冬休みを再登校に向けた土台作りにするための過ごし方

不登校や引きこもりの支援に携わる児童心理司の藤原と申します。不登校という状況は、どのご家庭でも大きな悩みであり、時に出口の見えない迷路のように感じられることもあるかと思います。
特に冬休みという時期は、親戚が集まる行事や年末年始の特別な環境変化が重なることで、お子さんの心に新たな負担が生じやすい時期でもあります。これから、「冬休みを再登校に向けた土台作りにするための過ごし方」というテーマで、保護者の方にとって役立つ具体的な方法をお伝えします。

親戚との付き合い――無理をさせないための工夫

冬休みといえば、多くの家庭で親戚が集まる行事が予定される季節です。お正月や新年会、あるいはクリスマスの集まりなど、家族や親戚が一堂に会することは、日本の伝統的な年中行事の一部であり、多くの人にとって楽しみな時間でもあります。しかし、不登校のお子さんにとって、これらの機会は楽しいどころか、場合によっては非常にストレスフルな状況になることがあります。

まず、親戚同士の集まりでは、どうしても「学校」の話題が出やすいものです。特に学校に行けていないお子さんにとっては、「最近どう?」「学校はどうしてるの?」といった何気ない質問が強いプレッシャーになりがちです。このような質問に答えられない、あるいは答えることで不安や恥ずかしさを感じる場合、親戚の集まりそのものが苦痛に感じられることがあります。また、普段あまり会わない親戚たちの前では、素の自分を出すことができず、緊張が高まってしまう子どもも少なくありません。

こうした状況を避けるためには、まず保護者の方が事前にお子さんと話し合い、集まりへの参加方法や範囲について、可能な限りお子さんの希望を尊重することが大切です。「少しの時間だけ顔を出してみる」「挨拶だけして、あとは自分の部屋で過ごす」といった選択肢を提示し、お子さんが安心して過ごせる形を一緒に考えることが重要です。
たとえ短時間でも「参加できた」という経験は、お子さんにとって自信や達成感につながる可能性があります。一方で、無理に参加させることで逆にストレスが高まり、自己否定的な気持ちが強まるリスクもあるため、無理強いは避けるべきです。

また、親戚の方々に事前にお子さんの状況を簡潔に伝えることも有効な手段です。「今は少し休んでいる時期です」「ゆっくり考える時間を持たせています」といった形で、柔らかい表現を用いながら、子どもが質問攻めに遭わないよう配慮をお願いすることができます。この際、状況を細かく説明する必要はありません。あくまで「今の状況を温かく見守ってほしい」というスタンスを伝えることが大切です。親戚の集まりでは、学校や進学に関する話題が出ることが多いため、これを未然に防ぐことは、お子さんの安心感を守るうえで非常に有効です。

さらに、親戚同士の集まり自体を短時間に抑えるという選択肢もあります。例えば、昼食や夕食の時間帯だけ参加し、その後は自宅でゆっくり過ごすように計画を立てることが考えられます。こうすることで、お子さんが長時間ストレスにさらされることを防ぎつつ、親戚との交流も一定程度維持することができます。特に、祖父母など近しい親戚に会うことは、将来的にお子さんが家族のつながりを感じるための大切な経験となる可能性があるため、全く顔を出さないよりも、短時間でも接触の機会を持つことを目指すと良いでしょう。

加えて、親戚の集まりに参加する場合、お子さんに事前の準備をサポートすることも効果的です。例えば、「話したくない質問が来たらどう返すか」を一緒に考えたり、「参加する時間帯や席の場所」について相談したりすることで、お子さん自身が少しでもコントロール感を持てるよう配慮することが大切です。「わからない時は無理に答えなくてもいいんだよ」「何かあれば、すぐにお母さんに助けを求めていいんだよ」といった言葉をかけることで、安心感を与えることができます。

このように、親戚の集まりというイベントは、不登校のお子さんにとって大きなハードルとなり得ますが、工夫次第でその負担を軽減することが可能です。保護者としては、「参加できることが良い」というプレッシャーを抱えず、あくまでお子さんの気持ちやペースを尊重しながら、柔軟に対応する姿勢が求められます。短い時間でも「自分なりに頑張った」という経験は、お子さんの心の成長に確実につながっていきます。

生活リズムの調整――年明けの再登校に備えて

冬休みという期間は、普段と違う生活リズムになりやすいものです。気温の低下によって布団から出づらくなったり、年末年始の行事の影響で夜更かしや朝寝坊が続いたりするのは、どの家庭でもよく見られる現象です。しかし、不登校のお子さんにとって、生活リズムが乱れることは、再登校への壁をさらに高くしてしまう要因になりかねません。心と体の準備が整わない状態で年明けを迎えると、休み明けの登校が一層難しくなってしまう場合があります。そのため、冬休み中にできる範囲で生活リズムを整える努力が重要となります。

