がいたからこそ、私は不安に向かい、立ち直ることができました。そして、自分を理解しようとしてくれる人がいるだけで、どれだけ心強いかを実感しました。学校はつらいこともありますが、今のお父さんとお母さんと一緒ならば、乗り越えられそうです。


不登校経験者Bさん

私が不登校になったのは、小学校5年生の1学期が始まったばかりの頃でした。その頃、家の中で両親の言い争いが絶えず、その中で私は小さく身を潜めていました。「自分がもっと良い子だったら、こんなことにはならなかったのかもしれない」そんな風に思う日々が続き、学校に行くことが辛くなってしまったのだと振り返って思います。

両親の喧嘩と緊張感

両親は共にフルタイムで働いていて、仕事から帰ってきても、いつも疲れているような印象でした。それが原因なのか、家では些細なことがきっかけで口論が始まりました。例えば、誰が家事をするか、子どもの成績がどうだ、などといったことで衝突するのです。そのたびに、私は自分の部屋に閉じこもって布団を被っていました。

特に辛かったのは、親が私の前でお互いを非難し合う時です。「あなたがもっとちゃんとしてくれれば!」とか「お前のせいでこうなった!」といった言葉を聞くと、自分が喧嘩を起こしているのだと感じました。それは学校にいても頭を占めていました。友達と話している時や授業中も、心の中では「家に帰りたくない」「どうして自分だけ苦しいんだろう」と思っていました。

次第に学校に行くことそのものが怖くなり、朝になると胃が痛くなるようになりました。そして母が「今日も学校休むの?」と言うと、休めると安心するわけでもなく、返って辛くなりました。

落ち込む女の子のイメージ

ToCoとの出会い

そんな私を変えてくれたのは、母が見つけてきたToCoというサービスでした。初めは不登校を解決するために、私に対して何かやるのかと思いました。でも、家庭全体の雰囲気を変えることが勧められていたようで、私の親も大きく変わっていったのです。

両親の変化:喧嘩から協力へ

両親はいつの間にか、お互いを責めることをやめるようになっていました。それまで母は父に対して「もっと育児に協力してほしい」と不満をぶつけ、父は「仕事が忙しいんだ」とそれをはね返していました。でも、そういうやり取りが減ってきました。

例えば、父はそれまで家事を手伝わない人でしたが、夕食の準備を母と分担するようになりました。また、母も、私や学校のことを父に相談するようになりました。今まで無かったことに気づいていませんでしたが、2人の間でちゃんと挨拶が交わされるようにもなりました。そして、家の雰囲気が柔らかくなっていきました。

私への接し方の変化

両親の変化は、私への接し方にも現れました。以前は「学校に行けないなんて情けない」と言って私を叱っていましたが、無理に学校に行かせるのではなく、まず気持ちを聞いてくれるようになりました。それから母は、私に「どうしたら気持ちが楽になるかな?」と相談してくれるようになりました。特に父が「学校に行けないことは悪いことじゃないよ」と言ってくれた時、私はホッとしました。それまで、「学校に行けない自分はダメな人間だ」と思っていましたので、その言葉が嬉しかったです。

家族との新しい時間

両親が喧嘩をなくして、私にも優しく接してくれるようになると、雰囲気は一変しました。週末には家族全員で食事を作ったり、近所の公園に散歩に行く時間が増えました。ある日、父が「これからはみんなで一緒に夕食を作る時間を作ろう」と言い、それが私にとってとても嬉しいことでした。以前は、家族で一緒に何かをするなんて考えられなかったからです。

お互いに笑顔を見れるようになって幸せを感じつつ、今までは辛いことだったんだ、と、もう戻りたくないと思いました。

学校復帰の道のり

そんな中、自分でも不思議なくらい学校の辛さが感じなくなっていました。母が「行けるときに行けばいいよ」と言ってくれましたが、自分から登校の準備をして、次の日には学校に行っていました。2週間ぶりくらいで少し緊張しましたが、先生も友達も変わりなく接してくれたので、数日で普通に通えるようになりました。

もし自分が将来子どもを持つとしたら、この経験を活かして温かい家庭を作っていこうと思いました。


ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

いじめに苦しむ子どもに選択肢を

いじめに苦しむ子どもに選択肢を与えよう-記事の見出し画像

不登校や引きこもりの問題に取り組む、児童心理司の藤原と申します。
いじめがなぜ起きるのかを考えるとき、子どもの性格や家庭環境を分析することも一つの方法ですが、これだけでは問題の全体像を捉えることはできません。いじめは、学校という特異な環境がもたらす構造的な問題でもあるのです。そして、仕組みを知ってこそ、子どもに対してどう支援すべきかも見えてきます。

第一章:いじめはなぜ起きるのか――学校の構造的問題

学校という閉じられた社会

まず理解しておかなければならないのは、学校が非常に閉鎖的な環境であるという点です。
教室やクラスという単位は、子どもにとって小さな社会そのものであり、そこでは独自の「空気」が支配しています。例えば、「誰と付き合うべきか」「誰と付き合ってはいけないか」といった暗黙のルールや、「強い立場の子どもが支配する」という力学が生まれやすい環境です。

このような空間では、子どもたちが大人のように問題を客観視し、冷静に対応することは難しいものです。成長途中の感情や価値観の中で、いじめという行動が一部の生徒たちの中で「正当化」されてしまうことが少なくありません。

人間関係の固定化

学校では、席替えの頻度やクラス替えの有無によって人間関係が固定化される場合があります。例えば、1年間同じメンバーで同じ教室に通い、席の移動がほとんどない環境では、いじめられる子どもにとって逃げ場がありません。さらに、学区に学校が1校しかない場合、転校という選択肢も現実的ではないため、逃げることができない状況に追い込まれます。

子どもが人間関係の問題を抱えた場合、「新しい環境でやり直す」という選択肢が少ないという点も、学校環境の構造的な欠陥といえるでしょう。

悩む生徒の画像

学校側の意識と対応の限界

最近では、いじめに対する学校側の意識が改善されつつあります。文部科学省のガイドラインに基づき、学校側がいじめの早期発見に努めたり、対応マニュアルを整備している場合も増えています。

しかし、現場では多忙を極める教師が十分に対応できないという現実もあります。教師は授業の準備や保護者対応、部活動の指導など、多岐にわたる業務を抱えており、いじめ問題に割ける時間やリソースが限られているのです。このような事情から、学校側がいじめを「発覚した後に対応する問題」として扱ってしまうケースもあることを理解しておく必要があります。

第二章:親が果たすべき役割――選択肢を増やすことの重要性

では、このような構造的な問題を抱える学校の中で、親としてどのように子どもを守れば良いのでしょうか。答えの一つは、子どもに「選択肢」を与えることです。

人が追い詰められるとき

人間が精神的に追い詰められるのは、選択肢がないと感じたときです。
いじめを受けている子どもにとって、学校という場が唯一の社会である場合、そこから逃げることは「自分の人生すべてを捨てる」ように感じられることがあります。このような状況では、登校することが精神的な限界を超える負担となり、不登校という形で子どもが自分を守る行動を取るのです。

しかし、親が子どもに「他の選択肢がある」と伝えることで、この絶望感を和らげることができます。実際にはハードルがあったとしても、例えば、転校、フリースクール、ホームスクーリング、オンライン学習といった多様な選択肢を一緒に検討だけで、子どもの閉塞した思いを広げることができます。

子どもと一緒に考える

選択肢を提示する際、親が一方的に決めるのではなく、子どもと一緒に考えることが重要です。「どんな学校なら通えそう?」「どんな場所なら安心できる?」といった質問を通じて、子どもの声に耳を傾けることで、子ども自身が自分の未来について考えるきっかけを作ることができます。

また、子どもが「この学校を辞めたい」「転校したい」と言った場合、それを否定せず、冷静に受け止めることも大切です。親が子どもの言葉を信じて行動することで、子どもは「自分は守られている」と感じることができ、心の安定を取り戻すことができるのです。

繰り返しになりますが、転校や退学は子どもにとっても家庭にとっても大きな負担がかかる選択肢です。しかし、いじめや人間関係で苦しみ続ける子どもに、いざとなったら学校以外の道もあることを伝えて家族の共通認識としておくことは、最悪の事態を防ぐ一助となります。

第三章:学校とどう連携するか――適切なコミュニケーションの方法

ここまでで構造的な問題を整理したので、どのように対策をしていくか、に移ります。
いじめの問題を解決するためには、親と学校の間で適切な連携を取ることが欠かせません。しかし、学校とのコミュニケーションには一定の工夫が必要です。感情的になってしまうと、問題解決ではなく対立を生む可能性があるためです。
この章では、具体的な連携方法を詳しくお伝えします。

事実を整理する

学校に相談する前に、まずは子どもから聞いた情報をもとに事実を整理することが大切です。いじめの内容や状況を客観的にまとめておくことで、学校側も問題を正確に理解しやすくなります。

例えば、次のような点を記録しておくとよいでしょう。

いじめの具体的な内容
例:「○月○日に○○くんから『消えろ』と言われた」「体育の時間にわざとぶつかられた」
いじめが行われた場所や時間
例:「休み時間に教室で」「昼休みに運動場で」
子どもの感情や反応
例:「怖くて動けなくなった」「涙が止まらなかった」

このように、感情的な主張ではなく、具体的な事実を整理することで、学校側が事態を適切に把握しやすくなります。

学校への相談時のポイント

学校との連携は、まず担任教師への相談から始めるのが一般的です。最初の相談では、次のような姿勢を心がけましょう。

冷静かつ丁寧な話し方
感情的にならず、「このような問題が発生しているため、ぜひ一緒に解決策を考えたい」と建設的な姿勢で伝えます。
具体的な要望を伝える
例:「休み時間に目が届くようにしてほしい」「相手の保護者とも話し合いたいので、調整をお願いしたい」
記録を提出する
上記で整理した事実をまとめた資料を渡し、問題の共有をスムーズにします。

ただし残念ながら、先生方にも個人差があります。もし担任教師だけでは対応が難しい場合や問題と認識されなかった場合は、学年主任、教頭、校長など、学校の上層部に相談をエスカレートすることも検討してください。

学校側の対応が不十分だった場合

学校がいじめの存在を軽視したり、問題解決に消極的だったりする場合もあります。その際は、地域の教育委員会や第三者機関に相談する選択肢があります。また、最近では弁護士や子どもの権利擁護団体がいじめ問題に取り組むケースも増えており、必要であれば専門家の力を借りることも視野に入れましょう。

文部科学省:学校におけるいじめ問題に関する基本的認識と取組のポイント

第四章:親自身の心も守る――不安との向き合い方

いじめや不登校の問題に直面すると、親であるあなた自身も大きなストレスや不安を抱えることになります。お子様のことを心配するあまり、自分自身の心の健康を見失ってしまうことも少なくありません。この章では、親としての自分自身を守る方法についてお話しします。

自分を責めない

親御さんが最初に覚えておくべきことは、「自分を責めない」ということです。子どもがいじめられたり、不登校になったりすることは、必ずしも親の育て方に問題があったわけではありません。むしろ、学校環境やいじめの構造的な問題が影響していることを忘れないでください。

「もっと早く気づくべきだった」「どうして助けてあげられなかったのだろう」と自分を責めるのではなく、「今できることは何か」を冷静に考えることが大切です。

子どもに寄り添う母親の画像

周囲のサポートを求める

不登校やいじめの問題は、親一人で抱え込むにはあまりにも大きな負担を伴います。信頼できる友人や家族に相談することで、気持ちを整理する助けになります。また、同じ悩みを持つ親同士が集まるサポートグループに参加するのも有効です。共感し合える仲間と話すことで、「自分だけではない」と感じられ、孤独感が軽減されるでしょう。

第五章:子どもの心を癒す――回復プロセスと親の役割

いじめや不登校によって傷ついた子どもの心を癒すには、時間と適切なサポートが必要です。心の傷は目に見えない分、その深さや痛みを測ることが難しく、時に回復の過程が親にとってももどかしく感じられることがあります。この章では、子どもの心の回復を促進するために、親ができる具体的なアプローチについてお話しします。

子どもに「安全な場所」を提供する

いじめを受けた子どもにとって、家庭が最も安心できる場所であることが重要です。子どもが「学校では傷ついたけれど、家では自分をそのまま受け入れてもらえる」と感じられることで、心の回復が進みます。

子どもがどのような言葉や態度を求めているのかは個人差がありますが、基本的には「話を聞く姿勢」を持つことが大切です。親として、「学校に行かないことを責めない」「無理に問題を解決しようとしない」ことを心がけてください。

例えば、子どもが「今日は何も話したくない」と言ったとしても、それを否定せず、「いつでも話したくなったら教えてね」と伝えるだけで、安心感を与えることができます。親が「子どものペース」を尊重する姿勢が、心の回復に繋がります。

子どもの自己肯定感を育む

いじめによる心の傷は、子どもの自己肯定感を大きく損ないます。「自分はダメな人間だ」「何をやっても意味がない」といった否定的な感情に陥ることがあります。このような感情を乗り越えるためには、日常生活の中で小さな成功体験を積み重ねることが重要です。

例えば、運動や音楽、料理など、子どもが得意なことや好きなことに取り組む機会を増やしてあげましょう。そして、その成果を親が積極的に認めることで、少しずつ「自分にも価値がある」という感覚を取り戻す手助けができます。

また、親が子どもに対して具体的な言葉で褒めることも効果的です。「頑張ったね」や「すごいね」といった漠然とした褒め言葉ではなく、「○○を最後までやり遂げたのはすごいね」といった、行動や成果に焦点を当てた言葉を使うことで、子ども自身が自分の努力を実感しやすくなります。

プロフェッショナルのサポートを受ける

子どもの回復を支えるためには、専門家の力を借りることも有効です。カウンセリングや心理療法は、子どもが自分の感情を整理し、新たな視点を獲得するための強力な助けとなります。

例えば、認知行動療法(CBT)は、いじめによるトラウマに苦しむ子どもに対して有効なアプローチです。この療法では、子どもが物事をどのように受け止めるか、その「認知の歪み」を修正し、より前向きな考え方を身につけることを目指します。

プロフェッショナルのサポートは、親だけでは解決が難しい問題に直面したときの大きな助けとなります。学校に設置されているスクールカウンセラーや、地域の相談窓口を積極的に利用してみましょう。

第六章:未来への歩み――不登校を乗り越えたその先

いじめや不登校は、今まさに直面しているときには深刻で解決の見えない問題のように感じられるものです。しかし、こうした状況も永遠に続くものではありません。子どもは親の想像以上に強く、柔軟に環境に適応していく力を持っています。

子どもの成長を信じる

親がまず理解しておかなければならないのは、子どもは自分のペースで成長し、自ら解決策を見つけていける力を持っているということです。不登校という経験が子どもの将来に悪影響を与えるのではないかと心配するのは当然ですが、これは一時的な状態であり、子どもの持つ可能性を信じることが重要です。

多様な進路を考える

日本の教育システムは、一定の枠に子どもを当てはめようとする傾向があります。学校に通い、成績を取り、進学するという一連の流れが当たり前とされているのです。しかし、すべての子どもがこの流れに適応できるわけではありません。いじめや不登校を経験した子どもにとっては、むしろ多様な進路を考えることが未来への希望を広げる鍵となります。

親がこれらの選択肢を理解し、子どもと一緒に考えることで、子どもが「自分にも選べる未来がある」と実感できるようになります。その上で、学校に行きたいという思いがあれば子どもの意思を尊重し、再登校に向けて支援を行っていきましょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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自閉症から不登校になってしまう子どもへの接し方

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不登校や引きこもりの問題に取り組む児童心理司の藤原と申します。これまで多くのお子さんとご家族を支援してまいりました。不登校になっているお子さんをお持ちの方は、親として子どものことを心から案じながらも、何をどうすれば良いのか分からず、途方に暮れているかもしれません。私の言葉が少しでもお役に立てればと願いながら、ここに筆を執ります。

自閉症とは何か──特徴と学校生活での壁

まず、自閉症スペクトラム障害(ASD)について、その特徴や学校生活で感じやすいストレスを整理してみましょう。自閉症は、広範囲にわたる発達特性を持つ神経発達障害の一種です。典型的な特徴として、社会的なコミュニケーションの難しさ、興味の偏り、感覚過敏や過集中があります。

学校という場所は、多くの子どもにとって社会的なスキルを試される場であり、また集団行動が求められる環境です。特に自閉症の子どもにとっては、この「普通」が時に大きな負担となります。例えば、教室内でのざわざわした音や、昼休みに友達同士で自然に交わされる会話、教師の指示を即座に理解して行動に移すことなど、これらがすべて「苦手なこと」の要因になり得ます。

自閉症の子どもたちは、ルールやパターンを好む一方で、予期せぬ変化や曖昧な状況に対して大きな不安を感じやすい傾向があります。このため、例えば授業の変更や突発的なアクティビティがあると、パニック状態に陥ることがあります。また、同級生からの冗談や暗黙の了解を理解できずに孤立したり、逆に周囲の視線や言動に過敏に反応してストレスを感じることもあります。

以下は、自閉症の子どもの特徴と、学校でストレスになりやすい要素をまとめた表です。

特徴詳細
社会的な特徴– 他者とのコミュニケーションや集団活動が苦手。
– 冗談や暗黙の了解を理解するのが難しい。
– 対人関係で誤解されやすい。
興味・行動の特徴– 特定の物事やルールに強いこだわりを持つ。
– 興味の範囲が偏っており、他者と共有しにくい。
感覚特性– 音や光、匂い、触覚などに対して過敏または鈍感。
– 環境の変化に強いストレスを感じる。
自己調整の困難さ– 感情をコントロールするのが難しく、パニックや不安状態に陥りやすい。
– 刺激が過剰な環境では過集中や感情の爆発を起こしやすい。
学校でのストレス要因– 騒音: 教室や廊下のざわめき、ベルの音、体育館の反響音などがストレスになる。
– 授業中の変化: 急な時間割の変更や予期しないアクティビティ。
– 対人関係: 友達とのやりとりやグループ活動の難しさ。いじめや孤立感を感じることも多い。
– 評価・プレッシャー: テスト、発表、他者の注目を集める活動が大きな不安要因になる。
– 身体的な不快感: 校庭の暑さ・寒さ、椅子や机の硬さなどの環境的要因が影響することもある。
回避行動の例– 学校に行きたがらない、朝の支度に時間がかかる。
– お腹が痛い、頭が痛いなど体調不良を訴える。
– 家に閉じこもることが増える。

こうした学校生活の中での壁が、やがて大きな不安となり、不登校という結果につながることがあります。「学校に行かなければ」というプレッシャーと、「行きたくない」という心の葛藤が、朝の準備段階で涙や過剰な自己主張として現れることも珍しくありません。

学校という場が持つ意味と、不登校の背景

「学校に行くこと」は、多くの親御さんにとって、子どもの将来を左右する大事なテーマです。しかし、学校での体験が子どもの心を傷つける場になってしまう場合、その環境そのものが問題解決の障害となることもあります。「学校に行くべきだ」という社会的な圧力は確かに存在しますが、それが全ての子どもにとって良い結果をもたらすわけではありません。

自閉症の子どもの場合、学校におけるストレス要因は主に次のように分類できます:

  • 感情的なストレス──授業や課題への不安、教師やクラスメイトとの関係の緊張感。
  • 物理的な環境への不適応──騒音、照明、教室の配置。
  • 対人関係の難しさ──いじめ、孤立、誤解。

これらの要因が重なると、子どもは「学校を避けることで安心感を得る」という行動を選ぶことがあります。これは、ToCoの再登校支援プログラムで言う「負の強化」として説明されている現象です。

では、親としてどのように接するべきなのでしょうか?以下では具体的なアプローチをお伝えします。

自閉症の子どもが学校に向き合う力を持つために親ができること

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもにとって、学校生活での困難は、個別の特性や環境への適応力に深く関連しています。そのため、不登校の支援も一般的な方法ではなく、特性に配慮したアプローチが必要です。以下では、自閉症の子どもに適した具体的な支援策を解説します。


1. 子どもが安心できる環境を整える

自閉症の子どもにとって、「安心できる環境」が不安の軽減と行動の安定に繋がります。学校の環境が過剰な刺激を与える場合、家庭でまず安心感を持たせ、徐々に外部の環境に慣れさせていきます。

具体策:

自宅での学校体験をシミュレーション
学校での流れ(例えば「朝の準備→教室に入る→授業を受ける」など)を家庭内でロールプレイし、少しずつ「学校に行く」感覚を慣れさせます。

視覚的なスケジュールの作成
学校生活や1日の予定を絵や写真、アイコンを使って視覚的に示します。「次に何が起こるか」が分かるだけで、予測不能な不安を和らげます。


2. 子どもの特性に基づいた挑戦を設計する

自閉症の子どもは、特性に応じた小さな挑戦から始め、成功体験を積むことで自己効力感を高めていきます。これは、ToCoプログラムの「安全な挑戦」設定の考え方に基づいています。

具体策:

感覚的な刺激を避ける工夫
通学時間帯をずらしたり、静かな教室や個別ブースで学べるよう学校と調整します。これにより、過度な音や人混みからのストレスを軽減できます。

得意な分野を活かす
子どもが得意とすることや興味を持つことを学校活動に関連付けます。例えば、算数が得意なら「教室で計算問題を解くだけでもOK」など、子どもが「これならできる」と思える範囲を設定します。


3. 親の言葉と行動に一貫性を持たせる

自閉症の子どもは、曖昧な指示や変化に混乱しやすい傾向があります。親が安定した態度で一貫性のある言葉を使うことが、子どもの安心感につながります。

具体策:

  • 「具体的で短い指示」を心がける
    「学校に行く準備をしなさい」ではなく、「まず靴下を履こう」「次に教科書をカバンに入れよう」と具体的に伝えます。
  • 一貫したルールを作る
    学校に行く日と行かない日でルールやスケジュールを変えすぎないようにします。一貫したスケジュールが、子どもの安心感を高めます。
母と娘の会話イメージ

これにより、子どもは親に対して信頼感を持ち、自分の気持ちを素直に話せるようになります。


4. 感覚過敏や興奮を和らげる方法を取り入れる

自閉症の子どもは感覚的な過剰反応を示すことが多いため、ストレスを和らげるツールや方法を日常に取り入れると効果的です。

具体策:

リラクゼーションの習慣化
深呼吸、ストレッチ、抱きしめられる感覚が得られる重い毛布(加重ブランケット)などを使って、リラックスできる時間を作ります。生活リズムが整うことで、子どもは次第にエネルギーを回復し、学校復帰への準備が整っていきます。

感覚調整ツールの活用
ノイズキャンセリングヘッドホンやサングラス、柔らかい素材の服など、子どもの感覚的な快適さをサポートするアイテムを取り入れます。


5. 学校との密な連携を図る

自閉症の子どもが学校に通うためには、学校側との協力体制が重要です。特に特別支援教育コーディネーターや担任の先生と連絡を密にし、個別の支援計画を作成します。

具体策:

  • 個別の支援計画(IEP)の作成
    子どもの特性に合わせた支援が行われるよう、学年や担当教員と相談して具体的な計画を立てます。
  • 登校時間や授業内容の調整
    フルタイムの通学が難しい場合、登校時間を短縮したり、得意な科目に絞るなど柔軟な対応を学校に求めます。
先生との面談イメージ

6. 子どもが落ち着ける「安心の拠点」を持たせる

学校に行く際には、子どもが一息つける安心の場所を作ることも大切です。

具体策:

  • 学校内での拠点づくり
    保健室や図書室、特別支援教室など、子どもが安心して過ごせる場所を学校と調整します。
  • 親子で話し合い「逃げ場」を設定
    子どもがストレスを感じたときに「ここに行けばいい」という逃げ道を設定しておくと、安心感が高まります。

7. 子どもの小さな進歩を具体的に認める

自閉症の子どもにとって、褒められることや成功体験が次の挑戦への原動力になります。ただし、褒め方は具体的で分かりやすいものにしましょう。

具体策:

  • 行動を言葉で細かく評価する
    「頑張ったね」ではなく、「朝、カバンを自分で準備できたね」「学校の門まで行けたのはすごいことだよ」と具体的に伝えます。
  • 進歩を記録する
    できたことを日記やシールで記録し、子どもが自分の成長を視覚的に確認できるようにします。

最後に

お母さまが子どもを想う気持ちは、どんな言葉よりも力強いものです。どんなに小さな一歩でも、それは確実に前進です。お子さんが笑顔を取り戻し、安心して学校生活を送れるようになる日を、一緒に目指していきましょう。私達も、全力であなたとお子さんを支えていきます。どうか一人で抱え込まず、必要な支援を活用しながら進んでいってください。

ToCoでは、不安障害や自閉症を持つお子さんを対象に、何十人もの再登校を支援してきた実績があります。専門家によるカウンセリングや、個々の状況に応じたプログラムの提供を通じて、親子で取り組むことができます。詳しい情報は、ToCoの公式ウェブサイトをご覧いただくか、サポート窓口までお問い合わせください。

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不安障害で不登校になってしまう子どもへの接し方

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不登校や引きこもりを専門とする児童心理司の藤原と申します。不安障害を抱えるお子さまを持つ親御さまにとって、日々の生活は心配と葛藤の連続だとお察しします。お子さまの抱える不安がどのようなものなのか、どこまで親として助けてあげられるのか、そんな疑問に向き合いながらも、答えが見つからず苦しい日々を過ごしている方も多いでしょう。

私自身、多くのケースを通じて、「何とかしてあげたい」という親御さんの切実な願いと、それに応えたい一方で、どうしても親だけでは手に負えない壁を感じる瞬間を目の当たりにしてきました。本随筆では、不安障害と不登校という問題に焦点を当て、原因とその背景を掘り下げたうえで、親として具体的にどう向き合えばよいのかを考察していきます。

不安障害とは? ~子どもが抱える見えない恐怖~

不安障害とは、単なる緊張や心配とは異なる、日常生活に深刻な影響を及ぼすレベルの強い不安感や恐怖感を伴う疾患です。不安は本来、危険や問題に直面したときに人間が備える自然な反応ですが、不安障害ではこの反応が過剰に働き、本人にとっては非常に現実的で切迫した感情として現れます。

子どもにとっての不安障害とは?

大人が「それほど怖がる必要はない」と思うような状況でも、不安障害を抱える子どもにとっては、それが「恐ろしい災難」に見えることがあります。たとえば、学校での発表、先生に注意されること、友達と話すこと、さらには登校という日常的な行動そのものが、大きなストレス源になります。

  • 身体的症状: 「お腹が痛い」「気持ちが悪い」「心臓がドキドキする」といった身体的な不調が、不安の高まりとともに現れます。これは決して「仮病」ではなく、子どもの体が不安に対して反応している結果です。
  • 思考の歪み: 「失敗したらどうしよう」「みんなに嫌われる」といった否定的な思考が、頭から離れなくなります。このような思考の繰り返しは、子どもの行動範囲を狭め、自己肯定感を奪います。
  • 回避行動: 不安の原因となる状況を避けるため、子どもは学校を休む、部屋に閉じこもるといった行動を取ります。一見すると「怠けている」と見えることもありますが、実際には不安から自分を守るための防御策なのです。

学校が「安心できない場所」になる理由

学校は多くの子どもにとって学びと成長の場ですが、不安障害を抱える子どもにとっては、多くのストレス要因が詰まった場所でもあります。どんな子どもでも多かれ少なかれ緊張やプレッシャーを感じる場面があるものですが、不安障害を抱える子どもにとっては、それが日常的に耐え難いものとなります。

1. 過剰なプレッシャー

学校では、授業中に発言を求められたり、テストで結果を示す必要があったりと、他人に評価される機会が頻繁にあります。不安障害の子どもにとって、これらの場面は「失敗できない」という極端なプレッシャーを感じさせます。

2. 人間関係の複雑さ

友人関係や先生とのやり取りもまた、強い不安を引き起こす要因となります。友達との会話で何を話せばよいのか分からない、クラス全員の前で何かをするのが怖い、といったことが積み重なります。また、些細な意見の相違や行き違いが「自分は嫌われている」と感じる原因になることもあります。

3. 環境そのものへの不安

広い体育館や騒がしい校庭、廊下を歩くだけでも、不安障害を持つ子どもには安心できない場合があります。特に、音に敏感な子どもにとっては、チャイムの音やクラスメイトの声がストレスになることもあります。

親として何ができるのか ~第一歩は「不安」を理解すること~

不安障害を抱える子どもに接する際の基本姿勢として、最も大切なのは、「不安を否定しない」ことです。「そんなことで怖がらなくてもいい」「学校なんて大したことない」という言葉は、子どもにとって自分の気持ちを理解されていないと感じさせるだけでなく、「自分はおかしいのだ」とさらに自己否定感を抱かせてしまいます。

子どもの不安を言葉で受け止める

  • 子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、ただ「分かった」と受け流すのではなく、「そう感じる理由を教えてくれる?」と優しく尋ねます。
  • 子どもが口にした言葉を繰り返すことで、「親が自分の気持ちを理解している」と感じさせることができます。
  • 例:「朝起きたときに、お腹が痛かったんだね。それは不安が原因かもしれないね。」
子どもとのハグのイメージ

安心できる小さな挑戦を作る

不安障害の対処は、一気に解決を求めるのではなく、段階的に取り組むことが基本です。たとえば、次のようなステップを提案できます。

  • 最初は家の近所を一緒に散歩する。
  • 次に、学校の前まで行ってみる。
  • 次第に学校の敷地内に入る、担任の先生と一度だけ話してみる。

これらの挑戦に成功したときは、結果ではなく努力そのものを褒めるようにします。「行けたね」ではなく、「挑戦しようとした姿勢が素晴らしい」と伝えることで、子どもは自己肯定感を少しずつ取り戻します。

生活リズムの安定がカギ

不安が高まる背景には、睡眠不足や昼夜逆転といった生活習慣の乱れがあることも多いです。朝同じ時間に起きる習慣をつける、夜遅くのスマホやゲームを控えるといった基本的な生活リズムを整えることで、子どもの心身の安定を図ることができます。


子どもの心に寄り添う具体的なアプローチ

ここでは、不安障害を抱えるお子さまとどのように対話し、どのように日々の接し方を工夫すればよいかをさらに掘り下げていきます。

1. 子どもの不安を「分解」する対話

不安を感じる状況に直面した際、その原因がどこにあるのかを一緒に探ることで、子ども自身が自分の気持ちを整理する手助けをします。ToCoのプログラムでは、不安を「感覚」「思考」「行動」の3つの要素に分ける方法を推奨しています。

具体例:
親:「学校に行こうと思ったとき、どんな気持ちだった?」
子:「怖くて、お腹が痛くなった。」
親:「そっか。怖いと感じると、体にどんなことが起きたかな?」
子:「心臓がドキドキしたし、泣きそうになった。」
親:「それで、お腹が痛いって思ったのかもしれないね。そう感じたとき、どんなことを考えた?」
子:「行ったら先生に怒られるかもって思った。」

このように、感情を細分化して話し合うことで、子どもは「自分が感じている不安の正体」に気づくきっかけを得ます。それが漠然とした恐怖から具体的な「対処できる課題」へと変わる第一歩になります。

2. 現実的な視点を教える「リフレーミング」

不安障害を持つ子どもは、「失敗したらどうしよう」「みんなに嫌われる」といった極端で否定的な考えに陥りやすい傾向があります。これを「ネガティブな自動思考」と呼びます。この思考に対して、「もっと現実的な見方をする」という練習を繰り返すことが効果的です。

具体例:
子:「宿題を忘れたら先生がすごく怒るに決まってる。」
親:「そう思うんだね。先生が怒るとしたら、どうして怒ると思う?」
子:「私が悪いから…。」
親:「そうか。でも先生は、宿題をしていないことより、どうして忘れたのかを知りたいんじゃないかな?宿題ができなかった理由を話したら、先生は怒るより助けてくれるかもしれないね。」

ネガティブな予測に固執せず、別の可能性を考えられるようになると、不安を減らしやすくなります。

3. 小さな成功体験を積み重ねる

子どもが少しでも新しい挑戦をしたとき、それを必ず認め、成功体験として積み重ねていくことが大切です。挑戦が失敗に終わったとしても、「挑戦した事実」に注目します。

具体例:
親:「今日は学校の門の前まで行けたね。それだけでもすごいことだよ。最初は怖かったと思うけど、やろうとしたその気持ちが素晴らしいよ。」

このように肯定的なフィードバックを与えることで、次への挑戦への意欲を引き出します。


再登校に向けたToCoのサポート

最後に、不安障害を抱えるお子さまをサポートするうえでの選択肢として、ToCoの再登校支援プログラムをご紹介します。ToCoでは、不登校の原因に合わせた個別のプログラムを提供しており、親子ともに無理のない形で再登校を目指せる仕組みが整っています。

笑い合う母と娘の画像

たとえば、以下のような支援を受けられます:

  • 子どもが安心して登校できるよう、小さな目標を設定し、それを専門家と共有しながら進める。
  • 親が子どもとのコミュニケーションで迷った際に、具体的なアドバイスを受けられる。
  • 学校との連携をサポートし、環境調整を進める。

これまで多くの子どもたちが、このプログラムを通じて再び学校生活を取り戻してきました。親御さんとしても、孤独に悩む必要はありません。専門家の力を借りながら、一歩ずつ進んでいける道を探してみてください。

終わりに

不安障害を抱える子どもにとって、親の存在は何よりも大きな支えです。その一方で、親御さん自身が負担を抱え込みすぎてしまうと、心が疲れてしまうこともあります。今回の内容が、少しでも親御さんの力になれば幸いです。そして、必要なときにはToCoのような専門的な支援を受けることで、親子ともに安心して前進できる道を見つけていきましょう。

子どもの未来が明るいものとなるよう、心から願っています。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

不登校が1ヶ月以上続いた場合の、家庭で出来る対処法

児童心理司の藤原と申します。不登校や引きこもりに関する支援に携わっても変わらない思いとして、不登校は親子双方にとって非常に辛い問題だということです。不登校が「1週間」「2週間」であれば、なんとか踏ん張って対策を講じられる方も多いでしょう。しかし、これが「1ヶ月以上」になると話は変わります。子どもの生活習慣は乱れ、学校との心理的な距離は広がり、親自身も「これで良いのか」と自問自答しながら疲弊してしまいます。このような状況において、家庭でどのような対応ができるのか、具体的にお伝えしていきたいと思います。

ここでは、「生活リズムを整える」「勉強を続ける」「学校との繋がりを保つ」という3つの柱をもとに、家庭で実践可能な方法をご紹介します。一歩一歩、親子で前進していくための助けになれば幸いです。

下記が本文の内容をまとめた表となります。

目的必要な行動
生活リズムを整え、心身の安定を図る毎朝決まった時間に起きる習慣をつけ、食事や運動などのルーティンを取り入れる。家族全体で規則正しい生活を心がける。
勉強の継続を通じて学びへの意欲を育む興味のある分野から学習を始める。学校の先生と連携して無理のない課題に取り組むことで、自信と学ぶ楽しさを感じられる環境を整える。
学校との繋がりを保ちながら復帰を促す先生との定期的な連絡や学校行事への参加を通じて、学校を身近に感じさせる。短時間の訪問など段階的な関わりを取り入れる。
親子関係を通じて自己肯定感を高める子どもの気持ちに寄り添い、小さな成功を見つけて具体的に褒める。安心できる環境を作り、感情を表現しやすくする。
親自身の心身の健康を守る信頼できる人に悩みを共有する。自分の時間を持ち、心身のリフレッシュを図ることで、親としての安定感を保つ。

第1章:子どもの生活リズムを整える

不登校が1ヶ月以上続く場合、ほぼ確実に生活リズムが乱れていると言っても過言ではありません。朝起きる時間がバラバラになり、夜更かしが当たり前になることで、昼夜逆転の生活に陥るお子さんも少なくありません。この状態が長引くと、心身の健康に大きな影響を及ぼすだけでなく、学校生活への復帰がますます困難になります。

なぜ生活リズムが重要なのか?

人間の体は、「体内時計」と呼ばれるリズムに従って生活しています。この体内時計を狂わせる最大の要因が、睡眠時間の不規則化です。たとえば、夜中の1時や2時に寝て昼頃に起きる生活が続くと、体が日中活動する準備を整えられなくなります。その結果、疲れやすくなったり、イライラしやすくなったりと、心身にさまざまな不調が現れるのです。さらに、こうした状態では学校に行くどころか、日常生活を送ること自体が難しくなる場合もあります。

どのように整えるのか?

1ヶ月以上続いた乱れた生活リズムを立て直すのは、簡単なことではありません。しかし、焦らず少しずつ取り組むことで、改善の道を開けることができます。以下に具体的な方法を挙げます。

1. 起床時間を固定する まず、毎日同じ時間に起きることを目指してください。最初は30分早く起きるだけでも構いません。「今日だけは少し遅くてもいいか」となると、改善は進みません。親御さん自身も一緒に起きることで、家庭全体で生活リズムを整える努力をしましょう。

2. 朝日を浴びる 朝起きたら、カーテンを開けて日光を浴びることを習慣化しましょう。日光には、体内時計をリセットし、眠気を覚ます効果があります。また、短時間でも散歩に出ることで、気分転換と体力づくりを同時に行うことができます。

3. 夜のルーティンを作る 夜更かしを防ぐためには、夜の過ごし方を工夫することが重要です。例えば、寝る1時間前からスマホやゲームを控える、リラックスできる音楽を聴く、ストレッチをするなど、規則的なルーティンを取り入れましょう。

4. 家族で取り組む 子どもだけに生活リズムの改善を押し付けるのではなく、家族全員で取り組む姿勢を見せることが効果的です。たとえば、朝食の時間を決めて全員で食べる習慣を作ることで、お子さんも「自分だけが頑張る必要はない」と感じられるでしょう。

心理的サポートも忘れずに

生活リズムの改善に取り組む中で、親御さんが注意すべきことは、「無理にやらせない」という点です。たとえば、朝起きる時間を守れなかったときに「どうしてできないの?」と責めてしまうと、子どもはさらに自信を失い、挑戦する意欲を失ってしまいます。たとえ失敗しても、「少しずつでいいよ」「今日はここまでできたね」と肯定的な声掛けを心がけてください。

また、1ヶ月以上の不登校が続く中では、「どうしても動けない」「何もしたくない」という日があるのも自然なことです。そんなときには、無理に何かをさせるのではなく、そっと寄り添い、「次にできそうなこと」を一緒に考えてあげる姿勢が大切です。

第2章:勉強を続けることの意義と方法

1ヶ月以上の不登校が続くと、勉強に対する意欲が大幅に低下しているケースがほとんどです。お子さんの中には、「学校に行っていないから勉強しなくても良い」と考え始める子もいれば、「勉強しようと思っても何から手をつけて良いか分からない」といった混乱を抱える子もいます。また、「他の子に遅れている」というプレッシャーから、自信を喪失してしまう場合も少なくありません。

勉強を続けることは、単に学校の授業に追いつくためだけではなく、お子さんが未来への選択肢を広げ、自信を取り戻すための大切な手段です。しかし、長期間勉強から離れている場合、再び学習の習慣を取り戻すことは簡単ではありません。この章では、勉強の再開をサポートする具体的な方法とその意義についてお伝えします。

なぜ勉強を続けるべきなのか?

