不登校は「◯◯のせい」ではない。

こんにちは。不登校カウンセラーの竹宮です。
今日のテーマは「不登校は『◯◯のせい』ではない」です。


目次


「どうしてうちの子だけ?」と思ったことはありませんか?

不登校の相談を受ける中で、保護者の方から一番よく聞くのがこの言葉です。
「うちの子に限って、どうして?」「原因がわからないんです」
そして、その言葉のあとには、ほとんど必ず「たぶん、〇〇のせいなんだと思います」という一文が続きます。

ゲームのやりすぎ。
YouTubeの見すぎ。
友達とうまくいかなかった。
先生と合わなかった。
親の接し方が悪かった。

こういった「原因探し」は、ごく自然な反応です。
むしろ、わが子のことであればあるほど、理由を知りたくなるのは当たり前のことです。

でも、今日はあえて踏み込んでいきたいと思います。
不登校は「何かのせい」で起きているわけではないということを。


年々増え続ける不登校の背景

文部科学省の調査によると、令和5年度時点で小中学生の不登校の数は35万人を超えています。
過去最多です。そして、これは毎年更新されています。

35万人。
これはもはや「特別な家庭の話」ではありません。
どこにでもある、ごく普通の家庭でも起きていることなのです。

ここで、ちょっと考えてみてください。
これだけの数がいるということは、もはや個別の家庭や本人の「問題」では説明できません。
構造的な背景があると考える方が、自然です。


今の学校の「当たり前」って、どんなもの?

不登校の背景には、日本の学校教育の構造的な特徴が大きく関わっています。
特に公立の小中学校に顕著ですが、いまだに多くの場面で「画一的であること」がよしとされています。

たとえば、

授業中は静かに座って話を聞くこと。
先生の指示には従うこと。
集団行動を乱さないこと。
テストの点数で評価されること。

これらのルールに「合う子」にとっては、学校は過ごしやすい場所です。
けれど、「合わない子」にとっては、かなり苦しい場所になりやすいのです。

たとえば、じっとしているのが苦手な子。
思ったことをすぐに口に出してしまう子。
グループ活動よりも、一人で考える方が得意な子。

こうした子どもたちは、学校の「標準仕様」から外れてしまいやすいのです。


「適応できない子」ではなく、「多様性に対応できない仕組み」

「学校に行けない」というと、多くの人は「本人の問題」と捉えがちです。
けれど、少し見方を変えてみましょう。
そもそも、どんな子でもすんなりと適応できるような仕組みでしょうか?

たとえば、あるお子さんは、クラスの騒がしさに耐えられずに不登校になりました。
学校側は「感覚が過敏なんですね」と受け止めましたが、その子にとっては「普通の感覚」だったのです。

別の子は、毎朝の登校時間に極度のストレスを感じていました。
けれど、始業時間は全国ほぼ一律です。
その子にとって「毎日8時半に着席する」ことは、大人で言えば「毎朝5時に職場で朝礼」くらいの感覚でした。

このように見ていくと、「子どもに問題がある」というより「子どもに合わせる仕組みがない」だけなのかもしれません。

学校の現実:「合わない子」が増えている理由

「不登校」はもはや例外ではない

子どもの数が減っているのに、不登校は増えている。
この事実が意味するのは、「今の学校システムに合わない子が、年々増えている」ということです。

私たちはよく、「うちの子は学校に合わなかったんです」と言うとき、どこか申し訳なさそうな言い方をしてしまいます。
でも、本来「合わなかった」というのは、個人と制度の相性の問題です。
合わなかったということは、どちらが悪いわけではないケースもあります。


画一的な教育の中で、何が評価されていないのか

「静かに座って聞く」子が良い子?

多くの学校では、いまだに「静かに指示を聞ける子」が高く評価されます。
でも、これは学習態度のひとつの型にすぎません。

実際には、以下のような子どもたちもたくさんいます:

  • 興味のあることには驚くほど集中する
  • 話すことで考えを深めるタイプ
  • 音や光に敏感で、教室では疲弊してしまう
  • 手を動かすことで理解が進む

ところが、こうした子たちは「落ち着きがない」「話を聞かない」「成績が安定しない」などの評価を受けやすいのが現状です。


私立や一部の公立校では「変化」も始まっている

もちろん、すべての学校が昔ながらのやり方に固執しているわけではありません。
最近では、探究学習やプロジェクト型学習を取り入れる学校も増えてきました。
私立の中高一貫校や、新しいタイプの公立校などでは、子ども自身の興味や主体性を重んじる授業も増えています。