まず、生活リズムを整えるために最も意識したいのは、起床時間を固定することです。夜更かしを完全に防ぐことが難しい場合でも、毎朝同じ時間に起きる習慣をつけることは、全体のリズムを戻す上で効果的です。子どもにとっては、冬休み中の朝に「起きる理由」がないことが多く、気づかないうちに昼まで眠る生活になってしまうことがあります。そのため、親御さんが一緒に起きる、あるいは軽い朝のイベントを計画するなどして、「朝起きる楽しみ」をつくる工夫をすると良いでしょう。例えば、親子で簡単な朝食作りに挑戦したり、近所を散歩して冬の景色を楽しむなど、小さな目標を持つだけで、朝起きるきっかけが生まれます。

次に、日光を浴びることも重要です。冬は日の出が遅いため、朝の光を浴びる機会が減りがちですが、太陽の光を浴びることは体内時計のリセットに欠かせません。起床後すぐにカーテンを開けて部屋に朝日を取り込み、可能であれば少し外に出るだけでも効果があります。たとえ寒い時期でも、10分程度の外出で十分です。日光を浴びると、体内のメラトニンというホルモンが調整され、自然な眠気が夜に訪れるようになります。この小さな習慣の積み重ねが、夜の早寝につながります。

また、食事のリズムを整えることも、生活習慣改善の重要な一歩です。特に朝食をきちんと摂ることは、体を目覚めさせるだけでなく、昼食や夕食の時間も一定に保つ助けとなります。不登校のお子さんの場合、食事をスキップしたり不規則な時間に軽食を取ることが増えやすいですが、親御さんが一緒に朝食を楽しむよう心がけることで、習慣づけがしやすくなります。子どもが好きな朝食メニューを一緒に考えたり、簡単に作れるレシピを共有するのも効果的です。

さらに、生活リズムを整える際に重要なのは、すべてを完璧に戻そうとしないことです。不登校のお子さんにとって、長い間崩れていたリズムを一気に修正することは、かえって負担になります。「少しずつ、できる範囲で」という姿勢を持つことで、子ども自身もプレッシャーを感じずに取り組むことができます。例えば、起床時間を1日30分ずつ早める、寝る前にスマートフォンやタブレットの使用時間を少し短くする、といった小さな目標を設定するのが良いでしょう。

親御さん自身も、お子さんのペースに寄り添いながら生活リズムの調整を進めていくことが大切です。「一緒にできたこと」を見つけて声に出して褒めることで、少しずつ自信を取り戻す助けになります。このような積み重ねが、年明けに再登校への一歩を踏み出す土台となるのです。

学校との連携――家庭での学習支援を取り入れる

冬休みは、生活リズムだけでなく学習習慣の維持にも気を配りたい時期です。不登校のお子さんにとって、学習面での遅れがさらに再登校を難しくする原因になることがあります。学校の授業に追いつけない不安や、自分だけが取り残されている感覚を抱えたままでは、学校への足が遠のいてしまうのも無理はありません。そこで、学校と連携して家庭でできる学習支援を取り入れることが、有効な手段となります。

最初のステップとして、学校の担任の先生やスクールカウンセラーに相談することをおすすめします。不登校の状況に応じて、学校側が家庭で使えるプリントや課題を用意してくれることがあります。これらの教材は、単なる勉強の道具としてだけでなく、「学校とのつながりを持ち続ける」手段としても役立ちます。学校での学びを家庭で少しずつ取り戻していくことで、「勉強ができた」という自信につながり、再登校への意欲も高まる可能性があります。

学習に取り組む際には、量や難易度に配慮することが重要です。無理に多くの課題をこなそうとすると、かえってお子さんの負担になり、やる気を失わせてしまうことがあります。そのため、「少しでも取り組めたらOK」という柔軟な姿勢で進めることが大切です。例えば、1日1枚のプリントから始めたり、得意な科目や簡単な問題から手をつけることで、学習へのハードルを下げることができます。完璧を求めるのではなく、「やれたこと」に焦点を当てて褒める姿勢が、親子の間に前向きな空気を生み出します。

また、親御さんが直接教えるのではなく、そばで見守る形を取ることも効果的です。お子さんが勉強に取り組む間、親が横で読書をしたり、家事をしながら様子を見守ることで、適度な安心感を与えることができます。「一緒にいるけど口出ししない」というスタンスが、お子さんの自立を促すと同時に、過剰な干渉によるストレスを防ぎます。

さらに、学習の進捗や困難な点については、定期的に学校側と共有することが大切です。家庭での努力を学校に報告することで、先生たちが今後の指導方針を立てやすくなるだけでなく、お子さん自身も「学校に見守られている」という感覚を持ちやすくなります。こうしたつながりが、再登校への道筋を整える支えとなります。

冬休みという特別な期間は、お子さんが学校に戻る準備を進める上で大切なチャンスでもあります。しかし、それを実現するには、親御さん自身も無理をせず、子どものペースに寄り添うことが何より重要です。焦らず、少しずつ進むことを目指しましょう。

ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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