1ヶ月以上の不登校が続く中で、勉強をする意味を親御さん自身が見失ってしまうこともあります。「無理に勉強させてもストレスになるだけでは?」という疑問を抱えるのは当然のことです。しかし、勉強には以下のような意義があります。

1. 自信を取り戻すきっかけになる 
何かを学び、理解し、「できた!」と実感することは、お子さんの自己肯定感を高めます。不登校が長引くと、「自分はダメだ」「何をやっても無理だ」という思い込みが強くなりがちですが、勉強を通じて成功体験を積むことで、「やればできる」という感覚を取り戻すことができます。

2. 学び続ける姿勢を維持できる 
勉強は、将来の選択肢を広げるだけでなく、「学ぶこと自体が楽しい」と感じる力を育てます。一度勉強を完全にやめてしまうと、再開する際の心理的ハードルがさらに高くなるため、小さな形でも学習を続けることが重要です。

3. 学校復帰への準備となる 
学校生活に復帰した際、授業内容についていけないという不安は、お子さんにとって大きなストレスになります。不登校中に家庭での学習を進めておくことで、この不安を軽減することができます。

勉強を再開するための具体的な方法

勉強を再開させるには、お子さんの現状や気持ちに合わせた柔軟なアプローチが必要です。以下に具体的な方法を挙げます。

1. 小さな目標を設定する

いきなり学校のペースに合わせようとすると、負担が大きくなり挫折する原因になります。まずは「今日の10分だけドリルを解く」「1ページだけ読書をする」といった小さな目標を設定してください。そして、それを達成した際には必ず褒めてあげましょう。

親が「これだけやれば十分」と思うラインを明確にすることで、お子さんも安心して取り組むことができます。

2. サポートを活用する

不登校が1ヶ月以上続いている場合、学校や地域の教育支援機関と連携することが有効です。たとえば、以下のようなサポートを活用することが考えられます。

  • 先生への相談:学校の先生と連絡を取り、進級に必要な最低限の課題を調整してもらう。
  • オンライン学習:動画授業やオンライン教材を利用し、自分のペースで学べる環境を整える。
  • 学習塾や家庭教師:不登校の子どもに特化した学習塾や家庭教師を探してみるのも良い方法です。

3. 親が介入しすぎない

勉強を再開する際、親が全てを手取り足取り教えようとすると、お子さんが「自分ではできない」と感じてしまうことがあります。最初のきっかけを作った後は、少しずつ子どもが自分で考える時間を与えましょう。そして、取り組みの過程を見守りつつ、困ったときにはサポートするというスタンスを心がけてください。

心理的なハードルを下げる声掛けの工夫

勉強に対する心理的なハードルを下げるためには、親の声掛けが非常に重要です。「どうしてやらないの?」という責める言葉ではなく、「一緒にやってみよう」「少しだけ試してみない?」と優しく促すよう心がけましょう。また、「今日はこれだけできたね」「頑張ったことが素晴らしい」と結果だけでなく過程を褒めることで、お子さんのやる気を引き出せます。

第3章:学校との繋がりを保つ方法

1ヶ月以上の不登校が続くと、学校との繋がりが心理的にも物理的にも遠ざかっていきます。お子さん自身が「学校は自分には関係ない場所」と感じ始めることもありますし、親御さんも「学校に迷惑をかけているのでは?」という気持ちから、先生やクラスメイトとの関係を遠ざけがちになるかもしれません。しかし、学校との繋がりを完全に断ってしまうと、復帰の心理的ハードルが一層高くなります。この章では、無理なく学校との繋がりを保ち、復帰への道筋を整える方法をお伝えします。

なぜ学校との繋がりが重要なのか?

学校は、お子さんが同年代の友人と交流し、協力や競争を通じて社会性を育む場です。不登校が長引くと、そのような機会が失われるだけでなく、「学校は怖い場所」「自分の居場所ではない」という認識が固定化してしまうことがあります。

また、親子が学校との繋がりを維持することは、お子さんが「自分は見捨てられていない」「戻る場所がある」と感じるためにも重要です。不登校の間も、学校というコミュニティの一員であることを意識できるようにすることで、復帰への心の準備を進めることができます。

学校との繋がりを保つための具体的な方法

1. 先生との定期的な連絡を続ける

不登校が長引くと、親御さんの中には「先生に連絡するのが気まずい」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、学校とのコミュニケーションを断つと、状況を共有する機会が失われてしまいます。先生と定期的に連絡を取り合うことで、家庭での様子やお子さんの気持ちを共有し、学校側のサポートを受ける準備が整います。

具体例:

  • 月に1回程度、電話やメールで家庭での様子を報告する。
  • 担任の先生や学年主任と「今後どう進めるべきか」を相談する機会を持つ。
  • 先生からお子さん宛ての手紙やメッセージを依頼する。

2. 短時間の訪問を取り入れる

いきなり「学校に行こう」と言っても、お子さんにとっては心理的な負担が大きすぎる場合があります。その場合は、短時間の訪問や特定のエリアに限定した関わりから始めると良いでしょう。

具体例:

  • 放課後の空いた教室に親と一緒に行く。
  • 校庭や体育館で遊ぶ機会を作る。
  • 学校行事(運動会や文化祭)に顔を出す。

短い時間からでも「学校に足を運ぶ」という経験を積み重ねることで、「学校に行く」という行為自体への抵抗感を和らげることができます。

3. 友人やクラスメイトとの関係を維持する

クラスメイトとの関わりを絶たないようにすることも重要です。不登校が続く中で、友人との関係が途切れると、「学校に戻ったときに誰も自分を受け入れてくれない」という不安が強まります。可能であれば、親御さんが間に入って友人との交流をサポートしてみてください。

具体例:

  • 近所の友達を家に招き、一緒に遊ぶ機会を作る。
  • 学校外の活動(習い事やスポーツ)でクラスメイトと顔を合わせる。

友人との交流が続いていることは、お子さんにとって「学校に戻っても大丈夫」という安心感に繋がります。

4. 無理のない復帰計画を立てる

学校との繋がりを維持しながらも、復帰のタイミングや方法については、慎重に計画を立てる必要があります。一度学校に行けたからといって、それですべてが解決するわけではありません。長期的な視点で段階的に進めることを心がけましょう。

具体例:

  1. まずは1時間だけ授業に参加する。
  2. 好きな科目や得意な授業だけ出席する。
  3. 週に1回から徐々に登校日数を増やす。

お子さんのペースに合わせて計画を進めることで、負担を軽減しながら復帰を目指すことができます。

親のサポートが鍵となる

学校との繋がりを保つためには、親御さんのサポートが不可欠です。お子さんが「学校に行くのが怖い」と感じている場合は、その気持ちを否定せず、むしろ「どこが怖いのか」を一緒に考える姿勢を持ちましょう。また、親が「学校は楽しい場所だよ」と前向きに語ることも、子どもに安心感を与える重要な要素です。

第4章:親自身のケアと精神的な支え方

1ヶ月以上続くお子さんの不登校は、親御さんにとっても大きなストレスとなります。「どうしてこうなってしまったのだろう」「自分の育て方が悪かったのではないか」と自分を責める気持ちや、日々の対応に追われて疲弊する状況は、決して珍しいことではありません。ですが、親が心身ともに健康でいなければ、長期的にお子さんを支えるのは難しくなります。親御さん自身が「自分をケアする」ことに目を向けることは、お子さんの回復を促進するためにも非常に重要です。

なぜ親のケアが必要なのか?

不登校が長期化すると、家庭の雰囲気が張り詰めてしまうことがよくあります。お子さんの行動に一喜一憂し、日々の生活が「不登校の問題」に飲み込まれてしまう状態が続くと、親御さん自身が疲弊し、結果的にお子さんへの支援も行き詰まる恐れがあります。

以下は、親御さんがケアを怠った場合に起こりがちな問題です。

  • 感情的な対応が増える:「また起きられなかったの?」と、子どもを責める言葉が増え、親子関係に溝が生まれる。
  • 過干渉または放任に偏る:疲労から「どうでもいい」と放任してしまうか、逆に不安から過干渉になる。
  • 自分を責める感情が悪化する:「私がちゃんと育てていれば」と自己否定に陥り、精神的な余裕を失う。

こうした状況を防ぐためにも、親自身が心身の健康を保つことが欠かせません。

親自身をケアするための具体的な方法

1. 悩みを共有する

不登校問題を一人で抱え込む必要はありません。同じ悩みを持つ親同士の交流や、専門家への相談を活用することで、気持ちが軽くなることがあります。

具体例:

  • サポートグループに参加する:不登校の子どもを持つ親が集まるグループでは、「自分だけではない」と感じられ、共感や具体的なアドバイスを得られることがあります。
  • 専門家に相談する:児童心理司やスクールカウンセラーに現状を共有し、具体的な対応方法をアドバイスしてもらう。
  • 信頼できる友人や家族に話す:身近な人に話を聞いてもらうことで、感情の整理が進む場合もあります。

他者に悩みを打ち明けることで、問題を客観的に捉え直すきっかけが得られます。

2. 自分の時間を持つ

日々の生活が不登校対応に追われていると、親御さん自身の時間を持つことを忘れがちです。しかし、自分の趣味や楽しみの時間を確保することは、心のリフレッシュに繋がり、子どもへの支援を続ける力となります。

具体例:

  • 趣味に没頭する:読書、料理、運動など、気分転換になる活動を取り入れる。
  • 短時間でも外出する:カフェに行く、自然の中を散歩するなど、自分のための外出を計画する。
  • リラックスの時間を作る:瞑想やヨガを取り入れ、心を落ち着ける習慣を持つ。

お子さんを気にかけすぎて何もかも自分で抱え込むのではなく、少しの時間でも「自分のために使う」ことを心がけましょう。

3. 感情を整理する

お子さんの不登校に直面していると、親御さん自身も様々な感情を抱えます。「心配」「怒り」「焦り」「孤独」など、それらをため込むとストレスが増幅してしまいます。感情を外に出し、整理することが大切です。

具体例:

  • 日記をつける:日々の気持ちや考えを文章にすることで、自分自身を客観視できる。
  • 肯定的な言葉を自分にかける:「私はよく頑張っている」「一歩ずつ進んでいる」といった言葉を、自分に向けて語りかける。
  • 専門家の力を借りる:感情が整理しきれない場合、心理カウンセリングを受けることも一つの手段です。

4. 家族やパートナーとの協力体制を築く

親御さんが一人ですべてを抱え込むのは非常に困難です。家族やパートナーと協力しながら、不登校の対応を進めることを考えましょう。

具体例:

  • 役割分担をする:例えば「朝の声掛けは母親、宿題のサポートは父親」というように、家庭内で役割を明確にする。
  • 家族会議を開く:お子さんの状況や家庭での対応方針について話し合う時間を設ける。
  • お互いの気持ちを尊重する:「どうしてこの対応をしたの?」と責めるのではなく、互いの意見を受け入れる姿勢を大切にする。

家庭全体で協力し合うことで、親御さん自身の負担を軽減するだけでなく、家庭の雰囲気も穏やかになります。

親が元気であることが子どもを支える力になる

親御さんが元気でいることは、お子さんにとっての安心感に繋がります。不登校の状況においては、親が冷静で落ち着いた態度を示すことが、子どもに「自分も大丈夫」というメッセージを伝える重要な手段となります。親御さん自身のケアを優先することは決して「甘え」ではありません。それは長期的にお子さんを支えるための「準備」なのです。

おわりに

ここまで、「生活リズムを整える」「勉強を続ける」「学校との繋がりを保つ」、そして「親自身のケア」という4つの柱について詳しく解説してきました。不登校が1ヶ月以上続く中での対応は簡単なものではありませんが、一つずつ取り組むことで、状況を改善する道筋が見えてきます。

親御さんの努力や温かいサポートは、必ずお子さんに届きます。焦らず、親子で少しずつ前進していきましょう。そして、どんなに辛い日々の中でも、「今は支え合う時間」と捉え、将来の希望を共に描いていけることを願っています。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

子育ては、加点方式で

児童心理司の藤原と申します。不登校や引きこもりの子どもたち、そしてそのご家族と日々向き合いながら、さまざまな課題や悩みに寄り添う仕事をしています。この文章を通じて、不登校に悩むお母さまたちが、子育てにおいて少しでも役立てられるヒントをお届けできればと思います。今回は「子育てと加点方式」というテーマに沿って、子育ての考え方を深掘りしていきます。

子育ては、ときに大きなプレッシャーを伴うものです。「これをしなければならない」「あれをやらないといけない」といった義務感や、「この子が将来困らないように」という切実な願いが、知らず知らずのうちに日々の言動を支配していることもあるでしょう。そして、そうした思いが強くなるとき、私たちはつい「減点方式」の視点に立ってしまうことがあります。

減点方式とは何か

まず、減点方式とは何でしょうか。この考え方は、もともと工業や製造業など、ミスが許されない分野で発展してきた評価の方法です。製品を検査する際に、欠陥がある部分を減点していくことで、品質を保証する仕組みです。たとえば航空機の製造や医療現場では、この減点方式が欠かせません。安全が最優先されるからです。

しかし、この減点方式を子育てに当てはめたとき、何が起こるでしょうか。子どもが失敗したり、不十分だったりした点を指摘し、そこを改善するように促すことで、理想的な状態に近づけようとする。この方法は一見、効率的に思えるかもしれません。けれども、子育てにおいては、こうした評価方法が親子双方に大きなリスクをもたらすことがあります。

減点方式が子どもに与える影響

減点方式の最大の問題点は、子どもの「自己肯定感」を損ないやすいという点です。自己肯定感とは、自分自身を「これでいいんだ」と認められる感覚のことです。この感覚は、幸せを感じるための基盤ともいえるものです。子どもが失敗や不足を指摘され続けると、「自分はダメだ」「自分には価値がない」という感覚を持ちやすくなります。そして、この自己肯定感の低下は、後々まで深刻な影響を及ぼす可能性があります。

たとえば、不登校の子どもたちと話していると、「どうせ何をやっても怒られる」「頑張ったって認めてもらえない」といった言葉を耳にすることが少なくありません。彼らの中には、親からの期待や指摘が積み重なり、自分自身を否定的にしか見られなくなっている子もいます。もちろん、親としては愛情をもって接してきたつもりでしょうし、子どもの成長を願う気持ちに偽りはないはずです。しかし、その思いが減点方式の形で伝わると、子どもには「自分はまだ足りない」「もっと頑張らないと愛されない」と感じさせてしまうのです。

加点方式とは何か

では、加点方式とは何でしょうか。加点方式は、減点方式とは逆に、ポジティブな側面や達成したことを評価し、それを積み重ねていく方法です。たとえば、「できなかったこと」ではなく、「できたこと」に注目する。「これが足りない」ではなく、「ここまでできている」という視点で接するのです。

この加点方式は、スポーツのコーチングなどでもよく使われます。選手の欠点ばかりを指摘するのではなく、うまくいった部分を認めることで、本人のやる気や自信を引き出します。こうした方法は、子育てにも大いに応用できるのです。

子どもに幸せを届けるための子育て

子育ての目的とは何でしょうか。それは、子どもが幸せになるための手助けをすることです。では、幸せとは何でしょうか。お金や地位といった物質的な豊かさももちろん大切です。しかし、それ以上に重要なのは、「自分自身を受け入れる力」です。どれだけ成功しても、自分を否定し続ける心では、本当の意味で幸せを感じることは難しいのです。

そのためには、子どもが自分自身を肯定できる環境をつくることが欠かせません。そして、この自己肯定感は、加点方式によってこそ育まれます。たとえば、テストで50点を取った子どもに対して、「あと50点足りないね」と言うのではなく、「50点分もよく頑張ったね」と伝えるのです。小さな違いに思えるかもしれませんが、これが子どもの心に与える影響は計り知れません。

加点方式は、親にとっても気持ちを軽くする効果があります。減点方式で子どもに接する親は、どうしても子どもの不足ばかりが目につくため、イライラしたり、失望したりすることが増えがちです。一方で、加点方式を意識することで、子どものポジティブな面を見つける喜びが増し、親子の間に温かな空気が生まれるのです。

子育てにおける歴史的背景

興味深いことに、加点方式と減点方式の考え方には、歴史的な背景があります。たとえば、江戸時代の日本では、子どもの成長を「目出度い(めでたい)」と捉える文化がありました。節目ごとに子どもの成長を祝う七五三などの行事も、その表れです。一方、産業革命以降の西洋では、効率や成果を重視する風潮が強まり、減点方式的な評価方法が広がりました。この背景には、資本主義の台頭や、労働力としての能力を重視する社会構造の変化が関係しています。

現代の日本は、この両方の影響を受けています。成果主義的な価値観が広がる一方で、伝統的な家族文化も残っています。このような状況の中で、私たちは改めて、「何のために子どもを育てるのか」という原点に立ち返る必要があるのではないでしょうか。

加点方式の具体的な実践方法

それでは、加点方式を日常の子育てにどう取り入れていくかについて、具体的にお話しします。ポイントは、「子どもの行動を細かく観察し、小さな進歩や努力を見逃さない」ということです。どんなに些細なことでも、「できたこと」「頑張ったこと」を見つけ、それを言葉にして伝えることが重要です。

たとえば、不登校の子どもが朝起きてリビングに顔を出したとします。その行動自体は、もしかすると親から見れば大したことではないように思えるかもしれません。しかし、不登校の子どもにとっては、それが大きな一歩である場合も多いのです。ここで「どうして学校に行かないの?」と尋ねるのではなく、「リビングに出てきてくれたんだね。嬉しいよ」と伝えることで、子どもは「自分の行動が認められた」と感じます。

また、子どもが何か新しいことに挑戦したときや、困難に向き合ったときも、結果にかかわらず努力を評価することが大切です。たとえば、「テストで良い点を取ること」だけを褒めるのではなく、「テスト勉強を頑張ったこと」を認める。「友達と話せた」だけではなく、「話しかけようと勇気を出した気持ち」に目を向ける。このように、結果だけではなく過程を評価する視点を持つことで、子どもの心に寄り添うことができます。

親の心の持ち方を変える

加点方式を実践するうえで、親自身の心の持ち方も大切です。減点方式に陥りがちな親の多くは、自分自身にも厳しい評価を下しがちです。「良い親でなければならない」「子どもをちゃんと育てなければならない」というプレッシャーが強く、自分自身に対しても減点方式的な見方をしていることが少なくありません。

しかし、子どもに加点方式を適用するためには、まず親自身が自分を認めることが必要です。「これだけやれた」「ここまで頑張れた」という自分自身の努力や成長を、意識して肯定的に捉える練習をしてみてください。たとえば、一日を振り返るときに、「今日も子どもとちゃんと話せなかった」と自己批判するのではなく、「今日は子どもに『おはよう』と声をかけられた」といった小さな成功体験に目を向けるのです。

子どもを褒めるイメージ

また、完璧を求めるのではなく、「少しずつ良くなっていくことを喜ぶ」という視点を持つことも大切です。不登校は決して「親の失敗」ではなく、子どもが人生の中で一時的に経験する一つの課題にすぎません。親が自分を責めすぎず、「今できることをやる」くらいの気持ちでいることで、親子の間に余裕が生まれます。

子どもの未来を信じる

不登校の子どもたちと接していると、親御さんから「この子の将来が心配です」という声をよく聞きます。その気持ちは当然のものですし、愛情の表れでもあります。しかし、過度な心配は、ときに子どもにとって重荷になってしまいます。

子どもにとって何より大切なのは、「自分を信じてもらえている」という感覚です。たとえ学校に行けていなくても、今は何もできていなくても、親が「あなたには可能性がある」「あなたならきっと大丈夫」と信じてくれることで、子どもは安心感を得ます。そして、その安心感が、次の一歩を踏み出すエネルギーになるのです。

私が以前関わった子どもの中に、2年間不登校だった男の子がいました。その子の母親は、最初の頃は非常に不安を抱えていて、どうしても減点方式的な接し方になりがちでした。しかし、母親がカウンセリングを通じて加点方式を意識するようになると、少しずつ親子の関係が変わっていきました。その子は、母親からの「最近、自分で時間割を作ろうとしてるんだね。すごいね」という声かけを受けて、自分の行動に自信を持つようになりました。最終的に彼は再登校し、今では学校生活を楽しんでいると教えていただきました。

このように、親が子どもの未来を信じ、できることを一つずつ認めていくことで、子どもの可能性は大きく広がります。

加点方式がもたらす親子関係の変化

加点方式を続けていくと、親子の関係そのものが変わっていきます。親が子どもの成功や努力を見つけ、認めることで、子どもは「自分は親に愛されている」と感じます。そしてその感覚が、子どもの自己肯定感を育みます。一方で、親にとっても、子どものポジティブな面を見つけることは、子育ての喜びを再発見する機会となります。

また、加点方式は親子の間に信頼関係を築く助けにもなります。減点方式では、どうしても指摘や注意が増え、子どもとの間に摩擦が生じやすくなります。しかし、加点方式を取り入れることで、親子の間にポジティブな会話が増え、自然と笑顔の時間が増えるのです。

親子の信頼関係は、不登校の解決だけでなく、その後の人生全般においても大きな財産となります。どんな困難に直面しても、「自分には味方がいる」「自分を認めてくれる人がいる」と思えることは、子どもにとって何よりの支えとなるのです。

最後に

子育てには正解がないとよく言われます。しかし、正解がないからこそ、自分たちに合った方法を見つけることが大切です。そしてその中で、減点方式ではなく加点方式を意識することは、親子双方にとって大きなメリットをもたらします。

不登校という状況は、親にとっても子どもにとっても、決して簡単なものではありません。しかし、そこに隠れている小さな可能性や希望に目を向け、加点方式の考え方を取り入れることで、きっと前に進む道が見えてくるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。この文章が少しでも保護者の方のお役に立てれば幸いです。そして、何よりもお伝えしたいのは、あなたの頑張りが、きっとお子さまに届いているということです。どうぞご自分を責めず、肩の力を抜いて、お子さまとの時間を大切にしてください。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

冬休みを再登校に向けた土台作りにするための過ごし方

冬休みを再登校に向けた土台作りにするための過ごし方のイメージ

不登校や引きこもりの支援に携わる児童心理司の藤原と申します。不登校という状況は、どのご家庭でも大きな悩みであり、時に出口の見えない迷路のように感じられることもあるかと思います。
特に冬休みという時期は、親戚が集まる行事や年末年始の特別な環境変化が重なることで、お子さんの心に新たな負担が生じやすい時期でもあります。これから、「冬休みを再登校に向けた土台作りにするための過ごし方」というテーマで、保護者の方にとって役立つ具体的な方法をお伝えします。

親戚との付き合い――無理をさせないための工夫

冬休みといえば、多くの家庭で親戚が集まる行事が予定される季節です。お正月や新年会、あるいはクリスマスの集まりなど、家族や親戚が一堂に会することは、日本の伝統的な年中行事の一部であり、多くの人にとって楽しみな時間でもあります。しかし、不登校のお子さんにとって、これらの機会は楽しいどころか、場合によっては非常にストレスフルな状況になることがあります。

まず、親戚同士の集まりでは、どうしても「学校」の話題が出やすいものです。特に学校に行けていないお子さんにとっては、「最近どう?」「学校はどうしてるの?」といった何気ない質問が強いプレッシャーになりがちです。このような質問に答えられない、あるいは答えることで不安や恥ずかしさを感じる場合、親戚の集まりそのものが苦痛に感じられることがあります。また、普段あまり会わない親戚たちの前では、素の自分を出すことができず、緊張が高まってしまう子どもも少なくありません。

こうした状況を避けるためには、まず保護者の方が事前にお子さんと話し合い、集まりへの参加方法や範囲について、可能な限りお子さんの希望を尊重することが大切です。「少しの時間だけ顔を出してみる」「挨拶だけして、あとは自分の部屋で過ごす」といった選択肢を提示し、お子さんが安心して過ごせる形を一緒に考えることが重要です。
たとえ短時間でも「参加できた」という経験は、お子さんにとって自信や達成感につながる可能性があります。一方で、無理に参加させることで逆にストレスが高まり、自己否定的な気持ちが強まるリスクもあるため、無理強いは避けるべきです。

また、親戚の方々に事前にお子さんの状況を簡潔に伝えることも有効な手段です。「今は少し休んでいる時期です」「ゆっくり考える時間を持たせています」といった形で、柔らかい表現を用いながら、子どもが質問攻めに遭わないよう配慮をお願いすることができます。この際、状況を細かく説明する必要はありません。あくまで「今の状況を温かく見守ってほしい」というスタンスを伝えることが大切です。親戚の集まりでは、学校や進学に関する話題が出ることが多いため、これを未然に防ぐことは、お子さんの安心感を守るうえで非常に有効です。

さらに、親戚同士の集まり自体を短時間に抑えるという選択肢もあります。例えば、昼食や夕食の時間帯だけ参加し、その後は自宅でゆっくり過ごすように計画を立てることが考えられます。こうすることで、お子さんが長時間ストレスにさらされることを防ぎつつ、親戚との交流も一定程度維持することができます。特に、祖父母など近しい親戚に会うことは、将来的にお子さんが家族のつながりを感じるための大切な経験となる可能性があるため、全く顔を出さないよりも、短時間でも接触の機会を持つことを目指すと良いでしょう。

加えて、親戚の集まりに参加する場合、お子さんに事前の準備をサポートすることも効果的です。例えば、「話したくない質問が来たらどう返すか」を一緒に考えたり、「参加する時間帯や席の場所」について相談したりすることで、お子さん自身が少しでもコントロール感を持てるよう配慮することが大切です。「わからない時は無理に答えなくてもいいんだよ」「何かあれば、すぐにお母さんに助けを求めていいんだよ」といった言葉をかけることで、安心感を与えることができます。

このように、親戚の集まりというイベントは、不登校のお子さんにとって大きなハードルとなり得ますが、工夫次第でその負担を軽減することが可能です。保護者としては、「参加できることが良い」というプレッシャーを抱えず、あくまでお子さんの気持ちやペースを尊重しながら、柔軟に対応する姿勢が求められます。短い時間でも「自分なりに頑張った」という経験は、お子さんの心の成長に確実につながっていきます。

生活リズムの調整――年明けの再登校に備えて

冬休みという期間は、普段と違う生活リズムになりやすいものです。気温の低下によって布団から出づらくなったり、年末年始の行事の影響で夜更かしや朝寝坊が続いたりするのは、どの家庭でもよく見られる現象です。しかし、不登校のお子さんにとって、生活リズムが乱れることは、再登校への壁をさらに高くしてしまう要因になりかねません。心と体の準備が整わない状態で年明けを迎えると、休み明けの登校が一層難しくなってしまう場合があります。そのため、冬休み中にできる範囲で生活リズムを整える努力が重要となります。

まず、生活リズムを整えるために最も意識したいのは、起床時間を固定することです。夜更かしを完全に防ぐことが難しい場合でも、毎朝同じ時間に起きる習慣をつけることは、全体のリズムを戻す上で効果的です。子どもにとっては、冬休み中の朝に「起きる理由」がないことが多く、気づかないうちに昼まで眠る生活になってしまうことがあります。そのため、親御さんが一緒に起きる、あるいは軽い朝のイベントを計画するなどして、「朝起きる楽しみ」をつくる工夫をすると良いでしょう。例えば、親子で簡単な朝食作りに挑戦したり、近所を散歩して冬の景色を楽しむなど、小さな目標を持つだけで、朝起きるきっかけが生まれます。

次に、日光を浴びることも重要です。冬は日の出が遅いため、朝の光を浴びる機会が減りがちですが、太陽の光を浴びることは体内時計のリセットに欠かせません。起床後すぐにカーテンを開けて部屋に朝日を取り込み、可能であれば少し外に出るだけでも効果があります。たとえ寒い時期でも、10分程度の外出で十分です。日光を浴びると、体内のメラトニンというホルモンが調整され、自然な眠気が夜に訪れるようになります。この小さな習慣の積み重ねが、夜の早寝につながります。

また、食事のリズムを整えることも、生活習慣改善の重要な一歩です。特に朝食をきちんと摂ることは、体を目覚めさせるだけでなく、昼食や夕食の時間も一定に保つ助けとなります。不登校のお子さんの場合、食事をスキップしたり不規則な時間に軽食を取ることが増えやすいですが、親御さんが一緒に朝食を楽しむよう心がけることで、習慣づけがしやすくなります。子どもが好きな朝食メニューを一緒に考えたり、簡単に作れるレシピを共有するのも効果的です。

さらに、生活リズムを整える際に重要なのは、すべてを完璧に戻そうとしないことです。不登校のお子さんにとって、長い間崩れていたリズムを一気に修正することは、かえって負担になります。「少しずつ、できる範囲で」という姿勢を持つことで、子ども自身もプレッシャーを感じずに取り組むことができます。例えば、起床時間を1日30分ずつ早める、寝る前にスマートフォンやタブレットの使用時間を少し短くする、といった小さな目標を設定するのが良いでしょう。

親御さん自身も、お子さんのペースに寄り添いながら生活リズムの調整を進めていくことが大切です。「一緒にできたこと」を見つけて声に出して褒めることで、少しずつ自信を取り戻す助けになります。このような積み重ねが、年明けに再登校への一歩を踏み出す土台となるのです。

学校との連携――家庭での学習支援を取り入れる

冬休みは、生活リズムだけでなく学習習慣の維持にも気を配りたい時期です。不登校のお子さんにとって、学習面での遅れがさらに再登校を難しくする原因になることがあります。学校の授業に追いつけない不安や、自分だけが取り残されている感覚を抱えたままでは、学校への足が遠のいてしまうのも無理はありません。そこで、学校と連携して家庭でできる学習支援を取り入れることが、有効な手段となります。

最初のステップとして、学校の担任の先生やスクールカウンセラーに相談することをおすすめします。不登校の状況に応じて、学校側が家庭で使えるプリントや課題を用意してくれることがあります。これらの教材は、単なる勉強の道具としてだけでなく、「学校とのつながりを持ち続ける」手段としても役立ちます。学校での学びを家庭で少しずつ取り戻していくことで、「勉強ができた」という自信につながり、再登校への意欲も高まる可能性があります。

学習に取り組む際には、量や難易度に配慮することが重要です。無理に多くの課題をこなそうとすると、かえってお子さんの負担になり、やる気を失わせてしまうことがあります。そのため、「少しでも取り組めたらOK」という柔軟な姿勢で進めることが大切です。例えば、1日1枚のプリントから始めたり、得意な科目や簡単な問題から手をつけることで、学習へのハードルを下げることができます。完璧を求めるのではなく、「やれたこと」に焦点を当てて褒める姿勢が、親子の間に前向きな空気を生み出します。

また、親御さんが直接教えるのではなく、そばで見守る形を取ることも効果的です。お子さんが勉強に取り組む間、親が横で読書をしたり、家事をしながら様子を見守ることで、適度な安心感を与えることができます。「一緒にいるけど口出ししない」というスタンスが、お子さんの自立を促すと同時に、過剰な干渉によるストレスを防ぎます。

さらに、学習の進捗や困難な点については、定期的に学校側と共有することが大切です。家庭での努力を学校に報告することで、先生たちが今後の指導方針を立てやすくなるだけでなく、お子さん自身も「学校に見守られている」という感覚を持ちやすくなります。こうしたつながりが、再登校への道筋を整える支えとなります。

冬休みという特別な期間は、お子さんが学校に戻る準備を進める上で大切なチャンスでもあります。しかし、それを実現するには、親御さん自身も無理をせず、子どものペースに寄り添うことが何より重要です。焦らず、少しずつ進むことを目指しましょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

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不登校の対応が母親中心になる理由

不登校の対応が母親中心になる理由のイメージ

児童心理司の藤原と申します。不登校や引きこもりの問題を専門としており、これまで多くの子どもたちとそのご家族に向き合ってきました。

さて、今回のテーマである「不登校の対応が母親中心になる理由」について、掘り下げてお話ししていきたいと思います。不登校の子どもを持つお母さん方は、毎日心を痛めながら、どう接すれば良いのか、どう導いてあげれば良いのかと頭を悩ませていることでしょう。一方で、お父さんの役割はどうなっているのか――そんな疑問を持つ方も多いかもしれません。家族内での役割分担と、なぜ母親が中心的な存在となりやすいのかを理解していただくことで、不登校への対応に少しでも光が見えるのではないかと思います。

※今回は片親家庭は対象外として傾向分析を進めています。

1. 子どもとの「対話」は普段の積み重ねが鍵

不登校の問題が浮き彫りになるとき、多くのご家庭では「対話」が課題として挙げられます。学校に行かないという事実を前にして、子どもとどのように向き合えば良いのか、何を話せば良いのか分からなくなってしまうのです。しかし、ここで重要なのは「子どもとの対話は不登校になったとき突然始められるものではない」という点です。

子どもは、親に対して無条件に心を開いてくれるわけではありません。特に小学校高学年や中学生になると、自我が芽生え、親との距離を取りたがる時期でもあります。そういった時期に信頼関係を築くためには、日頃から何気ない会話を積み重ねておくことが必要です。「今日学校で何があった?」「友達と何を話したの?」そんな些細な一言でも、子どもにとっては「親が自分に関心を持ってくれている」と感じるきっかけになります。

しかし、ここで浮かび上がるのが「父親と子どもの会話の少なさ」です。これは多くの家庭で見られる傾向であり、データとしても裏付けられています。背景としては男性は感情を言葉にすることが苦手な傾向があり、子どもとのコミュニケーションが表面的なものになってしまうことがあります。

一方で、母親は普段から子どもとの会話を大切にしている方が多いです。朝起きたときから夜寝るまでの間に、自然と子どもと話す機会が多く、その積み重ねが信頼関係を育むのです。そのため、いざ子どもが不登校になったときも、母親は比較的スムーズに子どもの心に寄り添いやすい立場にいると言えるでしょう。

2. 不登校中の「非日常」が父親には難しい理由

不登校は家庭にとって「非日常」の出来事です。それまで当たり前だった「朝起きて学校に行く」という日常が崩れ、家族全体が不安定になります。この非日常の中で子どもと向き合うことは、実は非常に難易度の高いことなのです。

特に父親の場合、普段から子どもとの会話が少ない分、不登校という状況に直面したときにどう接すれば良いのか分からなくなることが多いです。子どもの気持ちを理解しようとしても、そもそも日常的な信頼関係が築けていないため、子どもが心を閉ざしてしまうことがあります。例えば、「どうして学校に行かないんだ?」「甘えているんじゃないか?」といった言葉が、父親の口から出てしまうことがありますが、これは子どもにとって大きなプレッシャーとなります。

一方で、母親は日常的な会話を通じて子どもの気持ちや変化に敏感です。不登校の原因が何であるか、子どもが何を考えているのかを感じ取りやすく、適切な言葉をかけることができるのです。そのため、不登校の対応が母親中心になりやすいのは、自然な流れとも言えるでしょう。

ただし、ここで誤解しないでいただきたいのは「父親の役割がない」というわけではないということです。不登校の子どもを支えるためには、父親も母親もそれぞれの得意分野を活かして適材適所で役割を果たすことが大切なのです。

3. 家族ぐるみの「役割分担」が効果的な理由

不登校の子どもを支えるためには、母親だけがすべてを抱え込むのではなく、父親を含めた家族全体での役割分担が重要になります。なぜなら、不登校への対応は一時的なものではなく、長期戦になることが多いため、母親がひとりで背負い込んでしまうと精神的にも体力的にも限界がきてしまうからです。

母親は、日頃から子どもとの会話を通して心に寄り添い、安心できる環境を作る役割を担っています。その一方で、父親は学校とのやり取りや社会的な役割を果たすことが得意な場合が多いです。例えば、担任の先生や学校のカウンセラーとの面談、学校への連絡などは、父親が中心となって動くことで、母親の負担が軽減されるだけでなく、父親自身が不登校への理解を深めるきっかけにもなります。

また、父親が学校と積極的にコミュニケーションを取ることで、子ども自身が「お父さんも自分のことを理解しようとしてくれている」と感じることができます。不登校の子どもは、時として「自分の存在は誰にも必要とされていないのではないか」という孤独感を抱えることがあります。父親が行動を通じて子どもの存在を認め、支えている姿勢を見せることは、子どもにとって非常に心強い支えとなるのです。

加えて、家庭内での役割分担は、両親の間のパートナーシップを強化する効果もあります。母親と父親がそれぞれの得意分野を活かしながら協力し合うことで、不登校の対応が「家族全体の課題」として捉えられるようになります。母親が孤立することなく、父親が不登校への理解を深めることで、家庭全体のバランスが保たれ、子どもも安心して過ごすことができるようになるのです。

4. 母親が中心になることの「現実」と向き合う

ここまで、母親が不登校の対応において中心的な役割を果たしやすい理由についてお話ししてきましたが、現実としては「母親がすべてを引き受けてしまう」という状況も少なくありません。不登校の子どもに寄り添うことは、決して簡単なことではなく、精神的にも大きな負担がかかります。

「自分の対応が間違っているのではないか」「なぜうちの子だけが学校に行けないのか」――そんな不安や焦りが、母親の心を圧迫してしまうことがあります。特に、周囲の目や世間の常識が母親に対して無言のプレッシャーをかけることも少なくありません。「お母さんの育て方が悪いのではないか」といった偏見にさらされることで、母親自身が自分を責めてしまうケースも見られます。

しかし、ここで強調しておきたいのは、「母親が一人で頑張りすぎる必要はない」ということです。不登校の問題は、決して母親一人の責任ではありません。子ども自身の心の問題、学校環境の問題、さらには社会全体の問題が複雑に絡み合って起こるものです。母親がすべてを背負い込んでしまうのではなく、父親や学校、専門家と連携しながら、少しずつ前に進んでいくことが大切です。

母親が子どもに寄り添う姿勢は、何よりも大切なものです。しかし、その姿勢が母親自身を追い詰めるものになってしまっては、元も子もありません。母親が笑顔で過ごすことが、子どもにとっても安心感につながります。だからこそ、家族全体で支え合い、母親が少しでも楽になれるような環境を作ることが、不登校の子どもを支える第一歩となるのです。

