自立に悩む子どもにおすすめの映画3選

こんにちは。カウンセラーの竹宮と申します。
今日は「自立に悩む子どもにおすすめの映画3選」というテーマでお話ししたいと思います。

不登校の子どもと接していると、「自立」という言葉に対して強い抵抗感を抱いている様子を目にすることがあります。
一人で学校へ行く、集団に混ざる、自分の判断で行動する。
これらは大人から見れば「当然のこと」に映るかもしれませんが、子ども本人にとっては、非常に重たく、曖昧で、時に苦痛すら感じる課題です。

無理に言葉で伝えても届きにくいとき、少し違った形で「何かを感じる」ことが、心の変化のきっかけになることがあります。
そこで今回は、「自立ってどういうこと?」「自分を好きになるってどういうこと?」というテーマに触れられる、3本の映画を紹介したいと思います。

どれも押し付けがましいメッセージではなく、心の中にふと何かを残してくれる作品ばかりです。
ぜひ、子どもと一緒に観てください。

目次

1. 『インサイド・ヘッド』(2015年/ディズニー&ピクサー)

「自立」は感情の統合から始まる

一つ目の作品は、多くの方がご存じかもしれない『インサイド・ヘッド』です。
11歳の少女ライリーの頭の中で、「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」という5つの感情が擬人化されて登場し、彼女の日常を左右していきます。

一見、子ども向けのアニメーションですが、実はこの作品には非常に奥深い心理学的メッセージが込められています。
特に注目したいのが、「ヨロコビ」と「カナシミ」の関係です。

物語の序盤では、「カナシミ=厄介な感情」として排除されがちです。
ところが、物語が進むにつれて、「カナシミ」を通して他者とのつながりや本音の共有が起こり、ライリーの心の成長が促されていきます。

この流れは、まさに不登校の子どもが自分の感情を受け止め、自分らしく生きていく過程と重なります。

「悲しんでいい」と思えたときに、前に進める

「なんか、カナシミって悪者じゃなかったんだな」という感想が出てくるかもしれません。

不登校の子どもは、「悲しい」「悔しい」「寂しい」といった感情を、うまく口にできないことがあります。
そしてそれらを我慢し続けているうちに、何がつらいのか自分でも分からなくなってしまいます。

『インサイド・ヘッド』は、そうした「言葉にならない感情」を、やさしく代弁してくれる映画です。

何かを変えるためには、まず「今の自分をそのまま受け入れる」ことが必要です。
この映画は、その第一歩をそっと支えてくれる作品です

2. 『FLY!(原題:Migration)』(2023年/イルミネーション)

家族に守られてきた子どもが、一歩外へ出る物語

二つ目の作品は、比較的新しい映画『FLY!』です。
日本では2024年に公開されたアニメーション映画で、渡り鳥の家族が初めての旅に出るという物語です。

この映画の主人公は、内気なカモの男の子・ダックス。
彼の家族はずっと同じ池で暮らしていて、外の世界に出ることを恐れていました。
しかし、ひょんなことから「南の島を目指す旅」に出ることになります。

旅の中では、迷子になったり、怖い鳥に襲われたり、初めてのことだらけ。
けれども、その中でダックスは少しずつ勇気を出して、自分で決めて動けるようになっていきます。

「怖い」と思いながら進むのも、自立の一部

この作品のすぐれている点は、「自立」があくまで“段階的に進んでいくプロセス”として描かれていることです。
誰も、いきなり大空を飛べるわけではありません。
まずは、少し羽ばたいてみる。
次に、短く飛んでみる。
そうした経験の繰り返しが、いつしか“旅”になるという描き方です。

不登校の子どもにとって、自立とは「親から完全に離れること」ではありません。
「自分で決める」「試してみる」「怖くてもやってみる」
そうした小さなチャレンジの連続こそが、本当の意味での自立だと、この映画は教えてくれます。

あるお母さんは、子どもと一緒にこの作品を観たあと、「私が先回りしすぎていたかもしれない」と話していました。
親が心配しすぎることが、子どもの成長のタイミングを奪ってしまうこともあります。

『FLY!』は、子どもだけでなく、大人にも「自立とは何か」を問い直させてくれる作品です。

3. 『野生の島のロズ』(2024年/ドリームワークス)

孤独と共生を学ぶ“機械”の物語

最後に紹介するのは、『野生の島のロズ』という作品です。
こちらは、人気児童書を原作としたアニメーション映画で、2024年に公開されました。

主人公はロズ。ある日、無人島に流れ着いたロボットです。
人間も電気もない島の中で、ロズは生きるために自然の中で動物たちと関わりながら、少しずつ“学び”、そして“変わって”いきます。

はじめは、すべてが不安でした。動物たちにも怖がられ、言葉も通じない。
しかし、助けられたり、助けたりするうちに、ロズは次第に「ただの機械」ではなく、島の一員になっていきます。

この物語は、「自分はここにいていい存在なのか」「何かの役に立てるのか」という問いに向き合う、まさに“自己確立”の話です。

自立とは、「ひとりで生きること」ではない

不登校の子どもたちがよく口にする言葉に、「自分なんかいないほうがいいと思う」「誰の役にも立っていない」というものがあります。
その背後には、「居場所のなさ」や「関係性の断絶」といった感覚があります。

『野生の島のロズ』では、そんな孤独の中にいたロズが、少しずつ“関係”の中に自分を見つけていきます。
特に、孤児のガチョウのヒナを育てるエピソードは、他者との関係の中で“自分の輪郭”が浮かび上がっていく過程として、非常に象徴的です。

自立とは、けっして「誰にも頼らず、ひとりで生きていくこと」ではありません。
むしろ、自分と他人との違いを知りながら、「どう関われるか」「どう存在できるか」を模索するプロセスです。

この作品は、「あなたも誰かの役に立てる存在なんだよ」というメッセージを、ストレートに押しつけることなく、静かに、しかし確実に伝えてくれます。

映画を通じて、「自分のペースで育つ」ことを肯定する

ここまで、3本のアニメーション映画を紹介してきました。
いずれも「子ども向け」のジャンルではありますが、大人が観ても、むしろ大人こそが心を揺さぶられる要素を多く含んでいます。

これらは、どれも「自立」とは何かを別の角度から照らし出してくれる作品です。
そして共通しているのは、「自立には時間がかかる」という前提が、きちんと描かれていることです。

まとめ

不登校の子どもを前にすると、どうしても「早く立ち直ってほしい」「自立してほしい」という気持ちが先に立ちます。
しかし、映画というフィクションを通して描かれる心の成長には、「急がないこと」「遠回りの大切さ」が何度も示されます。

一見するとまわり道に見える体験も、実は本人にとっては必要なステップです。
不安や孤独を避けるのではなく、それと付き合いながら少しずつ前に進んでいく。
そのプロセスこそが、「自分で生きていく」という感覚につながっていきます。

映画は、理屈では伝えにくい「気持ち」や「姿勢」をやさしく代弁してくれます。
もしもお子さんが「観たい」と言ったときは、横で一緒に見てみてください。
そして、作品のあとで無理に話を聞き出そうとせず、ただ一緒に余韻を共有するだけでも充分です。

自立をテーマにした映画は、子どもだけでなく、大人にとっても大切なヒントをくれます。
この記事が、少しでもお子さんとの時間のなかで、ヒントになれば幸いです。

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