不登校経験者が語る:当時の心境と今だから言えること

不登校や引きこもりの支援を専門とする児童心理司の藤原と申します。

今回の記事では、私が支援を通じて関わらせていただいた2人の不登校経験者の方に、それぞれの体験をインタビューさせていただきました。一人は中学時代に不登校を経験し、もう一人は小学校時代に同じような困難に直面しました。お二人とも、不登校になった当時の苦しさや、家庭や自分自身の変化を経て再び一歩を踏み出すまでの過程を語ってくださっています。

(下記、インタビューを元に書き起こした内容となります)


不登校経験者Aさん

私は中学1年生の2学期、不登校になりました。その頃、私の周りは真っ暗で、誰にも自分の気持ちを言えない孤独感に押しつぶされていました。振り返ると、私が不登校を乗り越えられたのは、親の気持ちの変化と、それによって私自身も少しずつ変われたからです。そして、そこに大きな役割を果たしたのは、自閉スペクトラム症の診断をきっかけとする、家族のあり方の変化でした。

自閉スペクトラム症の診断と不登校

中学に入るまでは、私は少し変わった子どもだとよく言われていました。人の目を見て話すのが苦手で、友達との会話でも話題がすぐに途切れることが多かったのです。でも、小学校の頃はなんとかそれでも友達がいて、勉強も苦手ではなかったので問題なく過ごせていました。

ところが、中学に入ると環境が急激に変わり、クラスの雰囲気や友人関係にまったくついていけなくなりました。授業中は先生の話が全く頭に入らず、クラスメートとの雑談に参加する勇気も出ませんでした。特に昼休みの時間が苦痛でした。周りの子が楽しそうにグループを作って話しているのを横目に、私は一人で音を立てずに座っていることしかできませんでした。

教室のイメージ

2学期に入る頃には、学校に行くたびに胸が締めつけられるような感覚や頭がぼーっとする症状が現れるようになり、次第に学校へ行けなくなってしまいました。心配した母が連れて行ってくれた病院で、私は「自閉スペクトラム症」という診断を受けました。その時は、病名を聞いても「それが何」という印象で、特に何かが変わるわけではありませんでした。むしろ、「私が変わっているから学校に行けないのだ」という自己否定感が強くなりました。

家庭の変化:母の気づき

私の不登校は家族に大きな影響を与えました。最初、母は学校に行かない私に苛立ちを隠せませんでした。「どうして学校に行けないの?」「別にクラスでいじめられているわけではないでしょう」ときつく言われることもありました。その言葉は、辛かったです。
「学校に行けない自分はダメな人間なんだ」という気持ちで暗くなりました。

何も変わらず数週間が経った頃、母が「再登校支援プログラム」というものを見つけてきました。母は最初、私を無理やり学校に戻す方法を探しているのだと思っていました。でも、プログラムに参加する中で、母の態度が徐々に変わっていったのです。

母はまず、私が何に苦しんでいるのかを理解しようとしてくれました。「あなたが学校で何を感じているのか知りたい」と、今までとは違った感じで何度も話しかけてくれました。
最初はうまく話せませんでしたが、母が私を急かさず、ただ待っていてくれることで、少しずつ自分の気持ちを伝えられるようになりました。「学校で友達の輪に入れないのが辛い」「クラスのざわざわした音が頭に響いて怖い」こうした具体的な気持ちを話すことで、私自身も自分が何を恐れているのかが分かるようになったのです。

父の変化と支え

父もまた、大きく変わりました。それまでの父は、仕事に忙しく、家でもパソコンに向かっていることがほとんどでした。私の不登校に関しても、特に気にしている様子はありませんでした。しかし、母がプログラムで学んだことを父に伝え、家族として一緒に私を支えようと働きかけたことで、父の様子も変わってきました。

父は、「何をしたらいいのか分からない」と正直に話してくれました。その言葉を聞いた時、私は少し驚きました。父も困っているのだと分かり、自分がどうでも良いわけではないと安心したのを覚えています。父はそれから、自分なりに私を助ける方法を見つけようとしてくれました。例えば、一緒にゲームをしたり、庭で花を植える作業を手伝ってくれたりしました。私ができたことに対して「すごいじゃないか」と褒めてくれる父の言葉が今でも耳に残っています。

家族の変化がもたらした安心感

家族が変わってくれたことで、私の心に少しずつ余裕が生まれました。それまでは、家の中でさえ気を張って生きているような状態でしたが、両親が私を受け入れてくれると感じられるようになり、自分を責めることが減っていきました。

母は、「一日一つでも良いことがあれば、それで十分だよ」と言ってくれました。その言葉に救われ、少しずつ外に出てみようと思えるようになりました。最初は家の庭で日光浴をするだけでしたが、それでも「外に出られた」という達成感がありました。