5. 父親の「役割」を再認識することの大切さ

不登校の対応が母親中心になりやすい理由として、父親の役割が見えにくくなってしまうことが挙げられます。しかし、父親が果たすべき役割は決して小さなものではありません。父親が学校や外部の専門機関とのやり取りを担当することで、母親の精神的な負担を軽減するだけでなく、家庭内での責任を分かち合うことができます。

また、父親が積極的に子どもとのコミュニケーションを取ることで、子どもが抱えている悩みや不安が見えてくることもあります。たとえ最初はうまくいかなくても、父親が真摯に向き合う姿勢を見せ続けることが、子どもとの信頼関係を築く第一歩となります。

さらに、父親の存在が家庭に安定感をもたらすことも忘れてはいけません。不登校の問題は、家庭全体に大きな影響を与えますが、父親も冷静に状況を見つめ、母親と協力しながら対応することで、家庭全体が前向きな方向へと進んでいくことができます。

6. 最後に――母親の皆さんへ

不登校の問題に向き合う母親の皆さんへ――あなたが今、毎日悩みながら子どもと向き合っていることは、決して無駄ではありません。子どもが学校に行けないことに対して、焦りや不安を感じるのは当然のことです。しかし、その中でも子どもの気持ちに寄り添い、少しずつ前に進もうとしているあなたの姿は、子どもにとって何よりも大きな支えとなっているはずです。

母親が中心的な役割を担うことは、現実として避けられない面もあります。しかし、それは決して「母親だけが頑張らなければならない」という意味ではありません。父親や学校、専門家と協力しながら、家族全体で子どもを支えていくことが、不登校の問題を乗り越えるための鍵となります。

どうか、一人で抱え込まずに、周囲の力を頼ってください。そして、あなた自身が少しでも笑顔で過ごせる時間を大切にしてください。その笑顔が、子どもにとっての希望となり、未来へとつながる第一歩となるのです。

ToCo(トーコ)株式会社について

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また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

フリースクールの特徴・再登校との比較

不登校や引きこもりに悩む子どもたちと向き合う児童心理司をしております、藤原と申します。これまで、数多くの不登校の子どもたちとその保護者の方々に寄り添い、サポートを続けてまいりました。不登校という現象は、子どもと保護者、双方にとって非常に深刻で、人生の中で避けて通りたくない道のりだと感じる方が多いと思います。その道のりを少しでも和らげられるよう、今日お話しするのは、「フリースクール」という選択肢と「再登校」という二つの選択肢についてです。それぞれの特徴を冷静に分析し、どのように向き合うべきかを考えていきたいと思います。

不登校は家庭だけの問題ではない

不登校のお子さんを抱えるお母さまにとって、その現状は想像以上に辛いものでしょう。なぜ学校に行けないのか、どうして他の子と同じように振る舞えないのか、時にはお子さんを責めたくなる気持ちが生まれることもあるかもしれません。

しかし、まず最初にお伝えしたいのは、不登校という現象は決してお母さまやお子さんだけの問題ではないということです。学校という環境は、多くの子どもたちにとって楽しく成長できる学びの場である一方で、一部の子どもにとっては過酷なストレスの温床になることもあります。この現象は、日本全体の社会構造や教育制度の問題も含んでいるため、誰か一人のせいにすることでは解決できないのです。

文部科学省のデータによると、現在日本では小中学生のうちおよそ1.8%の子どもが不登校状態にあるとされています。これは年々増加傾向にあり、教育現場でも深刻な課題として捉えられています。不登校の原因は、学業不振、友人関係のトラブル、教師との相性、さらには家庭環境の影響など多岐にわたります。この中で、保護者ができることは限られているように感じるかもしれませんが、実際には子どもにとって親の理解やサポートが最も重要な要素の一つです。

フリースクールとは何か

さて、不登校の子どもたちにとっての支援の場として「フリースクール」という選択肢があります。フリースクールとは、学校に通うことが難しい子どもたちのために設立された教育施設であり、学業だけでなく、心理的な支援や社会性の育成を目的としています。ここではまず、フリースクールの特徴を具体的にお伝えし、どのような子どもに適しているのかを考えていきます。

フリースクールの現状

日本には現在、約500以上のフリースクールが存在しています。地域によって設置数には差がありますが、都市部を中心に多くの施設が展開されています。フリースクールの運営母体は、民間のNPO法人や個人経営のものが多く、学校法人として認可を受けた施設は非常に限られています。そのため、施設ごとに教育方針や運営スタイルが大きく異なるのが特徴です。

料金についても様々で、1か月あたり数万円程度のところもあれば、より専門的な支援を提供する施設では10万円を超えることもあります。一見高額に感じるかもしれませんが、少人数制や個別指導、専門的なカウンセリングが含まれることを考えると、これも一つの投資と捉えられるでしょう。ただし、自治体によってはフリースクールに通う費用を一部補助する制度を設けているところもありますので、情報収集が重要です。

フリースクールのメリットとデメリット

フリースクールの最大のメリットは、学校に行けない子どもたちにとっての「安全な場所」であることです。学校では感じることの多い競争や集団生活のストレスを取り除き、一人ひとりのペースに合わせた学びが可能になります。例えば、友人関係で悩んでいた子どもがフリースクールで新たな友人を作り、自己肯定感を取り戻すケースも珍しくありません。また、自由な雰囲気の中で、自分の興味関心に基づいた活動を通して自己成長を促すことができるのも大きな魅力です。

一方で、デメリットも存在します。一つは、学びの質や量が学校教育に比べて十分でない場合があることです。フリースクールでは必ずしも文部科学省のカリキュラムに沿った授業が行われるわけではないため、高校や大学への進学を目指す場合、追加の学習が必要になることがあります。また、運営母体の質や方針によっては、サービスの内容が安定しないこともあります。信頼できるフリースクールを見極めるためには、実際に訪問し、スタッフや子どもたちの様子を確認することが重要です。

フリースクールと再登校の比較

それでは不登校の子どもにとって、フリースクールに通うことと学校への再登校、どちらが望ましいのでしょうか。この問いに対する答えは、お子さん一人ひとりの状況によって異なりますが、私自身の立場から少し踏み込んだ見解をお伝えします。

再登校の重要性

私は、お子様に学校に通いたいという気持ちがあるのであれば、再登校を目指すことを最優先に考えるべきだと思っています。それは、学校という環境が子どもたちにとって非常に特別な場であるからです。同年代の子どもたちと共に学び、遊び、時に衝突しながら成長していく経験は、学校以外ではなかなか得ることができません。特に小中学生の時期は、友人との友情や競争を通じて自己を確立していく非常に重要な時間です。この期間を学校という場で過ごすことは、後から取り戻すことは出来ない、かけがえのない経験となります。

学校は単なる学びの場ではありません。同年代の子どもたちとの日々のやり取りを通して、社会性やコミュニケーション能力を育む場でもあります。例えば、グループ活動や体育祭、文化祭などで役割を分担し、仲間と一緒に目標を達成する経験は、社会で生きていく上で欠かせない能力を身に付ける土台になります。こうした体験を通じて培われる「他者との協力」や「自己の役割を果たす責任感」は、フリースクールや家庭だけでは代替しにくいものです。

また、学業面でも学校の強みは明確です。学校は文部科学省のカリキュラムに基づいて授業を進めていくため、学力を体系的に身に付けることができます。特に、高校受験や大学受験を控えた子どもにとって、学校の授業が提供する内容は極めて重要です。フリースクールで学びながら受験勉強をすることは可能ですが、その場合、追加で塾や個別指導に通う必要が出てくるため、子どもにかかる負担が増えることも考えられます。

しかし、再登校を勧めるにあたって重要なのは、子どもが「無理をしていないか」をしっかり見極めることです。学校に戻りたいという気持ちがある場合でも、急激に環境を変えることでストレスが大きくなり、結果的に登校が続かなくなるケースも少なくありません。そのため、子どもの気持ちやペースを最優先に考え、少しずつ環境に慣れていけるようなサポートが必要です。

フリースクールの役割

一方、フリースクールには学校とは異なる重要な役割があります。それは、「心の安全基地」としての機能です。不登校の子どもたちは、学校に対する不安やストレスが非常に強く、家から出ることすら難しい状態にあることが多いです。このような状態で無理に学校へ戻そうとすると、かえって不安が悪化し、家庭内でのトラブルに発展することもあります。フリースクールは、そうした子どもたちが外の世界に一歩踏み出すための中間地点として機能します。

例えば、あるフリースクールでは、午前中はスタッフと一緒に好きな本を読むだけの時間を設け、午後からは少人数でのグループ活動を行うという柔軟なプログラムを取り入れています。このような環境では、子どもたちは自分のペースで外の世界に馴染んでいくことができます。また、フリースクールのスタッフは多くの場合、子どもの心のケアに特化した専門知識を持っており、子どもが抱える不安や悩みに寄り添うことが可能です。

さらに、フリースクールでは、子どもたちが自分の興味や関心を中心に学べる時間が多いのも特徴です。例えば、プログラミングやアート、料理など、学校では十分に取り組むことが難しい分野に触れることで、自信や自己肯定感を取り戻す子どももいます。こうした活動を通じて「やりたいこと」を見つけられると、将来に対する意欲も少しずつ育まれるようになります。

再登校とフリースクールのバランスを取る

ここまでお話ししてきたように、再登校とフリースクールにはそれぞれ独自のメリットがあります。そして重要なのは、どちらか一方に偏るのではなく、お子さんの状況に応じて柔軟に選択肢を活用していくことです。

例えば、「今すぐ学校には戻れないけれど、家にいるだけでは先に進めない」という場合、まずフリースクールに通うことで社会生活のリズムを取り戻し、その後再登校を目指すというステップも考えられます。逆に、学校での学業を諦めたくないお子さんには、家庭でのサポートを続けながら少しずつ学校へ通う準備を進めるのがよいでしょう。その際、フリースクールを一時的なサポート拠点として利用することもできます。

私がこれまで関わってきたお子さんの中には、最初はフリースクールでスタッフと1対1で話すことさえ困難だった子どもが、数か月後には他の子どもたちと一緒に工作を楽しめるようになり、最終的には学校へ戻ることを選んだケースもありました。一方で、学校には戻らず、フリースクールでの学びを続けながら、高校進学や専門学校への道を選んだお子さんもいます。

保護者の役割と心構え

最後に、不登校のお子さんを抱える保護者の方に向けて、いくつか心構えをお伝えしたいと思います。不登校という状況は、子どもだけでなく保護者にとっても大きな試練です。しかし、この試練を乗り越えるためには、保護者自身が冷静に、そして柔軟に対応することが何よりも重要です。

まず、「子どもを信じる」ということを忘れないでください。不登校の状況にある子どもは、親からの信頼を感じることで大きな安心感を得ます。一方で、親が焦りや苛立ちを強く抱えていると、それが子どもに伝わり、不安を増幅させることがあります。子どもが自分のペースで一歩ずつ進めるよう、長い目で見守ることが大切です。

次に、「情報を集める」ということも大切です。不登校への対応は一律ではなく、お子さんに最適な選択肢を見つけるためには、多くの情報を集めて検討する必要があります。学校やフリースクール、地域の支援団体など、多くの機関が提供する情報を活用し、納得のいく判断をしてください。

そして最後に、「親自身が無理をしない」ということです。不登校は親子にとって非常に重いテーマですが、親が無理をするとその影響が家庭全体に広がります。時には信頼できる相談相手を見つけ、適切に頼ることも必要です。

フリースクールと再登校のどちらが良いかという問いに、明確な答えを出すのは難しいことです。しかし、重要なのはお子さんの気持ちに寄り添いながら、適切なサポートを選び取ることです。お子さんが今抱えている不安を少しずつ解消し、安心して社会の中で成長できるよう、保護者としてできることを考え続けてください。私もまた、不登校に悩むお子さんとその保護者の方々の力になれるよう、これからもサポートを続けていきたいと思います。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

不登校の子どもを生み出す構造的な問題と、親としてどう立ち向かうか

私は、児童心理司として不登校や引きこもりの問題に長年携わってきた藤原と申します。本文では、お子様の不登校に悩む保護者の皆様に向けて、子どもが不登校になる背景や構造的な問題を掘り下げ、親としてどのように立ち向かうべきかを考えていきます。

不登校という状況に直面すると、親は強い不安や自己批判にさいなまれることが少なくありません。しかし、この問題を冷静に捉え、子どもに寄り添った対応を取ることで、親子の新たな可能性を見出すことができます。これから、具体的な課題と解決策を深く掘り下げていきます。

不登校を生み出す学校という構造の問題

日本の教育システムは、長い間「画一的な学び」を前提に運営されてきました。つまり、すべての子どもが同じカリキュラムを、同じペースで学び、同じように評価される仕組みです。表向きには平等な教育のように見えますが、実際にはこの仕組みの中で多くの子どもたちが取りこぼされています。不登校という現象は、まさにその「画一化」の犠牲とも言える問題なのです。

例えば、学校の授業スタイルを考えてみましょう。多くの授業では、教師が黒板の前で説明し、生徒はそれを静かに聞くという形式が採られています。この形式が得意な子どももいますが、全員がそうとは限りません。じっと座って話を聞くことが苦手な子ども、耳で聞くよりも目で見たり、手を動かしたりして学ぶ方が得意な子ども、人前で発表することに強いストレスを感じる子どももいます。学校はこうした個々の学びの特性を十分に考慮していません。

また、評価の基準が偏っていることも問題です。たとえば、「算数100点、国語0点」の子どもは、「算数50点、国語50点」の子どもよりも問題視されがちです。特定の科目に秀でた子どもの才能が認められるどころか、不得意な科目に注目され、その子ども自身が「自分はダメだ」と感じてしまう原因となります。このような教育の仕組みが、子どもたちの自己否定感を生み出し、不登校につながっているのです。

さらに、学校という閉鎖的な環境において起こりやすい「いじめ」の問題も、不登校を引き起こす大きな要因です。いじめはしばしば表面化しにくい形で進行します。加害者だけでなく、周囲の無関心や教師の未熟な対応が、被害者の孤立感をさらに深めることがあります。このような環境で子どもが「学校は安心できる場所ではない」と感じるのは当然のことです。

社会と教育の価値観のズレが生む問題

近年、社会では「働きがい」や「個性の尊重」が重視されるようになっています。例えば、大人たちはそれぞれの能力や志向に応じた職業を選び、自分の適性を活かせる働き方を模索するようになりました。しかし、子どもたちの教育現場ではどうでしょうか。依然として「全員が同じ内容を、同じペースで学ぶ」ことが当然とされ、個性や適性など「学びがい」が軽視されています。この価値観のギャップこそが、子どもたちを苦しめている原因の一つです。

特に顕著なのは、学び方の選択肢が限られていることです。たとえば、フリースクールや通信制の学校など、従来の学校に代わる選択肢が増えてきてはいますが、それでも社会全体ではまだ少数派です。N校のような先進的な取り組みが注目されているのは、子どもたちが自分に合った学び方を選べる場を提供しているからです。従来型の学校に適応できない子どもたちが増えている背景には、このような選択肢の少なさが関係しています。

また、学校の価値が「勉強」だけにあるわけではないことも重要です。学び舎とも呼ばれるため「学校に行く=勉強をする」と考えがちですが、実際には学校で得られる最大の価値は「人間関係」です。同年代の子どもたちと触れ合い、協力し、時には衝突しながら人間関係を学ぶ場としての学校の役割は非常に大きいのです。しかし、この「人間関係」が逆にストレスとなり、不登校の原因になる場合もあります。

例えば、対人関係において自己肯定感が低い子どもは、「自分なんて誰も好きじゃない」「みんなから嫌われている」と思い込む傾向があります。このような子どもにとって、学校は非常に居心地の悪い場所となります。不登校の子どもたちの多くが、このような自己否定的な思考に悩まされています。

頭を抱える子どものイメージ

親として不登校にどう向き合うべきか

子どもが不登校になったとき、親はどう対応するべきでしょうか。最も避けなければならないのは、「学校に行くことが当たり前」という価値観を押し付けることです。子どもが学校に行けない理由は、多くの場合、「甘え」や「怠け」ではありません。不登校には、環境的な要因や心理的な要因が複雑に絡み合っています。親が「行くべきなのに行かない」という見方をしてしまうと、子どもは自分の気持ちを理解してもらえないと感じ、さらに孤立してしまう可能性があります。

子どもが不登校になったとき、まず親がするべきことは、「子どもの気持ちに寄り添うこと」です。例えば、子どもが「学校が怖い」と言ったとき、その言葉を軽視せず、なぜ怖いと感じるのかをじっくりと聞いてあげることが大切です。「どうして怖いの?」「具体的にどんな場面が嫌なの?」と問い詰めるのではなく、「怖いと感じるんだね」「それは辛いよね」と共感を示すことで、子どもは安心感を得られます。

さらに、不登校の原因の一つとして、子どもの自己肯定感の低さが挙げられます。私がこれまでカウンセリングしてきた中で、「自分は価値のない人間だ」と思い込んでいる子どもが非常に多いことに気づきました。この自己否定的な思考を和らげるためには、親が日常的にポジティブなメッセージを伝えることが有効です。「あなたは頑張っているね」「とても素敵だと思うよ」といった言葉は、子どもの心を少しずつ癒していきます。

また、不登校の子どもに「無理に学校へ戻す」ことは避けるべきです。子どもが学校に対して強い抵抗感や恐怖感を持っている場合、無理に通わせようとすると、さらに心の傷を深めてしまう可能性があります。その代わりに、子どもが安心できる環境を作り、少しずつ心の回復を促すことが重要です。

自己肯定感を高めるための具体的な取り組み

不登校の子どもの多くは、自分に自信を持てない状態に陥っています。「自分なんて、誰からも必要とされていない」「みんなが自分を嫌っている」といった考えが、子どもの行動や思考を支配してしまうのです。このような状態を改善するためには、親が自己肯定感を高めるための取り組みを意識的に行う必要があります。

まず、子どもの得意なことや好きなことを見つけ、それを伸ばしていくことが大切です。例えば、絵を描くことが好きな子どもであれば、自由に描ける時間や環境を用意し、その作品を「素敵だね」「こんな表現ができるなんてすごいね」と褒めてあげましょう。スポーツが好きな子どもには、地域のクラブ活動や親子で一緒に体を動かす時間を作るのも良いでしょう。

また、子どもの努力や小さな成果を認めることも重要です。たとえ学校に通えなくても、日々の生活の中で頑張っていることは必ずあります。「今日は朝起きられたね」「少しでも宿題に取り組んだね」といった具体的な行動を褒めることで、子どもは自分の価値を再認識することができます。

もう一つの重要なポイントは、親自身が子どもにとっての「安心感」を与える存在であることです。不登校の子どもにとって、親がイライラしたり落ち込んだりしている姿を見ることは、大きなストレスになります。もちろん、親が不安やストレスを感じることは当然です。しかし、その気持ちを子どもにぶつけるのではなく、誰かに話したり、時間を置くことで、親自身が心の安定を保つことが大切です。

親自身のストレスを軽視しないために

不登校の問題に向き合う中で、親自身が孤立しないことも非常に重要です。不登校の子どもを持つ親は、「自分の子育てが駄目だったから、こんな苦しい状況に子どもといるのではないか」と感じてしまうことがあります。この孤立感は、親自身の精神的な健康を損ない、子どもへの対応にも悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、親が自分の趣味や楽しみを見つけることも重要です。親が疲れ切ってしまっては、子どもに安心感を与えることは難しくなります。短時間でも良いので、自分の好きなことに没頭する時間を作り、リフレッシュすることを心がけましょう。

親自身が孤立から抜け出し、前向きな気持ちを持つことで、子どもとの関係もより良いものになっていきます。不登校という状況に向き合うのは決して簡単なことではありませんが、親が自分自身を大切にすることで、子どもへのサポートもより効果的なものになります。

もちろん不登校という状況は、親子にとって大きな試練であることは間違いありません。しかし、それは同時に、親子関係を見直し、より深い絆を築くチャンスでもあります。不登校に直面したとき、親が子どもを一方的に責めたり、学校に行くよう強制したりするのではなく、子どもの気持ちや考えをじっくりと理解しようとする姿勢を持つことで、新たな関係性を築くことができます。

例えば、子どもが「なぜ学校に行きたくないのか」を話し始めたら、その言葉を否定せず、最後まで耳を傾けることが重要です。たとえ子どもの言葉に納得できない部分があったとしても、「そう思うんだね」と受け止める姿勢を示すことで、子どもは安心して自分の気持ちを話せるようになります。

また、不登校をきっかけに、親子で一緒に何かを始めるのも良い方法です。例えば、家で料理を作る時間を増やしたり、庭で植物を育てたりすることで、親子が自然と会話をする機会が生まれます。このような日常の中での触れ合いは、子どもの心を癒し、親子の信頼関係を深めるきっかけになります。

子どもとの未来を築くため、親ができること

不登校という問題に直面したとき、親として重要なのは「長期的な視点を持つこと」です。多くの親は、「早く学校に戻らせなければ」「このままでは将来が心配」といった短期的な不安にとらわれがちです。しかし、不登校はその子どもの人生全体における、ほんの一時期の出来事にすぎません。親が目先の問題に焦るのではなく、子どもの成長を長い目で見守ることで、子ども自身も安心して自分のペースで進むことができるようになります。

親が心配する気持ちは当然ですが、その気持ちを子どもに押し付けるのではなく、「あなたのペースでいい」「一緒に考えていこう」という姿勢を持つことが大切です。このような親の態度が、子どもにとって最大の支えとなります。

そして、不登校が続きやすい原因となる自己否定や自尊心の低下についても、「モノの見方」を変える手助けをすることで、新しい人間関係を作る一歩になり、学校生活という場をもう一度楽しめる可能性を高めることとなります。

登校する生徒たちの画像

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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不登校の上位原因 2024年版

不登校の上位原因2024年版の見出し画像

私は児童心理司の藤原と申します。長年、不登校や引きこもりの問題に取り組み、多くの親子と向き合ってきました。今回の文では、2024年3月に文部科学省が発表した「不登校の要因分析に関する調査研究報告書」を基に、不登校の子どもたちがどのようなきっかけで学校に行きづらくなるのか、そのデータと考察を分かりやすくお伝えします。不登校に直面している親御さんが、子どもの状況をより深く理解するための一助となれば幸いです。

文部科学省の調査が示す「不登校の関連要因」

この調査では、不登校でない児童生徒本人(15,191 名)と、不登校の児童生徒本人(239 名)の回答ではどのような違いがみられるのか検討しました。

不登校でない児童生徒には「あなたは前の学年の1年間、学校や家で次のような時に、つらいと感じたことはありましたか。」と質問し、不登校の児童生徒には「あなたが最初に学校に行きづらい、休みたいと感じ始めたとき、学校や家で次のような時につらいと感じたことはありましたか。」と質問しました。それぞれの回答傾向は以下の通りです。

質問「次のようなときに、つらいと感じたことはありましたか?」不登校でない生徒不登校の生徒不登校関連度
入学、進級、 転校など7.00%24.90%4.4
からだの不調34.00%68.90%4.29
朝起きられない、 夜眠れない36.40%70.30%4.13
学校の決まりのこと (制服・給食・行事等)13.80%38.60%3.94
気持ちの落ち込み、いらいら49.20%76.50%3.35
先生と合わなかった14.30%35.90%3.35
仲の良い友だちがいない7.40%19.90%3.13
宿題ができない24.50%50.00%3.08
家での生活がかわった3.80%9.30%2.57
インターネット、ゲームの影響22.90%42.30%2.47
先生から厳しく怒られた、 体罰があった7.50%16.70%2.45
声や音がうるさい、いやなにおい23.70%40.30%2.17
いじめ被害15.00%26.20%2
親のこと(親と仲が悪いなど)15.90%27.30%1.99
いじめ以外の友人関係のトラブル16.60%24.80%1.66
授業が分からない35.40%47.00%1.62
学校とは違ったこと (遊び) をしたい22.00%30.30%1.54
※不登校関連度の推定は、ロジスティック回帰分析(単回帰分析)による。ここでの関連度は、値が大きいほど、不登校児童生徒において、より回答割合が高いことを示す。

以下では、その主なポイントをいくつか挙げて説明します。

1. 人間関係の問題

調査によると、子どもたちが学校に行きづらいと感じ始める大きな要因の一つに、人間関係の問題があります。以下の項目が特に不登校との関連が強いとされています。

  • 仲の良い友達がいない
    子どもたちにとって、学校生活の中で頼りになる「仲の良い友達」の存在は、非常に重要です。そのため、友達がいない、または孤立していると感じる状況は、学校への不安や居心地の悪さにつながります。この要因は、不登校の子どもたちが回答する割合が特に高いことが分かっています。
  • 先生と合わなかった
    担任や教科担当の先生との相性も大きな要因です。厳しく叱られたり、言動が冷たく感じられたりすると、子どもたちは「先生が怖い」「自分は認められていない」と感じやすくなります。特に、小学生よりも中学生でこの要因が目立つ傾向が見られます。
  • いじめや友人関係のトラブル
    教師回答では「いじめ被害」は不登校との関連が低く見られる一方で、子ども自身の回答では「いじめ」をきっかけに学校に行きづらくなったケースが多く報告されています。教師が把握しにくい部分であるため、特に注意が必要です。

2. 学校生活のストレス

学校そのもののルールや活動に起因するストレスも、不登校の大きな要因として挙げられています。

  • 宿題ができない
    宿題に取り組むこと自体が難しい、もしくは大量の宿題を前に「どうしていいかわからない」という状況は、子どもにとって大きな負担です。この要因は、不登校の子どもたちの回答割合が特に高い項目の一つでした。
  • 学校の決まりへの不適応(制服・給食・行事など)
    学校には、制服や行事など、集団生活ならではのルールが存在します。しかし、これらに対して違和感や不満を感じる子どもたちにとって、学校生活はストレスフルな環境となります。特に、感覚過敏のある子どもたちは、制服の素材感や給食のにおいなど、通常の環境が苦痛となることもあります。
  • 授業が分からない
    授業が理解できないことも、不登校の関連要因として挙げられています。この要因は教師の回答とも一致しており、子どもたちが感じる学習面でのストレスが、学校に行きたくない気持ちに直結するケースが多いことを示しています。

3. 心身の不調

心や体の健康状態も、不登校の大きなきっかけとなります。

  • 気持ちの落ち込みやイライラ
    子どもたちは、不安や抑うつ状態に陥ることで、学校に行きたくない気持ちを抱くことがあります。これらの心理的な要因は、不登校の関連性が非常に高いとされています。
  • 夜眠れない、朝起きられない
    生活リズムの乱れも、不登校の典型的な要因の一つです。夜更かしが習慣化することで朝起きられなくなり、遅刻や欠席が増えるという悪循環に陥ります。
  • 身体的な不調
    頭痛や腹痛、倦怠感など、身体的な不調を抱える子どもたちは、学校生活にストレスを感じやすくなります。これらの症状は、心の不調から来ている場合もあり、注意が必要です。

4. 生活環境や家族の影響

子どもの生活環境や家庭内での変化も、不登校の背景として挙げられています。

  • 入学・進級・転校
    新しい環境への適応は、多くの子どもたちにとって負担となります。不登校の子どもたちは、こうした大きな変化に対して不安を感じるケースが多いことがわかっています。
  • 家庭内の変化
    親子関係の不和や家族の状況の変化も、不登校のきっかけになる場合があります。例えば、親の離婚や転勤といった出来事は、子どもに大きな心理的負荷を与えます。

不登校の要因を「データから読み解く」

文部科学省の調査結果をさらに掘り下げると、不登校の要因が単独で存在するわけではなく、複数の要素が重なり合い、複雑に絡み合っていることが分かります。例えば、友人関係の問題を抱えた子どもが、同時に宿題や授業についてのストレスを感じているケースや、心身の不調が原因で学校に行けない状態が長引く中で友達との関係が希薄になっていくケースなどが挙げられます。この章では、具体的なデータの示す傾向を通じて、こうした相互作用について考察していきます。

人間関係の問題と不登校の関連性

調査では「仲の良い友達がいない」ことが不登校の重要な要因として挙げられています。この背景には、学校生活が子どもたちにとって「仲間と過ごす場」としての側面が強いことが挙げられます。学校では勉強や活動の場としての意味だけでなく、友人関係の中で自己肯定感を得る場でもあります。しかし、次のような状況が生じると、子どもたちはその場に居場所を見出せなくなります。

  1. 孤立感
    子どもが「自分だけ違う」「誰も自分を理解してくれない」と感じるようになると、その孤立感は学校生活全般に対する不安や拒絶感につながります。孤立感が強まる理由としては、いじめやクラスのグループに入れない状況、または性格的な特性(内向的で人付き合いが苦手など)が挙げられます。
  2. 不適応の悪循環
    孤立感が強まると、子どもは学校での振る舞いに自信を失い、ますます周囲と距離を取るようになります。その結果、友達と関係を築く機会が減り、不登校へと進む悪循環が生まれます。このような負の連鎖を早期に断ち切ることが重要です。

学校のルールと「一律の壁」

学校生活の中には、さまざまなルールや慣習があります。例えば、制服の着用、給食の時間割、運動会や文化祭といった学校行事などが挙げられます。しかし、調査ではこれらが不登校の原因になることが示されています。その背景には、「みんな同じであるべき」という一律主義が関係していると考えられます。

  1. 制服や給食に対する感覚過敏
    制服の素材やサイズが合わず、着用に強い不快感を抱く子どももいます。同様に、給食のにおいや味が苦手で、食事の時間が苦痛になるケースも見られます。こうした感覚過敏の問題は、周囲の大人が気づきにくい部分でありながら、子ども本人にとっては深刻なストレスとなります。
  2. 学校行事への適応困難
    運動会や文化祭などのイベントは、多くの子どもにとって楽しみな行事である一方で、大勢の人が集まる環境や、役割を果たさなければならないプレッシャーが苦痛となる子どもも少なくありません。特に内向的な性格や不安傾向を持つ子どもにとっては、これらの行事が「学校に行きたくない理由」となり得ます。
  3. 「みんな一緒」というプレッシャー
    学校では、一律に決められた行動や活動が求められる場面が多いですが、これが子どもに大きな負担となる場合があります。個々の子どもが抱える特性や苦手な分野が考慮されにくい環境では、「自分だけができていない」という劣等感を抱き、不登校のきっかけになることがあります。

心身の不調のデータが語ること

調査では「気持ちの落ち込みやイライラ」「夜眠れない・朝起きられない」といった心身の不調も不登校の大きな要因として挙げられています。これらの要因は、一見すると単なる体調不良や生活習慣の乱れに見えますが、その背景にはより深刻な問題が隠れていることが多いです。

  1. 心の健康問題
    気持ちの落ち込みやイライラは、子どもの心の健康状態が良くないことを示すサインです。不安や抑うつといった心理的な問題が、生活リズムの乱れや身体的な不調として現れるケースもあります。これらの問題は放置すると慢性化しやすく、早期の対応が必要です。
  2. 睡眠の問題
    夜眠れない、朝起きられないといった症状は、不規則な生活習慣や心理的ストレスが原因であることが多いです。また、スマートフォンやゲームの長時間使用が夜更かしの原因となる場合もあります。これが長期化すると、学校生活への復帰がさらに難しくなります。
  3. 身体的な症状の裏にあるもの
    頭痛や腹痛、倦怠感といった身体的な症状は、実際には心理的な要因によるストレス反応であることが少なくありません。親や教師が「体調が悪いだけ」と捉えてしまうと、子どもが抱える本当の問題を見逃してしまう可能性があります。

教師の視点と児童生徒の視点の食い違い

文部科学省の調査で特に注目すべき点は、教師の回答と児童生徒自身の回答が必ずしも一致していないことです。このギャップは、学校側が気づきにくい要因を親がどれだけ把握できるかにかかっています。

例えば、「いじめ被害」は児童生徒の回答では不登校の大きな要因として挙げられているにもかかわらず、教師の回答では関連が低く見られています。これに対して、「成績が下がった」という要因は教師の回答で関連が強いとされる一方で、児童生徒自身はそれを不登校の主因として捉えていません。これは、教師が目に見える変化(成績や出席状況など)に注目しやすい一方で、子どもたちが抱える内面的な問題や人間関係の問題には気づきにくいという現状を示しています。

不登校の多面性:データが浮き彫りにする実態

不登校は「サイン」の積み重ね

不登校は、ある日突然起きるものではなく、子どもの生活や心理状態に現れる「小さなサイン」が積み重なることで発生するケースが多いです。文部科学省の調査結果をもとに、どのようなサインが見逃されやすいのかを分析してみましょう。

  1. 微細な変化の累積
    例えば、「夜眠れない」「朝起きられない」という生活リズムの乱れは、多くの子どもたちに見られる一見平凡な問題のように思われるかもしれません。しかし、この背後には心身のストレスや心理的な圧迫感が隠れている場合があります。文部科学省の調査では、この生活リズムの問題が不登校の主要な要因の一つとして挙げられており、特に不登校の児童生徒の間で顕著に見られます。
  2. 初期兆候としての学習面のつまずき
    調査データによれば、「授業がわからない」と感じる子どもは、不登校のリスクが高い傾向があります。これは単に学力不足の問題ではなく、授業の進め方や学校でのフォロー体制が子どもに合わない場合に起きることが多いです。さらに、「宿題ができない」という要因も、不登校の子どもたちに多く見られる回答でした。これらの学習面での困難は、早期に適切なサポートがなければ、「自分は学校に向いていない」という自己否定的な考えを強める要因となります。
  3. 感覚過敏による学校生活の困難
    「制服の素材が肌に合わない」「給食のにおいがつらい」といった感覚過敏の問題は、調査の中で浮かび上がった見逃されやすい要因の一つです。これらの問題は、学校生活の一部として当然視されることが多く、周囲の大人が気づきにくい傾向があります。しかし、子ども本人にとっては、こうした小さな不快感が学校全体に対する嫌悪感や恐怖心に繋がることも少なくありません。

教師回答と児童生徒回答が示す異なる「視点」

文部科学省の調査で特に気づきがあるのは、教師と児童生徒が感じる不登校要因の違いです。以下に、それぞれの視点から見える要因を整理してみます。

  1. 教師が注目する要因
    教師回答で目立つのは、「成績が下がった」「進路に関わる不安や問題」など、学校生活の中で比較的測定しやすい要素です。これらは成績表や進路相談の場面で表出しやすく、教師が気づきやすい特徴でもあります。
  2. 児童生徒が感じる要因
    一方で、児童生徒の回答では、「いじめ」「友人関係のトラブル」「仲の良い友達がいない」など、主観的な人間関係の問題が大きな割合を占めています。また、感覚過敏や気持ちの落ち込みといった心理的な要因も教師回答より高い割合で挙げられており、これらが不登校に直結していることが示されています。
  3. 視点のギャップが引き起こす問題
    これらの視点の違いは、不登校の対応において重要な課題を浮き彫りにしています。教師は子どもたちの成績や出席状況を通じて不登校の兆候を把握しようとしますが、子ども自身が抱える内面的な問題や人間関係の悩みには気づきにくいのです。このギャップを埋めるためには、親や家庭での観察や聞き取りが極めて重要になります。

不登校要因の複合的な影響

調査データを通じて明らかになったのは、不登校の要因が互いに影響し合い、複合的な形で子どもに影響を及ぼすという点です。例えば、次のようなパターンが考えられます。

  1. 人間関係と心身の不調の連鎖
    「友達がいない」と感じる孤独感が、「気持ちの落ち込み」や「イライラ」へと発展し、それがさらに「朝起きられない」「夜眠れない」といった生活リズムの乱れを引き起こすことがあります。この連鎖が続くと、学校という場が全体的に苦痛な存在へと変わっていきます。
  2. 学習面の困難と自己肯定感の低下
    授業がわからない、宿題ができないといった学習面でのつまずきは、子どもが学校生活全般に対して自信を失う原因になります。これにより、学力面以外の部分、例えば友人関係や行事への参加意欲などにも悪影響を及ぼすことが少なくありません。
  3. 感覚過敏と人間関係の悪化
    感覚過敏を抱える子どもは、周囲にその特性を理解されないことで、孤立感を深める場合があります。例えば、給食が苦手で食べられない子どもが「好き嫌いが多い」と誤解されることで、友達や先生との関係が悪化することがあります。このように、一見小さな問題が他の領域にも波及することがあるのです。

調査が示す「早期発見」の重要性

調査結果は、不登校が単なる「学校に行かない」という問題ではなく、心身の不調や人間関係、学校生活のストレスなど、複数の要因が絡み合った結果であることを示しています。このため、早期に兆候を発見し、適切な対応を取ることが不登校の予防や改善において非常に重要です。

具体的には、以下のようなアプローチが有効と考えられます。

  • 生活リズムの変化に気づく
    子どもが朝起きられない、夜眠れないといった兆候が見られた場合、その背景に心理的なストレスや生活環境の変化がないかを探る必要があります。
  • 子どもの話を聞く姿勢
    子どもが感じているストレスや不安について話しやすい環境を家庭内で作ることが、問題の早期発見に繋がります。
  • 学校との連携を強化する
    学校と家庭が互いの情報を共有し合い、教師だけでは気づけない子どもの状況を把握することが大切です。

不登校の背景にある「目に見えない原因」

不登校を理解する上で重要なのは、文部科学省の調査が示すようなデータの背後にある「目に見えない原因」に目を向けることです。子どもたちが学校に行きづらくなる理由には、必ずしも明確に説明できるものばかりではありません。「友達がいない」「宿題ができない」などの表面的な要因の奥には、さらに深い心理的・環境的な要素が隠れていることがあります。

心の中の「小さな声」を見逃さない

調査で挙げられた「気持ちの落ち込みやイライラ」「夜眠れない」といった要因は、いずれも子どもたちが感じているストレスが体や心に影響を及ぼした結果です。しかし、多くの場合、子どもたちは自分の感情や状態をうまく言葉にすることができません。そのため、大人にとって「元気がない」「最近よく寝坊する」と見えるだけの行動が、実際には深刻な心理的負担を反映している場合があります。

例えば、子どもがこんな小さな声を心の中で発している可能性があります。

  • 「クラスで話せる人がいないから、行きたくない」
  • 「先生が嫌いだけど、それを言うのが怖い」
  • 「宿題ができない自分はダメな人間だと思う」
  • 「給食の時間が毎日つらくて耐えられない」

こうした内なる声に気づくためには、親としての「観察力」と「対話力」が欠かせません。子どもの行動に違和感を感じたとき、それを放置するのではなく、早い段階で関心を寄せることが不登校の予防や対応に繋がります。

感覚的な「違和感」の存在

また、調査で示された「感覚過敏」の要因は、不登校の理解において非常に重要です。例えば、給食のにおいが苦手な子どもにとって、毎日の昼休みが強いストレスになることがあります。また、制服が肌に合わず、それを着ること自体が苦痛になる場合もあります。こうした感覚的な違和感は、一見些細な問題に見えるかもしれませんが、子どもにとっては学校生活全般に対する不安や嫌悪感を引き起こす要因になり得ます。

不登校は子どもの「SOS」

不登校という状態は、子どもからの「助けてほしい」というサインであると考えることができます。文部科学省の調査が明らかにしたように、不登校の要因は多岐にわたり、その背景には子どもたちの複雑な心情が隠れています。ここでは、不登校を子どものSOSと捉えた場合の考察を深めます。

不登校の「初期サイン」をどう捉えるか

不登校に至るまでには、必ずいくつかの「初期サイン」があります。例えば、以下のような兆候は、不登校の初期段階としてよく見られるものです。

  • 学校に行く準備をするのが遅くなる、または嫌がる
  • 朝になると腹痛や頭痛を訴える
  • 宿題や学校の課題に取り組むのを嫌がる
  • 友達や先生の話題を避ける
  • 家でゲームやインターネットの時間が増える

これらの兆候を「怠けている」「やる気がない」と捉えるのではなく、子どもが何を感じ、何に困っているのかを掘り下げることが重要です。特に、文部科学省の調査が示したように「教師には見えにくい要因」に親が気づくことが、不登校を防ぐための鍵となります。

親ができること:サインに寄り添う

子どもが不登校になりかけている段階で、親がどのような姿勢で寄り添うかが、その後の経過に大きく影響します。調査で示された「友達がいない」「宿題ができない」「気持ちの落ち込み」といった要因に目を向け、次のような対応を意識することが大切です。

  • 子どもの話を遮らずに聞く
    子どもが話す内容が漠然としていたり、親から見て「些細なこと」に思える場合でも、それを否定せずに耳を傾けることが重要です。
  • 子どもの言葉に名前をつける
    例えば、子どもが「学校に行きたくない」と言った場合に、「それは先生が怖いから?それとも友達と話しにくいから?」といった具合に、問題を具体化する手助けをします。
  • 学校との連携を考える
    教師やスクールカウンセラーと連携し、子どもの状態を共有することが、不登校を長引かせないために有効です。

不登校データの理解を活かして

文部科学省の調査が示すデータは、不登校がいかに多様な要因によって引き起こされるかを明らかにしています。そして、それらの要因は、子ども一人ひとりによって異なる形で現れることも分かっています。この知識を基に、親としてできることを実践し、子どもが抱える問題を共に乗り越えていくことが大切です。

不登校は決して「終わり」ではなく、子どもの成長や家族関係を見直す「始まり」にもなり得ます。親がその事実を受け止め、柔軟に対応することで、子どもたちはまた一歩前に進む力を取り戻していくことでしょう。

今回の文部科学省の調査データを基にした考察が、少しでも不登校に悩む親御さんの助けとなれば幸いです。子どもたちの未来が明るいものとなることを心より願っています。

ToCo(トーコ)株式会社について

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スクールカウンセラーの実態・適切な頼り方

スクールカウンセラーの実態と適切な頼り方の見出し画像

不登校や引きこもりの支援を専門とする児童心理司の藤原と申します。ここでは、スクールカウンセラーの役割や、不登校の子どもを持つ親御さんがどのように適切に頼ればよいのかを詳しくお話しします。私がこれまでに出会った多くの親御さんや子どもたちの経験をもとに、少しでも皆さまの心が軽くなり、次の一歩を踏み出す助けになるよう願っています。


不登校の問題と親御さんの「孤独感」

不登校のお子さんを持つ親御さんは、多くの場合、非常に孤独です。周囲に相談できる人が少なく、学校からの対応にも期待が持てないと感じている方が少なくありません。「どうしてうちの子が?」という問いかけが、親としての自己否定や家庭環境への疑念につながることもあります。このような状況下で親御さんが真っ先に感じるのは、自分たちがどこかで間違えたのではないかという罪悪感です。

ですが、ここでまずお伝えしたいことがあります。不登校は、決して「親のせい」ではありません。もちろん、家庭環境や親子関係が子どもの心に影響を与えることはあります。しかし、それはあくまで一要因であり、すべてがそこに起因するわけではないのです。不登校の背景には、学校という場が持つ構造的な問題や、子ども一人ひとりの特性、さらに社会全体の変化が複雑に絡み合っています。親が感じる罪悪感は、現状を改善するためのエネルギーを奪い取るだけでなく、子どもとの関係性にも悪影響を与えかねません。

ここで大切なのは、親自身が孤独を感じないための「つながり」を持つことです。その一つとして、スクールカウンセラーの存在を知り、適切に頼る方法を考えることが重要になります。


スクールカウンセラーとは?