実際、そういった学校では、いわゆる「不登校だった子」が生き生きと学んでいる例も少なくありません。
ただ、こうした学校がまだ「例外」であるというのが現状です。


「学校に行くかどうか」よりも大事なこと

ここまでの話を聞いて、「じゃあ、学校に行かなくていいの?」と不安になる方もいるかもしれません。

ですが、今日お伝えしたいのは「学校のせいにしよう」ということではありません。
そして、「家庭がすべて悪い」ということでもありません。

むしろ、「どちらか一方のせい」と考えること自体が、不登校の本質を見えにくくしてしまうのです。


親としてできること

不登校の理由は多岐にわたります。
ただ、共通して言えるのは、「学校という一つの基準」だけで子どもを見てしまうと、本人がとても苦しくなってしまうということです。

学校で評価されない点を、家庭では認めてあげてほしいと思います。
たとえば、空想が好きな子は、想像力が豊かです。
おしゃべりが多い子は、言葉のセンスがあるかもしれません。

もちろん、道徳的に逸脱した行動はしっかり注意すべきです。
でも、それとは別に「この子の良さ」を学校の成績や出席日数以外からも探してみてください。


「小さな頃はよかったのに」と感じたら

幼い頃は、子どもの良さを素直に受け止められたのに、
小学校・中学校に上がるにつれて「評価」の目が厳しくなってしまう。
そんなふうに感じている方も、多いのではないでしょうか。

乳幼児期は、ただ元気に笑ってくれるだけで嬉しかったはずです。
でも、成長とともに「できること」が増えてくると、
いつのまにか「できないこと」ばかりが目についてしまいます。


少し視点を変えてみる

不登校は、「育て方のせい」でも「本人のせい」でもありません。
社会全体の仕組みの中にある、すれ違いがきっかけになっていることが多いのです。

だからこそ、視点を変えることが、とても大切です。
「学校に行かないこと」が問題なのではなく、「学校に行かない子どもに対する見方」が問われているのかもしれません。

「家庭の評価軸」のつくり方

子どものよさを言語化して伝える

学校の成績や通知表は、どうしても数字や記号での評価になります。
でも家庭は、それ以外の「物差し」が使える場所です。

たとえば:

「人の気持ちに気づけるって、すごいことだよ」
「面白いアイデアを思いつくところ、お母さんも尊敬してる」
「人と違う考え方ができるの、将来の強みになるよ」

こうした言葉を子どもが無理なく受け取れるタイミングで、自然に届けることが大切です。
大げさに褒める必要はありません。
普段の生活の中で、事実として伝えるだけでも、十分効果があります。


「道徳的に外れた行動」にはどう向き合うか?

寄り添うことと、甘やかすことは違う

誤解されやすいのですが、「学校に行かないことを責めない」という態度と、「子どもを全肯定する」という姿勢は、同じではありません。

たとえば、

人を傷つけるような言動
生活リズムの完全な崩壊
他者を侮るような態度

これらは、きちんと注意した方が良いです。

ただし、注意の目的は「正すこと」ではなく、「考えるきっかけを渡すこと」です。
子どもが自分で「どうありたいか」を選べるように、対話の余地を残す。
それが、家庭での倫理教育の役割です。


「他の子はできているのに」と思ってしまったとき

比較したくなる自分を責めないでください

SNSやママ友の会話、塾の面談。
子育てをしていると、どうしても他の子どもの様子が入ってきます。
すると、「なぜうちの子だけ…」という思いが芽生えてしまうこともありますよね。

でも、比較したくなるのは、親として自然な感情です。
まずは、その気持ちを無理に消そうとしないでください。
大事なのは、「比較の後に、どんな視点に立ち戻るか」です。

「この子にとって何が必要か?」という軸を取り戻すことで、親の言動がぶれなくなります。


「誰のせいでもない社会」で育てるという覚悟

誰も悪くない。だからこそ、考える

不登校という現象を「親のせい」「学校のせい」「本人のせい」など、どこか一つに押し付ける考え方は、もう限界を迎えています。

この時代に必要なのは、「誰のせいでもない」としながらも、「だからこそ、どう育てるか」を考え続ける親の姿勢です。

完璧である必要はありません。
ただ、「この子の存在自体を愛して受け入れる」という態度が、子どもにとっての安全基地になります。


子育てに「正解」はありません。でも、視点は変えられます。

子育てをしていると、「これでいいのかな」と悩むことばかりです。
でも、不登校は決して「失敗」ではありません。

むしろ、「この子らしい育ち方って何だろう?」と、改めて考える機会になります。

学校という場所だけでなく、家庭の中にも子どもを支える軸は作れます。
社会の変化とともに、評価の物差しも変わっています。

その中で、親としてできることは:

学校では評価されない子どもの良さを認めること
社会の構造に目を向け、無理な期待を手放すこと
子どもが「自分は大丈夫かも」と思えるような接し方をすること

それだけで、子どもの心に残るものは大きく変わっていきます。


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