学校復帰

3学期に入り、担任の先生が「自分のペースで良いから、いつでも戻っておいで」と声をかけてくれたことで、私は少しずつ授業に出られるようになりました。母が「無理しなくて良いよ」と言ってくれたこと、父が「今日は良く頑張ったな」と褒めてくれたことが、私を支えてくれました。

今、過去の自分に声をかけるとしたら、「あなたは一人じゃないよ」と伝えたいです。私を支えてくれた家族がいたからこそ、私は不安に向かい、立ち直ることができました。そして、自分を理解しようとしてくれる人がいるだけで、どれだけ心強いかを実感しました。学校はつらいこともありますが、今のお父さんとお母さんと一緒ならば、乗り越えられそうです。


不登校経験者Bさん

私が不登校になったのは、小学校5年生の1学期が始まったばかりの頃でした。その頃、家の中で両親の言い争いが絶えず、その中で私は小さく身を潜めていました。「自分がもっと良い子だったら、こんなことにはならなかったのかもしれない」そんな風に思う日々が続き、学校に行くことが辛くなってしまったのだと振り返って思います。

両親の喧嘩と緊張感

両親は共にフルタイムで働いていて、仕事から帰ってきても、いつも疲れているような印象でした。それが原因なのか、家では些細なことがきっかけで口論が始まりました。例えば、誰が家事をするか、子どもの成績がどうだ、などといったことで衝突するのです。そのたびに、私は自分の部屋に閉じこもって布団を被っていました。

特に辛かったのは、親が私の前でお互いを非難し合う時です。「あなたがもっとちゃんとしてくれれば!」とか「お前のせいでこうなった!」といった言葉を聞くと、自分が喧嘩を起こしているのだと感じました。それは学校にいても頭を占めていました。友達と話している時や授業中も、心の中では「家に帰りたくない」「どうして自分だけ苦しいんだろう」と思っていました。

次第に学校に行くことそのものが怖くなり、朝になると胃が痛くなるようになりました。そして母が「今日も学校休むの?」と言うと、休めると安心するわけでもなく、返って辛くなりました。

落ち込む女の子のイメージ

ToCoとの出会い

そんな私を変えてくれたのは、母が見つけてきたToCoというサービスでした。初めは不登校を解決するために、私に対して何かやるのかと思いました。でも、家庭全体の雰囲気を変えることが勧められていたようで、私の親も大きく変わっていったのです。

両親の変化:喧嘩から協力へ

両親はいつの間にか、お互いを責めることをやめるようになっていました。それまで母は父に対して「もっと育児に協力してほしい」と不満をぶつけ、父は「仕事が忙しいんだ」とそれをはね返していました。でも、そういうやり取りが減ってきました。

例えば、父はそれまで家事を手伝わない人でしたが、夕食の準備を母と分担するようになりました。また、母も、私や学校のことを父に相談するようになりました。今まで無かったことに気づいていませんでしたが、2人の間でちゃんと挨拶が交わされるようにもなりました。そして、家の雰囲気が柔らかくなっていきました。

私への接し方の変化

両親の変化は、私への接し方にも現れました。以前は「学校に行けないなんて情けない」と言って私を叱っていましたが、無理に学校に行かせるのではなく、まず気持ちを聞いてくれるようになりました。それから母は、私に「どうしたら気持ちが楽になるかな?」と相談してくれるようになりました。特に父が「学校に行けないことは悪いことじゃないよ」と言ってくれた時、私はホッとしました。それまで、「学校に行けない自分はダメな人間だ」と思っていましたので、その言葉が嬉しかったです。

家族との新しい時間

両親が喧嘩をなくして、私にも優しく接してくれるようになると、雰囲気は一変しました。週末には家族全員で食事を作ったり、近所の公園に散歩に行く時間が増えました。ある日、父が「これからはみんなで一緒に夕食を作る時間を作ろう」と言い、それが私にとってとても嬉しいことでした。以前は、家族で一緒に何かをするなんて考えられなかったからです。

お互いに笑顔を見れるようになって幸せを感じつつ、今までは辛いことだったんだ、と、もう戻りたくないと思いました。

学校復帰の道のり

そんな中、自分でも不思議なくらい学校の辛さが感じなくなっていました。母が「行けるときに行けばいいよ」と言ってくれましたが、自分から登校の準備をして、次の日には学校に行っていました。2週間ぶりくらいで少し緊張しましたが、先生も友達も変わりなく接してくれたので、数日で普通に通えるようになりました。

もし自分が将来子どもを持つとしたら、この経験を活かして温かい家庭を作っていこうと思いました。


ToCo(トーコ)株式会社について

私たちToCoは、平均15日で再登校まで支援するにサービスを提供しています。代表自身の経験をもとに、不登校に悩むご家庭が抱える対応の難しさ、登校が断続的になりやすい課題を解決するため、このサービスを立ち上げました。

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