スクールカウンセラーという言葉を聞くと、「学校にいる専門家」「問題を聞いてくれる人」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、実際にはその役割はもっと広範囲で多様です。スクールカウンセラーの主な使命は、子どもたちが学校生活をより良いものにするための支援を行うことです。そのため、不登校の問題だけでなく、友人関係や学習面、さらには家庭内での悩みまで、幅広い相談を受けることができます。

しかし、多くの親御さんはスクールカウンセラーにどのように頼ればよいか分からないという現状があります。子どもが学校に行かなくなってしまうと、「そもそも学校に関わる人たちに相談するのは抵抗がある」と感じるのも無理はありません。特に、過去に学校側からの対応に不満を感じた経験があると、その感情は一層強くなるでしょう。

ここで、スクールカウンセラーを「学校の一部」と見るのではなく、「外部の専門家」として捉えてみることを提案します。実際、スクールカウンセラーは学校職員ではなく、心理学や教育学の専門的な知識を持った外部委託の専門家であることがほとんどです。学校とのつながりを持ちながらも、独立した立場で親御さんや子どもの話を聞いてくれる存在です。言い換えれば、親御さんの味方として機能する場合も多いのです。

スクールカウンセラーの現状データと概要

1. 学校カバー率

  • スクールカウンセラーの配置は、日本の公立小中学校で広がっています。2024年時点で、ほぼ全ての公立小中学校に配置されている状況ですが、実際の勤務日数や時間には地域差があります。
  • 小学校では90%以上の配置率ですが、多くの場合、週4時間未満または月1回程度の勤務が一般的です。中学校では約3校中2校が週4時間以上の勤務時間を確保していますが、全体的に「広く薄く配置されている」傾向があります。
  • 高校では9割以上に配置され、週4時間以上勤務するケースが増えていますが、不定期の配置もまだ一定割合あります。

2. 誰がスクールカウンセラーになれるのか?

  • スクールカウンセラーは、主に臨床心理士、公認心理師、もしくは心理学の高度な専門知識を持つ者が担当します。また、これらの資格に基づき、子どもや親、教職員との教育相談を行います。
  • 研修が義務付けられており、各自治体や教育委員会によって、地域特性や課題に応じたスキル向上の取り組みが進められています。また、チーム学校の一環として教職員向け研修にも参加しています【。

3. 課題

  • スクールカウンセラーの配置は進んでいますが、非常勤が多く、勤務時間が限られるため、子どもや親が必要な時に相談できるとは限りません。また、一部では配置時間の不足が継続的な相談に支障をきたしているという課題も指摘されています。
  • ICTを活用したオンラインカウンセリングが進められているものの、効果的な実施には環境整備やルール作りが必要とされています。

4. 配置の目的と成果

  • スクールカウンセラーの目的は、不登校やいじめ、家庭内問題などの早期発見と対応です。調査によれば、スクールカウンセラーが関与することで、不登校やいじめの発生率が減少するなどの効果が報告されています。さらに、災害時や緊急時の心のケアも期待される役割の一つです。

日本のスクールカウンセラーの現状を考えると、全国で配置率は向上しているものの、勤務時間の制約や地域ごとの違いが課題となっています。このため、利用する際には自治体や学校ごとの実態を理解し、効果的な活用を目指すことが重要です。

スクールカウンセラーの「具体的な頼り方」

では、どのようにスクールカウンセラーを頼るべきなのでしょうか。ここでは、いくつかの具体的なステップをお伝えします。

1. 最初の一歩を躊躇しないこと
「こんな相談をしてもいいのだろうか」「話すことで余計に問題がこじれるのでは」と考える親御さんは少なくありません。しかし、スクールカウンセラーはどんな小さな相談でも受け付けています。「子どもが最近、朝起きられない」「ゲームの時間が増えて心配」といった話題でも構わないのです。むしろ、早い段階で相談をすることで、問題が深刻化する前に対処できる可能性が高まります。

2. 子どもの状態を正確に伝える
スクールカウンセラーに相談する際には、できるだけ具体的に子どもの様子を伝えることが重要です。例えば、「学校に行きたくないと言った」「何も話さなくなった」といった事実に加えて、そのときの表情や態度、親として感じた違和感も共有してください。こうした情報は、カウンセラーが子どもの気持ちや置かれている状況を理解する手助けになります。

3. 自分の気持ちも伝える
スクールカウンセラーへの相談は、必ずしも子どもに関する内容だけに限りません。親自身が感じている不安や悩みも、カウンセラーに共有することができます。「自分がどう対応すればよいのか分からない」といった漠然とした気持ちでも大丈夫です。親の気持ちを整理することで、子どもに向き合う余裕が生まれることもあります。

4. 継続的な相談を心がける
スクールカウンセラーへの相談は、一度きりで終わる必要はありません。状況が変わったり、別の問題が出てきたりした場合には、何度でも足を運んでください。継続的な相談を通じて、カウンセラーとの信頼関係が築かれ、より深いサポートが受けられるようになります。

親が抱える「期待」と「現実」のギャップ

スクールカウンセラーに相談したからといって、すぐに問題が解決するわけではありません。不登校の問題は、表面的な対応だけではなく、子どもの内面的な成長や、周囲の環境との調整が必要になるため、時間がかかることが多いのです。しかし、このプロセスにおいて重要なのは、親が「変化の兆し」を見逃さないことです。

例えば、子どもが以前よりも家で笑うようになった、少しだけでも学校の話題に触れるようになったといった小さな変化は、大きな前進を意味しています。スクールカウンセラーを頼ることで、こうした変化を共有し、次のステップへの道筋を一緒に考えることができます。

スクールカウンセラーの限界と併用するべき支援

スクールカウンセラーは頼りになる存在ですが、全ての問題を解決できるわけではありません。カウンセラー自身にも担当できる範囲や限界があります。特に、深刻な精神的問題や診断が必要な場合には、専門医やクリニックとの連携が求められます。この点を理解した上で、スクールカウンセラーを適切に利用することが大切です。

また、親御さん自身が他のサポートを併用することも検討してください。例えば、不登校の親同士で交流できる自助グループや、地域の教育支援センターなどがあります。これらは親自身の孤立感を軽減し、具体的な対策や気持ちの整理をする場として非常に有効です。

こうした支援とスクールカウンセラーを併用することで、子どもと親が孤立せず、問題解決に向けた柔軟なアプローチが可能になります。

スクールカウンセラーが教えてくれる「親の役割」

多くの親御さんは、不登校という現実に直面すると「親として何をすればいいのか」という悩みに押しつぶされそうになります。その答えを見つけるために、スクールカウンセラーの助言が役立つことがあります。実際、カウンセラーからよく伝えられるのは、「親の役割は完璧でなくていい」というメッセージです。

例えば、不登校の子どもは家庭の中で自分の居場所を見つけることが何よりも大切です。そのためには、親自身が「何とかして学校に戻らせなければ」という焦りを手放す必要があります。この焦りが子どもに伝わると、余計にプレッシャーを感じさせ、状況を悪化させることがあります。代わりに、まずは子どもの心の安全基地としての役割を果たすことを意識しましょう。

スクールカウンセラーは「学校復帰」という目標を急ぐよりも、「子どもが自分らしく成長する道筋」を一緒に模索してくれる存在です。その過程で、親として何ができるのかを考えるヒントを与えてくれます。例えば、日常生活でどのように声をかければいいのか、家庭内でどんな雰囲気を作れば子どもが安心できるのかといった具体的なアドバイスを受けることができます。


不登校は「成長の過程」であると考える

不登校は決して子どもにとって「失敗」ではありません。むしろ、子どもが自分自身と向き合い、将来を考える貴重な機会であると捉えるべきです。スクールカウンセラーの役割は、こうした「成長の過程」に寄り添い、親と子どもが共に前向きに歩むサポートをすることにあります。

例えば、ある親御さんのケースでは、子どもが学校に行けなくなってから自然と興味を持ち始めた絵を描く活動が、後に進路選択のきっかけになったという話がありました。この家庭では、スクールカウンセラーが子どもの好きなことを引き出し、それをどう生かしていけるかを一緒に考えてくれたのです。

親としては、「今は学校に行けていなくても、子どもには未来がある」と信じることが重要です。この信念を持つためには、時にはスクールカウンセラーのような専門家の視点を借りることが有効です。親一人で全てを抱え込む必要はありません。


最後に:親が「信じる力」を持つことの重要性

最後にお伝えしたいのは、親が子どもを信じる力を持つことの重要性です。不登校の子どもは、多くの場合、自分自身に対する自信を失っています。その中で、唯一無条件に信じてくれる存在が親であることは、何よりも大きな支えになります。

スクールカウンセラーは、子どもと親の間に立ち、双方が互いを理解し、信じる力を回復する手助けをします。そして、その関係性が築かれることで、子どもは再び自分のペースで前に進む力を取り戻すことができるのです。

不登校という問題は、簡単には解決できない複雑な課題です。しかし、スクールカウンセラーという味方を得ることで、その道のりを少しでも軽やかにすることができます。親御さん自身も無理をせず、時には自分を労わりながら、子どもの成長を長い目で見守っていただければと思います。

これからの道のりにおいて、少しでも明るい兆しが見えることを心より願っています。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

いじめによって不登校になった場合の対処

いじめが原因で不登校になった場合、学校との連携は問題解決において欠かせない要素です。しかし、現実的には、学校側の対応が不十分だったり、解決に向けた行動が遅れるケースも少なくありません。そのような中で、親としてどのように学校と向き合い、子どもにとってより良い環境を作っていくかが重要な課題となります。これから、学校との具体的な連携方法を徹底的に掘り下げて解説します。

1. 学校との信頼関係を築く:連携の第一歩

学校との連携を効果的に進めるには、親が感情的にならず、冷静で協力的な態度を保つことが何よりも大切です。学校の教師やスタッフも、問題を解決したい気持ちは同じですが、業務の多忙さや複雑な人間関係から、時に十分な対応ができないことがあります。そのため、対立的な姿勢を取るのではなく、あくまで「子どもの利益を第一に考えた協力者」として接することが必要です。

たとえば、初めて学校に相談する際は、事実を整理した上で、簡潔かつ具体的に伝えるよう心がけましょう。以下のような情報をまとめて持参すると、学校側が迅速に状況を把握しやすくなります。

  • いじめの状況に関する詳細な記録
     いじめの具体的な内容(身体的・言葉の暴力、仲間外れ、無視など)、発生した日時、場所、関わった生徒の名前や状況。
  • 子どもの変化や反応
     不登校になる前後で見られた子どもの行動や感情の変化。例えば、食欲が落ちた、夜眠れない、学校の話題を避けるなどの具体例。
  • 親が把握している背景情報
     いじめが始まるきっかけと思われる出来事、学校行事やクラス内でのトラブル、教師の関わり方に関する情報など。

これらの情報を基に、担任教諭だけでなく、必要に応じて学年主任やスクールカウンセラー、さらには学校長と話し合いの場を設けることが効果的です。特に、いじめの深刻さが明らかな場合、学校全体のサポート体制を早急に整えてもらうことが重要です。

2. 学校の調査と対応策を促す:責任範囲を明確化する

学校に問題を報告した後は、いじめの調査と解決に向けた具体的な対応策を促しましょう。ここで重要なのは、学校が問題を把握しているだけでなく、実際にどのような行動を取る予定であるかを確認し、それを記録に残すことです。

例えば、学校とのやり取りでは以下の点を確認してください。

  • いじめの調査内容と進捗状況
     どのような方法でいじめを調査しているのか(加害者や被害者、第三者への聞き取り、SNSやノートの確認など)、調査の進捗状況。
  • 具体的な対応策
     いじめを防止するためにどのような措置を取るのか(加害者への指導、新しいクラス編成の検討、担任の変更など)。
  • 子どもの安全確保
     被害を受けた子どもが安心して学校生活を再開できる環境作りについて(保健室登校や特別支援教室の利用、教師のサポートなど)。

また、口頭でのやり取りだけでなく、話し合いの内容を文書にまとめるよう学校に依頼することをお勧めします。これにより、親として何が話し合われたのかを正確に把握できるだけでなく、後に問題が再発した際の証拠としても役立ちます。

3. 学校の対応が不十分な場合:教育委員会の活用

残念ながら、学校がいじめ問題に対して適切な対応を取らないケースもあります。そのような場合、教育委員会に相談することは非常に有効な手段です。教育委員会は、学校を監督する立場にある行政機関であり、学校では対応が困難な場合に具体的な指導や助言を行う役割を担っています。特に、いじめ問題や不登校のケースでは、教育委員会が親や子どもの立場を考慮し、学校に改善を促すケースが少なくありません。

1. 教育委員会に相談するタイミングを見極める

教育委員会に相談するべきかどうかを判断する際、まず考慮すべきは学校側の対応状況です。以下のような場合、教育委員会への相談を検討することが適切です。

  • 学校がいじめの事実を認めない、または調査を行わない。
  • 学校が加害者側の指導や被害者の安全確保に向けた具体的な対策を講じていない。
  • 何度も学校に相談しているにもかかわらず、対応が進展しない。
  • 学校側とのやり取りで、親が感情的になってしまい、建設的な話し合いが難しい。
  • いじめや不登校の状況が長期化し、子どもの心身の健康がさらに悪化するリスクが高まっている。

教育委員会は、親や子どもの立場に立って学校と調整を図る役割を持っています。学校の対応が不十分だと感じた場合は、ためらわずに教育委員会に相談を持ちかけましょう。

2. 教育委員会への相談の準備

教育委員会に相談する際は、学校と同様に、具体的な事実や状況を整理して伝えることが重要です。感情的な訴えだけではなく、客観的な情報を基に相談を進めることで、教育委員会側もスムーズに対応を開始できます。以下は、相談前に準備すべき項目です。

  • いじめや不登校に関する詳細な経緯の記録
     いつ、どこで、どのような状況でいじめが発生したのか、子どもの不登校が始まった時期や理由について、具体的に書き出します。
  • 学校とのやり取りの記録
     学校との話し合いの内容、対応の進捗状況、不満に感じた点や未解決の課題について、日時や内容を整理して記録します。
  • 関連する証拠資料
     いじめの証拠となるメモ、SNSでのやり取りのスクリーンショット、学校との文書やメールのやり取りなど、事実を裏付ける資料を用意します。
  • 親としての要望や希望
     具体的にどのような対応を望んでいるのか(例:いじめの解消、加害者への指導、被害者の安全確保、転校支援など)、明確にしておきましょう。

準備が整ったら、まずは電話で教育委員会に連絡し、面談や相談の日時を予約します。この際、「学校とのやり取りが進まない」「いじめが深刻で、子どもの安全が心配」といった概要を伝えるとスムーズです。

3. 教育委員会への相談時の流れ

教育委員会との面談や相談では、以下のような流れで進むことが一般的です。

追加の支援や外部機関の紹介
 場合によっては、カウンセリングやNPO団体、法律相談窓口など、外部機関のサポートを紹介されることもあります。

相談内容のヒアリング
 最初に、いじめや不登校の状況について詳細に説明します。この段階では、感情的にならず、事実に基づいた情報を冷静に伝えることが大切です。

教育委員会の対応方針の提示
 相談内容を受けて、教育委員会側が学校への指導や助言、場合によっては直接的な介入の方針を説明します。

改善プランの共有
 教育委員会が学校にどのような指導を行うのか、また親としてどのような協力が求められるのかを具体的に共有します。必要に応じて、定期的な経過報告の場を設けることもあります。


4. 学校環境の調整:クラス替えや転校の検討

いじめの解決策として、学期の変わり目にクラスを変える、あるいは転校を検討することは効果的な手段の一つです。ただし、この選択肢にはいくつかの現実的な課題があります。

クラス替えの実現性
いじめを行った子どもがクラスを移るべきだという意見は正論ですが、現実的には実現が難しい場合が多いです。そのため、親としては被害を受けた子どもが安全を確保できる形でのクラス替えを学校に要請することが現実的な対応になります。

転校の是非
転校は親にとって大きな決断ですが、時には新しい環境で子どもが気持ちをリセットすることが効果的です。ただし、転校先でのいじめリスクや新しい環境に適応するための負担も考慮する必要があります。転校を検討する際は、子ども自身の意思を尊重しながら、冷静に判断してください。


5. ケーススタディ:学校との連携が成功した実例と失敗例

親御さんが学校との連携に苦労するのは、どの家庭でも同じです。しかし、成功例から学ぶことは非常に多くあります。ここでは、いじめによる不登校の対応において、学校との連携が成功したケースと失敗したケースを比較し、どのように対応すれば効果的かを具体的に検討してみましょう。

成功例:学校と一丸となって解決に取り組んだケース

ある家庭では、中学2年生の娘さんがクラスメートからの無視や悪口を受け、不登校になりました。お母さんは早期に学校へ相談し、以下のような連携を取ることで、子どもの復帰を実現しました。

  • 学校側の対応
     担任教諭だけでなく、スクールカウンセラーや副担任も含めた「支援チーム」を編成し、定期的に状況を共有する場を設けました。また、クラス全体に対して「思いやりを持った行動を促す」という教育活動を実施し、いじめを防ぐ風土づくりを進めました。
  • 親の役割
     お母さんは、娘さんが少しずつ学校に戻る準備ができるよう、保健室登校や登校時間の調整を提案しました。また、自宅でも娘さんの不安に耳を傾け、「無理をしないで大丈夫」という安心感を与える一方で、「小さな目標を一緒に考えよう」と具体的な行動を支援しました。
  • 結果
     クラス替えのタイミングで新しい環境に移行することで、いじめが自然と収まりました。娘さんは最初は保健室登校から始め、数か月後には授業にも参加できるようになりました。

失敗例:学校側の対応が後手に回ったケース

一方、別の家庭では、小学5年生の息子さんが同級生から暴力を受けたことがきっかけで不登校になりました。お母さんは学校に相談しましたが、次のような要因が解決を妨げました。

  • 学校側の対応の遅れ
     担任教諭が「子ども同士の問題」として軽視し、適切な調査を行わなかったため、いじめの事実が明らかになるまでに時間がかかりました。また、加害児童の親との面談も消極的で、いじめが止まることはありませんでした。
  • 親の孤立
     お母さんは学校の対応に失望し、教育委員会に直接相談しましたが、具体的な改善にはつながらず、最終的に息子さんを転校させる決断をしました。転校後も環境への適応に時間がかかり、息子さんは新しい友人関係を築くのに苦労しました。
  • 教訓
     学校との連携がうまくいかない場合でも、感情的になるのではなく、記録を整え、外部機関を活用して解決を図ることが重要です。また、教育委員会やNPOを早期に活用することで、より迅速な対応を引き出せた可能性があります。

成功に導くためのポイント

上記のケースから学べることは、次の3点です。

  1. 学校との連携をスムーズにするための工夫
     学校側の関係者を巻き込むだけでなく、親自身も積極的に行動し、提案型の姿勢で連携を進める。
  2. 親としての冷静な対応
     感情的にならず、具体的な記録や解決策を提示することで、学校側の理解を得る。
  3. 複数の解決手段を同時進行で準備する
     学校だけでなく、外部機関や専門家の助けを早期に求め、対応が遅れるリスクを軽減する。

6. 学校連携における心理的負担への配慮

学校との連携を進める中で、親御さん自身が心理的な負担を感じることも少なくありません。「学校に迷惑をかけているのではないか」「子どものためにもっと何かできるのではないか」といった思いに押しつぶされそうになる親御さんも多いでしょう。

しかし、ここで大切なのは、「親が疲弊してしまうと、結果的に子どもも影響を受ける」という事実を理解することです。不登校問題に取り組む際、親の心の健康を保つことは不可欠です。

7. 学校との連携を通じて子どもに希望を届ける

学校との連携を進める目的は、単に問題を解決することではなく、子どもが再び「希望」を持てるようになる環境を整えることです。不登校を乗り越える過程は一朝一夕ではありませんが、親と学校が一丸となってサポートを続けることで、子どもは必ず一歩を踏み出せる日が訪れます。

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不登校になりかけの時に親がすべき3つの行動

不登校になりかけの時に親がすべき3つの行動のイメージ

私は児童心理カウンセラーの藤原と申します。不登校や引きこもり問題に取り組む現場で、数多くの親子と向き合ってきました。不登校は、原因を探ることだけでは解決しません。子どもが不登校の状態を「日常」として受け入れてしまう前に、親としてできることに目を向けるべきです。今回は、不登校になりかけた時に、親がどのように行動すればよいのかについて、私の経験を踏まえてお話ししたいと思います。特に、不登校が長期化するリスクを減らし、子どもの可能性を守るための具体的な方法を、学校との連携を含めてお伝えします。

(前段)不登校の「予兆」に気づくために

不登校は、ある日突然起こるものではありません。多くの場合、その前兆が見られるものです。しかし、親は日常の忙しさや、子どもの言動の「当たり前さ」に紛れて、その変化を見逃してしまうことがあります。たとえば、以下のような兆候は、不登校のサインかもしれません。

  • 朝の準備が極端に遅い、または機嫌が悪い
  • 「頭が痛い」「お腹が痛い」と頻繁に身体の不調を訴える
  • 学校や友達の話題を避けるようになる
  • ゲームやスマホに依存する時間が増える
  • 授業に遅刻が増え、欠席日数が徐々に増加する

これらの行動は、ただの気まぐれではなく、心や体に不安が生じているサインであることが多いです。大切なのは、これらの変化に気づいた際に、親が慌てたり感情的になったりせず、冷静に子どもに接することです。

たとえば、朝起きられないときに「怠けている」と叱るのは逆効果です。代わりに、「どうして朝がつらいのかな?」と問いかけ、子どもの感覚や状況を理解しようと努めることが重要です。また、身体の不調を訴える場合には、医師の診察を受けることも選択肢の一つです。「本当にどこも悪くない」と医師から確認されるだけで、親が冷静になるきっかけになることもあります。

さらに、親として注意すべきは、「何が原因なのか」を問い詰めすぎないことです。不登校の原因は必ずしも一つではなく、複数の要因が絡み合っている場合がほとんどです。そして、本人でさえも「なぜ行けないのか」をはっきり言葉にできないことがあります。親が原因にばかり目を向けると、子どもを追い詰める結果になりかねません。大切なのは、子どもの状態を冷静に観察し、今すべき具体的な対処を考えることです。

行動1. 学校との「建設的な連携」を図る

不登校になりかけたとき、学校との連携が非常に重要になります。しかし、ここで注意すべきなのは、「学校を責める姿勢」を取らないことです。親が学校に対して感情的になり、「学校が悪い」と批判を続けると、結果的に子どもの問題解決の道を狭めてしまいます。

まず、担任の先生との連絡を定期的に取り合うことを心がけましょう。電話やメール、面談など、手段は問いませんが、学校での子どもの様子についてできるだけ詳細な情報を得ることが重要です。たとえば、友人関係の状況や授業中の態度、休み時間の過ごし方など、学校ならではの視点から得られる情報は、親が家庭での対応を考える上で非常に役立ちます。

さらに、家庭でできる学習支援も重要です。学校のプリントや教科書を活用し、授業内容を家庭で補うことで、子どもが学習から完全に離れることを防ぐことができます。学習が滞ると、子どもは「もう取り戻せない」という感覚に囚われてしまい、さらに学校復帰が難しくなる可能性があります。親が無理のない範囲で学習を支えることで、子どもの自信を少しずつ回復させることができます。

ただし、学校と連携する中で、親が学校の全てを信頼する必要はありません。場合によっては、学校側の対応が不十分だったり、子どもにとって適切でない場合もあるでしょう。そのような場合は、教育委員会やスクールカウンセラーに相談するなど、他のリソースを活用することも視野に入れてください。

学校との面談イメージ

行動2. 家庭での「過ごし方」を見直す

不登校が長引く一因として、家庭が「居心地の良い場所」になりすぎている場合があります。親が子どもを心配するあまり、過保護になったり、子どもの言い分を全て受け入れたりすることで、家庭が過度に快適な空間になってしまうと、子どもは学校に戻る必要性を感じにくくなります。

たとえば、子どもが学校を休んでいる間に好きなだけゲームをしたり、スマホで友達と連絡を取ったりすることを許していませんか?これでは、「学校に行かなくても楽しい」と感じてしまい、結果的に不登校の状態を助長してしまう可能性があります。

親としては、家庭でのルールを見直し、一定の緊張感を持たせることが重要です。具体的には、以下のような取り組みを試してみてください。

  • 平日の昼間はゲームやスマホを制限する
  • 朝は必ず決まった時間に起きるよう促す
  • 日中はできる限り机に向かい、学習や創作活動に時間を使わせる
  • 家事の一部を手伝ってもらうなど、家庭内での役割を持たせる

これらの取り組みを通じて、子どもが「家での時間もそれなりに責任が伴う」という感覚を持つようになります。ただし、これらを実行する際には、決して感情的にならず、愛情を持った態度で接することが大切です。叱責や批判は、子どもをさらに追い詰めるだけで逆効果です。

また、親自身が「学校に戻ることが全てではない」という柔軟な考えを持つことも重要です。不登校は、時には子どもが自分のペースで成長するための時間でもあります。焦らずに見守りながら、少しずつ前進することを目指してください。

行動3. 子どもと向き合う姿勢を整える

不登校になりかけている子どもに対して、親が最も重要視すべきなのは「共感」と「信頼」です。子どもは、親のちょっとした態度や言葉から、自分が責められているかどうかを敏感に感じ取ります。そのため、「なぜ学校に行かないのか」「どうして頑張れないのか」といった言葉は、できるだけ避けるようにしましょう。

代わりに、「学校に行けない今の気持ちを教えてくれる?」といった共感的な言葉を使うことで、子どもが少しずつ自分の気持ちを親に打ち明けやすくなります。親が子どもの話を否定せずに受け入れることで、子どもは「親は自分の味方である」と感じ、不登校という状況から抜け出すための第一歩を踏み出しやすくなります。

また、親自身が冷静であることも大切です。不登校の問題に直面すると、親も焦りや不安を抱えやすくなります。しかし、親が感情的になると、子どもにもその不安が伝わり、状況がさらに悪化する可能性があります。親が心の余裕を持ち、冷静に対応することで、子どもにとっての安心感が生まれます。

子どもにとっての「安全基地」としての役割を果たしながら、必要なときには毅然とした態度で接する。これが、不登校を防ぐための親としての重要な心構えです。

最後に

不登校になりかけの時期に、親ができることは数多くあります。冷静に兆候を見極め、学校と建設的に連携し、家庭での生活習慣を整えることで、子どもが少しずつ学校に戻る準備を整えることができます。そして何よりも大切なのは、親が子どもの最大の理解者であり、応援者であることを示すことです。

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「親」のスマホ依存が与える子どもへの影響

「親」のスマホ依存

愛着形成とスマホ依存の影響

はじめまして。不登校や引きこもりを専門に支援している児童心理カウンセラーの藤原と申します。今までの数え切れない事例から、不登校や引きこもりの問題は単なる「子どもの問題」ではなく、「親子関係や家庭環境の中で形作られる問題」であることが多いと感じています。そして、現代の親子関係の課題として、近年急速に注目されつつあるのが「親のスマホ依存」です。この問題は、親の無意識のうちに進行し、結果として子どもの心に深刻な影響を与える可能性があります。

子どもの健全な成長に欠かせないのは、親との良好な愛着形成です。しかし、親がスマートフォンに多くの時間を費やすことで、この愛着形成が阻害されるケースが増えていると感じます。まず、この問題の本質に触れるために、愛着形成がどのように子どもに影響を及ぼすか、そしてそれが親のスマホ依存によってどのように変容するのかを詳しく掘り下げていきます。

愛着形成の重要性

「愛着形成」という言葉を耳にされたことはあるでしょうか。これは、乳幼児期から学童期にかけて子どもが親との間で築く、信頼や安心感の基盤を指します。たとえば、子どもが泣いたときにすぐに対応してくれる親の姿を見たり、子どもが発した些細な言葉や行動に対して親が関心を持って応答する、こうした繰り返しの中で子どもは「自分は愛されている」と感じ、心が安定していきます。

しかし、この愛着形成の基盤が不十分であると、子どもは精神的な不安定さを抱えるようになります。親からの適切な反応が得られない子どもは、「自分は大切にされていないのかもしれない」という感覚に陥りやすくなります。このような状況は、子どもの自己肯定感を著しく低下させ、結果的に学校生活や人間関係において消極的になる原因を作り出します。

たとえば、カウンセリングを通じて接してきたある小学生のケースでは、親が家にいる間ずっとスマートフォンでSNSを見ているため、子どもが話しかけても「うん」や「後で」といった短い返答で終わってしまう状況が続いていました。その結果、子どもは自分の話が重要ではないと感じるようになり、学校での出来事や友達との関係について話すことも次第に避けるようになりました。最終的には、学校でのトラブルを一人で抱え込み、不登校という形で表面化したのです。

スマホ依存による親子の関係断絶

スマートフォンが親子関係に与える影響の一つに、「親子の断絶」が挙げられます。断絶とは、物理的に離れているわけではなく、心理的な距離が広がることを意味します。親がスマートフォンを使っている時間、子どもとの会話や視線の共有は明らかに減少します。その結果、子どもは「親にとってスマホの方が自分より重要だ」と感じるようになります。

心理学的な視点から言えば、子どもにとって親からの視線や反応は、心の発達に欠かせない「栄養」です。親の視線を通して子どもは「自分は価値のある存在だ」と感じることができます。しかし、親がスマホを見続けていると、この視線の共有が減少し、子どもに心理的な飢餓状態が生まれるのです。この飢餓状態が続くと、子どもはどうなるでしょうか。
子どもはまず、親の関心を引こうとあらゆる手段を試みます。しかし、それでも親がスマホに夢中で反応を示さない場合、子どもは「どうせ何をやっても無駄だ」と学習してしまいます。この状態が長引くと、子どもは外の世界や他者との関係にも消極的になり、不登校や引きこもりの原因となる可能性があります。

親が意識しない「無視」の影響

興味深い研究があります。それは、「無視」の影響が子どもの精神発達にどれだけ大きなダメージを与えるかを示したものです。無視とは、言葉や行動での否定ではなく、親が子どもに関心を示さない状態を指します。スマホ依存の親が無意識のうちに行う行動が、まさにこれに該当します。
この無視の影響を受けた子どもは、自分の存在意義に疑問を持ちやすくなります。そして、それが引き金となり、学校生活や人間関係においても消極的な態度を取るようになります。ある中学生の事例では、親がスマホゲームに夢中で会話がほとんどなかったため、子どもは家庭内での孤独感を深め、学校でも友達との関係を構築できず、最終的に不登校となりました。

スマホ依存の仕組みと親の行動変容の必要性

スマホ依存の仕組みとその強力さ

現代のスマートフォンは、私たちの生活を便利にしてくれる一方で、非常に強力な依存性を持っています。なぜこれほど多くの人がスマホを手放せなくなってしまうのか。それは、スマホやスマホアプリが「人間の脳の仕組み」に巧みに働きかける設計になっているからです。

スマートフォンが私たちに与える刺激の一つに「断続的な報酬」があります。これは、SNSの通知やスマホゲームの報酬システムによって実現されています。たとえば、SNSを開けば「いいね」やコメントといった小さな報酬が得られる可能性がありますが、そのタイミングは予測できません。この「予測できない報酬」の仕組みは、人間の脳にとって非常に魅力的です。脳内でドーパミンと呼ばれる快感を司る物質が分泌され、私たちはその刺激を求めてスマホを手に取るようになります。

さらに、スマホゲームでは「次に何か良いことが起きるかもしれない」という期待感を与え続けることで、ユーザーをゲームに引き込む仕組みが存在します。このような射幸心を煽る仕組みが、親たちを含めた多くの人をスマホに夢中にさせ、気づけば1日が終わっている、という状況を引き起こしているのです。

親がスマホ依存に陥る背景

親がスマホに頼りがちな理由の一つに、「便利さ」や「息抜きの手段」という側面があります。特に子育て中の親にとって、スマホは情報収集や友人とのつながり、ストレス発散など、多くの役割を果たす貴重なツールです。また、子育てにおいて孤立感を抱える親にとって、SNSやオンラインコミュニティは大切な居場所になることがあります。

しかし、こうした利用が「無自覚の依存」に変わると問題が生じます。たとえば、子どもが目の前にいるのに無意識にスマホを開いてしまう、子どもとの会話中に通知が来ると反射的に画面を見てしまう、という行動が積み重なると、親子の関係性に影響が出るのは避けられません。

親自身の変化が必要な理由

では、どうすればこの問題を解決できるのでしょうか。まず大切なのは、「親自身が変わること」です。

親がスマホ依存から抜け出すことで、子どもとの接点を増やし、家庭内のコミュニケーションを円滑にすることができます。親がスマホに費やす時間を意識して減らす努力をすることで、子どもにとって「自分は親にとって大切な存在だ」という感覚が再び生まれます。
また、親がスマホ依存を克服する姿を見せることは、子どもへの良い手本にもなります。子どもは親の行動を観察し、それを模倣する傾向があります。親が自らのスマホ依存をコントロールする姿勢を示せば、子どももその影響を受けて、スマホとの適切な付き合い方を学ぶことができるのです。

スマホ依存を克服するための具体的な方法

親がスマホ依存を克服する第一歩

スマホ依存を克服するためには、まず「自分がどれだけスマホを使っているかを知る」ことから始めるのが効果的です。現在は、多くのスマートフォンに利用時間を記録する機能がついています。この機能を活用し、1日にどれくらいの時間をスマホに費やしているのかを確認してみましょう。
例えば、1日に4~5時間をスマホに費やしているとしたら、その時間の一部を子どもとの触れ合いに充てることを考えてみてください。「子どもと一緒に過ごす時間を増やす」という明確な目標を立てることで、スマホに依存する生活から少しずつ抜け出すことができます。

具体的な取り組み例

  1. 時間帯を決める
    スマホを使用する時間帯をあらかじめ決め、ルールを作ることが有効です。たとえば、「子どもが起きている間はスマホを見ない」「子どもと食事をする際はスマホを別の部屋に置く」といった具体的なルールを設けてみましょう。
  2. スマホの通知をオフにする
    スマホの通知は依存を強化する原因の一つです。通知が来るたびに画面を見る習慣がついてしまうため、SNSやゲーム、メールの通知をオフにすることで無駄な使用を防ぐことができます。
  3. 家族でスマホの利用ルールを共有する
    家族全員でスマホの使用に関するルールを話し合い、共有することも効果的です。「夜8時以降はスマホを触らない」「家族で過ごす時間はスマホ禁止」など、家族全体で取り組むことで、親自身も習慣を守りやすくなります。
  4. 子どもと一緒に楽しむ時間を増やす
    スマホに時間を費やす代わりに、子どもと一緒に楽しめるアクティビティを増やしてみてください。たとえば、一緒に料理をする、散歩に出かける、本を読むなど、スマホ以外の選択肢を意識して取り入れることが重要です。

親子の関係再構築が不登校克服のカギ

親の行動が子どもに与える影響

親がスマホ依存を克服し、子どもとの時間を増やすことで、子どもには多くのポジティブな変化が現れます。まず、親が自分に向き合ってくれると感じることで、子どもは安心感を得られます。この安心感は、子どもの自己肯定感を高め、学校生活や人間関係における積極性を引き出す原動力となります。
また、親がスマホに頼らずに子どもと接する姿勢を示すことで、子どもは「人と向き合うことの大切さ」を自然と学ぶことができます。これは、子どもが将来社会に出たときに良好な人間関係を築く力にもつながるのです。

不登校や引きこもりの問題を解決する上で、私は一貫して「親子の関係再構築」が最も重要な要素の一つであると考えています。不登校の原因は、学業のプレッシャーや友人関係、個々の気質など様々ですが、その問題が「長期化する」要因の多くは、家庭環境に起因します。そして、その中でも特に大きな役割を果たすのが親子関係です。ここでは、親子の関係が不登校克服にどのように関わるのかを深掘りし、さらに再構築の具体的なステップについて詳しく説明します。

親子の対話

不登校を長引かせる「日常のパターン化」

まず、不登校の大きな特徴として挙げられるのは、その状態が日常のパターンとして固定化されてしまうことです。不登校が長期化する理由は、学校に行かない生活が「子どもにとって居心地が良いもの」として定着してしまう点にあります。これは、単に子どもが怠けているわけではありません。不登校の初期段階では、学校での辛い経験や心の負担から一時的に逃れようとする防衛本能が働きます。その結果、家での生活が「安全地帯」として位置づけられ、学校へ戻るモチベーションがどんどん失われていくのです。

ここで、親の行動が非常に大きな意味を持ちます。親が無意識のうちに子どもの現状を「受け入れすぎる」ことで、子どもが学校に行かない生活をさらに当たり前と感じるようになります。例えば、「家で子どもが落ち着いているなら、それで良いのではないか」と考え、子どもに特別なアプローチを取らず、ただ見守るだけの状態が続くとします。このような見守りは、一見すると子どもの自立を尊重しているようにも見えますが、実は逆効果になることもあります。

親が子どもに「挑戦する機会」を与えないまま、日常のパターンを固定化させると、子どもはそのコンフォートゾーンから抜け出す力を失ってしまいます。この状況を打破するためには、親が意識的に「関わり方」を変え、子どもとの関係を新たに築き直す必要があるのです。

親子の関係が不登校克服に及ぼす影響

不登校を克服する過程で、親子関係の再構築が重要である理由は、子どもにとって親の存在が心理的な「基盤」となるからです。どれほど学校での経験が辛かったとしても、家庭が安心感に満ちていれば、子どもはもう一度外の世界に向き合う勇気を持つことができます。一方で、家庭内に緊張感や孤独感があると、子どもはますます内向的になり、外の世界と関わることを避けるようになります。

親子関係を再構築する過程で特に重要なのは、「親が子どもの感情に寄り添う」という姿勢です。不登校の子どもたちは、学校での辛さや友人関係のトラブル、または学業へのプレッシャーなど、さまざまなストレスを抱えています。しかし、それを表に出すことが苦手な子どもも少なくありません。特に小学校高学年や中学生になると、「自分の感情を伝えるのは恥ずかしい」と感じたり、「親に心配をかけたくない」と思ったりして、気持ちを隠すケースが多いのです。

このとき、親が「どうして学校に行かないの?」と問い詰める姿勢ではなく、「今どんなことが一番つらい?」と穏やかに問いかけたり、「学校に行くことだけが全てではないよ」と子どもの気持ちを肯定したりすることで、子どもは徐々に自分の感情を開示しやすくなります。このプロセスが、子どもが不登校の状態から一歩を踏み出すための第一歩となるのです。

スマホ依存の改善が親子関係に与える影響

親子関係を再構築する上で見落とされがちなのが、親自身の行動、特に「スマートフォンの使い方」です。親がスマホを手放せない状態でいると、子どもは親の関心が自分ではなくスマホに向けられていると感じてしまいます。こうした感覚が続くと、子どもは「どうせ自分に話しかけても親はちゃんと聞いてくれない」と考え、親に対して心を閉ざしてしまうことがあります。

例えば、ある中学生のケースでは、母親が毎晩リビングでスマートフォンを見続けていることが原因で、子どもが「自分の話をしても母親は聞いてくれない」と思い込んでいました。そこで、カウンセリングを通じて母親がスマホの利用時間を減らし、夜はスマホを別室に置いて子どもとの時間を増やすようにしたところ、子どもが母親に悩みを打ち明ける機会が増え、最終的に学校復帰への意欲を見せるようになったのです。

このように、親がスマホ依存を改善することは、親子の関係を再構築し、不登校克服への道を開くための大きな一歩となります。

親子関係の再構築のための具体的なアプローチ

親子関係を再構築するためには、以下のような具体的なアプローチが効果的です。

  1. 子どもの声に耳を傾ける
    子どもが話をしたいと思ったときに、親がすぐに対応できるようにすることが大切です。親がスマホに夢中になっていると、この「タイミング」を逃してしまいます。特に夜の時間帯はスマホを手放し、子どもと会話できる環境を整えましょう。
  2. 親自身が行動で示す
    「スマホの時間を減らす」「外出して一緒に体を動かす」「子どもの趣味に付き合う」など、親が積極的に行動を変える姿を見せることで、子どもは「自分のために親が変わってくれた」と感じ、親子の信頼関係が深まります。
  3. 小さな成功体験を共有する
    子どもが家で取り組んだ些細なことでも、「よくやったね」と認めてあげることで、子どもは自己肯定感を高めることができます。また、親子で一緒に楽しめるアクティビティを増やし、共有の思い出を作ることも関係改善につながります。

親子関係が築けるとき、子どもは動き出す

親子の関係が再構築され、家庭が子どもにとって本当の意味での「安心できる場所」となったとき、子どもは外の世界に向き合う力を徐々に取り戻します。不登校の克服には時間がかかる場合もありますが、親が変わり、家庭環境が改善されれば、子どもも自然と変化していきます。

不登校を克服するための第一歩は、子どもを急かすことでも、問題を根掘り葉掘り聞き出すことでもありません。親が「一緒にいること」「向き合うこと」に意識を向け、子どもとの絆を再構築することが、何よりも効果的な解決策なのです。

最後に: スマホとの新しい付き合い方を模索する

親がスマホを使う時間を減らし、子どもと向き合う時間を増やすことは、親子関係を深めるだけでなく、子どもの心の成長に大きな影響を与えます。スマートフォンは便利なツールですが、それに依存することで失われるものも多いことを忘れてはいけません。
スマホを使う時間を見直し、子どもとの触れ合いを優先することで、親子の絆はさらに強固なものになります。そして、この絆こそが、不登校や引きこもりを克服し、子どもが自分の力で未来を切り開いていくための土台となるのです。
親が少しずつスマホとの向き合い方を変えることで、子どもたちには必ず良い影響が現れます。どうか、今日からその一歩を踏み出してみてください。

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ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

「ふつうの子」なんて無い

私は児童心理カウンセラーの藤原と申します。不登校や引きこもりの子どもたちを専門にサポートをしています。これまで多くの親御さんとお話しする中で、「普通の子」に対する考え方やその先入観が、親子関係や子どもの心にどれほど大きな影響を与えるのかを目の当たりにしてきました。

本稿では、「ふつうの子」なんて無い、という題名のもと、子どもたちの個性や生きづらさを理解し、親としてどう寄り添えるかを掘り下げていきます。


「普通」を求めることの落とし穴

親として、我が子が「普通」であってほしい、特別な問題を抱えず、周囲に馴染み、順調に成長してほしいと願うのは当然のことです。学校に通い、友達と楽しく過ごし、やりたいことを見つけ、将来に向かって歩んでいく姿を思い描くのは自然なことです。しかし、その「普通」という言葉が、時に子どもの苦しみの原因になることをご存じでしょうか。

不登校や引きこもりの子どもたちと接していて感じるのは、多くの場合、子どもたちは自分を「普通ではない」と思い込んでいるということです。「他の子どもたちはみんな学校に行けているのに、どうして自分は行けないのだろう」「自分はダメな子だ」と、子どもたちは自分を責めてしまうのです。そしてその背景には、多くの場合、親や周囲の「普通であってほしい」という期待が影を落としています。

もちろん、親として「普通であってほしい」と願うこと自体が悪いわけではありません。問題は、それが子どもにとって「自分のありのままを否定されている」と感じさせてしまう点にあります。例えば、「学校に行かないなんて普通じゃないよ」「みんなやっているんだから頑張ってごらん」といった言葉は、励ましのつもりでも、子どもにとっては「自分はダメなんだ」というメッセージに聞こえることがあります。

私たちは「普通」という言葉を使う時、その背後にある基準を無意識に社会や周囲の価値観に頼っています。しかし、果たしてその基準は絶対的なものでしょうか?たとえ学校に行けなかったとしても、友達と過ごす時間が少なかったとしても、それはその子にとっての「普通」ではないのでしょうか。

子どもの「生きづらさ」を見つめる

不登校や引きこもりは、単に怠けや反抗心から来るものではありません。むしろ、その多くは子ども自身の「生きづらさ」から生じています。その生きづらさの原因は千差万別です。例えば、学校という環境が持つ画一的なルールや価値観に適応できない場合や、人間関係で傷ついた経験が心の傷となっている場合、あるいは自己評価の低さから新しいことに挑戦すること自体が怖くなってしまう場合などがあります。

これらの生きづらさは、表面からは見えにくいものです。子どもが学校に行きたくないと言ったとき、その理由を「ただ怠けているだけだ」「気分の問題だ」と決めつけるのは危険です。むしろ、「この子は何に苦しんでいるのだろう」「どんな部分が負担になっているのだろう」と子どもの心の内側に目を向けることが大切です。

ある親御さんが、学校に行けなくなった娘さんについて話してくれたことがあります。その子はとても真面目で、先生の期待にも答えようと一生懸命努力していました。しかし、その頑張りが裏目に出て、友達との関係で「自分だけが空回りしている」と感じるようになり、次第に学校への足が重くなっていったのです。親御さんは初め、娘さんが学校に行かないことを「わがまま」だと考えていましたが、よく話を聞いてみると、娘さんは「自分の努力が否定されている」と感じていたことがわかりました。

このように、子どもの心の中には、私たち大人が想像する以上に複雑な感情が渦巻いていることがあります。それを理解するには、まず「子どもは何かに苦しんでいるのではないか」という視点を持つことが必要です。

親としての役割を見直す

では、親としてどのように子どもに接すればよいのでしょうか。答えの一つは、「普通」を押し付けるのではなく、子ども自身のペースや価値観を尊重することです。

ある意味で、不登校や引きこもりは、子どもからの「サイン」と言えます。「私は今、苦しい」「助けてほしい」という声を上げる代わりに、行動でそのメッセージを伝えているのです。親としてそのサインを受け取ったとき、最も重要なのは「この子が何を伝えようとしているのか」に耳を傾けることです。

具体的には、以下のようなアプローチが有効です。

  • 子どもの話を否定せずに聞く。たとえ親としては受け入れがたい内容でも、「この子がどう感じているか」を理解しようとする姿勢が大切です。
  • 子どもの現状をそのまま認める。学校に行けていない現実を否定するのではなく、「今、学校に行けないんだね」と事実を受け入れることで、子どもは少しずつ安心感を取り戻します。
  • 親自身の価値観を見直す。「普通であること」に囚われていないか、「他の子と比べていないか」を振り返ることで、親としての心の余裕が生まれます。

親が変わることで、子どもの感じ方や行動も変わることがあります。「普通であること」ではなく、「その子らしさ」を大切にすることで、子どもは自分自身を肯定できるようになるのです。

「普通」から解放されるとき

最後に、「普通」という言葉を手放すことの大切さについてお話しします。私たちの社会は、多様性を尊重すると言いながらも、どこかで「普通」の枠にはめようとする力が働いています。それは学校という場においても同様です。しかし、「普通」に囚われ続ける限り、私たちは子どもたちが本来持っている個性や可能性を見過ごしてしまう危険性があります。

不登校や引きこもりは、決して「異常」ではありません。それは、その子にとって「自分らしく生きるための過程」であり、「自分自身を守るための手段」なのです。親としてその事実を理解し、子どもの心の声に寄り添うことで、子どもたちは自分の道を見つけ出すことができます。

「普通の子なんてどこにもいない」という言葉は、一見過激に聞こえるかもしれません。しかし、それこそが真実です。すべての子どもは、唯一無二の存在であり、誰かと比較することなく、そのままで価値のある存在です。親も子も「普通」という幻想から解放されることで、新しい視点を得ることができるのです。

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不登校への子への基本姿勢について

不登校への子への基本姿勢についての見出し

私は児童心理カウンセラーとして10年以上、不登校や引きこもりに日々向き合っています。不登校の問題は、単に「放っておけば治る」というものではありません。むしろ、不登校が長引くほど、その状態が子どもの「日常」として定着しやすくなり、元の生活に戻ることがどんどん難しくなってしまいます。そのため、早期に適切な対処を行うことが非常に重要です。

本稿では、不登校が続いた場合に親御さんが取るべき具体的な対処法を解説します。不登校のお子さんを持つ多くの親御さんが、何をすべきか迷い、不安な気持ちを抱えながら日々を過ごしていることでしょう。その心情に寄り添いながらも、実際に役立つ方法をお伝えします。

子どもが「不登校」という状態に至るまで

まず、不登校に至る背景を理解することが大切です。多くの場合、不登校は突然始まるわけではありません。その前兆や原因となる出来事が必ず存在します。それが学業面のプレッシャーだったり、友人関係のトラブル、先生との摩擦、さらには家庭内の環境要因であったりします。しかし学校を休んでいる今、親御さんがすべきことは、その「原因」をあまり深く掘り下げすぎないことです。なぜなら、不登校のきっかけとなったストレスは、実は時間の経過とともに薄れている可能性が高いからです。

例えば、子どもが友達とのケンカが原因で学校に行かなくなった場合、最初の数日はその問題が頭の中で大きく占めているかもしれません。しかし、時間が経てば、その問題自体の影響力は薄れ、今度は「学校に戻ること」そのものへの抵抗感が大きくなります。「自分が学校を休んだことで周囲からどう見られるのか」という不安や、長い休みで勉強が遅れてしまったことへの焦りが新たな障害となるのです。

このため、まず親御さんが子どもに対してできることは、「現在、学校に戻る意思があるか」を率直に確認することです。もちろん、子どもがすぐに素直に答えるとは限りません。その場合は焦らずに、子どもの様子を見ながら丁寧に話を進めていく必要があります。

「学校に行かない」ことが当たり前になる危険性

2週間以上過ぎると、不登校は「一時的な出来事」ではなく「日常」として子どもの中に根付いてしまう危険があります。朝起きて学校に行く代わりに、遅くまで寝ている、好きなテレビやゲームをする、家族の目が届きにくい時間帯にスマートフォンを長時間使う、といった行動が日々の生活リズムとなると、そこから抜け出すことは容易ではありません。学校に行かないことが「楽」と感じられるようになると、「また学校に通い始める」という意識自体が失われてしまいます。

ゲームをする子どものイメージ

この段階で重要なのは、学校に行かないからといって、子どもの生活を過剰に快適にしないことです。例えば、子どもが学校を休む理由を「疲れた」「眠い」といった漠然としたものにする場合があります。このとき、親御さんが「疲れているなら無理しなくていいよ」「眠いなら今日は休んでいいよ」と何度も許容してしまうと、子どもにとって「学校を休む」ことが無条件で許される行動になってしまいます。

不登校中であっても、家庭内で一定の規律を保つことが非常に重要です。具体的には、以下のようなポイントに注意してください。

①起床時間と就寝時間を規則正しく保つこと:平日でも休日でも、朝は同じ時間に起きるように促してください。たとえ学校に行かなくても、生活リズムが乱れると、復帰する際に大きな障害になります。

②自由時間を制限すること:ゲームやスマホの使用時間を明確に区切り、それ以外の時間は勉強や家庭内の手伝いに充てるよう指導してください。

③将来の目標や興味を掘り下げる活動を取り入れること:学校に行けない間でも、子どもが将来の夢や興味を持つ分野について考える機会を作ることは有益です。これにより、「学校で学ぶ意味」を再認識させることができるかもしれません。

学校との連携を密に保つ

不登校が続いている場合、学校との連携が欠かせません。親御さんの中には、「学校に連絡をすると、何か責められるのでは」と感じてしまう方もいます。しかし、学校側にとっても、不登校が続く子どもへのサポートは重要な課題です。担任の先生やスクールカウンセラーなど、専門的な知識を持った方々と情報を共有し、協力することで、より適切な対応が可能になります。

学校との連携で特に効果的なのは、「家庭で進められる勉強やプリント」の提供を依頼することです。勉強の遅れは、子どもが学校復帰をためらう大きな理由の一つです。たとえ子どもが「学校には行きたくない」と言い続けている場合でも、家で少しずつ勉強を進めることで、復帰のハードルを下げることができます。

また、学校側にお願いしたいのは、勉強以外のサポートも含めて具体的な提案をもらうことです。例えば、週に一度だけでも先生と子どもが電話で話をする、オンラインで授業を受けるといった方法が考えられます。これにより、子どもが学校とのつながりを失わずに済みます。

不登校中の甘やかしは長期化を招く

不登校中に「居心地の良い生活」を提供することは、長期化を招く大きな原因となります。「学校に行けないなら、せめて家では快適に」という親心は理解できますが、その結果として、子どもが「不登校であることのメリット」を感じるようになれば、復帰がますます困難になります。

例えば、子どもが「家にいれば好きなことができる」と考えるようになると、学校に戻る意欲を持つ理由が失われてしまいます。これは単なる甘えではなく、人間として当然の心理です。「楽な方を選ぶ」傾向は誰にでもあります。そのため、親御さんが毅然とした態度で、家での生活にも一定のルールを設けることが大切です。

その一方で、甘やかさないことが「叱ること」に直結してはいけません。不登校の子どもに厳しく接するだけでは、かえって心を閉ざしてしまう危険があります。ここで重要なのは、「子ども自身に不登校を解決する力がある」と信じ、その力を引き出すサポートをすることです。

親の心構えが子どもを支える

不登校の解決には時間がかかる場合があります。しかし、その間も親御さん自身が不安や焦りに負けず、冷静に対処することが大切です。親の態度は、子どもにとって大きな影響を与えます。「この子の未来は大丈夫」と信じる気持ちを持ち続けることで、子どもも「自分は受け入れられている」と安心感を持つことができます。

最後にお伝えしたいのは、不登校は子どもの人生における「失敗」ではないということです。不登校の期間を通じて、子どもは何かを学び、親も成長する機会を得ることができます。大切なのは、親子で一緒に問題に向き合い、最善の解決策を模索することです。

関連記事:不登校を長期化させないための5つの行動

関連記事:不登校が1ヶ月以上続いた場合の、家庭で出来る対処法


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不登校の子どもにおすすめ:散歩の効用

散歩の効用イメージ

不登校や引きこもりの問題に直面すると、多くの親御さんは頭を悩ませ、時には途方に暮れることもあるでしょう。「どうすれば、子どもが再び元気を取り戻してくれるのか」「学校に行けるようになるために、親として何をすべきなのか」といった問いが、心の中で堂々巡りすることも少なくないはずです。不登校の要因や背景はさまざまで、単純な解決策はありません。しかし、私が児童心理カウンセラーとして数多くの親子と向き合ってきた経験から言えるのは、ただ手をこまねいて見守るだけでは、問題が改善されることはほとんどないということです。不登校の解決には、子ども自身が新しい刺激を受けたり、小さな成功体験を積み重ねたりすることが必要不可欠です。そして、そのための第一歩となるものとして「散歩」という行動を提案したいと思います。

散歩は、特別なスキルや道具を必要としません。それどころか、今すぐにでも始められる、とてもシンプルな行動です。しかし、その中には、心と身体にポジティブな変化をもたらす多くの可能性が秘められています。本稿では、散歩の持つ三つの大きな効用について詳しくお話ししながら、不登校の子どもとその親御さんが日々の中で取り入れられる実践的なヒントをご紹介していきます。


1. 散歩は「身体のデトックス」になる

まず、散歩の最も基本的な効用である「身体のデトックス効果」についてお話しします。不登校の子どもたちは、自室で過ごす時間が圧倒的に多くなり、運動不足に陥るケースが非常に多いです。動く機会が少ない生活が続くと、心と身体のバランスが崩れ、さらにエネルギーを消耗しやすい悪循環に陥ってしまいます。このような状態にある子どもたちにとって、散歩は、身体を整え、活力を取り戻すための第一歩となるのです。

運動不足が身体に与える影響は、想像以上に深刻です。例えば、長時間座ったり寝転んだりして過ごす生活が続くと、血液の循環が滞り、筋肉が硬くなることがあります。その結果、肩こりや頭痛、倦怠感などの身体症状が現れることがあります。さらに、不登校の子どもたちに共通する悩みとして挙げられるのが「昼夜逆転」の問題です。日中は体を動かさないためエネルギーが消耗されず、夜になっても眠れない。そのため、睡眠のリズムが乱れ、朝起きることができなくなるというサイクルが生まれます。これは、運動不足と深い関係があります。

散歩には、このような身体の不調を改善する力があります。歩くという動作は、私たちの心拍数を自然に上げ、血液の循環を促進します。これにより、体内に溜まった老廃物や余分な水分が排出されやすくなり、むくみやだるさの解消につながります。さらに、散歩は身体の緊張を和らげ、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減少させる効果もあります。これにより、気分が穏やかになり、不安感や落ち込みが軽減されるのです。日々のストレスや不安を抱える不登校の子どもにとって、散歩は心身をリセットするための重要な手段となります。

また、散歩を日課として取り入れることで、昼夜逆転の改善にもつながります。朝の光を浴びながら歩くことで、体内時計が整えられ、自然な形で眠りのリズムを取り戻すことができます。これにより、夜には自然と眠気を感じ、朝スムーズに起きられるようになるでしょう。たとえ数分の短い散歩であっても、毎日続けることで子どもの身体に大きな変化が現れます。

「うちの子は外に出たがらない」という声もよく耳にします。たしかに、最初の一歩を踏み出すことは容易ではありません。その場合は、親御さん自身がまず散歩を始めてみることをお勧めします。子どもがついて来ないとしても構いません。「お母さん、少し歩いてくるね」と声をかけるだけでも、子どもにとっては刺激になります。家族が外に出る姿を目にすることで、子ども自身が徐々に興味を持ち、やがて「少しだけなら」と一緒に歩いてみようと思える日が来るかもしれません。

親御さんが散歩に誘うときには、プレッシャーをかけないことが大切です。「外に出ないとだめだよ」と叱るような言い方ではなく、「ちょっとだけ空気を吸ってみない?」という軽い提案にとどめると良いでしょう。また、最初から長時間歩く必要はありません。近所の道を5分ほど一緒に歩くことから始めても十分です。散歩が楽しいと思えるようになれば、次第にその距離や時間を増やしていくことができます。

このように、散歩には不登校の子どもが抱える運動不足や身体の不調を改善し、心身のバランスを取り戻す力があります。毎日少しずつでも散歩を取り入れることで、子どもたちの身体が元気を取り戻し、学校生活への準備が整っていくのです。

2. 「人の営みを見聞きする」ことで視野が広がる

散歩には、ただ身体を動かす以上の意味があります。それは、外の世界に触れることで「人の営みを見聞きする」機会を得られるという点です。不登校の子どもたちは、日常的に自宅や自室に閉じこもることで、世界との接点を失ってしまうことが少なくありません。その結果、自分の悩みが世界のすべてであるかのように感じ、選択肢や可能性を狭めてしまうことがあります。しかし、散歩というシンプルな行動が、外界との接触を取り戻し、自分の悩みを相対化するための大切なきっかけとなるのです。

たとえば、近所の公園を歩いてみると、そこにはいろいろな人々の営みが広がっています。小さな子どもと遊ぶ親子、ジョギングに汗を流す中高年の人たち、飼い犬と楽しそうに散歩する人――それぞれが自分の時間を過ごし、それぞれの日常を生きています。こうした風景に触れるだけでも、自分が抱える問題が、決して特別なものではないと気づくことができます。自室で一人、自分の考えや悩みの渦に巻き込まれていると、どうしても視野が狭くなりがちです。しかし、散歩を通じて多様な人々の姿を目にすることで、「自分の苦しみだけが世界のすべてではない」と感じられるようになるのです。

ある中学生の男の子の例をご紹介しましょう。その子は、成績のプレッシャーから学校に行けなくなり、半年以上自室で過ごしていました。両親は心配するあまり、何とか外に連れ出そうと必死でしたが、本人は「無理」「どうせ意味がない」と拒否を繰り返していました。そこで、母親が始めたのは、毎朝一人で近所を散歩することでした。子どもを誘うのではなく、自分自身が散歩を習慣にしたのです。朝日を浴びながら歩いて帰ってくる母親の姿を目にして、やがて男の子は「少しだけなら」と一緒に歩くようになりました。

散歩を始めて数週間が経った頃、彼はこう言ったそうです。「散歩していると、他の人たちがみんな何かしているのが分かる。仕事に行く人や、子どもを連れたお母さんとか。みんなそれぞれ悩みとか大変なことがあるんだろうけど、頑張っているんだよね。」この言葉から分かるのは、彼が外の世界に目を向け、自分だけが苦しいわけではないと感じられるようになったということです。

また、散歩中に聞こえてくる人々の会話や生活音も重要なポイントです。たとえば、近所の商店街を歩いていると、お店の人とお客さんの何気ないやり取りや、道行く人の楽しそうな笑い声が耳に入ります。こうした何気ない日常の音は、心の中に新しい風を吹き込む効果があります。不登校の子どもたちは、部屋の中で同じ空気や音に囲まれて過ごすことが多く、それが閉塞感を助長することがあります。しかし、散歩を通じて多様な人々の声や行動を耳にすると、「世界は広い」「まだ自分の知らないことがたくさんある」ということに気づけるのです。

もちろん、初めて散歩に出るときには、子どもにとってハードルが高い場合もあります。その場合は、静かな住宅街や人通りの少ない道を選ぶとよいでしょう。無理に賑やかな場所に連れ出す必要はありません。少しずつ慣れてきたら、公園や商店街など、人々の営みが感じられる場所を散歩コースに加えてみてください。また、子どもが自ら「ここに行ってみたい」と言い出したら、その希望を尊重することも大切です。

さらに、親御さん自身も、散歩を通じて新しい発見を楽しむ姿勢を見せることが重要です。「あそこの花壇がきれいだね」「あのパン屋さん、いい匂いがするよ」など、何気ない話題を子どもと共有することで、散歩の時間が特別なものになっていきます。散歩の途中で気に入ったお店を見つけて、そこで一緒に買い物をしたり、軽くお茶をするのも良いでしょう。そのような小さな楽しみを通じて、外の世界へのポジティブなイメージが育まれていきます。

人の営みを見聞きすることは、不登校の子どもたちにとって、自分の悩みを相対化し、前向きな気持ちを取り戻すための大切なステップです。「外の世界には、自分とは違う生き方をしている人たちがいる」という事実に気づくことで、心の中に余白が生まれ、悩みの渦から少しずつ抜け出すことができるのです。

3. 自然の大きな流れを感じる

散歩のもう一つの大きな効用は、「自然の大きな流れを感じる」という点にあります。不登校や引きこもりの子どもたちにとって、日々の生活は狭い範囲に閉じこもりがちです。家や自室で過ごす時間が長くなるほど、四季の移り変わりや自然の美しさといったものから遠ざかり、「時間がただ過ぎていくだけ」と感じることが増えてしまいます。その結果、閉塞感や無力感が深まり、「今」という瞬間を楽しむことが難しくなります。しかし、自然と触れ合う機会を持つことで、そうした感覚が変わり始めるのです。散歩は、そのための最も身近で手軽な方法の一つです。

自然には、私たちの気持ちを癒し、悩みを和らげる力があります。たとえば、春の散歩では、新緑や満開の桜を目にすることで、冬の間閉じこもっていた命が再び動き始める様子を感じることができます。夏には木陰の涼しさや蝉の鳴き声が、暑さの中にも心地よい静けさを与えてくれます。秋には紅葉の鮮やかな色彩に目を奪われ、冬には冷たい空気の中に漂う凛とした静けさを感じることができます。これらの四季折々の景色は、日常の忙しさや閉塞感から私たちの意識を解き放ち、「今、この瞬間」を五感で味わう時間を提供してくれます。

私が関わったある不登校の中学生の女の子の話です。彼女は、友人関係の悩みから学校に行けなくなり、一日の大半を自室で過ごしていました。部屋のカーテンも閉め切り、季節の変化を感じることもない生活が続いていました。そんな彼女が、母親と一緒に近所の小さな公園を散歩することから、少しずつ心を開いていきました。最初は渋々歩いていましたが、春になると「桜がきれいだね」と言葉を発するようになり、夏には「木陰が涼しくて気持ちいい」と笑顔を見せることも増えました。

その変化のきっかけになったのは、自然の美しさや大きな流れを感じ取ったからだと彼女自身が後に語っています。「自然って、どんなに辛いことがあっても勝手に変わっていくんだよね。私が悩んでても、桜は咲くし、葉っぱは色づく。それを見てたら、悩みすぎるのも馬鹿らしくなるっていうか、今を楽しんでいいんだなって思えた」と言っていました。この言葉は、自然が私たちに与えてくれる力の大きさを物語っています。

また、自然に触れることで、人生の一回性を感じ取ることもできます。私たち人間もまた、自然の一部であり、限りある時間の中で生きています。木々が芽吹き、葉を茂らせ、やがて落葉していくサイクルは、私たちの人生にも重なる部分があるでしょう。どんなに苦しい時期があっても、それは永遠には続かず、必ず次の季節がやってくるのです。このことに気づくと、今の悩みが少し小さく感じられるようになります。

特に不登校の子どもたちは、未来を悲観しがちです。「自分はもうダメだ」「これから何も変わらない」という閉じた思考に陥ることが多いのですが、自然の変化を感じることで、そうした考えに風穴が開くことがあります。目の前に広がる景色が変わり続けることを実感するうちに、「自分の人生もまた、今の状態がずっと続くわけではない」と思えるようになるのです。この気づきは、不登校というトンネルから抜け出すための大きな力となります。

親御さん自身もまた、自然の中で過ごす時間を通じて、子どもとの絆を深めることができます。たとえば、散歩中に見つけた花や虫について話し合ったり、「あの雲の形が面白いね」といった何気ない会話を楽しむことができます。そのようなやり取りを通じて、親子の関係が穏やかになり、子どもにとって安心感を与える場面が増えていきます。そして、親が自然を楽しむ姿を見せることが、子どもにとって外の世界への興味を育むきっかけにもなります。

散歩の魅力は、特別な道具や環境を必要とせず、今いる場所で始められることにあります。たとえ近所の小さな道でも、そこには季節の変化や自然の豊かさが溢れています。子どもが外出に消極的であれば、親御さんが先に始めてみるだけで十分です。「一緒に見に行こう」という誘い方ではなく、親自身が楽しそうに自然を感じている姿を見せることで、子どもが自発的に興味を持つようになることが多いのです。

自然と触れ合う時間は、不登校の子どもたちが「今」を感じ、未来に希望を持つための大切な一歩となります。散歩を通じて、ぜひ自然の大きな流れを感じてみてください。その中で、親子ともに新しい発見や喜びを見つけることができるはずです。

結び

散歩は、不登校や引きこもりに悩む子どもたち、そしてその親御さんにとって、シンプルながらも大きな力を持つ行動です。「身体のデトックス」「人の営みを見聞きする」「自然の大きな流れを感じる」という三つの効用を通じて、心と身体に新たな風を送り込み、閉じこもった状況から一歩を踏み出すきっかけを作ることができます。

散歩は、すぐに効果が現れる魔法ではありません。しかし、親子で一歩ずつ外の世界に触れることで、少しずつ心がほぐれ、次の行動に向かうエネルギーが生まれていきます。どうか焦らず、無理をせず、散歩を日々の生活の中に取り入れてみてください。その小さな一歩が、やがて大きな変化をもたらす種になっていきます。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

親の言葉が子どもに伝わらない訳

親の言葉が子どもに伝わらない訳のイメージ

親として、日々子どもに向き合う中で「どうして伝わらないのだろう」と悩む瞬間は、どんな家庭でも一度は訪れるものです。特に、不登校や引きこもりといった問題を抱える子どもを持つ親御さんにとって、この「伝わらない」という壁は非常に重く感じられることでしょう。「学校に行ってほしい」「少しでも前向きになってほしい」「なんとか状況を改善したい」という思いを込めて言葉をかけているにもかかわらず、その言葉が届いていないように感じられる――その苦しさは私も日々、多くの親御さんから聞いています。

私自身、不登校や引きこもりを専門とする児童カウンセラーとして、親子間のコミュニケーション問題に深く関わってきました。この「言葉が伝わらない」という問題には、多くの原因が複雑に絡み合っています。そして、原因を正確に理解しないまま言葉を投げかけても、状況が好転することは少なく、むしろ親子間の溝を深める結果を招くことさえあります。本稿では、親の言葉が子どもに伝わらない「3つの理由」を掘り下げ、親子のコミュニケーションの質を改善するためのヒントをお伝えします。


理由1:言葉は「そのまま」伝わるものではない

私たちは普段、言葉を交わす際に「相手にそのままの意味で伝わるだろう」と考えがちです。特に、親が子どもに声をかけるときには、その言葉が意図通りに受け取られ、理解されることを当然視してしまうことがあります。けれども、実際には「そのまま伝わる」ことは非常に稀であるという現実をまず理解する必要があります。

言葉のズレ:同じ言葉が異なる意味を持つ

具体例を挙げてみましょう。親が「明日の準備はできたの?」と尋ねたとします。この言葉の中に、親としてはさまざまな意図が込められています。明日の授業のための教科書やノート、筆記用具、そして宿題がきちんと揃っているかどうか――そうした「準備」の全体像が当然のように含まれているはずです。しかし、子どもにとっての「明日の準備」とは、単に「明日学校があることを知っている」程度の認識であったり、カバンを部屋の片隅に置いただけで「準備ができた」と感じてしまうことがあるのです。

親と子どもの間で、このようなすれ違いが起こるのはなぜでしょうか。それは、私たち一人ひとりが「スキーマ」と呼ばれる独自の認識の枠組みを持っているからです。スキーマとは、過去の経験や知識、価値観に基づいて作られる思考のフィルターのようなものです。親と子どもでは、これまでの経験の質や量が大きく異なるため、同じ言葉を聞いてもその解釈が大きくずれることがあります。

スキーマの違いがすれ違いを生む

たとえば、親が「計画を立てなさい」と言った場合を考えてみます。親にとっての「計画」とは、目標を定め、その目標に向けた具体的な行動を段取りよく組み立てることを意味します。一方で、子どもにとって「計画を立てる」とは、「やりたいことをとりあえず頭の中で思い浮かべる」程度の曖昧なものかもしれません。このズレは、子どもの経験値や思考の幅がまだ狭いことに起因しています。

特に不登校や引きこもりの子どもたちは、自分の失敗体験やトラウマから、否定的なスキーマを形成していることが少なくありません。「自分はどうせダメだ」「何をやっても意味がない」という思い込みが強い場合、親がどれだけ励ましや助言をしても、その言葉が肯定的に受け取られることは難しくなります。むしろ、「また怒られるかもしれない」「無理なことを押し付けられる」という恐れの感情が先に立ち、親の言葉が意図した以上にネガティブに受け取られることもあります。

このようなスキーマの違いを理解せずに、ただ「もっとしっかり準備しなさい」「ちゃんと聞いてくれないから伝わらないんだ」と感情的になると、親子間の信頼関係が損なわれる可能性があります。逆に、この違いを理解し、子どもの認識の枠組みに合わせて言葉を選び直すことで、伝わる確率を大きく高めることができるのです。

伝わるためのヒント

言葉がそのまま伝わらないという現実を踏まえた上で、親御さんが意識すべきことがあります。それは、具体的でシンプルな言葉を使い、子どもの認識の枠組みを少しずつ広げていくことです。たとえば、「明日の準備をしなさい」と言うのではなく、「宿題が終わっているか確認してみよう」「明日の授業で使う教科書はカバンに入れた?」といったように、具体的な行動を一つずつ確認する形に変えるだけで、子どもが受け取る情報は大きく変わります。

また、子どもが「準備ができている」という答えを返したときには、「どんな準備をしたのか教えてくれる?」と尋ねることで、子どもの認識を明確にすることができます。このように、具体的で丁寧なコミュニケーションを心がけることが、親の言葉を伝える第一歩となるのです。


理由2:情報の優先順位が違うという現実

親御さんが「重要だから聞きなさい」と一生懸命に伝えているにもかかわらず、子どもはその瞬間にスマホや漫画、ゲームに夢中になっていてまるで話を聞いていない。こんな場面は、多くの家庭で日常的に見られる光景ではないでしょうか。このとき、親御さんは「どうしてこんなに大事な話をスルーできるの?」と感じるかもしれませんが、子どもにとってはその瞬間に夢中になっていることが、親の言葉よりも重要だと感じられているのです。

子どもの優先順位を理解する

なぜ子どもは、親の言葉よりも目の前の楽しみに没頭してしまうのでしょうか?この背後には、子どもの脳の発達段階が関係しています。特に思春期の子どもたちの脳は、感情や欲求を司る部分が非常に活発に働いています。これは、目の前の楽しいことや関心を引くものに対して非常に敏感であることを意味します。反対に、理性や長期的な視点で物事を考える力はまだ未熟なため、「今が楽しければいい」という考え方に引っ張られやすくなります。

たとえば、親が「今のうちに勉強しておけば、将来いい大学に行けるよ」と伝えても、子どもにとって「将来」という概念があまり現実味を帯びていない場合、そのアドバイスはほとんど意味を持たないのです。それよりも、今手にしているスマホゲームや友達とのLINEのほうが、圧倒的に現実的で魅力的に感じられるのです。

親の言葉を優先順位に組み込む工夫

子どもが目の前のことに夢中になり、親の言葉が届かないのは、彼らにとってその言葉が「現時点での優先順位の低い情報」として扱われているからです。この場合、単に大きな声で繰り返したり、子どもが気に入らないことを禁止したりしても、根本的な解決にはなりません。むしろ、親の言葉が「叱責」や「圧力」として認識され、子どもの中でさらに拒絶感を高めてしまうこともあります。

では、どうすれば親の言葉を子どもの優先順位の中に組み込むことができるのでしょうか?その鍵は、「親の言葉を子どもの世界とつなげること」にあります。

たとえば、親が「宿題をやりなさい」と伝えるとき、ただ命令するのではなく、「宿題が終わったら一緒にゲームをしよう」「終わったら夕飯にあなたの好きなデザートを出すね」といった具体的な動機付けを加えることで、子どもの中で宿題の優先順位を上げる工夫ができます。このように、子どもが自然と「やってみよう」と思える状況を作ることが重要です。

叱責よりも共感を優先する

不登校や引きこもりの子どもたちは、そもそもストレスや不安感を抱え、心が疲弊している場合が多いです。そのような状況で親から「なんでやらないの?」「ちゃんと聞きなさい!」と叱られると、子どもはますます心を閉ざし、言葉が届きにくくなります。

ここで大切なのは、まず共感を示すことです。たとえば、子どもが宿題をやらない場合、「どうしてやらないの?」と詰め寄るのではなく、「今日は宿題をやるのがしんどいのかな?」と子どもの気持ちを理解しようとする姿勢を見せることが大切です。こうすることで、子どもは親の言葉を「自分を責めるもの」としてではなく、「自分を理解しようとしているもの」として受け取りやすくなります。

遊びの時間を活用した伝え方

また、親子で一緒に楽しめる時間を増やすことも効果的です。たとえば、ゲームや散歩、料理など、子どもが好きな活動を通じて自然にコミュニケーションを取ることで、親の言葉が「強制的な指示」ではなく「信頼できるアドバイス」として受け入れられやすくなります。

ある不登校の子どもとその親のケースを紹介しましょう。この親御さんは、子どもが学校に行かないことで最初は毎日叱っていました。しかし、親が態度を改め、子どもと一緒に好きなアニメを観たり、料理をする時間を増やした結果、子どもとの関係が改善し、少しずつ学校の話題も受け入れられるようになりました。このように、信頼関係を築くための「一緒に楽しむ時間」は、親の言葉が伝わるための土台になるのです。


理由3:子どもは「自分の世界」に閉じこもる

親の言葉が伝わらない理由の中で、最も厄介なのが「子どもが自分の世界に閉じこもってしまう」状況です。特に不登校や引きこもりの子どもたちは、自分にとって安心できる世界の中で心を守り、外界との接触を避けようとする傾向があります。この「自分の世界」の中にいる子どもたちに言葉を届けるには、単純なコミュニケーションでは足りません。子どもがどのようにしてその世界に閉じこもるようになったのかを理解し、そこに寄り添いながらアプローチする必要があります。

なぜ「自分の世界」に閉じこもるのか?

子どもが自分の世界に閉じこもる理由はさまざまです。学校でのいじめや友人関係のトラブル、学業のプレッシャー、あるいは親とのコミュニケーション不足が原因となることが多いです。このような問題が重なると、子どもは次第に「どうせ自分なんて」と自分を否定する思考に陥り、現実から目を背けるようになります。

特に不登校の子どもたちは、学校という「現実の社会」に直面することが大きな負担となっている場合が多いです。親としては「学校に行きなさい」「友達ともっと話しなさい」と伝えたくなるものですが、そうした言葉は子どもにとって「安全な自分の世界」を脅かすものとして受け取られてしまいます。その結果、親の言葉をさらに拒絶し、ますます自分の世界に閉じこもってしまうのです。

子どもの世界に「入り込む」ために

子どもが自分の世界に閉じこもっている場合、親がその世界の外から言葉をかけても届きにくいことが多いです。ここで重要なのは、親が子どもの世界に「入り込む」ことです。子どもの趣味や興味に寄り添い、それを通じてコミュニケーションを図ることで、徐々に外の世界とのつながりを作っていくのです。

たとえば、子どもがゲームに夢中になっている場合、親がそのゲームの内容を理解し、一緒にプレイすることで会話のきっかけを作ることができます。あるいは、子どもが好きなアニメや漫画について話を聞くことで、「親が自分の世界を理解しようとしてくれている」と感じることができます。このように、親が子どもの世界を受け入れる姿勢を見せることが、次のステップへの足掛かりとなるのです。

小さな成功体験を積み重ねる

自分の世界に閉じこもる子どもたちは、外の世界に対して強い不安感を抱いています。この不安を軽減するためには、小さな成功体験を積み重ねることが効果的です。たとえば、「今日は一緒に学校の近くまで散歩してみない?」といった簡単な提案を通じて、子どもが少しずつ外の世界に触れる機会を作ることができます。

また、子どもが「できた!」と実感できる瞬間を意識的に作ることも重要です。親が一方的にアドバイスするのではなく、「これができたら一緒にお祝いしよう」という形で達成感を共有することで、子どもが外の世界への興味を持つきっかけを与えられます。

自分の世界から抜け出すには時間が必要

最後に強調したいのは、子どもが自分の世界から抜け出すには、必ず時間が必要だということです。親として焦る気持ちは理解できますが、無理に引っ張り出そうとすればするほど、子どもはその世界にしがみつくようになってしまいます。

大切なのは、親が「子どもは必ず変わることができる」という信念を持ち続けることです。そして、子どものペースを尊重しながら、少しずつ外の世界への橋渡しをしていくことが、長期的な解決への道筋となるのです。


親の心構えが「伝える力」を変える

ここまで、子どもに言葉が伝わらない理由と、その背後にあるスキーマや優先順位の違い、自分の世界に閉じこもる心理について解説してきました。しかし、子どもに言葉を届けるために最も大切な要素は、実は「親自身の心構え」です。親の姿勢や考え方が変わることで、同じ言葉であってもその伝わり方が大きく変わるのです。

親として、子どもの未来を案じ、なんとかして良い方向に導こうとすることは当然のことです。しかし、焦りや不安が前面に出ると、その気持ちが言葉に表れ、かえって子どもを追い詰めてしまうことがあります。ここでは、親の心構えを整えるための具体的な方法について考えていきます。

「すぐに伝わる」ことを期待しない

親が言葉を伝える際によく陥りがちな誤解の一つが、「言葉はすぐに伝わるべきだ」という考えです。しかし、子どもが不登校や引きこもりの状態にある場合、その状況に至るまでにさまざまな心の葛藤や問題が積み重なっています。したがって、一度の声かけや説得で状況が変わることを期待するのは現実的ではありません。

ある親御さんの例を挙げます。このお母さんは、不登校になった中学生の息子に対し、「学校に行くことが大事なんだ」と繰り返し説得を試みました。しかし、息子は頑なに耳を塞ぎ、話を聞こうとしませんでした。その後、カウンセリングを通じて、お母さんは「伝わるには時間がかかる」ということを理解し、声かけを少しずつ柔らかいものに変えていきました。結果として、息子は少しずつ心を開き、最終的には親子で学校復帰への道を話し合えるようになったのです。

親の言葉がすぐに伝わらないことは、決して親としての努力が足りないという意味ではありません。むしろ、言葉が届くためには、子どもがその言葉を受け入れる準備が整う時間を待つことが重要です。「時間をかけていい」という意識を持つことが、親自身の心の余裕にもつながるのです。

子どもの視点に立つ努力をする

親の立場から見ると、「なぜこんな簡単なことがわからないの?」と思う場面も少なくないでしょう。しかし、ここで一度、子どもの視点に立って物事を考えてみることが大切です。子どもにとって、親からの言葉がどのように聞こえているのか、どのように感じられているのかを想像してみてください。

たとえば、親が「学校に行くことは将来のために必要だ」と伝える場合、その言葉は親の立場から見れば当然のことです。しかし、学校生活で傷ついた経験を持つ子どもにとっては、「その言葉がまた自分を苦しい場所に戻そうとしている」と感じられるかもしれません。このズレを意識しないまま言葉を重ねると、子どもは「親は自分の気持ちを理解していない」と感じ、ますます距離を取ろうとするでしょう。

ここで大切なのは、「自分が子どもの立場だったらどう感じるか」を意識することです。そして、子どもの感じ方に寄り添いながら、「一緒に考えよう」「どうしたら少しでも楽になる?」といった言葉をかけることで、子どもが安心して心を開けるようになります。

「親が変わる」姿を見せる

子どもにとって、親は最も身近な存在であり、同時に「自分をどう見ているのか」を知るための大きな鏡でもあります。そのため、親自身が変わる姿を見せることが、子どもにとって大きな影響を与えます。

たとえば、親が日々イライラしていたり、感情的になりやすい状況にある場合、子どもはその姿を見て「自分のせいで親がこんなに苦しんでいる」と罪悪感を抱くことがあります。一方で、親が落ち着いており、子どもと向き合う時間を大切にしている姿を見せると、子どもは「自分がどんな状況でも親は自分を受け入れてくれる」と感じられるようになります。

また、親が趣味や楽しみを見つけ、笑顔で過ごす姿を見せることも重要です。不登校や引きこもりの子どもを持つ親は、子どもに対する心配や責任感から自分自身を追い詰めがちです。しかし、親が「自分を大切にする」ことを実践している姿を見せることで、子どもも「自分を大切にしていいんだ」と感じられるようになります。

失敗を恐れない心の余裕を持つ

最後に、親の心構えとして最も大切なのは、「失敗してもいい」という心の余裕を持つことです。不登校や引きこもりの解決には、必ず試行錯誤が伴います。親として一生懸命に取り組んでも、思ったような結果が出ないことも多いでしょう。しかし、それは失敗ではなく、改善への一歩なのです。

たとえば、ある親御さんが、子どもとのコミュニケーションを改善するために毎晩声をかけ続けていましたが、子どもはなかなか反応を示しませんでした。それでも親御さんはあきらめず、別のタイミングや方法で声をかけることを試しました。最終的に、子どもが「親が自分を見捨てずに向き合い続けてくれる」という安心感を得たことで、少しずつ前向きな行動が見られるようになったのです。

親としての努力は、たとえ結果がすぐに見えなくても、必ず子どもに影響を与えています。「失敗してもいい」「またやり直せばいい」と考えることで、親自身も無理なく向き合い続けることができるでしょう。


親子で共に進む道を作る

親の言葉が子どもに伝わるためには、子どものスキーマや心理状態を理解し、共感をもって接することが不可欠です。しかし、何よりも重要なのは、親自身が心の余裕を持ち、子どもの成長を信じながら向き合う姿勢です。

「伝わらない」という現象は、決して親としての失敗ではありません。それは、子どもが自分なりのペースで物事を考え、成長している証でもあります。親子で一歩ずつ進む道を共に作りながら、言葉を通じて信頼関係を深めていきましょう。その先に、親の思いがしっかりと届き、子どもが自分の未来に向けて歩み出す瞬間がきっと訪れるはずです。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

不登校のシグナル、家庭の特徴

不登校のシグナル、家庭の特徴の見出し

私は、不登校や引きこもりの問題に特化した児童カウンセラーとして、多くの親子と向き合ってきました。不登校は「ただ時期が来れば解決する」ものではありません。見守るだけで自然に元気を取り戻すケースはごくわずかで、多くの場合、家庭や学校、そして社会の環境が改善されなければ、子どもたちの心は傷つき続けます。そして、それらの改善は子ども自身が一人で成し遂げられるものではありません。だからこそ、親として、家族として、「気づき」と「具体的なアクション」が求められるのです。

本稿では、不登校に繋がりやすい「3つの家庭の特徴」についてお話しします。不登校を引き起こす原因には、いくつもの要因が絡み合っていますが、その中で特に共通して見られる家庭環境の特徴を取り上げます。あなたの家庭に当てはまる点がないか、一度立ち止まって見直すきっかけにしていただければと思います。

家庭の特徴要点必要な行動
1. 子どもが学校のことを話さない子どもが学校生活の悩みを抱えている可能性が高い。親が関心を持たない態度も原因になり得る。子どもが話しやすい雰囲気を作り、日常的に学校の話題を自然に引き出す努力をする。話を否定せず共感する。
2. 家族で食卓を囲まない食卓を囲む機会が減ると家庭内の会話が減少し、子どもが孤独感を抱えやすくなる。家庭の一体感も失われる。定期的に家族で食卓を囲む時間を作る。食事中はポジティブな話題を選び、テレビやスマホを避けて会話に集中する。
3. 家庭内がピリピリしている親の口論や不一致が日常化すると、子どもが家庭での安心感を失い、自己否定感を持つ原因になる。親同士で教育方針を一致させ、子どもの前で口論を避ける。親が感情をコントロールし、家庭の雰囲気を穏やかに保つ。

特徴1. 子どもが「学校のことを話さない」家庭

まず最初に取り上げたい特徴は、子どもが学校について家庭でほとんど話さないという点です。「うちの子は学校のことを話さないけど、それって普通なんじゃない?」と思われる親御さんも少なくないでしょう。しかし、この「話さない」という現象は、不登校やその予兆を考える上で極めて重要なシグナルであることが多いのです。

背景に潜む問題

子どもが学校について話さない背景には、いくつかの要因が考えられます。

  1. 学校生活に悩みを抱えている
    子どもが学校で辛い思いをしている場合、そのことを親に話したくないと思うのは自然な反応です。「親を心配させたくない」「言ってもどうせ理解してもらえない」「自分の問題は自分で解決しなければならない」など、子どもの心にはさまざまな葛藤が渦巻いています。 特に、小学校高学年から中学生にかけては、友人関係のトラブルや教師との摩擦、成績へのプレッシャーなどが積み重なり、学校生活に居場所を感じられなくなる子どもが増えます。この段階で子どもがその悩みを親に話せていれば、深刻な不登校に発展することを防ぐ可能性が高いのですが、話さないままでいると、心の中にストレスが溜まり続けてしまいます。
  2. 親が学校生活に関心を持っていない
    一方で、親側の無意識な態度が、子どもに「話しても無駄だ」と思わせてしまうケースも少なくありません。「学校で何かあったの?」と声をかけても、親が忙しそうにしていたり、そもそも話を聞く時間を取らなかったりすると、子どもは「どうせ真剣に聞いてくれない」と感じてしまいます。また、親が学校についての話をネガティブに受け止める場合も、子どもは話すことを避けるようになります。 例えば、「そんなの気にすることないよ」「みんな同じだよ」といった言葉。これは、親としては励ましのつもりかもしれませんが、子どもにとっては「私の悩みは重要じゃないんだ」というメッセージとして受け取られがちです。

親としてできること

では、子どもが学校について話さなくなった場合、親としてどのように接するべきなのでしょうか。

  • 話を引き出す努力を惜しまない
    例えば、「今日は何が楽しかった?」とポジティブな切り口で質問することから始めてみてください。また、「学校で困っていることはない?」と、具体的に困り事に焦点を当てるのではなく、軽い雑談の中で学校の話題を自然に引き出すのも効果的です。
  • 話す時間を意識的に作る
    子どもが自然と話せる環境を作るためには、家庭内で一緒に過ごす時間を増やすことが大切です。忙しい日常の中でも、1日のうち少しの時間でも「話せる時間」を設ける意識を持ちましょう。
  • 子どもの気持ちを受け止める
    子どもが勇気を出して話してくれたとき、親として一番大切なのは、その気持ちを否定しないことです。たとえ「大したことがない」と思える悩みでも、「そうだったんだね」と共感する姿勢を見せることで、子どもは安心して話せるようになります。

特徴2. 家族で食卓を囲まない家庭

次に挙げる特徴は、食事が家族でバラバラになっている家庭です。近年の共働き世帯の増加や、子どもの習い事の多様化により、家族揃って食卓を囲む機会が減っている家庭が増えています。一見、食事の時間がバラバラになることはそれほど大きな問題ではないように思われるかもしれませんが、この状況が引き起こす心理的影響は決して軽視できません。

背景に潜む問題

食事が家族バラバラになることで、以下のような問題が生じます。

  1. 家族間の会話の減少
    食事の時間は、本来家族が日常の出来事を共有する大切な時間です。しかし、各自が別々の時間に食事を取るようになると、家庭内でのコミュニケーションが激減します。この結果、子どもが学校や友人関係で感じている不安を話す場が失われ、孤独感を感じやすくなります。
  2. 家庭の一体感の喪失
    食卓を囲むことがない家庭では、家庭全体が「それぞれが別々の生活を送っている」という感覚に陥りやすくなります。子どもにとって、家庭は唯一安心できる「心の拠り所」であるべきですが、その家庭が分断されているように感じられると、学校や社会でのストレスを一人で抱え込むことになります。
  3. 心の余裕の欠如
    忙しさの中で食事が「ただ栄養を取るだけの時間」になってしまうと、親も子も心に余裕がなくなります。これは、イライラしやすくなる、物事を前向きに考えられなくなる、といった形で家庭全体の雰囲気に影響を及ぼします。

親としてできること

食事がバラバラな状態を改善するためには、親が意識的に取り組むことが必要です。忙しい現代社会においては難しい面もあるかもしれませんが、家庭内での食事の時間を大切にすることは、子どもの心の安定に直結します。以下に具体的な提案を挙げます。

1. 「家族全員で食卓を囲む日」を意識的に作る

週に一度でもよいので、「家族全員で夕食を食べる日」を決めてみましょう。その際、テレビやスマホはオフにし、食事中の会話に集中する環境を整えます。例えば、「今日はみんなで好きな料理を作ろう」というテーマを設けると、食卓の時間がより楽しみになります。

  • たとえ短い時間でも、家族が顔を合わせて話すことが重要です。
  • 子どもが話しやすいよう、学校や成績の話題よりも、日常的な出来事や興味のある話題を取り上げてください。

2. 生活スケジュールを調整する努力をする

共働きや塾通いで家族の生活時間がずれている場合でも、食事の時間を共有する努力をしてみましょう。朝食を一緒に取るのも効果的です。
特に、子どもが夕方に帰宅し、親が仕事で遅くなる場合、子どもが親の帰宅時間まで少し待ってでも一緒に夕食を取る習慣を持てると良いでしょう。

  • 無理のない範囲でスケジュールを調整し、「一緒に食事をする」という優先順位を家庭全体で共有することが大切です。
  • 親自身が忙しい場合、休日を利用して食事の時間を補完するのも一つの方法です。

3. 食卓を「ポジティブな場所」にする

もし家庭内で意見の衝突やストレスを抱えている場合、食卓での会話をポジティブな内容にするよう心がけましょう。食事中の空気が緊張していると、子どもは食卓に居づらさを感じてしまいます。

  • 「今日一番楽しかったこと」を家族それぞれが話すルールを作ると、会話が明るいものになります。
  • 子どもの発言に対して「それは面白いね」と興味を示し、否定的な意見は避けるようにしましょう。

4. 手軽に取り組める「家族の食のイベント」を設ける

家族全員での食事が難しい場合でも、「おやつタイム」や「休日のブランチ」など、小さなイベントを取り入れてみてください。例えば、「週末にみんなでパンケーキを作る」「お昼にピクニックをする」といった軽い取り組みでも、家庭の一体感を育むことができます。

  • 「一緒に料理をする時間」は、食卓での会話を自然に増やすきっかけになります。
  • 料理を通じて、子どもが「家族と一緒にいる時間は楽しい」と感じられるようにすると良いでしょう。

5. 親が率先して習慣を見直す

忙しい中で子どもに「一緒に食事をしよう」と強制するのは難しい場合があります。そのため、親自身がまず食事の時間を丁寧に取り、ゆったりとした気持ちで子どもと接するよう心がけてください。

  • 「自分一人でも丁寧に食べる」姿を見せることが、子どもの心に安心感を与えます。
  • 食事中に愚痴や批判を口にしないことで、食卓が「安心できる空間」であると子どもに伝わります。

家庭での食事は、ただ体を養うだけでなく、子どもの心を満たすための大切な時間です。一緒に食卓を囲む習慣が復活すれば、家庭内での会話が増え、子どもの学校生活や心の悩みを共有する機会も自然と生まれます。少しの意識改革が、家庭全体の雰囲気を大きく変えるきっかけとなるでしょう。

食事風景

特徴3. 家庭内がピリピリしている家庭

最後に挙げる特徴は、家庭内の雰囲気がピリピリしている家庭です。不登校の子どもを持つ家庭では、親自身が不安や焦りを抱えることが少なくありません。その結果として、親同士や親子間の関係がぎくしゃくし、家庭全体に緊張感が漂っているケースが見受けられます。この「ピリピリした空気」が子どもに与える影響は非常に大きく、子どもが家庭で安心感を得られない要因の一つになっています。

背景に潜む問題

家庭内がピリピリしている原因としては、次のようなケースが挙げられます。

  1. 親同士の口論が多い
    夫婦間での意見の衝突や口論が日常化している場合、子どもはその影響を強く受けます。特に、子どもの前で頻繁に口論を繰り広げる家庭では、子どもが「自分の存在が家庭の問題の原因なのではないか」と感じることがあります。これは、子どもにとって極めて大きなストレスとなり、自分の価値を否定するような気持ちを抱かせる要因になります。 また、家庭内の争いがエスカレートして暴言や感情的なやり取りが日常化すると、子どもは家庭に安心感を持てなくなり、家庭という場が「ストレスの発生源」にすらなってしまいます。
  2. 親同士の教育方針の不一致
    子どもの教育に関する考え方が親同士で大きく異なる場合、親がそれぞれ異なる要求を子どもに突きつけることがあります。例えば、片方の親が「もっと勉強を頑張れ」とプレッシャーをかけ、もう片方の親が「無理しなくていい」と言うようなケースです。こうした矛盾したメッセージを受け取ると、子どもはどちらの親の期待に応えるべきか分からず、混乱を深めます。 このような状況は、子どものストレスを高めるだけでなく、親自身の間にさらなる摩擦を生み出し、家庭内の緊張感を悪化させます。
  3. 親の感情的な不安定さ
    親が不登校の状況に焦りを感じ、「なぜうちの子だけがこうなってしまったのか」と自分を責めたり、子どもに対して強い不満を抱いたりするケースも見られます。このような感情は、無意識のうちに子どもに伝わります。「また怒られるかもしれない」「親に迷惑をかけている自分はダメなんだ」といった考えに至り、子どもがさらに自分の殻に閉じこもる悪循環を生み出します。

ピリピリした雰囲気が生む影響

家庭内のピリピリ感が続くと、子どもの心にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

  1. 「家に居場所がない」という感覚
    家庭は本来、子どもが外の世界でのストレスを癒やし、安心感を得られる場所であるべきです。しかし、家庭内が常に緊張した空気に包まれていると、子どもは「家にいても休まらない」と感じます。これにより、ますます孤立感を深め、学校や家庭という社会の2大柱から距離を取るようになります。
  2. 感情のコントロールが難しくなる
    ピリピリした雰囲気の中で育つと、子ども自身が感情を安定させる力を失いやすくなります。親の不安定さがモデルとなり、子どももストレスを感じたときに怒りや不安を爆発させることが増えるのです。
  3. 将来的な人間関係の影響
    子ども時代に家庭内の不安定さを経験すると、大人になってからも他者との関係構築に苦労することがあります。信頼関係を築く基盤が十分に形成されないため、「人を信じるのが怖い」と感じることが多くなります。

親としてできること

家庭内のピリピリした雰囲気を和らげるには、親がまず自分たちの行動や感情に目を向けることが重要です。

  • 夫婦間での話し合い
    教育方針の不一致が原因の場合、まず夫婦間で冷静に話し合い、子どもに矛盾したメッセージを送らないようにすることが大切です。どちらか一方が主導権を握るのではなく、双方の意見を尊重し合い、共通のゴールを見つけることが必要です。
  • 感情のコントロールを意識する
    親自身が不安定な状態でいると、それが家庭全体に広がります。心が疲れたときには、自分自身のストレス解消法を見つけることを心がけてください。深呼吸や趣味の時間を持つことでも、心に余裕が生まれます。
  • 子どもの前で口論を避ける
    子どもの目の前で意見の対立を見せるのは避けるべきです。口論になりそうな場合は、一度落ち着いてから話す機会を設けるようにしましょう。子どもにとって家庭が安心できる空間であることを最優先に考えるべきです。

総括:子どもが安心できる家庭を目指して

これまで述べてきた「子どもが学校について話さない」「食事が家族バラバラ」「家庭内がピリピリしている」という3つの特徴には、いずれも共通しているポイントがあります。それは、子どもが家庭という場所で安心感を得られていないということです。

子どもが不登校になった場合、親としては「どうしてうちの子が?」という気持ちが湧き上がり、自分を責めたり、子どもに対して怒りを感じたりすることがあるかもしれません。しかし、まず最初に意識してほしいのは、子どもが何を感じ、何を必要としているかを理解する努力をすることです。

不登校の背景にはさまざまな要因が絡み合っていますが、家庭が「安全基地」である限り、子どもは再び外の世界に向き合う力を取り戻せる可能性があります。そのためには、以下の3つを意識することが大切です。

  1. 子どもの気持ちを受け止める
    子どもが何かを話そうとしたとき、親としてその気持ちを全力で受け止めることが重要です。アドバイスをする前に、まず子どもの話に耳を傾ける姿勢を持ちましょう。
  2. 家庭内のコミュニケーションを大切にする
    忙しい毎日の中でも、家族揃って過ごす時間を意識的に作りましょう。特に食事の時間は、家族全員が顔を合わせ、日々の出来事を共有する貴重な機会です。
  3. 親自身の心の余裕を持つ
    親がストレスを抱えすぎると、その影響が家庭全体に及びます。自分を追い詰めすぎず、時には助けを求めることも必要です。

子どもが家庭で「受け入れられている」と感じることが、不登校を乗り越える第一歩となります。この文章が、家庭を見直し、子どもに寄り添うためのヒントとなれば幸いです。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

不登校は、つらい

不登校はつらいことのイメージ

不登校。それは、親にとっても子どもにとっても、日常を大きく揺るがす出来事です。「学校に行けなくなった」という事実に直面すると、多くの親御さんは動揺し、心のどこかで「どうしてこんなことに」と自問自答を繰り返すのではないでしょうか。特に母親である方々は、その責任感の強さから、「自分の育て方が悪かったのではないか」と自分を責めることが多いと感じます。

周囲の人からは「学校くらい行かせたらいいのに」「甘やかし過ぎなんじゃないの」といった無責任な言葉を投げかけられることもあるかもしれません。けれども、そういった表面的な理解のない言葉は、かえって親御さんの心を深く傷つけ、孤立感を増幅させるものです。

私は、これまで不登校や引きこもりの相談を専門に扱ってきた児童心理カウンセラーとして、数多くの親御さんとお話しし、子どもたちと向き合ってきました。その経験から、不登校という現象が単純な問題ではないことを痛感しています。そして、不登校のつらさは、一歩引いて「社会の問題」として見ることで、少しずつ明確な解決の糸口が見えてくることをお伝えしたいと思っています。

本稿では、不登校がもたらす親御さんの苦しみとその本質に触れながら、「つらい」と感じることを否定せず、次のステップに進むための道筋を示していきます。


①「脱落者のように見える子ども」という苦しみ

不登校の子どもを持つ親御さんの中には、無意識のうちに「わが子が社会から脱落してしまったのではないか」と感じる方も多いのではないでしょうか。周囲の子どもたちが当たり前のように学校に通い、部活動や習い事を楽しむ姿を見るたびに、胸を締めつけられる思いを抱えている方もいらっしゃるでしょう。

特に日本社会では、「学校に行くことが子どもの仕事」とされる考え方が根強くあります。そのため、学校に通えなくなった子どもは、「ルールから外れた存在」として見られがちです。親御さん自身も、どこかで「学校に行かせられない自分の責任」と感じ、世間からの目を過剰に気にすることがあります。

しかし、ここで考えたいのは、果たして学校に通うことだけが子どもにとっての一つの正解なのでしょうか。年間30万人以上の子どもが不登校になる現代の日本では、学校というシステムがすべての子どもに適応していないという現実があります。それは子ども個人の能力や性格に問題があるのではなく、むしろ現代の学校が、多様な子どもたちに対応しきれていない「構造的な問題」だと言えます。

「脱落者」というラベルを貼ることは、子どもの未来を狭めてしまうだけです。学校以外の環境や学び方、成長の仕方は無数に存在します。学校に戻ることを目標にするにしても、「学校が唯一の道」と思ってしまうことは強迫観念や子どもへのプレッシャーに繋がる恐れがあります。

ただし、学校が現在の日本の中では最も効率的で経済的な教育の場であることは事実です。矛盾しているようですが、フリースクールなどの安易な言葉に飛びつくことは、必ずしも最適な道とは限りません。

②「親の教育不足」と見られる苦しみ

不登校を経験すると、多くの親御さんが「自分の育て方が悪かったのではないか」と責められるような感覚にとらわれます。友人や親戚、学校の先生、時には近所の人たちからも、「どうして学校に行かないの?」と聞かれることもあります。その言葉に直接的な悪意がなかったとしても、それを耳にするたびに、親としての自信を削り取られるような気持ちになるものです。

特に母親に向けられる「教育不足」という視線は、非常に根強いものがあります。「もっと厳しく育てるべきだったのかもしれない」「自分の甘さが子どもをこうさせたのではないか」という思いが頭をよぎることは、決して珍しいことではありません。しかし、この考え方こそが、親御さんを精神的に追い詰め、不登校の解決をより困難にしてしまう要因の一つなのです。

ここで知っていただきたいのは、不登校が家庭の教育方針だけで決まるものではないということです。学校での人間関係、学習内容の過密さ、社会のストレスなど、子どもを取り巻く環境は非常に複雑です。不登校を引き起こす原因は、一つではなく、多くの場合、さまざまな要因が絡み合っています。

不登校の原因を解き明かすためには、親御さん自身が「教育不足」という枠組みから解放される必要があります。不登校は、特定の親の失敗ではなく、現代社会の課題そのものなのです。そのため、親御さんがまず自分を責めることをやめ、冷静な視点で問題を捉えることが、不登校克服の第一歩となります。

③「生活が子どもで占められる」という現実

不登校になると、子どもが学校に通っている時間に当たり前のようにできていたことが、すべて変わります。仕事をしている親御さんは、出勤時間の調整や在宅勤務への切り替えを迫られることもあるでしょう。専業主婦の方でも、子どもの不登校が家事やプライベートな時間に大きな影響を与えることは避けられません。

さらに、子どもが落ち込んでいるときには、どのように接して良いのか分からず、家全体の雰囲気が重苦しくなりがちです。子どもの気持ちを考えすぎるあまり、親御さん自身も精神的に疲弊してしまうことが少なくありません。「もうどうしていいか分からない」という状態に陥る方も多いのが実情です。

このような状況で、親御さんが自分の生活や感情をすべて子どもに合わせることは、必ずしも良い結果を生むとは限りません。むしろ、親が自分の生活を犠牲にし続けることで、かえって家庭全体のバランスが崩れてしまう場合もあります。子どもも、親の疲れた顔を見るたびに罪悪感を感じ、さらに心を閉ざしてしまう可能性があります。

このようなときに大切なのは、親御さん自身が心と生活の余裕を取り戻すことです。信頼できる家族や友人に相談する、カウンセリングを受ける、時には短時間でも一人の時間を作るなど、親自身が自分のケアを怠らないことが重要です。「親もつらい」という気持ちを周囲に認めてもらいながら、少しずつ問題に向き合うためのエネルギーを蓄えていくことが必要なのです。


つらさを認めたうえで、動き出す

ここまで、不登校の家庭が抱えるさまざまなつらさについてお話ししてきました。外から見えにくいこれらの苦しみを軽視することなく、まずは「つらいものだ」と認めることが大切です。周囲からの無責任な言葉に耳を貸さず、自分の感情を否定しないでください。

しかし、不登校の現実に向き合うとき、ただ嘆くだけでは何も変わりません。1週間、1ヶ月、1年と時間が過ぎる中で、状況が少しずつ悪化してしまうケースも少なくありません。そのため、つらさを受け入れたうえで、親子で一緒に少しずつ動き出すことが重要です。

たとえば、子どもが学校に通うことを最終目標とするのではなく、「どんな環境なら安心して過ごせるのか」を一緒に考えてみることが効果的です。フリースクールやオンライン学習など、選択肢を広げることで、子ども自身も「自分にはまだ道がある」と感じられるようになります。

また、学校側との話し合いも欠かせません。担任の先生やスクールカウンセラーと連携しながら、子どもの状態に合わせた対応を模索していくことが、長期的な解決につながります。

不登校は、決して簡単に解決できる問題ではありません。しかし、親御さんが自分を責めるのをやめ、周囲の支援を受け入れながら、子どもの個性に合った解決策を模索していくことで、少しずつ前進していくことができます。

「つらい」という感情を否定せず、そのうえで、親子で新しい道を歩む決意を持つ。それが、不登校という試練を乗り越えるための大切な一歩です。

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自閉症と診断された子どもへの不登校対策

自閉症と診断された子どもに向けた不登校対策の見出し

自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された子どもたちは、その独特な感性や考え方ゆえに、学校生活において困難を抱えることが少なくありません。その結果、不登校という形でその困難が表面化することがあります。しかし、不登校は単なる「学校に行きたくない」という一言で片付けられるものではありません。その背後には、本人が抱える深い不安、自己肯定感の低下、さらには環境とのミスマッチが潜んでいます。

私は児童心理カウンセラーとして、これまで多くの不登校の子どもたちと向き合ってきました。その中で感じるのは、ただ「見守るだけ」では、子どもが抱える問題の根本に気づかないまま、時間だけが過ぎてしまうこともあるということです。特に自閉症の特性を持つ子どもたちの場合、その特性に応じた適切なアプローチが不可欠です。
本稿では、自閉症と診断された子どもが不登校に陥った場合に、親ができること、そして環境として提供できるサポートについて具体的に述べていきます。

自閉症の特性が学校生活に与える影響

自閉症スペクトラム障害の特性は、社会性の発達の違い、コミュニケーションの苦手さ、そして感覚過敏や興味の偏りなど、多岐にわたります。これらの特性は、学校という集団生活において顕著に影響を及ぼします。

例えば、授業中に周囲の子どもたちが笑い合う声や教室に響くざわめきが、耳を覆いたくなるほどのストレスを引き起こすことがあります。さらに、教員や友人とのコミュニケーションにおいて、表情やニュアンスを読み取ることが難しい場合、誤解される場面も少なくありません。こうした日々のストレスや挫折感が積み重なった結果、「もう学校に行きたくない」と子ども自身が心を閉ざしてしまうのです。

特に、小学生や中学生という多感な時期には、周囲からの評価や仲間意識が重要な意味を持ちます。しかし、自閉症の特性を持つ子どもたちは、自分をうまく表現できず、その結果「変わった子」「空気が読めない子」として距離を置かれてしまうこともあります。親としては、こうした子どもの状況を的確に把握し、「何が学校で起こっているのか」を一緒に探る必要があります。

親が最初にすべきこと:「見守る」から「理解する」へ

不登校に陥った子どもを前に、多くの親御さんが最初に抱く感情は、驚きや混乱です。そして、「子どもを信じて、学校に行けるようになるまで見守ろう」と思う方も多いでしょう。しかし、不登校が始まったばかりの段階で、ただ見守るだけでは状況が悪化することがあります。

自閉症の特性を持つ子どもたちは、自分の気持ちを言葉にするのが得意ではありません。そのため、不登校という行動の裏に隠された原因を言語化することが難しいのです。このとき、親が「ただ待つ」のではなく、「なぜこの子は学校に行きたくないのか」を具体的に考える姿勢を持つことが重要です。

例えば、子どもの口から「友達が怖い」といった言葉が出た場合、それを表面的な問題として捉えず、深掘りして考える必要があります。「友達が怖い」という言葉の裏には、次のような理由が隠れていることがあります。

  • 過去に些細なことでからかわれた経験がトラウマになっている。
  • 友達と会話する際に、適切なタイミングで話を切り出せず、孤立感を感じている。
  • そもそも友達の言葉の意味を正確に理解できず、誤解が生じている。

こうした理由を特定することで、適切な支援策を講じることが可能になります。

学校との連携:情報共有と環境調整の重要性

自閉症の特性を持つ子どもが不登校になった場合、学校との密な連携が欠かせません。しかし、ここで一つ強調したいのは、「学校任せ」にしないということです。学校側も、自閉症の特性に関する専門的な知識を十分に持っているとは限らないため、親が積極的に情報を提供し、協力を求める必要があります。

例えば、以下のような情報を学校と共有することで、子どもにとって安心できる環境を整えることができます。

  • 子どもの感覚過敏や特定の状況で感じるストレスについて。
  • 子どもが安心して過ごせるスペースや時間について。
  • コミュニケーションが苦手な場面での適切なサポート方法。

また、学校の環境を調整するために、以下のような工夫が有効です。

  1. リフレッシュルームの活用
     感覚過敏を持つ子どもにとって、休憩できる専用のスペースを設けることは非常に効果的です。こうしたスペースで一定時間リセットできることで、教室に戻るエネルギーが回復します。
  2. 特別支援教室の利用
     場合によっては、特別支援教室で学ぶことで、学習のペースを調整したり、少人数環境で安心感を得られることもあります。
  3. 個別対応プランの作成
     学校側と協力して、子どもにとって無理のないスケジュールや目標を設定することが重要です。

家庭での支援:安心感と挑戦のバランス

家庭は子どもにとって最も安心できる場所であるべきですが、同時に、適度な挑戦を与える場でもあるべきです。ここで重要なのは、「安心感」と「挑戦」のバランスを取ることです。

例えば、不登校が続いている子どもに対して、「次の日曜日に一緒に近所の公園に行こう」というような小さな目標を提案することが考えられます。このような目標を達成することで、子どもが「自分にもできる」という自己肯定感を少しずつ取り戻していくことができます。

また、自閉症の特性を持つ子どもにとっては、日々の生活リズムを整えることも非常に重要です。不規則な生活は、不安感を増幅させ、不登校の状況を悪化させる原因となり得ます。例えば、以下のような工夫を取り入れると良いでしょう。

  • 毎日同じ時間に起床し、食事を摂る習慣を作る。
  • 1日のスケジュールを視覚的に示し、次に何をするのかを明確にする。
  • 不安を感じたときにリラックスできる方法(深呼吸やお気に入りの音楽を聞くなど)を一緒に探す。
子どもとのハグのイメージ

カウンセリングの活用:第三者の視点からのアプローチ

最後に、不登校が長期化している場合や、親子だけでは解決が難しいと感じた場合には、カウンセリングを活用することをお勧めします。カウンセラーは、第三者の視点から問題を整理し、子どもや親にとっての適切な解決策を提案します。

カウンセリングの中では、子どもが自分の感情を表現しやすい方法(絵や言葉、行動など)を用いることができます。また、親自身が抱える不安や葛藤についても話すことができ、子どもとの向き合い方を見直すきっかけになることもあります。

おわりに

自閉症と診断された子どもが不登校になる背景には、多くの要因が絡み合っています。その中で、親が子どもの特性を理解し、適切な環境を整えることが、最も重要な第一歩です。そして、そのプロセスにおいては、「ただ見守る」だけではなく、積極的に動き出す勇気が求められます。

不登校という状況はつらい状況ですが、それをきっかけに子どもの特性や本質を深く知ることで、親子関係がより強固なものになる可能性も秘めています。一緒に解決策を見つけていくことで、子どもにとって安心できる未来を築いていく可能性を諦めないでください。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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親の愛情の過不足は、子どもが決める

親の愛情の過不足は、子どもが決めることのイラスト

「こんなに愛しているのに、どうしてこの子はわかってくれないのだろう?」

不登校や引きこもりの子どもを持つ親御さんが抱える苦悩の中で、このような問いは決して珍しいものではありません。愛情を注いでいるという自負もある、子どもを思い、学校に戻れるよう願っている。それでも、子どもの心が離れていく感覚に戸惑い、時に親自身が深く傷ついてしまう。

私は、不登校や引きこもりの相談を専門とする児童心理カウンセラーとして、長年こうした親子と向き合ってきました。その中で感じるのは、親の愛情と子どもの反応がすれ違う瞬間にこそ、問題の根が隠れているということです。そして、そのすれ違いは単純な誤解ではなく、「親の愛情の過不足」が原因であることが少なくありません。

親の愛情は、いわば自転車の補助輪です。子どもが自分でバランスを取り、漕ぎ出せるようになるまで支えるもの。しかし、その補助輪がいつまでも外れなかったり、反対に早々に外されてしまったりすると、子どもは転び、立ち上がる力を失ってしまうかもしれません。では、どうすれば適切なタイミングで補助輪を調整できるのでしょうか?

本稿では、親の愛情が子どもにどう影響を与えるのか、そしてその愛情をどう調整すべきかについて考えていきます。子育てに悩む親御さんにとって、新たな気づきと視点を提供できることを願っています。


愛情の形が子どもを縛るとき

母親の苦悩

Aさんは、私のカウンセリングルームを訪れたとき、目に涙を浮かべながらこう話しました。

「私は、この子が赤ちゃんの頃から、全力で愛してきたつもりなんです。でも、中学生になったあたりから反抗的になり、ついに学校に行けなくなりました。どうして、私の愛情が届かないのでしょうか?」

Aさんの言葉には、自分の子育てに対する自信と、それが否定されたように感じる痛みが滲んでいました。彼女の息子さんは、中学2年生。成績優秀で、小学生の頃までは親の期待に応えるように頑張っていました。しかし、成長するにつれ、母親の言葉に素直に従わなくなり、最終的には学校に通えなくなってしまったのです。

「私は悪い母親だったのでしょうか?」と問いかける彼女の姿は、私の心に深く刻まれました。しかし、この問いの裏には、ある重要なすれ違いが隠れていました。それは、「親が注ぐ愛情の形」と「子どもが求める愛情の形」が違っていたことです。

愛情の過剰が子どもを追い詰める

Aさんは、息子が小さい頃から「この子の将来を思って」という言葉をよく口にしていました。宿題をきちんとやらせ、習い事にも通わせ、テストの結果を確認して次のステップを考える。いわゆる「熱心な母親」でした。しかし、息子さんにとって、この「熱心さ」は次第にプレッシャーとなり、自分の気持ちを押し殺す習慣を生むきっかけとなっていたのです。

息子さんが学校に行けなくなった背景には、「親の期待に応えることでしか、自分の価値を証明できない」という考えが根付いてしまったことがありました。親が愛情をもってサポートしていたつもりでも、子どもはその愛情を「自分を支配するもの」と感じることがあります。

不足する愛情がもたらす孤独

愛情不足の家庭環境

一方、別のケースでは、愛情の不足が子どもを不登校に追いやる要因になった例もあります。Bさんの家庭では、両親共働きで多忙を極めていました。小学生の娘さんは、学童保育に通いながら、一人で過ごす時間が多かったと言います。

娘さんは次第に「お母さんが忙しいのは仕方がない」「自分が手のかからない子でいれば、迷惑をかけずに済む」と考えるようになりました。これが表面化したのは中学生になってからでした。「学校に行きたくない」という言葉は、実は「自分は愛されているのか?」という問いだったのです。

子どもの孤独感

子どもが「自分は親から注目されていない」と感じると、心に孤独感が生まれます。特に思春期の子どもは、自分の存在価値を親からの愛情を通じて確認しようとするものです。この孤独感が蓄積すると、やがて心が萎縮し、社会に向かう力が失われてしまいます。

Bさんの娘さんは、最終的に「学校に行けない」と自分の状況を言葉にできるようになるまで、多くの時間を費やしました。その過程で彼女は「親に迷惑をかける自分」を嫌い、ますます内向的になっていったのです。

愛着障害という目に見えない影響

愛情の過不足が長期間続くと、子どもの心に「愛着障害」という深刻な影響が生じることがあります。愛着障害は、幼少期に親との安定した信頼関係が築かれなかったことによって生じる心の問題です。

愛着障害が生む困難

愛着障害を持つ子どもは、次のような特徴を示すことが多いです。

  • 他者に対する強い不信感
  • 過度な自己防衛
  • 対人関係の構築が困難
  • 自己否定的な思考

例えば、C君は、小学生の頃から親との関係が不安定でした。母親は、彼が幼少期に育児ノイローゼを経験し、彼との距離を取ることが多かったと言います。その結果、C君は「自分は誰からも愛されていない」と感じるようになり、不登校だけでなく、クラスメイトとの交流にも問題を抱えるようになってしまいました。

親子の愛情のイメージ

子どもの声に耳を傾ける

愛情の過不足に気づくためには、親が子どもの声に耳を傾ける姿勢が必要です。しかし、子ども第四章:子どもの声に耳を傾ける

親が子どもの愛情の「適量」を見極めるために、何より重要なのは「子どもの声に耳を傾けること」です。しかし、子どもの声とは、必ずしも言葉として分かりやすい形で発せられるものではありません。むしろ、態度や行動の変化、時に沈黙さえも、親へのメッセージである場合が多いのです。

子どもが発する「見えない声」

親の愛情が適切でないとき、子どもは無意識のうちにサインを発します。たとえば、不登校や引きこもりという行動自体も、実は「自分を見てほしい」「自分の気持ちに気づいてほしい」という叫びであることが少なくありません。

中学1年生のD君は、学校に行きたくない理由を何も話さず、部屋にこもるようになりました。親御さんが心配して声をかけても、「うるさい」と言って顔を背けてしまう。両親は、「この子は何も考えていないのではないか」と不安になり、時には怒りを爆発させてしまいました。

しかし、D君が実際に感じていたのは、「自分の気持ちを分かってもらえない」という孤独感でした。母親が「学校に行きなさい」と繰り返すたびに、「自分の苦しさに気づいてくれない」という思いが膨らみ、彼はますます心を閉ざしていったのです。

子どもの態度や行動に隠れた意味

子どもが発する「声」をキャッチするためには、親は子どもの態度や行動の背景にある感情を想像する必要があります。例えば、以下のような行動が見られた場合、それは子どもの心の叫びである可能性があります。

  • 親の顔色を伺う
    「自分が親に負担をかけているのではないか」と感じ、親を怒らせたくないと考えている可能性があります。これは、愛情が過剰になりすぎてプレッシャーを与えているサインです。
  • 些細なことで嘘をつく
    「親の期待に応えられない自分を隠したい」という気持ちが背景にあるかもしれません。子どもがこうした態度を取る場合、親が「完璧」を求めすぎていないかを振り返る必要があります。
  • 何を聞いても無反応である
    親の愛情が不足し、関心を向けられていないと感じている可能性があります。「どうせ何を言っても無駄」と思い、表現を諦めてしまっている場合もあります。

これらの行動が見られるとき、親としての対応を変えるタイミングだと受け止めることが大切です。

沈黙の時間も「耳を傾ける」姿勢

子どもがすぐに本音を話さない場合もあります。しかし、無理に言葉を引き出そうとするのは逆効果です。むしろ、親が「話してもいい」「話したくなったらいつでも聞くよ」という雰囲気を作ることが、子どもの心を開く第一歩となります。

例えば、D君のケースでは、母親が「学校に行かなければ」という焦りを一旦手放し、「お母さんはただ、あなたが元気でいてくれるだけで嬉しいよ」と声をかけました。それを聞いたD君は最初こそ反応を示しませんでしたが、しばらくしてから「ちょっとだけ話してもいい?」と切り出し、学校で感じていたストレスや不安を打ち明けてくれました。

このように、子どもの沈黙の時間も「耳を傾ける」一環として受け入れる姿勢が、親子関係を改善するための鍵になります。

愛情の調整は双方向の対話から

親が子どもの声を聞き取ろうとすることは、愛情の調整に直結します。そして、調整とは「子どもの声を受け止めた上で、親も自分の気持ちを正直に伝えること」です。

例えば、「あなたのためを思ってあれこれ言ったけど、少し押し付けすぎてしまったかもしれないね」と素直に話すことで、子どもは「親も自分を理解しようとしている」と感じます。こうした双方向の対話が愛情のバランスを整える基盤となります。

子どもが安心して話せる環境を

最後に重要なのは、子どもが「自分の気持ちを話しても大丈夫だ」と感じられる環境を作ることです。これは、親が無条件の愛情を示すことによって初めて可能になります。子どもが間違えたり、学校に行けなかったりしても、それを責めるのではなく、「どんなあなたでも愛している」というメッセージを伝えることで、子どもは親に心を開くことができるのです。

「子どもの声に耳を傾ける」というのは、単に「話を聞く」こと以上に、子どもの感情やサインを受け取り、そこから愛情を再調整するプロセスそのものです。そのプロセスがあって初めて、親子の愛情は互いにとって適切な形へと進化していくのです。

最後に:愛情のバランスを模索し続ける

結局のところ、「親の愛情の過不足は、子どもが決める」という言葉が示すように、愛情は一方的に与えるものではなく、双方向で形を変えるものです。親として完璧である必要はありません。大切なのは、子どもの反応に目を向けながら、愛情を調整する努力を続けることです。

そして、一人で悩まないことを心に留めてください。専門家や信頼できる仲間とともに、子どもとの未来を切り開いていくのです。親子で共に成長する道を歩み続けましょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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スマホ制限を子どもにどう伝えるか

スマホ制限を子どもにどう伝えるか、を考える

スマホとの付き合い方が子どもの未来を左右する

「スマホは便利な道具ですが、同時に子どもの健康や生活習慣、そして学びの基盤を大きく左右する存在でもあります」と言うと、多くの親御さんがうなずかれるでしょう。確かに、連絡手段や学習ツールとしてのメリットは計り知れません。しかし、スマホが子どもの生活に与える影響は、単なる便利さにとどまらず、深刻な問題を引き起こすことがあります。

私は、日々不登校や引きこもりの相談を受ける中で、スマホの過剰使用がその一因となっているケースを数多く目の当たりにしています。不登校の要因は複雑で、単一の原因で語ることはできませんが、「生活習慣の乱れ」や「昼夜逆転」のきっかけとしてスマホが大きく影響していることは明らかです。

この随筆では、スマホ制限をどのように子どもに伝え、実践すればよいのかについて考えます。特に、健康や学び、不登校との関連性を中心にお話ししながら、子どもからの反発にどう対応すればよいか、親としての適切なアプローチを提案していきます。


子どもの生活習慣と健康を守るための第一歩

まず、スマホの過剰使用がどのように生活習慣を乱すかを考えてみましょう。多くの子どもが、夜遅くまでスマホを操作することで睡眠時間が削られ、翌朝起きられない状態に陥っています。これが繰り返されると、昼夜逆転の生活が定着し、学校に行けないという結果を招くのです。

睡眠不足が子どもに与える影響は、単なる「眠い」という状態にとどまりません。注意力や集中力の低下、学習能力の減退、さらには免疫力の低下まで引き起こします。このような状況に陥れば、学校生活においてさらに困難を抱え、不登校へとつながる悪循環が始まります。

こうした問題を未然に防ぐためには、生活習慣の基盤をしっかりと築く必要があります。そのためには、スマホの使用時間を制限し、適切なルールを設けることが不可欠です。

スマホが引き起こす不登校の要因

不登校の相談を受ける中で、私はスマホが直接的または間接的な要因となるケースに何度も出会いました。

例えば、SNSでのトラブルやオンラインゲームの依存が原因で学校生活への意欲を失うケースが挙げられます。SNSは一見、友人とのつながりを強めるツールのように思えますが、同時に「誰かと比べる」「見えないプレッシャーを感じる」という負の側面を持っています。これにより、精神的なストレスを抱え込む子どもが少なくありません。

また、オンラインゲームは瞬間的な達成感を得られる一方で、長時間に及ぶプレイが学業や生活のリズムに悪影響を及ぼします。一度「ゲームの世界が居心地がいい」と感じてしまうと、現実の学校生活に戻るハードルがますます高くなります。

こうした状況に陥った場合、ただ「スマホをやめなさい」と叱るだけでは解決しません。むしろ、子どもを追い詰めてしまい、親子関係を悪化させる可能性さえあります。

子どもの反発を予測する

「どうしてスマホを使っちゃいけないの?」「友達とつながることは悪いことなの?」子どもは必ずと言っていいほど、こうした反発を口にするでしょう。特に思春期に差し掛かったお子さんは、自分の自由を侵害されたと感じ、感情的になることも珍しくありません。

子どもの反発にどう対応すればよいのでしょうか。それには、親が冷静さを保ち、子どもの心情を理解しながら対話を重ねることが大切です。子どもにとって「スマホ=友達との大切なつながり」となっている以上、親が一方的に「悪いからダメ」と決めつけても、納得させることは難しいのです。

この段階で重要なのは、制限の理由を具体的に伝えることです。「健康を守るため」「学校生活を大切にするため」という目的を子どもに理解させることが、スマホ制限を受け入れさせる鍵となります。


スマホ制限を実践するための具体策

前章では、スマホが子どもに及ぼす影響と反発への理解について触れました。この章では、実際にスマホ制限をどのように導入し、効果的に進めていくかについて具体的な方法をお伝えします。

1. ルール作りは親子で行う

スマホの利用を制限するためには、親が一方的にルールを押し付けるのではなく、子どもと一緒にルールを作ることが重要です。このプロセスを通じて、子ども自身が納得感を持ち、ルールを守りやすくなります。

具体的には、以下の手順を試してみてください。

  1. ゴールを共有する
    まず、「スマホの使い方を改善することで、健康的な生活を送る」「学校生活をスムーズに進める」という共通の目的を子どもと話し合います。子どもにとっても意味のあるゴールを見つけることで、協力的な姿勢を引き出すことができます。
  2. スマホの利用実態を把握する
    子どもが現在どのくらいスマホを使っているのか、どんなアプリやサービスを利用しているのかを一緒に確認します。これをベースに、無理のない範囲での制限を設定します。
  3. 具体的なルールを決める
    例えば以下のようなルールを話し合いながら決めていきます:
  • スマホを使っていい時間帯(例:20時以降は使用禁止)
  • 使用時間の上限(例:1日2時間まで)
  • 勉強や家族との時間を優先する条件(例:宿題が終わったら30分間使用可能)

ルールは「守らなければ罰がある」という形ではなく、「守ると何か良いことがある」というプラスの要素を盛り込むと効果的です。

2. ルールを実践するための工夫

ルールを決めたあと、次に重要なのはそれをいかに実践し、継続するかです。ここでは、実際に役立つ工夫をいくつかご紹介します。

1. スマホ管理アプリの活用
家庭用のスマホ管理アプリを活用することで、使用時間の制限や特定アプリのブロックを簡単に設定できます。これにより、「親が直接監視する」プレッシャーを軽減し、ルールを守りやすい環境を作ります。

2. スマホを使わない時間を楽しく過ごす代替案を用意
「スマホをやめなさい」ではなく、「スマホを使わない時間をこう過ごそう」と提案することがポイントです。家族での会話や外出、子どもが興味を持てる趣味を一緒に探してあげるとよいでしょう。

3. 親自身もルールを守る
子どもがスマホを制限されている中で、親が四六時中スマホをいじっている姿を見せると、「不公平だ」と感じてしまいます。親も「家族との時間はスマホを置く」といった行動を示すことで、子どもはルールに納得しやすくなります。

3. 子どもの反発にどう向き合うか

スマホの制限を導入すると、多くの子どもが「嫌だ」「なんで僕だけ?」と反発します。このとき、感情的に対応するのは避けなければなりません。

冷静に繰り返し理由を伝える
子どもはすぐに親の意図を理解できないことがあります。何度でも丁寧に、「健康を守るため」「生活習慣を整えるため」と伝え続けることが大切です。

反発を感情的に受け止めない
子どもが怒ったり泣いたりしても、それを否定するのではなく、「君がそう思うのもわかるよ」と共感を示します。そのうえで、「でもこのルールは必要なんだ」と一貫した姿勢を保つことが大事です。

柔軟性を持つ
ルールを完全に押し通すのではなく、子どもの状況に応じて調整する余地を残します。例えば、「テスト期間中は30分延長する」といった譲歩を示すことで、子どもも「親は自分を理解しようとしている」と感じられます。

スマホ制限について話し合う家族。

スマホ制限がもたらすメリット

ここまで、スマホ制限の必要性や具体的な方法についてお話ししましたが、それを実行することで子どもがどのようなメリットを得られるのかを考えてみましょう。これは、制限を嫌がる子どもに「やらされている感」ではなく、「やってよかった」と実感させるためにも重要なポイントです。

1. 健康的な生活リズムの回復

スマホ制限の最も大きな効果の一つは、睡眠時間が確保されることです。特に、夜遅くまでスマホを操作することで引き起こされていた「昼夜逆転」を解消できる可能性が高まります。

十分な睡眠は、子どもの身体と心に大きな恩恵をもたらします。例えば、朝起きられるようになることで学校に通う意欲がわき、生活にリズムが生まれます。また、睡眠によって学習に必要な脳の機能が回復し、集中力や記憶力も向上します。

一度健康的な生活リズムを取り戻すと、子ども自身がその快適さに気づき、「もう一度昼夜逆転の生活に戻りたい」とは思わなくなることが期待されます。

2. 学習や趣味に使える時間の増加

スマホを制限することで、それまで画面に費やしていた時間を別の活動に振り分けることができます。この時間を活用して、例えば以下のようなメリットが得られます:

  • 学業への集中
    スマホを触らない時間が増えることで、勉強に集中しやすくなります。多くの子どもが、スマホの通知やゲームの誘惑に負けて学習時間を削っていますが、それがなくなるだけで学業の成果に大きな変化が見られるでしょう。
  • 新しい趣味の発見
    スマホの代わりに、読書やスポーツ、音楽など新しい趣味を見つける機会が生まれます。特に、親子で楽しめる活動を取り入れることで、親子関係の強化にもつながります。
  • 自己肯定感の向上
    スマホ依存の状態では、子どもはゲームのスコアやSNSの「いいね」数で一喜一憂することがあります。しかし、それ以外の活動に時間を使うことで、他者に評価されることに頼らない自己肯定感を育むことができます。

3. 精神的な安定

スマホの過剰利用は、子どものメンタルヘルスにも影響を及ぼします。特にSNSにおいては、他人と自分を比較して落ち込む「SNS疲れ」や、メッセージにすぐ返信しなければならないプレッシャーが子どもに負担をかけています。

スマホを制限することで、これらのストレス要因が軽減されます。最初はスマホがないことで不安を感じるかもしれませんが、次第にその状態に慣れ、心の安定を取り戻すことができるでしょう。

また、スマホを使わない時間に親子の会話が増えることで、親が子どもの悩みを聞き出しやすくなり、不安や問題を早期に解決できる可能性も高まります。

要点必要な考えや行動
スマホ制限の重要性スマホの過剰使用は、生活習慣の乱れや健康被害、不登校の原因になり得る。
生活習慣の影響夜更かしや昼夜逆転は、集中力や免疫力の低下を招き、学校生活への支障を引き起こす。
スマホと不登校の関連SNSやゲーム依存は、現実逃避や学校へのストレス増加を引き起こすリスクがある。
反発への対応スマホ制限への反発は、自由の侵害と感じる子どもに多い反応。
ルール作りの方法子どもが納得するルールを作るには、親子での話し合いが必要不可欠。
親の姿勢と信頼関係子どもは親の行動を見て学ぶため、親自身のスマホ利用も見直す必要がある。

結び:スマホ制限は親子の絆を深めるチャンス

スマホの制限は、単に「子どもの行動を抑制する」ためのものではありません。むしろ、親子が共に成長し、新たな絆を築くための重要な機会だと考えるべきです。

多くの親御さんが、スマホの使い方を巡って子どもと衝突し、どうすれば良いか分からなくなることがあります。ですが、このプロセスを通じて、親は「子どもの心に寄り添う力」を養い、子どもは「ルールを守りながら自分をコントロールする力」を身につけていきます。こうした経験は、単なるスマホ制限を超えて、子どもが未来に向けて生きる上での基盤となるのです。

関連記事:小学生、中学生のスマホ制限・メリットとデメリット

関連記事:「親」のスマホ依存が与える子どもへの影響

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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不登校が増え続けている3つの背景 2024年11月現在

不登校が増え続けている3つの背景

日本の小中学校で、不登校の児童生徒数が過去最多となったことが、今年の調査結果から明らかになりました。文部科学省の発表によると、小中学校での不登校児童生徒は346,482人に上り、全児童生徒の約3.7%を占めています。この数字は、前年から15.9%増加しており、不登校が社会全体で深刻化している現状を浮き彫りにしています。

私は、児童心理カウンセラーとして、日々不登校の子どもたちとその家族と向き合っています。不登校は、単なる「登校しない」という事象ではなく、その背後には多くの心理的・社会的要因が絡み合っています。見守るだけでは解決しない、不登校という問題に直面したとき、親御さんが理解し、対処すべき視点についてお伝えします。

この度、不登校が年々増え続ける事象について政府データを中心に調査を行い、分かったことは「教員不足」「女性の社会進出」「インターネットやゲームの普及」の3つの背景でした。


理由1. 教員不足がもたらす影響

不登校が増加し続ける背景には、学校現場での教員不足という重大な課題が横たわっています。文部科学省の最新データでは、2024年現在、全国の公立小中学校の教員充足率が低下していることが報告されています。特に、学級規模が大きい都市部や、教員の確保が難しい過疎地では、その影響が顕著です。加えて、臨時教員や非常勤講師に頼るケースも増え、学校現場の人材の質と安定性が揺らいでいる現状があります。

1. 教員不足の現実と現場への影響

教員不足により、現場では以下のような問題が生じています。

  • 学級経営の質の低下
    教員一人あたりが担う児童生徒数が増えることで、学級経営が行き届かなくなっています。児童生徒が個別に抱える問題や、学級内の対人関係のトラブルが見過ごされるケースが増えています。不登校に至る兆候が見られたとしても、教員が早期に気づき、適切なフォローを行うことが難しい状況です。
  • 心理的ケアの不足
    不登校の子どもたちの多くは、心の不安や抑うつを抱えています。文部科学省の調査では、不登校児童の約23.1%が不安や抑うつの相談を抱えていることがわかっています​。本来であれば、教員が日常的に声をかけたり、子どもの小さな変化に気づくことが重要です。しかし、教員が過剰な負担にさらされると、こうした心のケアをする余裕がなくなります。
  • 負担増による教員のメンタル不調
    教員自身も、業務量の増加や長時間労働によって疲弊しています。長時間労働が当たり前になり、教員のメンタル不調が増加していることが報告されています。こうした状況では、児童生徒の心理面や学力面でのサポートがおろそかになりがちです。

2. 教員不足の背景にある社会的要因

教員不足が深刻化している背景には、いくつかの社会的要因があります。

  • 若手教員の減少と高齢化
    教職はかつて「安定した職業」として人気がありましたが、昨今の過重労働や精神的負担の大きさから、教員を目指す若者が減少しています。また、すでに勤務している教員の高齢化も進み、現場では体力的に厳しい状況にある教員が多いことが課題となっています。
  • 待遇改善の遅れ
    教員の待遇や環境改善が他の職種と比べて進んでいない点も見逃せません。長時間労働に対する報酬が見合わないと感じる教員が多く、離職率が高まっています。
  • 制度的な問題
    教育政策の変遷により、学校現場には次々と新しい取り組みや課題が課されてきました。例えば、いじめや不登校対応、ICT教育の導入などは、現場の負担を増大させる一因です。教員が授業準備や児童生徒への直接対応に集中できる時間が減り、結果として問題を早期に察知しにくくなっています。

3. 教員不足が不登校に与える具体的な影響

不登校の増加と教員不足は密接に関連しています。ここでは、教員不足がどのように不登校に影響を与えるかを、具体例を交えて考察します。

特別な支援が必要な子どもたちへの配慮が欠ける
発達障害や情緒障害を抱える子どもたちにとって、適切な支援が得られないことは、不登校につながりやすい要因の一つです。こうした子どもたちは、通常よりも繊細なケアを必要としますが、教員が多忙な中で十分な配慮を行うことは難しくなっています。

「孤立」の兆候を見逃すリスク
ある不登校児童の事例では、学校で友人関係がうまくいかず、徐々に孤立していったものの、担任教員がそれに気づいたのは欠席が目立ち始めた後のことでした。本来であれば、児童が教室内で孤立感を覚え始めた段階で教員がフォローすることで、登校意欲を維持できた可能性がありました。しかし、教員が多忙を極める状況では、こうした微妙な変化を察知することが難しくなっています。

個別対応が不十分になる
不登校の要因は、一人ひとり異なります。「学業不振による自己肯定感の低下」「家庭内の問題」「いじめ」など、複雑な事情を抱える子どもたちに対し、個別に対応するには時間と労力が必要です。しかし、教員不足の現状では、児童生徒への個別対応が難しい状況が続いています。


理由2. 女性の社会進出と家庭環境の変化

近年、日本では女性の社会進出が目覚ましい進展を見せています。政府や企業による男女平等推進の取り組みや、女性の就業を支援する制度の拡充により、多くの女性が社会の第一線で活躍するようになりました。しかし、その一方で、家庭環境の変化が子どもたちに与える影響も少なからず指摘されています。不登校の増加も、こうした社会的変化と無関係ではありません。

1. 女性の社会進出と家庭環境の変化がもたらす影響

女性が職場で活躍する一方、家庭内の役割分担や子どもとの時間の過ごし方に変化が生じています。以下に、具体的な影響を挙げます。

  • 家庭でのコミュニケーション不足
    共働き世帯の増加により、子どもと親が一緒に過ごす時間が減少しています。厚生労働省の調査によると、共働き家庭は1980年代には約30%程度でしたが、2020年代には約70%を占めるようになっています。この背景には、女性の就労機会の拡大だけでなく、家計を支えるための現実的な必要性もあります。 しかしながら、親と子のコミュニケーション時間が減少すると、子どもが日常生活で抱える小さな不安や悩みが家庭内で解消されず、孤立感を深めてしまうことがあります。「お母さんに相談したいけど忙しそうで話しかけられない」といった声が、児童心理カウンセリングの現場でもしばしば聞かれます。
  • 家庭環境の変化によるストレスの増加
    親が仕事で多忙な場合、家庭での規則正しい生活リズムを維持することが難しくなりがちです。特に小学生や中学生といった成長過程の子どもたちにとって、家庭の安定感や安心感は、学校生活のストレスを軽減する大きな要素です。これが失われると、学校での人間関係や学業のプレッシャーが増幅され、不登校につながるリスクが高まります。

2. 不登校児童生徒に与える具体的な影響

家庭環境の変化が、子どもたちにどのような影響を与えているのか、不登校に至るまでの過程を実例で紹介します。

  • 「孤立感」との闘い
    子どもが不登校に至る一つの典型例として、「孤立感」が挙げられます。例えば、ある中学生の事例では、家庭内で親が仕事に追われており、放課後や休日も家族で過ごす時間がほとんどありませんでした。この子どもは学校でいじめに遭い始めましたが、家庭でその事実を話すことができず、次第に「誰にも理解されない」という感情を募らせました。その結果、学校生活への拒否感が強まり、不登校が長期化したのです。
  • 生活リズムの崩れ
    共働きの家庭では、どうしても子どもの生活リズムが乱れがちになる場合があります。親が帰宅する時間が遅くなることで、夕食の時間が遅れたり、夜更かしの習慣がついたりすることがあります。生活リズムの乱れは、不登校児童生徒の23.0%が抱える「朝起きられない」「昼夜逆転」といった問題を助長し、不登校の一因となることが調査からも明らかです。
  • 自己肯定感の低下
    忙しい親とのコミュニケーション不足により、子どもは「自分は親にとって重要ではないのでは」と感じることがあります。このような自己肯定感の低下は、学校での友人関係や学業への意欲にも影響を与え、不登校の背景要因となる可能性が高いです。

3. 女性の社会進出と家庭のバランスを取るために

女性の社会進出そのものは、決して否定されるべきものではありません。むしろ、社会の多様性を広げ、経済を活性化する大きな原動力となっています。しかしながら、子どもたちの健全な成長を守るためには、家庭と社会のバランスを取る工夫が必要です。

  • 家族の時間を確保する工夫
    たとえ短い時間でも、親が子どもとしっかり向き合うことが重要です。例えば、仕事から帰った後、子どもと一緒に夕食をとる、就寝前に今日あった出来事を話し合うといった習慣を取り入れるだけでも、子どもは「自分は大切にされている」と感じることができます。
  • パートナーシップの見直し
    子育てを母親一人に任せるのではなく、父親も積極的に家庭の役割を担うことが求められます。家事や育児の分担を進めることで、母親の負担を軽減し、家庭全体が安定した環境を維持することが可能となります。

4. 女性の社会進出と不登校問題の共存を目指して

女性の社会進出と不登校の問題は、どちらも現代日本が抱える重要なテーマです。一方を選ぶのではなく、両者が共存できる社会を目指すことが、私たちの目指すべき未来ではないでしょうか。

親が子どもにかけられる時間が少なくなったとしても、その分「質の高い時間」を共有することができます。親子のつながりを深め、子どもの不安を軽減する努力は、不登校予防に直結します。そして、家庭の中での「居場所」を強く感じられる子どもたちは、たとえ学校生活で困難に直面しても、その困難を乗り越える力を持つことができるのです。

家庭環境の変化を前向きに捉え、親が主体的に家庭と仕事のバランスを取る工夫をすること。それが、女性の社会進出と子どもたちの健全な成長を両立させる鍵となります。


参考:令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果より


理由3. インターネットやゲームの普及による影響

現代の子どもたちの生活において、インターネットやゲームは欠かせない存在となっています。一方で、それらの過剰な使用が子どもたちの心身や生活リズムに悪影響を及ぼし、不登校の原因の一つになり得ることが指摘されています。2024年現在の統計やカウンセリング現場での事例から、インターネットやゲームの普及が不登校にどのように影響しているかを詳しく考察します。


1. インターネットとゲームが子どもに与える影響

インターネットやゲームは、現代の子どもたちにとって重要な娯楽や情報収集の手段であり、時には学びのツールとしても活用されています。しかし、その便利さが裏目に出る場合も少なくありません。

  • 依存症への懸念
    日本小児科学会の報告によると、近年、ゲーム依存やインターネット依存の傾向が子どもたちの間で増加しています。依存症の兆候として、時間の管理ができなくなり、生活全体がインターネットやゲーム中心になってしまうケースが挙げられます。2024年現在、不登校児童生徒の中には、ネットやゲームに没頭することで現実から逃避し、学校に行けなくなるケースが増加しているとされています。
  • オンラインコミュニケーションによるストレス
    SNSやオンラインゲームでは、子どもたちが他者とつながる新たな方法を提供しますが、これが逆にストレスの原因となることもあります。例えば、「SNSでの友人関係のトラブル」や「オンラインゲーム内でのいじめ」など、ネット上での人間関係が原因で不登校に至る子どもも少なくありません。
  • 夜更かしや生活リズムの乱れ
    カウンセリング現場では、夜遅くまでゲームやインターネットを利用し、翌朝起きられないという相談が多く寄せられます。不登校児童生徒の23.0%が生活リズムの乱れを訴えていることからも、ネットやゲームの過剰な使用がその一因であることは明らかです。

2. ネットやゲームの普及が不登校につながるプロセス

インターネットやゲームの普及が不登校に至るまでのプロセスを具体的に見ていきます。

  • 逃避としてのデジタル依存
    学校でいじめや学業のプレッシャーに直面している子どもにとって、ネットやゲームは「逃げ場」として機能することがあります。例えば、学校で孤立感を覚える子どもが、オンラインゲームで「仮想の友人」と関わりながら安心感を得るケースがあります。しかし、それが長時間化すると現実世界との関わりが希薄になり、登校意欲を失うことが少なくありません。
  • ネット上の人間関係におけるトラブル
    SNSやオンラインゲームでは、リアルな学校生活以上に人間関係のトラブルが発生しやすい面があります。例えば、SNS上で仲間外れや誹謗中傷を受けた子どもが、現実の学校生活にも影響を及ぼし、不登校に至るケースが見られます。文部科学省の調査では、不登校児童の約13.3%が友人関係に関する問題を抱えていることが明らかになっています。
  • デジタルデバイスがもたらす孤立感
    スマートフォンやタブレットが普及したことで、家庭内での親子間のコミュニケーションが減少する傾向にあります。親が忙しい時間を埋める形で子どもがゲームやネットに没頭し、その結果、家族との絆が希薄になりがちです。このような孤立感が不登校につながることもあります。

3. 解決に向けた具体的な対策

インターネットやゲームの普及を完全に否定するのではなく、適切に管理し、子どもたちの生活に良い形で取り入れることが重要です。以下に具体的なアプローチを示します。

  • 時間管理のルールを設定する
    子どもがインターネットやゲームを利用する時間に制限を設けることは、不登校予防の第一歩です。例えば、平日は1時間、休日は2時間といった具体的なルールを親子で話し合い、納得の上で設定することが効果的です。また、就寝時間を決め、デバイスを夜間には使用できないようにするルールも推奨されます。
  • 親子間でデジタル利用を共有する
    子どもがどのようなゲームやSNSを利用しているかを親が把握することは、重要な対策です。一緒にゲームをプレイしたり、SNSの使い方について話し合ったりすることで、親子の絆を深めると同時に、子どもがトラブルに巻き込まれるリスクを軽減することができます。
  • 現実世界での居場所を作る
    子どもが現実世界で安心して過ごせる居場所を提供することも大切です。学校外の活動や趣味を通じて友人関係を築く機会を増やすことで、デジタル依存からの脱却を支援できます。地域のクラブ活動など、ネット以外での社会との接点を作ることが有効です。

4. デジタル時代における不登校問題の克服

インターネットやゲームが不登校の引き金になることもあれば、それらを活用して不登校児童を支援する手段になることもあります。例えば、オンライン授業やネットを活用したカウンセリングサービスは、子どもたちが学校とつながり続けるための有力な手段です。

しかし、親や教育者が目を光らせるべきなのは、子どもがネットやゲームを利用する「目的」と「時間」です。それが適切でない場合、デジタル環境が子どもを孤立させる原因となることを認識し、必要に応じてサポートを提供することが大切です。

デジタル時代の子どもたちにとって、インターネットやゲームは避けられない存在です。だからこそ、親や教育者がその影響を正しく理解し、子どもが健全に利用できる環境を整える努力が必要です。それが、不登校予防の大きな一歩となるのです。


結びに代えて:変わりゆく時代と不登校に向き合うために

不登校が過去最多を記録する現代、日本の教育環境と社会全体が、大きな変化の只中にあることを強く感じます。教員不足、女性の社会進出による家庭環境の変化、そしてインターネットやゲームの普及。これらの要因が複雑に絡み合い、子どもたちの生活や心にさまざまな影響を及ぼしています。

不登校は単なる「学校に行けない」という現象ではなく、時代を反映した社会全体の問題です。そしてその解決には、私たち大人一人ひとりが、子どもたちに何を与え、どのように寄り添うべきかを考え、行動することが求められます。


不登校への理解を深め、解決へつなげる

本稿で取り上げたように、不登校はその背景に多くの原因を含んでいます。教員不足による学校現場の負担増は、子どもたちの微細な変化に気づく機会を減少させています。女性の社会進出が進む中で、家庭環境が多忙化し、子どもたちが家庭で安心できる居場所を見つけられないことも問題の一因です。さらに、インターネットやゲームの普及による生活リズムの乱れやオンラインでの孤立感は、不登校を助長する要因となっています。

しかし、これらは同時に、私たちが解決策を考え、子どもたちの成長を支えるためのヒントを与えてくれる問題でもあります。社会全体でこれらの課題に向き合うことで、子どもたちが再び学校や社会とつながりを持てる環境をつくることができるはずです。


不登校は「成長のプロセス」として捉える

不登校になった子どもたちに対して、親御さんが「学校に行くことこそが正しい」という一面的な考えにとらわれる必要はありません。不登校は、子どもが自分の内面や環境とのバランスを取ろうとする一つのプロセスと捉えることができます。このプロセスを通じて、子どもは自分にとって必要なものや、自分の価値観に気づく機会を得ることができるかもしれません。

「どうして学校に行けないのか?」と問いかけるよりも、「何に悩んでいるのか?」「どうすれば安心できるのか?」と寄り添う姿勢が、子どもの心を解きほぐす鍵となります。


親としてできる最初の一歩

親御さんにできることは、必ずしも特別なことではありません。日常生活の中で、子どもの話を聞く時間を作り、子どもに「大切にされている」という感覚を与えることが何より重要です。家庭が子どもにとっての安全基地となれば、学校や社会との接点を再び持つ勇気が芽生えることもあります。

また、必要であれば学校や専門機関に相談することも大切です。不登校は一人で抱え込むべき問題ではありません。教育支援センターやスクールカウンセラー、地域のNPOなど、多くのサポート体制が存在します。これらを積極的に活用し、親もまた子どもと一緒に支援を受けながら向き合う姿勢が求められます。


子どもたちの未来のために

不登校が増加している現状は、確かに深刻です。しかし、それは同時に、私たちが子どもたちの声に耳を傾け、彼らが成長する過程を支える新たな機会を示しています。社会が変化する中で、親や教育者ができることは、子どもたちの「困難」と「可能性」を正しく理解し、支援の手を差し伸べることです。

子どもたちが自分のペースで学校生活に戻り、社会の一員として成長していける未来を信じて、私たちは歩みを止めることなく支援を続けていきたいと思います。そのための一歩として、ぜひ今日、子どもに向けて優しい言葉をかけてみてください。その一言が、子どもの心に小さな光を灯すきっかけになるかもしれません。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

不登校になった子どもへの具体的な声のかけ方

不登校になった子どもへの具体的な声のかけ方

はじめに:不登校を「親としてどう向き合うか」

「うちの子、学校に行かなくなったんです。」
こう語り始める親御さんの声を、私はこれまで何度も耳にしてきました。その声には、不安や焦り、そしてどこか自分を責めるような響きが含まれています。しかし、子どもが不登校になる背景には必ずしも単純な理由だけがあるわけではありません。そしてその解決も、単純な「これをすればいい」というものではないのです。

私たちの提供する「ToCo」のサービスでは、「不登校の子どもが抱える本当の理由を掘り下げること」から始めます。ここで大切なのは、親がその理由を知り、それに適切に向き合う姿勢を持つことです。「学校に行かなくてもいい」とただ見守るだけでは、多くの場合、不登校が長期化してしまいます。一方で、急かしたり、強引に解決しようとするアプローチも子どもを追い詰める結果となります。

本稿では、不登校になった子どもへの具体的な声のかけ方について、心理カウンセラーとしての視点を交えてお話しします。「どんな言葉をかけたらいいのか」「どんな対応が子どもにとって助けになるのか」という具体的なヒントを見つけていただければ幸いです。


1. 「不登校は子どものサイン」:見えている現象の裏側に目を向ける

不登校は、子どもが自分の内面で何かに苦しんでいるサインです。それが明確に表れる形として「学校に行きたくない」があります。ですが、親御さんにとってこの状況は非常にわかりにくいことがあります。例えば、子どもが「学校が嫌い」と言ったとしても、それが人間関係の問題なのか、勉強のプレッシャーなのか、はたまた家庭内の何かが影響しているのか、一筋縄ではいかないことが多いのです。

「どうして行きたくないの?」は禁句

「どうして学校に行きたくないの?」と聞きたくなる気持ちは、とてもよくわかります。しかし、この問いかけは、子どもにとって重荷になりやすいものです。「どうして」と問われることで、子どもは理由を説明しなければならないと感じます。ですが、本人もその理由を整理できていないことがほとんどです。さらに、親が答えを求める姿勢は、子どもに「説明できない自分はおかしい」という自己否定感を生むことさえあります。

ここでのポイントは、子どもの「行きたくない」という言葉を否定せずに受け止めることです。

会話例1:「行きたくないんだね」と受け止める

子ども:「学校行きたくない。」
親:「そうなんだね、行きたくないんだね。」
子ども:「うん…。」
親:「どんな感じなのか、少しだけ教えてもらえたら嬉しいな。でも話したくなかったらそれでも大丈夫だよ。」

このように「受け止める」「無理に聞き出そうとしない」ことで、子どもが少しずつ心を開ける状態を作り出します。


2. 子どもの「心の声」を見逃さない

不登校に至る子どもたちの心の中には、さまざまな葛藤があります。それをすべて言葉で表現するのは難しいため、親としては子どもの行動や表情、態度から「心の声」を読み取ることが求められます。

表面だけを見ると逆効果になる場合も

例えば、子どもが毎日ゲームをしていたり、YouTubeを見続けているとき、親は「怠けている」「好き勝手している」と感じるかもしれません。ですが、その背景には「現実から逃げたい」「自分を守るために何かに没頭している」という心情が隠れていることが多いです。

会話例2:無関心ではなく、優しい観察を

子どもがゲームに夢中になっている。
親:「今のゲーム、すごく面白そうだね。どんなところが楽しいの?」
子ども:「これ、ストーリーがすごいんだよ。」
親:「そうなんだ。どんな話か教えてくれる?」
子ども:「うん、これはね…」

このように、子どもの興味を否定せず、共感を持って接することで「自分は受け入れられている」という安心感を育むことができます。


3. 「否定」よりも「共感」でつなぐ

親は時に、子どもの言動を否定したくなることがあります。「学校に行かないなんて、ダメだ」「ちゃんと頑張らないと」といった言葉は、親自身の焦りや不安から生まれます。ですが、これらの言葉は子どもにとって大きなダメージを与える可能性があります。

子どもを「丸ごと受け入れる」姿勢

不登校の子どもたちは、自分を責めている場合が多いです。「行けない自分はダメだ」と思い込んでいることも少なくありません。そんなとき、親が子どもを否定する言葉をかけると、子どもの自己否定感をさらに強める結果となります。

会話例3:共感しながら希望を伝える

子ども:「どうせ学校行っても無理だし。」
親:「そう思っているんだね。無理だって感じてるの、すごく辛いよね。」
子ども:「うん…。」
親:「でもね、お母さんは、あなたには無理じゃない時が来るって信じてるよ。今はちょっと休んでもいいけど、一緒に少しずつ考えていこうね。」


4. 「具体的な小さな一歩」を一緒に考える

不登校の解決には、「具体的な小さな一歩」を踏み出すことが重要です。いきなり「明日から学校に行こう」と言うのではなく、「今日は1時間だけ登校してみる」「学校の近くを一緒に歩いてみる」といった小さなステップを提案することで、子どもが挑戦しやすくなります。


会話例4:選択肢を提案する

子ども:「学校なんてもう嫌だ。」
親:「そう感じるんだね。今すぐ行けなくてもいいけど、ちょっとだけ学校の近くまで行ってみるとか、一緒にやってみない?」
子ども:「うーん、ちょっとだけなら…。」
親:「ありがとう。一緒に頑張ってみようね。」


5. 「待つ」ことと「進む」ことのバランス

不登校の子どもへの対応で重要なのは、「待つこと」と「進むこと」のバランスを取ることです。「いつか子どもは自分で立ち直る」と信じて完全に放任するのは危険ですが、一方で親が焦って無理に解決を急ぐと、子どもの心にさらなる負担をかけてしまいます。このバランス感覚を保つためには、親自身が冷静さを失わないことが不可欠です。

「待つ」ことの意味

「待つ」というのは、子どものペースを尊重することです。子どもが自分の感情を整理し、自分なりのペースで前を向けるようにするには、十分な時間が必要です。「学校に行きたくない」と言っている子どもに対し、親がすぐに結論を急いでしまうと、子どもはますます壁を感じてしまいます。

会話例5-1:安心感を伝えつつ見守る

子ども:「もう学校のことは考えたくない。」
親:「そう感じるんだね。今は無理しないで、学校のことを考えない時間を作るのも大事だよ。お母さんは、あなたがどんなペースでも応援しているからね。」
子ども:「うん…。」

子どもが何も話さなかったり、素っ気ない態度を取ったとしても、親が根気強く同じ姿勢を貫くことで、子どもは「話しても大丈夫なんだ」と感じるようになります。

「進む」ことの意味

一方で、ただ「待つ」だけではなく、小さな一歩を促すことも大切です。不登校の原因がどんなものであれ、最終的には社会との接点を回復することが目標となります。そのためには、適切なタイミングで子どもを促し、小さな挑戦を後押しする必要があります。

会話例5-2:進む選択肢を一緒に考える

子ども:「学校なんてもう行かなくてもいいよね?」
親:「そう感じているんだね。でもね、学校だけが選択肢じゃないけど、少しずつ何かに挑戦することは大事だと思うんだ。一緒に何ができるか考えてみようか?」


6. 不登校の背景にある「心の声」を掘り下げる

子どもが不登校になる背景には、いくつもの要因が絡み合っています。それを解きほぐすためには、「心の声」に耳を傾ける姿勢が必要です。ここで大切なのは、「親の価値観」ではなく、「子どもの価値観」を理解することです。

心の声を探るポイント

  1. 子どもの行動に隠されたメッセージ
     子どもの言動には必ず理由があります。例えば、急に食欲がなくなったり、反対に過剰に食べるようになった場合、それはストレスの表れかもしれません。
  2. 子どもの趣味や興味に目を向ける
     不登校中に子どもが夢中になることは、心の支えである場合が多いです。それを否定するのではなく、理解しようとする姿勢が大切です。
  3. 家庭内での雰囲気を見直す
     家庭の中で安心感を持てているかどうかも重要です。親の喧嘩や過剰な期待が、知らず知らずのうちに子どもに影響を与えていることもあります。

会話例6:心の声を探る問いかけ

子ども:「何もしたくない。」
親:「そうなんだね。何もしたくないときって、どんな気持ちになる?」
子ども:「うーん…。なんか、ずっとモヤモヤしてる感じ。」
親:「そうか、モヤモヤしてるんだね。その感じ、もう少しだけ教えてもらってもいいかな?」

このように、子どもの言葉を否定せず、さらに掘り下げて聞くことで、子ども自身が自分の気持ちを整理するきっかけを作ることができます。


7. 親自身のケアも忘れない

子どもが不登校になると、親自身も多大なストレスを抱えるものです。「自分の育て方が悪かったのでは」「どうしたら解決できるのか」と悩み、精神的に追い詰められることがあります。ですが、親が心身ともに疲れてしまっては、子どもを支えることは難しくなります。

親ができるセルフケアのポイント

  1. 一人で悩まない
     信頼できる第三者や専門家に相談することは、心の負担を軽くします。
  2. 自分を責めない
     不登校は誰のせいでもありません。親自身を責める気持ちは、結果的に子どもにも伝わってしまいます。
  3. リラックスできる時間を作る
     趣味や散歩など、自分をリフレッシュさせる時間を意識的に持つことで、冷静に子どもに向き合う力が生まれます。

おわりに:未来はいつでも作り直せる

不登校は、子どもと親にとって大きな試練です。しかし、それは子どもが自分の人生を見つめ直し、より良い未来を築くための重要な時間でもあります。親としては、焦らず、寄り添い、そして必要なときには専門家の力を借りながら、一歩ずつ進んでいきましょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

不登校を引きこもりにしないための家庭で出来る5つの工夫

不登校を引きこもりにしないための、家庭で出来る5つの工夫

不登校の子どもを持つ親御さんにとって、その状況は大きな試練です。特に、子どもが家からも出なくなり、いわゆる「引きこもり」状態になることを恐れている方も多いのではないでしょうか。私たちが提供する「ToCo」サービスでも、最初にご相談をいただく際には、「どうすればこの状態を悪化させないで済むのか」といった切実な声をよく耳にします。

私自身、児童心理カウンセラーとしてこれまで数多くのケースを見てきましたが、引きこもりを防ぎ、不登校からの回復を支援するには、子どもの「自尊心」を回復させることが最も重要であると確信しています。ただ待つだけでは、不登校の状態は長引きやすく、子どもにとっても親にとっても辛い日々が続いてしまいます。そこで、今回は家庭で実践できる5つの工夫をお伝えします。どれも特別な道具や環境を必要とせず、今日から始められるものばかりです。


工夫①「食事を一緒にする」

食卓は、家族が顔を合わせる貴重な場です。特に不登校の子どもにとって、自室に閉じこもる生活が続くと、家族とのつながりすら希薄になりがちです。そのような時こそ、毎日の食事を「一緒にすること」が力を発揮します。

食事には、単なる栄養補給以上の意味があります。目の前に並ぶ食べ物が、子どもの心の壁を少しずつ崩していくことがあるのです。たとえば、子どもが好きな料理を一緒に作ってみるのも良いでしょう。「今日の献立は何がいい?」と尋ねたり、料理を手伝ってもらったりするだけでも、自然な形で会話が生まれます。特に、不登校であることに対するプレッシャーや批判を感じさせずに話しかけることがポイントです。

親が意識すべき点は、子どもを「責める」ような雰囲気を作らないことです。「どうして学校に行かないの?」などの質問は、子どもにとってストレスになります。それよりも、「今日のカレー、おいしくできたね」「このお味噌汁、体が温まるね」といった何気ない会話が、子どもとの関係を温める第一歩になります。

工夫②「手伝いをさせる」

不登校が続くと、子どもは「自分なんて何もできない」という無力感に苛まれることがあります。この気持ちは、引きこもりを引き起こす大きな要因のひとつです。ここで重要なのが、家庭の中での「役割」を与えることです。その最もシンプルな形が「手伝いをさせる」という工夫です。

例えば、食卓の準備や片付け、洗濯物を干すといった簡単な家事をお願いしてみましょう。「お手伝いをしてくれてありがとう」と感謝を伝えることが何より大切です。この小さな行動の積み重ねが、子どもにとって「自分は役に立っている」という感覚を育て、自尊心を回復させる助けになります。

また、「上手にできるかどうか」にはこだわらないでください。たとえ不器用であっても、何かをやろうとする意欲を称賛する姿勢が、子どもの心を動かします。「お皿を洗ってくれたんだね、すごい!」といった言葉がけ一つで、子どもの自己評価は少しずつ上向きになります。

工夫③「一緒に外に出る」

引きこもりの予防において、外の空気を吸うことは非常に効果的です。しかし、「外に出なさい」と命令するだけでは、子どもはますます抵抗感を強めてしまいます。だからこそ、「一緒に外に出る」工夫が必要です。

まずは短時間、身近な場所から始めましょう。例えば、「近くのスーパーに一緒に行こう」といった軽い提案が良いです。このとき、子どもが嫌がった場合には無理強いしないことが肝心です。重要なのは、外出を「楽しさ」と結びつけることです。季節の変化を感じられる公園散歩や、子どもの興味を引く場所を訪れるのも効果的です。

また、子どもが少しでも外出できたら、その努力を褒めてあげてください。「今日は一緒に外に出られて嬉しかった」と感謝を伝えることで、次への意欲が湧いてきます。外に出る習慣がつくと、徐々に社会とのつながりも取り戻すことができます。

参考記事:不登校の子どもが始めやすい外出:一歩ずつ踏み出すためのヒント

工夫④「小さなことを褒める」

子どもが不登校になると、親としてはつい「もっと頑張ってほしい」「学校に戻ってほしい」と大きな期待をかけてしまいがちです。しかし、子どもはそのプレッシャーに耐えられず、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。だからこそ、小さなことでも積極的に褒める習慣を持つことが大切です。

たとえば、子どもが朝起きられたら、「早起きできて偉いね」と声をかける。宿題の1ページでも手を付けたら、「やろうとしたことがすごいね」と称賛する。このような具体的な褒め言葉が、子どもに「できる自分」を意識させ、自信を取り戻すきっかけになります。

注意すべき点は、結果だけを褒めるのではなく、過程に目を向けることです。「最後までやり遂げられなくても、やろうとしたことが素晴らしい」といった声がけが、子どもに安心感を与えます。

工夫⑤「子どもを避けない」

不登校や引きこもりの問題が長引くと、親自身が子どもにどう接すればいいのか分からなくなり、距離を取ってしまうケースがあります。しかし、これが子どもにとっては「自分は愛されていない」という誤解につながり、さらに孤立を深めてしまいます。

「子どもを避けない」とは、積極的に干渉することではありません。むしろ、子どもの存在を受け入れ、穏やかに寄り添う姿勢を持つことです。たとえば、子どもが話しかけてきたら、手を止めて話を聞く。視線を合わせて、「あなたのことを大切に思っている」というメッセージを伝えることが重要です。

また、親自身の感情の安定も大切です。親がイライラしていると、子どもにもその不安定さが伝わり、ますます心を閉ざしてしまいます。適度にリラックスする時間を持ち、自分を労わることも忘れないでください。


工夫狙い必要な行動
食事を一緒にする家族とのつながりを取り戻し、安心感を与える。一緒に食卓を囲み、子どもの好きな料理を作り、自然な会話を心がける。
手伝いをさせる子どもの役立つ感覚を育み、自尊心を回復させる。簡単な家事を依頼し、「ありがとう」「助かったよ」と感謝を伝える。
一緒に外に出る外の空気に触れ、閉じこもりを防ぐきっかけを作る。近所の散歩やスーパーなど、短時間で気軽な外出から始め、楽しさを伝える。
小さなことを褒める小さな成功体験を積み重ね、自己肯定感を高める。行動の結果より過程を重視し、具体的な言葉で子どもの努力を称賛する。
子どもを避けない子どもに愛されている実感を与え、孤立を防ぐ。穏やかに寄り添い、子どもが話しかけてきたら手を止めて耳を傾ける。

結論:子どもの「心の回復」は家庭から

不登校や引きこもりを防ぐための家庭での工夫は、どれも難しいものではありません。ただし、それを継続するには、親の根気と子どもへの深い理解が必要です。子どもの自尊心を少しずつ回復させ、社会とのつながりを取り戻すために、今回ご紹介した5つの方法をぜひ試してみてください。

「ToCo」では、不登校の背景にある原因を共に探り、一人ひとりに合った支援を提案しています。ただ見守るだけでは解決しない問題に対し、親子で前向きな一歩を踏み出すお手伝いをしています。一緒に子どもの未来を切り開いていきましょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

不登校対策:サードプレイスを持ちましょう

はじめに

不登校や引きこもりの支援に携わる者として日々多くの親子と接している中で、ひとつ痛感することがあります。それは、子どもが自分の居場所を学校だけに限定してしまうと、その「唯一の場所」でうまくいかなかったときのダメージが大きいということです。学校に行けなくなった子どもたちは、家族との関係がぎこちなくなり、孤独感や無力感にさいなまれてしまいがちです。私自身も、子どもが不登校になり、その対応に悩んだ経験を持つ親として、その苦しさを身をもって理解しています。

ToCoでは子どもたちの不登校が続く原因を特定し、それに対処するアプローチを重視しています。ToCoの考え方は、「ただ見守るだけではなく、適切な対処が必要である」というものです。多くの親が「見守るしかない」と感じがちですが、不登校の本質的な解決にはそれ以上の支援が求められます。学校以外の「サードプレイス」、つまり塾や習い事などの居場所を子どもに持たせることで、不登校の予防や改善に大きな役割を果たすことができるのです。


不登校を防ぐための「サードプレイス」とは?

「サードプレイス」という言葉は、家庭(ファーストプレイス)や学校(セカンドプレイス)以外の第三の居場所を意味します。子どもが学校に行けなくなったときに、そこに代わる居場所としての「サードプレイス」は、非常に大きな意味を持ちます。学校では必ずしも評価されない個性や才能が評価される場であり、また学校での人間関係とは異なる価値観や生き方を学べる場でもあります。特に、塾や習い事など、勉強や趣味の分野で仲間と過ごせる場所は、子どもが「自分にもできることがある」という自己肯定感を持つ機会を増やします。

不登校になりやすい子どもたちの中には、学校において「自己肯定感の低さ」や「不安感」を抱えやすい傾向が見られます。学校での人間関係にうまくなじめないこともあれば、勉強や部活動でのプレッシャーに耐えられなくなってしまうこともあります。こうした背景の中で、塾や習い事といったサードプレイスが、その「逃げ場」としてだけでなく、「挑戦する場」としての役割を果たすのです。

また、サードプレイスに通うことで、子どもたちは異なる価値観を持つ大人や仲間と触れ合い、「学校以外にも多様な世界がある」と実感できるようになります。これは将来、社会に出たときに非常に大きな財産となります。つまり、サードプレイスは、不登校予防だけでなく、子どもの人間的成長や生きる力の育成にも寄与するのです。


学校だけが「唯一の世界」になることの危険性

親としては、学校でうまくやってほしい、そこに適応してほしいという思いが強くなるものです。しかし、学校だけを「唯一の世界」として子どもに受け入れさせてしまうと、そこでうまくいかなかったときに子どもが感じる失望感や挫折感は計り知れません。学校でつまずいた子どもたちは、他に居場所がなければ、孤独感に押しつぶされてしまうのです。

子どもが学校に行けなくなると、家庭での関係も悪化しやすくなります。子どもが部屋に閉じこもってしまい、親との会話が減り、お互いに気を遣いすぎて本音で話すことができなくなってしまう家庭は少なくありません。こうした状況が続くと、子どもはますます「自分はダメな存在だ」という自己否定感に陥り、不登校が長引く原因にもなりかねません。

そのため、家庭や学校以外に「居場所」を確保することは、不登校予防において極めて重要です。学校に居場所を見つけられない子どもたちにとって、サードプレイスは救いの手となりうるのです。

親ができること:サードプレイスの選択と支援

サードプレイスの確保にあたっては、親が適切な選択を行い、子どもが安心して通えるよう支援することが重要です。例えば、塾や習い事など、子どもの興味や関心を引き出せる場所を見つけることが大切です。勉強に対する興味がある場合は学習塾、スポーツに興味がある場合は地域のスポーツクラブといった具合に、子どもが自然とその場に行きたいと思える場所を見つけてあげましょう。

もちろん、サードプレイスに通わせることが万能な解決策ではありません。場合によっては、家庭や学校との連携が必要になることもあります。特に不登校が続いている場合、家庭内での支援だけでは解決が難しいことも多々あります。私たちToCoでは、不登校が続く要因を特定し、それに対する具体的な対処方法を親とともに考え、実践的な支援を提供しています。不登校の本質的な解決には、こうした専門的なアプローチが欠かせません。


ToCoの再登校支援サービスが目指すもの

ToCoの再登校支援サービスは、不登校の要因を明確にし、子ども一人ひとりに合った解決方法を見つけ出すことを重視しています。多くの家庭では、「いつかまた学校に行けるように」と見守ることしかできない状況に陥りがちですが、見守るだけでは不登校の状態は長引きやすいのです。

ToCoの支援では、不登校になった「きっかけ」ではなく、不登校が続いてしまう「要因」に目を向け、そこに適切な対処を行います。これは、従来のカウンセリングとは異なるアプローチです。具体的には、認知行動療法を用いた再登校支援プログラムを通じて、子どもが抱える不安や課題に対処し、自ら解決できる力を養います。また、AIを活用した診断により、個々の子どもに最適な対処法を提供しています。このようにして、子どもが自立し、自分の力で不登校の問題を乗り越えていける環境を整えることができるのです。


学校外の「居場所」が子どもの成長に果たす役割

サードプレイスは、子どもがさまざまな価値観や考え方に触れることができる場です。学校という単一の環境に留まると、どうしても同じような価値観に染まりがちですが、塾や習い事で出会う他の大人や子どもたちとの交流は、柔軟な視点と自己肯定感を育てます。特に、子どもが自分の興味を活かし、安心して試行錯誤できる場所があることで、「ここでなら自分らしくいられる」という自信が芽生えるのです。

実際、学校に行けなくなった子どもたちがサードプレイスに通い始めると、自分に自信を持てるようになることが多く、再登校へのステップとして大きな助けになることがよくあります。これは、不登校になりやすい子どもたちが持つ「自己否定感」や「他者からの評価への過度な不安感」に対して、サードプレイスが心理的な安定を与えてくれるためです。

学校以外の世界を知ることの利点

親として、子どもが学校で勉強し、成長してほしいと思うのは自然なことです。しかし、学校だけにすべての成長が依存してしまうと、子どもは社会に出たときに「学校以外の価値観」に戸惑うことになります。サードプレイスでは、多様な価値観や異なる生活様式を学ぶことができ、将来の多様な人間関係や職場環境に適応する力を養うことができます。学校だけでは学べない社会性や生き抜く力が、こうした場で自然と身につくのです。

また、サードプレイスを通じて出会う大人たちは、学校の先生とは異なる視点で子どもを見てくれます。塾の講師や習い事の指導者は、子どもの学力やスキルに注目するだけでなく、時にはその「人間性」を尊重し、異なる角度からのサポートを提供します。これは、子どもにとって「自分は見守られている」「自分は認められている」と感じられる貴重な体験です。


結論

学校での学びと成長は確かに重要ですが、子どもにとっての「唯一の世界」が学校であることは危険です。サードプレイスとしての塾や習い事を通じて、多様な価値観や新しい挑戦を経験することは、不登校予防に大きな効果をもたらします。そして、必要であれば、ToCoの再登校支援サービスなどを活用し、専門的なサポートを受けることで、子どもが自分の力で未来を切り開いていけるよう手助けしましょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

また、皆様の中には数十万円の費用を請求される昨今の不登校サービスに困惑された方もいるかもしれません。私たちのサービスは費用と効果は比例しないことを実績で示しながら、業界最安値での提供を続けております。ぜひ、サービス詳細をご覧ください。

自分の子どもが学校を休んだ日の対応

先日、私の小学生の子どもが風邪で学校を休みました。最初の日は単純に体調不良でしたが、翌朝になると別の問題が浮上しました。「昨日ズル休みしたと思われているかも…」と、子どもが再び登校を渋りだしたのです。私は、普段から不登校や引きこもりの支援に携わる仕事柄、この小さな躊躇が「不登校の芽」になる可能性もあると感じました。実際、不登校の多くは些細なきっかけから始まることが少なくありません。

今回、この経験から親としても専門家としても学び得たことを、皆さまにお伝えしたいと思います。

1. 「ズル休みしたと思われたくない」その小さな不安

小学生の子どもにとって、クラスの同調圧力や「ズル休み」への周囲の評価は意外と大きな負担になります。特に「周りと同じであること」に敏感な年代のため、「自分だけ違う行動を取った」という事実が翌日以降の登校に対するハードルになりやすいのです。

子どもが「ズル休み」と見なされることに不安を抱く姿を目の当たりにした時、私はこの小さな不安が、将来的な不登校のリスク要因になると直感しました。私が勤めるToCo株式会社でも、「見守るだけ」ではその不安が消えず、不登校が固定化されるケースが多いことが分かっています。問題を早期に見極め、適切な対処をすることが大切です。

2. 思い悩んだ末の「1日休ませる」という選択

子どもの不安を取り除くためには、どうしたら良いかと悩みました。ここで私がとったのは、担任の先生と相談して、あえてもう1日休ませるという選択でした。最初は「学校に行きたくないから」と休ませてしまうと、これが一度きりでは済まなくなり、繰り返しになってしまうのではないかと心配しました。しかし、そのまま無理に登校させて、子どもが負のイメージを抱えたまま学校に行くのも逆効果です。

この選択が正しかったかどうか、私は自信を持って選択したわけではありません。しかし、親として「今の気持ちを尊重するけれども、学校から完全に逃げるわけではない」という中立的なスタンスを保つことを大切にしました。最初から簡単に休ませるとズルズルと不登校につながりやすくなりますが、今の気持ちを尊重することで、子どもも安心できる面があります。

3. 勉強することを条件に「休み=楽しい」を防ぐ

不登校の問題に関してToCoでは、休んだ際の「時間の過ごし方」に注目しています。休むといっても、完全に「自由」や「楽しい時間」にしてしまうと、「学校に行かない=好きなことができる」という認識を子どもが持ってしまう危険があります。

そこで、子どもに「病気ではないから学校と同じように勉強すること」を約束させました。具体的には、私がリモートワークをしているリビングで、隣に子どもが座り、宿題や学習ドリルを進めるようにしました。こうすることで、「学校に行く代わりにリビングで勉強する」というスタンスを取りつつ、子どもが「休み=楽しい時間」と誤解しないようにしました。これは個人的に「マシダ作戦」(≒これなら学校に行ったほうがマシダ)と名付けています。

子どもはリビングで私と一緒に机に向かい、意外と楽しそうに勉強をしていました。子どもが集中できる環境を保ち、少しでもリズムが崩れないように心がけました。このように、「休み=楽しい」という誤った認識を防ぐことが、再び学校へ戻るための小さな一歩であることを実感しました。

4. 次の日

翌朝になると、子どもは再び明るい顔で「学校に行ってくる!」と言って登校していきました。この瞬間、私はホッと胸を撫で下ろしつつ、「やはり見守るだけではなく、適切な対応が必要なのだ」ということを再確認しました。

「部屋に閉じこもらせず、リビングで勉強させる」という工夫で、「学校を休んだら家でのんびりできる」という感覚を防ぐことができました。ToCoで働く中で、こういったちょっとしたサポートが将来的な不登校リスクを減らすことに繋がると確信しています。

5. 「休む日」にもルールを作ることの重要性

今回の経験を通して改めて感じたのは、家庭での「休む日」のルールづくりの重要性です。たとえば、子どもが休んだ日は、好きなテレビを見たりゲームをしたりする時間を設けない、もしくは厳しく制限するというルールです。これにより、「学校を休むと楽しいことができる」という印象を持たせないようにします。私の場合も、子どもに「風邪は治ったけど、今日も家で勉強すること」を条件に一日を過ごしました。このような規律を家庭内で守ることで、日常のルーチンから大きく外れることなく、学校へ戻ることへの抵抗感を少しでも減らすことができたと思います。

一方で、休んだ日だからこそ少しだけ楽しい活動も入れる工夫もしました。昼食後に一緒に軽い散歩に出かけることで、自然と気分転換を図れるようにしました。このような活動は短時間で抑えつつ、「休む日も単なる遊びの時間ではない」というバランスをとることで、子どもの気持ちを落ち着けるのに役立ったのです。

6. 周囲のサポートも大切

休みが続くことで、子ども自身も「どうして自分だけが学校に行けないのだろう」と自責の念を抱きがちです。また、親としても、「自分の対応が間違っているのではないか」という不安に駆られることもあります。こういったときに、学校の先生や第三者のサポートを積極的に頼ることが重要です。私も今回のケースでは、子どもにとっての居心地の良さを第一に考えつつ、学校側の先生に相談しました。担任の先生から「もう一日休ませても構いませんよ」と言われたことで、私自身も心が軽くなり、冷静に対処できるようになりました。

学校だけでなく、同じ悩みを抱える親同士のコミュニティも心強いサポートになります。子どもが学校に通えない日々が続いたとしても、「親として、どうにかできる」という自信が少しでも持てるようなサポートを受けることが大切だと考えます。

7. 不登校の予防と家庭の対応力を高めるために

今回の一件は、にとって多くの学びをもたらしてくれました。不登校はある日突然始まるわけではありません。子どもの小さな「不安」や「気持ちの変化」を早期に察知し、親として適切に対処することで、不登校を防ぐ可能性が高まります。しかし、こうした対応は決して一筋縄ではいきません。

子どもが学校を休みたいと言い出した時、その原因がわからないと親として戸惑います。しかし、親としてできることは、「休みたい」という子どもの気持ちに共感しつつも、家庭内でしっかりとしたルールを設け、家庭と学校の両方で「一貫したメッセージ」を示すことだと痛感しました。そしてその過程で、子どもが一人で不安を抱えないように寄り添うことも重要です。

親子の絆は、こうした悩みの瞬間にこそ深まります。親が自分の気持ちを尊重しながら適切に対応してくれることがわかれば、子どもも安心して自分の気持ちを正直に伝えることができるようになります。長い目で見れば、こうした絆の積み重ねが、子どもが学校での問題や社会生活の中で困難に直面した際の心の支えとなり、自己肯定感を育てる礎になります。

家庭でできる対応を実行しながら、必要に応じて支援サービスを利用することは逃げではありません。専門家が不登校の要因を分析し、再登校へのプランを立ててくれることで、親も「見守るだけでいいのか」「どのようにサポートすべきか」といった迷いを解消しやすくなります。ToCoでは、不登校支援のエキスパートが各家庭に合わせたアドバイスを行い、親御さんが子どもを適切に支えることができるような情報やアプローチを提供しています。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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不登校になった子どもとの対話法

はじめに

初めて不登校を宣告された時、どのような気持ちになったでしょうか。驚き、不安、あるいは怒り、さまざまな感情が頭を巡り、「どうしてわが子が?」と心が混乱するかもしれません。しかし、不登校はけっして特別なことではありません。多くの子どもが抱えるこの問題に、真摯に向き合い、理解し、支えていくために、まずはお母さまが落ち着きを取り戻し、「対話」という一つの方法でお子さんの気持ちに寄り添う準備を始めていただきたいと思います。

不登校のお子さんとどう対話をしていけば良いのか。何を語り、どう受け止めれば良いのか。お子さんが心を閉ざしてしまっている時期に、どうやって扉を開いてもらえるのか。本稿では、「対話」を通じて、不登校のお子さんに寄り添うための考え方と具体的なアプローチについてお話ししていきます。


第1章:不登校という現象を理解する

まず、不登校とはどういうものなのかを理解することが重要です。不登校は単に「学校に行かない」という行動だけを指すものではなく、子どもの内面に深く根ざした感情や、生活全般にわたる変化を含んでいます。近年では、不登校の原因は一つに限らず、いじめや家庭環境、学校の環境、発達特性、自己肯定感の低下など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることがわかってきています。

子どもが不登校になる理由を一概に決めつけず、「なぜ行かないのか」ではなく、「なぜ行けないのか」と考えることが大切です。不登校には、子どもが自分の内面や周囲の環境に対して真剣に向き合おうとしているサインが含まれています。「学校に行かない」という行動の背後にある子どもの苦悩や葛藤を、お母さまが丁寧に理解することが第一歩となります。

第2章:子どもに寄り添う心の姿勢

不登校のお子さんに寄り添う上で最も重要なのは、「寄り添う姿勢」をお母さま自身が身につけることです。これを理解するには、まず「聞く」ことから始めなければなりません。

不登校の子どもが最も求めているものは、無理に引き戻そうとする「解決」ではなく、自分の気持ちをわかってもらえる「安心感」です。多くの親は、子どもが学校に行けるようにとアドバイスや励ましの言葉を投げかけますが、そうした言葉がかえって子どもを追い詰めてしまう場合も少なくありません。子どもが本当に求めているのは、学校に行かない自分でも愛され、受け入れられるという信頼です。そのためには、まずお母さまが子どもの気持ちに寄り添い、「何も否定せずに聞く」という姿勢を持つことが必要です。

第3章:子どもとの対話の基本 – 聞く力

お母さまにとって、「聞く」という行為は単なる聞き流しではなく、子どもの話をじっくりと受け止め、共感することが求められます。ここで重要なのは、「質問しないこと」です。質問は、どうしても相手に回答を求める形になり、子どもが防御的になりやすい傾向があります。代わりに、相づちや表情、うなずきで子どもが話しやすい空気を作ってあげると良いでしょう。

例えば、子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、すぐに「どうして?」と理由を尋ねるのは避けましょう。「そうなんだね。行きたくないって感じるんだね。」と、相手の言葉をそのまま受け入れるだけで十分です。自分の気持ちを否定されず、受け止めてもらえると感じられると、少しずつ子どもは心を開いてくれるようになります。

第4章:対話のゴールを「共感」に設定する

不登校のお子さんと対話する際、解決を急がず、共感をゴールに設定することが大切です。多くの親は、つい「解決」を目指しがちですが、子どもが今の状況から立ち直るためには、まず自分の感情や思いを誰かに共感してもらうことが必要です。

共感するためには、「感じている気持ちを認める」ことから始めましょう。たとえ学校に行かない理由が曖昧であったとしても、その気持ちをそのまま受け止め、「辛かったんだね」「無理しないでね」といった言葉をかけてあげることで、子どもは自分が理解されていると感じるようになります。理解される経験が増えると、子どもは次第に安心感を持ち、不登校に関しての考え方や感情も柔らかく変化していきます。

第5章:言葉でなく「存在」で支える

不登校の子どもにとって、親がそばにいてくれること自体が大きな支えになります。日常生活の中で、言葉を交わすことに抵抗がある場合も多いため、無理に話しかけようとせず、ただ一緒に過ごす時間を大切にすることが大切です。特に、子どもがリラックスして過ごせる時間帯や場所で一緒に過ごすことで、自然と子どもが心を開きやすくなります。

例えば、一緒に食事をしたり、テレビを見たり、散歩に出かけたりすることで、親子の距離が縮まる場合があります。話しかけなくても、お母さまがそばにいること自体が、子どもにとって「安心」を与える要素となります。

第6章:お母さまの心のケアも忘れずに

不登校の子どもを支えるためには、お母さま自身の心のケアも重要です。不安や焦りが募ると、どうしてもその感情が子どもに伝わり、無意識のうちにプレッシャーをかけてしまうこともあります。自分を追い詰めず、気持ちの整理をするためにも、友人や専門家に相談したり、自分の時間を大切にすることが不可欠です。

第7章:信じる力

最後に、不登校のお子さんに対して必要なのは、「信じる力」です。子どもは親が信じてくれることで自分を信じられるようになります。不登校という状況は確かに不安ですが、お母さまが子どもの成長を信じ、今は休息が必要だと受け入れることで、子どもも安心して自分を見つめ直すことができます。

学校に戻るか戻らないかは結果にすぎません。重要なのは、その過程でお母さまがいかに子どもを信じ、支え、待つことができるかです。この信頼があれば、子どもはやがて自分の道を見つけて歩き出すでしょう。


結論

不登校の子どもとの対話は決して簡単なものではありません。しかし、お母さまが一歩ずつ対話の姿勢を育み、共感と理解を持って寄り添うことで、子どもも安心して自分を開くことができます。不登校はある意味、子どもが成長し、自分の気持ちや考えを整えるための大切な期間です。お母さまが支え、信じることで、子どもはまた自分らしい道を歩み始めることでしょう。お子さまとお母さまが、対話を通じてお互いに理解を深め合い、新たな絆を育んでいけることを心より願っています。

キーワード要点必要な行動
不登校の理解不登校は多くの要因が絡んで生じる。行動だけでなく、子どもの内面の苦悩を理解することが大切。子どもが「行かない」理由ではなく「行けない」理由を丁寧に考え、無理に解決を急がない。
寄り添う姿勢子どもが安心感を持つには、否定せずに気持ちを受け止める「寄り添う姿勢」が重要。子どもの話を遮らず受け入れ、無理に励ますよりも「安心できる存在」であることを意識する。
聞く力聞くことは単なる傾聴ではなく、質問を避け、相づちやうなずきで話しやすい環境を作るのが基本。質問せず、共感の態度で「うんうん」「そうなんだ」と受け止め、子どもが話しやすくなる空気をつくる。
共感をゴールに解決を急がず、子どもの気持ちに共感することが最優先。理解される安心感が成長につながる。「辛かったね」「無理しないで」などの共感の言葉を使い、子どもが安心できる対話を目指す。
存在で支える言葉でなく、そばにいるだけで子どもに安心感を与えることができる。無理に話しかけなくても良い。一緒に食事や散歩などをする時間を増やし、自然と子どもが話せるタイミングを待つ。
お母さまのケアお母さま自身のケアも重要。焦りや不安が子どもに伝わらないよう、心のケアを意識する。周囲や専門家に相談し、自分の心をケアしながら子どもと向き合う余裕を持つ。
信じる力お母さまが子どもを信じることで、子どもも自分を信じられるようになる。子どもの成長を信じることで自立を見守る姿勢を大切にする。

ToCo(トーコ)株式会社について

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